次世代育成支援対策推進法案において、各企業は行動計画を策定し、その概要を都道府県労働局へ届け出ることとしており、常時雇用する注)労働者が300人を超える大企業については義務付け、常時雇用する労働者が300人以下の中小企業については努力義務としている。
また、同法案では、各事業主は、企業行動計画において、
注1) |
企業の実情に応じて設定するのが望ましいが、2年未満では非現実的であり、5年超だと育児・介護休業法等の関係制度の見直しが計画に反映できないと考えられる。 |
注2) |
企業行動計画の策定において、企業が留意すべき事項については、「3 企業行動計画の策定の望ましいプロセス」を参照 |
注3) |
育児・介護休業法に基づく諸制度
・ | 育児休業 労働者は、子が1歳に達するまでの間、育児休業を取得できる。 |
・ | 時間外労働の制限 事業主は、育児や家族の介護を行う労働者が請求した場合には、1ヶ月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせることはできない。 |
・ | 深夜業の制限 事業主は、育児や家族の介護を行う労働者が請求した場合には、深夜(午後10時から午前5時まで)において労働させることはできない。 |
・ | 勤務時間の短縮等の措置 事業主は、3歳未満の子を養育し、または常時介護をを必要とする状態にある対象家族の介護を行う労働者については、勤務時間の短縮等の措置を講じなければならない。また、事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育し、または家族を介護する労働者については、育児・介護休業の制度または勤務時間の短縮等の措置に準じた措置を講ずるよう努めなければならない。 |
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注4) |
事業主等に対する両立支援事業としては、
(1) | 育児両立支援奨励金 |
(2) | 看護休暇制度導入奨励金 |
(3) | 事業所内託児施設助成金 |
(4) | 育児・介護費用助成金 |
(5) | 育児休業代替要員確保等助成金 |
(6) | 育児・介護休業者職場復帰プログラム実施奨励金 |
(7) | 育児休業取得促進奨励金 (平成15年4月から新設) |
といったものがある。 |
注5) |
「次世代育成支援対策推進センター」においては、次世代育成支援対策推進法案に基づき普及啓発、個別相談指導、講習会の開催等を行うことを通じて、事業主の行動計画の策定・実施を支援することとしている。 |
注6) |
労働法などにおいては、適用対象となる労働者は各法令により異なるが、ここでは、「企業内の労働者」として、正社員、パート、アルバイト他呼称の如何を問わず、当該企業が直接雇用する労働者及び派遣先としての責任を分担する範囲での派遣労働者までを念頭においている。
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注7) |
子どもの出生という親子にとっての最も大事な時期に、家庭において親子の時間を大切にするとともに、出産後の妻をサポートすることが重要であることから、「次世代育成に関する当面の取組方針」(平成15年3月14日少子化対策推進関係閣僚会議決定)では、「子どもが生まれたら父親が休暇を取得(例えば、5日間)」の促進を図ることとされている。 子出生時の父親最低5日間休暇取得へ向けた企業の具体的な取組としては以下のようなものがある。
・ | 妻の出産後の出産休暇の制度化 |
・ | 妻の出産後の有給休暇取得の奨励 |
・ | 産後8週間(妻が育児に専念できる場合でも男性が育児休業を取得できる期間)は育児休業取得の制約がないことの周知徹底 |
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注8) |
母性健康管理電話相談窓口とは、厚生労働省が(社)日本産婦人科医会に委託して実施している事業で、原則として50人未満の事業所の事業主や女性労働者からの母性健康管理に関する相談に産婦人科医が電話で対応している。 |
注9) |
母性健康管理指導事項連絡カードとは、妊娠中及び出産後の女性労働者が主治医等から受けた指導事項及び必要な措置を事業主が正確に知るためのカードとして、「妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(平成9年労働省告示第105号)」において定められているものである。 |
注10) |
育児・介護休業法第27条により、事業主は、妊娠、出産若しくは育児又は介護を理由として退職した者に対して、必要に応じ、再雇用特別措置(退職の際に、将来その就業が可能になったときに退職前の事業主に再び雇用されることの希望を有する旨の申出をしていた者について、事業主が労働者の募集又は採用に当たっての特別の配慮をする措置)その他これに準ずる措置を実施するように努めなければならないとされている。 |
注11) |
「育児休業給付金」とは、一定の要件を満たす雇用保険の被保険者が1歳未満の子を養育するために育児休業を取得し、休業中の賃金が一定水準を下回った場合、休業開始時の賃金月額の40%相当額が雇用保険から支給される制度である。
