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C型肝硬変進展例の輸血時年齢と組織像の推移の図


輸血によるC型肝炎感染年齢と肝癌発生時年齢(52症例)の図


ウイルス性肝炎対策の経緯(厚生労働省)

年代 対策
研究 対策 その他トピックス
昭和30年 ・血清肝炎調査研究班(38年) ・「献血の推進について」閣議決定(39年) ・ライシャワー事件(ライシャワー駐日米国大使が負傷し、治療のための輸血で肝炎に感染)(39年)
昭和40年

昭和49年
    ・オーストラリア抗原が輸血後肝炎の原因と証明される(昭和43年)。
  ・買血制度廃止、血液銀行で血液を預かって運用する預血制度に切り替え(44年)  
    ・オーストラリア抗原の検査法確立(45年)

・B型肝炎の母子垂直感染報告(45年)
・厚生省特定疾患:難治性の肝炎調査研究班(47年)(「科学技術庁:血清肝炎の特別研究」(46年)を引き継ぐ) ・献血血液に対して、B型肝炎ウイルス抗原(HBs抗原)検査導入(47年)  
  ・預血制度が廃止され、輸血用製剤がすべて献血で賄われる体制を確立(49年)  
昭和50年

昭和59年
・厚生省特定疾患:肝炎胆汁うっ滞調査研究班(50年)

・B型ワクチン研究開始(51年)(「科学技術庁のB型肝炎ワクチン研究補助」を引き継ぐ(50年)
・B型ワクチン開発協議会発足(50年)  
・厚生省特定疾患:難治性の肝炎調査研究班(53年) ・厚生省肝炎研究連絡協議会発足(肝炎対策の産、学、官の検討の場)(54年)→現在も継続

・厚生省肝炎研究連絡協議会「B型肝炎医療機関内感染ガイドライン」をまとめる(55年)

・B型肝炎の免疫グロブリン(抗体)の製造承認(55年)
・A型肝炎の診断及び非A非B型肝炎の存在が証明される(53年)
  ・厚生省肝炎対策推進協議会設置(56年) ・(財)ウイルス肝炎研究財団設立(56年)
  ・厚生省肝炎研究連絡協議会「HBウイルス無症候性キャリアー指導の手引き」をまとめる(58年)

・B型肝炎ワクチン製造承認(59年)
 
昭和60年

昭和63年
  ・都道府県に対して「B型肝炎の予防方法」を通知(60年)

・妊婦HBs抗原検査に関する国庫補助開始(60年)

・インターフェロンについてB型慢性活動性肝炎に保険適用(61年)
 
・厚生省特定疾患:難治性の肝疾患調査研究班(62年)・(ウイルス性肝炎関係が厚生省非A非B肝炎研究班に移行) ・血漿分画製剤(凝固因子製剤)についてウイルス不活化工程の導入(62年)(アルブミン、グロブリン製剤等は、従前より不活化されている)

・都道府県に対して「医療機関におけるB型肝炎の予防について」を通知(62年)
 
  ・A型、B型肝炎ウイルス関連検査を保険適用(63年) ・非A非B型肝炎の原因が同定される(63年)C型肝炎ウイルスの発見

・C型肝炎ウイルスの検査法の発見(63年)
平成元年

平成9年
・厚生省非A非B型肝炎研究班(平成元年)(平成10年度新興・再興感染症事業に移行) ・都道府県及び医師会に対し「B型肝炎患者
家族に対するワクチン接種費用の医療費控除について」を通知(元年)

・献血血液に対して、C型肝炎ウイルス抗体検査、B型肝炎ウイルス抗体(HBc抗体、HBs抗体)検査導入(元年)
 
    ・「肝臓週間」実施(3年)
  ・C型肝炎ウイルス関連検査に保険適用(4年)

・インターフェロンについてC型肝慢性活動性肝炎効能追加、初回投与のみ保険適用 (4年)

・献血血液に対して、第2世代HCV抗体検査法(PHA法)を導入(4年)

・A型肝炎予防ワクチン承認(6年)

・非活動性のC型慢性肝炎にインターフェロンの保険適用(9年)
 
平成10年 ・厚生科学研究費補助金:新興・再興感染症研究事業(10年) ・B型肝炎母子感染防止事業の一般財源化(10年)

・献血血液について、B型肝炎及びC型肝炎ウイルスについて核酸増幅検査(NAT)を導入(11年)

・C型肝炎に対するインターフェロンの再投与に保険適用(12年)
 


ウイルス性肝炎対策等に関連する予算の現状(厚生労働省:(注1))

(単位、千円)
項目 年度 平成8年 平成9年 平成10年 平成11年 平成12年
肝炎及び肝がん関係経費
(注2)
厚生科学研究費補助金等(注4) 395,040 430,316 378,080 373,692 534,932
B型肝炎母子感染防止事業(注5) 608,708 551,642
ウイルス性肝炎予防感染者支援事業(注6) 6,499 6,602 3,940 3,960 3,994
肝炎及び肝がん関連経費合計 1,010,247 988,560 382,020 377,652 538,926
その他関関連経費(注3) 老人保健健康増進等事業等(注7) 0 4,207 16,313 21,372 34,106
がん診療施設情報ネットワーク開発普及事業(注8) 5,856 5,920 6,375 6,434 6,461
がん診断総合支援システム(注9) 1,090,303 1,111,475 1,111,475 1,208,600 1,111,475
がん総合相談事業(注10) 5,844 5,895 2,970 3,023 3,032
  その他関連経費合計 1,102,003 1,127,497 1,137,133 1,239,429 1,155,074

