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雇用機会増大促進地域、能力開発就職促進地域、求職活動援助地域及び
高度技能活用雇用安定地域における地域雇用開発の促進に関する指針(案)

 本指針は、地域雇用開発促進法(以下「法」という。)に定める雇用機会増大促進地域、能力開発就職促進地域、求職活動援助地域及び高度技能活用雇用安定地域について、当該地域の実情に応じた地域雇用開発のための措置を講じ、もって当該地域内に居住する労働者の職業の安定に資することを目的として、法に基づき、国の雇用機会増大促進地域、能力開発就職促進地域、求職活動援助地域及び高度技能活用雇用安定地域における地域雇用開発の促進に関する基本方針その他都道府県が策定する地域雇用機会増大計画、地域能力開発就職促進計画、地域求職活動援助計画及び地域高度技能活用雇用安定計画の指針となるべき事項について定めるものである。

第1 国の雇用機会増大促進地域、能力開発就職促進地域、求職活動援助地域及び高度技能活用雇用安定地域における地域雇用開発の促進に関する基本方針

1 法に定める地域に該当するための要件

 法第2条第2項の雇用機会増大促進地域、同条第3項の能力開発就職促進地域、同条第4項の求職活動援助地域及び同条第5項の高度技能活用雇用安定地域に該当するための要件は、それぞれ次のとおりとする。

(1) 雇用機会増大促進地域に該当するための要件

 次のイからハまでのいずれにも該当すること。

イ 自然的経済的社会的条件からみて一体である地域であること( 法第2条第2項第1号)。
 具体的には、公共職業安定所の管轄区域を原則とし、地理的に分断されておらず連続性を有し、通常の交通機関を利用し、又は自動車を用いる等通常の方法により通勤するために要する時間が往復4時間程度以内となる範囲の区域であって、市町村を単位とすること。
ロ その地域内に求職者が多数居住し、かつ、当該求職者の総数に比し相当程度に雇用機会が不足しているため、当該求職者がその地域内において就職することが困難であり、その状態が相当期間にわたり継続することが見込まれること(法第2条第2項第2号及び第3号)。
 具体的には、次のいずれにも該当すること。
(イ) 最近5年間におけるその地域の常用有効求職者数の月平均値が4,000人以上であり、かつ、最近6か月間において当該常用有効求職者数が急激に減少する傾向にないこと。
(ロ) 最近5年間におけるその地域の常用有効求人倍率の月平均値が同期間における全国の常用有効求人倍率の月平均値以下であり、かつ、最近6か月間において当該地域の常用有効求人倍率が急激に上昇する傾向にないこと。
(ハ) その地域内に所在する事業所数が3万か所未満であること。
ハ その地域内に居住する求職者に関し法第3章に定める地域雇用開発のための助成、援助等の措置を講ずる必要があると認められ ること(法第2条第2項第4号)。

