報道発表資料  トピックス  厚生労働省ホームページ

平成14年5月

新人口推計の厚生年金・国民年金への財政影響について

1.試算の位置付け

○ 本年1月に新人口推計(「日本の将来推計人口」国立社会保障・人口問題研究所)が公表され、出生率の低下、平均寿命の伸びなど、年金制度の基礎となる人口の将来見通しに大きな変化があることが示された。

○ このため、次期制度改正の検討を進めるにあたり新人口推計の年金財政への影響を明らかにすることを目的として、平成11年の財政再計算を基に、平成12年度末の被保険者数等の実績を初期データとして、将来推計人口を前回人口推計ベースから新人口推計ベースに機械的に置き換えた試算を行った。

2.試算の前提
○ 将来推計人口 平成14年将来推計人口

(平成14年将来人口推計の前提の概要)

○ 試算のその他の主な前提

3.試算の結果及び留意点

(1)試算結果

 平成37(2025)年度以降の最終保険料(率)(総報酬ベース)は、下記のとおりである。

  平成11年財政
再計算ベース
高位推計 中位推計 低位推計
国庫負担割合1/3        
厚生年金 21.6%(100) 22.8%(106) 24.8%(115) 27.5%(127)
国民年金
(平成11年度価格)
25,200円(100) 27,100円(108) 29,600円(117) 33,000円(131)
国庫負担割合1/2        
厚生年金 19.8%(100) 20.6%(104) 22.4%(113) 24.8%(125)
国民年金
(平成11年度価格)
18,500円(100) 19,900円(108) 21,600円(117) 24,000円(130)
注1: ( )内は平成11年財政再計算ベースを100とした指数である。
注2: 現在の保険料(率)は、厚生年金13.58%(総報酬ベース)、国民年金13,300円である。

(1) 財政影響を最終保険料(率)でみた場合、平成11年財政再計算ベースと比較して高位推計では0.5割程度、中位推計では1.5割程度、低位推計では2.5〜3割程度の増加となっている。

(2) この主な要因は
 高位推計では、寿命の伸びの影響によるものであり、
 中位推計では、寿命の伸びの影響が0.5割程度、少子化の影響が1割程度
 低位推計では、寿命の伸びの影響が0.5割程度、少子化の影響が2〜2.5割程度
となっている。

(3) 具体的な影響は、当面、寿命の伸びに伴うものが生じ、少子化の影響は、概ね平成32(2020)年以降の長期の将来に向けて生じる。

(2)留意点
(1) 今回の新人口推計における少子高齢化は、欧米主要国と比較しても著しい程度で一層進行するものであり、将来の日本の社会経済全体に大きな影響を及ぼすので、従来にも増した本格的な少子化対策を推進することが求められており、厚生労働大臣の下で「少子化社会を考える懇談会」を発足させている。

(2) 今回の年金制度の改革において、新人口推計をどう受けとめるかについては、今後の少子化対策の検討を見つつ、国民に開かれた形で幅広い観点に立った十分な検討が必要である。

(3) その際、雇用政策と相まって高齢者や女性など支え手を増やす方策を検討することが重要である。

主要先進国の65歳以上人口割合:1950〜2050年

グラフ

出典: 諸外国
日本
UN,World Population Prospects 2000
総務省統計局「国勢調査」及び国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」


主要先進国の合計特殊出生率:1950〜2000年

グラフ

出典: 諸外国
日本
UN,Demographic yearbook及びCouncil of Europe,Recent demographic developments in Europe and North America
厚生労働省大臣官房統計情報部「人口動態統計」



(参考)補足説明


  1. 今回の試算では、最終保険料(率)に到達するまでの間の保険料(率)については、便宜的に、平成11年財政再計算時の保険料引上げスケジュールに基づいており、具体的には下表のとおりである。
     しかしながら、具体的な保険料(率)の引上げのスケジュール及び内容については、次期年金制度改正に向けた議論の中でこれから検討が進められていくものであり、今回の試算における保険料(率)の引上げ方自体が議論の対象となるものである。

  2. 平成15年4月より、厚生年金は、主として月給のみを対象として保険料の賦課及び給付額の計算を行う標準報酬制から、月給とボーナスを区別することなく保険料の賦課及び給付額の計算を行う総報酬制に移行することが、平成12年改正法により法定されている。
     具体的には、標準報酬制における保険料17.35%は、平成15年4月時点で、保険料収入総額が変わらないように、総報酬制における保険料13.58%に転換され、それ以降は総報酬に対して保険料が賦課されることとなるので、標準報酬制における保険料率は、制度として存在しない。

厚生年金 保険料率の年次推移(総報酬ベース及び標準報酬ベース)

表


国民年金 保険料月額の年次推移

  平成11年財政再計算 新人口推計対応試算
国庫負担割合1/3 国庫負担割合1/2 国庫負担割合1/3 国庫負担割合1/2
 
平成14年度 13,090 13,090 13,300 13,300
平成17年度 13,200 10,000 13,200 10,000
平成22年度 17,200 13,000 17,200 13,000
平成27年度 21,200 16,000 21,200 16,000
平成32年度 25,200 18,500 25,200 19,000
平成37年度 25,200 18,500 高位 27,100 19,900
中位 29,600 21,600
低位 33,000 24,000

(注)保険料月額は平成11年度価格である。


照会先
 年金局数理課長補佐
    早川(内線3353)
 年金局年金課長補佐
    藤井(内線3333)


トップへ
報道発表資料  トピックス  厚生労働省ホームページ