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平成15年2月26日
厚生労働省食品保健部
南 監視安全課長
担当 道野、美上(内2477)

中国産冷凍ほうれんそうの取り扱いについて


 中国産冷凍ほうれんそうについては、わが国の残留基準に違反するクロルピリホス(殺虫剤)の検出事例が相次ぎ、昨年7月10日より輸入業者に対して輸入の自粛を指導しているところです。
 今般、中国側におけるクロルピリホスの残留防止対策(別紙1)が講じられ、現地調査によりその状況が確認できたことから、検査に合格したことを証明するため中国政府が発行する「衛生証明書」の添付されている輸入届出にかかる中国産冷凍ほうれんそうについては、本日より、輸入の自粛を求めないこととしたのでお知らせします。

 なお、中国産冷凍ほうれんそうの輸入時には、当分の間、1ロットにつき16検体を対象としてクロルピリホスについての命令検査を実施します。


(別紙1)

中国側におけるクロルピリホスの残留防止対策(概要)


  1. 平成14年8月12日以降に生産された冷凍ほうれんそうについて

    (1)平成14年夏以降、以下の対応を講じている。
      (1)日本向けほうれんそうについてクロルピリホスの使用を禁止(平成14年6月)。
      (2)生産企業に対して、残留農薬検査室の設置、加工前検査の奨励等の農薬管理の強化を指導。(平成14年6月)
      (3)輸出入野菜検験検疫管理弁法を制定、施行(平成14年8月12日施行)。主な内容は以下のとおり。
    地方検験局に登録された生産企業及び圃場で生産されたもののみ輸出可能。
    企業及び圃場に農薬使用の管理等を行う植物保護員を設置。
    圃場では作物の種類、農薬の使用方法を限定。
    クロルピリホスが検出された圃場については、登録を留保又は取消し。

    (2)したがって、下記の要件のもと、輸出を認める。
      (1)登録企業が生産したものであって、
      (2)地方の検験検疫局が残留農薬検査を実施し、合格したものに限り標識を添付させるとともに、ロットごとに検査合格衛生証明書を発行。

  2. 平成14年8月12日以前に生産された在庫の冷凍ほうれんそうについて

    下記の要件のもと、輸出を認める。
     ・ 中国国家質量監督検験検疫総局又は地方の検験検疫局が生産企業にクロルピリホス不使用を確認させる。
     ・ 不使用の確認がされたものについて、地方の検験検疫局が輸出時に厳格な残留農薬等検査を実施し、合格したものに限り標識を添付させるとともに、ロットごとに検査合格衛生証明書を発行。

  3. 違反時の対応について
     違反が発見された場合については、当該生産企業の輸出は停止し、原因究明を求める。

  注) 我が国としては、違反発見時には、直ちに中国政府と協議を開始し、輸入禁止措置の発動の要否も含め、対応を検討する。


(別紙2)

<これまでの経緯>

  1. 改正法施行前の対策強化
    (平成14年)
    ○3月16日民間団体が中国産の冷凍ほうれんそうから規格基準を超えるクロルピリホスを検出したとの報道。
    ○3月20日検疫所においてモニタリング検査(10%)を開始
    ○4月22日違反発見により検査の対象を全届出に広げる
    ○4月26日検体数を2倍に強化(6月4日に4倍、同月14日に8倍に強化)
    ○5月14日中国政府に対し原因調査を要請(21日に再び要請)
    ○6月1日法違反に係る輸入者名の公表開始
    ○6月4日中国政府に対し対策が不十分なほうれんそうを我が国に輸出しないよう要請
    ○6月9日〜14日:担当官を中国へ派遣
    ○7月10日輸入業者に対し、輸入自粛の指導
    ○8月26日検査命令の実施(政令改正により冷凍ほうれんそうが検査命令対象として指定可能となり、同日施行されたため)

  2. 議員立法の動きから法施行まで
    ○7月9日自民党により厚生労働大臣あて「中国産ほうれんそう問題への対応に係る要請」の提出
    ○7月19日衆議院厚生労働委員会において「食品衛生法の一部を改正する法律案」の提案
    ○7月31日法案が参議院本会議において可決・成立
    ○8月7日「食品衛生法の一部を改正する法律」の公布
    ○9月6日食品衛生法施行規則の一部を改正する省令の公布
    食品衛生法の一部を改正する法律の施行通知等を各都道府県等に送付
    ○9月7日「食品衛生法の一部を改正する法律」の施行

  3. 中国との協議の経緯
    ○7月22日 第1回局長級協議(北京)
    ○8月14日 第1回課長級協議(北京)
    ○8月15日 現地の加工工場、検査施設の実態調査(山東省)
    ○9月3日 第2回課長級協議(東京)
    ○9月13日 厚生労働省尾嵜食品保健部長より中国側あて書簡を送付
    現状の対策内容では不十分であり、更なる改善が見られない場合、輸入禁止措置発動の方向で検討を進めざるを得ない旨通告
    ○9月27日 中国政府国家質量監督検験検疫総局秦食品安全局長より食品保健部長あて書簡が到着
    中国側から新たな対策の提案
    ○10月8〜9日 第2回局長級協議(東京)
    中国側が新たに提案した対策の内容を聴取
    ○10月25日 中国側の新たな対策を基本的に受け入れることを薬事・食品  衛生審議会食品衛生分科会に報告

  4. 4.協議後の対応
    ○11月以降 中国側と新たな対策の詳細な内容についての確認作業

    (平成15年)
    ○2月17〜18日 担当官を中国へ派遣し、現地の農場、加工工場、検査施設の実態調査
    ○2月21日 平成14年10月の局長級協議で中国側から提案のあった対策内容で文書により合意
    ○2月26日 冷凍ほうれんそうの輸入自粛を解除


<中国産冷凍ほうれんそうの違反状況>

(平成14年2月第3週〜平成15年2月第2週)
輸入届出 1,212件 重量 16,234トン
検査件数 658件
違反件数 47件(違反率7.1%)

うち、平成14年7月10日の輸入自粛指導開始以降

輸入届出 60件 重量  1,259.8トン
検査件数 60件
違反件数 5件(違反率8.3%)
  なお、8月以降の輸入(12件)について違反は出ていない。


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