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平成15年3月5日

食品衛生法に基づく指定検査機関における不適正検査事例への対応について

 経緯
(1)平成15年2月19日、中野区が昨年12月に輸入された中国産「しょうゆ味すいかの種」を収去して東京都立衛生研究所において分析したところ、違法添加物のサイクラミン酸が2.1g/kg検出されたため、2月20日、神戸市が輸入者に対し回収を命じた。
(2)厚生労働省では、2月24日に神戸市からの上記事実の報告を受け、輸入時の状況を神戸検疫所に照会したところ、輸入時に同検疫所の指導によりサイクラミン酸検査が実施され(昨年11月1日、中国産種実加工品について届出毎に自主検査の指導を行うよう当課から通知)、不検出であった旨報告を受けた。更に調査していたところ、2月28日、当該検査を実施した食品衛生法に基づく指定検査機関(社) 日本油料検定協会 綜合分析センターから当該品の再検査においてサイクラミン酸が検出された旨報告を受けた。

 指定検査機関への立入検査の結果
 上記経緯を踏まえ、厚生労働省、近畿厚生局、関東信越厚生局等の職員が同協会 綜合分析センター(神戸市)及び同協会分析技術センター(横浜市)に対して、昨日(3月4日)から食品衛生法に基づく立入検査を開始したところ、現在までの調査結果は次のとおりであった。
(1)同協会綜合分析センターでは、昨年11月に厚生労働省が指定した検査方法(以下「公定法」)を一部簡略化し、分析機器の変更などをしていたが、変更に当たって添加回収試験などの検証を十分に行っておらず、正確にサイクラミン酸を検出することができないおそれがあった。さらに、検査の実施記録から機器分析前の処理が適正に行われていないことが確認された。
(2)同協会分析技術センターでは、公定法で検査を行っていたが、検査の実施記録から添加回収試験の回収率は安定せず、適正な検査が行われていない事例が認められた。
(3)両センターでは、昨年11月から命令検査を開始しており、その際作成が必要となったサイクラミン酸検査の検査実施マニュアルに不備が認められた。
(4)現在までに確認された当該検査方法による検査実績は、綜合分析センターにおいて命令検査289件、自主検査198件、分析技術センター命令検査256件、自主検査12件であった(計755件、いずれも不検出)。

 厚生労働省の対応
(1)3月3日、各検疫所に対して同協会が発行した検査成績書を輸入者が提出した場合、受入を行わないよう指示し、同協会には調査結果、処分、改善内容が確認されるまで、食品衛生法に係る検査を行わないよう指示した。
(2)同協会のサイクラミン酸検査が不適切に行われていたおそれがあるため、(1)綜合分析センターで実施されたサイクラミン酸検査の全件については神戸検疫所検疫検査センターで、(2)分析技術センターで実施されたサイクラミン酸検査のうち、問題が認められたものについては横浜検疫所検疫検査センターでそれぞれ再検査を実施し、サイクラミン酸が検出された場合には回収等の措置を講じる。
(3)同協会において実施された他の検査についても引き続き調査する。
(4)調査結果に基づき、必要な処分を行う。


(参考1)サイクラミン酸について
 人工甘味料の一種で、昭和44年、米国で動物実験での発ガン性が指摘され使用可能な添加物から削除、日本においても同年、添加物指定を削除した。 その後、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)の評価では発ガン性は否定されており、ADI(許容一日摂取量)を11mg/kg bw/dayとしている。
 現在、EU、中国等で使用が認められており、日本、米国、韓国では認められていない。

(参考2)サイクラミン酸の検査状況(昨年11月1日〜2月27日:速報値)
  生産国 主な食品 検査実施数 違反数(違反率)
命令検査 中国 漬物、果実のシロップ漬け、乾燥果実等 4,498 15(0.3%)
自主検査 中国 漬物、種実類調整品等 906 11(1.2%)
タイ 魚介類乾製品、果実のシロップ漬け等 189 0(0%)
ベトナム 魚介類乾製品等 20 0(0%)
台湾 乾燥果実、飲料 17 0(0%)
米国 乾燥果実、果実シロップ漬け等 6 0(0%)
その他 魚介類乾製品、種実類調整品等 17 0(0%)
合計 1,155 11(1.0%)

(参考3)食品衛生法に基づく検査機関の指定状況
 食品衛生法第15条第3項に基づく輸入食品等の命令検査の実施機関として指定を受けた検査機関は、40機関、58施設(平成15年2月27日現在)。


厚生労働省食品保健部
 南 監視安全課長
 担当:道野、齋藤


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