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担 当 |
職業能力開発局総務課
課長 草野 隆彦
職業能力開発局総務課基盤整備室
室長補佐 千葉登志雄
電話 03(5253)1111(内線5601)
03(3595)3377 |
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・ | | 平成12年度に正社員に対してOFF-JTを実施した企業は64.9%、計画的なOJTを実施した企業は41.6% |
・ | | 教育方針については、「全体的な底上げ教育」を重視する企業は56.6%、「選抜教育」を重視する企業は39.1% |
・ | | 能力開発責任主体は、「企業の責任」とする企業が75.6%、「従業員個人の責任」が20.1% |
・ | | 自己啓発を行った者は37.3%、自己啓発の問題点は「忙しくて自己啓発の余裕がない」が43.0%、「費用がかかりすぎる」が25.9% |
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−平成13年度 能力開発基本調査 結果概要−
I 調査の概要
1 |
「能力開発基本調査」は、我が国の企業、労働者の能力開発の実態を明らかにすることを目的としており、平成13年度は「教育訓練」を中心に調査した。 |
2 |
調査は「企業調査」「従業員調査」からなり、前者は「教育訓練の体制」、「教育訓練の方針と戦略」等、後者は「OFF-JTの受講状況」、「自己啓発の実施状況」等について調査した。 |
3 |
調査の対象は、全国・全業種の従業員規模30人以上の企業から無作為に抽出した企業1万社とその従業員3万人であり、回答を得たのは企業2,176社(有効回収率21.8%)及び従業員5,658人(有効回収率18.9%)である。 |
II 調査結果の概要(骨子)
1 企業調査
(1)教育訓練の体制
- (1) 研修内容の企画・開発方法(図1)
- 研修内容の企画・開発(それぞれの従業員に受けさせるべき具体的な研修内容の決定)を「すべて自社内で」行っている企業は48.5%、「外部機関の協力を得て」行っている企業は47.5%で、大きく内部主導型と外部機関依存型の2つに分かれている。
- (2) 外部機関への依存程度(図2)
- 外部機関の協力を得て研修内容の企画・開発を行っている企業では、「ほとんど任せている」企業が30.8%で最も多く、ついで、「一部を任せている」(26.9%)、「アドバイスを受ける程度」(22.2%)が続いており、依存割合は企業ごとにばらついている。
- (3) 教育訓練ニーズの把握方法(図3)
- 9割強の企業は教育訓練ニ−ズを何らかの方法で把握しており、「経営トップの要請」(50.2%)や「経営戦略上の要請」(47.4%)が高い値を示しているが、「自己申告等での従業員の要望」(23.5%)等、従業員側の要請から把握している企業もみられる(複数回答)。
- (4) 教育訓練体系の作成状況(図4)
- 従業員が階層別・部門別に受講すべき教育訓練の全体像を示した教育訓練(研修)体系を作成している企業は31.8%で、うち6割弱は教育訓練体系を従業員に公開している。
(2)教育訓練の実施
- (1) OFF-JTの実施状況(図5)
- 平成12年度に従業員(正社員)に対して、OFF-JT(通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練・研修)を「実施した」企業は64.9%、「実施しなかった」企業は34.5%であり、約3分の2の企業がOFF-JTを実施している。
企業規模別にみると、概ね規模が小さくなるにつれて実施率は低くなっており、「300人以上」の企業では90.8%であるのに対して、「30人未満」の企業では56.1%となっている。
業種別にみると、「電気、ガス、水道、熱供給業」(79.2%)をはじめとして、「金融・保険・不動産業」(75.8%)及び「建設業」(75.8%)で高い反面、「運輸・通信業」(55.0%)では低くなっている。
- (注)
厚生労働省「民間教育訓練実態調査」によると、平成9年の実施率は51.3%となっており、本調査の64.9%より低い値を示している。しかしながら、「民間教育訓練実態調査」は調査対象が事業所であるのに対し、本調査は企業である等、両者においては調査設計が異なっており、単純に比較することはできない。
- (2) 計画的なOJTの実施状況(図6)
- 平成12年度に従業員(正社員)に対して、計画的なOJT(注)を「実施した」企業は41.6%、「実施しなかった」企業は54.0%であり、約5分の2の企業が計画的なOJTを実施している。
- (注)
「計画的なOJT」とは、日常の業務につきながら行われる教育訓練のことをいい、教育訓練に関する計画書を作成する等して教育担当者、対象者、期間、内容等を具体的に定めて段階的・継続的に実施することをいう。
企業規模別にみると、規模が小さくなるにつれて実施率は低くなっており、「300人以上」の企業では71.9%であるのに対して、「30人未満」の企業では30.7%となっている。
業種別にみると、「金融・保険・不動産業」(54.8%)で実施率が高い反面、「卸売・小売業、飲食店」(36.2%)及び「運輸・通信業」(33.8%)では低くなっている。
- (注)
厚生労働省「民間教育訓練実態調査」によると、平成10年の実施率は40.3%となっており、本調査の41.6%より低い値を示している。しかしながら、「民間教育訓練実態調査」は調査対象が事業所であるのに対し、本調査は企業である等、両者においては調査設計が異なっており、単純に比較することはできない。
(3)自己啓発に対する支援方法(図7)
従業員の自己啓発を促進するために「受講料等の金銭的な援助(60.5%)」を実施している企業は多く、それに加えて、「社外の研修コ−ス、通信教育コ−ス、図書等に関する情報提供(46.3%)」や「就業時間の配慮(33.9%)」をしている企業も多い(複数回答)。
(4)教育訓練の方針と戦略