注1肝炎対策に関連して国費負担によって実施する主要な対策をまとめた
注2直接ウイルス性肝炎及び肝がん対策を中心とした事業
注3一部当該事業中にウイルス性肝炎及び肝がん対策が含まれる事業
注4厚生科学研究費補助金、国立病院・療養所治療研究費、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構の出資金
注5母子感染を起こす恐れのある妊婦を発見して、出生した子の急性肝炎の発症及びキャリア化を防止する事業 平成10年度から一般財源化
注6ウイルス肝炎感染者に必要な医療、日常生活等に必要な知識等の健康福祉に関する相談等を実施する事業
注7高齢者の介護、介護予防、老人保健及び健康増進等に関わる先駆的、試行的な事業等を助成する補助事業等
注8国立がんセンターに設置されたスーパーコンピュータを活用し、地方中核のがんセンター(公立病院等)とのがんの診断法、治療法等最新の情報を提供・交換するための補助事業
注9国立がんセンターに設置されたスーパーコンピュータを活用し、国立がんセンターと国立地方がんセンターとのがんの診断法、治療法等最新の情報を提供・交換するための事業
注10一般住民を対象とした肝がんを含む疾病予防や治療法の選択、QOL(生活の質)の向上等の総合的な相談事業の実施


ウイルス性肝炎対策に関連した研究の概要(厚生労働省)

年度 研究課題名 金額(千円) 研究者名 所属
8 非A非B型肝炎の病原体の検索・同定・病態把握法の確立に関する研究 85,100 鈴木 宏 山梨医科大学
8 ウイルス発がんにおける細胞のがん化機構解明に関する研究 77,250 下遠野 邦忠 京都大学ウイルス研究所
8 かん転移の臓器・組織特異性からみた抑制と治療との関係 10,200 神野 健二 国立病院四国がんセンター
8 発がんの高危険度群を対象とした予防研究 78,200 垣添 忠生 国立がんセンター
8 輸血後感染症に関する研究 50,000 菊地 秀 国立仙台病院
8 ウイルスを標的とした発がん予防の研究 51,000 吉倉 廣 東京大学医学部
8 肝臓の微小がんに関する基礎的・臨床的研究 28,950 坂元 亨宇 国立がんセンター
8 C型肝炎ウイルス感染による肝細胞がん発生の予防と治療に関する研究 14,340 井廻 道夫 自治医科大学
  小計 395,040    
 
9 非A非B型肝炎の病原体の検索・同定・病態把握法の確立に関する研究 85,100 鈴木 宏 山梨医科大学
9 ウイルス発がんにおける細胞のがん化機構解明に関する研究 50,000 加藤 宣之 岡山大学医学部
9 ウイルスを標的とする発がん予防に関する研究 51,000 吉倉 廣 国立国際医療センター
9 人工免疫グロブリン等の開発に関する研究 58,000 松浦 善治 国立感染症研究所
9 輸血後感染症に関する研究 10,000 菊地 秀 国立仙台病院
9 開発途上国におけるウイルス肝炎の実態調査と診断・治療法の向上に関する研究 18,000 林 茂樹 国立国際医療センター
9 難治性の肝疾患 50,000 小俣 政男 東京大学大学院医学研究科
9 C型肝炎ウイルス増殖機構の解明とその制御方法の開発の基礎 65,000 小俣 政男 東京大学大学院医学研究科
9 肝臓の微小がんに関する基礎的・臨床的研究 29,916 坂元 亨宇 国立がんセンター
9 C型肝炎ウイルス感染による肝細胞がん発生の予防と治療に関する研究 13,300 井廻 道夫 自治医科大学
  小計 430,316    
 
10 非A非B型肝炎の予防、疫学に関する研究 50,000 吉澤 浩司 広島大学医学部
10 非A非B型肝炎の臨床的総合研究 35,000 飯野 四郎 聖マリアンナ医科大学
10 ウイルス発がんにおける細胞のがん化機構解明に関する研究 42,500 加藤 宣之 岡山大学医学部
10 ウイルスを標的とする発がん予防に関する研究 46,000 吉倉 廣 国立国際医療センター
10 人工免疫グロブリン等の開発に関する研究 30,000 松浦 善治 国立感染症研究所
10 C型肝炎に対するDNAワクチンの研究 3,000 森山 貴志 自治医科大学
10 輸血後感染症に関する研究 16,000 菊地 秀 国立仙台病院
10 肝硬変患者の栄養治療によるQOL改善に関する研究 3,000 高橋 陽 国立横浜病院
10 慢性肝疾患研究ーウイルス性肝疾患の疫学、臨床的研究 2,800 原田 英治 国立療養所東京病院
10 国立病院・療養所肝疾患ネットワークによる症例研究 7,000 矢野 右人 国立長崎中央病院
10 開発途上国におけるウイルス肝炎の実態調査と診断・治療法の向上に関する研究 17,000 林 茂樹 国立国際医療センター
10 C型肝炎の長期予後と対策 5,000 矢野 右人 国立長崎中央病院
10 非ABC型急性肝炎の調査と起因ウイルスに関する研究 3,000 古賀 満明 国立長崎中央病院
10 C型肝炎ウイルスのインターフェロン(INF)の治療効果を増強する新薬開発研究 15,000 小長谷 昌功 国立感染症研究所
10 バイオテクノロジーによるワクチンの創製と改良技術の開発 5,000 松浦 善治 国立感染症研究所
10 C型肝炎ウイルス増殖機構の解明とその制御方法の開発の基礎 60,000 小俣 政男 東京大学大学院医学研究科
10 肝臓の微小がんに関する基礎的・臨床的研究 23,950 坂元 亨宇 国立がんセンター
10 肝炎ウイルス感染による肝細胞がん発生の抑制に関する研究 13,830 小林 健一  金沢大学医学部
  小計 378,080    
 
