平成13年7月6日
国際化の進展の中で、我が国の企業への就職を希望する留学生の増加に対応してその就職の円滑化を図るため、官民の就職支援関係機関が留学生の就職支援の充実・強化に向けた方策について協議を行うために、本年7月11日に「留学生の就職支援に関する連絡協議会」を発足させることとした。 |
1 経済社会の国際化が進展する中で、日本の大学等で学ぶ留学生が増加するとともに、そこで学んだ知識や技術を生かして日本で就職することを希望する留学生もますます増加している。一方、企業においても国際的な企業活動を担う人材を確保する観点から企業規模を問わず留学生の採用に注目する動きも強まっている。
このような状況の中で、我が国政府としては、経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、積極的に推進している専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れの一環として留学生の就職支援を充実することとしているところである。
2 また、厚生労働省が、留学生の就職支援関係者の協力を得て実施した留学生の就職の実態調査によれば、現状では、(1)情報不足や経験不足から、留学生と企業の間での求人、求職のマッチングが円滑にいかない状況がみられる、(2)留学生に対する就職支援活動を、官民の就職支援機関がそれぞれ独自に展開していることから、必要な情報の効率的な把握が困難であるなどの問題がみられ、こうした問題の解決が就職支援の充実にとって極めて重要であることが明らかになった。(別添1参照)
3 このため厚生労働省としては、今般、関係省庁、教育関係機関、経済団体及び民間支援機関・団体からの関係者で構成する「留学生の就職支援に関する連絡協議会」(以下「協議会」という。)を発足させ、就職支援に関する関係機関がそれぞれの役割を踏まえつつ、留学生や企業など利用者のニーズに応じた就職支援策の充実・強化に向けた具体的な取組について協議していくこととした。また、協議会としては、協議の成果を踏まえた具体的な支援施策の実施状況についてフォローしていくこととしている。
4 第1回協議会は7月11日(水)15時00分から17時00分まで厚生労働省別館第13会議室において開催する。
(参考資料)
別添1 「留学生の就職支援の現状と今後の支援施策のあり方について」(概要)
別添2 協議会要綱・参集者
はじめに
経済社会の国際化や技術革新の進展等に伴い、国境を越えた企業活動や人の移動が活発になる中で、日本へ留学しようとする人が増加を続け、さらに、卒業後に学んだ知識や技術を生かして日本で就職することを希望する留学生もますます増加している。一方、企業活動が企業規模、分野を問わず国際化していることに伴い、わが国の企業では国際的な企業活動を担う人材への要求が高まっている。
このような状況の中で、留学生の我が国企業への就職を円滑に進めることの必要性が高まっており、留学生自身の努力はもちろん、企業、就職支援機関等関係者による環境整備と支援策の充実が期待されている。
我が国政府は、経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れを積極的に推進することとしているところであり、こうした 留学生の就職円滑化への取組みは、留学生が自らの希望に沿ってその能力や個性を発揮して活躍することを可能にするのみならず、出身国への技術移転ひいてはその国の経済発展に寄与する人材の養成に資するものと期待される。また、留学生にとって住みやすく能力を発揮しやすい社会や企業内の様々なしくみづくりは、多様な価値観を持つ労働者がその個性を十分発揮しつつ、意欲と能力に応じて働き続けることのできる魅力の高い就労・生活環境をつくることにもつながり、日本社会の活性化にも資するものと期待される。
以上のような問題意識から、日本の大学の大学院・学部等に留学している留学生(以下「留学生」という。)のうち、留学終了後に日本企業への就職を希望する者を対象に実態調査を実施し、それを踏まえて、その円滑な就職を支援するための施策のあり方の検討を行った。
1 留学生の就職動向
日本の大学等で学ぶ留学生数は、増加傾向が続いており、2000年5月1日現在で約6万4千人と過去最高を記録。近年、大都市圏以外の大学においても留学生の受入れを積極的に進める動きがあり、今後も全国的に留学生数が増加するものと予想。
我が国企業では、企業活動のボーダーレス化に伴い、海外現地法人における基幹社員など事業の国際化に対応した要員の確保、あるいは国籍を問わずに優秀な人材を確保しようとする動きが活発化。このため、語学力や日本留学で培われた専門的能力、日本の経済、社会、文化等への理解など留学生の特性に着目する企業が増加。
一方、留学生も、専攻分野や留学終了後に希望する進路の多様化が進み、我が国企業での就労経験を通じたキャリア形成等を動機として日本企業への就職を希望するケースが増加。
以上のような状況を背景に、就労のための在留資格への変更を許可された留学生等の数は平成11年には約3千人と過去最高を記録。留学生の増加等を背景に、日本 企業への就職は今後も増加していくものと予想。
2.調査から把握された留学生の就職の実態
実態調査(別紙2参照)の結果等から得られた留学生の就職及び企業の留学生雇用の実態は、概ね次のような状況。
3 就職支援のあり方と施策の方向性
(留学生の問題点の特徴)
(1) 企業等から発信される求人情報の不足や就職支援を行う関係機関の連携不足等により、就職活動に必要な情報が不足
(2) 企業の留学生採用の考え方、入社後に期待できるキャリア形成についての情報が不足
(3) 就職活動が日本人学生に比べ相対的に遅くなる傾向があり、求人への応募が日本人学生に比べて不利になる、等
