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平成13年3月6日(火)

勤労者のボランティア活動への参加をすすめるアピールを発表
「仕事とボランティア、どちらも私の中心生活」


「企業及び勤労者のボランティア活動に関する調査」結果も公表
〔概 要〕
勤労者のボランティア活動をすすめるアピールについて
 勤労者のボランティア活動への参加を促進するための企業や地域における仕組みづくりについて検討してきた勤労者マルチライフ支援事業推進会議(座長:堀田力さわやか福祉財団理事長)が、厚生労働省との連名で、勤労者にボランティア活動への参加を呼びかけるアピール及び企業に従業員のボランティア活動支援を呼びかけるアピールを取りまとめた。(別紙
 平成13年度から本格的に実施する勤労者マルチライフ支援事業(参考1)において、本アピールを活用し、ボランティア活動に関心を持ちながら行動していない勤労者層に、気軽に無理せずボランティア活動を始めることを呼びかけることとしている。
「企業及び勤労者のボランティア活動に関する調査」結果について
 アピールと併せて、同事業の実施主体となる日経連及び地方経営者協会が実施した「企業及び勤労者のボランティア活動に関する調査」結果(参考2)が推進会議に報告された。その内容は以下のとおり。

(1)調査の概要
  1. 調査地域
    平成12年度に勤労者マルチライフ支援事業の準備を行っている8都府県
    茨城県、群馬県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、岡山県、広島県
  2. 調査対象
    企業調査・・・各都府県の経営者協会に加入している企業6845社に依頼し、うち1862社が回答
    従業員調査・・各都府県の経営者協会に加入している企業の従業員5455人に依頼し、うち2127人が回答
  3. 調査時期
    平成12年12月
(2) 企業調査の結果
  • 企業自身が行う地域活動について、「祭りなど地域行事への参加・寄付」、「ごみ拾い」、「募金活動」などを行っている企業は多く、何も行っていない企業は約1割のみである。
  • 従業員が行うボランティア活動については、ほとんどの企業は「地域の発展に貢献」、「従業員の視野の拡大」、「従業員の生きがい推進にプラス」など肯定的にとらえている。
  • 従業員のボランティア活動に対して「支援策あり」の企業は約2割、「今後検討」する企業も約2割、一方、約5割の企業は「関与しない」としている。
  • 支援の内容は「支援策あり」、「今後検討」のどちらの企業も、「ボランティア活動を支持している姿勢を示す」、「ボランティア休暇制度」、「ボランティア関連情報の提供」が多い。
  • 勤労者マルチライフ支援事業について関心を示す企業は全体の2/3近くに上っている。
(3)従業員調査の結果
  • 勤労者の7割はボランティア活動に関心を持っているが、現在、活動をしている人は16%にすぎず、56%は今後やってみたいと考えている。
  • 現在ボランティア活動を行っている人は、「地域活動」、「青少年・児童の保護・育成」、「環境保護」などの活動に「月1〜3回」、「週末・休日」に参加している人が多い。また、ボランティア活動をして良かった点(複数回答)として「多くの人とのつながり」や「見方、考え方の深まり」を挙げる人が6〜7割と多い。
  • ボランティア活動を今後やってみたい人に聞いたところ、「できる内容のものがみつかれば」または「時間ができれば」、「環境保護」や「地域活動」、「福祉」などの活動を、「週末・休日」に行いたいという人が多い。また、活動を始める時期は「できるだけ早く」または「1〜2年以内」とする者が約4割であるのに対して、「退職が近づいたら」又は「退職後」とする者が約5割と分かれた。さらに、参加単位(複数回答)は、「個人で」参加したい人が約6割、「友人と」参加したい人が約4割、「家族と」が約3割である。
  • ボランティア活動の予定がない人にその理由を聞いたところ「時間がない」、「何ができるか不明」、「どのように参加するかわからない」ためとする人が多い。

(別紙)