(2) 能力開発就職促進地域に該当するための要件

 次のイからハまでのいずれにも該当すること。

イ 自然的経済的社会的条件からみて一体である地域であること(法第2条第3項第1号)。
具体的には、(1)イと同様であるが、単位となる市町村には、 特別区を含むものとすること。
ロ その地域内に就職促進対象職業(法第2条第3項第2号の就職促進対象職業をいう。以下同じ。)に就くことを希望する求職者が一定数以上居住し、当該求職者のうち当該就職促進対象職業に適合する能力を有するものが相当程度に少ないため、当該就職促進対象職業に就くことを希望する求職者の就職が困難であり、その状態が相当期間にわたり継続することが見込まれること(法第2条第3項第2号及び第3号)。
 具体的には、次のいずれにも該当すること。
(イ) 就職促進対象職業は、次のいずれにも該当する職業とし、当該職業は、日本標準職業分類(総務省編)の大分類によるものとすること。
@ 次のいずれかに該当する職業であること。
(@) 最近5年間におけるその地域の常用有効求人数の月平均値に占める当該地域のその職業に係る常用有効求人数の月平均値の割合が100分の20以上であり、かつ、最近6か月間において当該割合が急激に減少する傾向にないこと。
(A) 最近5年間におけるその地域のその職業に係る常用有効求人倍率の月平均値が1.00倍以上であり、かつ、最近6か月間において当該常用有効求人倍率が急激に下降する傾向にないこと。
A その地域内に居住する労働者の賃金、労働時間、安全及び衛生その他の労働条件並びに就業環境に照らし当該地域内に居住する求職者が就くことを促進することが適当と認められる職業であること。
(ロ) 最近5年間におけるその地域の就職促進対象職業に就くことを希望する常用有効求職者数の月平均値が300人以上であり、かつ、最近6か月間において当該常用有効求職者数が急激に減少する傾向にないこと。
(ハ) 最近5年間におけるその地域の就職促進対象職業に係る求人の充足率(求人の数に占める求職者が当該求人を充足した数の割合をいう。以下同じ。)の年平均値が同期間における全国の当該就職促進対象職業に係る求人の充足率の年平均値以下であり、かつ、最近6か月間において当該地域の求人の充足率が急激に上昇する傾向にないこと。
ハ その地域内に居住する求職者に関し、法第4章に定める地域雇用開発のための助成、援助等の措置を講ずる必要があると認められること(法第2条第3項第4号)。

(3) 求職活動援助地域に該当するための要件

 次のイからホまでのいずれにも該当すること。

イ 自然的経済的社会的条件からみて一体である地域であること(法第2条第4項第1号)。
 具体的には、(1)イと同様であるが、単位となる市町村には、特別区を含むものとすること。
ロ その地域内に求職者(現に職業に就いている者であって、その職業が不安定であると認められるものを含む。ハ及びニにおいて同じ。)が一定数以上居住し、その状態が相当期間にわたり継続することが見込まれること(法第2条第4項第2号及び第3号)。
 具体的には、最近5年間におけるその地域の一般有効求職者数(1日、1週間又は1か月の所定労働時間が同種の業務に従事する通常の労働者の所定労働時間に比し相当程度短いものを含む。)の月平均値がおおむね3,000人以上であり、かつ、最近6か月間において当該一般有効求職者数が急激に減少する傾向にないこと。
ハ その地域内の求職者に対し当該地域内に所在する事業所に係る求人に関する情報が適切に提供されず、その状態が相当期間にわたり継続することが見込まれること(法第2条第4項第2号及び第3号)。
 具体的には、その地域内の公共職業安定所(分庁舎を含む。)若しくは公共職業安定所の出張所が所在していない市町村又は職業安定法(昭和22年法律第141号)第4条第7項に規定する職業紹介事業者に係る事業所が10か所以上所在していない市町村の区域に係る労働力人口が当該地域に係る労働力人口に占める割合を、最近5年間における当該地域の一般有効求職者数の月平均値に乗じて得た数がおおむね1,000人以上であること。
ニ その地域内の求職者が当該地域内において安定した職業に就くことが困難な状況にあり、その状態が相当期間にわたり継続することが見込まれること(法第2条第4項第2号及び第3号)。
 具体的には、次のいずれかに該当すること。
(イ) その地域を管轄する公共職業安定所に求職の申込みをした雇用保険法(昭和49年法律第116号)の受給資格者であってその受給資格に係る離職後最初に基本手当の支給を受けた者のうち、雇用保険の被保険者であった期間が1年未満の者の数の最近5年間における年平均値が300人以上であり、かつ、最近6か月間において当該数が急激に減少する傾向にないこと。
(ロ) 最近5年間におけるその地域の雇用保険の基本手当受給率(雇用保険の基本手当の支給を受けた受給資格者の数を、当該受給資格者の数に雇用保険の被保険者の数を加えた数で除して得た率をいう。以下同じ。)の月平均値が、同期間における全国の基本手当受給率の月平均値以上であり、かつ、最近6か月間において当該地域における当該基本手当受給率が急激に下降する傾向にないこと。
ホ その地域内に居住する求職者に関し法第5章に定める地域雇用開発のための求職活動援助事業等の措置を講ずることが必要であ ると認められること(法第2条第4項第4号)。
(4) 高度技能活用雇用安定地域に該当するための要件

