勤労者が、仕事を離れて、ボランティア活動など自らの関心のある分野の社会活動に参加することは、在職中の勤労者生活の視野を広げ、退職後の生きがい対策にもつながるほか、地域社会における人と人とのネットワークの形成を通じた新たなアイデンティティの形成にも資するものであることから、本事業においては、退職者を含む勤労者のNPO活動、ボランティア活動への参加を推進することを目的とする。
このため、経営者団体及びNPO・ボランティア支援団体を中心として関係者間の連携体制を整備しつつ、勤労者のボランティア活動への参加意欲を喚起し、ボランティア活動に参加するためのきっかけをつくり、ボランティア活動を希望する人を実際の活動に結びつけるシステムを構築する。
(1) | 関係団体等からの情報収集・ヒアリング
地方経営者協会のプロジェクト・マネージャーは、事業実施の参考とするため関係団体等から情報収集・ヒアリングを行い、データベースを作成しつつ、関係者とのネットワークづくりに努める。 |
(2) | 企業・勤労者に対するアンケート調査の実施
地方経営者協会のプロジェクト・マネージャーは、各地域における勤労者、企業のボランティア活動に係る動向を把握するため、アンケート調査を実施する。 |
(3) | 勤労者マルチライフ支援事業推進地域協議会の開催
事業を実施する各地域において、地方経営者協会及びNPO・ボランティア支援団体のプロジェクト・マネージャー、地域のボランティア活動関係者等が参集し、各地域の実状にあった事業運営の方法を検討する。 |
(4) | 各種事業の実施
各地域において、以下の事業メニューを参考にして地域の実状にあった事業を決定し、実施する。
〔事業メニュー〕
| ・ | 勤労者とボランティア活動に関する情報収集 |
| ・ | ボランティア情報データベースの構築とそれを用いた情報提供・相談 |
・ | 勤労者の希望にあったボランティア活動プログラムづくり |
・ | 企業担当者を対象としたセミナー |
・ | 勤労者を対象としたガイダンス |
・ | ボランティア活動体験プログラム |
・ | 企業とボランティア団体の経験交流会 |
・ | 地元企業を対象とした普及・啓発 |
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〔全国レベル〕 |
(1) | 勤労者マルチライフ支援事業推進会議の開催
勤労者のボランティア活動のあり方、本事業のスキーム等について、勤労者マルチライフ支援事業推進会議及び同運営部会において検討する。
〔勤労者マルチライフ支援事業推進会議メンバー〕 |
座長 | 堀田 力 | さわやか福祉財団理事長 |
座長代理 | 雨宮 孝子 | 松蔭女子大学経営文化学部教授 |
荒川 春 | 日本経営者団体連盟常務理事 |
上島 一泰 | 日本青年会議所直前会頭 |
島田 京子 | 日産自動車株式会社広報部社会文化室担当部長 |
高畑 敬一 | ニッポン・アクティブライフ・クラブ会長 |
早瀬 昇 | 日本NPOセンター常務理事、大阪ボランティア協会理事・事務局長 |
山内 直人 | 大阪大学国際公共政策研究科助教授 |
山岸 秀雄 | NPOサポートセンター代表 |
山崎美貴子 | 東京ボランティア・市民活動センター所長、明治学院大学副学長 |
〔勤労者マルチライフ支援事業推進会議運営部会メンバー〕 |
座長 | 高橋 陽子 | 日本フィランソロピー協会常務理事・事務局長 |
安藤 雄太 | 東京ボランティア・市民活動センター副所長 |
奥畑 研司 | 井上企画代表取締役(中高年活性化セミナー講師) |
蒲田 尚史 | さわやか福祉財団社会参加システム推進グループリーダー |
高井 一雄 | 神奈川県経営者協会事務局長 |
田尻 佳史 | 日本NPOセンター企画主任 |
深尾 昌峰 | きょうとNPOセンター事務局長 |
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(2) | 勤労者ボランティア情報データベースシステムの構築
ボランティア活動のきっかけづくりのための情報(ボランティア活動の基礎知識、勤労者のボランティア活動体験事例等)や勤労者向けボランティア活動プログラム情報、ボランティア受入れ団体情報等を提供する勤労者ボランティア情報データベースシステムを構築する。 |
(3) | 勤労者マルチライフ全国大会の開催
勤労者のボランティア活動への参加促進に向けた気運の醸成、勤労者マルチライフ支援事業の周知を図る。 |
(4) | 企業に対する全国的な広報・啓発
企業に対して、啓発のためのパンフレットの作成・配布等を行う。 |
1 | 企業調査 |
(1) | 企業が行っている地域活動
企業が行っている地域活動の内容(複数回答)をみると、「祭りなどの地域の伝統行事・習俗への参加・寄付」が72.1%と最も多く、次いで、「ごみ拾いなどの清掃・環境美化」が42.8%、「募金活動・バザーへの協力」が41.2%となっている。「地域での活動は行っていない」企業は14.0%となっている。 |
(2) | 従業員のボランティア活動についての考え方
従業員が行うボランティア活動についての考え方(複数回答)をみると、「地域、社会の発展に貢献している」が76.9%で最も多い。次いで、「従業員の視野が広がる、発想が柔軟になる」が51.4%、「従業員の生きがい推進にプラスになる」が43.3%となっている。 |
(3) | 従業員のボランティア活動に対する支援
