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医薬品・医療用具等安全性情報
Pharmaceuticals and Medical Devices
Safety Information No.164

目   次

  1. 塩酸サルポグレラートと重篤な出血,血小板減少,肝機能障害について
  2. オレイン酸モノエタノールアミンと巨大胃潰瘍について
  3. モフェゾラクと消化管出血,肝機能障害,血小板減少について
  4. 使用上の注意の改訂について(その123)


 この医薬品・医療用具等安全性情報は,厚生労働省において収集された副作用情報をもとに,医薬品・医療用具等のより安全な使用に役立てていただくために,医療関係者に対して情報提供されるものです。

平成13年(2001年)1月
厚生労働省医薬局


【情報の概要】

No.医薬品等対策情報の概要
塩酸サルポグレラート使 症 塩酸サルポグレラートは,1993年7月に錠剤が,1999年3月に細粒剤が承認され,末梢循環改善作用を有する抗血小板剤として慢性動脈閉塞症に伴う虚血性諸症状の改善に用いられている。
 本剤による出血については承認当初より「その他の副作用」の項に消化管出血を記載し,1996年5月には同項に「吐血,鼻出血等」を追加記載し,また,血小板減少については1996年5月に「その他の副作用」の項に血小板減少を記載し,また,肝機能障害については承認当初よりビリルビン,GOT,GPT,Al−Pの上昇等を「その他の副作用」の項に記載し,1996年5月には肝機能異常を,1998年6月にはγ−GTPの上昇を追記し,注意を喚起してきた。
 本剤との因果関係を否定できない脳出血4例,消化管出血2例,血小板減少5例,肝機能障害6例が報告されたことから,「重大な副作用」の項を新たに設け,脳出血,消化管出血,血小板減少,肝機能障害・黄疸を記載し,医療関係者への注意喚起を行った。
オレイン酸モノエタノールアミン使 症 オレイン酸モノエタノールアミンは,1991年6月に「食道静脈瘤出血の止血及び食道静脈瘤の硬化退縮」の効能・効果で承認された。
 本剤による消化管障害については承認当初より胃潰瘍出血,十二指腸潰瘍出血又は胃びらん出血のある患者を「禁忌」とし,出血性胃炎,胃・十二指腸潰瘍出血を「その他の副作用」の項に記載し,注意を喚起してきた。
 本剤との因果関係を否定できない巨大胃潰瘍の症例が4例報告されたことから,「重大な副作用」の項に胃潰瘍に関する記載を行い,医療関係者への一層の注意喚起を行った。
モフェゾラク使 症 モフェゾラクは,1994年7月にプロスタグランジン生合成抑制作用による非ステロイド性消炎・鎮痛剤として承認された。
 本剤による消化管障害については承認当初より「重大な副作用」の項に消化性潰瘍を記載し,また,肝機能障害については承認当初より重篤な肝障害のある患者を「禁忌」とし,肝障害又はその既往歴のある患者を「慎重投与」とするとともに「その他の注意」の項にAST(GOT),ALT(GPT),Al−Pの上昇を記載し,また,血小板減少については1998年2月に点状出血を「その他の副作用」の項に記載し,注意を喚起してきた。
 本剤との因果関係を否定できない消化管出血15例,肝機能障害5例,血小板減少5例が報告されたことから,「重大な副作用」の項に消化管出血,肝機能障害・黄疸,血小板減少を追記し,医療関係者への一層の注意喚起を行った。
塩酸サルポグレラート他(37件) 使用上の注意の改訂について(その123)

緊:緊急安全性情報の配布 使:使用上の注意の改訂 症:症例の紹介


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1 塩酸サルポグレラートと重篤な出血,血小板減少,肝機能障害について



成分名
該当販売名
成分名該当販売名
塩酸サルポグレラートアンプラーグ錠50mg,同錠100mg,同細粒10%(三菱東京製薬)
薬効分類等5-HT2ブロッカー
効能効果慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍,疼痛および冷感等の虚血性諸症状の改善



(1)経緯
 塩酸サルポグレラートは,末梢循環改善作用を有する抗血小板剤として,錠剤が1993
年7月に承認,同年10月に発売,細粒剤が1999年3月に承認,同年5月に発売され,慢
性動脈閉塞症に伴う虚血性諸症状の改善に用いられている。
 本剤投与に伴う出血については,開発時の臨床試験成績に基づき,発売当初より「そ
の他の副作用」の項に「消化管出血」を記載するとともに,1996年5月には同項に「吐
血,鼻出血等」を追加記載し,注意を喚起してきた。 
 また,「血小板減少」については,国内での症例報告に基づき1996年5月に「その他
の副作用」の項に記載し,注意を喚起してきた。
 また,「肝機能障害」についても,開発時の臨床試験成績に基づき,発売当初より「
ビリルビン,GOT,GPT,Al-Pの上昇等」を「その他の副作用」の項に記載し,更にその
後の症例報告に基づき1996年5月には「肝機能異常」を,1998年6月には「γ-GTPの上
昇」を追加記載し,注意を喚起してきた。
 その後,脳出血,消化管出血などの重篤な出血,血小板減少,肝機能障害の症例が報
告されたことから,これらの副作用について一層の注意喚起を行うこととした。


(2)症例の紹介
 脳出血は4例が報告されており,性別は男3例,女1例,年齢は30歳代〜80歳代で,
投与期間は5日〜約9ヵ月であった。
 消化管出血は2例が報告されており,性別は男2例,年齢は50歳代〜60歳代で,投与
期間は8日〜約6ヵ月であった。
 血小板減少は5例が報告されており,性別は男3例,女2例,年齢は70歳代〜80歳代
で,投与期間は3日〜約4ヵ月であった。
 肝機能障害は6例が報告されており,性別は男3例,女3例,年齢は40歳代〜70歳代
で,投与期間は5日〜約3ヵ月であった。報告された症例の一部を表3に紹介する。


(3)安全対策
 本剤との因果関係を否定できない脳出血や消化管出血などの重篤な出血,血小板減少
及び肝機能障害が報告されていることから,「重大な副作用」の項を新たに設け「脳出
血,消化管出血」,「血小板減少」,「肝機能障害,黄疸」を記載し,一層の注意喚起
を行うこととした。


使用上の注意(下線部追加改訂部分)》

〈塩酸サルポグレラート〉

副作用

重大な副作用


(2)脳出血,消化管出血:脳出血,吐血や下血等の消化管出血があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。

(3)血小板減少:血小板減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。

(4)肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTP,LDHの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。


