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平成14年10月4日
(照会先)
医薬局監視指導・麻薬対策課 木下(2763)
食品保健部新開発食品保健対策室 森田(2458)

「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領」について

 標記につきましては、平成14年8月28日に公表した「いわゆるダイエット用健康食品による健康被害の防止のための当面の対策について」において策定・公表することとしておりましたが、本日付けで各都道府県知事等に対し、別添のとおり通知しましたので、お知らせいたします。


医薬発第1004001号
平成14年10月 4日

都道府県知事
政令市市長
特別区区長
殿

厚生労働省医薬局長

健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領について

 いわゆるダイエット用健康食品による健康被害については、死亡を含む多くの健康被害事例が報告され、今後も、同様の事例の発生が懸念される。
 厚生労働省では、こうした状況を踏まえ、健康食品・無承認無許可医薬品による健康被害発生の未然防止のための体制整備及び健康被害発生時の被害拡大防止のための対応手順を定めた「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領」を策定することとし、策定までの当面の措置として、「いわゆるダイエット用健康食品による健康被害の防止に当たっての留意点について」(平成14年8月28日付医薬発第0828003号医薬局長通知)を発出したところである。
 今般、「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領」を別添のとおり取りまとめ、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定による技術的な助言として通知するので、よろしくお取り計らい願いたい。
 なお、平成14年8月28日付医薬発第0828003号医薬局長通知「いわゆるダイエット用健康食品による健康被害の防止に当たっての留意点について」は廃止する。



別添
健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領
第1 目的
 本要領は、今後のいわゆる健康食品(以下「健康食品」という。)又は健康食品と称する無承認無許可医薬品(以下「無承認無許可医薬品」という。)による健康被害発生の未然防止及び被害発生時の拡大防止を目的として、都道府県、政令市及び特別区(以下「都道府県等」という。)並びに厚生労働省における対応要領についてとりまとめたものである。
第2 健康被害防止に当たっての基本的な心得
 健康食品・無承認無許可医薬品(以下「健康食品等」という。)による健康被害の防止に当たっては、常に以下のことに心がける必要がある。
 1 被害発生の未然防止
 健康被害の防止に当たる者は、健康食品等について、日常からの情報収集・評価等を行うとともに、関係機関との連携を図り、住民への情報提供を行う等未然防止に向けた対策の実施に努めること。
 健康被害の発生のおそれの有無が直ちに判断できない場合は、常に最悪の事態を想定して、対策の立案・実施に努める必要があること。
 2 被害発生時の拡大防止
 調査の結果、苦情・相談等のあった健康食品等と健康被害の因果関係が疑われる場合は、被害拡大防止のため、製品名等の公表、流通防止のための措置、健康相談の実施及び医療機関等への受診勧奨を行う必要があること。
 また、発生した健康被害の因果関係が不明である場合又は入手した健康被害や安全性に関する情報が不確実であるため健康被害の拡大のおそれの有無が直ちに判断できない場合は、常に最悪の事態を想定して、対策の立案・実施に努める必要があること。
 3 食品担当部局と医薬品担当部局の密接な連携による迅速な対応
 健康食品等による健康被害発生時の対応では、原因となった健康食品等が食品か医薬品かの判断がつかないことにより、担当部局や対応の根拠法令が容易に決定できない事態が想定される。しかし、健康被害の拡大を防止するという目的のためには、迅速にできうる限りの対策を講じるとともに、食品及び医薬品担当部局が一体となって対応していく必要がある。特に、緊急時の対応においては、統括する立場にある者が積極的なリーダーシップを発揮することが重要であること。
 4 過去に行った対応の検証による継続的な対応の改善
 健康食品等による健康被害への対応については、常に過去に行った対応を検証して改善可能な点を検討し、その検討結果を踏まえて、以後の対応の改善に努めること。
第3 平常時の対応
 1 都道府県等
  (1) 情報収集における留意点
 食品衛生監視員及び薬事監視員のみならず、医師、薬剤師、保健師、管理栄養士等の保健所職員は、絶えず健康被害が発生していないか注意を払い、苦情相談や患者診断時においても健康被害発生の探知に努めること。
 また、各保健所は、管内の健康食品の製造業者等の実態把握に努めるとともに、当該業者に対して、健康被害の発生に関する情報を入手した際には保健所へ情報提供するよう要請すること。
  (2) 関係機関との連携
(1) 医療機関等との連携
 健康食品等による健康被害と疑われる情報が保健所に提供されるよう、地域の医師会、薬剤師会、栄養士会を通じて、医師、薬剤師、管理栄養士等(以下「医師等」という。)に以下の事項を周知・協力要請する等により、医療機関等と連携を図ること。
 保健所において健康食品等に関する苦情相談を受け付け、健康被害事例について別紙の様式により厚生労働省に対して報告していることの周知
 当該事例について、健康被害を受けたと疑われる者の同意を得た上で、当該健康被害を受けたと疑われる者、疑われる健康被害の原因、診察結果等に関する情報を保健所に対して提供する旨の要請
 保健所による健康食品等に起因する健康被害事例の調査に対する協力の要請
 保健所においてウの調査を担当する職員の氏名及び連絡先の周知
(2) 消費者行政機関との連携
 各保健所は、管内を管轄する消費生活センターと定期的に連絡会を開催すること等により、健康食品等に係る苦情等の実態について随時情報交換を行うとともに、健康被害を訴える相談者が保健所に相談されるよう連携を図ること。
  (3) 住民への情報提供等
(1) 情報提供及び普及啓発
 保健所等を通じて、住民に対し、健康食品等のリスク等について以下のような情報提供及び普及啓発に努めること。
  • 過去に発生した健康食品等の摂取によると疑われる健康被害の発生状況(製品名、症状、被害報告人数等)
  • 健康食品と称しているものの中には、原材料表示には記載されていない成分を含有している製品があること
  • 健康食品等を購入する際は、こうした被害の発生状況も踏まえ、潜在的なリスクが存在する場合があることを認識する必要があること
  • 健康食品等の摂取によると思われる症状があらわれた場合には、医療機関へ受診することが望ましいこと
(2) 苦情相談体制の周知
 健康食品等による健康被害に係る苦情相談を保健所で受け付けていることを住民に周知することにより、健康被害が疑われる場合の保健所に対する早期の申し出を促すこと。
  (4) 無承認無許可医薬品の監視指導
 無承認無許可医薬品については、無承認無許可医薬品監視指導マニュアル(平成13年3月27日医薬監麻発第333号)に基づき監視指導を行うこと。
 また、薬事法違反が疑われる場合は、薬事監視指導要領(平成12年3月29日医薬発第333号)により、立入検査、報告徴収等を行い、違反業者に対して必要な処分を実施するとともに、悪質な違反行為を行っていた場合は、違反業者の刑事告発等を行うこと。
 