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注12) |
育児休業期間中、申出により、被保険者負担分及び事業主負担分とも保険料が免除される。 |
注13) |
育児・介護休業者職場復帰プログラム実施奨励金とは、育児休業又は介護休業をした労働者がスムーズに職場に復帰できるよう、職場適応性や職業能力の維持・回復を図る措置(職場復帰プログラム)を計画的に実施する事業主等に対して支給する制度である。 |
注14) |
職場復帰プログラムとしては、次のようなことが考えられる。
・ 在宅講習 (事業主等が作成した教材、または事業主等が選定した教育訓練施設の講座の教材等を用いて、休業期間中のあらかじめ設定された期間に休業者の自宅等において実施)
・ 職場環境適応講習
(休業期間中に、休業者が職業能力の維持を図るために受ける講習等を事業主自ら実施)
・ 職場復帰直前講習
(休業期間中、休業者の職場適応性や職業能力の維持・回復を図るために、指導担当者の下に実施される講習を事業主等が自ら実施、または指導担当者の下で実施)
・ 職場復帰直後講習
(職場復帰直前講習と同様、指導担当者の下に実施される休業者の職場適応性や職業能力の回復を図るための講習等)
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注15) |
労働基準法第65条第2項の規定により、使用者は産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないこととされている(ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合においては、医師が認めた業務に就かせることは差し支えない。)。
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注16) |
国等が実施している再就職支援策としては様々なものがあるが、特に育児を理由に退職した者に対する支援策としては(財)21世紀職業財団が行っている「再就職希望登録者支援事業」がある。 これは、育児・介護等を理由に退職し、将来的に再就職を希望する者を登録し、情報提供、個別相談、再就職準備セミナーの実施、自己啓発のための教育訓練に対する援助などを行っているものである。 |
注17) |
健康保険や厚生年金保険の適用対象者は、常用的使用関係にある者とされており、この常用的使用関係にあるか否かは、当該就労者の労働日数、労働時間、就労形態、職務内容等を勘案して認定されている。具体的な要件としては、運用上、労働時間が通常の就労者の4分の3以上とされているが、労働時間が4分の3未満であっても、就労の形態などの具体的な事例に則して常用的使用関係にあると保険者が認めた者は適用対象者となる。
この考え方によれば、育児短時間勤務制度の適用を受け、一時的に労働時間が4分の3未満となる就労者については、育児短時間勤務制度の適用終了後、通常の労働時間に戻ることが前提とされている場合などは、適用対象者として認定され得るものである。
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注18) |
育児・介護休業法第25条により、事業主は、小学校就学前の子の看護のための休暇制度(労働基準法第39条の規定による年次有給休暇とは別のもの)を導入するよう努めなければならないとされている。
また、「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(平成14年厚生労働省告示第13号)」において、子の看護のための休暇制度を設けるに当たっては、労働者が年間に子どもの病気のために休む日数は5日までのものが多いことも勘案して、措置を講じることが望ましいとされている。 |
注19) |
育児・介護休業法第17条により、事業主は、小学校入学までの子を養育する労働者(継続雇用されて1年に満たない労働者等を除く。)が、その子を養育するために請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1ヶ月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせることはできない。
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注20) |
フレックスタイム制とは、労働者が1ヶ月などの単位期間のなかで一定時間数(契約時間数)労働することを条件として、1日の労働時間を自己の選択する時に開始し、かつ終了できる制度である。その導入に当たっては就業規則その他これに準ずるもので定め、一定の事項について労働者の過半数で組織する労働組合(労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)との書面による協定が必要である(労働基準法第32条の3)。
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注21) |