勤労者マルチライフ支援事業推進会議
厚生労働省労働基準局勤労者生活部
勤労者の皆さんへ
 「仕事とボランティア、どちらも私の中心生活」

新しい体験をしませんか

  • いつもと違う生活体験、仕事と違う充実感
    職場と違うおつきあい(ネットワーク)が新鮮です
    組織や地位ではなく、裸のひとりひとりが求められています
    あなたのやったことが喜んでもらえること、社会に役立っていることを実感できます
  • あなたの手で新しい地域社会づくり
    これからはモノでもカネでもない、心の豊かさ、暖かさが大事です
    お互い様の気持ちがボランティアの始まりです
    親の持つ思いやりの暖かい心は子供にも伝わります
  • 仕事とボランティアは共存共栄
    あなたの経験、能力、つながりをボランティアにいかしましょう
    ボランティアで得た新しい発想・価値観、ネットワークは仕事にもつながります
  • ボランティアは退職後の生きがい探求
    退職後の20年をどう過ごしますか?仕事からの引退は社会からの引退ではありません
    退職してからの生きがい探しでは遅すぎます。在職中からの複線化が大事です
始めることは簡単です
  • まず、興味のあることを
    子育て・教育、福祉、環境、文化、スポーツ、街づくりなどの多様な活動があります
    楽しく、無理せず続けることが肝心です
  • あなたが可能な時に
    勤務時間後や週末、休暇の活用などいろいろな方法でできます
    自宅で時を選ばない活動もあります
  • 仲間と一緒に
    家族(夫婦、親子)と共にが、家族のきずなにつながります
    職場や趣味の仲間と一緒にやりましょう
    新しいつながりの輪を広げよう・・サークルづくりも一つの手です
企業の経営者の皆さんへ
 「従業員のボランティア活動に理解と支援を」

企業も従業員も地域の一員です

  • 地域の中に受け入れられる企業
    地域に根付き、地域づくりに積極的に参加しませんか
    地域やボランティア団体・NPO(民間非営利団体)とのつながりはビジネスに結びつく可能性があります
  • 活き活き従業員づくり
    これからは仕事の枠を超えた視野の広さが必要です
    会社と社会で充実した生活が活き活きした従業員をうみます
    地域に貢献している企業は従業員にとって誇りです。人材確保にも役立ちます
  • 企業のイメージアップ
    消費者や投資家は企業の社会性に注目しています
こんなことから始めましょう
  • まず大事なのは社内の雰囲気づくり
    ボランティア活動の基本は従業員の自主性です。でも、最初の一歩の後押しが大事です
    企業としてボランティアを前向きに捉え、参加の風土をつくりましょう
    ボランティア表彰の制度はいかがですか  
  • 情報ネットワークづくりが必要
    「ボランティアって何?」、「自分でもできる?」といった従業員の疑問に対して、ボランティア活動の情報を提供しましょう
    勤労者マルチライフ支援事業が情報ネットワークづくりをお手伝いします。経営者協会やNPOのプロジェクト・マネージャーに相談して下さい
  • 具体的な支援方法
    年休の取得促進やボランティア休暇・休職(ボランティア活動を行う従業員に休暇・休職を認める制度)などの時間的支援の方法があります
    会社の施設を貸したり、従業員と同額の寄付をする(マッチングギフト)などの経済的援助を行っている企業もあります

勤労者マルチライフ支援事業について
1 事業の目的

 勤労者が、仕事を離れて、ボランティア活動など自らの関心のある分野の社会活動に参加することは、在職中の勤労者生活の視野を広げ、退職後の生きがい対策にもつながるほか、地域社会における人と人とのネットワークの形成を通じた新たなアイデンティティの形成にも資するものであることから、本事業においては、退職者を含む勤労者のNPO活動、ボランティア活動への参加を推進することを目的とする。
 このため、経営者団体及びNPO・ボランティア支援団体を中心として関係者間の連携体制を整備しつつ、勤労者のボランティア活動への参加意欲を喚起し、ボランティア活動に参加するためのきっかけをつくり、ボランティア活動を希望する人を実際の活動に結びつけるシステムを構築する。

2 事業の基本スキーム

(平成13年度から下記の事業を本格的に実施する。平成12年度においては、準備段階として一部を開始する。)

〔地域レベル〕
(1) 関係団体等からの情報収集・ヒアリング
 地方経営者協会のプロジェクト・マネージャーは、事業実施の参考とするため関係団体等から情報収集・ヒアリングを行い、データベースを作成しつつ、関係者とのネットワークづくりに努める。
(2) 企業・勤労者に対するアンケート調査の実施
 地方経営者協会のプロジェクト・マネージャーは、各地域における勤労者、企業のボランティア活動に係る動向を把握するため、アンケート調査を実施する。
(3) 勤労者マルチライフ支援事業推進地域協議会の開催
 事業を実施する各地域において、地方経営者協会及びNPO・ボランティア支援団体のプロジェクト・マネージャー、地域のボランティア活動関係者等が参集し、各地域の実状にあった事業運営の方法を検討する。
(4) 各種事業の実施
 各地域において、以下の事業メニューを参考にして地域の実状にあった事業を決定し、実施する。
〔事業メニュー〕