 2 厚生労働省
  (1) 情報収集・評価
 健康食品等による健康被害発生防止のための厚生労働省における情報収集・評価に関しては、原則として、食中毒健康危機管理実施要領及び医薬品等健康危機管理実施要領により、常に必要な情報を迅速かつ的確に収集・評価する。
 その際、本要領による情報収集等の過程において、食品保健部において無承認無許可医薬品に関するものと思われる情報が収集された場合には医薬局監視指導・麻薬対策課に、医薬局(食品保健部を除く)において健康食品に関するものと思われる情報が収集された場合には食品保健部新開発食品保健対策室に対して情報提供する。
 また、国民生活センターで把握している健康食品等が原因と疑われる健康被害事例についても情報収集を行う。
  (2) 情報提供
(1) データベース等の構築
 国内外の健康食品等に関する健康被害事例、研究報告、文献、販売禁止等の規制に関する情報等の情報を収集・分析し、データベース化を図り、インターネット(ホームページ)を利用して国民及び医師等に情報提供する。
(2) 健康教育
 健やかな心と体の発達につながる健康的な食生活に関する指針の作成等を通じ、その正しい知識の普及を図る。
  (3) 資料の整理
 新開発食品保健対策室及び監視指導・麻薬対策課(以下「両課室」という。)は、健康食品等に係る対策の適時適切な見直しを継続的に行うため、対策決定の諸前提、判断理由等についての資料を適切に管理する。
第4 健康被害発生時の対応
 1 都道府県等
  (1) 相談受付
(1) 保健所における健康食品等に関する健康被害相談については、別紙の処理票の項目に従い、内容を十分に聴取すること。
(2) 患者が医師の診断を受けていた場合には、患者の同意を得て、その主治医に連絡して、病状その他の情況について十分に聴取すること。
(3) 患者が医師の診断を受けていない場合には、保健所医師もしくはその他の医師の診断を受けるよう勧奨すること。
  (2) 聞き取りや成分分析等の調査
(1) 健康食品等が原因と疑われる健康被害事例については、健康食品等に係る健康被害の特殊性にかんがみ、被害拡大防止のため、食品担当部局及び医薬品担当部局が同等に情報を共有し、両者が連携かつ並行して調査等を行うことが基本である。
 食品担当部局は、医師等や製造業者、販売業者等への聞き取りを行い、必要に応じて有害物質を分析すること。
 医薬品担当部局は、過去の類似事例に照らし、健康被害の原因が医薬品成分によると考えられる場合には、当該医薬品成分を分析すること。
(2) 調査に当たっての留意点
製品の入手
 健康被害を起こしたと疑われる者が実際に服用していた製品の入手に努めること。
製品の収去等
 食品衛生法に基づき行われる健康食品等の収去において、当該製品について医薬品成分の分析等を行う目的がある場合には、製造業者、販売業者等の同意を得て行う必要があること。
他の地域の保健所等との連携
 調査対象の健康食品等の製造業者や販売業者の所在地が保健所の管轄区域外や他の都道府県等にある場合、健康被害の相談を受けた都道府県等は、製造業者や販売業者の所在地の都道府県等に対して調査の協力を求める等、他の地域の保健所等との連携を図ること。
健康被害の原因と疑われる健康食品等を摂取した可能性のある者に対する調査
 必要に応じて、健康被害の原因と疑われる健康食品等の摂取者に対する聞き取り調査や販売業者に対する調査を通じて申し出等のあった者の他に、当該健康食品等を摂取した可能性のある者を把握して、調査等を行うこと。
成分分析
 原因調査における技術的検討に際しては、国及び都道府県等の研究機関(国立医薬品食品衛生研究所及び地方衛生研究所)間における情報交換、技術的助言・支援等を通じ実施することが望ましい。
 また、保健所において成分分析を行うことができない場合においては、都道府県、政令市又は特別区の衛生主管部局等が調整して実施すること。
 成分分析等の結果、食品もしくは医薬品であることが判明した場合には、各担当部局において一元的に対応することとするが、調査結果等については両部局が引き続き情報交換を行うこと。
(3) 判断に当たっての留意事項
 得られた結果に基づいて、科学的、総合的に判断することが必要であり、予見された見解に執着したり、虚報にまどわされたりして、誤った結果を出さないよう注意が必要であること。
