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平成14年2月8日

シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会
中間報告書−第8回〜第9回のまとめについて

 平成14年1月22日、第9回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会(座長:林 裕造 元国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター長)が開催され、別紙の通り、中間報告書−第8回〜第9回のまとめが、とりまとめられた。
 当中間報告書は以下の内容を含む。

中間報告書の主な内容

1.個別の揮発性有機化合物(VOC)の指針値等について
   (1)室内濃度に関する指針値の概要
   (2)個別物質の室内濃度指針値等
2.採取方法と測定方法について
3.測定マニュアル相談マニュアル作成の手引きの改訂について

照会先
厚生労働省医薬局審査管理課
化学物質安全対策室
室長  山本  徹(内2421)
担当  吉田  淳(内2423)
     平野 英之(内2427)
電話 03-5253-1111


シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会
中間報告書その4−第8回及び第9回のまとめ

平成14年1月22日

1. 個別の揮発性有機化合物(VOC)の指針値等について

 今般、室内空気汚染に係るガイドラインとして、新たにアセトアルデヒド及びフェノブカルブの室内濃度指針値に係る検討結果をとりまとめたので、下記に概要を示す。

(1) 室内濃度に関する指針値の概要

 本検討会では、室内空気中に存在する化学物質は全て多かれ少なかれヒトに何らかの影響を及ぼす可能性があるため、公衆衛生の観点から化学物質の不必要な暴露を低減させるため、個別物質について対策の基準となる客観的な評価を行ってきている。
 ここで示した指針値は、現時点で入手可能な毒性に係る科学的知見から、ヒトがその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても、健康への有害な影響は受けないであろうと判断される値を算出したものであり、その設定の趣旨はこの値までは良いとするのではなく、指針値以下がより望ましいということである。現状では、居住者にアレルギー、中毒、未だ発生の仕組みがわからない症状を含めた様々な体調不良が生じ、それがなんらかの居住環境に由来するのではないかと推測される場合が「シックハウス症候群」と便宜的に総称されているので、多くの場合、現状の研究では指針値が策定された物質と体調不良との間に明確な対応関係は証明されていない*。 今後の研究、調査が必要とされるが、これらが明確になる前であっても、現時点で入手可能な毒性に係わる知見からこれらの物質の指針値を定め、指針値を満足するような建材等の使用、住宅や建物の提供並びにそのような住まい方を普及啓発することで、多くの人たちが健康悪化を来たさないようにすることができるはずである。
 なお、指針値は、今後集積される新たな知見や、それらに基づく国際的な評価作業の進捗に伴い、将来必要があれば変更され得るものである。指針値の適用範囲については、特殊な発生源がない限り全ての室内空間が対象となる。
 一方、指針値設定はその物質が「いかなる条件においてもヒトに有害な影響を与える」ことを意味するのではない、という点について、一般消費者をはじめ、関係業界、建物の管理者等の当時者には、正しく理解いただきたい。客観的な評価に基づく室内濃度指針値を定めることは、化学物質が健康影響の危惧を起こすことがないように安全かつ適正に使用され、化学物質が本来もっている有益性が最大限生かされることに大きく貢献するはずだからである。
 指針値を策定する際、どの物質を選定するかについては、本検討会中間報告書−第1回〜第3回のまとめ(平成12年6月)の指針値策定の今後の方針で記載の通り、対象物質を選定する際に考慮すべき6つの事項に従っている。次回以降も、首尾一貫性をもった方針で、順次、個別の化学物質について指針値策定を進めていくこととする。
 また、今後の検討課題として、生活環境全体に共通して存在する化学物質については、暴露経路全体から見た総量的な考え方が重要であり、暴露経路のひとつとして室内空気質の指針を定めることは、この総量的な暴露対策の推進に大きく貢献すると思われる。

* 中間報告書第1回〜第3回のまとめ(2000年6月)では、シックハウス症候群について、次の説明をしている:「住宅の高気密化や化学物質を放散する建材・内装材の使用等により、新築/改築後の住宅やビルにおいて、化学物質による室内空気汚染等により、居住者の様々な体調不良が生じている状態が、数多く報告されている。症状が多様で、症状発生の仕組みをはじめ、未解明な部分が多く、また様々な複合要因が考えられることから、シックハウス症候群と呼ばれる。」

(2)個別物質の室内濃度指針値等(別添1)

 ここに示した物質の指針値は、ホルムアルデヒドの場合は短期間の暴露によって起こる毒性を指標に、それ以外の物質の場合は長期間の暴露によって起こる毒性を指標として、それぞれ策定している。また、総揮発性有機化合物(TVOC)の暫定目標値は、国内家屋の実態調査の結果から、合理的に達成可能な限り低い範囲で決定した値であり、個別物質の指針値とは独立に、室内空気質の状態の目安として利用される。

