平成13年4月より、遺伝子組換え食品の表示制度が開始されていますが、厚生労働省では、平成13年12月から平成14年3月にかけて、国立医薬品食品衛生研究所において、加工食品中に含まれる遺伝子組換え食品の検出調査を行い、その結果が報告されましたので、お知らせいたします。
遺伝子組換え食品の表示が義務づけられている大豆、とうもろこしを用いた加工食品73商品を無作為にサンプリングし、加工食品中に含まれる遺伝子組換え食品の検出調査を行った結果、大豆加工食品では47商品中13商品(27.7%)、とうもろこし加工食品では26商品中10商品(38.5%)から遺伝子組換え食品が検出されました。なお、遺伝子組換え食品が検出された23商品はいずれも遺伝子組換え食品の混入率は5%未満であり、表示違反はありませんでした。
注1) | 現行の制度では、遺伝子組換え食品の混入率が5%未満のものについては、遺伝子組換え食品に係る表示の義務は課されていません。 |
<検査結果>
商品数 | 0% (注1) |
5%未満 (注2) |
5%以上 | 測定不能 (注3) |
|
大豆 | 47商品 | 31商品 66.0% |
13商品 27.7% |
0商品 0% |
3商品 6.3% |
とうもろこし | 26商品 | 10商品 38.5% |
10商品 38.5% |
0商品 0% |
6商品 23.0% |
注1) | 「0%」とは、遺伝子組換え食品が混入していないものである。 |
注2) | 「5%未満」は、遺伝子組換え食品が混入していたが、定量検査においては、5%を越えなかったものである。 |
注3) | 「測定不能」は、遺伝子そのものが抽出されなかったために、測定出来なかったものである。 |
別添 |
平成13年4月より、遺伝子組換え食品の表示制度が開始されている。
厚生労働省では、国民の遺伝子組換え食品の安全性に関する関心の高まりに対応して、加工食品中に含まれる遺伝子組換え農作物を確認する必要があることから、平成13年12月より、厚生労働省の委託事業として、国立医薬品食品衛生研究所において、加工食品中の安全性審査済みの遺伝子組換え農作物由来のDNAの有無、加工食品中の組換えDNAの定性的検知、遺伝子組換え農作物の混入率(参考値)及び製造・加工工程の違いによる農作物由来の内在性遺伝子(注1)の検知効率の差について調査を行ってきたが、今般、この結果がとりまとめられた。
(注1) | 内在性遺伝子とは、新たに組み込まれた遺伝子ではなく、個々の農作物に含まれる種特異的な遺伝子のことである。 |
1.調査対象
食品衛生法及びJAS法において遺伝子組換えに関する表示が義務付けられている大豆及びとうもろこしを主な原材料とする加工食品24食品群から、無作為に商品を抽出し、調査対象とした。
内訳は、大豆加工食品15品目、47商品及びとうもろこし加工食品9品目、26商品の合計73商品である(表1)。
2.調査結果
(1)加工食品中の組換えDNAの定性的検知と遺伝子組換え農作物の混入率(参考値)
遺伝子組換え農作物由来のDNAが定性的に検知された割合は、大豆加工食品では47商品中13商品(27.7%)、とうもろこし加工食品では26商品中10商品(38.5%)であった。
また、定量PCR法を用いた遺伝子組換え農作物の定量分析技術は、製品の原料としての穀物又はその粉砕物に対してのみ確立されていることから、本調査においては、参考として、これら加工食品(73商品)における組換え農作物混入率の算出を行った結果、それぞれに使用された遺伝子組換え大豆及び遺伝子組換えとうもろこしの混入率は、全て5%未満と推定された。(表1)
(注2) | 現在の表示制度では、意図せざる混入による遺伝子組換え農作物の混入率が5%未満のものについては、「遺伝子組換え」の表示は不要とされている。 |
(2)製造・加工工程の違いによる農作物由来の内在性遺伝子(注1)の検知の差
調査した全73商品のうち、DNAが抽出精製できなかった商品が大豆加工食品で1商品(茶碗蒸し)、とうもろこし加工食品で4商品(スナック菓子1,コーンスターチ2、シリアル2、シリアル4)見られ、同一品目を原材料に含む加工食品においても、商品ごとのDNA抽出の効率に差が出ることが示された。また、DNAの抽出精製は可能でも、内在性遺伝子が定性的に検知されない商品が大豆加工食品2検体(大豆水煮3,大豆炒り豆2)、とうもろこし加工食品2検体(シリアル1,菓子5)の合計4検体あった。これらについて、DNA抽出法等を改良し定量分析を行ったが、内在性遺伝子は検出できなかった。
また、DNAの抽出が不可能であったもの及び内在性遺伝子の定性的検知が不可能であったものは、共に組換えられたDNAの測定は不可能であった。
食品ごとにDNA抽出や内在性遺伝子の検出に差が生じる要因の一つとして、加熱ならびに加圧といった製造・加工工程の違いが考えられた。
(3)表示との関係
遺伝子組換え農作物由来のDNAが検知された製品(大豆13商品、とうもろこし10商品)の表示を確認したところ、遺伝子組換え大豆及びとうもろこし「不使用」とされていたものは、それぞれ10商品及び8商品であった。しかし、今回の定量分析の結果から推定された混入率は、2.の製造・加工工程の違いによる農作物由来の内在性遺伝子の検知効率の差を考慮しても、遺伝子組換え農作物の意図せざる混入の目安である5%を上回らないと考えられた。
