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平成14年9月12日

医薬局安全対策課
芹川 内線2752
関野 内線2748

診療用放射線照射器具の安全管理の徹底について

 標記について、9月12日付けで都道府県・保健所設置市・特別区衛生主管部(局)長宛、安全対策課長・監視指導麻薬対策課長連名通知を発出したのでお知らせいたします。


(解説)

イリジウム192:放射線同位元素で放射線の1つのガンマ線などを出す。

用途:医療現場では主にがんの治療に使用される。

人体への影響:購入時より半年以上経過しており、測定時より約10%まで放射能量も減衰していることから、常時接触していない限り、健康被害等人体への影響はない。


医薬安発第0912001号
医薬監発第0912001号
平成14年9月12日



都道府県
保健所設置市
特別区



衛生主管部(局)長 殿
厚生労働省医薬局安全対策課長

厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長

診療用放射線照射器具の安全管理の徹底について

 病院又は診療所における診療用放射線の安全管理については、平成11年12月10日付け医薬安第153号・医薬監第205号、厚生省医薬安全局安全対策課長・監視指導課長連名通知等により御配慮していただいているところであるが、今般、札幌市内の医療機関において、別添のとおり診療用放射線照射器具(イリジウム)の紛失事故が発生した。
 今般の事故については、(1)診療用放射線照射器具の入手及び廃棄時における管理が徹底されていなかったこと、(2)管理マニュアル等は作成されていたものの十分活用されていなかったこと等が原因と考えられたため、診療用放射線照射器具を使用する病院又は診療所において、診療用放射線照射器具の入手、使用及び廃棄に関する管理マニュアルの定期的点検・改善、並びに放射線診療従事者をはじめ全職員への診療用放射線の安全管理に関する意識高揚に努め、管理マニュアル及びそれに基づく記録の作成・保存が徹底される体制づくりが重要と考えられる。
 ついては、貴職におかれては、貴管下病院又は診療所に対し、下記の点に特に留意のうえ診療用放射線照射器具の適正な管理について、指導の徹底を図られたい。


 病院又は診療所における、診療用放射線照射器具の使用に係る記帳については、医療法施行規則第30条の23第2項の規定により、診療用放射線照射器具の入手、使用及び廃棄に関し、型式及び個数並びに装備する放射性同位元素の種類及びベクレル単位をもって表した数量等を記載し、帳簿を1年毎に閉鎖し、その結果に関する記録を5年間保存することとなっているが、この趣旨について十分理解し遵守する他、数量を書面と照合する等確認作業を確実に行うこと。

 診療用放射線照射器具を紛失した場合その他事故の発生の際には、医療法施行規則第30条の25の規定により、保健所、警察署、消防署その他関係機関にただちにその旨を通報するとともに、放射線障害の防止に努めること。


(別添)

今回の診療用放射線照射器具紛失事故について
 平成14年5月28日、放射性廃棄物回収業者より診療用放射線照射器具であるイリジウム192(シンワイヤー)が1本(長さ2cm)足りない旨の連絡が病院にあり、直ちに患者をエックス線写真及びサーベイメーターで検査し、体内に残留していないことを確認した。また、管理区域、ごみ集積場及び病院内についてサーベイメーターを使って探索したが、発見できず、同日保健所、警察署等に通報した。しかしながら、消防署等への通報が翌5月29日となるなど、対応の遅れがみられた。6月3日、廃棄物最終処分場を捜索したが、発見できなかった。
 このイリジウムは、平成14年1月16日に病院が2cm10本、3cm10本及び5cm10本を販売業者より入手、平成14年3月11日から3月18日までの間、治療のため2cm照射器具を2本入れたチューブを2本、5cm照射器具を1本入れたチューブを7本使用していた。主な紛失の原因としては、治療時の状況及びその後の作業等の記録から、入手時、受領した担当医が、照射器具の本数を確認せずに貯蔵施設の貯蔵箱に入れたこと、また同年5月22日、廃棄の際担当医が本数を確認しなかったこと等によるものと考えられている。
 その後の保健所等の立入調査等により、医療法施行規則第30条の22に規定する放射線障害が発生する恐れのある場所の測定が、病院の敷地の境界及び放射線治療病室内の放射線量の測定においては実施されていなかったこと、また、この測定は1月を超えない毎に1回測定することとなっているが、平成13年8月以降、2月に1回程度の実施であったことが明らかとなっている。


(参考)

  1. 診療用放射線照射器具(治療用密封小線源)の使用許可、届出がなされている都道府県別医療機関数(総数282)

    北海道 12   石川   岡山
    青森   福井   広島 11
    岩手   山梨   山口
    宮城   長野   徳島
    秋田   岐阜   香川
    山形   静岡   愛媛
    福島   愛知 13   高知
    茨城   三重   福岡 11
    栃木   滋賀   佐賀
    群馬   京都   長崎
    埼玉   大阪 16   熊本
    千葉   兵庫 10   大分
    東京 28   奈良   宮崎
    神奈川 18   和歌山   鹿児島
    新潟   鳥取   沖縄
    富山   島根    

  2. 核種別使用施設数(カッコ内は総数282に対する割合)

    コバルト60 135 (47.9%)
    ストロンチウム90 34 (12.1%)
    ヨウ素125 ( 2.8%)
    セシウム137 62 (22.0%)
    イリジウム192 113 (40.1%)
    金198 66 (23.4%)
    ラジウム226 53 (18.8%)
    アメリシウム241 ( 0.7%)
    カリホルニウム252 ( 0.4%)

出典:「放射線利用統計2001」 文部科学省科学技術・学術政策局監修、(社)日本アイソトープ協会発行


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