表3 症例の概要

脳出血
No.患者1日投与量
投与期間
副作用備考
性、
年齢
使用理由
〔合併症〕
経過及び処置

70代
閉塞性動脈硬化症300mg
9日間
脳出血
投与開始日  本剤投与約12年前に脳内出血(右頭頂部の皮質下出血,手術適応なし)の既往歴のある患者。閉塞性動脈硬化症の治療を目的に外科で本剤投与開始。
投与後    投与後,患者の状態は特に変化なし。
投与9日目  脳出血のため,脳神経外科に入院。
       失見当識,譫妄状態。知覚神経優位の嚥下障害,右顔面神経麻痺及び歩行障害あり。
       CT所見:左側頭葉の皮質下血腫。
       安静,補液による保存的治療。
       詳細は他科入院のため,不明。
中止56日目  他の医療機関への転院を勧めたが,家族が在宅介護を希望。退院。自立歩行が困難なため車椅子使用。失見当識は軽減。
企業報告
併用薬:ニコチン酸トコフェロール

30代
閉塞性動脈硬化症
〔銅代謝異常症,膠原病〕
150mg
54日間
脳出血
投与開始日   閉塞性動脈硬化症に伴う足趾の痛み,冷感治療のため本剤投与開始。
投与後     本剤の投与により足趾の痛み,冷感は安定。
投与53日目   感冒様症状が出現。
投与54日目   感冒様症状のため受診。発熱,上気道炎症状及び口唇,指先にしびれを認め全治療薬を中止。
中止4日目   上気道炎症状は治癒したが左半身のしびれを認め頭部CTにて右頭頂部に脳出血を認めた。
        同日救急車で他院に搬送。
        その後,患者の症状は改善。
企業報告
併用薬:麻黄附子細辛湯エキス,当帰芍薬散エキス


消化管出血
No.患者1日投与量
投与期間
副作用備考
性、
年齢
使用理由
〔合併症〕
経過及び処置

50代
閉塞性血栓血管炎
〔変形性肩関節症〕
300mg
10日間
下血
投与開始日   閉塞性血栓血管炎(TAO)による左手指及び左足のしびれの増悪があり,本剤の追加投与を開始。
投与8日目   排便時に血便,下血を自覚。その後5〜6回の下血。
投与10日目   本剤,ベラプロストナトリウム,アルプロスタジルを中止。
中止6日目   症状消失。
中止16日目   大腸ファイバーでは潰瘍などはみられず,便培養も陰性。
中止17日目   TAOによる症状が強いためベラプロストナトリウム,アルプロスタジル再開。その後,下血再発なし。
企業報告
併用薬:アルプロスタジル,ベラプロストナトリウム,ジピリダモール,ニコチン酸トコフェロール,インドメタシンファルネシル


血小板減少
No.患者1日投与量
投与期間
副作用備考
性、
年齢
使用理由
〔合併症〕
経過及び処置

80代
閉塞性動脈硬化症300mg
2日間
血小板減少,出血傾向
投与開始日   両足背,特に左足背の冷感血行不良,ジリジリとした異常感を主訴に受診。
        左足背動脈拍動触知低下。
        血管閉塞と診断し,本剤投与開始。
中止2日目   両大腿〜足指にかけて無数の点状出血及び数個の紫斑を主訴に受診。至急の一般検査にて,血小板数2000と激減しており,即入院。プレドニゾロン30mg/日,7日間投与にて経過観察。LST試験:陰性。
中止27日目   点状出血,紫斑は完全に消失。
企業報告
臨床検査値
 投与開始日中止2日目中止4日目中止6日目中止24日目
血小板数(×104/mm311.90.20.72.411.2
赤血球数(×104/mm3386374382380378
Hb(g/dL)11.911.511.611.811.7
白血球数(/mm370004000560072008000

併用薬:トロキシピド,メシル酸ベタヒスチン

80代
下肢閉塞性動脈硬化症
〔急性心筋梗塞〕
300mg
3日間
血小板減少,貧血
投与開始日   左下肢閉塞性動脈硬化症に急性心筋梗塞を合併して来院。
        緊急心カテーテル施行し,ステント留置。施行中,血圧低下しIABP挿入。施行中,本剤開始。
        入院時,血小板13.9万,赤血球520万,Hb15.9。
        帰室時は,血小板10.6万,赤血球352万,Hb11.7。
投与2日目   IABP抜去。血小板8.3万,赤血球352万,Hb10.8。
投与3日目   血小板5.3万,赤血球289万,Hb9.2。夕方より本剤投与中止。塩酸チクロピジン1錠投与。
中止2日目   血小板4.3万,赤血球290万,Hb8.9。
中止3日目   血小板6.3万,赤血球332万,Hb10.2。
中止4日目   血小板8.1万,赤血球362万,Hb11.2。
中止6日目   血小板12.8万,赤血球353万,Hb10.8。
中止11日目   血小板21.6万,赤血球334万,Hb10.5。
企業報告
臨床検査値
 投与開始日投与2日目投与3日目(中止日)中止2日目中止3日目中止4日目中止6日目中止11日目
血小板数(×104/mm313.98.35.34.36.38.112.821.6
赤血球数(×104/mm3520352289290332362353334
Hb(g/dL)15.910.89.28.910.211.210.810.5
白血球数(/mm3133002180021000158009900720087007300

併用薬:ワルファリンカリウム,一硝酸イソソルビド,ドカルパミン,ジアスターゼ,塩酸チクロピジン


肝機能障害、黄疸
No.患者1日投与量
投与期間
副作用備考
性、
年齢
使用理由
〔合併症〕
経過及び処置

50代
四肢冷感300mg
127日間
肝機能障害,黄疸
投与開始日    四肢冷感の治療目的で本剤投与開始。
投与約2ヵ月後  検査では,肝機能正常。
投与約3ヵ月後  倦怠感,食欲不振,黄疸出現。
投与125日目    皮膚科受診。GOT1522,GPT1624,総ビリルビン5.8と肝障害を認める。
投与127日目    内科受診。HBs抗原,HCV抗体陰性。薬剤性肝炎を疑い,本剤及びアルファカルシドール,アスコルビン酸,人参養栄湯エキス,ニコチン酸トコフェロールを中止。GOT1233,GPT1451。
中止67日目    肝検査目的にて入院時,GOT99,GPT144。肝生検の結果,薬剤性組織変化の診断を得て,その後退院。
        [検査]LST試験:陰性
企業報告
臨床検査値
 投与125日目投与127日目(中止日)中止7日目中止21日目中止53日目中止67日目中止81日目中止130日目
AST(GOT)(U/L)152212331207115222996955
ALT(GPT)(U/L)1624145113941652761448559
Al-P(U/L)10147741050617417
LDH(U/L)706374304288
γ−GTP(U/L)9832914268
総ビリルビン(mg/dL)5.810.26.81.60.5