 次のイからハまでのいずれにも該当すること。

イ 高度技能労働者を雇用する事業所が集積している地域であること(法第2条第5項第1号)。
 具体的には、特定産業集積の活性化に関する臨時措置法(平成9年法律第28号。以下「地域産業集積活性化法」という。)に基づく基盤的技術産業が集積している次のいずれかに該当する地域であり、かつ、可住地面積がおおむね7万ヘクタール以下であること。
(イ) その地域内に所在する基盤的技術産業に係る事業所の出荷額の合計額がおおむね1,000億円以上であること。
(ロ) その地域内に所在する基盤的技術産業に係る事業所の従業員数の合計数がおおむね5,000人以上であること。
(ハ) その地域内に所在する基盤的技術産業に係る事業所の合計数がおおむね100事業所以上であること。
 また、原則として市町村(特別区を含む。)を単位とし、複数の市町村からなる区域とするときは、連接した市町村からなる区 域とすること。なお、可能な限り地域産業集積活性化法に基づく 地域との整合性の確保を図ること。
ロ その地域内に所在する事業所に関し産業構造又は国際経済環境の変化その他の経済上の理由により製品又は役務の供給の減少を余儀なくされ、これに伴い雇用に関する状況が悪化しており、又は悪化するおそれがあると認められること(法第2条第5項第2号)。
 具体的には、次のいずれにも該当する状況にあること。
(イ) 最近6か月間におけるその地域の常用有効求人倍率の月平均値がおおむね同期間における全国の常用有効求人倍率の月平均値以下であること、又は最近6か月間における常用有効求人倍率の月平均値が最近5年間におけるいずれかの同期の常用有効求人倍率の月平均値と比して低下していること。
(ロ) 最近6か月間におけるその地域の常用有効求職者数の月平均値がおおむね2,000人以上であること。
ハ その地域内に居住する求職者及び当該地域内に所在する事業所に雇用されている労働者に関し法第6章に定める地域雇用開発のための助成、援助等の措置を講ずることが必要であると認められること(法第2条第5項第3号)。

2 地域の産業政策等との連携

 都道府県がその発意に基づき策定する地域雇用機会増大計画、地域能力開発就職促進計画、地域求職活動援助計画及び地域高度技能活用雇用安定計画(3において「計画」と総称する。)においては、効果的な地域雇用開発の促進の観点から、都道府県が策定している産業振興に係る計画等との整合性の確保を図りつつ、地域雇用開発に資する産業政策を盛り込むなど、産業政策等とあいまった地域雇用開発のための方策が講じられることが重要である。

3 地域雇用開発の推進に当たっての国、地方公共団体及び地域における関係者の連携

 厚生労働大臣は、地域雇用開発の目標、地域雇用開発を促進するための方策等が本指針に即しており、当該方策の実施によって、目標が達成されることが見込まれ、地域の特性にかんがみ地域的な雇用構造の改善に資すると認められる計画に対して、同意を行うものである。
 また、計画が同意された場合には、その目標を達成するために、計画に盛り込まれた施策が着実に実施され、実施状況がフォローアップされることが必要である。その結果、必要に応じ、都道府県による計画の変更や、計画に対する厚生労働大臣の同意の取消し等も想定される。
 したがって、計画が地域の実情を踏まえて策定され、効果的に推進されていくためには、地域における関係者が当該計画に係る地域雇用開発についての共通認識を有し、相互に連携を図りつつ、総合的に各種施策が実施されていくことが重要である。
 このため法においては、計画を策定するに当たっては、都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴くものとしており、また、厚生労働大臣は、当該計画に同意するに当たっては、関係行政機関の長に協議するとともに、労働政策審議会等の意見を聴かなければならないとしているところである。さらに、都道府県が計画を策定・実施するに当たっては、労使等地域における関係者との意思疎通を図り、地域雇用開発の確実な実施に資することが望ましい。

