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(別添1)

ミスマッチ解消のための緊急対応策


 最近の労働市場の状況をみると、景気の持ち直しを反映して、有効求人倍率は上昇し、新規求人数も増加しているが、完全失業率は、依然として5%台の高水準で推移するなど、雇用の改善に必ずしも結びついていない面がある。
 この要因には、労働力需給のミスマッチが寄与しているのではないかと考えられることから、今般、全国のハローワークにおける求人、求職の状況等について調査・分析を行ったところ、
(@)  求職者にとっては、職種のミスマッチにより応募できないことが多く、特に職種に対する選好からもミスマッチが生じていること
(A)  求人者にとっては、能力、経験を求人条件として重視する傾向がみられ、この傾向は、「専門的・技術的職業」求人の未充足の大きな要因となっていること
(B)  年齢別にみると、若年者にとっては能力・経験等が、中高年齢者にとっては、募集年齢がマッチングの阻害要因になっていること
(C)  求人が伸びている労働者派遣、業務請負業等特定の業態においての充足率が低いこと、及びその理由は、就業場所や雇用期間等労働条件が不明確であることにあること
等が要因として明らかになった。
 こうした点も踏まえ、ミスマッチ解消のための取組として、当面、次のような対応を実施することとする。

 労働市場の的確な分析及び情報提供の充実・徹底
 求人者・求職者双方に職種、能力、経験のミスマッチの状況等について、正確な理解を促すため、より豊富な情報提供を行い、これを踏まえた適切な求人活動、求職活動がなされることによる、求人・求職の円滑な結合を目指す。
(1)  ハローワークにおける効果的な情報提供の実施
 各ハローワーク又は複数のハローワークが連携して、その労働市場を的確に分析し、求人企業及び求職者双方のニーズに沿ったわかりやすい資料を作成し、これを円滑なマッチングにつなげるよう効果的な情報提供を徹底する。
(2)  求職者が適切な求人情報を選択できるための支援サービス(求人選択アシスタントサービス)の開始
 希望する求人にたどり着かない求職者に対し、労働市場における求人の状況、求人情報の検索方法など求職者が求人選択を的確に行えるようアドバイスを行う「求人選択アシスタントサービス」を開始する。
(3)  しごと情報ネットを活用した求職者サービスの向上
 しごと情報ネットについて、希望求人の検索を行うページの設定やメール配信を内容とする「求職者マイページ・メール配信サービス」を開始し、求職者サービスを向上させる。

 求職者のニーズに対応したミスマッチ解消策の推進
(1)  求人開拓推進員の効果的活用
 求職者のニーズを的確に把握した効果的・効率的な求人開拓を実施し、求職者の円滑な就職につなげるため、現在ハローワークに配置している求人開拓推進員については、重点を絞った求人開拓を行うなどその効果的な活用を図る。
(@)  求人開拓の効果的な実施
 求人開拓推進員については、求人数が求職者の希望に比べて相対的に不足している職種に重点を置いた求人開拓を実施し、併せて開拓した求人について求職者へ情報提供を行うなど充足するまでのフォローアップを徹底する。
(A)  個別求人開拓のきめ細かな実施
 個別求人開拓推進員については、直ちにふさわしい求人が確保できない求職者を重点的に担当することとし、当該求職者との面接をし、その希望に応じ、求人条件の緩和等を含めた、きめ細かな求人開拓を行う。
(2)  トライアル雇用の積極的活用
 能力・職業経験等の不足で就職できない若年者、従来とは違う職種への転換を希望する中高年齢者、年齢がネックとなって就職できない高年齢者については、トライアル雇用を積極的に活用することにより、円滑な再就職を実現する。
(3)  早期就職の緊要度が高い求職者に対する就職支援の効果的な実施
 早期就職の緊要度が高い求職者に対し、求人開拓から就職に至る一貫した就職支援を個々人ごとにきめ細かく実施する専任の支援員(就職支援ナビゲーター)による就職支援の効果的な実施に努める。

 求人充足対策の迅速・的確な実施
(1)  専門的・技術的職業、管理的職業等の求人の早期充足への取組
 ハローワークに適した求職者がいないために、受理後3週間で未充足となっている専門的・技術的職業、管理的職業の求人について、次の3本柱で早期充足を実現。
(@)  人材銀行を活用した求職者の掘り起こし
(A)  産業雇用安定センターに登録されている人材情報の活用
(B)  求人ニーズに即したオーダーメード訓練の推進による人材確保
(2)  派遣・請負求人への適切な対応
 増加する派遣・請負求人については、求人を受理する際に、就業場所等の就業条件を明確化するよう、求人者を指導するとともに、求職者に対して各々の就業形態の特徴等を説明することにより、求職者が安心して応募できるよう環境を整備する。
 また、就業条件が明確な派遣・請負求人等については、充足を図るための事業所説明会、管理選考等を積極的に実施する。
(3)  未充足求人へのフォローアップの徹底
 公共職業安定所に申込まれた求人が未充足となっている事業主に対し、ミスマッチの関連情報を提供し、求人条件の緩和を指導するなど求人充足に向けたフォローアップを徹底し、未充足求人の充足を図る。

 緊急雇用創出特別基金を活用した長期失業者対策の前倒し実施
 長期失業者のうち、就職の緊要度の高い失業者については、就職支援から就職後の定着指導までを民間事業者に包括的に委託し、安定した就職の実現を図る事業を緊急雇用創出特別基金を活用して前倒しで実施する。

 効果的な訓練の実施
(1)  業界団体と連携した効果的な訓練の実施
 適合する人材が不足している業界の団体と連携し、人材ニーズを把握しつつ、団体傘下企業での実習と座学を組み合わせた訓練をモデル的に実施する。
(2)  的確な訓練に向けた情報提供方法の充実
 的確な訓練が受講できるよう、訓練情報提供コーナーの設置、訓練受講相談会の開催等を実施するとともに、職業訓練コース情報システムの内容を充実する。
(3)  訓練受講中の就職支援
 訓練受講中においても求人情報提供やキャリアコンサルティング等を積極的に実施する。

 平成16年度に向けての取組
 これら以外にも(@)「就職実現プラン」の策定による個別総合的な就職支援や(A)就職支援ナビゲーターの増員による就職支援の強化が重要なミスマッチ対策として平成16年度予算案に盛り込まれており、平成16年度からは、これらも加えた総合的なミスマッチ対策を展開する方針である。


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