表1 今回新たに指針値を策定した物質
揮発性有機化合物* 毒性指標** 室内濃度指針値*** 設定日
アセトアルデヒド(1)(2) ラットの経気道暴露における鼻腔嗅覚上皮への影響1),2) 48μg/m3(0.03ppm) 2002.1.22
フェノブカルブ(3)(5) ラットの経口暴露におけるコリンエステラーゼ活性などへの影響3) 33μg/m3(3.8ppb) 2002.1.22

表2 これまでに指針値等を策定した物質(本検討会中間報告書その1〜その3より再掲)
揮発性有機化合物* 毒性指標** 室内濃度指針値*** 設定日
ホルムアルデヒド ヒト吸入暴露における鼻咽頭粘膜への刺激4),5) 100μg/m3(0.08ppm) 1997.6.13
トルエン(1)(2) ヒト吸入暴露における神経行動機能及び生殖発生への影響6)-9) 260μg/m3(0.07ppm) 2000.6.26
キシレン(1)(2) 妊娠ラット吸入暴露における出生児の中枢神経系発達への影響10),11) 870μg/m3(0.20ppm) 2000.6.26
パラジクロロベンゼン(1)(2) ビーグル犬経口暴露における肝臓及び腎臓等への影響12) 240μg/m3(0.04ppm) 2000.6.26
エチルベンゼン(1)(2)(3) マウス及びラット吸入暴露における肝臓及び腎臓への影響13),14) 3800μg/m3(0.88ppm) 2000.12.15
スチレン(1)(2) ラット吸入暴露における脳や肝臓への影響15),16) 220μg/m3(0.05ppm) 2000.12.15
クロルピリホス(4)(5) 母ラット経口暴露における新生児の神経発達への影響及び新生児脳への形態学的影響17) 1μg/m3(0. 07ppb)但し小児の場合は0.1μg/m3(0.007ppb) 2000.12.15
フタル酸ジ-n-ブチル(1)(3)(5) 母ラット経口暴露における新生児の生殖器の構造異常等の影響18) 220μg/m3(0.02ppm) 2000.12.15
テトラデカン(2)(6) C8-C16混合物のラット経口暴露における肝臓への影響19) 330μg/m3(0.04ppm) 2001.7.5
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル (3)(5) ラット経口暴露における精巣への病理組織学的影響20),21) 120μg/m3(7.6ppb)注1 2001.7.5
ダイアジノン(4)(5) ラット吸入暴露における血漿及び赤血球コリンエステラーゼ活性への影響22) 0.29μg/m3(0.02ppb) 2001.7.5
総揮発性有機化合物量(TVOC) (1)(3) 国内の室内VOC実態調査の結果から、合理的に達成可能な限り低い範囲で決定23),24) 暫定目標値400μg/m3 2000.12.15
注1:フタル酸ジ-2-エチルヘキシルの蒸気圧についてはは1.3×10-5Pa(25℃)〜8.6×10-4Pa(20℃)など多数の文献値があり、これらの換算濃度はそれぞれ0.12〜8.5ppb相当である。

表3 継続して検討が必要な物質
揮発性有機化合物* 毒性指標** 室内濃度指針値案***
ノナナール(2)(6) C8-C12混合物のラット経口暴露における毒性学的影響25) 41μg/m3(7.0ppb)
(情報量が乏しいことから暫定値。パブリックコメント募集時の案)
C8-C16脂肪族飽和炭化水素 検討継続
C8-C12脂肪族飽和アルデヒド 検討継続

*番号は各物質の選定理由を示す:(1)海外で指針が提示されているもの、(2)実態調査の結果、室内濃度が高く、その理由が室内の発生源によると考えられるもの、(3)パブリックコメントから特に要望のあったもの、(4)外国で新たな規制がかけられたこと等の理由により、早急に指針値策定を考慮する必要があるもの、(5)主要な用途からみて、万遍なく網羅していること、(6)主要な構造分類からみて、万遍なく網羅していること。