第2 地域雇用機会増大計画の指針となるべき事項

 求職者の総数に比し雇用機会が不足している地域において雇用機会の増大策を講ずることは、地域の労働者の雇用の安定に資するのみならず、地域社会の活力ある発展に資するものであり、適切かつ機動的な対応を怠れば、地域の雇用問題は更に深刻化するとともに、地域間の雇用機会の不均衡がますます拡大していくおそれがある。
 こうした課題を抱える雇用機会増大促進地域については、地域における関係者の創意の発揮と積極的な努力により、地域の特性に応じた魅力ある雇用機会の創出を通じ、地域内の求職者に良好な雇用の場を提供し、地域的な雇用構造の改善を図ることを目標とする。
 地域雇用機会増大計画に盛り込むべき事項は、以下のとおりである。

1 雇用機会増大促進地域の区域(法第5条第2項第1号)

 雇用機会増大促進地域の区域を明記するとともに、第1の1の(1) に該当すると認められる区域であることを明らかにすること。

2 雇用機会増大促進地域における労働力の需給状況その他雇用の動向に関する事項(法第5条第2項第2号)

 雇用機会増大促進地域における求人数、求職者数、求人倍率、離職者の動向、年齢別等の雇用動向、労働力人口の動態、就業構造等を示すことにより、当該地域の労働市場の特徴を明らかにすること。

3 雇用機会増大促進地域の地域雇用開発の目標に関する事項(法第5条第2項第3号)

 地域における労働力の需給状況その他雇用の動向等当該地域の特性や実情を踏まえ、以下の点に留意しつつ、講じようとする施策や地域の雇用構造の改善に関して、可能な限り定量的に示す等具体的な目標を設定することが望ましい。

(1) 産業の集積状況、産業活動の動向等を始めとした地域の特性を十分に踏まえること。

(2) 地域において進められる産業基盤整備、新規事業展開、地場産業の育成等当該地域の産業政策及び地域振興政策との連携を図ること。

(3) 計画期間については、目標を達成するために必要な期間を5年の範囲内で設定すること。

4 雇用機会増大促進地域の地域雇用開発を促進するための方策に関する事項(法第5条第2項第4号)

 以下の項目を参考に、地域雇用開発を促進するための方策を総合的かつ具体的に明らかにすること。

(1) 地域雇用開発の促進に資する基盤整備に関する措置

イ 雇用機会の増大につながる空港、港湾、道路等の交通・物流網の整備、又は情報ネットワークに対応した高速大容量の情報通信基盤の整備等に努めること。
ロ 雇用機会の増大につながる戦略的な産業集積の形成のための取組、福祉や環境等地域に密着した産業又は地場産業の育成、企業誘致や企業育成のための支援等地域の特性に応じた産業の振興に努めること。
ハ 大学等研究機関の積極的な活用による産学官の連携により、雇用機会の増大につながる新産業の育成に努めること。
(2) 地域雇用開発の促進のための措置
イ 新たな雇用機会の開発の促進に関する事項
 地域の特性、民間部門の活力をいかしつつ地域雇用開発の促進を図ること。この場合、事業所の設置・整備に伴い地域内に居住する求職者等を雇用する事業主に対する賃金等の費用負担に応じた助成措置を活用する等地域の雇用機会の増大を促進するよう努めること。また、雇用開発のためのノウハウの提供を行う等ソフト面の援助にも配慮すること。
ロ 職業能力開発の推進に関する事項
 地域の実情に応じた職業能力開発を、関係機関の連携の下、効果的に行うこと。地域の職業能力開発に対するニーズを踏まえつつ、企業進出、地元企業の事業展開等に際して必要となる労働力の確保・育成に努めること。この場合、適切な企業内教育訓練の促進を図るとともに、公共職業能力開発施設においても地域の訓練ニーズの把握に努め、特別の訓練コースの設定等当該ニーズに応じた効果的な職業能力開発、委託訓練等を実施すること。
ハ 労働力需給の円滑な結合の促進に関する事項
 地域の労働市場の状況等雇用・職業に関する情報等の積極的な提供を行うとともに、求職者に対する職業指導・相談等や事業主に対する指導・援助をきめ細かに行うよう努めること。
ニ 各種支援措置の周知徹底に関する事項
 地域雇用開発を促進するために講じられる各種支援措置について周知徹底を図り、当該措置の積極的な活用が図られるよう努めること。
ホ 地域雇用開発の効果的な推進に関する事項
 地域雇用開発の方向性について共通認識を形成し、地域雇用開発を効果的に推進していくため、地域雇用促進会議等の活用等に努め、関係市町村、労使等地域における関係者との意思疎通を図り、その意向が反映されるように配慮すること。
第3 地域能力開発就職促進計画の指針となるべき事項