勤労者とボランティア活動に関する情報収集
ボランティア情報データベースの構築とそれを用いた情報提供・相談
勤労者の希望にあったボランティア活動プログラムづくり
企業担当者を対象としたセミナー
勤労者を対象としたガイダンス
ボランティア活動体験プログラム
企業とボランティア団体の経験交流会
地元企業を対象とした普及・啓発
〔全国レベル〕
(1) 勤労者マルチライフ支援事業推進会議の開催
 勤労者のボランティア活動のあり方、本事業のスキーム等について、勤労者マルチライフ支援事業推進会議及び同運営部会において検討する。
〔勤労者マルチライフ支援事業推進会議メンバー〕
座長堀田 力さわやか福祉財団理事長
座長代理雨宮 孝子松蔭女子大学経営文化学部教授
荒川 春日本経営者団体連盟常務理事
上島 一泰日本青年会議所直前会頭
島田 京子日産自動車株式会社広報部社会文化室担当部長
高畑 敬一ニッポン・アクティブライフ・クラブ会長
早瀬 昇日本NPOセンター常務理事、大阪ボランティア協会理事・事務局長
山内 直人大阪大学国際公共政策研究科助教授
山岸 秀雄NPOサポートセンター代表
山崎美貴子東京ボランティア・市民活動センター所長、明治学院大学副学長
〔勤労者マルチライフ支援事業推進会議運営部会メンバー〕
座長高橋 陽子日本フィランソロピー協会常務理事・事務局長
安藤 雄太東京ボランティア・市民活動センター副所長
奥畑 研司井上企画代表取締役(中高年活性化セミナー講師)
蒲田 尚史さわやか福祉財団社会参加システム推進グループリーダー
高井 一雄神奈川県経営者協会事務局長
田尻 佳史日本NPOセンター企画主任
深尾 昌峰きょうとNPOセンター事務局長
(2) 勤労者ボランティア情報データベースシステムの構築
 ボランティア活動のきっかけづくりのための情報(ボランティア活動の基礎知識、勤労者のボランティア活動体験事例等)や勤労者向けボランティア活動プログラム情報、ボランティア受入れ団体情報等を提供する勤労者ボランティア情報データベースシステムを構築する。
(3) 勤労者マルチライフ全国大会の開催
 勤労者のボランティア活動への参加促進に向けた気運の醸成、勤労者マルチライフ支援事業の周知を図る。
(4) 企業に対する全国的な広報・啓発
 企業に対して、啓発のためのパンフレットの作成・配布等を行う。

3 事業の実施地域(平成12年度)

群馬県経営者協会茨城県経営者協会 東京経営者協会
神奈川県経営者協会愛知県経営者協会 関西経営者協会
東大阪経営者協会岡山県経営者協会 広島県経営者協会
(平成13年度においては、予算の状況を勘案しつつ事業実施地域を拡大する予定である。)

4 事業の実施主体

 本事業は、以下の者が中心となり、関係者の協力を求めつつ実施する。

  • 地方経営者協会及びNPO・ボランティア支援団体に配置された勤労者マルチライフ支援事業プロジェクト・マネージャー
  • 日本経営者団体連盟(日経連)
  • 厚生労働省
勤労者マルチライフ支援事業の概要