11 非A非B型肝炎の予防、疫学に関する研究 55,000 吉澤 浩司 広島大学医学部
11 非A非B型肝炎の臨床的総合研究 35,000 飯野 四郎 聖マリアンナ医科大学
11 ウイルス発がんにおける細胞のがん化機構解明に関する研究 42,500 加藤 宣之 岡山大学医学部
11 ウイルスを標的とする発がん予防に関する研究 46,000 吉倉 廣 国立国際医療センター
11 人工免疫グロブリン等の開発に関する研究 28,000 松浦 善治 国立感染症研究所
11 C型肝炎に対するDNAワクチンの研究 3,000 森山 貴志 自治医科大学
11 輸血後感染症に関する研究 6,000 菊地 秀 国立仙台病院
11 透析医療における感染症の実態把握と予防対策に関する研究 5,000 秋葉 隆 東京医科歯科大学医学部
11 C型肝炎(HCV)ウイルスによる肝外症状の臨床的検討 3,000 牧野 泰裕 国立岩国病院
11 肝移植病理画像診断ネットワーク開発の研究 1,320 中村 賢二郎 国立小倉病院
11 肝硬変患者の栄養治療によるQOL改善に関する研究 2,000 高橋 陽 国立横浜病院
11 慢性肝疾患研究ーウイルス性肝疾患の疫学、臨床的研究 2,022 原田 英治 国立療養所東京病院
11 国立病院・療養所肝疾患ネットワークによる症例研究 7,000 矢野 右人 国立長崎中央病院
11 開発途上国におけるウイルス肝炎の実態調査と診断・治療法の向上に関する研究 17,000 林 茂樹 国立国際医療センター
11 C型肝炎の長期予後と対策 5,000 矢野 右人 国立長崎中央病院
11 非ABC型急性肝炎の調査と起因ウイルスに関する研究 2,000 古賀 満明 国立長崎中央病院
11 C型肝炎ウイルスのインターフェロン(INF)の治療効果を増強する新薬開発研究 15,000 小長谷 昌功 国立感染症研究所
11 バイオテクノロジーによるワクチンの創製と改良技術の開発 5,000 松浦 善治 国立感染症研究所
11 C型肝炎ウイルス増殖機構の解明とその制御方法の開発の基礎 67,000 小俣 政男 東京大学大学院医学研究科
11 肝炎ウイルス感染による肝細胞がん発生の抑制に関する研究 13,900 小林 健一  金沢大学医学部
11 肝細胞がんに対する肝動脈塞栓療法の延命効果に関する研究 12,950 岡田 周市 国立がんセンター
  小計 373,692    
 
12 非A非B型肝炎の予防、疫学に関する研究 60,000 吉澤 浩司 広島大学医学部
12 非A非B型肝炎の臨床的総合研究 35,000 飯野 四郎 聖マリアンナ医科大学
12 発がん高危険群を対象としたがん予防に関する基礎及び臨床研究 100,000 若林 敬二 国立がんセンター
12 ウイルスを標的とした発がん予防の研究 56,000 吉倉 廣 国立国際医療センター
12 臨床応用に向けた抗HCVヒト型抗体の開発に関する研究 104,582 松浦 善治 大阪大学微生物研究所
12 INFレセプターを指標としたC型慢性肝炎の効率よい治療法の開発と肝ネットによる治療実態解明に関する研究 8,000 矢野 右人 国立長崎中央病院
12 肝ネットによるB型肝炎ラミブジン治療に関する研究 4,500 古賀 満明 国立長崎中央病院
12 肝ネットによる急性肝炎の実態調査とHBV遺伝子解析による肝炎重症度に関する研究 4,500 八橋 弘 国立長崎中央病院
12 透析医療事故の実態調査と事故マニュアルの策定 7,000 平澤 由平 (社)日本透析医会
12 開発途上国におけるウイルス肝炎キャリアの実態及び防御に関する研究 19,000 林 茂樹 国立国際医療センター
12 ウイルス性慢性肝炎の発症に関与する宿主遺伝子解析 30,000 鈴木 哲朗 国立感染症研究所
12 C型肝炎ウイルスのインターフェロン(INF)の治療効果を増強する新薬開発研究 10,000 小長谷 昌功 国立感染症研究所
12 バイオテクノロジーによるワクチンの創製と改良技術の開発 5,000 松浦 善治 大阪大学微生物研究所
12 C型肝炎ウイルス増殖機構の解明とその制御方法の開発の基礎 67,000 小俣 政男 東京大学大学院医学研究科
12 肝炎ウイルス感染による肝細胞がん発生の抑制に関する研究 12,400 小林 健一 金沢大学医学部
12 肝細胞がんに対する肝動脈塞栓療法の延命効果の評価に関する研究 11,950 岡田 周市 国立がんセンター
  小計 534,932    