 試験検査における分析結果が陰性となった場合でも、疫学的所見または症候的観察等の結果により原因が推定出来る場合があることに留意すること。
 原因の総合的判断に際しては、原因食品、原因物質の区分を明瞭に行うとともに、それが疫学的調査、試験検査その他により確認されたものか、推定されたものかを明瞭にしておくこと。
  (3) 厚生労働省への報告
(1) 別紙による報告
 保健所は、健康食品等に関する健康被害相談について、別紙により処理票を作成し、原則、調査の完了の都度、都道府県(保健所を設置する市又は特別区が処理する事務にあっては、市又は区。以下第4の1の(3)において同じ。)
 主管部局を通じて、「食品」として扱う場合は食品保健部新開発食品保健対策室まで、「医薬品」として扱う場合は医薬局監視指導・麻薬対策課まで報告すること。その際、以下の点に留意すること。ただし、重篤な健康被害が発生している等、緊急を要する場合は、調査が完了しない段階においても厚生労働省に報告すること。
 成分分析の結果については、「製造者等の調査結果」の欄に、分析項目及び結果を記載すること。
 「措置・結論・意見」の欄には、食中毒としての調査を行っている場合は、その旨を記載すること。
 調査の結果、届出の製品と健康被害との因果関係が明白に否定された場合を除き全て報告すること。報告しないものについては、「措置・結論・意見」の欄に、その旨を記載し、処理票を保管すること。
 報告の際には、表示見本、広告見本等の当該健康食品等の参考となる資料を添付すること。
(2) 食中毒として処理した場合の例外
 ただし、保健所において健康食品による食中毒として判断した場合は、(1)によらず、食中毒処理要領(昭和39年7月13日環発第214号)のIVの二の(二)のエに該当するものとして、当該要領の別記様式1により、1事件当たりの件数が1人であっても、直ちに都道府県衛生主管部局を通じて厚生労働省医薬局食品保健部監視安全課に報告すること。
  (4) 情報提供等被害拡大防止のための対応
 調査の結果、苦情・相談等のあった健康食品等と健康被害の因果関係が疑われる場合は、被害拡大防止のため、以下の措置をはじめとした必要な措置を講じること。
(1) 製品名等の公表
 因果関係が完全に解明されていなくとも、調査の結果からその可能性が疑われる場合等、健康被害拡大防止のために必要であると認めたときは、住民に対して注意を喚起するため、健康被害の原因と考えられる健康食品等の製品名等を公表すること。
(2) 流通防止のための措置
 また、製造業者、販売業者等に対する立入調査等を行い、流通実態の把握に努めること。
 関係法令に違反している健康食品等については、以下の点に留意し、当該製品の流通を防止するため、製造業者、販売業者等に対する指導や行政処分等必要な措置を講じること。
  • 原因食品と確定したもの又は原因食品と疑われることについて高度の蓋然性を認めるものに対しては、食品衛生法第22条の規定により、営業者に廃棄等の処置をとらせること。
  • 無承認無許可医薬品については、薬事法第70条第1項又は第2項の規定により、医薬品を業務上取り扱う者に対して、廃棄、回収等の処置をとらせること。
  (5) 健康被害者に対する支援
 健康被害の原因となった健康食品等による被害者が他にも保健所管内に多数存在するおそれがある場合は、以下の措置を講じること等により、健康被害者に対する支援に努めること。
(1) 健康相談の実施
 管内に専用の相談窓口を設けるなど、健康被害者に対する支援の体制を整えること。また、必要に応じて、健康被害の原因となった物質について、当該物質の特性や有害性等の最新の知見に基づく情報を相談者に対して提供すること。
(2) 医療機関等への受診勧奨(受診医療機関への情報提供を含む。)
 報道機関等を通じて、摂取者に対して医療機関への受診等を呼びかけるとともに、医療機関、薬局等に対して、健康被害の原因となった原因物質について、当該物質の特性や有害性等に関する最新の知見等の診療等に必要な情報を提供すること。
  (6) 刑事告発等
 悪質な法令違反事例など責任追及の必要があると考えられる時その他必要があると認められるときは、検察当局に告発を行うこと。
  (7) 記録の保存等
 事件の調査結果をもとにして、将来の資料として評価し、記録を十分完備、保存し、これらの事例の集積によって、今後の発生防止対策を講じること。
 
