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(別添2)

厚生労働省発基労第0308001号


労働政策審議会
 会長 西川 俊作 殿


 「労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」(別紙1)及び「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱」(別紙2)について、貴会の意見を求める。


 平成16年3月8日

厚生労働大臣 坂口 力



 労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱
第一  介護補償給付及び介護給付の限度額等の引下げ
 常時介護に係る介護補償給付及び介護給付について、介護に要する費用として支出した費用がこれを超えるときに支給する限度額を、月額十万四千九百七十円(現行十万六千百円)に、介護に要する費用を支出して介護を受けた日がない場合等であって、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるときに支給する額を、月額五万六千九百五十円(現行五万七千五百八十円)に引き下げるものとすること。
 随時介護に係る介護補償給付及び介護給付について、介護に要する費用として支出した費用がこれを超えるときに支給する限度額を、月額五万二千四百九十円(現行五万三千五十円)に、介護に要する費用を支出して介護を受けた日がない場合等であって、親族又はこれに準ずる者による介護を受けた日があるときに支給する額を、月額二万八千四百八十円(現行二万八千七百九十円)に引き下げるものとすること。
第二  障害補償給付及び障害給付に係る身体障害の障害等級の見直し
 障害補償給付及び障害給付を支給すべき身体障害の障害等級について、示指の亡失に係る等級を一級引き下げ、小指の亡失に係る等級を一級引き上げる改正等を行うとともに、複視に係る障害について等級の見直しを行うこと。
 障害等級表中の用語について見直しを行うこと。
第三  施行期日等
 この省令は、介護補償給付及び介護給付の限度額等の引下げに係る改正については平成十六年四月一日から、障害補償給付及び障害給付に係る身体障害の障害等級の見直しに係る改正については平成十六年七月一日から施行するものとすること。
 この省令の施行に関し、必要な経過措置を定めるものとすること。



 労働基準法施行規則の一部を改正する省令案要綱
第一  障害補償に係る身体障害の障害等級の見直し
 障害補償を行うべき身体障害の障害等級について、示指の亡失に係る等級を一級引き下げ、小指の亡失に係る等級を一級引き上げる改正等を行うとともに、複視に係る障害について等級の見直しを行うこと。
第二  施行期日等
 この省令は、平成十六年七月一日から施行するものとすること。
 この省令の施行に関し、必要な経過措置を定めるものとすること。



(参考1)

労働者災害補償保険法施行規則の一部を改正する省令案について


 介護(補償)給付の限度額等の引下げについて
 障害(補償)年金又は傷病(補償)年金の受給権者で、常時又は随時介護を要する状態にあるものに対し、介護(補償)給付として毎月介護に要する費用を支給しているが、今般、その最高限度額及び親族介護時の最低保障額を以下のとおり引き下げることとする。
※( )内は、現行額
  最高限度額実際に介護を要する費用として支出した額がこれを超えるときに支給する限度額 親族介護時の最低保障額費用を支出して介護を受けた日がない場合であって、親族による介護を受けた日があるときに支給する額
常時介護 104,970円(106,100円) 56,950円(57,580円)
随時介護 52,490円(53,050円) 28,480円(28,790円)

 障害等級の見直し
(1)  趣旨
 労災保険の障害(補償)給付については、労災保険法施行規則別表第一に定める障害等級表に基づいて障害認定を行っているところであるが、今般、専門検討会における検討結果を踏まえ、当該障害等級表について、手指の亡失、用廃に係る障害等級の見直し、複視に係る障害等級の見直し、用語の整理等所要の改正を行う。
(2)  経過措置
 改正後の等級については、年金受給者の保護の観点等から施行日後に支給事由が発生(治ゆ)した者について適用するものとし、施行日前に支給事由が発生した者については、引き続き改正前の等級に基づく支給を行うものとする。

 施行期日
については平成16年4月1日
については平成16年7月1日
(改正後の内容について周知期間が3ヶ月程度必要であるため)



(参考2)

労働基準法施行規則の一部を改正する省令案について


 趣旨
 労働基準法上の障害給付については、労働基準法施行規則別表第二に定める障害等級表に基づいて障害認定を行っているところであるが、今般、専門検討会における検討結果を踏まえ、当該障害等級表について、所要の改正を行うものである。

