別紙
計測器具及び計測方法(乳幼児身体発育調査必携より抜粋)
1.調査の準備
(9)必要機材の整備
調査班長は計測用具及び診察用具を、保健所長の指示により、調査当日までに整備する。
ア 体重計
デジタル式体重計、分銅式台秤いずれでもよいが、感度が10g単位以内のものを準備する。体重計は、必ず事前に検査し、目盛りなどのくるいを調整しておく。
イ 身長計
乳幼児(仰臥式)及び学童用または一般用を準備する。それぞれ尺柱などが正しく直角であり、横規がなめらかにすべるようなものを準備する。
ウ 巻尺
布製の新しい巻尺を準備すること。金属製巻尺は危険を伴うことがあるので使用しない。
エ 乳幼児一般診察用具
聴診器、打腱器、舌圧子、懐中電灯その他消耗器材など、乳幼児一斉健診に必要な器具や器材を準備する。
3.調査票の記入要領と記入例
(2)記入要領と記入例
(3) 計測値 体重 身長 胸囲 頭囲 |
身体計測手技に従って計測された値を記入者が復唱し、誤りのないよう記入する。体重は少なくとも10g単位までとし、デジタル式体重計で数値が表示される場合はその値をそのまま記入する。身長、胸囲、頭囲はそれぞれ1mm単位まで記入する。 一区画にそれぞれ一つの数字を記入し、この際位どりを誤らないように注意する。体重で万の桁、身長で百の桁のないときは、その区画を空白としておく。 |
4.身体計測の手技
(1)計測の一般的注意事項
ア 計測に当たる者は計測の目的をよく理解し、正しい手技によって正確な計測を行う。
イ 計測した値が通常の値と著しく異なる場合は、再度計測してまちがいがないことを確認する。
ウ 計測値を調査票に記入するときは、計測者が目盛を読み、記入者はその値を復唱しながら記入する。
(2)体重の計測
ア 乳児の場合は授乳直後の計測はさける。また、幼児の場合はあらかじめ排便、排尿をすませておく。
イ 原則として全裸で計測する。2歳未満の乳幼児は仰向けか座位で秤の台かかごにのせる。おむつを敷いたり、乳児を布でつつんで計測するときは、その重量を差し引く。2歳以上の幼児は台秤に正しく立たせて計測する。
ウ 計測の前後には体重計の0位を確かめる。なお、体重計の中央に被験者を静かにのせ、指針が静止してから目盛りを読む。
エ 乳幼児は計測の際泣きあばれることが多いが一瞬力を抜くときがあるので、このときの静止した状態での数値を読みとるとよい。
オ 計測の単位は少なくとも10g 単位までとする。ただし、デジタル式体重計で数値が表示される場合はその値を記入する。
(3)身長の計測
身長計測の場合、2歳未満の場合と2歳以上とでは計測方法が異なるので注意する。
ア 2歳未満の乳幼児の場合
(ア) 全裸にした児を仰向けにして身長計の台板上にねかせる。
(イ) 補助者は児の頭頂点を固定板につけ、耳眼面(耳珠点と眼窩点とがつくる平面)が台板と垂直になるように頭部を保持する(図1参照)。
(ウ) 計測者は乳児の片側に立ち、乳児の頭に近い方の手で乳児の両膝をかるく台板におさえて下肢を伸展させる(図1参照)。
(エ) もう一方の手で移動板をすべらせて乳児の足のうらにあて、足のうらが台板と垂直な平面をなすようにする。
(オ) 1mm単位まで計測する。
図1 仰臥位身長の計測
イ 2歳以上の幼児の場合
(ア) 全裸か又はパンツ1枚にして、学童用又は普通の身長計を用いて尺柱を背に直立させて計測し、1mm単位まで読みとる。
(イ) 足先は30゜くらいの角度に開き、踵、臀部、胸背部が一直線に尺柱に接するようにする。それには胸をあまり張らないようにし、腹部をひかせるとよい。また、両上肢はかるく手のひらを内側にして自然に垂らす。
(ウ) 顎はひき、眼は水平の正面をみるようにする。すなわち、耳珠点と眼窩点がつくる平面が水平になるようにする(図2参照)。これには、補助者が幼児の顔面と同じくらいの高さから話しかけてやるとよい。このとき、後頭部は必ずしも尺柱につかないこともあるから強く押しつけないこと。
(エ) 計測者は児の片側に立って、可動水平桿を一方の手で静かに下げてかるく頭頂部にふれて目盛を読む。
図2 立位身長の計測
(4)胸囲の計測
ア 上半身を裸にし、2歳未満の乳幼児は仰臥位で、2歳以上の幼児は立位で計測する。
イ 両腕を軽く側方に開かせ、片手に巻尺を持ち、巻尺の背面から前方に廻す。巻尺は左右の乳頭点を通り、体軸に垂直な平面内にあるようにする。(図3参照)
ウ 巻尺は強くしめず、皮膚面からずり落ちない程度とする。
エ 計測値を読むときは自然の呼吸をしているときに呼気と吸気の中間であること。泣いているときは避ける。また、幼児は胸に力を入れることがあるのでこのようなときは話しかけたりして緊張をやわらげるとよい。
オ 1mm単位まで計測する。
図3 胸囲の計測
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巻尺が左右の乳頭点(A)を通り、体軸に 垂直な平面内にあるようにする。 |
(5)頭囲の計測
ア 2歳未満の乳幼児は仰臥位で、2歳以上の幼児は座位または立位で、計測すること。ただし、泣きあばれる乳幼児は母親や付添人が抱いた状態でもよい。
図4 頭囲の計測
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前方は左右の眉の直上、後方は後頭部の一番突出しているところを 通る周径を計測する。前方はひたいの最突出部を通らないことに 注意する。 |
イ 計測者は一方の手に巻尺の0点を持ち、他方の手で後頭部の一番突出しているところを確認してあて、左右の高さを同じくらいになるようにしながら前頭部にまわして交差し、前頭部の左右の眉の直上を通る周径を計測すること。このとき注意しなければならないことはひたいの突出部でなく眉の直上を通ることである(図4参照)。
ウ 1mm単位まで計測する。