(企業の募集・採用等の問題点の特徴)
(1) 企業の留学生採用経験が乏しい場合、採用に不安を感じる傾向
(2) 企業の人材ニーズに合致する留学生の把握が困難、等
(関係機関による就職支援の問題点)
(1) 関係機関の連携が不足しており、支援活動に必要な情報収集の把握も困難
(2) NGO等民間支援団体は、各団体の独力での情報の収集には限界があり、公的機関等との連携・協力が必要等
(就職支援施策の方向)
留学生や企業それぞれの個々の支援対象の態様や支援ニーズに合致したきめ細やかな支援策の提供を図ることが重要。就職支援施策の方向としては次のものを挙げることができる。
(1) 留学生の就職活動のきっかけづくり
(2) 留学生の職業準備の円滑化
(3) 留学生にとって働きやすく魅力のある職場づくり
(4) 留学生の雇用経験に乏しい企業等の留学生雇用への不安の解消
(5) 留学生、企業に対する情報不足への対応のための体制整備
(6) 留学生と企業の橋渡しの場づくり
(7) 留学生の就職支援に関する関係機関の連携体制づくり
(各関係者・関係機関に期待される役割)
留学生の就職の円滑化を図るために、関係者(機関)には以下のような役割が期待される。
さらに、個別の支援の取組みの効果を高めるためには、各機関の持つ特性を活かして相互の連携・協力の下で、留学生、企業等支援対象者のニーズに応じた支援サービスを提供することが重要。
(職業安定行政が取り組むべき具体的な支援施策の例)
別紙1: 「留学生の就職支援のあり方についての懇談会」参集者名簿
別紙2: 留学生の就職に係る実態調査の実施について
別紙3: 留学生数の推移、留学生等からの就職目的の在留資格許可数
尾形 隆彰 | (千葉大学文学部教授)(座長) |
佐藤 彰洋 | (旭化成工業株式会社 人事部採用グループ長) |
瀧澤知寿子 | (株式会社エビデンスジャパン 取締役企画プロデューサー) |
田中 久夫 | (法政大学小金井事務部長) (元)法政大学国際交流センター事務部長 |
中村 善雄 | (日本労働組合総連合会 総合労働局雇用・労働対策局長) |
西尾 明子 | (東京外国人雇用サービスセンター 雇用指導官) |
三谷 卓也 | (奈良県企画部学研協力課 参事) (元)文部省学術国際局留学生課長補佐 |
輪島 忍 | (日本経営者団体連盟 労務法制部課長(雇用担当)) (元)日本経営者団体連盟 労務法制部雇用課長代理 |
1 調査の目的
2 調査時期
3 調査方法
4 有効回答数。
留学生数の推移
文部省(現文部科学省)調査 (各年5月1日現在)
留学生等からの就職目的在留資格変更許可数
法務省入国管理局調査
1.趣旨 | |
(1) | 経済社会の国際化や技術革新の進展等に伴い、国境を越えた企業活動や人の移動が活発になる中で、日本の大学等で学ぶ留学生も増加を続け、さらに、卒業後に学んだ知識や技術を生かして日本で就職することを希望する留学生もますます増加している。一方、企業活動が企業規模、分野を問わず国際化していることに伴い、わが国の企業では国際的な企業活動を担う人材への要求が強まっている。 このような状況の中で、留学生の我が国企業への就職を円滑に進めることの必要性が高まっており、留学生自身の努力に加えて、企業、就職支援機関等関係者による環境整備と支援策の充実が期待されている。 |
(2) | しかしながら、留学生に対する就職支援活動の現状をみてみると、公共職業安定機関等の就職支援機関がそれぞれ独自に展開していることから、留学生や企業など利用者への周知が十分でないばかりか、支援内容が必ずしもニーズに応じたものになっていないという状況が生じている。 したがって、留学生や企業が支援機関とその支援内容を十分に把握し、必要な支援が受けられるようにするとともに、就職支援の内容が利用者の態様やニーズに応じて一層充実したものとなるようなシステム作りが重要である。 |
(3) | このため、関係省庁、公的就職支援機関、教育関係機関・団体、経済団体、民間の支援機関・団体などの関係者から構成される「留学生の就職支援に関する連絡協議会」(以下「協議会」という。)を発足させ、就職支援を充実強化させるためのシステム作りに向けた協議を行うこととする。 |
2.協議事項
協議会では、就職支援に関するこれまでの取組状況を前提に関係者の役割分担を整理した上で、次の事項についての対応策を協議するものとする。
(1) 就職支援策の広範かつ的確な周知について
(2) 利用者のニーズに応じた就職支援策の確立について
(3) 地域レベルでの就職支援の具体的な取組の充実・強化について
3.構成等
協議会は次の関係機関により構成し、厚生労働大臣官房審議官(職業安定局担当)が随時参集を求めて開催する。
(1) 厚生労働省職業安定局外国人雇用対策課
(2) 文部科学省高等教育局留学生課
(3) 日本経営者団体連盟
(4) 日本商工会議所
(5) 全国中小企業団体中央会
(6) 教育関係機関・団体
(7) 民間の就職紹介機関、就職支援団体
(8) その他必要と認められる者
4.運営
懇談会の庶務は、厚生労働省職業安定局外国人雇用対策課において行う。
文部科学省高等教育局留学生課長 | 坪井 裕 |
日本経営者団体連盟労務法制部長 | 須永 宏 |
日本商工会議所産業政策部長 | 坪田 秀治 |
全国中小企業団体中央会調査部長 | 原川 耕治 |
(財)内外学生センター事業部長 | 高久 守 |
関東大学就職指導研究会会長 東海大学就職部次長 | 後藤 俊郎 |
国際教育文化交流協会代表 | 田中 カズ子 |
(社)日本人材紹介事業協会 (株)ディスコ社長室長 | 林 和雄 |
照会先: 職業安定局外国人雇用対策課 電話 03-5253-1111(内線5685) 03-3502-6273(直通)