併用薬:アルファカルシドール,テプレノン,アスコルビン酸,人参養栄湯エキス,酢酸パラメタゾン,ニコチン酸トコフェロール

70代
閉塞性下肢動脈硬化症
〔高血圧,糖尿病,前立腺肥大症〕
300mg
58日間
肝機能障害
投与開始日   閉塞性下肢動脈硬化症治療のため,本剤投与開始。
投与56日目   全身倦怠感,尿色が濃いのに気づいた。
投与58日目   肝機能異常判明。本剤投与中止。
中止2日目   入院。
中止17日目   肝機能改善。他剤は継続中。
中止20日目   患者退院。
       [検査]HCV抗体(−),IgM-CMV(−),IgM-EBV(−),IgM-HA抗体(−),
        HBc抗体(−),DLST(−)。
企業報告
臨床検査値
 投与前投与16日目投与58日目投与59日目中止8日目中止17日目中止71日目
AST(GOT)(U/L)242317071086753121
ALT(GPT)(U/L)1418155413381883615
Al-P(U/L)326352890762582380355
γ−GTP(U/L)14121291811387018

併用薬:グリベンクラミド,ベシル酸アムロジピン,塩酸タムスロシン


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2 オレイン酸モノエタノールアミンと巨大胃潰瘍について

成分名
該当販売名
成分名該当販売名
オレイン酸モノエタノールアミンオルダミン注射用(富士化学工業)
薬効分類等止血剤
効能効果食道静脈瘤出血の止血及び食道静脈瘤の硬化退縮


(1)経緯
 オレイン酸モノエタノールアミンは1991年6月に承認され,同年10月に発売された。
本剤の効能・効果は,「食道静脈瘤出血の止血及び食道静脈瘤の硬化退縮」であり,
主に消化器内科,消化器外科領域で使用されている。
 本剤は,承認当初から「胃潰瘍出血,十二指腸潰瘍出血又は胃びらん出血のある患者」
を禁忌とし,また,「その他の副作用」の項に「出血性胃炎」,「胃・十二指腸潰瘍出
血」を記載し,消化管障害に対する注意を喚起してきた。
 その後,巨大胃潰瘍の症例が報告されたことから,「重大な副作用」の項に「胃潰瘍」
に関する記載を行い,一層の注意喚起を行うこととした。


(2)症例の紹介
 報告された巨大胃潰瘍は現在まで4例で,年齢は40歳代から60歳代,性別は男性3例,
女性1例であった。全例で本剤投与当日に胸痛,心窩部痛,胃部不快感などの症状がみ
られている。報告例のうち2症例を表1に紹介する。


(3)安全対策
 本剤との因果関係が否定できない巨大胃潰瘍が報告されていることから,「使用上の
注意」に「重大な副作用」として「胃潰瘍」を追記し,一層の注意喚起を行うこととし
た。


使用上の注意(下線部追加改訂部分)》

〈オレイン酸モノエタノールアミン〉

副作用

(1)重大な副作用


胃潰瘍:重篤な胃潰瘍(巨大胃潰瘍)があらわれることがあるので,患者の状態を十分に観察するとともに,異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。


表1 症例の概要

No.患者投与量・投与期間副作用備考
性、
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置

50代
食道静脈瘤
〔自己免疫性肝炎〕
(オルダミン注射用(10%)として)
2.5 mL
1回
巨大胃潰瘍
約2年前    食道静脈瘤に対して,内視鏡的硬化療法を施行。
約1年前    再発した食道静脈瘤に対して,内視鏡的硬化療法を施行。
投与日     内視鏡的硬化療法として再発した食道静脈瘤に対して,本剤の5%液5mLを静脈瘤内に投与。術後,夜半より発熱を伴う心窩部痛あり。
11日後     内視鏡検査にて,胃体中部,小彎に巨大潰瘍を認めた。入院となり,H2ブロッカー,プロトンポンプ阻害剤を静注し,その後,経口剤に切り換えた。
2ヵ月後    内視鏡検査にて,潰瘍は縮小し,周囲より再生粘膜を有する所見を認めた。
3ヵ月後    治癒期。
6ヵ月後    瘢痕となり,回復。
企業報告
併用薬:イオパミドール,ポリドカノール,塩酸リドカイン,臭化ブチルスコポラミン,塩酸ヒドロキシジン,塩酸ペチジン

60代
食道静脈瘤
〔肝硬変〕
(オルダミン注射用(10%)として)
3 mL(1回目)
1.7 mL(2回目)
1.75 mL(3回目)
計3回
巨大胃潰瘍
約5年前    肝機能異常,食道静脈瘤を指摘される。
投与開始日   内視鏡的硬化療法として食道静脈瘤に対して,本剤の5%液を6mL投与。5mLは静脈瘤内に,残りの1mLは静脈瘤内注入を試みるも粘膜下注入となった。
7日後     第2回目投与。本剤の5%液を3.4mL投与。1mLは静脈瘤内に,残りの2.4mLは静脈瘤内注入を試みるも粘膜下注入となり,4ヵ所に0.4〜0.8mLずつ投与。
13日後     第3回目投与。本剤の5%液の静脈瘤内注入を試みるも粘膜下注入となり,5ヵ所(一部は食道・胃接合部直上)に0.5〜0.8mLずつ計3.5mL投与。術後,胸痛及び嘔気がみられ,経過観察。
14日後     胸痛の持続,38.0℃の発熱,白血球9700,CPK395と上昇。ペンタゾシンを静脈内投与。
15日後     胸痛はやや改善するが持続。37℃台の発熱。
16日後     白血球10100,CRP 4.6と上昇。
17日後     胸痛が持続するため内視鏡検査を施行,下部食道より胃穹窿部に巨大な胃潰瘍を認め,絶食安静とした。
20日後     胸痛は軽快,発熱はなし。内視鏡検査で胃潰瘍の軽快傾向がみられた。流動食より経口摂取を開始。
34日後     内視鏡検査で潰瘍の縮小を認めた。
企業報告
併用薬:イオパミドール,ペンタゾシン,塩酸リドカイン,ジアゼパム,臭化エチルピペタナート,ファモチジン,カルバゾクロムスルホン酸ナトリウム,セファゾリンナトリウム


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3 モフェゾラクと消化管出血,肝機能障害,血小板減少について



成分名
該当販売名
成分名該当販売名
モフェゾラク ジソペイン錠75(ウェルファイド)
薬効分類等非ステロイド性消炎鎮痛剤
効能効果下記疾患ならびに症状の消炎・鎮痛
腰痛症,頚腕症候群,肩関節周囲炎
手術後,外傷後ならびに抜歯後の消炎・鎮痛



(1)経緯
 モフェゾラクは,プロスタグランジン生合成抑制作用による非ステロイド性消炎鎮痛
剤(NSAIDs)であり,1994年7月に承認され,同年11月に発売された。
 本剤には,他のNSAIDsと同様に,(1)シクロオキシゲナーゼ阻害による内因性プロスタ
グランジン産生低下,(2)それに伴う胃酸やペプシンに対する粘膜防御機構の破綻,(3)N
SAIDsによる直接的な消化管粘膜細胞障害などの要因が考えられ,発売当初より「重大な
副作用」の項に「消化性潰瘍」を記載し,消化管出血に対する注意を喚起してきた。
 また,「肝機能障害」については,開発時の臨床試験成績に基づき,発売当初より「重
篤な肝障害のある患者」を「禁忌」とし,「肝障害又はその既往歴のある患者」を「慎重
投与」とするとともに,「その他の副作用」の項に「AST(GOT),ALT(GPT),Al-Pの上
昇」を記載して注意を喚起してきた。
 また,「血小板減少」については,1998年2月に「点状出血」を「その他の副作用」の
項に記載し,注意を喚起してきた。
 その後,消化管出血,肝機能障害,血小板減少の症例が報告されたことから,これらの
副作用について一層の注意喚起を行うこととした。


