報道発表資料  トピックス  審議会議事録  厚生労働省ホームページ

平成13年11月7日

厚生科学審議会疾病対策部会
クロイツフェルト・ヤコブ病等委員会(第1回)の概要について

  1. 本日、厚生科学審議会疾病対策部会クロイツフェルト・ヤコブ病等委員会
     (委員長:北本 哲之 東北大学医学部教授)が開催されました。

  2. 本委員会はクロイツフェルト・ヤコブ病の患者把握の方法・内容を検討し、患者動向の分析等を行うことを目的として、公衆衛生審議会疾病対策部会クロイツフェルト・ヤコブ病等専門委員会を引継いで設置されたものです。

  3. 「遅発性ウイルス感染に関する調査研究班」クロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス委員会より、平成12年10月より平成13年3月末までに調査された症例を加えた解析結果が報告・検討されました。

    (1)  平成11年4月1日から平成13年3月末日までに把握されたクロイツフェルト・ヤコブ病患者数は187件185人例(重複例2例を含む)でした。このうち59例に関する情報がサーベイランス委員によって収集され、1例は委員会でCJDが否定され(アルツハイマー病と判定),3例は保留として今後とも情報収集を継続することとなりました。この4例を除く55例がCJDと判定されました。また、このうちの5例は平成11年3月まで実施された「クロイツフェルト・ヤコブ病及びその類縁疾患調査」で報告された症例、1例は前回のサーベイランス委員会で報告された症例との重複例であることが判明しました。従って今回新たにCJDとして登録された症例は49例であり、現行のサーベイランス体制になってから新たに登録された症例は、前回の90例と併せて139例となりました(表1)。乾燥硬膜移植歴を有する症例が新たに6名報告され、当委員会において把握された乾燥硬膜移植歴を有する症例は76例となりました。
    (2)  プリオン蛋白遺伝子検索は82例(新規登録例では30例)で実施されており,このうち2例を除く80例で結果が判明し、そのうちプリオン蛋白遺伝子の異常を認めたのは14例で、その内訳はコドン102が7例、同105、同180、同200、がそれぞれ1例、同232が1例でした。なお、サーベイランス委員会では本人のみならず、その患者家族へのプリオン蛋白遺伝子解析結果の告知に関してのガイドラインを作成中です。

  4. 感染症予防法に基づいて、クロイツフェルト・ヤコブ病と類縁疾患について平成11年4月から平成13年9月23日までに合計273例の届出があった旨の報告がありました。

  5. クロイツフェルト・ヤコブ病のサーベイランス体制を強化する必要性に鑑み、感染症予防法に基づく届出を有効活用する方策を検討すべきという提案があり、「遅発性ウイルス感染に関する調査研究班」クロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス委員会において、具体的に検討を行うことが了承されました。

  6. 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病への対応に関して、厚生労働省より専門家の資質向上、迅速な情報把握・診断体制の確立、医療従事者に対する普及啓発、一般向けの普及啓発の実施等についての説明を行いました。

  7. 平成8年度に発行されたクロイツフェルト・ヤコブ病診療マニュアルについて、2000年のWHOの診療マニュアル、2001年のWHOの診断基準等を踏まえた改訂を行い、近日中に公表することが報告されました。

  8. 佐藤委員より、平成8年度の「クロイツフェルト・ヤコブ病等に関する緊急全国調査」において、硬膜移植歴を有するクロイツフェルト・ヤコブ病の報告があった医療機関に対し、患者(家族)への乾燥硬膜使用のインフォームド・コンセントを確認する書簡を送付した旨の報告がありました。

  9. 硬膜移植歴を有するクロイツフェルト・ヤコブ病の報告があった場合、研究班から該当する医療機関に対し、患者(家族)への乾燥硬膜使用のインフォームド・コンセントを確認する書簡を送付することとし、その方法について「遅発性ウイルス感染に関する調査研究」班クロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス委員会で検討することが了承されました。

  10. 佐藤委員より、近接した時期に硬膜移植歴を有するクロイツフェルト・ヤコブ病患者が発生した医療機関に対しての調査について、特に新たな症例の発見といった問題がなかった旨の報告がありました。


表1.患者の性・発病年の分布
  登録例全員 新規登録例
50(36) 18(37)
89(64) 31(63)
発病年 -1995 8( 6) 3( 6)
1996 4( 3) 0
1997 19(14) 7(14)
1998 35(25) 14(29)
1999 65(47) 21(43)
2000 8( 6) 4( 8)
139(100) 49(100)
(括弧内は、%)

表2.患者の発病時年齢分布[病態別]
年齢(歳) 全患者 CJD GSS FFI
孤発例1) 家族性2) 家族性3) 硬膜移植例
登録例全員
20-29 2( 1)       2(22)    
30-39 3( 2) 1( 1)       2(22)  
40-49 8( 6) 3( 3) 1(13)   2(22) 2(22)  
50-59 36(26) 26(23) 4(50) 1 1(11) 3(33) 1
60-69 53(38) 47(42) 1(13)   3(33) 2(22)  
70-79 32(23) 29(26) 2(25)   1(11)    
80-89 5( 4) 5( 5)          
139 111 8 1 9 9 1
平均(歳) 62.9 64.9 60.1 52 53.0 51.3 57
標準偏差(歳) 10.9 9.0 11.0   18.0 11.9  
新規登録例
20-29              
30-39              
40-49 4( 8) 1( 3)     2(33) 1(33)  
50-59 12(24) 7(19) 3   1(17)   1
60-69 24(49) 20(56)     2(33) 2(66)  
70-79 7(14) 6(17)     1(17)    
80-89 2( 4) 2( 6)          
49 36 3 0 6 3 1
平均(歳) 63.4 65.2 56.0   59.0 59.6 57
標準偏差(歳) 8.9 8.0 4.4   12.9 10.4  
(括弧内は、%)
注1) プリオン蛋白遺伝子の検索を行っていない例を含む
2) プリオン蛋白遺伝子の異常を認めた例
3) プリオン蛋白遺伝子の異常を認めないが,CJDの家族歴がある例


照会先:厚生労働省健康局
    疾病対策課
担当 :名越、大竹
代表 :03-5253-1111
内線 :2368、2359


トップへ
報道発表資料  トピックス  審議会議事録  厚生労働省ホームページ