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別添

労審発第111号
平成15年2月21日

厚生労働大臣
 坂口  力  殿

労働政策審議会
 会長  西川 俊作


 平成15年2月13日付け厚生労働省発職第0213001号をもって諮問のあった「職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」等については、本審議会は、下記のとおり答申する。



別紙「記」のとおり。


平成15年2月21日

労働政策審議会
 会長  西川 俊作 殿

職業安定分科会
 分科会長 諏訪 康雄


職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案要綱等について

 平成15年2月13日付け厚生労働省発職第0213001号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。



別紙「記」のとおり


平成15年2月21日

労働政策審議会 職業安定分科会
 分科会長  諏訪 康雄  殿

労働政策審議会 職業安定分科会
 民間労働力需給制度部会
  部会長 樋口 美雄


職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案要綱等について

 平成15年2月13日付け厚生労働省発職第0213001号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、本部会は、下記のとおり報告する。



 厚生労働省案は、平成14年12月26日付けの労働政策審議会の建議にかんがみ、おおむね妥当と認める。
 なお、労働者代表委員から別紙のとおり意見書の提出があったことを申し添える。


別紙

職業安定法及び労働者派遣法の法律案要綱等の答申に当たっての
労働者代表委員の意見

民間労働力需給制度部会 労働者代表委員
 池田 勇   磯部 行雄   川畑 忠満
 相馬 末一  中村 善雄


 今後の労働者派遣を考える場合の課題としては、派遣労働者と派遣先において直接雇用されている労働者との均等待遇や派遣先使用責任の強化が重要であり、引き続き十分な検討を行うことが必要である。また、今回の制度改正に当たっては、労働者派遣事業制度が適切に運用され、派遣労働者の保護と雇用の安定等を図るため、下記の事項を措置することが必要であり、厚生労働省案については、必要な対応・手当なしに「妥当と認める」とすることはできない。



 1年を超え3年以内の期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けようとする場合の労働者の過半数代表からの意見聴取は、措置として不十分であり、これを労使協議にすること。

 現在の雇用失業情勢を踏まえれば、リストラ後一定期間は派遣受け入れを禁止すべきであること。

 短期間の雇用契約を反復更新することにより、派遣労働者の雇用が不安定になることもあることから、契約の締結に当たり、派遣労働者の雇用の安定が確保されるよう使用者の責務を明確にすること。

 「物の製造」の業務の解禁に当たっては、偽装請負に適正に対処するとともに、「請負に係る労働者の保護のためのガイドライン」を作成し、適正な請負が行われるよう措置すべきであること。

 医業等の解禁は慎重に検討すべきものであり、社会福祉施設等における医業等の解禁にあたっては、臨時的・一時的な労働力の需給調整に関する対策である労働者派遣事業の内容等の関係者への周知徹底を行うこと。


(参考1)