**数字は主な参考文献を示す。
1) IPCS Environmental Health Criteria 167, ACETALDEHYDE, World Health Organisation, Geneva(1996)
2) Effect of Variable Versus Fixed Exposure Levels on the Toxicity of Acetaldehyde in Rats, L. M. Appelman et al, J. Appl. Toxicology, Vol6(5); 331-336 (1986)
3) BPMCの毒性試験の概要 三菱化成株式会社 農薬時報別冊(平成2年11月)
4) Formaldehyde. Geneva, World Health Organization, Environmental Health Criteria, No.89 (1989)
5) World Health Organization, Air quality guidelines for Europe; second edition, WHO regional publications. European series; No.91 (2000)
6) Ng, T. P., Foo, S. W. and Yoong,T. Risk of spontaneous abortion in workers exposed to toluene. British journal of industrial medicine 1992; 49: 804-808
7) Foo, S. C., Jeyaratnam, J. and Koh, D. Chronic neurobehavioural effect of toluene. British journal of industrial medicine 1990; 47: 480-484
8) Foo, S. C. et al. Neurobehavioural effects in occupational chemical exposure. Environmental research 1993; 60: 267-273
9) Donald, J. M., Hooper, K. and Hopenhayn-Rich, C. Reproductive and developmental toxicity of toluene: A Review. Environmental health perspectives 1991; 94: 237-244
10) IPCS. Xylenes. Environmental health criteria 1997; 190
11) Hass U. and Jakobsen B. M. Prenatal toxicity of xylene inhalation in the rat: A teratogenicity and postnatal study. Pharmacology and Toxicology. 1993; 73: 20-23
12) OECD SIDS (Screening Information Data Set) Initial Assessment Report (draft). Organisation for Economic Co-operation and Development, Paris
13) IPCS Environmental Health Criteria 186, ETHYLBENZENE, World Health Organisation, Geneva 1996
14) NTP (1992) Toxicity studies of ethylbenzene in F344/N rats and B6C3F1 mice (inhalation studies), US Department of Health and Human Services, National Toxicology Programme, NIH Publication No.92 - 3129
15) IPCS Environmental Health Criteria 26, STYRENE, World Health Organisation, Geneva 1983
16) Vainio, H. et al., Adaptive changes caused by intermittent styrene inhalation on xenobiotic biotransformation, Toxicol. Appl. Pharmacol., 1979, 49, 7-14
17) Human Health Risk Assessment CHLORPYRIFOS (revised), US Environmental Protection Agency, Office of Pesticide Programmes, 8 June 2000
18) IPCS (International Programme on Chemical Safety). Di-n-butyl Phthalate. Environmental Health Criteria 1997; 189
19) Total Petroleum Hydrocarbon Criteria Working Group. Development of fraction-specific reference doses (RfDs) and reference concentration (RfCs) for total petroleum hydrocarbons (TPH). Total Petroleum Hydrocarbon Criteria Working Group Series, Vol.4, 1997
20) 食品衛生調査会毒性部会・器具容器包装部会合同部会. 資料6「フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)の安全性評価結果について」(2000)
21) Poon et al.(1997) Food Chem Toxicol.,35,225-239
22) United States Environmental Protection Agency. DIAZINON. Revised HED Human Health Risk Assessment for the Reregistration Eligible Decision (RED) December 5, 2000.
23) Indoor Air Quality & Its Impact on Man−Report No.19: Total Volatile Organic Compounds (TVOC) in Indoor Air Quality Investigations, European Commission Joint Research Center Environment Institute 1997
24) 居住環境内における揮発性有機化合物の全国実態調査(厚生省,1999)
25) United States Environmental Protection Agency. Notice of Filing Pesticide Petitions to Establish Tolerances for Certain Pesticide Chemicals in or on Food. Federal Register. December 20, 2000; Vol. 65, No. 245: 79834-79839.

***両単位の換算は、25℃の場合による

2.採取方法と測定方法について(別添2)

1)アセトアルデヒド
 本検討会中間報告書−第6回から7回のまとめ(平成13年7月24日)にて改定された「室内空気中化学物質の採取方法と測定方法」に基本的に従う。必要な追加・変更部分は別添に示す。

2)フェノブカルブ
 本検討会中間報告書−第6回から7回のまとめ(平成13年7月24日)にて策定された「クロルピリホスの測定方法(暫定案)」に基本的に従う。必要な追加・変更部分は別添に示す。

3.測定マニュアル、相談マニュアル作成の手引きの改訂について(別添3)

 測定マニュアル、相談マニュアル作成の手引きについては、本検討会中間報告書−第6回から7回のまとめ(平成13年7月24日)にてそれぞれ策定されたところであるが、今後指針値の追加、新たな知見の集積等が見込まれることから、必要に応じて随時追加情報を追補として紹介する。
 また、各年度末を目途に改訂版としてこれらを反映・更新することとする。


(別添1)

2002年1月22日
厚生労働省医薬局審査管理課
化学物質安全対策室
シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会事務局

室内空気汚染に係るガイドラインについて
―室内濃度に関する指針値―

1 アセトアルデヒドについては、ラットに対する経気道暴露に関する知見から、鼻腔嗅覚上皮に影響を及ぼさないと考えられる無毒性量を基に算出し、室内濃度指針値を48μg/m3 (0.03ppm)と設定した。

2 フェノブカルブについては、ラットに対する経口混餌反復投与毒性に関する知見から、コリンエステラーゼ(ChE)活性阻害をはじめとする各種異常を認めないと判断される無毒性量を基に算出し、室内濃度指針値を33μg/m3(3.8ppb)と設定した。