日本における輸血後肝炎発症率の年次別推移の図


CDC - Viral Hepatitis C - Fact Sheet 9/29/2000版(仮訳

(米国の状況)

Center for Disease Control and Prevention National Center for Infectious Diseases
Division of Viral and Rickettsial Diseases Hepatitis Branch


臨床症状 黄疸、全身倦怠、腹痛、食欲不振、間欠性吐気、嘔吐。
原因 C型肝炎ウイルス。
発生率 米国における年間の新規感染患者数は36,000人。(1996年推定値)
転帰 感染者の25〜30%は有症状。
感染者の85%以上が慢性化(持続感染)。
感染者の70%が慢性肝疾患。
米国では慢性肝疾患により年間8,000〜10,000人が死亡。
肝移植の最も多い適応。
有病率 米国人の390万人(1.8%)が感染していて、270万人は慢性化(持続感染)。
費用 年間の医療費・労働力で6億ドルの損失。(移植費用は除く)
伝播経路 基本的には血液である。性行為感染、母子感染もありうる。
ハイリスクグループ 注射薬物使用者。
血液透析患者。
保健医療従事者。
感染者の性的接触者。
多数の性的パートナーを持つ者。
1992年7月以前の輸血レシピエント。
1987年以前の凝固因子製剤レシピエント。
感染婦人から生まれた幼児。
傾向 発生率が安定したのは1980年代、減少したのは1990年代。
輸血に関連した症例は供血者スクリーニング以前に起こった。現在は稀。
新患の多く(60%)はハイリスクの薬物中毒者
検査 抗体陽性供血者由来の血液のレシピエント。
1992年7月以前の輸血もしくは固形臓器レシピエント。
1987年以前の凝固因子製剤レシピエント。
慢性血液透析患者。
非合法薬物を注射した者、ずっと以前に数回だけの経験の者も含む。
HCV陽性の血液に暴露された保健医療従事者、公共安全従事者。
HCV陽性の母から生まれた子供。
予防 血液・臓器・組織ドナーのスクリーニング。
ハイリスク習慣を減らす・変えるためのカウンセリング。
治療 慢性C型肝炎患者の治療に対して承認された薬剤。
治療は患者の10〜40%に有効である。

注:意訳等(厚生労働省)により原文と不整合の部分がある可能性があります。
   内容に原文と不整合のある部分は、原文を優先して下さい。


(参考資料9)

各国における肝炎対策の状況




平成12年度厚生科学研究費補助金 新興・再興感染症研究事業
「感染症及び感染症対策の国際的動向に関する研究」
(主任研究者 京都大学 宮城島一明) 調査結果からの抜粋


<取材源>

各国行政機関の公式ホームページ、担当者からの聞き取り 等

<注意>

国により、B型肝炎、C型肝炎を明確に区別せずに回答している場合がある。
(例 : 感染経路、検査推奨対象 等)

<各国の人口>

米国 カナダ 英国 フランス ドイツ イタリア
2.7億人 0.3億人 0.6億人 0.6億人 0.8億人 0.6億人

<為替レート>

米国 カナダ 英国 フランス ドイツ イタリア
1ドル 1CAドル 1ポンド 1フラン 1マルク 1リラ
122.35円 78.14円 176.61円 17.04円 56.93円 0.06円

(平成13年3月21日現在)… 資料内の予算等の日本円換算に使用


  米国
1. 感染者数 (1) 390〜450万人(推定)

(2) 全人口の1.4〜1.6%

2. 疫学的特徴 (1) 年齢差等
  • 感染者の65%は30〜49歳
  • 20歳未満の感染率は低い。

(2) 遺伝子型

  • 慢性感染者の73.7%がI型(Ia型56.75%、Ib型17.0%)

(3) その他

  • 米国における血液由来疾患として蔓延度が最も高い。
  • アフリカ系アメリカ人における罹患率は白人より高い。
  • 10年間で、年間新規感染者数は約10分の1に減少した。
  • 将来推計
    効果的な治療法が開発されなければ、今後20年間で米国における肝がんによる死亡者は、現在の3倍(年間24,000人)となると推定されている。
3. 感染経路 (1) 輸血感染 7〜10%

(2) 静脈注射薬物使用60%

(3) 性行為による感染20%

4. 予防対策 (1) 輸血等での対応
  • 献血時のHCV抗体検査
      第1世代 1990年5月(EIA1.0)
      第2世代 1992年3月(EIA2.0)
      第3世代 1996年5月(EIA3.0)
  • 1999年3月 輸血用血液に対するNAT(PCR)検査を導入(同年6月義務付け)
  • ルックバック(遡及的調査)による新たな感染の予防

