戻る

資料1

今後の高齢者雇用対策について〜雇用と年金との接続を目指して〜(概要)
今後の高齢者雇用対策に関する研究会(平成15年7月)


I.背景

 ○  2015年までに生産年齢人口は約840万人、労働力人口は約90万人減少
 ○  いわゆる団塊の世代が2007年から2009年にかけて60歳に到達
 ○  年金支給開始年齢は既に引き上げられつつあり、定額部分は2013年までに、報酬比例部分は2025年までに65歳に引き上げられる予定(女性については5年遅れ)
 ○  少なくとも65歳まで働ける場を確保する企業は全体の約70%であるものの、希望者全員を対象として少なくとも65歳まで働ける場を確保する企業は全体の約30%超
 ○  中高年齢者を取り巻く雇用情勢は依然として厳しく、一旦離職するとその再就職は困難
 ○  我が国高齢者の就労意欲は非常に高く、60歳代前半の男性の労働力率は70%


II.基本的な考え方

 高齢者が意欲と能力に応じ可能な限り社会の支え手としての役割を果たすようにしていくことが重要であり、このため、意欲と能力がある限り年齢にかかわりなく働き続けることのできる社会の実現を図ることが必要。当面は、雇用と年金との接続を強化し、少なくとも年金支給開始年齢までは年齢が理由となって働くことが阻害されることのないシステムの整備が急務

 【全般的な年齢差別禁止について】
 ・  我が国では年齢という要素が企業の雇用管理上重要な役割を果たしており、年齢に代わる基準が確立されていない中で直ちに全般的な年齢差別を禁止することは労働市場の混乱等を招くおそれもあり、現時点においては、我が国の実情に即した対応としては適当ではない
 【若年者雇用対策との関係について】
 ・  高齢者も若年者も、意欲と能力に応じて年齢にかかわりなく働くことができる環境を整えることが重要であり、それぞれの置かれている実態に応じた雇用対策を進めることが必要


III.今後の高齢者対策

  1.年金支給開始年齢までの雇用の確保策
 各企業において、基本としては定額部分の年金支給開始年齢の引上げに合わせ段階的に定年を引き上げるべき。それが困難な場合には希望者全員を対象とする継続雇用制度の導入によって年金支給開始年齢までの雇用を確保すべき
 その際、労使間で労働条件等について十分な協議を行い、従来の賃金・人事処遇制度の見直しを行うことが不可欠
 年金支給開始年齢まで働き続けることを可能とする制度を整備することは、意欲と能力のある限りは年齢を理由として離職させられることはないということを意味するものであって、当該年齢までの雇用を無条件に保障するものではなく、労働者は自らの体力、能力、適性の維持・向上に努めることが必要

2.中高年齢者の再就職の促進策
 まずは各企業において年金支給開始年齢まで働き続けることのできる制度設計が求められるが、経済社会の構造的な変化等が進む中にあっては、その雇用する労働者の雇用維持が困難な局面に遭遇し、年金支給開始年齢前にやむを得ず離職させざるを得ないことも十分に想定される。このため、このような場合には、労働市場を通じた雇用機会の確保が求められる。
 特に中高年齢者の場合は、一旦離職するとその再就職は困難であることから、再就職促進策の強化が必要

(1)  募集・採用時の年齢制限の是正について
 募集・採用時の年齢制限を禁止すること、又は、募集・採用時の年齢制限を行おうとしている事業主に対してその理由の説明義務を課すこと、のいずれかの方策を選択し、早急に実施に移すことが必要
 併せて、求人者が求める職業能力や職務内容の明確化等のため、年齢制限を行う企業に対するコンサルティング体制の強化等が必要
(2)  求職者及び求人者の相互理解の促進について
 求職者と求人者が互いに相手を理解し、判断できる時間的猶予を与えるため、トライアル雇用制度、紹介予定派遣制度を積極的に活用することが有効
 能力や職務内容等を企業と労働者が相互に理解可能な形で表現できるような基盤整備(共通言語化の推進)が必要
 労働者が自らの能力、適性等について客観的に認識するため、キャリア・コンサルティング体制の充実が必要
(3)  事業主都合離職の場合の事業主による再就職援助について
 中高年齢者の早期再就職のためには、労働者の能力や適性を十分に把握している事業主による在職中からの再就職援助が有効との考え方に立ち、事業主都合離職の場合に、労働者の能力や職務経歴などに関する情報を、事業主が労働者に対して作成・交付することをより強力に求めるべき
 行政も、事業主に対する必要な相談・援助体制の充実や助成措置の活用促進を図るべき
(4)  労働者の能力開発等の支援について
 離職を余儀なくされた中高年齢者が失業を経ることなく再就職するためには、早い段階から、自らのキャリア設計を含めた職業生活の設計を行い、それに沿った能力開発を進めることが必要

3.高齢者の多様な働き方に応じた就業機会の確保策
 高齢期には、個々の労働者の意欲、体力等の個人差が拡大することから、その雇用・就業ニーズも雇用・就業形態、労働時間、収入面等において多様化する。
 このような労働者の多様なニーズに対応した雇用・就業機会を確保するため、短時間正社員制度の導入促進、起業・創業の支援、シルバー人材センターにおける派遣就労に係る相談・実施やボランティアに関する相談・情報提供等の実施が必要


トップへ
戻る