1.アセトアルデヒドの室内濃度に関する指針値

 ごく最近までのアセトアルデヒドに関する毒性研究報告について調査したところ、以下のような結論を得た。

(1)  遺伝毒性については、細菌(Salmonella typhimurium (TA1535、TA1538、TA98、TA100)を用いた復帰突然変異試験においては、代謝活性化の有無にかかわらず、結果は陰性であったが、CHO細胞を用いたin vitro試験において、染色体異常や姉妹染色分体交換(SCE)の頻度上昇を起こすなどの結果が報告されている1)-4)。 また、ヒトリンパ球を用いたin vitro試験においてはDNA鎖への影響が認められるとの報告があるが、ヒト気管上皮細胞やヒト白血球においてはそのような影響は認められていない5)
 in vivo試験は利用可能な報告が少ないものの、マウスとハムスターにおけるSCEの頻度上昇や、吸入暴露によるラットの鼻腔粘膜におけるDNAとたん白のクロスリンクが生じるとの報告や、マウスの小核試験結果は陰性であるとの報告がある。生殖細胞に対する遺伝子障害性については報告されていない1), 2), 5)
(2)  発がん性に関して、ラットに対して1350、2700及び5400 mg/m3(750、1500及び3000 ppm、後半1年は毒性発現のため1800mg/m3(1000 ppm)に変更)のアセトアルデヒドを1日6時間、週5日、28ヶ月間にわたって暴露させた結果、雌雄とも用量依存的に鼻腔に扁平上皮がん、腺がんの発生が認められた。また、ハムスターに対してアセトアルデヒドを4500mg/m3(2500 ppm)から2970 mg/m3(1650ppm)まで漸減させつつ、1日7時間、週5日、52週間にわたって暴露させた結果、雌雄とも喉頭がんが有意に増加したとの報告があるが、2700mg/m3(1500ppm)のアセトアルデヒドを同一の試験条件で暴露させた結果、呼吸器系のがんの発生は見られなかったとの別の報告もある。なお、いずれの報告においてもがん病変の認められる領域には上皮の過形成及び化生が同時に認められている1)-5)
 ヒトに対する影響については、アセトアルデヒドの他にアクロレイン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒドなど種々の化学物質とともに暴露される作業環境に従事していた作業者に係る疫学調査があり、9例の腫瘍(肺がん5例(気管支由来)、口腔がん2例、胃がん及び大腸がん各1例)の発生が報告されているが、対象者数が150名と少ないこと、腫瘍を発生した群は全て喫煙者であるなど、評価に当たって十分な内容ではない。当該調査以外にはヒトに係る疫学調査結果については報告がないことから、ヒトでのアセトアルデヒドの暴露と癌発生との関連性に関する十分な証拠はないと判断されている1)-5)
(3)  これらのことから、現在の知見においては、アセトアルデヒドの発がん性を示唆する証拠は、極めて高濃度の暴露群を設定した一部の動物実験に限られている。また、ヒトでの調査においても発がん性を明確に示唆する証拠は得られておらず、IARC(国際がん研究機関)における発がん性の分類においてもアセトアルデヒドは「2B」に分類されており5)、アセトアルデヒドがヒトに対する発がん性を明確に有するものではないとされていることなどを勘案し、アセトアルデヒドの指針値の策定には、閾値のある発がん性以外の毒性を指標とし、耐容一日摂取量を求める方法で算出することが適当と判断した。
(4)  急性毒性に関して、ラットのLD50値は経口で660〜1930mg/kg、皮下で640mg/kg、ラットの吸入LC50値は4時間暴露で24000 mg/m3(13300 ppm)であった1)-4)
 麻酔したラットに1〜40mg/kgを静注した場合、心臓における交感神経興奮作用とともに、20mg/kg以下では高血圧が、高濃度では徐脈及び低血圧が認められている1)。
 また、ウサギの眼刺激性試験において40mgの注入により著明な刺激性を示すことが報告されている1)。
(5)  亜急性及び慢性毒性について、ラットに対して720、1800、3950及び9000mg/m3(400、1000、2200及び5000 ppm)のアセトアルデヒドを1日6時間、週5日、4週間にわたって経気道暴露させた結果として、1800 mg/m3(1000ppm)以上の暴露群で成長遅延、雄の尿量増加、鼻腔上皮の過形成などが認められている。また、720mg/ m3(400ppm)暴露群においても嗅覚器上皮の変性がわずかに認められており、NOELは決定されなかった1)-6)
 ラットに対して、アセトアルデヒドを1日6時間、週5日、4週間にわたって次に掲げる3通りの方法で経気道暴露した報告がある。
1) 1日1回6時間: 0、270、900mg/ m3(0、150及び500ppm)