(2)症例の紹介
 消化管出血は15例が報告されており,性別は男10例,女5例,年齢は50歳代〜80歳代で,
11例が70歳代以上の患者であった。
 肝機能障害は5例報告されており,性別は男2例,女3例,年齢は40歳代〜80歳代で,
投与期間は1日〜約2ヵ月であった。
 血小板減少は5例報告されており,男2例,女3例,年齢は40歳代〜70歳代で,投与期
間は11日〜3ヵ月であった。いずれの症例も重篤な出血症状は認められず,発現後1ヵ月
以内に軽快又は回復している。
 報告された症例のうち一部を表2に紹介する。


(3)安全対策
 本剤との因果関係を否定できない消化管出血,肝機能障害及び血小板減少が報告され
ていることから,「重大な副作用」として「消化管出血」,「肝機能障害,黄疸」,
「血小板減少」を追記し,一層の注意喚起を行うこととした。

使用上の注意(下線部追加改訂部分)》

〈モフェゾラク〉

副作用

(1)重大な副作用

 3)消化性潰瘍,消化管出血

   消化性潰瘍又は吐血,下血,血便等の消化管出血が出現し,それに伴うショックがあらわれることがあるので,観察を十分に行い,これらの症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。
 4)肝機能障害,黄疸
   肝機能障害(AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP,LDH,Al-P上昇等),黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 5)血小板減少
   血小板減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。


表2 症例の概要

消化管出血
No.患者1日投与量・投与期間副作用備考
性、
年齢
使用理由
(合併症)
経過及び処置

70代
右膝化膿性関節炎(MRSA感染)
〔ペースメーカー移植術後〕
225mg
57日間
多発性胃潰瘍(大量出血),ショック
投与開始日   右膝化膿性関節炎の消炎・鎮痛を目的にモフェゾラクの投与を開始。
投与57日目   大量の消化管出血及びショック症状が発現し,モフェゾラクの投与を中止。
中止2日後   IVHにて補液,輸血,プラズマ,H2ブロッカーの投与を行い経過を観察。(7日間の全輸血量:3000cc,プラズマ:2600cc)
中止5日後   出血は止まったように考えられたが,タール便が継続。
中止6日後   再び少量の出血があり,赤血球減少の傾向。
中止8日後   出血は止まったようだったが,胃カメラ検査を受けるため,他病院に転院。胃カメラの結果は多発性潰瘍からの出血で癌化はなく,ほとんど止血された状態。
中止30日後   当院に再び転院し,経口摂取可能となり,多発性潰瘍は軽快。
企業報告
併用薬:塩酸ミノサイクリン,塩酸ジルチアゼム,ジゴキシン,テプレノン,塩酸プロピベリン

70代
左肩関節周囲炎
〔頚肩腕症候群〕
225mg
13日間
胃潰瘍による吐血
投与開始日   2〜3日前より左肩関節の疼痛が強くなり,寝返りが出来ない状態で来院。モフェゾラク,アズレンスルホン酸ナトリウム・L-グルタミン,湿布を投与。
投与6日目   疼痛強く,リドカイン,酢酸デキサメタゾンを関節内注入し,経口剤を更に1週間分投薬。
中止8日後   午前1時にトイレに行き,吐血・ショック状態になり,救急車で来院。血圧80,吐血が頻回にあり入院。赤血球219万,ヘモグロビン5.5,白血球7100,輸血1200mL。絶食,輸液,止血剤。H2ブロッカーを投与。
中止13日後   流動食を開始。胃内視鏡検査にて,胃体上部後壁に潰瘍が認められた。
中止40日後   退院。以後外来にてH2ブロッカー投与継続。
中止67日後   回復。
企業報告
併用薬:酢酸デキサメタゾン,リドカイン,アズレンスルホン酸ナトリウム・L-グルタミン


肝機能障害、黄疸
No.患者1日投与量・投与期間副作用備考
性、
年齢
使用理由(合併症)経過及び処置

80代
疼痛除去
〔脊索腫,高血圧症,狭心症,便秘症〕
225mg
52日間
肝機能障害,発疹,発熱,皮膚そう痒感、好酸球増多
仙骨部腫瘍(脊索腫)にて当院整形外科入院。高齢であるため,摘出手術は行わず,仙骨部〜下肢にかけての疼痛除去目的で,塩酸メピバカインによる硬膜外麻酔,モフェゾラク内服,塩酸ブプレノルフィン坐剤の治療を受けていた。
投与34日目   疼痛軽減したため,硬膜外麻酔を中止。
投与39日目   塩酸ブプレノルフィン,モフェゾラクを持ち退院。
投与48日目   全身のそう痒感出現。
投与50日目   37℃台の発熱,発疹が出現。
投与52日目   全身倦怠感著明で食事摂取がほとんど出来なくなる。モフェゾラク投与中止。
中止3日後   当科受診し,即日入院。長期内服歴のあるニフェジピン,酸化マグネシウム,ジピリダモール以外は中止し,補液,グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤,グルタチオンの投与により全身状態が改善。血液検査上も肝機能改善傾向で経過良好。
中止35日後   軽快。
企業報告
臨床検査値
 投与2週前中止3日後中止12日後中止14日後中止38日後
白血球数(/mm352005600520044004800
好酸球(%)26982
AST(GOT)(U/L)20192937622
ALT(GPT)(U/L)111791078710
γ−GTP(U/L)77764651871
Al-P(IU/L)2111056935845283
LDH(IU/L)414494392350438
総ビリルビン(mg/dL)0.810.14.53.61.2
直接ビリルビン(mg/dL)0.28.83.83.00.9