 改正の内容
(1)  手指の亡失、用廃関係
 示指の亡失を1級引き下げるとともに、小指の亡失を1級引き上げ、これに伴い、複数の手指を亡失した場合の整理も評価し直すこととした。また、これに併せ、用廃についても亡失に準じた評価の変更を行うこととした。
(2)  複視に係る障害関係
 複視に係る障害について、正面視で複視を生ずるものについては「局部に頑固な神経症状を残すもの」を準用して12級に、正面視以外で複視を生ずるものについては「局部に神経症状を残すもの」を準用して14級に認定されてきたところであるが、今般これを見直し、正面視で複視を生ずるものについては10級に、正面視以外で複視を生ずるものについては13級としてそれぞれ個別に規定を設けることとした。

 経過措置
 改正後の等級については、施行日後に支給事由が発生(治ゆ)した者について適用するものとし、施行日前に支給事由が発生した者については、改正前の等級に基づく支給を行うものとする。

 施行期日
 改正後の内容について周知期間が3ヶ月程度必要と見込まれることから、平成16年7月1日とする。



(参考3)

整形外科分野の障害認定に関する検討について


 検討経緯
 平成13年から、整形外科分野(骨格・関節等の形態異常の矯正に関する医学)の医学専門家7名により、同分野における最新の医学知見及び治療技術の進展等を踏まえ、検討を行った。

 主な検討対象
(1)  手指を失ったもの及びその用を廃したものについて
(2)  せき柱(いわゆる背骨)の運動障害・変形障害について
(3)  上肢・下肢の関節の可動域が制限されたものについて
(4)  上肢・下肢の長管骨(上腕部と前腕部の骨、又は大腿部と下腿部の骨)の変形障害について
(5)  用語について

 検討結果
 別紙「『整形外科の障害認定に関する専門検討会』報告書の概要」のとおり



別紙

「整形外科の障害認定に関する専門検討会」報告書の概要

 手指の亡失等
 第10級とされている示指の亡失を1級引き下げて第11級とし、中指及び環指と同一の等級とするとともに、第13級とされている小指の亡失を1級引き上げ第12級とすることが適当である。
 これに伴い、複数の手指を亡失した場合の評価も整理するとともに手指の用廃についても亡失に準じて評価を変更することが適当である。
 せき柱
 せき柱(いわゆる「背骨」)の運動障害及び変形障害の認定基準は、定量的な測定結果による等客観的なものに変更することが適当である。また、頚部と胸腰部に分けて評価する、第6級及び第11級のみが定められている変形障害について、新たに中間の評価を行う等きめ細かな評価が可能なものとすることが適当である。
 人工骨頭・人工関節(上肢、下肢共通)
 現在、人工骨頭等をそう入置換した関節については、実際の障害の有無・程度を問わず一律に関節の用を廃したもの(第8級)として評価しているが、人工骨頭の性能の向上等を踏まえ、関節の可動域が健側の1/2以下に制限されていないものは著しい機能障害を残したもの(第10級)とすることが適当である。
 前腕の機能障害
 現在、前腕の関節については屈伸の制限のみを評価しているが、回内・回外の可動域が制限された場合も新たに障害として評価することが適当である。具体的には、可動域が健側の1/2以下に制限された場合は準用第12級、1/4以下は準用第10級とすることが適当である。
 前腕の回内・回外とは、例えば回転式のドアノブを開閉するときの動きである。
 関節の機能障害の評価方法
 主要運動が複数ある関節の場合、主要運動のいずれか一つの可動域が1/2又は3/4以下に制限されているものは、関節の「著しい機能障書」又は「機能障害」とすることが適当である。
 また、その他関節の機能障害の評価方法を明確化することが適当である。
 長管骨の変形(上肢、下肢)
 現行は長管骨が「15度以上屈曲したもの」のみを長管骨の変形(第12級)として評価しているが、これに該当する場合を拡大(例:直径が一定以上減少したもの)することが適当である。
「長管骨」とは、上肢にあっては上腕骨、橈骨及び尺骨、下肢にあっては大腿骨、脛骨及び腓骨をいう。
 障害等級表上の用語
 「腕関節、薬指、奇形、仮関節」をそれぞれ「手関節、環指、変形、偽関節」に変更するほか、備考中の手指の関節等の用語についても一部変更することが適当である。


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