2) 1日2回3時間: 0、270、900mg/ m3、休憩1.5時間
3) 1日2回3時間:0、200、900mg/ m3、休憩1.5時間
2回3時間の暴露中に5分間×8回にわたり通常の6倍の濃度(400及び1800 mg/ m3)を投与することにより、6時間加重平均暴露値として、0、255、1050mg/kgの投与と同等であるとした方法
 それぞれの投与形態における最高用量においては、鼻腔嗅覚上皮の変化が認められた。本報告におけるNOELは270mg/m3(150ppm)とされている1)-3),7)
 ラットに対して、25、125及び675mg/kgのアセトアルデヒドを4週間経口投与した結果、675mg/kg投与群において前胃における角化亢進がみられた。また、雄の腎臓相対重量の増加や様々な血液生化学検査値の変化などが認められたが、これらは飲水量の減少が主原因であるとされている。125mg/kg以下の投与群では何ら影響が認められなかったことから、ラットの経口投与に係るNOELは125mg/kgと報告されている1)2)
 ラットに対して、0.05%のアセトアルデヒドを飲用水とともに6ヶ月間与えた結果(約40mg/kgの投与量に相当)、肝臓におけるコラーゲン合成が亢進したとの報告があるが、他の毒性発現に関する詳細は不明である2)
 ハムスターに対して700、2400及び8200 mg/m3(390、1340及び4560 ppm)のアセトアルデヒドを1日6時間、週5日、90日間にわたって暴露させた結果として、8200 mg/m3(4560 ppm)投与群において、成長遅延、眼及び鼻の炎症、気道の著明な組織学的変化などが認められた。なお、無作用量(NOAEL)は700 mg/m3(390 ppm)と報告されている1)-4)
 ハムスターに対して2700 mg/m3(1500 ppm)のアセトアルデヒドを52週間にわたって暴露させた結果として、成長遅延や鼻腔粘膜の異常等の報告がある1)-3)
(6)  生殖発生毒性に関して、ラットの妊娠10〜12日にアセトアルデヒド50、75及び100mg/kgを腹腔内投与した結果、成長遅延、奇形発生が認められたとの報告があるが、用量依存性は認められていない。ラットの妊娠8〜15日にアセトアルデヒドを50、75、100及び150mg/kgを腹腔内投与した結果、用量依存的に胎仔死亡の増加が認められたとの報告がある。また、妊娠13日に1〜10%のアセトアルデヒドを0.02ml羊水内投与した場合、胎仔死亡率が増加し、アセトアルデヒド投与群の生存例においては奇形発生率が増加したと報告されている1)-3)
 一方、マウスについて5つの報告があるが、催奇形性及び胎仔毒性に関しての結果の統一性がなく、アセトアルデヒドの生殖発生毒性に対する影響は明らかではない1)-3)
(7)  ヒトへの暴露について、アセトアルデヒドを241mg/m3(134ppm)、30分間暴露したところ、上気道に中程度の刺激を生じるとの報告がある1)-4)。 また、90mg/m3(50 ppm)、15分暴露により眼刺激性を生じ、感受性の高い被験者では45mg/m3(25 ppm)、15分暴露でも生じることが報告されている。本報告においては360 mg/m3(200 ppm)を暴露した際には、全ての被験者において目の充血、一過性の結膜炎が起こり、多数に鼻やのどの刺激が生じるとされている1)-4)。若い男子学生に5%溶液を静注した場合、心拍数及び呼吸数の増加や肺胞内二酸化炭素濃度の減少などが報告されている1), 2), 4)
(8)  作業環境中の許容限度としては、ACGIHのTLV-CEILINGとして45mg/m3(25ppm)8)、日本産業衛生学会の最大許容濃度として90mg/m3(50ppm)3)が勧告されている。
(9)  以上より、アセトアルデヒドの室内濃度指針値の算出については、入手した毒性に係る知見から科学的にみて最も安全サイドにたった数値が得られるデータを採用することとした。アセトアルデヒドについては経気道暴露した際、眼や気道に対する刺激性が生じることがよく知られており、指針値の算出については(5)のラットに4週間の経気道暴露を行った実験で求められたNOEL = 270mg/m3を用いて耐容濃度を求めることとした。
 NOEL = 270mg/m3として耐容濃度を計算するに当たり、不確実係数としては、種差10、個体間差10の他、遺伝子障害性の懸念があること、当該試験が4週間という比較的短い試験系であること、動物を用いた発がん性試験で上皮の過形成及び化生など刺激による発がんが生じていることなどを考慮してさらに10をかけることとし2)、合計で1000を用いることとした。
 また、当該試験は1日6時間(加重平均)、週5日投与であることから1日24時間、週7日に換算すると、アセトアルデヒドの室内濃度指針値は、 270mg/m3×1/1000×6/24×5/7 = 48μg/m3 (0.03ppm) となる。

