戻る
(別紙)

新分野等への事業展開に必要な相談援助・人材養成
−起業・新分野進出を能力開発でサポート−

 我が国の雇用情勢は、失業率が過去最高水準で推移する等非常に厳しい状況が続いており、今後不良債権の最終処理や構造改革の進展に伴い、特に既存分野において雇用機会喪失のさらなる拡大が懸念されるところである。このため、雇用機会の拡大が期待されるサービス分野を中心とした新規成長分野等において、良好な雇用機会創出の実現を図ることが、雇用対策としても益々重要な課題となってきており、今般、厚生労働省としても人材養成や職業能力という側面で、個人の起業や中小企業の新事業進出を支援していくこととしたものである。
 会社勤め等の仕事を持っている有業者の中で「自分で事業をしたい」という起業等の希望を持っている方は全国で約124万人(平成9年)もいるが、実際の事業所の新設は年間17万事業所(平成11年総務省「企業・事業所統計」)に止まっている状況にある。単純計算すれば、約100万人の方々が夢や希望を途中で諦めたり、先延ばしにしたり、夢のまま終わらせていることになる。

起業等希望者の推移
起業等希望者の推移グラフ
総務省「就業構造基本調査」

 これら多くの方々が起業等を断念していくには、それぞれ様々な理由なり原因があるものと思われるが、実際の起業活動をしている方々にとっては、最大のネックは資金調達ではあるものの、その他取引先の開拓に次いで人材の確保、経営ノウハウの蓄積という人材面、職業能力面が大きな障害となっている状況にある。

起業時の障害
起業時の障害グラフ
中小企業庁「中小企業創造的活動実態調査(平成10年)」

 これら起業活動の障害の解消を図るため、従来から国、自治体、団体、民間企業それぞれのレベルで様々な支援策が図られてきたところであるが、これまでは最大のネックである資金調達を中心に経営指導や技術開発などに対しては一定のサポートが行われてきたものの、人材養成あるいは能力開発という面でのサポートは行われていなかった。

 そこで、今回の支援事業は、これまで国の職業能力開発行政を担ってきた雇用・能力開発機構が有するノウハウ・事業資源等を総合的に活用し、人材面を中心とした起業活動の障害の解消を図り、円滑な起業等の支援を行うこととするものである。
 具体的な事業内容は次のとおりで、相談に対するアドバイスや訓練の実施、情報提供などが中心となるが、相談者一人一人の希望や経験、能力などを整理した「起業カルテ」に基づき、継続的で一貫した支援を行うこととしている。つまり、何かしたいと考えた時から事業を起こすまで、また起業後も安定した運営ができるまで、様々な面でサポートを行うものである。資金調達などの経済面の直接的な助成は行わないが、そのあたりの情報も数多く取りそろえてあり、多彩な支援メニュー情報の提供を行うこととしている。

○公開講座の開講
 先端的な技術・技能や現場に根ざした職業能力などの研究を行っている職業能力開発総合大学校の公開講座や、ベンチャー企業の事例等によるセミナー等を開講し、広く起業家意識の啓発を図るとともに、受講者が起業の種となる何かのアイディアをつかむことを促進する。
図
図 ○起業可能分野の検討
 相談に来られた個人あるいは企業の持つ職業能力を「生涯職業能力開発体系」を駆使して分析検討を行い、今の能力で、あるいは一定の能力の付加でどんな事業を起こすことが可能か検討し、方向性を示唆することで起業プランの自己決定の手助けをする。もちろん既に具体的なプランを持っている人も、そのプランを実現するためどんな知識や能力あるいはスタッフをそろえる必要があるか分析する。
 足りない能力が判明した後は、その能力を養成するための個別具体的カリキュラムを作成し、希望があれば、訓練の実施や訓練施設の紹介、手配なども行う。
○起業家養成セミナー(平成14年4月から実施)
 相談に基づく個別具体的なセミナーを実施していくもので、マネジメントとか先端技術の知識など相談者にとって必要な科目なり内容だけを受けることができ、効率的な知識習得が可能となる。また、必要な科目は個別に異なるため、場合によってはマンツーマンの授業も行い相談者の立場に立った能力養成を図っていく。
図
図 ○技術的課題解決訓練(平成14年4月から実施)
 相談に基づき技術・技能面の習得が必要となった場合には、実習機器等を使った訓練を実施する。これも個別カリキュラムにより必要な内容だけ効率的な習得が可能となる。また、商品開発などで技術的な壁にあたった場合にも、技術面の指導を行ったり、訓練施設の高度な機器設備を使って実務的な検証をしたり、様々な支援を行う。
○スタッフの養成(平成14年4月から実施)
 起業等は当然一人の力のみで実現するのは困難で、必要な能力を備えた優秀なスタッフの確保が必要であり、これらスタッフを養成するため各種セミナーを実施する。また、企業で従業員の能力開発のための訓練を希望する場合には、訓練に必要となる教材等の情報提供や指導にあたる専門家の紹介も実施する。
図
図 ○フォローアップ
 起業等では、事業を起こすことと併せその事業を健全に運営していくことが重要なポイントとなる。そのため起業後も様々な相談に応じたり、情報提供を行う等継続的なフォローアップを図ることとしている。


 これら一貫した支援により、起業等の企画・準備から事業展開までをサポートしていくものである。特に雇用・能力開発機構では、これまで職業訓練を通じ実業界の技術・技能面での人材養成を担ってきた実績もあり、実践的な支援をセールスポイントとして、事業展開を図ることとしている。
 つまり、長い会社勤めでの経験を活かして何かしたい、例えば環境衛生の仕事をしてきたが環境アセスメントの仕事を独立してしたいとか、内装工事の仕事をしてきたが住宅リフォームの仕事を独立してしたい、または商品のアイディアはあるが、自分にはその商品の設計技術や製作技術がなく試作もできない、といった方々にサポートを実施していく。
 現実の社会の中で起業等を実現していくのは、並大抵のことではなく、多大な困難と大きなリスクが伴うものであり、自らの責任で、また自らの判断でチャレンジすることが基本であるが、チャレンジする過程の中で様々なサポートを行い、できるだけスムーズな形で健全かつ良好な起業等の実現が図れるよう応援していくものである。


(平成14年1月24日運営開始)
起業・新分野展開支援センター
東京都港区芝5−26−20建築会館7階
TEL03−5439−5551
(JR田町駅・地下鉄三田駅徒歩3分)
map


トップへ
戻る