平成13年5月30日
1.これまでの経緯
(1) 重篤な疾病であるインフルエンザ脳炎・脳症については、平成11年度より、「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」(班長:森島恒雄名古屋大学医学部教授)において、その発症機序等の解明のための調査研究が行われている。
(2) 平成12年11月、上記の研究結果を踏まえ厚生省では、ジクロフェナクナトリウムについて、明確な因果関係は認められないものの、インフルエンザ脳炎・脳症患者に対する投与を禁忌とすることとし、ジクロフェナクナトリウムを含有する解熱剤を製造、販売する関係企業に対し、使用上の注意の改訂等を指示した。
(3) 一方、日本小児科学会では、平成12年11月、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンが適切であり、非ステロイド系消炎剤の使用は慎重にすべきである旨の見解を公表した。
(参考)我が国のインフルエンザの学童における罹患数は、年間50万〜100万人とされ、このうち、脳炎・脳症となる症例(インフルエンザ脳炎・脳症)は100〜300人、その死亡率は30%前後とされている。
2.医薬品等安全対策部会における検討結果
平成12年から平成13年の冬季流行期が過ぎ、インフルエンザによる発熱に対して使用する解熱剤に関して各方面の意見等をまとめるため、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会の場において、日本小児科学会、研究者、製薬企業、さらに市民団体であるCOML東京も交えて意見交換を行い、次の合意事項を得た。
『小児のインフルエンザにともなう発熱に対して、メフェナム酸製剤の投与は基本的に行わないことが適当である』
3.今回の合意事項に基づく対応
(1) 厚生労働省では、今回の部会における合意事項について広く周知を図るため、各都道府県衛生主管部(局)長あて通知を行う。また、日本医師会、日本薬剤師会等、関係団体に対して、会員等へ周知徹底を図るよう要請する。
なお、医薬品等安全対策部会に参加した各団体に対しても、部会の場において会員等への周知を依頼している。
(2) 厚生労働省では、引き続きインフルエンザ脳炎・脳症の重症化とジクロフェナクナトリウム及びその他の解熱剤との因果関係等について調査研究を実施する。
(照会先) 医薬局安全対策課 伏見、工藤 TEL(03)5253-1111 内線2755、2753
倉田雅子 | COML東京 |
佐藤俊哉 | 京都大学大学院医学研究科 (厚生科学研究「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床経過と解熱剤投与 の関係に関する研究」主任研究者) |
高橋莞二 | (株)三共常務取締役 |
鳥羽 剛 | 千葉県こども病院長、 日本小児科学会理事 |
森島恒雄 | 名古屋大学医学部教授 (厚生科学研究「インフルエンザ脳炎・脳症に関する研究」主任研究者) |
横田俊平 | 横浜市立大学医学部教授 (厚生科学研究「インフルエンザ脳炎・脳症に関する研究」分担研究者) |