(参考文献)
1) Documentation of the Threshold limit Values and Biological Exposure Indices, ACGIH (1991)
2) IPCS Environmental Health Criteria 167, ACETALDEHYDE, World Health Organisation, Geneva(1996)
3) 許容濃度提案理由書集 日本産業衛生学会編 中央労働災害防止協会(平成6年6月)
4) 既存化学物質安全性(ハザード)評価シート 独立行政法人製品評価技術基盤機構
5) IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans, Vol.71, Part Two, IARC Lyon (1999)
6) Inhalation Toxicity of Acetaldehyde in Rats. I. Acute and Subacute Studies, L. M. Appelman et al, Toxicology, Vol.23, 293-307 (1982)
7) Effect of Variable Versus Fixed Exposure Levels on the Toxicity of Acetaldehyde in Rats, L. M. Appelman et al, J. Appl. Toxicology, Vol6(5); 331-336 (1986)
8) 1996 TLVsR and BEIsR, Threshold Limit Values for Chemical Substances and Physical Agents Biological Exposure Indices, ACGIH(1996)

2.フェノブカルブの室内濃度に関する指針値

 ごく最近までのフェノブカルブに関する毒性研究報告について調査したところ、以下のような結論を得た。

(1)  フェノブカルブは殺虫剤であり、他のカーバメート系殺虫剤と同様にコリンエステラーゼ(ChE)活性阻害作用を有する1)
(2)  遺伝子障害性については、ヒスチジン要求性のサルモネラ菌(TA1535、TA1536、TA1537、TA1538)及びトリプトファン要求性大腸菌(WP2hcr+、WP2hcr-)を用いた復帰突然変異試験においては、代謝活性化の有無にかかわらず、結果は陰性であった。また、マウスを用いた小核試験の結果も陰性であった2)
(3)  発がん性に関して、ラットに10、30及び100ppmのフェノブカルブを2年間混餌投与したところ発がん性は認められなかった。また、マウスに0.3及び3ppmのフェノブカルブを2年間混餌投与したところ発がん性は認められなかった1), 2)
(4)  このことから、現在の知見においてはフェノブカルブに関して、動物実験の結果から発がん性は認められず、ヒトでの発がん性を示唆する証拠はないことから、フェノブカルブの指針値の策定には、非発がん性の毒性を指標とし、耐容一日摂取量を求める方法で算出することが適当と判断した。
(5)  急性毒性に関して、ラットのLD50値は経口で雄が524mg/kg、雌が425mg/kg、経皮で5000mg/kg以上であった。また、マウスのLD50値は経口で雄が505mg/kg、雌が333mg/kgであった。また、ラットに23.1、69.3及び208mg/kgのフェノブカルブを経口投与したところ、208mg/kgではChE活性阻害が生じたが、69.3mg/kg以下では観察されなかった。
 ラットの吸入LC50値はフェノブカルブの4時間1回吸入暴露で2500mg/m3以上、50%乳剤の4時間1回吸入暴露で雄が約2700mg/m3、雌が2290mg/m3であった1), 2)
(6)  刺激性については、フェノブカルブ原体0.1mlをウサギの下眼瞼内に投与した結果、非洗眼群では角膜、虹彩および結膜に、洗眼群では虹彩および結膜に刺激性変化を示したが、非洗眼群は投与72時間後、洗眼群では24時間後に消失したとの報告がある。 フェノブカルブ原体0.5mlをウサギの正常な皮膚及び傷ついた皮膚に塗布したところ、両者に紅斑がみられたが、塗布48時間後には消失したとの報告がある。また、モルモットに対する皮膚感作性試験の結果は陰性であった2)
(7)  亜急性及び慢性毒性について、ラットに対して30、90、270、810及び1620 ppmのフェノブカルブを90日間にわたって混餌投与させた結果、90ppm(雄9.3kg/mg/day、雌14.5kg/mg/day)以下ではChE活性阻害は見られず、血液学的、病理組織学的な異常も認められなかった。また、ラットに対して10、30、100及び300ppmのフェノブカルブを2年間にわたって混餌投与した結果、300ppm群において白血球の減少が見られたが、100ppm(雄4.1mg/kg/day、雌4.9mg/kg/day)以下ではChE活性阻害をはじめとする各種異常は認められなかった。なお、慢性経口投与のNOELがラット2年間投与の実験で1.2mg/kg/dayとされているが、その詳細は公表されていない3)
 イヌに対して400ppm(雄10.7mg/kg/day、雌10.6mg/kg/day)のフェノブカルブを2年間混餌投与した結果、ChE活性阻害をはじめとする変化は認められなかった1), 2)
(8)  生殖発生毒性に関して、ラットの妊娠6〜16日目にフェノブカルブを500、1500及び3000ppmで混餌投与した結果、催奇形性は認められなかった。また、ウサギの妊娠6〜16日目にかけてフェノブカルブを5、20及び80mg/kg/day経口投与した結果、催奇形性は認められなかった1), 2)
(9)  ヒトへの暴露について、スミバッサ乳剤75R(フェノブカルブ30%、フェニトロチオン45%)の航空機散布における散布直下での測定では、フェノブカルブの気中濃度は散布直後に最も高く(1.64mg/m3)、3分後には0.47mg/m3、60分後には0.03mg/m3に低下した。このとき調査に従事した10名の被験者において、血漿及び血中のChE阻害は認められなかった1)
(10)  作業環境中の許容限度としては、日本産業衛生学会の許容濃度として5mg/m3、ACGIH及びWHOにおいてフェノブカルブと生体作用類似物質であるカルバリルについて許容濃度として5mg/m3がそれぞれ勧告されている。1), 4)
 フェノブカルブの残留農薬基準設定に関しては、許容一日摂取量(ADI)が0.012mg/kg/dayと設定されているが、その設定の詳細については公表されていない5)
(11)  以上より、フェノブカルブの室内濃度指針値の算出については、入手した毒性に係る知見より、設定の根拠となった試験の詳細が公表されているもののうち、最も安全サイドにたった数値が得られるデータを採用することとした。
 試験結果が公表されている(7)の2年間混餌投与の結果から、経口投与による無作用量としての4.1mg/kg/dayを採用し、耐容一日摂取量を求めることにより室内濃度指針値を求めた場合、不確実係数として、種差10、個体差10を用い、さらに経口投与によるChEへの影響を指標としていることから、室内濃度指針値の設定に際し、発現する毒性が吸入時の吸収率に影響されることを考慮することとした。フェニトロチオン(MEP)について吸入毒性が経口毒性に比較して約4倍であると推察されること3)や経口投与の結果を吸入暴露の値とする場合の不確実計数として4が用いられている事例6)などを勘案し、さらに不確実係数として4を用いることとすると、耐容一日摂取量(TDI)は 0.01mg/kg/dayとなる。日本人の平均体重を50kg、一日当たりの呼吸量を15m3とすると7)、フェノブカルブの室内濃度指針値は、
 0.01(mg/kg/day)×50(kg)/15(m3/day)= 0.033 mg/m3 = 33μg/m3(気体換算すると3.8ppb)となる。