なお、今後、定量分析による加工食品中の混入率測定をどの程度まで適用できるか明らかにするとともに、検知法の改良を加えていく予定としている。
(照会先) 医薬局食品保健部企画課 吉岡企画課長 担当:今村(内線2448) 中田(内線2452) TEL :03-5253-1111(代表)
商品分類 | 加工食品 | 対象 農作物 |
製品 | 組換えられた DNA検出の有無 |
DNA定量分析 GMO含有率(%)(参考値) |
表示内容 |
1 | 豆腐・油揚げ類 | 大豆 | きぬごしとうふ | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り |
もめんとうふ | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
油揚げ1 | 無 | 0 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
油揚げ2 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
2 | 凍豆腐、おから及びゆば | 大豆 | おから | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り |
ゆば | 無 | 0 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
凍り豆腐 | 無 | 0 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
3 4 |
納豆 豆乳類 |
大豆 大豆 |
納豆1 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り |
調整豆乳1 | 無 | 0 | 表示なし | |||
豆乳 | 無 | 0 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
調整豆乳2 | 無 | 0 | 表示なし | |||
5 | みそ | 大豆 | みそ1 | 無 | 0 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り |
みそ2 | 無 | 0 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
みそ3 | 無 | 0 | 表示なし | |||
6 | 大豆水煮 (水煮大豆) (味付け大豆) |
大豆 | 大豆水煮1 | 無 | 0 | 表示なし |
大豆水煮2 | 無 | 0 | 表示なし | |||
大豆水煮3 | 測定不能※ | 測定不能※ | 表示なし | |||
味付け大豆1 | 無 | 0 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
味付け大豆2 | 無 | 0 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
味付け大豆3 | 無 | 0 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
7 | 大豆缶詰及び大豆瓶詰 | 大豆 | 大豆缶詰1 | 無 | 0 | 表示なし |
大豆缶詰2 | 無 | 0 | 表示なし | |||
大豆缶詰3 | 無 | 0 | 表示なし | |||
8 | きな粉 | 大豆 | きな粉1 | 無 | 0 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り |
きな粉2 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
きな粉3 | 無 | 0 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
9 | 大豆いり豆 | 大豆 | 大豆炒り豆1 | 無 | 0 | 表示なし |
大豆炒り豆2 | 測定不能※ | 測定不能※ | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
10 | 第1号から第9号までに掲げるものを主な原材料とするもの (魚肉ソーセージ) (脂肪大豆) |
大豆 | 即せきみそ汁 | 無 | 0 | 表示なし |
魚肉ソーセージ | 有 | 5%未満 | 表示なし | |||
練り製品 | 無 | 0 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
茶わんむし | 測定不能 | 測定不能 | 表示なし | |||
11 | 大豆(調理用)を主な原材料とするもの | 大豆 | 加工雑穀1 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り |
加工雑穀2 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
加工雑穀3 | 無 | 0 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
12 | 大豆粉を主な原材料とするもの | 大豆 | スプレット | 有 | 5%未満 | 表示なし |
菓子1 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