厚生労働省発職第0213001号


労働政策審議会
 会長  西川 俊作 殿


 厚生労働省設置法第9条第1項第1号の規定に基づき、下記の事項について、貴会の意見を求める。

 職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案要綱(別紙1

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱(別紙2

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱(別紙3


 平成15年2月13日

厚生労働大臣  坂口  力


  職業安定法及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部を改正する法律案要綱
第一 職業安定法の一部改正
 一 職業紹介事業
(一) 許可の手続の簡素化  職業紹介事業の許可について、事業所単位から事業主単位に改めるものとすること。
(二) 保証金の廃止
 有料職業紹介事業者に係る保証金を廃止するものとすること。
(三) 取扱職種の範囲等の届出等
 職業紹介事業者は、取り扱う職種の範囲その他業務の範囲を定めたときは、厚生労働大臣に届け出れば足りるものとするとともに、厚生労働大臣は、当該範囲が特定の者に対し不当な差別的取扱いをするものである場合には、その変更を命ずることができるものとすること。
(四) 職業紹介責任者の任務
 職業紹介責任者は、職業紹介に関する業務を統括管理するものとすること。
(五) 学校等の行う無料職業紹介事業の対象者の拡大
 学校等の行う無料職業紹介事業の対象者に、学生生徒等に準ずる者として厚生労働省令で定めるものを追加するものとすること。
(六) 特別の法人の行う無料職業紹介事業
 特別の法律により設立された法人であって厚生労働省令で定めるものは、厚生労働大臣に届け出て、その構成員を対象者とする無料職業紹介事業を行うことができるものとすること。
(七) 地方公共団体の行う無料職業紹介事業
 地方公共団体は、当該地方公共団体の区域(以下「区域」という。)内に居住する求職者又は区域内に所在する事業所に係る求人者に対して、区域内の住民の福祉の増進、産業経済の発展等に資する施策に関する業務に附帯する業務として無料職業紹介事業を行う必要があると認めるときは、厚生労働大臣に届け出て、当該無料職業紹介事業を行うことができるものとすること。
(八) 兼業の禁止の廃止
 料理店業等と職業紹介事業との兼業を禁止する規定を削除するものとすること。
 二 労働者の募集
(一) 委託募集の許可制の見直し
 募集従事者に報酬を与えることなく行う委託募集について、届出制とするものとすること。
(二) 募集地域の原則の廃止
 通常通勤することができる地域等から労働者を募集するように努めなければならないこととする規定を削除するものとすること。
 三 その他
 その他所要の規定の整備を行うものとすること。
第二 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の一部改正
 一 紹介予定派遣
(一) 定義
 紹介予定派遣は、労働者派遣のうち、派遣元事業主が労働者派遣の開始前又は開始後に、派遣労働者及び派遣先について、許可を受け又は届出をして職業紹介を行い、又は行うことを予定してするものをいい、当該職業紹介により、派遣労働者が派遣先に雇用される旨が、労働者派遣の終了前に派遣労働者と派遣先との間で約されるものを含むものとすること。
(二) 労働者派遣契約の内容等
 労働者派遣契約の締結に際し、紹介予定派遣に関する事項を定めなければならないものとすること。
 紹介予定派遣については、派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならないこととする規定を適用しないものとすること。
(三) 労働者に対する明示
 派遣元事業主は、労働者を紹介予定派遣に係る派遣労働者として雇い入れようとする等の場合には、労働者にその旨を明示しなければならないものとすること。
(四) 派遣元管理台帳及び派遣先管理台帳の記載事項
 紹介予定派遣に係る派遣労働者については、派遣元管理台帳及び派遣先管理台帳に、紹介予定派遣に関する事項を記載しなければならないものとすること。
 二 許可等の手続の簡素化
 一般労働者派遣事業の許可及び特定労働者派遣事業の届出について、事業所単位から事業主単位に改めるものとすること。
 三 派遣期間等
(一) 派遣期間の制限に抵触することとなる最初の日の明示等
 派遣元事業主は、派遣労働者に対し、派遣先が労働者派遣の役務の提供を受けることができる期間(以下「派遣期間」という。)の制限に抵触することとなる最初の日を明示しなければならないものとすること。
 派遣元事業主は、派遣先が派遣期間の制限に抵触することとなる最初の日の一月前の日から当該抵触することとなる最初の日の前日までの間に、当該抵触することとなる最初の日以降継続して労働者派遣を行わない旨を派遣先及び派遣労働者に通知しなければならないものとすること。
(二) 派遣期間に制限がない業務の追加
 派遣期間に制限がない業務に、次に掲げる業務を追加するものとすること。
 一箇月間に行われる日数が、派遣先の通常の労働者の所定労働日数に比し相当程度少なく、かつ、厚生労働大臣の定める日数以下である業務
 育児・介護休業法に規定する介護休業及びこれに準ずる一定の介護に係る休業をする派遣先の労働者の業務
(三) 派遣可能期間
 派遣先は、その事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務(派遣期間に制限がない業務を除く。)について、派遣元事業主から一年を超え三年以内の期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けようとするときは、あらかじめ、その期間を定めなければならないものとすること。
 派遣先は、イの期間を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、派遣先の事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合に対し、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者に対し、当該期間を通知し、その意見を聴くものとすること。
 四 派遣先による派遣労働者の雇用
(一) 派遣期間の制限を超えて派遣労働者を使用しようとする場合
 派遣先は、三の(一)のロの通知を受けた場合において、派遣期間の制限に抵触することとなる最初の日以降継続して当該通知を受けた派遣労働者を使用しようとするときは、当該抵触することとなる最初の日の前日までに、派遣先に雇用されることを希望する当該派遣労働者に対し、雇用契約の申込みをしなければならないものとすること。
(二) 三年を超えて同一の派遣労働者を受け入れている場合
 派遣先は、派遣期間に制限がない業務に関し、派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から三年を超える期間継続して同一の派遣労働者を受け入れている場合において、当該同一の業務に当該三年が経過した日以後労働者を雇い入れようとするときは、当該派遣労働者に対し、雇用契約の申込みをしなければならないものとすること。
(三) 違反に係る勧告及び公表
 厚生労働大臣は、前記に違反している者に対し、指導又は助言をした場合において、その者がなお前記に違反しており、又は違反するおそれがあると認めるときは、当該者に対し、雇用契約の申込みをすべきことを勧告することができるものとし、これに従わなかったときは、その旨を公表することができるものとすること。
 五 物の製造の業務への労働者派遣事業の拡大
(一) 物の製造の業務について、労働者派遣事業を行うことができるものとすること。
(二) 物の製造の業務について労働者派遣事業を行う事業所については、当分の間、その旨を許可申請書及び届出書に記載する等しなければならないものとすること。
(三) 改正法の施行の日から起算して三年を経過する日までの間は、物の製造の業務に係る派遣期間を一年とするものとすること。
 六 派遣元責任者及び派遣先責任者
(一) 派遣元責任者の職務の追加
 派遣元責任者の職務に、派遣労働者の安全及び衛生に関し、派遣元事業主の事業所の安全及び衛生に関する業務を統括管理する者及び派遣先との連絡調整を行うことを追加するものとすること。
(二) 派遣先責任者の職務の追加
 派遣先責任者の職務に、派遣労働者の安全及び衛生に関し、派遣先の事業所の安全及び衛生に関する業務を統括管理する者及び派遣元事業主との連絡調整を行うことを追加するものとすること。
 七 罰則等
 罰則その他所要の規定の整備を行うものとすること。
第三 その他
 一 施行期日
 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。
 二 経過措置等
 この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに関係法律について所要の規定の整備を行うものとすること。


