血液製剤に用いる血液については、日本赤十字社においてC型肝炎ウイルス等の検査が行われているが、ウイルス等の感染後一定期間内(ウインドウ期)は検査結果が陰性となり、この時期に採取した血液についてはウイルス等が混入しているおそれがある。
このような事態を可能な限り防止するには、検査で陽性が判明した供血者の供血歴を遡及調査する等の対応が必要であるが、先日(平成15年6月12日)、日本赤十字社が当該対応を実施していない可能性があることが判明した。
このため、同日付け血液対策課長通知(別添2)により当該対応の徹底を図るよう指導したが、同社より当該指導を撤回すべきとの回答文書(別添3(PDF:25KB))が提出された。
輸血用血液製剤については、できるだけ早期に遡及調査等を実施し、汚染のおそれのある輸血用血液製剤が患者に輸血されないようにするなどの対応が必要である。
このため、薬事法第69条第3項に基づく厚生労働大臣による報告命令(別添1)を本日付けで同社に発出し、指導内容の実施状況を報告させることとした。
( 照会先 ) 医薬局血液対策課 田中・辻阪 内線:2905・2915 直通:3595−2395
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別添1 |
日本赤十字社
社長 藤森 昭一
東京都港区芝大門1−1−3
薬事法(昭和35年法律第145号)第69条第3項の規定により、供血者の供血歴の確認等の徹底について(平成15年6月12日付け医薬血発第0612001号通知)に基づき講じた措置について平成15年7月29日までに当職あて報告することを命ずる。
なお、本命令に基づく報告をせず、又は虚偽の報告をした場合は、同法第87条第1項第7号の規定により罰金に処せられることがある。
また、本命令に基づく報告については、公表する可能性があることを申し添える。
理由
日本赤十字社が製造する輸血用血液製剤について、その安全性確保策の実態を正確に把握する必要があるため。
平成15年6月16日
別添2 |
日本赤十字社社長 殿
今般、平成13年6月26日に採取された血漿がHBV陽性と判明した供血者から同年4月10日に採取されたHBV陰性血漿を原料とする輸血用血液製剤による感染の可能性が考えられる事例が、平成15年6月10日付け医薬品副作用・感染症症例報告書において、貴職から厚生労働大臣宛に報告されたが、かかる事例の再発防止のため、以下の措置を徹底されたい。
I.供血歴の確認について
(1) | 本日より遡って過去1年の間に、血清学的検査及び核酸増幅検査(以下、「病原微生物検査」という。)陽性が判明した供血者について、本日より遡って過去1年の間に供血歴が確認され、かつ、直近の採血から採取された血液が輸血用血液製剤の原料として使用された場合は、次の措置を講ずること。
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(2) | さらに、過去、病原微生物検査陽性が判明した供血者について、過去、供血歴が確認され、かつ当該供血において採取された血液が輸血用血液製剤の原料として使用された場合は、上記(1)(2)の措置を講ずること。 なお、供血歴の確認は、可能な限り、過去に遡って実施すること。 |
II.対象
Iの措置の対象となる病原微生物は、梅毒トレポネーマ、HBV、HCV及びHIVの4種とする。
III.報告等
上記の措置を直ちに実施し、その結果を随時、当職宛報告するとともに、今後とも病原微生物検査陽性が判明した供血者の供血歴の確認等の措置を徹底されたい。