日本赤十字社社長 殿
厚生労働省医薬食品局安全対策課長
厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長
厚生労働省医薬食品局血液対策課長
輸血用血液製剤について、「供血者の供血歴の確認等の徹底について」(平成15年6月12日付け医薬血発第0612001号。以下「第0612001号通知」という。)により貴職あて通知したところであるが、本年7月16日に開催された平成15年度第2回薬事・食品衛生審議会血液事業部会における審議の結果等を踏まえ、血清学的検査又は核酸増幅検査(以下「病原微生物検査」という。)の陽性が判明した供血者について、供血歴が確認され、かつ直近の採血から採取された血液が輸血用血液製剤の原料として使用された場合、当該輸血用血液製剤(以下「対象製剤」という。)は通常の輸血用血液製剤と比較し感染リスクが高いと考えられることから、貴職におかれては、第0612001号通知にのっとり、下記の情報を医療機関に提供するとともに、対象製剤が未使用の場合には回収されたい。
なお、医療機関より対象製剤を回収した場合は、薬事法(昭和35年法律第145号)第77条の4の3に基づく回収の報告を行われたい。また、医療機関から貴社の製造した輸血用血液製剤による感染症の発生(疑いも含む。)について報告を受けた場合は、同法第77条の4の2に基づく副作用等の報告を行うこととされているが、対象製剤について同報告を行う際は、過去に貴職から厚生労働大臣あてに提出した副作用等の報告に当該製剤が関連していないかを確認の上報告されたい。
さらに、本日施行された「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」(昭和31年法律第160号)第7条にのっとり、貴職におかれては、新鮮凍結血漿の貯留保管体制の確立、貴社が現在情報収集・評価を行っている輸血用血液製剤における病原体不活化技術の早期導入等について、至急検討を行い、一層の安全確保対策の充実を図られたい。
1 遡及調査に至った経緯に関する情報
輸血用血液製剤の原料となる血液に対し実施した病原微生物検査により、第0612001号通知のII.に掲げる病原微生物のいずれかについて陽性と判明した供血者について供血歴を確認(以下「遡及調査」という。)した結果、医療機関に納入された輸血用血液製剤が、ウインドウ期に採取された可能性のある血液を原料としていることが判明したこと。
2 対象となる輸血用血液製剤に関する情報
対象製剤に係る以下の情報。
(1) | 名称 |
(2) | 製造番号、医療機関への納入年月日、納入数量 |
(3) | 対象製剤の原料となった血液の供血年月日及び当該血液にウイルス等が混入していること、又は、混入の可能性が判明した年月日 |
(4) | 対象製剤の原料となった血液について貴社が実施した病原微生物検査の種類及び検査結果 |
(5) | 対象製剤の原料となった血液を供血した後に供血していた場合は、当該血液についての病原微生物検査の検査結果 |
(6) | 遡及調査に伴い追加的に病原微生物検査を実施した場合は、その検査結果 |
3 危惧される具体的な健康被害に関する情報
(1) | 上記2の(3)〜(6)に掲げる結果に基づき、対象製剤について貴社がリスク評価(別紙1参照)を行った結果。 |
(2) | 医療機関が貴社の実施したリスク評価の結果を確認できるよう、別紙2に規定する貴社における病原微生物検査に関連す る技術的基礎情報。 |
4 貴社担当者に関する情報
(別紙1)
対象製剤について、以下の分類を参考にリスク評価を行うものとする。
貴社において医療機関との連絡の窓口となる担当者の氏名、連絡先等
遡及調査の結果、個別核酸増幅検査で不適となった血液から製造された輸血用血液製剤。
遡及調査の結果、ウインドウ期間内に採血されたことがほぼ確実な血液から製造された輸血用血液製剤。
遡及調査の対象となった血液から製造された輸血用血液製剤のうち、「ウイルス等混入血液由来」及び「ウインドウ期血液由来」以外のもの。
ア | 各病原微生物検査の感度、特異性に関する情報。 | ||||||
イ | 次に掲げる各病原微生物検査の検出限界に関する情報<
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ウ | 次に掲げる各病原微生物検査の再現性に関する情報
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4)留意点
上記情報については、論文等による一般的な情報に基づく数値等ではなく、貴社で実施している病原微生物検査における数値等を示すこと。なお、貴社においてこのような数値等を有しない情報については論文等を示すことも差し支えない。また、科学的根拠に基づかない情報、客観的事実でない情報、誇大な表現については、厳に慎まれたい。