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平成14年7月12日
医薬局 監視指導・麻薬対策課 江野(2762)
食品保健部 新開発食品保健対策室 森田(2458)

個人輸入した未承認医薬品等の服用後に発生した健康被害事例について

  1. 複数の医療機関から、中国から個人輸入した未承認医薬品等の服用後に発生した健康被害について情報提供があり、調査した結果、以下のとおりであった。

    <<事例1>>

    ・ 平成14年2月から5月頃、60代の女性2名が、作用として減肥を標ぼうする中国から個人輸入した未承認医薬品(製品名:御芝堂減肥こう嚢(おんしどうげんぴこうのう) 、発売元:広州御芝堂保健制品有限公司)を服用した。
     注)こう:月交(にくづきに交)

    ・ 服用後1ヶ月程度で、全身倦怠感、嘔気、食欲低下の症状が現れ、臨床検査の結果、肝機能値の異常が認められた。

    ・ その後、1名は急性重症肝不全により約2ヶ月後に死亡し、もう1名も入院加療を要した。

    ・ ウイルス抗体検査、その他の臨床検査をした結果から、肝機能障害は当該製品によるものと疑われた。なお、製品に標ぼうされている成分による肝機能障害は、現在までに報告されておらず、実際に服用していた製品を入手し分析を行ったものの、肝機能障害の原因となる物質は判明しなかった。

    <<事例2>>

    ・ 平成14年3月頃、50代の女性が、痩身の目的で、中国から個人輸入した未承認医薬品(製品名:せん之素こう嚢(せんのもとこうのう)、発売元:広東恵州市恵宝医薬保健品有限公司)を服用した。
     注)せん:糸千(いとへんに千) こう:月交(にくづきに交)

    ・ 服用後1ヶ月程度で、黄疸が現れ、臨床検査の結果、肝機能値に異常が認められ、入院加療を要した。

    ・ 製品に標ぼうされている成分による肝障害は、現在までに報告されておらず、実際に服用していた製品を入手し分析を行ったものの、肝機能障害の原因となる物質は判明しなかった。

    <<参考>>

    ・ せん之素こう嚢(せんのもとこうのう)については、国立医薬品食品衛生研究所の分析結果から、乾燥甲状腺末及びフェンフルラミンが含まれていたことが明らかとなっている。また、同製品による健康被害事例(甲状腺機能亢進症)がみられていることから、現在までに、平成12年12月及び平成13年6月の二度にわたり注意喚起を行い、併せて、都道府県に対し必要な監視指導を要請している。
     注)せん:糸千(いとへんに千) こう:月交(にくづきに交)

    ・ 平成13年4月から9月にかけて服用した30代〜60代の女性7名について、同様の報告(服用後およそ1ヶ月〜3ヶ月の間に、食欲不振、黄疸、全身倦怠感嘔気、褐色尿などの症状が現れ受診。臨床検査の結果、肝機能値に異常が認められた。)がされている。

    <<事例3>>

    ・ 中国から輸入されたハーブ類を原料とするカプセル形態の痩身用健康食品の摂取後に、肝機能障害が発生し、生体肝移植手術を行ったとの情報提供があった。

    ・ 実際に飲食に供していた製品を入手し分析を行ったものの、肝機能障害の原因となる物質は検出されておらず、また、現在までのところ、当該製品と肝機能障害との因果関係を裏付ける情報は得られていない。


  2. これらの製品を服用している方は、肝機能障害を発症する可能性もあるので、症状があらわれた場合には、すぐに服用を中止し、医師の診察を受ける必要がある。また、こうした製品の服用が原因と疑われる場合には、最寄りの保健所にも相談いただきたい。

  3. このような事例を踏まえ、未承認医薬品やいわゆる健康食品の安易な個人輸入に対して、改めて注意を喚起するものである。

  4. 未承認医薬品については、個人輸入と称した場合でも、その形態によっては、無許可販売等の薬事法違反のおそれがあり、各都道府県に対し、この事例を通報し、監視指導を行うよう要請した。

  5. いわゆる健康食品については、その安全確保を図り、健康被害情報を得た場合には所管の保健所に連絡するよう、関係団体を通じて関係業者等に要請するとともに、都道府県等に対しては、当該情報の周知を図った。


(参考)医薬品と判断される標ぼうの内容

  標ぼうされている作用・原材料
御芝堂減肥こう嚢(おんしどうげんぴこうのう)
注)こう:月交(にくづきに交)
減肥(作用)
せん之素こう嚢(せんのもとこうのう)
注)せん:糸千(いとへんに千) こう:月交(にくづきに交)
葛根(原材料)


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