 情報化や技術革新の進展により、労働者に求められる職業能力が高度化、専門化している場合や、企業誘致等の結果として、特定の職業に対するニーズが高まっている場合等、ある職業に就くことを多数の求職者が希望している一方で、求められる職業能力を有する者が少ないため、労働力需給のミスマッチが発生している地域が存在している。
 このような地域において、ミスマッチを解消することは、当該職業に従事する者に対するニーズのある産業を中心とした地域経済の活性化につながっていくものであり、こうした課題を抱える能力開発就職促進地域については、地域における関係者の連携を図りつつ、当該地域に居住する求職者に対し、能力開発施策を積極的に行うことにより、求職者の円滑な就職を促進し、地域的な雇用構造の改善を図ることを目標とする。
 地域能力開発就職促進計画に盛り込むべき事項は、以下のとおりである。

1 能力開発就職促進地域の区域(法第6条第2項第1号)

 能力開発就職促進地域の区域を明記するとともに、第1の1の(2)に該当すると認められる区域であることを明らかにすること。

2 能力開発就職促進地域における労働力の需給状況その他雇用の動向に関する事項(法第6条第2項第2号)

 能力開発就職促進地域における求人数、求職者数、求人倍率、離職者の動向、年齢別等の雇用動向、労働力人口の動態、就業構造等を示すことにより、当該地域の労働市場の特徴を明らかにすること。

3 能力開発就職促進地域における就職促進対象職業に係る雇用に関する状況(法第6条第2項第3号)

 能力開発就職促進地域における就職促進対象職業に係る求人数・求職者数、求人倍率等を示すとともに、当該職業の特徴を明らかにすること。

4 能力開発就職促進地域の地域雇用開発の目標に関する事項(法第6条第2項第4号)

 地域及び就職促進対象職業に係る労働力の需給状況その他雇用の動向等当該地域及び当該就職促進対象職業の特性や実情を踏まえ、以下の点に留意しつつ、講じようとする施策や地域の雇用構造の改善に関して、可能な限り定量的に示す等具体的な目標を設定することが望ましい。

(1) 産業の集積状況、産業活動の動向等を始めとした地域の特性を十分に踏まえること。

(2) 地域において進められる新規事業展開、地場産業の育成等当該地域の産業政策及び地域振興政策との連携を図ること。

(3) 計画期間については、目標を達成するために必要な期間を5年の範囲内で設定すること。

5 能力開発就職促進地域の地域雇用開発を促進するための方策に関する事項(法第6条第2項第5号)