併用薬:塩酸ブプレノルフィン,塩酸メピバカイン,ニフェジピン,ジピリダモール,酸化マグネシウム

60代
腰痛症
〔C型肝硬変〕
150mg
1日間
急性肝不全,溶血性貧血
C型肝硬変からの肝性腹水にて入院加療。その後約1ヵ月後に退院し,外来では腹水認められず,コントロール良好。
投与開始日 腰痛のため近医受診しモフェゾラク,塩酸セトラキサートを処方されたが,服用後より上腹部不快感出現し,倦怠感もあり,2回服用して中止。
中止4日後 体のむくみ,倦怠感もひどくなった。
中止7日後 当院受診し,ウリナスタチン5万単位×2,フロセミド20mg,ファモチジン20mg×2の投与及びMAP4単位輸血を行い,入院。血圧は84/40mmHg,意識は清明。ウリナスタチンは血清アミラーゼが1435と高値を認めたため,急性膵炎を合併していると判断し投与。溶血性貧血は顕微鏡所見にて確認。
中止9日後 4時頃より下顎呼吸となり,11時頃より血液透析を開始。この時,血圧は64/11mmHgと低値,やや混濁(JCST−3)。透析中に気管内挿管。21時20分頃,低換気による呼吸性アシドーシスあり,人工呼吸器を装着。この間尿量10mL。
中止10日後 患者は急性肝不全にて死亡。
企業報告
臨床検査値
 投与前中止7日後中止8日後中止9日後
赤血球数(×104/mm3326166312255
ヘモグロビン(g/dL)12.46.3118.9
ヘマトクリット(%)35.318.430.826.4
AST(GOT)(U/L)13394114851530
ALT(GPT)(U/L)94358577681
γ−GTP(U/L)1513
Al-P(IU/L)206229263155
LDH(IU/L)625163922832808
総ビリルビン(mg/dL)2.02.84.77.0

併用薬:塩酸セトラキサート,肝臓加水分解物配合剤,ウルソデスオキシコール酸,グリチルリチン,フロセミド,スピロノラクトン,L-アスパラギン酸カリウム,分岐鎖アミノ酸製剤,塩化ナトリウム


血小板減少
No.患者1日投与量・投与期間副作用備考
性、
年齢
使用理由(合併症)経過及び処置

40代
骨折による疼痛
〔慢性肝炎(非A非B非C),大球性貧血〕
225mg
18日間
血小板減少,肝障害,顔面皮膚剥離,貧血
投与3日目   顔面の皮膚剥離が発現。(全体に乾燥しており,薄い表皮の剥離片が5〜10mm程の大きさで約20ヵ所程度。皮膚に発赤を認めた。)
投与14日目   採血にて肝障害,血小板減少,貧血を認める。
投与18日目   顔面皮膚剥離のため,患者の判断でモフェゾラク投与中止。
中止3日後   肝障害のデータ更に悪化。
中止7日後   皮膚剥離は回復。
中止25日後   肝障害,血小板減少,貧血傾向改善。
企業報告
臨床検査値
 投与前日投与14日後中止3日後中止7日後中止25日後
赤血球数(×104/mm3247265221193201
ヘモグロビン(g/dL)10.110.78.97.88.1
ヘマトクリット(%)29.331.625.822.824.2
白血球数(/mm374003800390028003100
血小板数(×104/mm312.58.24.83.912.1
AST(GOT)(U/L)7930233116622
ALT(GPT)(U/L)451211319414
γ−GTP(U/L)40395811971186400
LDH(IU/L)583868737688358
総ビリルビン(mg/dL)1.23.32.20.7

併用薬:メチル硫酸アメジニウム,フロセミド,エチゾラム,シサプリド,フルニトラゼパム,L-アスパラギン酸カルシウム,アロプリノール,塩化カリウム,混合ビタミン剤,トリアゾラム,ロフラゼプ酸エチル,ポラプレジンク,アミノ酸・糖・電解質,グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤

40代
慢性関節リウマチ150mg
11日間
血小板減少症
投与開始日   慢性関節リウマチの治療を目的にスリンダクからモフェゾラクへ投与変更。
開始8-9日目   鼻出血が発現。
開始10日目   口腔内血腫(小さいもの)少量,足に出血斑。
開始11日目   口腔内血腫(口の中が血だらけのよう),足に出血斑,紅斑が出現し外来受診。血小板2000。
中止2日後   血小板輸血10単位,コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム250mgを投与。
中止3日後   同上
中止4日後   コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム250mgを投与。血小板6000。
中止5日後   血小板輸血20単位,コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム250mgを投与。
中止6日後   同上
中止7日後   血小板26.1万。
中止10日後   血小板29.3万。退院。
企業報告
臨床検査値
 投与前投与11日目中止4日後中止7日後中止10日後
赤血球数(×104/mm3484462389
ヘモグロビン(g/dL)12.512.216.1
ヘマトクリット(%)39.337.632.2
白血球数(/mm3107501097011060
血小板数(×104/mm334.00.20.626.129.3

併用薬:サラゾスルファピリジン,プレドニゾロン,ファモチジン


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4 使用上の注意の改訂について(その123)



 医薬品・医療用具等安全性情報No.163掲載分以降に改訂を指導した使用上の注意等について,改訂内容,主な該当販売名,参考文献等をお知らせいたします。

1 〈5−HT2ブロッカー〉
塩酸サルポグレラート
[販 売 名]アンプラーグ錠50mg(三菱東京)他
[副作用(重大な副作用)]脳出血,消化管出血:脳出血,吐血や下血等の消化管出血があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
血小板減少:血小板減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ−GTP,LDHの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。

[副作用(重大な副作用(薬類))](血小板減少症を削除)
〈参   考〉企業報告

2 〈全身麻酔剤〉
セボフルラン
[販 売 名]セボフレン(丸石:大阪)
[副作用(重大な副作用)]横紋筋融解症:筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので,このような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉石井 健,他:悪性高熱研究会:20(1995)
前田俊一,他:日本麻酔学会関東甲信越地方会:69(2000)

3 〈抗てんかん剤〉
ゾニサミド
[販 売 名]エクセグラン錠100mg(大日本)他
[副作用(重大な副作用)]肝機能障害,黄疸:これらの副作用があらわれることがあるので,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
[副作用(その他の副作用)](肝臓:γ−GTP・ALP・GPT・GOTの上昇等の肝機能異常を削除)
〈参   考〉企業報告

4 〈解熱鎮痛剤〉
イソプロピルアンチピリン・アリルイソプロピルアセチル尿素・フェナセチン・(無水)カフェイン
[販 売 名]サリドン錠(ロシュ),セデスG(塩野義)他
[副作用(重大な副作用)]肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),γ−GTPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には本剤の投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉企業報告

5 〈抗パーキンソン剤〉
メシル酸ペルゴリド
[販 売 名]ペルマックス錠50μg(リリー)他
[重要な基本的注意]体位性ないし持続性の低血圧がみられることがあるので,本剤の投与は少量から開始し,血圧等の観察を十分に行い,慎重に投与すること。
眠気がみられることがあるので,
自動車の運転,高所での作業等,危険を伴う作業には従事させないように注意すること。
[副作用(重大な副作用)]意識障害,失神:過度の血圧低下を起こし,一過性の意識障害,失神があらわれることがあるので,そのような場合には本剤の投与を中止するなど,適切な処置を行うこと。
肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),γ−GTPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど,適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