  労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令の一部を改正する政令案要綱
第一 労働者派遣事業を行うことが適当でない業務として定められている医師法第十七条に規定する医業等の範囲を、医療法に規定する病院若しくは診療所(厚生労働省令で定めるものを除く。)、同法に規定する助産所、介護保険法に規定する介護老人保健施設又は医療を受ける者の居宅において行われる医業等に限ることとすること。
第二 この政令は、公布の日から施行するものとすること。


  労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱
第一 労働者派遣事業を行うことが適当でない医業等の業務が行われる病院又は診療所の範囲から除くものとして厚生労働省令で定める病院又は診療所を、身体障害者福祉法に規定する身体障害者療護施設に設けられた診療所等とすること。
第二 この省令は、公布の日から施行するものとすること。


(参考2)
職業安定分科会所属委員等名簿

公益代表
おおさわ まちこ
大沢 真知子
 日本女子大学人間社会学部教授
しらき  みつひで
白木 三秀
 早稲田大学政治経済学部教授
すわ   やすお
諏訪 康雄
 法政大学社会学部教授
はやし  のりこ
林  紀子
 弁護士
ひぐち  よしお
樋口 美雄
 慶應義塾大学商学部教授
ひろみ  かずお
廣見 和夫
 中央労働災害防止協会理事長
まつもと ひとし
松本  斉
 読売新聞社編集局次長
 
雇用主代表
うつみ  ふさこ
内海 房子
 NECソフト(株)執行役員
おざき  むつみ
尾崎  睦
 (株)上組代表取締役社長
きりく  たかし
紀陸  孝
 日本経済団体連合会常務理事
たせ  しゅうや
田勢 修也
 全国中小企業団体中央会専務理事
たぬま  ちあき
田沼 千秋
 (株)グリーンハウス代表取締役
わかさ  かずはる
若狭 和治
 敷島紡績(株)取締役
わたなべ くにゆき
渡邊 邦幸
 日産自動車(株)常務
 
労働者代表
いけだ  いさむ
池田  勇
 全国建設労働組合総連合組織部長
いちかわ よしこ
市川 佳子
 JAM社会政策局長
くぼ  なおゆき
久保 直幸
 ゼンセン同盟常任中央執行委員
いしづ  ひろし
石津 博士
 NTT労働組合中央本部事務局長
ほり  みねお
堀  峰夫
 日本私鉄労働組合総連合会中央副執行委員長
とくも  まちこ
徳茂 万知子
 全日本自治団体労働組合健康福祉局長
なかむら よしお
中村 善雄
 日本労働組合総連合会雇用労働局長

 注) ○=分科会長


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