 以下の項目を参考に、地域雇用開発を促進するための方策を総合的かつ具体的に明らかにすること。

(1) 地域雇用開発の促進に資する基盤整備に関する措置

イ 地域の産業において求められる人材育成を図りつつ、福祉や環境等地域に密着した産業又は地場産業の育成、企業誘致や企業育成のための支援等地域の特性に応じた産業の振興に努めること。
ロ 大学等研究機関の積極的な活用による産学官の連携により、就職促進対象職業への就職の促進につながる人材育成に努めること。
(2) 地域雇用開発の促進のための措置
イ 職業能力開発の推進に関する事項
 地域の実情に応じた職業能力開発を、関係機関の連携の下、効果的に行うこと。地域の職業能力開発に対するニーズを踏まえつつ、就職促進対象職業に就くために必要な教育訓練等の実施等に努めること。この場合、適切な企業内教育訓練の促進を図る等民間の教育訓練に対する支援に努めるとともに、公共職業能力開発施設においても地域の訓練ニーズの把握に努め、特別の訓練コースの設定等当該ニーズに応じた効果的な職業能力開発、事業主団体等を活用した委託訓練等を実施すること。
ロ 労働力需給のミスマッチの解消に関する事項
 地域内に居住する求職者(内定者を含む。)を雇用し、かつ、当該就職促進対象職業に係る教育訓練、能力開発のための休暇付与を行う事業主に対する賃金等の助成措置を活用する等地域の労働力需給のミスマッチを解消するよう努めること。また、人材育成を行う事業主に対するノウハウの提供等ソフト面の援助にも配慮すること。
 さらに、地域の労働市場の状況等雇用・職業に関する情報、特に、当該就職促進対象職業に関する情報の積極的な提供を行うとともに、求職者に対する職業指導・相談等や事業主に対する指導・援助をきめ細かに行うよう努めること。
ハ 各種支援措置の周知徹底に関する事項
 地域雇用開発を促進するために講じられる各種支援措置について周知徹底を図り、当該措置の積極的な活用が図られるよう努めること。
ニ 地域雇用開発の効果的な推進に関する事項
 地域雇用開発の方向性について共通認識を形成し、地域雇用開発を効果的に推進していくため、地域雇用促進会議等の活用等に努め、関係市町村、労使等地域における関係者との意思疎通を図り、その意向が反映されるように配慮すること。
第4 地域求職活動援助計画の指針となるべき事項

 経済のグローバル化や産業構造の変化、情報化や技術革新の進展等に伴い、個別企業を取り巻く環境や地域の産業構造は刻々と変化している。また、価値観の多様化を反映して労働者の働き方も変化しつつあり、多様な働き方を選択する者が増加する傾向にある。
 こうした中で、求職者が安定した職業に就くためには、それぞれの求職者が必要とする情報を十分に得られることが前提となるが、求職者に対し求人に関する情報が適切に提供されていないため、労働力需給のミスマッチが発生している地域が存在している。
 こうした課題を抱える求職活動援助地域については、国と都道府県との連携の下、法第7条第2項第4号の地域就職援助団体等(以下「地域就職援助団体等」という。)を活用した情報提供等の事業の実施等により、求職者等の就職を促進し、地域的な雇用構造の改善を図ることを目標とする。
 地域求職活動援助計画に盛り込むべき事項は、以下のとおりである。

1 求職活動援助地域の区域(法第7条第2項第1号)

 求職活動援助地域の区域を明記するとともに、第1の1の(3) に該当すると認められる区域であることを明らかにすること。

2 求職活動援助地域における労働力の需給状況その他雇用の動向に関する事項(法第7条第2項第2号)

 求職活動援助地域における求人数、求職者数、求人倍率、離職者の動向、年齢別等の雇用動向、労働力人口の動態、就業構造等を示すことにより、当該地域の労働市場の特徴を明らかにすること。
 なお、求職活動援助地域は、求人に関する情報に対して求職者が多様なニーズを有しているため、他の地域に比べ求職者が安定した職業に就くことが困難な様々な状況が想定される。このため、当該求職活動援助地域については、第1の1の(3) のイからニにおいて用いられる指標以外であっても、法の趣旨及び当該地域の実情にかんがみ、法に定める要件に該当する状況を適切に示している指標を都道府県が独自に有している場合にあっては、当該イからニに係る記述の中で当該指標を適宜明らかにすること。

3 求職活動援助地域の地域雇用開発の目標に関する事項(法第7条第2項第3号)

 地域における労働力の需給状況その他雇用の動向等当該地域の特性や実情を踏まえ、以下の点に留意しつつ、講じようとする施策や地域の雇用構造の改善に関して、可能な限り定量的に示す等具体的な目標を設定することが望ましい。

(1) 地域就職援助団体等の活動、産業の集積状況、産業活動の動向等を始めとした地域の特性を十分に踏まえること。

(2) 地域において進められる新規事業展開、地場産業の育成等当該地域の産業政策及び地域振興政策との連携を図ること。

(3) 計画期間については、目標を達成するために必要な期間を5年の範囲内で設定すること。

4 求職活動援助地域における地域就職援助団体等の当該活動の援助に関する事項その他の求職活動援助地域の地域雇用開発を促進するための方策に関する事項(法第7条第2項第4号)