6 〈総合感冒剤〉
サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・メチレンジサリチル酸プロメタジン
[販 売 名] PL顆粒(塩野義)他
[副作用(重大な副作用)]再生不良性貧血,無顆粒球症,溶血性貧血,血小板減少:再生不良性貧血,無顆粒球症,溶血性貧血,血小板減少があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
間質性腎炎,急性腎不全:間質性腎炎,急性腎不全があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症:筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので,このような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

7 〈アルツハイマー型痴呆治療剤〉
塩酸ドネペジル
[販 売 名]アリセプト錠3mg(エーザイ)他
[禁   忌]
本剤の成分又はピペリジン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
[副作用(重大な副作用)]錐体外路障害:手指振戦,運動障害等の錐体外路障害があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

8 〈局所麻酔剤〉
リドカイン(貼付剤)
[販 売 名]ペンレス(ワイスレダリー)
[副作用(重大な副作用)]ショック,アナフィラキシー様症状:ショック,アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので,観察を十分に行い,不快感,口内異常感,喘鳴,眩暈,便意,耳鳴,発汗,全身潮紅,呼吸困難,血管浮腫(顔面浮腫,喉頭浮腫等),血圧低下,顔面蒼白,脈拍の異常,意識障害等の異常が認められた場合には使用を中止し,適切な処置を行うこと。なお,本剤除去後にも,同様症状を起こすことがあるので,注意すること。
(ショック:他のリドカイン製剤でショックを起こした報告があるので,本剤の使用に際しては患者の全身状態の観察を十分に行い,血圧低下,顔面蒼白,脈拍の異常,呼吸抑制等があらわれた場合には,直ちに使用を中止し,適切な処置を行うこと。を削除)
〈参 考〉企業報告

9 〈骨格筋弛緩剤〉
臭化ベクロニウム
[販 売 名]マスキュラックス静注用(オルガノン)他
[副作用(重大な副作用)]横紋筋融解症:筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので,このような場合には本剤の投与を中止するなど,適切な処置を行うこと。

10 〈副交感神経興奮剤〉
塩化アセチルコリン
[販 売 名]オビソート注射用(第一製薬),ノイコリンエー(ゼリア)
[副作用(重大な副作用)]ショック,アナフィラキシー様症状:ショック,アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので,観察を十分に行い,蕁麻疹,チアノーゼ,不快感,口内異常感,喘鳴,眩暈,便意,耳鳴,発汗等の異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。

11 〈耳鼻科用剤〉
塩酸セフメノキシム(耳鼻科用剤)
[販 売 名]ベストロン耳鼻科用(千寿)
[副作用(重大な副作用)]ショック,アナフィラキシー様症状を起こすことがあるので,観察を十分に行い,蕁麻疹,チアノーゼ,不快感,口内異常感,喘鳴,眩暈,便意,耳鳴,発汗等の異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

12 〈血圧降下剤〉
ロサルタンカリウム
[販 売 名]ニューロタン錠25(万有)他
[副作用(重大な副作用)]アナフィラキシー様症状
〈参 考〉企業報告

13 〈血管拡張剤〉
一硝酸イソソルビド
[販 売 名]アイトロール錠10mg(トーアエイヨー)他
[副作用(重大な副作用)]肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),γ−GTPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど,適切な処置を行うこと。
〈参   考〉企業報告

14 〈高脂血症用剤〉
プロブコール
[販 売 名]シンレスタール錠(第一製薬),ロレルコ(大塚製薬)他
[副作用(重大な副作用)]横紋筋融解症:筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので,異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど,適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

15 〈H2受容体拮抗剤〉
シメチジン
[販 売 名]タガメット錠200mg(藤沢)他
[副作用(重大な副作用)]再生不良性貧血,汎血球減少,無顆粒球症,血小板減少:再生不良性貧血,汎血球減少,無顆粒球症,血小板減少があらわれることがあるので,初期症状として全身倦怠,脱力,皮下・粘膜下出血,発熱等がみられたら,その時点で血液検査を実施し,異常が認められた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。
間質性腎炎,急性腎不全:間質性腎炎,急性腎不全があらわれることがあるので,初期症状として発熱,腎機能検査値異常(BUN,クレアチニン上昇等)等が認められた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

16 〈消化管運動促進剤〉
クエン酸モサプリド
[販 売 名]ガスモチン錠2.5mg(大日本)他
[副作用(重大な副作用)]肝機能障害:AST(GOT),ALT(GPT),γ−GTPの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

17 〈黄体ホルモン剤〉
酢酸クロルマジノン(25mg,50mg)
[販 売 名]プロスタール錠25,プロスタールL錠(帝国臓器)他
[副作用(重大な副作用)]糖尿病(悪化を含む),高血糖:糖尿病,糖尿病の悪化あるいは高血糖があらわれることがあり,昏睡,ケトアシドーシスを伴う重篤な症例も報告されているので,血糖値や尿糖に注意するなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
[副作用(その他の副作用)](糖代謝:尿糖,糖尿病の悪化,高血糖(血糖値や尿糖に注意するなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。)を削除)
〈参 考〉企業報告

18 〈排尿抑制ベンジル酸誘導体〉
塩酸プロピベリン
[販 売 名]バップフォー錠10(大鵬薬品)他
[副作用(重大な副作用)]横紋筋融解症:筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
血小板減少:血小板減少があらわれることがあるので,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発熱,紅斑,そう痒感,眼充血,口内炎等の症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
QT延長,心室性頻拍:QT延長,心室性頻拍,房室ブロック,徐脈等があらわれることがあるので,観察を十分に行い,このような症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),γ−GTPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど,適切な処置を行うこと。
[副作用(重大な副作用(類薬))](削除)
〈参 考〉企業報告

19 〈経腸成分栄養剤〉
エレンタール,クリニミール
[販 売 名]エレンタール(味の素)
クリニミール(森永乳業)
[重要な基本的注意]ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること。長期投与中にセレン欠乏症(心機能の低下,爪白色変化,筋力低下等)があらわれたとの報告がある。
[適用上の注意](ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること。を削除)
〈参 考〉企業報告

20 〈経腸成分栄養剤〉
エレンタールP
[販 売 名]エレンタールP(味の素)
[重要な基本的注意]ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること。特に,鉄欠乏性貧血が認められた場合には鉄剤の併用等の処置が有効なことがある。また,長期投与中にセレン欠乏症(心機能の低下,爪白色変化,筋力低下等)があらわれたとの報告がある。
[適用上の注意](ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること。特に,鉄欠乏性貧血が認められた場合には鉄剤の併用等の処置が有効なことがある。を削除)

21 〈経腸成分栄養剤〉
エンシュア・リキッド,エンシュア・H
[販 売 名]エンシュア・リキッド(明治乳業)
エンシュア・H(明治乳業)
[重要な基本的注意]ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること。長期投与中にセレン欠乏症(心機能の低下,爪白色変化,筋力低下等)があらわれたとの報告がある。
(ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること。を削除)