(2) 啓発等

  • 啓発キャンペーン実施
  • 検査勧奨の書簡を配布(HCVの危険性・コントロールの手段・リスクのある人に対して)
  • Websiteなどを通じた関連情報の提供
  • 退役軍人に対するHCV発見プログラムの実施
  • CDCによる一般市民向け教育キャンペーン、報道関係者への説明会の開催
  • 印刷物、ラジオ、ホットライン(24時間無料受付)
  • 医療従事者向けホットラインの開設(24時間無料受付)
5. 検査勧奨 ○ 非合法注射薬物経験者、以前の数回のみの履歴を含む

○ 1992年7月以前の輸血または固形臓器移植レシピエント

○ 長期にわたる腎臓透析経験者

○ 汚染血液に触れた注射針を刺したことがある者

○ HCV陽性の母から生まれた子

6. 財政措置  (1) 研究
  • NIHのHCV研究費 2,980万ドル(1998年度)
                3,440万ドル(1999年度見込み)
  • 向こう8年のHCV治療薬開発費として2,800万ドル(約34.3億円)を全国9センターに配分。

(2) 予防

  • 退役軍人局が2,000万ドル(約24.5億円)を投じHCVと診断された退役軍人に検査・カウンセリング・治療。
  • HCV予防の為の国家予算
    FY 1999 FY 2000
HCV国家予算
  ルックバック調査見積り 20万ドル 0万ドル
  情報、教育及び伝達 140万ドル 186.5万ドル
  州レベルでのHCVの予防とコントロール・プログラムの発展と実行 60万ドル 192.5万ドル
  査察 150万ドル 144.4万ドル
  疫学的及び実験的調査 130万ドル 131.6万ドル
  プログラム支援 0万ドル 310万ドル
  現在進行中の活動 70万ドル 95.1万ドル
  小計 : HCV活動支金 570万ドル 1,060万ドル
HCVに関する進行中の活動費
  進行中の、C型肝炎に関する活動 210万ドル 141万ドル
  プログラム支援 0万ドル 92万ドル
  小計 : HCVに関する進行中の活動費 210万ドル 233万ドル
  合計 : C型肝炎の活動支金 780万ドル 1,293万ドル
7. 治療方法 (1) 抗ウイルス療法
  • インターフェロン
  • インターフェロンとリバビリンの併用

(2) コンビネーション製品はインターフェロンアルファ単独療法後に再発した代償性疾患併発慢性C型肝炎を適応症として1998年6月に承認された。

8. 医療費の負担 ○ 汚染血液暴露を受けた人のHCV検査費用はメディケアでカバーされる。

○ インターフェロン療法については、医師の処方があればほぼ保険によりカバーされる。民間の保険では、その種類にもよるが通常95%程度がカバーされる。




  カナダ
1. 感染者数  (1) 24万人(推定)

(2) 全人口の0.8%

2. 疫学的特徴 (1) 年齢差等(詳細不明)

(2) 遺伝子型

  • I型が症例の3分の2
3. 感染経路 (1) 輸血感染 10 %

(2) 注射薬物使用者 70%

4. 予防対策 (1) 輸血等での対応
  • 献血時のHCV抗体検査
      第1世代 1990年3月(EIA1.0)
      第2世代 1992年1月(EIA2.0)
      第3世代 1996年5月(EIA3.0)
  • 1999年10月 NAT(PCR)検査を導入(2001年4月30日 献血液についてのNAT(PCR)検査義務付け予定)
  • ルックバックによる新たな感染の予防

(2) 啓発等

  • 注射薬物使用者向けの多方面からなる包括的な取り組み
  • 医療従事者、入れ墨・ボディピアスなどの施術者向けガイドライン
  • HCV感染者向けとして、妊婦および出産適齢期の女性に対する指導、カウンセリング
  • 一般向けとして、カナダ肝臓財団などがカナダ保健省、肝臓研究協会の支援を受けて発行するパンフレットによる知識の普及
5. 検査勧奨 ○ 全血液提供者(献血者)

○ 注射薬物使用者(過去に1回きりでも)

○ 1992年以前に血液・血液成分の投与を受けた者

○ 母親がHCV感染者である新生児

6. 財政措置 (1) 研究
  • HCV研究資金として5年間に1,840万CAドル(約14.4億円)

(2) 予防

  • 1999〜2003年度の5年間で5,000万CAドル(約39億円)の予防・サポート・研究プログラムを実施。
    このうち予防対策費は500万CAドル(約3.9億円)(10%)
7. 治療方法 (1) 抗ウイルス療法
  • インターフェロン・アルファ2bとリバビリンの併用
    治癒率40% (遺伝子型II,IIIでは65%、遺伝子型Iについては30%と低い)
    治療期間24〜48週間 (遺伝子型により異なる)
    治療前にHCVの遺伝子型を判定
  • インターフェロン単独療法(副作用などでリバビリンが使えない場合)

