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平成14年12月2日

食品中のカドミウムに関する疫学調査結果及び実態調査結果の
JECFAへの提出について

 経緯等
(1) 国際的な食品規格を策定するFAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)は、現在、その下部組織である食品添加物・汚染物質部会(CCFAC)において、食品のカドミウムの基準値を検討している。
(2) CCFACにおいて基準値を検討するための基礎となるカドミウムのリスク評価は、FAO/WHO合同食品添加物専門家会合(JECFA)において実施されている。平成12年6月に開催されたJECFAにおいて、カドミウムのリスク評価を行うためのデータが不十分であるとして、各国に対し疫学調査及び摂取量を推定するための実態調査の実施が勧告された。
(3) この勧告を受け、我が国では、厚生労働省が中心となって疫学調査を、農林水産省が中心となって農作物などに含まれるカドミウムの実態調査を、それぞれ実施してきたところである。
(4) JECFAにおけるカドミウムのリスク評価(毒性評価及び食品からの摂取量の推定を行う暴露評価)は平成15年6月に行われることとなっていること、そのためのデータ提出期限は本年11月末であることから、今般、我が国における疫学調査及び農作物などの実態調査のうち、これまでにとりまとめたものについて結果をとりまとめ、JECFAに提出したところである。

 調査の概要
(1) 疫学調査
 カドミウムに関する疫学調査は、厚生科学研究費補助金事業「食品中に残留するカドミウムの健康影響評価について」等により実施されている。JECFAに提出する疫学調査結果は別添のとおりである。
(2) 農作物等の実態調査
 実態調査の対象品目等は以下のとおりである。
品目 調査年度 分析点数
9〜10 37,250
小麦 12〜14 381
大豆 12〜13 462
野菜 12〜13*a 656
10〜13*b 2,479
果実 12〜13*a 182
8〜 9*b 60
肉類 13〜14 270
軟体動物 7〜11 396
(注1) *a:収穫前(ほ場サンプリング)調査  *b:収穫後(市場流通品等)調査
(注2) 調査結果の概要は、農林水産省より公表

 今後の予定
 本年7月に開催された薬事・食品衛生審議会食品規格・毒性合同部会において、カドミウムの疫学調査結果や一日摂取量調査結果から、米に係るカドミウムに関する規格基準を緊急に改正する必要は考えらないが、本年度中に取りまとめられる研究成果を受けて、今後検討を行うとしている。
 今般、JECFAに対して、これまでに取りまとめられた研究成果を提出したところであるが、本年度中に更に研究成果が提出される予定であり、研究成果が全て揃った段階で、薬事・食品衛生審議会において本格的な検討を開始することになる。
 なお、薬事・食品衛生審議会食品規格・毒性合同部会については、本年12月末を目途に開催を予定しており、本年7月以降に提出された疫学調査結果及び実態調査結果を報告する予定である。


照会先:厚生労働省医薬局食品保健部
     中垣 基準課長
担当:太田、横田  (内線2484、2488)


<別添>

JECFAに提出した疫学調査結果の一覧


 本調査結果は調査研究1の5、6及び調査研究2の2、3を除き、本年7月に開催された薬事・食品衛生審議会食品規格・毒性合同部会において報告を行っている。

主任研究者:櫻井治彦 中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター所長

調査研究1
 尿中カドミウム及びカルシウム濃度と腎機能障害との関連についての大規模全国調査(分担研究者:池田正之 (財)京都工場保健会産業医学研究所理事)
 1.日本人一般人口におけるカドミウムによる腎機能障害の有無に関する大規模研究
 2.日本における非汚染地域女性住民の腎尿細管障害に関しての尿中カドミウム値の閾値の有無に関する研究
 3.日本人一般住民に対するカドミウム曝露源としての米飯の役割
 4.鉄欠乏状態とカドミウム負荷との関連の有無についての調査(短報)
 5.鉄欠乏状態とカドミウム負荷との関連の有無についての調査
 6.国内カドミウム汚染地域・非汚染地域住民における尿中β2-ミクログロブリン上昇に関しての尿中カドミウム値の閾値

調査研究2
 農村婦人における暫定週間耐容摂取量(PTWI)付近のカドミウム生涯摂取と腎機能障害及び骨粗鬆症との関連についての全国調査(分担研究者:香山不二雄 自治医科大学保健科学講座環境免疫毒性学部門教授)
 1.農村婦人におけるPTWI付近のカドミウム曝露と腎機能指標に対する影響
 2.血清フェリチンが低値の若年女性では食事からのカドミウム吸収量が増加する
 3.農村婦人における低〜中程度のカドミウム曝露と骨代謝指標

調査研究3
 人におけるカドミウムの動態に関する研究(分担研究者:大前和幸 慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室教授)
 1.現在の日本の食品におけるカドミウム含有量
 2.日本人青年女性の食事中カドミウム摂取後の糞、血液、尿中カドミウムの短期間変動
 3.日本人非喫煙若年女性ボランティアにおける食事中カドミウムの消化管からの取り込み


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