裁量労働制とは、実際の労働時間数にかかわらず一定の労働時間数だけ労働したものとみなす制度である。専門業務型(労働基準法第38条の3)と企画業務型(労働基準法第38条の4)がある。専門業務型の導入に当たっては、労働者の過半数で組織する労働組合(労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)との書面による協定が必要である。企画業務型の導入に当たっては、事業場に労使委員会(使用者及び労働者を代表する者で構成)を設置し、当該委員会において全会一致の決議が必要である。 |
注22) |
年次有給休暇の計画的付与制度とは、使用者が、労働者の過半数で組織する労働組合(労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)との協定により、有給休暇を与える時季についての定めをすれば、その定めに従って年次有給休暇を与えることができる制度である(労働基準法第39条第5項)。 |
注23) |
小学校就学の始期に達するまでの子 を養育する労働者について、子の看護のために、年5日以上利用できる内容の休暇制度を労働協約又は就業規則に新たに規定し、制度の利用を希望した労働者について、事業主に対して支給する「看護休暇制度導入奨励金」がある |
注24) |
短時間正社員とは、フルタイム正社員より一週間の所定労働時間は短いが、フルタイム正社員と同様の役割・責任を担い、同様の能力評価や賃金決定方式の適用を受ける労働者をいう。 |
注25) |
テレワークの導入に当たっては、「テレワーク導入マニュアル」が参考になる。「テレワーク導入マニュアル」とは、企業・団体等が雇用労働者を対象としてテレワークを導入する際に検討が必要な課題を、人事労務面を中心として網羅し、その対応策について、厚生労働省が解説したものである。また、国は、平成15年度においては、在宅勤務に関する労務管理等労働基準行政上の取扱いを明確にしたガイドラインを策定する予定となっている。 |
注26) |
育児休業代替要員確保等助成金とは、育児休業取得者が育児休業終了後は原職又は原職相当職に復帰する旨の取扱いを労働協約又は就業規則に規定した上で、育児休業取得者代替要員を確保し、かつ、育児休業取得者を原職等に復帰させた事業主に対して、一定額を助成する制度である。 |
注27) |
育児・介護費用助成金とは、労働協約または就業規則の定めるところにより、労働者が育児または家族の介護に係るサービスを利用した場合の費用の負担を軽減する措置を実施した事業主に対して、その措置の実施に要した額の一定割合を助成する制度である。 |
注28) |
当該事業所の労働者の過半数で組織する労働組合(労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者)との間に書面による協定が必要である(雇用保険法施行規則第101条の15)。 |
注29) |
企業全体の雇用管理方針のなかで次世代育成支援対策の取組を企画し、適切かつ有効に実施する業務を担当する。 |
注30) |
育児・介護休業法において選任に努めるよう求められている職業家庭両立推進者を活用することも考えられる。 |
注31) |
企業内ホームページを運営するに当たっては、労働組合等関係労働者の意見を踏まえ、社員のニーズに応じたコンテンツを作成する等の配慮をすることが望ましい。 |
注32) |
「フレーフレーテレフォン」とは、育児、介護、家事等に関する各種サービスについて相談に応じるとともに、地域の具体的な情報についての電話による対応を(財)2 1世紀職業財団地方事務所で行っている。
また、「フレーフレーネット」とは、再就職準備関連情報や育児・介護サービスなどの情報を提供するホームページで(財)2 1世紀職業財団が運営している(URL;http://www.2020net.jp)。 |
注33) |
「i子育てネット」とは、全国の認可保育所の情報や、国、地方公共団体などの子育て支援情報を提供するホームページで、(財)こども未来財団が運営している(URL;http://www.i-kosodate.net)。 |
注34) |
労働者のために事業所内託児施設を設置、運営、増築または事業所内託児施設の保育遊具などを購入する事業主・事業主団体に対し、その設置費、運営費、増築費または保育遊具などの購入費にかかる費用の一部を助成する「事業所内託児施設助成金」がある。 |
注35) |
労働組合が託児所を設置・運営をし、会社がそれを支援するという方法も考えられる。 |
注36) |
L休暇とは、働く人が活力をもって生き生きと働くためにも、しっかり休み、働き方や家族・地域との関係を含めて生き方(Life)を考える契機となるような長期(Long)の休暇をいう。また、長期休暇制度の導入の前提となる年次有給休暇の計画的または連続した取得の促進等を実施した中小企業事業主の団体等に対する助成制度として、「長期休暇制度基盤整備助成金」がある。 |
注37) |
平成15年度に国において予定されている事業としては、以下のようなものがある。(1) | 乳幼児とその親が一緒に外出した際に大いに役立つ「子育てバリアフリーマップ」を地域の人々の協力のもとに市町村が作成する事業 |
(2) | 公共施設等への託児室や授乳コーナーの設置及び乳幼児連れでも安心して利用できるトイレへの改修等を行うための計画の策定を市町村が実施する「子育てバリアフリー推進事業」 |
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