(1) 地域就職援助団体等の活動の援助に関する事項

イ 地域就職援助団体等
 地域就職援助団体等は、事業主団体若しくはその連合団体又は地方公共団体以外の営利を目的としない法人であって、求職活動援助地域内に居住する求職者が当該求職活動援助地域内において安定した職業に就くことを容易にする活動を行うものをいい、例えば、次のような活動の全部又は一部を的確に実施する団体等をいうものであること。
(イ) 地域雇用開発に資する基盤整備に関する活動
 地域雇用開発の促進に資する産業振興等に関する活動であって、具体的には、企業誘致、企業育成又は事業運営の支援、新技術・新製品等の研究・開発支援等をいうものであること。
(ロ) 地域雇用開発の促進のための活動
 地域雇用開発の促進に資する情報提供等の活動であって、具体的には、人材の受入れに関する情報の収集・提供、企業合同説明会の開催、職業講習の実施、適性検査の実施、就職ガイダンスの実施等をいうものであること。
ロ 活動の援助
 地域就職援助団体等の活動に対して都道府県が実施する一定の支援等様々な援助をいうものであること。
(2) その他の求職活動援助地域の地域雇用開発を促進するための方策に関する事項

 以下の項目を参考に、地域雇用開発を促進するための方策を総合的かつ具体的に明らかにすること。

イ 地域雇用開発の促進に資する基盤整備に関する措置
(イ) 福祉や環境等地域に密着した産業又は地場産業の育成、企業誘致や企業育成のための支援等地域の特性に応じた産業の振興に努めること。
(ロ) 大学等研究機関の積極的な活用による産学官の連携により、地域雇用開発につながる新産業の育成を図るよう努めるとともに、地域の求職者等に対し、当該産業等に関する積極的な情報提供等に努めること。
ロ 地域雇用開発の促進のための措置
(イ) 労働力需給のミスマッチの解消に関する事項
 地域就職援助団体等と連携し、地域の労働市場の状況等に関する情報、求人に関する情報等の積極的な提供を行うとともに、求職者に対する職業指導・相談等や事業主に対する指導・援助をきめ細かに行うよう努めること。
(ロ) 各種施策の周知徹底に関する事項
 地域雇用開発を促進するために講じられる地域求職活動援助事業等の各種施策について周知徹底を図り、当該施策の積極的な活用が図られるよう努めること。
(ハ) 地域雇用開発の効果的な推進に関する事項
 地域雇用開発の方向性について共通認識を形成し、地域雇用開発を効果的に推進していくため、地域求職活動援助事業運営会等の活用等に努め、関係市町村、労使等地域における関係者との意思疎通を図り、その意向が反映されるように配慮すること。
第5 高度技能活用雇用安定地域の指針となるべき事項

 製造業関係等の事業所が集積している一部の地域においては、経済のグローバル化等の影響を受け、生産拠点の海外への移転等を余儀なくされている事業主が増加し、雇用状況の悪化又は悪化のおそれがみられる。
 このような地域においては、我が国の生産能力や国際競争力の将来の基盤となる技能が集積しており、立地する企業の多くが、外注・受注のしやすさを始めとする集積のメリットを感じているところであるが、こうした「ものづくり」の基盤となる地域の雇用状況の悪化は、地域社会ひいては我が国の活力ある発展の基盤を揺るがすおそれがある。
 こうした課題を抱える高度技能活用雇用安定地域については、地域における関係者の創意の発揮と積極的な努力により、地域に集積している高度の技能等を活用した新事業展開や技能の高度化等を図り、新たな雇用機会の開発や雇用の高度化を促進することにより、地域的な雇用構造の改善を図ることを目標とする。
 地域高度技能活用雇用安定計画に盛り込むべき事項は、以下のとおりである。

1 高度技能活用雇用安定地域の区域(法第8条第2項第1号)

 高度技能雇用安定地域の区域を明記するとともに、第1の1の(4) に該当すると認められる区域であることを明らかにすること。

2 高度技能活用雇用安定地域における労働力の需給状況その他雇用の動向に関する事項(法第8条第2項第2号)