- (1) 「選抜教育」か「底上げ教育」か(図8)
- 教育方針については、従業員全体の能力レベルを高めることをねらいとした「全体的な底上げ教育」を重視する方針と、教育投資価値のある従業員を対象とする「選抜教育」を重視する方針の2つに大別される。
これまでの教育方針については、「全体的な底上げ教育」を重視する企業が全体の56.6%(重視する18.0%、重視するに近い38.6%)、「選抜教育」を重視する企業は39.1%(重視する9.8%、重視するに近い29.3%)であり、「全体的な底上げ教育」を重視する企業が多い。
今後の教育方針についてをみても、「全体的な底上げ教育」を重視する方が多いが、規模が小さい企業では「全体的な底上げ教育」を重視する企業が増える反面、「300人以上」の企業では「選抜教育」への変更企業が多くなっている。
- (2) 「本社主導」か「事業部・事業所主導」か(図9)
- 教育訓練の主導主体に対する考え方は、「本社主導」と「事業部・事業所主導」とに大別される。
これまでの教育訓練の主導主体については、「本社主導」を重視する企業は61.9%(重視する28.0%、重視するに近い33.9%)、「事業部・事業所主導」を重視する企業は31.1%(重視する 8.2%、重視するに近い22.9%)である。
今後の教育訓練の主導主体については、これまでと同様「本社主導」の教育を重視する企業が多いもののその割合は低下しており、現場のニーズに合わせた教育を行おうとする企業が多くなっている。
- (3) 「社内」か「外部委託」か(図10)
- これまでの教育訓練実施方法については、46.2%の企業が研修を社内で実施している(実施する17.1%、実施するに近い29.1%)のに対し、外部委託・アウトソーシングを進めてきた企業も48.4%あり(進める16.7%、進めるに近い31.7%)、ほぼ実施方法は均衡している。
今後も、教育実施方法に大きな変更は見られない。
- (4) 「企業責任」か「従業員個人責任」か(図11)
- これまでの能力開発責任主体については、能力開発を「企業の責任」とする企業が75.6%(企業の責任である27.5%、企業の責任であるに近い48.1%)であるのに対し「従業員個人の責任」とする企業は20.1%(個人である3.9%、個人であるに近い16.2%)に止まっている。
今後の能力開発責任主体については、「企業の責任」とする企業が69.4%(企業の責任である27.7%、企業の責任であるに近い41.7%)であるのに対し「従業員個人の責任」とする企業は26.6%(個人である5.7%、個人であるに近い20.9%)であり、今後能力開発における自己責任を重視しようとする企業が多くなっている。
2 従業員調査
(1)OFF-JTの受講状況(図12)
平成12年度にOFF-JTを受講した者について、受講したOFF-JTの内容をみると(複数回答)、「職能別研修」を受講した者の割合が最も高く41.2%であり、「目的・課題別研修」(34.2%)、「資格取得研修」(28.6%)、「階層別研修」(21.3%)、「OA、コンピュータ関連の研修」(19.6%)と続いている。
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(注)
階層別研修: |
新任課長研修、新入社員研修等、階層別に行われる研修 |
職能別研修: |
経理、マーケティング、生産管理、安全衛生、CAD/CAM等、仕事に関係した専門能力を養成するための研修 |
目的別・課題別研修: |
プレゼンテーションの方法、国際業務、ISO、ビジネスマナー、職種転換研修等、部門を問わずに特定の目的・課題に対応して行われる研修 |
資格取得研修: |
国家資格、技能検定、業界団体資格、民間資格、社内検定等のために行われる研修 |
(2)自己啓発の実施状況
- (1) 自己啓発を行った者の割合(図13)
- 平成12年度に自己啓発を行った者の割合は37.3%であった。
企業規模別にみると、規模が小さい企業に勤務している従業員ほど自己啓発を行った者の割合は低く、「300人以上」の企業に勤務する従業員では53.5%であるのに対し、「30人未満」は31.0%となっている。
業種別にみると、「金融・保険・不動産業」における従業員では56.7%が自己啓発を行っているが、「運輸・通信業」は29.5%となっている。
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(注)
厚生労働省「民間教育訓練実態調査」によると、平成10年の実施率は56.4%となっており、本調査の37.3%より高い値を示している。しかしながら、両者においては調査設計が異なっており、単純に比較することはできない。
- (2) 自己啓発の方法(図14)
- 自己啓発の方法(複数回答)では、「ラジオ・テレビ・専門書・パソコン通信等による自学・自習」をあげた者の割合が最も高く、41.0%となっている。次いで、「民間教育訓練機関の講習会・セミナーへの参加」(24.1%)、「社外の勉強会・研究会への参加」(21.4%)、「社内の自主的な勉強会・研究会への参加」(18.5%)、「通信教育の受講」(15.3%)となっている。
- (3) 自己啓発にあたっての問題点(図15)
- 自己啓発にあたっての問題点(複数回答)は、「忙しくて自己啓発の余裕がない」をあげた者の割合が最も高く43.0%であり、次いで「費用がかかりすぎる」(25.9%)、「休暇取得・早退等が会社の都合でできない」(18.3%)となっている。
(3)会社の教育訓練についての希望・要望(図16)
会社の教育訓練についての希望・要望をみると(複数回答)、「社外に通用する能力を身につける研修の充実」をあげた者の割合が最も高く32.3%であり、次いで「研修や自己啓発に関する時間的配慮」(31.8%)、「研修や自己啓発に関する金銭的支援の充実」(27.1%)、「職能別研修の充実」(25.0%)、「企業が求める能力要件の明確化」(23.4%)となっている。
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