22 〈経腸成分栄養剤〉
ハーモニック−F,ハーモニック−M,ベスビオン,ラコール
[販 売 名]ハーモニック−F(エスエス)
ハーモニック−M(エスエス)
ベスビオン(雪印)
ラコール(雪印)
[重要な基本的注意]ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること。類薬の長期投与中にセレン欠乏症(心機能の低下,爪白色変化,筋力低下等)があらわれたとの報告がある。
[適用上の注意](ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること。を削除)

23 〈経腸成分栄養剤〉
ツインライン
[販 売 名]ツインライン(雪印)
[重要な基本的注意]ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること。類薬の長期投与中にセレン欠乏症(心機能の低下,爪白色変化,筋力低下等)があらわれたとの報告がある。
(ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること。を削除)

24 〈経腸成分栄養剤〉
エンテルード
[販 売 名]エンテルード(テルモ)
[重要な基本的注意]ビタミン,電解質及び微量元素の不足を生じる可能性があるので,必要に応じて補給すること。類薬の長期投与中にセレン欠乏症(心機能の低下,爪白色変化,筋力低下等)があらわれたとの報告がある。

25 〈免疫抑制剤〉
アザチオプリン
[販 売 名]アザニン錠(田辺),イムラン錠(グラクソ・ウエルカム)
[重要な基本的注意]骨髄機能抑制,肝機能障害等の重篤な副作用が起こることがあるので,頻回に臨床検査(血液検査,肝機能,腎機能検査等)を行うなど,患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には,減量・休薬等の適切な処置を行うこと。また,使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれることがあるので,投与は慎重に行うこと。〔「重大な副作用」の項参照〕
[副作用(重大な副作用)]肝機能障害,黄疸
[副作用(その他の副作用)](肝臓:肝障害,黄疸を削除)
[その他の注意]肝中心静脈閉塞(症),結節性再生性過形成等の所見を認めたとの報告がある。
〈参 考〉企業報告

26 〈骨代謝改善剤〉
エチドロン酸二ナトリウム
[販 売 名]ダイドロネル錠200(住友製薬)
[副作用(重大な副作用)]肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),γ−GTP,Al−Pの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

27 〈免疫抑制剤〉
ミコフェノール酸モフェチル
[販 売 名]セルセプトカプセル250(ロシュ)
[重要な基本的注意]本剤は,イノシンモノホスフェイト脱水素酵素(IMPDH)阻害剤であるため,ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)欠損症(Lesch-Nyhan症候群,Kelley-Seegmiller症候群)の患者に使用すると,高尿酸血症を増悪させる可能性があるので十分注意すること。
〈参 考〉企業報告

28 〈抗エストロゲン剤〉
クエン酸タモキシフェン
[販 売 名]ノルバデックス(アストラゼネカ)他
[禁   忌]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
[副作用(重大な副作用)]アナフィラキシー様症状,血管浮腫:アナフィラキシー,血管浮腫等の過敏症状があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),水疱性類天疱瘡:皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),水疱性類天疱瘡があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
膵炎:血清トリグリセライド上昇によると考えられる膵炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

29 〈グリコペプチド系抗生物質〉
塩酸バンコマイシン(経口剤)
[販 売 名]塩酸バンコマイシン散(リリー)他
[重要な基本的注意]偽膜性大腸炎等の腸管病変が重篤でかつ高度の腎障害患者(血液透析中等)では,本剤の経口投与により蓄積を起こす可能性があり,塩酸バンコマイシンの静脈内投与で報告されているものと同様な副作用が発現する危険性があるので注意すること。〔「重大な副作用」,「薬物動態」の項参照〕
[副作用(重大な副作用)]注射用塩酸バンコマイシン製剤で,アナフィラキシー様症状,急性腎不全,間質性腎炎,汎血球減少,無顆粒球症,血小板減少,皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),剥脱性皮膚炎,第8脳神経障害,偽膜性大腸炎があらわれることが報告されているので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

30 〈セフェム系抗生物質〉
塩酸セフェピム
[販 売 名]注射用マキシピーム0.5g(BMS)
[副作用(重大な副作用)]汎血球減少,無顆粒球症,血小板減少汎血球減少,無顆粒球症,血小板減少があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al−P,LDH,γ−GTP,LAPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

31 〈抗真菌性抗生物質〉
アムホテリシンB(錠剤,シロップ剤)
[販 売 名]ファンギゾン内服錠(BMS),ファンギゾンシロップ(BMS)他
[禁   忌]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
[重要な基本的注意]本剤は,消化管からほとんど吸収されないため全身性の真菌感染症に対しては無効である。
[副作用(重大な副作用)]皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

32 〈抗真菌性抗生物質〉
アムホテリシンB(注射剤)
[販 売 名]ファンギゾン(BMS)
[用法・用量に関連する使用上の注意]静注においては,副作用発現により投与困難な場合があるので,初回は試験的に1mg(力価)を5%ブドウ糖注射液20mLに溶解し20〜30分かけて投与し,30分毎に体温,脈拍,呼吸,血圧を2〜4時間観察することが望ましい。
静注においては,
1日総投与量は体重1kg当り1.5mg(力価)を超えないこと。
静注においては,休薬後7日以上を経て投与を再開する場合には用法・用量欄の記載に従い初回量より再開すること。
[重要な基本的注意]腎障害(急性腎不全,尿細管性アシドーシス,腎石灰沈着,BUN上昇,クレアチニン上昇,低張尿等)があらわれることがあるので,定期的に腎機能,血清電解質(特にカリウム,マグネシウム)の検査を行うなど,観察を十分に行い,異常が認められた場合は減量,休薬,血清電解質の補正等適切な処置を行うこと。特にこれらの症状が重篤な場合には患者の回復を待って投与を再開すること。総投与量が5gを超えると不可逆的な腎障害があらわれることがあるので十分に注意すること。また,本剤投与前に補液及びナトリウム補給を行うことにより,腎毒性の発現を低下させることがある。
本剤は毒性が強く,患者によって忍容性の変動が大きいため,定期的に腎機能,肝機能,血清電解質(特にカリウム,マグネシウム)血球数等の検査を行うなど,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量,休薬等適切な処置を行うこと。
[副作用(重大な副作用)]心停止,心不全,不整脈(心室細動等):心停止,心不全,不整脈(心室細動等)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,このような症状があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
腎障害:急性腎不全,高窒素血症,尿細管性アシドーシス,腎石灰沈着等の腎障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,無尿,乏尿,BUN上昇,クレアチニン上昇,低張尿等があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー様反応:アナフィラキシー様反応があらわれることがあるので,観察を十分に行い,このような症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
無顆粒球症:無顆粒球症があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
肺水腫:肺水腫があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

