戻る
5 企業行動計画の実施状況の評価のための基準

 次世代育成支援対策推進法案においては、企業におけるよりよい行動計画の策定・実施を促進するために、指定法人である事業主の団体による策定支援と併せて、優良な企業を認定し、認定を受けた旨が明らかになる(認定マークを付与)枠組みを整備することとしている。
 そこで、当研究会においては、この認定の基準の在り方についても議論を行った結果、概ね以下のIからIVまでの事項を認定基準とする方向で検討することが妥当であると考えるが、今後、詳細な検討が重ねられ、より適切なものとなることが期待される。
 なお、その際には、従前から実施している「ファミリー・フレンドリー企業表彰」制度等との関係を整理するとともに、制度の趣旨に即した公平・公正な認定を行うことができるよう数値目標等については、画一的な運用を行うことなく、個々の企業の実情を踏まえた弾力的な判断ができる余地を残しておくことが望まれる。

I 法令等に違反していないこと(欠格事由)
 過去数年間にわたり、育児・介護休業法や労働基準法等の労働関係法規の定めに違反していないこと。
II 数値目標の設定と達成
(1) 以下の(1)〜(3)についての数値目標を設定し、達成すること。
 (1) 男女別育児休業取得率
 (2) 年次有給休暇等の取得率
 (3) 所定外労働時間の削減に係る数量的目標
 国は、(1)〜(3)について、全国平均や社会全体での目標値等を参考に、一定の水準を示すこととする。
社会全体での目標値(平成15年3月14日少子化対策推進関係閣僚会議決定「次世代育成支援に関する当面の取組方針」)〉

男性の育児休業取得率 10%
女性の育児休業取得率 80%
子どもの看護のための休暇制度の普及率 25%
小学校就学の始期までの勤務時間短縮等 25%
 の措置の普及率
(2)計画開始前に水準を達成していたが、計画終了時に育児休業取得率等が下回ってしまった場合(国の定めた一定の水準はクリア)や水準に満たないが取得率が著しく向上した場合の取扱いについても引き続き検討する必要がある。
 このような観点を含めると、例えば、以下のような基準も考えられる。

(1) 男女別育児休業取得率

(男性)
@) 目標を設定し、事業所内の取得率を□□%以上とする
計画達成時に計画開始時より下回っていた場合には、その低下率や原因等からみてやむを得ないと判断される場合に限る。)
A) @)は満たさないが、計画策定時に取得実績が皆無だった場合に計画終了時に取得率が△△%以上になっていること
B) @)は満たさないが、計画策定時と計画終了時とを比較して取得実績が○○%以上増加していること

(女性)
@) 目標を設定し、事業所内の取得率を□□%以上とする
計画達成時に計画開始時より下回っていた場合には、その低下率や原因等からみてやむを得ないと判断される場合に限る。)
A) @)は満たさないが、計画策定時と計画終了時とを比較して取得実績が○○%以上増加していること

(男女別育児休業取得率(平成11年度))
出産した女性労働者に占める
育児休業取得者の割合
配偶者が出産した男性労働者に占める
育児休業取得者の割合
57.9% 0.55%
資料出所労働省「女性雇用管理基本調査」(平成11年度)

(2) 年次有給休暇等の取得率

@) 目標を設定し、社員1人当たりの取得率を□□%以上とする
計画達成時に計画開始時より下回っていた場合 には、その低下率や原因等からみてやむを得ないと判断される場合に限る。)
A) @)は満たさないが、計画開始時と比較して社員一人当たりの取得日数が○○%以上増加していること

(年次有給休暇の取得率(平成14年1月調査))
付与日数 取得日数 取得率
18.1日 8.8日 48.4%
資料出所 厚生労働省「就労条件総合調査」(平成14年)

(3) 所定外労働時間の削減に係る数量的目標
@) 目標を設定し、計画終了時に社員一人当たりの年間所定外労働時間が□□時間未満であること
計画達成時に計画開始時より上回っていた場合には、その原因等からみてやむを得ないと判断される場合に限る。)
A) @)は満たさないが、計画開始時と比較して社員一人当たりの年間所定外労働時間を○○%以上削減すること

(労働者1人当たりの年間労働時間(平成14年))
総実労働時間 所定内労働時間 所定外労働時間
1,837時間 1,700時間 137時間
資料出所 厚生労働省「毎月勤労統計調査」(平成14年)

(一般労働者の時間外労働の限度に関する基準)
 時間外労働の制限に関する基準(平成10年労働省告示第145号)により、一般労働者(対象期間が3ヶ月を超える1年単位の変形労働時間制により労働する者を除く。)の時間外労働は、次の表の限度時間を超えないものとしなければならないものとされている。

期間 限度時間
1週間 15時間
2週間 27時間
4週間 43時間
1箇月 45時間
2箇月 81時間
3箇月 120時間
1年間 360時間

(育児・介護休業法による時間外労働の制限)
 育児・介護休業法においては、育児及び家族介護を行う男女労働者の時間外労働は、小学校入学までの子の養育する労働者(継続雇用されて1年に満たない労働者等を除く。)が、その子を養育するために請求した場合においては、事業の運営を妨げる場合を除き、1ヶ月当たり24時間、1年当たり150時間を超える時間外労働をさせることはできないとされている。

III 適切な計画の策定・実施
 上記のほか、雇用環境の整備に関し、行動計画策定指針に照らし適切な計画を策定したこと、また、計画の目標達成後も引き続き適切な計画を策定し、実施していること。

IV 関係する制度に係る規程の整備

 育児・介護休業法の措置努力義務(小学校就学前の子を対象とする勤務時間短縮等の措置及び子の看護休暇)に係る規程を整備していること。


トップへ
戻る