(2) その他

  • 肝移植(移植後再感染率100%、短期的な延命措置)
  • HAV、HBVのワクチン投与(併発による肝硬変発症のリスクを減らすため)
8. 医療費の負担 ○ インターフェロン療法の治療費については、基本的には患者の全額負担(保険による償還の対象ではない)
なお、インターフェロンの年間治療コストは患者1人当り7,000CAドル(約54.7万円)(保健省の見積り)



  英国
1. 感染者数  (1) 20万〜40万人(推定)

(2) 全人口の 0.4〜0.8% (ロンドン市街地では人口の約1%)

2. 疫学的特徴 ○ 血液ドナーの0.04%、妊娠検査通院者(ロンドン)の0.4%

○ 泌尿器科病院通院者の1%

○ 静脈注射薬物使用者の〜50%が感染している。

3. 感染経路 (1) 輸血感染
  • 1991年以前の血液または血液製剤により感染。

(2) その他

  • 妊娠中または出産中の母から子への感染(感染率6%)
4. 予防対策 (1) 輸血等での対応
  • 献血時のHCV抗体検査
      第1世代 1991年9月(EIA1.0)
      第2世代 1993年9月(EIA2.0)
      第3世代 1995年  (EIA3.0)
  • 輸血用血液に対して、NAT(PCR)検査は義務付けられていない(2001年3月現在)
  • 供給者登録制度:
    ナショナル血液サービス・コンピューター・システムを導入(1998年1月〜)

(2) 啓発等

  • HCVの基礎知識について、啓発用の資料(ポスター、リーフレットなど)を作成
  • 麻薬常習者の為のセミナーを開催
  • 普及啓発にかかる費用は中央政府が負担

(3)その他

  • 任意団体である英国肝臓信託(British Liver Trust)が、無料電話相談等を実施
5. 検査勧奨 ○ 注射薬物使用者(現在又は過去の使用者)

○ HCV感染者からの供血血液を受血した者

○ 医療従事者

○ 針刺し事故により血液に暴露した者

○ 血友病患者

6. 財政措置 (1) 研究
  • 約50万ポンド(約8,830万円)があてられ、ウィンドウ期の短縮等の研究を実施
  • その他  最近までに感染症全般(HCV以外も含む)の研究費として政府は1,500万ポンド(26億4,900万円)を支出。

(2) 予防

  • HCV感染者の国内登録費用(1997〜2003年) 41万1,000ポンド(約7,260万円)
  • HCV予防対策として特別な予算は組まれていない
7. 治療方法 (1) 抗ウイルス療法
  • インターフェロンとリバビリンの併用(患者の〜40%に有効)
  • 治療前にHCVの遺伝子型を判定

(2) その他

  • 肝移植
8. 医療費の負担 ○ National Health Serviceが負担

○ 医師が必要であると判断すれば患者の状態に関係なく政府のNational Health Serviceが負担する。




  フランス
1. 感染者数  (1) 50万人〜60万人(推定)

(2) 全人口の1.1〜1.2%(推定)

2. 疫学的特徴 (1) 年齢差等(詳細不明)

(2) 遺伝子型

  • Ib、Ia、IIa、IIb、IIcおよびIIIa遺伝子型が多い
3. 感染経路 (1) 輸血感染 37%

(2) その他

  • 静脈注射薬物使用による感染(注射器、器具の共用)(23%)
    (新規感染者の3分の2は薬物中毒者 含経鼻薬物使用)
    ただし、HCV感染者の約30%について感染経路の特定ができていない。
4. 予防対策 (1) 輸血等での対応
  • 献血時のHCV抗体検査
    第1世代 1990年3月(EIA1.0)
    第2世代 1991年半ば(EIA2.0)
    第3世代 1993年   (EIA3.0)
  • 2001年7月より 輸血用血液に対するNAT(PCR)検査義務付け。

(2) 啓発等

  • HCVについての書簡、パンフレット等を配布、ビデオの作成
  • Websiteなどを通じた関連情報の提供
  • 無料相談電話の設置
  • 特にリスクのある人を啓発、また医師に対しても検査の強化を勧告
  • 院内感染の防止:特に医療機器の正しい殺菌消毒方法等を指導
  • 薬物使用者に対する啓発
5. 検査勧奨 ○ 1991年以前に輸血を受けた者

○ 血友病患者

○ 血液透析患者

○ 注射薬物使用者

○ 感染者の配偶者

○ 感染者の母親から生まれた児

6. 財政措置 1999年1月の「対C型肝炎国家プログラム」により、2000年の活動に対し2,700万フラン(約4.6億円)の予算が組まれた。

(1) 研究
1998年にはC型肝炎研究のために2,000万フラン(約3.4億円)以上、1999年には900万フラン(約1.5億円)が追加予算として組まれた(とくに、国立エイズ研究所がC型肝炎研究をはじめたことによる)。

(2) 予防(「対C型肝炎国家プログラム」関係予算)

(1) 静脈注射薬物使用者に対する肝炎およびHIV検査に対する予算に追加されたもの
  • 特に検査が必要と思われるハイリスクグループ(薬物使用者、1991年以前の輸血者)に対する検査勧奨キャンペーン
           → 200万フラン(約3,400万円)(1999)
  • 匿名無料検査センター、各県無料検査所、受刑者対象の検査所等での検査の強化のための追加予算
           → 150万フラン(約2,500万円)(1999)