 高度技能活用雇用安定地域における求人数・求職者数、求人倍率、離職者の動向、年齢別等の雇用動向、労働力人口の動態、就業構造等を示すことにより、当該地域の労働市場の特徴を明らかにすること。

3 高度技能活用雇用安定地域における高度技能労働者に係る雇用に関する状況(法第8条第2項第3号)

 高度技能労働者に係る求人数、求職者数、求人倍率の動向、就職状況、就業構造等高度技能労働者に係る雇用に関する状況を明らかにすること。また、当該地域に集積しており、製品の高付加価値化、新製品の開発、異業種への進出等新事業展開を図るための中核となる技能等の特質についても明らかにすること。

4 高度技能活用雇用安定地域における職業に必要な高度の技能及びこれに関する知識を活用した地域雇用開発の目標に関する事項(法第8条第2項第4号)

 地域における労働力の需給状況その他雇用の動向等当該地域の特性や実情を踏まえ、以下の点に留意しつつ、講じようとする施策や地域の雇用構造の改善に関して、可能な限り定量的に示す等具体的な目標を設定することが望ましい。

(1) 地域雇用開発の促進に当たっては、技能の高度化とともに高度の技能等を活用した新事業展開による雇用機会の開発を図ることとし、製造業を中心とした産業の集積状況、産業活動の動向等を始めとした地域の特性を十分に踏まえること。

(2) 地域において進められる産業基盤整備、新規事業展開、地場産業の育成等当該地域の産業政策及び地域振興政策に基づく取組との連携を図ること。特に、「ものづくり」の基盤となる地域の産業集積の活性化を促進するための産業政策が講じられている地域に該当する場合には、地域雇用開発を効果的に推進していくため、当該産業政策との連携が不可欠であることに十分に配慮すること。

(3) 計画期間については、特定産業集積活性化法に基づく基盤的技術産業集積活性化計画における計画期間との整合性を可能な限り図ること。

5 高度技能活用雇用安定地域の地域雇用開発を促進するための方策に関する事項(法第8条第2項第5号)

 以下の項目を参考に、地域雇用開発を促進するための方策を総合的かつ具体的に明らかにすること。

(1) 地域雇用開発の促進に資する基盤整備に関する措置

 空港、港湾又は道路の整備、工業用地、工場等の整備、試験研究関連施設及び技術者の研修施設の整備、新技術・新商品に係る研究開発等製造業の発展を支える技術を有する事業者の集積の活性化を促進するよう努めること。

(2) 地域雇用開発の促進のための措置

イ 新たな雇用機会の開発の促進に関する事項
 高度の技能等を有する労働者等を受け入れ、又は労働環境を改善する施設・設備を設置・整備して地域内に居住する求職者の雇用機会を開発する事業主に対する助成措置を活用する等地域の雇用機会の増大を促進するよう努めること。
ロ 職業能力開発の推進に関する事項
 地域の実情に応じた職業能力開発を、関係機関の連携の下、効果的に行うこと。地域の職業能力開発に対するニーズを踏まえつつ、職業に関し新たに必要な高度の技能等を習得させるための教育訓練等の実施等に努めること。この場合、適切な企業内教育訓練の促進を図る等民間の教育訓練に対する支援に努めるとともに、公共職業能力開発施設においても地域の訓練ニーズの把握に努め、特別の訓練コースの設定等当該ニーズに応じた効果的な職業能力開発、委託訓練等を実施すること。
ハ 労働力需給の円滑な結合の促進に関する事項
 地域の労働市場の状況等雇用・職業に関する情報等の積極的な提供を行うとともに、求職者に対する職業指導・相談等や事業主に対する指導・援助をきめ細かに行うよう努めること。
ニ 各種支援措置の周知徹底に関する事項
 地域雇用開発を促進するために講じられる各種支援措置について周知徹底を図り、当該措置の積極的な活用が図られるよう努めること。
ホ 地域雇用開発の効果的な推進に関する事項
 地域雇用開発の方向性について共通認識を形成し、地域雇用開発を効果的に推進していくため、地域高度技能活用雇用安定会議等の活用等に努め、関係市町村、労使等地域における関係者及び関係行政機関との意思疎通を図り、その意向が反映されるように配慮すること。

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