「企業及び勤労者のボランティア活動に関する調査」結果

     
 企業調査
(1) 企業が行っている地域活動
 企業が行っている地域活動の内容(複数回答)をみると、「祭りなどの地域の伝統行事・習俗への参加・寄付」が72.1%と最も多く、次いで、「ごみ拾いなどの清掃・環境美化」が42.8%、「募金活動・バザーへの協力」が41.2%となっている。「地域での活動は行っていない」企業は14.0%となっている。
(2) 従業員のボランティア活動についての考え方
 従業員が行うボランティア活動についての考え方(複数回答)をみると、「地域、社会の発展に貢献している」が76.9%で最も多い。次いで、「従業員の視野が広がる、発想が柔軟になる」が51.4%、「従業員の生きがい推進にプラスになる」が43.3%となっている。
(3) 従業員のボランティア活動に対する支援
 従業員のボランティア活動への支援については、「従業員のボランティア活動に支援策をとっている」21.8%、「現在は、支援策をとっていないが、今後考えたい」23.1%となっている。一方、「従業員の自主的活動なので、会社としては関与していない」も55.1%となっている。
 現在支援策をとっている企業の支援内容(複数回答)をみると、「ボランティア休暇制度」47.6%、「ボランティア活動の意義を啓発し支持している姿勢を示す」43.2%、「ボランティア関連の情報を会社から従業員に提供」32.0%となっている。
 また、現在は支援策をとっていない企業が、今後、どのような支援を考えているか(複数回答)については、「ボランティア活動の意義を啓発し支持している姿勢を示す」が53.2%、「ボランティア関連の情報を従業員に提供」が40.5%となっている。
(4) 企業のOB会によるボランティア活動支援
 OB会は「ある」が41.8%、「ない」が58.2%となっている。
 OB会によるボランティア活動に対する支援は、「現在も行っていないし、今後も行う予定はない」が75.9%と大半を占めており、「行っている」は4.9%、「現在は行っていないが検討中」は19.2%となっている。
 ボランティア活動に対する支援を行っているOB会について、その支援の内容(複数回答)をみると、「ボランティア関連の情報の提供」が55.6%、「ボランティア活動の意義の啓発」が27.8%となっている。
(5) 勤労者マルチライフ支援事業への関心
 地方経営者協会と地域のボランティア関係団体が連携して、勤労者のボランティア活動参加を支援する「勤労者マルチライフ支援事業」について、「関心がある」企業は64.8%となっている。
 事業に関心がある企業のうち、「参加したい」は1.3%、「参加について検討したい」は15.6%となっている。
 従業員調査
(1) ボランティア活動への関心、経験の有無、今後の意向
 勤労者はボランティア活動について、「非常に関心がある」が7.9%、「ある程度関心がある」が61.9%と、約7割がボランティア活動に関心をもっている。
 また、ボランティア活動の経験、今後の意向は、「現在、ボランティア活動をしている」は15.6%にすぎず、「現在はしていないが、今後やってみたいと思う」は56.1%となっている。
(2) ボランティア活動の実態(現在ボランティア活動をしている者が回答)
 活動分野(複数回答)は、「地域活動・まちづくり推進」40.0%、「青少年・児童の保護・育成」36.4%、「募金、寄付」27.6%、「自然・環境保護」が27.3%と、様々な分野に及んでいる。
 活動の種類(複数回答)は、「現場作業型(介護、保育、環境美化等)」が52.4%、「イベント型」が46.4%となっている。
 活動頻度は、「月1〜3回程度」が34.2%と最も多く、次いで、「数カ月に1回程度」が24.0%、「単発型(数回の活動で終わるもの)」が23.4%となっている。
 活動時間帯(複数回答)は、「週末および休日」が84.8%と最も多い。次いで、「平日(出勤前、昼休み、就業後)」27.0%、「有給休暇」13.9%となっている。
参加単位(複数回答)は、「個人で」参加している人が58.5%、「友人と」参加している人が24.2%、「家族と(夫婦、親子等)」が18.2%となっている。
(3) ボランティア活動を始めたきっかけ(現在ボランティア活動をしている者が回答)
 ボランティア活動を始めたきっかけは、「自発的な意思で」が33.6%と最も多いが、「会社、組合等で参加の機会を与えられて」が25.6%、「友人・知人に勧められて」が19.4%と、きっかけを与えられて活動を始める人も多い。
(4) ボランティア活動の良い点(現在ボランティア活動をしている者が回答)
 ボランティア活動をしていて良い点(複数回答)は、「多くの人たちとつながりができた」が68.5%、「ものの見方や考え方が深まった」が56.7%、「満足感や充実感を得ることができた」が44.2%となっている。
(5) ボランティア活動を始める条件(現在はボランティア活動をやっていないが、今後やってみたい者が回答)
 ボランティア活動を始める条件(複数回答)は、「自分ができる内容のものが見つかれば」が71.2%と最も多く、次いで、「時間ができれば」65.2%となっている。
(6) ボランティア活動をする場合の希望(現在はボランティア活動をやっていないが、今後やってみたい者が回答)
 活動分野(複数回答)は、「自然・環境保護」が54.1%、「地域活動・まちづくり推進」が39.9%、「高齢者福祉、障害者福祉」が28.0%となっている。
 活動の種類(複数回答)は、「現場作業型(介護、保育、環境美化等)」が64.0%と最も多く、次いで「事務、企画立案型」35.0%、「イベント型」35.0%となっている。
 活動の頻度は、「月に1〜3回程度」が27.1%と最も多く、次いで「単発型(数回の活動で終わるもの)」26.3%となっている。
 活動の時間帯(複数回答)は、「週末および休日」が76.1%と最も多い。
 参加単位(複数回答)は、「個人で」参加したい人が62.3%、「友人と」参加したい人が36.2%、「家族と(夫婦、親子等)」29.7%となっている。
(7) ボランティア活動をしない理由(今までボランティア活動をしたことがなく、今後もする予定はない者が回答)
 ボランティア活動をしない理由(3つまで回答)は、「時間がないから」が67.4%で最も多く、次いで、「自分がボランティアとして何ができるのかわからないから」36.6%、「どのように参加し、行動したらよいかわからないから」34.7%となっている。
労働基準局勤労者生活部
企画課長 村木  太郎
課長補佐 本多 則惠
電  話  03-5253-1111(内線5352)
夜間直通  03-3502-1599


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