(参考文献)
1) 許容濃度提案理由書集 日本産業衛生学会編 中央労働災害防止協会(平成6年6月)
2) BPMCの毒性試験の概要 三菱化成株式会社 農薬時報別冊(平成2年11月)
3) 環境庁水質保全局 「航空防除農薬環境影響評価検討会報告書」(平成9年12月)
4) 1996 TLVsR and BEIsR, Threshold Limit Values for Chemical Substances and Physical Agents Biological Exposure Indices, ACGIH (1996)
5) 日本食品衛生協会 「残留農薬基準便覧」(平成6年7月)
6) (社)農林水産航空協会「航空散布地区周辺地域の生活環境における大気中の農薬の安全性についての評価に関する指針」(平成3年3月28日)
7) 厚生省生活衛生局企画課生活化学安全対策室.「パラジクロロベンゼンに関する家庭用品専門家会議(毒性部門)報告書」(平成9年8月)


(別添2)

採取方法と測定方法について

○アセトアルデヒド測定法

 ホルムアルデヒドの標準的測定法を用いて測定する。以下を追補事項として加える。

注)アセトアルデヒドは人体からも発生する可能性があるので、新築住宅の測定法にお いては閉鎖中及び採取時の入室を特に極力制限し、測定開始及び停止時以外に入室し た場合は備考に記載すること。

○フェノブカルブの測定法

 クロルピリホスの暫定測定法を用いて測定する。測定対象物質と測定用質量数は以下の表による。

測定対象物質 測定質量数
フェノブカルブ 121, 150

注)フェノブカルブの測定においては炎光光度検出器(FPD)は使用できないが、精度が保証されているならば検出器としてアルカリ熱イオン化検出器(FTD)あるいは高感度窒素リン検出器(NPD)を用いることも可能である。物質の同定はリテンションタイムによることになるが、検出感度はこちらのほうが高い。この場合内標準物質は窒素を含んだ物質を利用する。


(別添3)

相談マニュアル作成の手引き追補(020122版)について

○相談マニュアル作成の手引き16ページに以下の文章を追加する

(12)アセトアルデヒド

<一般的性質>
 純品は無色の液体で刺激臭があり、薄い溶液では果実様の芳香がある。その臭気の閾値は90μg/m3との報告がある。分子量は44.1で、常温における蒸気密度は約1.5、蒸気圧は98.6kPaであり、揮発性は高い。空気より重いが、対流等により拡散した空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になる。

<主な家庭内における用途と推定される発生源>
 アセトアルデヒドはエタノールの酸化により生成され、ヒト及び高等植物における中間代謝物でもあるため、様々な食物やアルコールを含むもの、またヒトそのものも発生源になり得る。また、喫煙により発生することも知られている。ホルムアルデヒド同様一部の接着剤や防腐剤に使用されている他、写真現像用の薬品としても使用される。

