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平成14年7月22日
連絡先:医薬局監視指導・麻薬対策課
江野(2762)

N−ニトロソ−フェンフルラミンの検出等について

1.今般、7月12日発表の肝障害関連3製品の全てからN−ニトロソ−フェンフルラミンが高い濃度で検出された。

2.せん之素こう嚢(せんのもとこうのう)及び茶素減肥(ちゃそげんぴ)で検出されたフェンフルラミンは、量的に見て、N−ニトロソ−フェンフルラミン合成時の不純物であったと考えられる。

3.7月12日発表の肝障害関連3製品には、いずれも、N−ニトロソ−フェンフルラミン高濃度に添加されており、その不純物たるフェンフルラミンについては、微量であることから検出されたケースと不検出のケースがあったものと推定できる。

4.N−ニトロソ−フェンフルラミンは、フェンフルラミンのニトロソ化合物であるが、その毒性及び薬理活性に関しては、現在のところ、研究情報が全くないと承知しており、肝障害の原因物質であるか不明であるばかりか、医薬品成分であるか、有害成分であるかについても判断する材料がない。しかしながら、N−ニトロソ−フェンフルラミンについては、以下の理由から、医薬品成分として取り扱い、これを含有する健康食品については、未承認医薬品とみなすことが適当である。

(1)人為的に添加された有害物質と推定すべきであること

  • N−ニトロソ−フェンフルラミンは、自然に存在する物質ではなく、人為的に合成された物質であること
  • N−ニトロソ−フェンフルラミンに関しては、食品の加工等の特定の使用目的も知られておらず、健康食品から検出されるのは不自然であること
  • 肝障害との因果関係を示すデーターがなくても、現時点では、今回の肝臓障害事例に共通する唯一の因子で危険因子とみなすべきであり、今回の健康被害の重篤さに鑑み、危険因子であることを否定する科学的根拠が出てこない限り、予防的視点から有害物質とみなし規制すべきであること

(2)薬効を期待して添加されたと推定されること

  • N−ニトロソ−フェンフルラミンは、フェンフルラミン(食欲抑制成分)の誘導体であり、類似の効果を期待して使用することも考えられること
  • 7月12日発表の肝障害関連3製品は、いずれもいわゆるダイエット食品であり、これらに共通して検出されたN−ニトロソ−フェンフルラミンは、ダイエット効果(食欲抑制効果)を期待して添加されたと推定されること

 以上を総合すると、N−ニトロソ−フェンフルラミンについては、医薬品成分であるフェンフルラミンと同様の取り扱いとするのが適当であること

5.「茶素減肥(ちゃそげんぴ)」(=事例3)の取り扱い

 「茶素減肥(ちゃそげんぴ)」については、12日の発表(事例3)では、医薬品成分不検出であったが、N−ニトロソ−フェンフルラミンが検出されていることから、未承認医薬品として取り扱うこととする

 なお、富山県において、微量のフェンフルラミン(約0.03%)が検出され未承認医薬品とされた「茶素減肥」と本品(=事例3)は、以下の理由により、同一製品と考えられる。

  • 富山県の製品についても、その後の国立医薬品食品衛生研究所の分析により、比較的高い濃度のN−ニトロソ−フェンフルラミン(約3%)が検出され、含有量の比較から、富山県において検出されたフェンフラミンは、N−ニトロソ−フェンフルラミン不純物と考えられること
  • フェンフルラミンの有無や検出量の差は、添加されたN−ニトロソ−フェンフルラミンの純度のバラツキの差程度の意味しかもたないこと
  • 国立医薬品食品衛生研究所のプロファイル分析においても、両者の類似性が高いこと
  • 両者のヒートシール、カプセルの外形も同一であること

6.総括

 N−ニトロソ−フェンフルラミンについては、その薬理作用や毒性に関する知見が現在のところ全くないにもかかわらず、同物質の有効性や安全性に関する試験研究を経ることなく、食品に添加し、その製品の販売等を行うことは認められるものではない。
 国としては、取り締まりの徹底を図り、今回問題となった製品の分析を更に進めるとともに、未知の新規化合物の探知技術の研究開発に努め、今回のような事例の早期発見、再発防止に全力をあげることとする。
 また、中国当局に対しても、再度、情報提供等を行うこととする。

構造式

N-ニトロソ-フェンフルラミン
(N-Nitroso-fenfluramine)
構造式

フェンフルラミン
(Fenfluramine)


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