(2) ネットワーク拠点、臨床サービスの強化のための予算に追加されたもの

  • HCVネットワークの展開、治療費の負担、感染者医療書類の配置、感染者のための情報冊子の配布等
        → 740万フラン(約1.2億円)

(3) 薬物使用者に対する対策予算に追加されたもの

  • 液刑務所内の衛生対策強化、院内感染対策強化、血液に医療従事者の教育等
            → 260万フラン(約4,400万円)

(4) 国立保健衛生監視研究所(Institut National de Veille sanitaire)のC型肝炎疫学研究に追加されたもの

  • 有病率、新患発生率を追うことにより、C型肝炎の動向を見る、最近の感染の経過・検査及び治療の必要性を判断する
         → 200万フラン(約3,400万円)
(<参考> 上述プログラムの評価に対し、50万フラン(約850万円)の予算も組まれている。)
7. 治療方法 (1) 抗ウイルス療法
  • インターフェロン・アルファ
  • インターフェロン・アルファとリバビリンの併用
    患者の40〜45%が治癒(治療停止6ヶ月後にPCR検査陰性であれば治癒とみなす)
8. 医療費の負担 ○ HCV検査は全て100%社会保険による償還の対象

○ インターフェロン治療に関しては、100%社会保険による償還の対象

  • 通常、EIA+、PCR+(近年ではRT-PCRが主流)、肝生検(Knodell Score含む)により治療を判断
  • リバビリンへの移行、インターフェロン+リバビリンへの移行でも、社会保険の償還割合は100%
  • インターフェロン+リバビリンの6ヶ月1クールの薬価は概ね4万フラン(約68万円) 疫学調査によると感染者は国民の1.5%の100万人に近いと思われ、社会保険も予算枠の確保に苦心している様子である



  ドイツ
1. 感染者数  (1) 約27.5(陽性)万人〜89万人(推定)

(2) 全人口の0.4%(33万人)
(但し、刑務所、リハビリ/養護施設、病院、老人ホーム、薬物使用者などのデータがなく、実際は高くなると考えられる)

2. 疫学的特徴 (1) 年令差等(詳細不明)

(2) 遺伝子型

  • Ibは、高齢者およびC型肝炎発見時に末期段階にあった患者に多い
  • IIIaは若年齢層および薬物使用者に多く、現在増加中(近いうちに1bの患者数を追い抜くと推測されている)
3. 感染経路 (1) 輸血感染
  • 1991年以前に不活性化(滅菌)処理をされていない血液製剤を使用した
    血友病患者の約90%が感染
    血液透析患者の10〜40%が感染

ただし、約40%について、感染経路の特定ができていない。
4. 予防対策 (1) 輸血等での対応
  • 献血時のHCV抗体検査
      第1世代 1990年7月(EIA1.0)
      第2世代 1994年   (EIA2.0)
      第3世代 1997年6月(EIA1.0)
  • 1999年4月1日からNAT(PCR)検査を導入

(2) 啓発等

  • 最もハイリスクである注射薬物常用者に対し、注射の回し打ちを止めるようアピール
  • コンドーム使用の宣伝活動
  • 医療関係者に対し、患者の治療等に際してのHCV感染予防を勧告
  • 殺菌に関して「ドイツ保健省検査済/認定殺菌剤および殺菌方法一覧」に詳細を記載 NGO、感染者の会などが相談、情報提供などの活動を行っている。
5. 検査勧奨 ○ 公的に検査を求められる、もしくは勧められている集団はない。

6. 財政措置 (1) 研究・予防(HCV以外も含む感染症関連財政措置)
  2001年 2002年 2003年 2004年
連邦啓発センターによる一般的な衛生の啓蒙活動 800万マルク 800万マルク 800万マルク 800万マルク
地域性を超えて重要性が認められ科学的研究施設に対する助成 580万マルク 580万マルク 580万マルク 580万マルク
エイズならびにその他の性交渉を通じて感染する病気に対する認識・撲滅を目的とした研究および開発計画 4510万マルク 4880万マルク 4880万マルク 4880万マルク
新しい伝染病撲滅 170万マルク 180万マルク 190万マルク 200万マルク
合計 6060万マルク 6440万マルク 6450万マルク 6460万マルク
7. 治療方法 (1) 抗ウイルス療法
  • インターフェロン-アルファ(IFN): 患者の15〜20%に有効
  • インターフェロン-アルファ(IFN)とリバビリンの併用(薬名:イントロン、レベトール):約50%の患者に有効
8. 医療費の負担 ○ インターフェロンは高価な薬剤である為、健康保険が必ずコストを負担する薬ではない。医師の側でも承知しているので、処方には非常に注意が払われているが、「インターフェロン投与が必要不可欠である特別な場合」においては、健康保険による負担が認められている。その際には「症例ごとに」健康保険組合と医師の双方によって審査が行われ、認可決定が下されている。なお、投与期間の限定等、全ての症例に共通する規定等は存在しない(あくまでも、「各症例にあわせた」対応がなされている)。



  イタリア
1. 感染者数  (1) 200万人(推定)

(2) 全人口の3.5% (推定)