<健康影響>
 いわゆる二日酔いの原因物質の一つとして知られる。蒸気は目、鼻、のどに刺激がある。目に侵入すると結膜炎や目のかすみを起こす。長期間の直接接触により発赤、皮膚炎を起こすことがある。高濃度蒸気の吸入による中毒症状として、麻酔作用、意識混濁、気管支炎、肺浮腫等があり、初期症状は慢性アルコール中毒に似ている。

<現在の指針値>
 現在の指針値案は、48μg/m3(0.03ppm)で、安全性の観点から影響が認められる可能性がある濃度のうち最も低い濃度を与える実験として、ラットに対する経気道暴露試験に関する知見から、鼻腔嗅覚上皮に影響を及ぼさないと考えられる無毒性量を基に、不確実計数を加味して設定している。

(13)フェノブカルブ

<一般的性質>
 純品は無色の結晶でわずかな芳香臭がある。分子量は207.3で、常温における蒸気密度は約7.1、蒸気圧は1.6mPaであり、揮発性は低い。蒸気は空気より重く、底部に滞留する性質があると考えられるが、対流等により拡散した空気との混合気体は相対的に空気と同じ密度になる。

<主な家庭内における用途と推定される発生源>
 水稲、野菜などの害虫駆除に用いられるが、家庭内では防蟻剤として用いられている。
 防蟻剤用として特化した製品は、高濃度で揮発しないようマイクロカプセル化されており、土壌に適切に処理された場合、室内への放散は低いものと思われる。

<健康影響>
 カーバーメート系の殺虫剤であり、有機リン系と同様にアセチルコリンエステラーゼを阻害する。ただし、作用機序は異なっており、非可逆的抑制剤である有機リン系と異なりコリンエステラーゼの阻害作用は可逆的である。
 高濃度蒸気や粉塵の吸入による中毒症状として、倦怠感、頭痛、めまい、悪心、嘔吐、腹痛などを起こし、重症の場合は縮瞳、意識混濁等を起こす。皮膚に付着すると、紅斑、浮腫を起こすことがある。

<現在の指針値>
 現在の指針値案は、33μg/m3(3.8ppb)で、安全性の観点から影響が認められる可能性がある濃度のうち最も低い濃度を与える実験として、ラットに対する2年間混餌投与試験に関する無作用量を基に、不確実計数を加味して設定している。

○27ページのSV規格の規格値概要表及び注を以下のように修正

試験項目 紙系壁紙 ビニル壁紙 オレフィン系等壁紙
ホルムアルデヒド(ppm) 0.01以下* 同左 同左

*壁紙100g中のホルムアルデヒド1.2mgが0.01ppmに相当。

○28ページに以下の項を新設

5-2「住宅の品質確保の促進等に関する法律」について

 平成12年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「住宅性能表示制度」は平成12年10月より本格的な運用が始まっている。この中で、「空気環境に関すること」として、どのような内装材が使用されているかを大まかに区分した上で、これらのうち特定木質建材(JIS・JASでホルムアルデヒドの放散量について等級が定められている木質建材)に関してはホルムアルデヒド放散量の大小を4つの等級で評価し、表示することとしている。(「空気環境に関すること」としてはこの他にも、全般換気対策、局所換気設備について評価・表示基準が定められている。)これら建材の等級表示や換気対策は、設計段階で住宅を選択するための目安として有効な手段である。
 しかしながら、実際の空気質の状態を知りたいという要望が根強いこと、一部の自主的な測定の評価方法や情報開示のあり方に混乱もあったこと等に配慮して、平成13年8月に基準の改正がなされ、室内空気中の特定測定物質*の濃度等の測定結果についても選択表示事項として表示できることとされた。この制度を選択した際に表示される内容は以下の通りである。

(1) 特定測定物質の名称
(2) 特定測定物質の濃度
(3) 測定器具の名称
(4) 採取を行った年月日、時刻
(5) 内装仕上げ工事の完了日
(6) 採取条件(空気を採取した居室の名称、採取中の室温又は平均の室温、採取中の相対湿度又は平均の相対湿度、採取中の天候及び日照の状況、採取前及び採取中の換気及び冷暖房の実施状況、その他測定濃度に著しい影響を及ぼすもの
(7) 分析したものの氏名又は名称

 なお、この制度に基づいて測定された物質の濃度は「建設住宅性能評価書」に表示されるが、これはあくまでも測定時点の濃度を開示したものであり、その濃度が将来変化しないものであること等を保証もしくは約束したものではないことに留意する必要がある。

*特定測定物質:「住宅性能表示制度」の「選択表示事項」として「空気中の化学物質の濃度等」として表示できる物質。現在ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの5物質が指定されている。このうちホルムアルデヒドの濃度については、当制度を利用する際には必ず表示することとされている。他の4物質については測定の対象として申請されたものの濃度を表示する。


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