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特定事業主行動計画関係省庁等研究会報告


平成16年1月



1 特定事業主行動計画の趣旨



 急速な少子化の進行は、消費の減少や労働力供給の減少等による経済成長率の低下のおそれや、人口に占める高齢者の割合を高め、社会保障に係る現役世代の負担が増大するといった経済面での影響に加え、子ども同士の交流の機会が減少し、子ども自身の健やかな成長に影響を及ぼすといった社会面での影響もあるなど、今後の我が国の経済社会の様々な分野に深刻かつ重大な影響を及ぼすものである。

 このため、改めて国の基本政策として、その流れを変えるためのもう一段の取組を進める必要があることから、平成15年3月14日に少子化対策推進関係閣僚会議において、政府として「次世代育成支援に関する当面の取組方針」を決定し、従来の保育サービスの充実をはじめとした「子育てと仕事の両立支援」に加え、「男性を含めた働き方の見直し」、「地域における子育て支援」、「社会保障における次世代育成支援」及び「子どもの社会性の向上や自立の促進」の4本の柱に沿って、改めて、政府・地方公共団体・企業等が一体となった取組を進めることとしたところである。

 特に、平成15年及び16年の2年間を次世代育成支援対策の「基盤整備期間」と位置付け、その第一歩として、次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)が平成15年7月に公布されたところである。同法においては、平成16年度末までに、各地方公共団体においては、「地域における子育て支援の充実」等を図るための地域行動計画の策定が、常時雇用する労働者数が301人以上の企業においては、「企業における働き方の見直し」等を推進するための一般事業主行動計画の策定がそれぞれ義務付けられたところであり、併せて、国や地方公共団体の機関においても、職員を雇用する事業主の立場から、特定事業主行動計画を策定することが義務付けられたところである。


 これらの行動計画については、国が定める行動計画策定指針に即し策定することとされており、このため、平成15年8月に関係7大臣の連名により行動計画策定指針(平成15年国家公安委員会、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省告示第1号)が告示されたところである。

 行動計画策定指針においては、特定事業主行動計画の策定に当たり、「行動計画の策定に関する基本的な事項」として、基本的な視点、計画期間、次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標、策定手続き等について定めている。特に、基本的な視点としては、
 (1) 職員の仕事と子育ての両立の推進という視点、
 (2) 機関全体で取り組むという視点、
 (3) 機関の実情を踏まえた取組の推進という視点、
 (4) 取組の効果という視点、
 (5) 社会全体による支援の視点、
 (6) 地域における子育ての支援の視点
という6つの視点が掲げられており、こうした視点に立った取組を推進していくことが必要であるとされている。
 また、「行動計画の内容に関する事項」としては、行動計画の策定に当たって踏まえるべき重要な次世代育成支援施策として、
 (1) 勤務環境の整備に関する事項
 (2) 地域における子育て支援等
の柱に沿った13の項目が掲げられており、これを踏まえつつ、国や地方公共団体の各機関において、それぞれの機関の実情に応じた総合的、具体的かつ実効性のある特定事業主行動計画の策定・実施がなされることが必要である。

 今後、次世代育成支援対策推進法に基づき、地方公共団体、企業及び国をあげて、平成17年度からの10年間の集中的・計画的な取組が進められることとなるが、真に次世代育成支援の取組の充実・強化が図られるためには、まずは、それぞれの主体で策定する平成17年度からの行動計画がいかに実効性のあるものとなるかが極めて重要である。

 特に、国や地方公共団体の機関が策定する特定事業主行動計画は、企業が策定する一般事業主行動計画の模範となるべきものであるとともに、国や地方公共団体の各機関のイメージアップや優秀な人材の確保、定着のためにも重要である。各機関においては、職員のニーズを十分に反映し、機関をあげて取り組むといった「計画策定のプロセス」と、可能な限り定量的な目標を掲げた総合的、具体的かつ実効性のある行動計画を策定するといった「計画の内容」の両面において、社会全体における次世代育成支援対策の牽引役としての積極的な対応がなされることが必要である。


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