従業員のボランティア活動への支援については、「従業員のボランティア活動に支援策をとっている」21.8%、「現在は、支援策をとっていないが、今後考えたい」23.1%となっている。一方、「従業員の自主的活動なので、会社としては関与していない」も55.1%となっている。
現在支援策をとっている企業の支援内容(複数回答)をみると、「ボランティア休暇制度」47.6%、「ボランティア活動の意義を啓発し支持している姿勢を示す」43.2%、「ボランティア関連の情報を会社から従業員に提供」32.0%となっている。
また、現在は支援策をとっていない企業が、今後、どのような支援を考えているか(複数回答)については、「ボランティア活動の意義を啓発し支持している姿勢を示す」が53.2%、「ボランティア関連の情報を従業員に提供」が40.5%となっている。 |
(4) | 企業のOB会によるボランティア活動支援
OB会は「ある」が41.8%、「ない」が58.2%となっている。
OB会によるボランティア活動に対する支援は、「現在も行っていないし、今後も行う予定はない」が75.9%と大半を占めており、「行っている」は4.9%、「現在は行っていないが検討中」は19.2%となっている。
ボランティア活動に対する支援を行っているOB会について、その支援の内容(複数回答)をみると、「ボランティア関連の情報の提供」が55.6%、「ボランティア活動の意義の啓発」が27.8%となっている。 |
(5) | 勤労者マルチライフ支援事業への関心
地方経営者協会と地域のボランティア関係団体が連携して、勤労者のボランティア活動参加を支援する「勤労者マルチライフ支援事業」について、「関心がある」企業は64.8%となっている。
事業に関心がある企業のうち、「参加したい」は1.3%、「参加について検討したい」は15.6%となっている。 |
2 | 従業員調査 |
(1) | ボランティア活動への関心、経験の有無、今後の意向
勤労者はボランティア活動について、「非常に関心がある」が7.9%、「ある程度関心がある」が61.9%と、約7割がボランティア活動に関心をもっている。
また、ボランティア活動の経験、今後の意向は、「現在、ボランティア活動をしている」は15.6%にすぎず、「現在はしていないが、今後やってみたいと思う」は56.1%となっている。 |
(2) | ボランティア活動の実態(現在ボランティア活動をしている者が回答)
活動分野(複数回答)は、「地域活動・まちづくり推進」40.0%、「青少年・児童の保護・育成」36.4%、「募金、寄付」27.6%、「自然・環境保護」が27.3%と、様々な分野に及んでいる。
活動の種類(複数回答)は、「現場作業型(介護、保育、環境美化等)」が52.4%、「イベント型」が46.4%となっている。
活動頻度は、「月1〜3回程度」が34.2%と最も多く、次いで、「数カ月に1回程度」が24.0%、「単発型(数回の活動で終わるもの)」が23.4%となっている。
活動時間帯(複数回答)は、「週末および休日」が84.8%と最も多い。次いで、「平日(出勤前、昼休み、就業後)」27.0%、「有給休暇」13.9%となっている。
参加単位(複数回答)は、「個人で」参加している人が58.5%、「友人と」参加している人が24.2%、「家族と(夫婦、親子等)」が18.2%となっている。 |
(3) | ボランティア活動を始めたきっかけ(現在ボランティア活動をしている者が回答)
ボランティア活動を始めたきっかけは、「自発的な意思で」が33.6%と最も多いが、「会社、組合等で参加の機会を与えられて」が25.6%、「友人・知人に勧められて」が19.4%と、きっかけを与えられて活動を始める人も多い。 |
(4) | ボランティア活動の良い点(現在ボランティア活動をしている者が回答)
ボランティア活動をしていて良い点(複数回答)は、「多くの人たちとつながりができた」が68.5%、「ものの見方や考え方が深まった」が56.7%、「満足感や充実感を得ることができた」が44.2%となっている。 |
(5) | ボランティア活動を始める条件(現在はボランティア活動をやっていないが、今後やってみたい者が回答)
ボランティア活動を始める条件(複数回答)は、「自分ができる内容のものが見つかれば」が71.2%と最も多く、次いで、「時間ができれば」65.2%となっている。 |
(6) | ボランティア活動をする場合の希望(現在はボランティア活動をやっていないが、今後やってみたい者が回答)
活動分野(複数回答)は、「自然・環境保護」が54.1%、「地域活動・まちづくり推進」が39.9%、「高齢者福祉、障害者福祉」が28.0%となっている。
活動の種類(複数回答)は、「現場作業型(介護、保育、環境美化等)」が64.0%と最も多く、次いで「事務、企画立案型」35.0%、「イベント型」35.0%となっている。)
活動の頻度は、「月に1〜3回程度」が27.1%と最も多く、次いで「単発型(数回の活動で終わるもの)」26.3%となっている。
活動の時間帯(複数回答)は、「週末および休日」が76.1%と最も多い。
参加単位(複数回答)は、「個人で」参加したい人が62.3%、「友人と」参加したい人が36.2%、「家族と(夫婦、親子等)」29.7%となっている。 |
(7) | ボランティア活動をしない理由(今までボランティア活動をしたことがなく、今後もする予定はない者が回答)
ボランティア活動をしない理由(3つまで回答)は、「時間がないから」が67.4%で最も多く、次いで、「自分がボランティアとして何ができるのかわからないから」36.6%、「どのように参加し、行動したらよいかわからないから」34.7%となっている。 |