菓子2 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換え大豆不使用と表示有り | |||
13 | 大豆たん白を主な原材料とするもの | 大豆 | 冷凍ラーメン | 無 | 0 | 表示なし |
菓子、栄養調整食品 | 有 | 5%未満 | 表示なし | |||
和生菓子 | 無 | 0 | 表示なし | |||
14 | 枝豆を主な原材料とするもの | 枝豆 | 乾燥スープ | 無 | 0 | 表示なし |
きな粉4 | 無 | 0 | 表示なし | |||
冷凍枝豆 | 無 | 0 | 表示なし | |||
15 | 大豆もやしを主な原材料とするもの | 大豆もやし | 大豆もやししょうゆ漬け1 | 無 | 0 | 表示なし |
大豆もやししょうゆ漬け2 | 無 | 0 | 表示なし | |||
大豆もやししょうゆ漬け3 | 無 | 0 | 表示なし | |||
16 | コーンスナック菓子 | とうもろこし | スナック菓子1 | 測定不能 | 測定不能 | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り |
スナック菓子2 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り | |||
スナック菓子3 | 無 | 0 | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り | |||
スナック菓子4 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り | |||
スナック菓子5 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り | |||
17 | コーンスターチ | とうもろこし | コーンスターチ1 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り |
コーンスターチ2 | 測定不能 | 測定不能 | 表示なし | |||
コーンスターチ3 | 無 | 0 | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り | |||
18 | ポップコーン | とうもろこし | ポップコーン | 無 | 0 | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り |
19 | 冷凍とうもろこし | とうもろこし | 冷凍とうもろこし1 | 無 | 0 | 表示なし |
冷凍とうもろこし2 | 無 | 0 | 表示なし | |||
冷凍とうもろこし3 | 無 | 0 | 表示なし | |||
20 | とうもろこし缶詰及びとうもろこし瓶詰 | とうもろこし | とうもろこし缶詰1 | 無 | 0 | 表示なし |
とうもろこし缶詰2 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り | |||
とうもろこし缶詰3 | 無 | 0 | 表示なし | |||
21 | コーンフラワーを主な原材料とするもの | とうもろこし | シリアル1 | 測定不能※ | 測定不能※ | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り |
菓子3 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り | |||
菓子4 | 無 | 0 | 表示なし | |||
22 | コーングリッツを主な原材料とするもの | とうもろこし | シリアル2 | 測定不能 | 測定不能 | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り |
シリアル3 | 無 | 0 | 表示なし | |||
シリアル4 | 測定不能 | 測定不能 | 表示なし | |||
23 | とうもろこし(調理用)を主な原材料とするもの | とうもろこし | タコス | 有 | 5%未満 | 表示なし |
スナック菓子6 | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り | |||
24 | 第16号から第20号までに掲げるものを主な原材料とするもの | とうもろこし | 生ポタージュスープ | 有 | 5%未満 | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り |
菓子5 | 測定不能※ | 測定不能※ | 遺伝子組換えとうもろこし不使用と表示有り | |||
乾燥スープ(ポタージュ) | 有 | 5%未満 | 表示なし |
注1) | 加工食品中の組換えられたDNAを定量する公定法は、確立されておらず、DNA定量分析結果の数値は参考値である。 |
注2) | DNA定量分析の結果、5%未満と分析されたものにについては、「遺伝子組換え」の表示は不要とされている。 |
注3) | 測定不能は、DNAの精製抽出及び内在性遺伝子の検出が不可能であったもの。 |
注4) | 測定不能※は、DNAの精製抽出は可能であったが、内在性遺伝子の検出が不可能であったもの。 |