報道発表資料  厚生労働省ホームページ

厚生労働省発表
平成16年3月1日
職業能力開発局能力評価課
能力 評価課長  高ア 真一
課長補佐  金成 真一
電話  03(5253)1111(内線5949)
夜間直通  03(3502)6958


「地場・伝統産業後継者育成事業」の実施について
−地場・伝統産業の後継者不足対策として−

〜 全国20の地場・伝統産業に「後継者育成対策推進会議」を設置し、関係機関との連携のもと後継者の確保・育成対策を検討し、実施する。 〜

(ポイント)
 
 地場・伝統産業における技能者の後継者不足を解消するため、平成16年度より「地場・伝統産業後継者育成事業」を開始。

 都道府県職業能力開発協会を事務局として全国20の地場・伝統産業に「後継者育成対策推進会議」を設置し、地域の事業主団体が、雇用・能力開発機構都道府県センター、教育機関、職業訓練機関、ハローワーク等の関係者と連携を図りながら、後継者の確保・育成対策を推進

 具体的には、「後継者育成対策推進会議」において、次のような後継者の確保・育成対策を、関係機関との連携のもと検討し、実施する。
(1)  共同訓練の実施(高度熟練技能者の活用)
(2)  地場・伝統産業の熟練技能者の工業高校等への派遣
(3)  後継者の育成にあたる技能者に対して指導方法の教授
(4)  ハローワーク等との連携による採用活動
(5)  日本版デュアル・システムの導入

 今後、厚生労働省において、事業の実施を希望する事業主団体を指定し、 支援を行っていく。

1 背景

(1)  製造拠点の海外移転や製品輸入の拡大、大企業の下請け再編等の動きが進展する一方で、若年者のものづくり離れや技能離れと、我が国産業を支えてきた熟練技能者の高齢化が進展している。こうした傾向は、とりわけ中小製造業において顕著に見られ、我が国の経済発展に重要な役割を担ってきた優れた技能者の確保や、その後継者の育成が困難となってきている。

(2)  特に、地場・伝統産業については、地域に根ざした産業であるだけに、いったん技能の継承が途切れると、復活させるのが困難であるという特徴がある。

(3)  それだけに、地場・伝統産業における後継者の確保・育成の必要性は、他の産業に比べて差し迫った状況にある場合が多いと考えられるが、地場・伝統産業は、一般に企業規模が零細であり、1社単独では資金的にもマンパワー的にも後継者の確保・育成を行うだけの余力がなく、また、ノウハウも持たない場合が多い。

(4)  したがって、地場・伝統産業における後継者の確保・育成については、地域の事業主団体が中心となって、傘下の企業が協力して推進することが効果的であると考えられるが、現時点においてはそうした取り組みが全国各地で積極的に行なわれているとは言いがたい状況にある。

(5)  このため、厚生労働省は、平成16年度において、都道府県職業能力開発協会に「地場・伝統産業後継者育成事業」を委託し、後継者の確保・育成に積極的に取組もうとする地場・伝統産業関係の事業主団体を支援する。
 また、こうした取り組みを取りまとめて公表し、全国各地で同様の悩みを抱える地場・伝統産業の後継者の確保・育成を支援することとしている。

2 地場・伝統産業後継者育成事業の実施内容

(1) 地場・伝統産業後継者育成事業の概要 図参照

 ◎  後継者育成対策推進会議を設置し(全国で20か所)、関係者との連携を図りながら後継者育成対策を推進

 都道府県職業能力開発協会が事務局となり、地場・伝統産業を抱える事業主団体、構成企業、雇用・能力開発機構都道府県センター、教育機関、職業訓練機関、ハローワーク等からなる後継者育成推進会議を設置し、以下の事業を実施する。

(1)  後継者の確保・育成対策についての検討
 都道府県職業能力開発協会が事務局となり、事業主団体における後継者の確保・育成対策について検討する。

(2)  上記(1)の検討を踏まえたうえで、以下のような事業を実施
 共同訓練の実施(高度熟練技能者の活用)
 熟練技能者の持つ技能を地域として継承していくため、熟練技能者を講師として共同訓練を実施する。必要に応じて、中央職業能力開発協会に登録されている高度熟練技能者(別添)を活用する。

 地場・伝統産業の熟練技能者の工業高校等への派遣
 実際にどういう仕事をしているかを工業高校等の若年者に説明・体験してもらい、その地域の地場・伝統産業に興味を持たせる。

 後継者の育成にあたる技能者に対して指導方法の教授
 技術や技能は、高度なものを持っているが、若年者の指導に対して慣れていない技能者の方に対して、雇用・能力開発機構都道府県センター等の指導員から若年者に対する接し方や指導方法等を教授する。

 ハローワーク等との連携による採用活動
 地域のハローワークと連携し、若年後継者を採用するために、説明会の開催、広報・啓発活動、求職情報の提供等を行なう。

 日本版デュアル・システムの導入
 日本版デュアル・システムの導入に向けた取り組みを進める。
 ※ 日本版デュアルシステムとは、企業において実技訓練・OJTを受けながら、教育訓練機関で座学を受けることにより、若年者を一人前の職業人に育てる新たな人材育成制度であり、16年度から分野を限定せず広く実施する予定である。地場産業・伝統産業においても後継者の育成・確保の観点から活用が期待される。

(3)  これらの取り組みについての報告書の作成
 上記(1)及び(2)の取り組みについて報告書を作成してもらい、好事例について中央職業能力開発協会のホームページで公表することにより、同様の悩みを抱える地場・伝統産業関係者に対し、後継者の確保・育成方法について情報提供する。

(2) 地場・伝統産業後継者育成事業を活用するメリット

 後継者不足に悩みながら、自前ではその対策を講じることが困難な地場・伝統産業関係の事業主団体は、後継者の確保・育成対策について、都道府県職業能力開発協会を事務局として、様々な関係機関と連携し、適切なアドバイスを受けながら取り組むことができる。
 また、上記(1)(2)ア、イ、ウについては支援策を準備している。

 問い合わせ先

 地域の指定については、別途地場産業・伝統産業における若年人材育成に係る調査を実施中であり、その結果を踏まえて行うこととしているが、担当は下記のとおりであり、関心のある事業主団体は御連絡いただきたい。


厚生労働省職業能力開発局能力評価課育成係 蛇走
  住所  〒100−8916
 東京都千代田区霞が関1−2−2
  TEL  03−5253−1111(内線 5949)



地場・伝統産業後継者育成事業の概要

地場・伝統産業後継者育成事業の概要の図


トップへ
報道発表資料  厚生労働省ホームページ