2 厚生労働省
  (1) 情報収集・評価
(1) 両課室を中心として、健康食品等に関連する健康被害情報等の広範な収集に努める。
(2) 都道府県等から報告された健康食品が原因と疑われる健康被害事例等について、食品として対応するか医薬品として対応するかの判断が他の都道府県等とは異なる場合、当該都道府県等に新開発食品保健対策室又は監視指導・麻薬対策課からその旨連絡するものとする。
(3) 新開発食品保健対策室は、販売に供するために輸入された健康食品等が原因として疑われる場合、検疫所業務管理室を通じて食品等輸入届出に関する情報を輸入食品監視支援システム等を使用して検疫所から収集するとともに、当該健康食品等の状況を都道府県等を通じて収集する。さらに、在外公館及び外務省等を通じて海外における被害の発生状況、当該食品の生産、加工、流通状況等の把握に努める。
(4) 両課室は、必要に応じて国立試験研究機関等の専門家からなる会議を開催し、個別事案について、疫学等の観点から、製品名等の公表などの必要性についての分析・評価に関する意見を聴取する。ただし、緊急時等において被害の拡大を防止する観点から行う情報提供についてはこの限りではない。
  (2) 関係課室との連携
 関係課室の課長等により構成される連絡会議を開催し、健康食品等に関する情報収集・評価及び情報の共有並びに健康被害防止のための対策の立案・調整を行う。
  (3) 必要な対策の検討
 保健所等から収集した情報により、健康被害の発生が疑われる場合は、早急に被害拡大防止のための対応を決定する。
 健康被害事例における対応策の立案に当たっては、連絡会議を開催するなど、関係部局が連携して事案に対処する。
 両課室は、必要に応じ、薬事・食品衛生審議会を開催し、必要な対策等について専門的見地からの意見を聞く。
  (4) 情報提供
(1) 都道府県等に対する情報提供
 両課室は、健康食品等が原因と疑われる健康被害事例に関する情報を都道府県等に提供するに当たっては、文書により行うとともに、電子媒体の活用等により、迅速な対応を図る。
(2) 医療機関等への情報提供
 両課室は、医療機関等に対して情報を提供するに場合には、都道府県等を介して行うほか、関係団体の協力を得て行う。
 さらに、緊急に情報提供が必要な場合には、インターネット上の厚生労働省ホームページ等の活用により迅速な提供を図る。
(3) 国民に対する情報提供
 両課室は、健康食品等が原因と疑われる健康被害事例に関する情報について、インターネット上の厚生労働省ホームページ、パンフレット等の各種広報媒体の活用及び必要に応じて報道機関に対する協力要請等により、国民や関係者に対し、広く情報を提供する。


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