2. 疫学的特徴 (1) 年齢差等
  • 感染率は男女ともに20歳から29歳までに多く、女性では60歳〜69歳までの年齢に多い。
3. 感染経路 (1) 輸血感染
  • 1991年までは、輸血、血液透析による感染がほとんど。
  • 献血時のスクリーニング検査により、輸血経由による感染率は15%から0.2%にまで減少

(2) その他

4. 予防対策 (1) 輸血等での対応
  • 献血時のHCV抗体検査
      第1世代 1990年7月21日(EIA1.0)
    90年以降徐々に検査方法が変化した。正確な日付は不明である。
  • 現在の抗体検査には第3世代検査(EIA3.0)が用いられている。(イタリア保健省コメント)
  • 現在の抗体検査の方法:肝炎財団によればCobas core anti-HCV.
  • 輸血用血液に対する NAT(PCR)検査は義務づけられていない。(2001年3月)

(2) 啓発等

  • イタリア保健省の協力により、Comitato epa C(C型肝炎委員会)による、電話相談窓口
  • 保健省、保健省附属団体によるアピール、資料公開など
5. 検査勧奨 ○ 過去、特に1990年以前に輸血、ヘモグロビンの輸血を受けた者

○ 血液透析を受けている者

○ 麻薬中毒症状の者、あるいは過去にその履歴を持つ者

○ B・C型肝炎患者と同居、あるいは性的接触を持った事のある者

○ 血液検査において、トランスアミナーゼに僅少でも変化のあった者

6. 財政措置 (1) 研究
  • 1億円(1999年研究費)

(2) 予防

  • 使い捨て注射器の製造、商品化、広告宣伝など
注射針の共用によって、エイズ対策にも留意しながら感染が広がる病気を防ぐ目的に充てられた保健省の予算配分は、1990年、合計100億リラ(約6億円)であった。 使い捨て注射針の製造、商品化、広告宣伝等を支援する政策の実現化に充てられた上記合計額は、インシュリン注射用注射器の市場における使い捨て注射器の推進を目的とした。
7. 治療方法 (1) 抗ウイルス療法
  • インターフェロン: 患者の35%〜40%に対して有効。
  • インターフェロンとリバビリンの併用では効果の高さが報告されている。
  • 研究段階の薬剤として、アマンタジンがある。
8. 医療費の負担 ○ イタリアでは医療費は国から国公立の病院、医師に支払われるため、国民(患者)が医療費を支払うことはない。(私立医院は別)

○ 処方箋一件につき6,000リラ(約360円)を支払うのみ。インターフェロン一回の処方に対しては、国民は約1,000リラ(約60円)を支払う。




  日本
1. 感染者数  (1) 100〜200万人(推定)

(2) 全人口の1〜2%(推定)

2. 疫学的特徴 (1) 年齢差等
  • HCV抗体陽性率(献血者集団1995.4〜1996.3)
      全体:0.56%
      40歳台:1.29%
      50〜60歳:2.54%

(2) 肝がん患者の9割は肝炎ウイルスの持続感染者

  • 肝がん死亡(年間3万人以上)の9割以上がB型、C型肝炎ウイルスの持続感染者。
    (その80%以上がC型肝炎ウイルスに関係するという報告がある)

(3) 遺伝子型

  • II型が多い。
3. 感染経路 (1) 輸血感染
  • 1989年にHCVが同定されるまでは、輸血を受けた人の7〜20%がHCVに感染した。

(2) その他

  • 覚醒剤の回し打ちや入れ墨での感染 等
4. 予防対策 (1) 輸血等での対応
  • 献血時のHCV抗体検査
      第1世代 1989年12月
      第2世代 1992年2月
  • 1997年11月から血漿分画製剤に対してNAT(PCR)検査を導入。
  • 1999年10月から輸血用血液に対してNAT(PCR)検査を導入。
  • 2001年3月から製造又は輸入される医薬品原料についてのNAT(PCR)検査を導入

(2) 啓発等

  • ウイルス肝炎研究財団へ補助を行い、相談窓口を設置
  • 肝炎週間にあわせて肝炎ウイルス財団の主催するシンポジウム等の啓発事業を支援 「がんのしおり」「生活習慣病のしおり」等の冊子による肝がん予防についての知識の普及啓発
5. 検査勧奨 ○ 一般的な普及啓発(ターゲットを絞っての勧奨はしていない)
6. 財政措置 (1) 研究
  • 肝炎及び肝がん関係経費(平成12年度) 約9.1億円
    (厚生労働省 約5.3億円、文部科学省 約3.8億円)

(2) 予防

  • 肝炎予防・感染者支援 約400万円

(3) その他

  • がんの治療情報など最新の情報を提供・交換するなどの関連した事業等 約11.6億円
7. 治療方法 (1) 抗ウイルス療法
  • インターフェロン:対象は、C型慢性活動性肝炎(有効症例には、再投与も認められている)
  • リバビリンは、治験段階

(2) 対症療法

8. 医療費の負担 ○ インターフェロン療法について保険適用
  • 初回投与は、肝炎症状(検査値または生検で)があれば、全ての患者に保険適用
  • 再投与は、初回投与で効果があったもので、かつウイルス型、ウイルス量により保険適用を決定


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