33 〈ニューキノロン系抗菌剤〉
ノルフロキサシン(経口剤)
[販 売 名]バクシダール錠100mg(杏林)他
[副作用(重大な副作用)]肝機能障害,黄疸:AST(GOT),ALT(GPT),Al−P,LDHの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
[副作用(その他の副作用)](肝臓:GOT,GPT,Al−Pの上昇,LDHの上昇,血清ビリルビンの上昇を削除)
〈参 考〉企業報告

34 〈抗ウイルス剤〉
ネビラピン
[販 売 名]ビラミューン錠200(日本ベーリンガー)
[警   告]
警告
皮膚障害
 本剤の投与により,中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)を含め,重篤で致死的な皮膚障害が発現することがあるので,次の事項に注意すること
 1)本剤による発疹は,投与開始後概ね8週までに(重篤な発疹は投与開始後概ね6週までに)発現する場合が多いので,当該期間は特に観察を十分に行うこと。
 2)重篤な発疹,又は以下の症状を伴う発疹が発現した場合には,本剤の投与を中止すること。
     発熱,水疱,口内病変,結膜炎,顔面や四肢等の腫脹,筋肉痛,関節痛,又は全身倦怠感
    なお,必要に応じ,専門医を受診させるなど適切な処置を行うこと。
 3)投与中止後も症状が増悪するおそれがあるので,患者の状態を十分観察すること。
 4)本剤の投与により重篤な発疹,又は全身症状を伴う発疹が発現した患者には,再投与しないこと。

肝機能障害
 本剤の投与により,肝不全などの重篤で致死的な肝機能障害が発現することがあるので,次の事項に注意すること。
 1)投与開始に際しては肝機能検査を含む臨床検査を実施し,更に投与開始後6ヵ月間は少なくとも1ヵ月に1回,定期的かつ必要に応じて肝機能検査を行うなど,患者の状態を十分に観察すること
 2)異常が認められた場合(γ−GTPを除く)には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 3)投与中止後も症状が増悪するおそれがあるので,患者の状態を十分観察すること。
 4)本剤の投与により肝機能障害が発現した患者には再投与しないこと。
[禁   忌]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
本剤の投与により肝機能障害が発現した患者
本剤の投与により重篤な発疹,又は全身症状を伴う発疹が発現した患者(「警告」の項参照)
[用法・用量に関連する使用上の注意] ネビラピンは他の非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬と交叉耐性を示すことがある。
本剤の投与は1日200mgより開始し,1日400mgの維持量に増量するが,発疹が発現した場合には,発疹が完治するまで本剤の投与量を増量しないこと。
(2週間の導入期にどのような発疹であれ発現した際には,発疹が完治するまで本剤の投与量を増量しないこと。また,以下の症状を伴う発疹,又は重篤な発疹が発現した場合には,本剤の投与を中止すること。
 発熱,水疱,口内病変,結膜炎,顔面や四肢等の腫脹,筋肉痛,関節痛,又は全身倦怠感
なお,必要に応じ,専門医を受診させるなど適切な処置を行うこと。また,投与中止後も症状が増悪するおそれがあるので,患者の状態を十分観察すること。
本剤の投与により中等度又は重症の肝機能異常(γ−GTPを除く)が発現したため,本剤の投与を一旦中止した症例においては,肝機能が正常に回復した後,本剤の投与を再開することができる。ただし,投与を再開する場合には導入期における用法・用量とすること。その後,十分に観察した上で維持量に増量すること。を削除)
[慎重投与]((定期的かつ必要に応じて検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。)を削除)
[重要な基本的注意]本剤の使用に際しては,患者又はそれに代わる適切な者に,次の事項についてよく説明し同意を得た後,使用すること。
 4)本剤の主な副作用は発疹であること。本剤による発疹は投与開始後概ね8週までに(重篤な発疹は投与開始後概ね6週までに)発現しているので,当該期間中は特に注意すること。また,発疹が発現した場合には,直ちに担当医に報告すること。
 5)本剤の投与により,肝不全などの重篤な肝機能障害の発現が報告されていること。
[副作用(重大な副作用)]中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群):これらの重篤な発疹は本剤投与開始後概ね6週までに発現する場合が多いので,この期間は特に観察を十分に行い,重篤な発疹,又は以下の症状を伴う発疹が発現した場合には,本剤の投与を中止すること。また,このような患者には再投与しないこと。
 発熱,水疱,口内病変,結膜炎,顔面や四肢等の腫脹,筋肉痛,関節痛,又は全身倦怠感
なお,必要に応じ,専門医を受診させるなど適切な処置を行うこと。また,投与中止後も症状が増悪するおそれがあるので,患者の状態を十分観察すること。
肝炎,肝機能障害(AST(GOT),ALT(GPT),γ−GTP,Al−P,総ビリルビン等の上昇),黄疸,肝不全:定期的,かつ必要に応じて検査を行うなど患者の状態を十分に観察し,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー様症状:アナフィラキシー様症状(発疹,蕁麻疹,血管浮腫等)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。

35 〈抗ウイルス剤〉
硫酸アバカビル
[販 売 名]ザイアジェン錠(グラクソ・ウエルカム)
[警   告]
警告

海外臨床試験において,本剤投与患者の約%に過敏症の発現を認めており,まれに致死的となることが示されている。本剤による過敏症は,通常,本剤による治療開始6週以内(中央値11日)に発現するが,その後も継続して観察を十分に行うこと。
本剤による過敏症では以下の症状が多臓器及び全身に発現する。
 ・皮疹
 ・発熱
 ・胃腸症状(嘔気,嘔吐,下痢,腹痛等)
 ・疲労感,倦怠感
 ・呼吸器症状(呼吸困難,咽頭痛,咳等)等
このような症状が発現した場合は,直ちに担当医に報告させ,本剤による過敏症が疑われたときは本剤の投与を直ちに中止すること。
過敏症が発現した場合には,決して本剤を再投与しないこと。本剤の再投与により数時間以内にさらに重篤な症状発現重篤な血圧低下が発現する可能性及び死に至る可能性がある。
呼吸器疾患(肺炎,気管支炎,咽頭炎),インフルエンザ様症候群,胃腸炎,又は併用薬剤による副作用と考えられる症状が発現した場合でも,本剤による過敏症の可能性を考慮し,過敏症が否定できない場合は本剤の投与を直ちに中止し,決して再投与しないこと。
[慎重投与](腎障害患者〔本剤の約2%が腎から未変化体として尿中に排泄される。腎障害患者における薬物動態学的データはなく,腎障害の程度に応じた推奨投与量は明らかでない。〕を削除)
[重要な基本的注意]本剤による過敏症が疑われたときは本剤の投与を直ちに中止し,決して再投与しないこと。(「重大な副作用」の項参照)
呼吸器疾患(肺炎,気管支炎,咽頭炎),インフルエンザ様症候群,胃腸炎,又は併用薬剤による副作用と考えられる症状が発現した場合でも,本剤による過敏症の可能性を考慮し,過敏症が否定できない場合は本剤の投与を直ちに中止し,決して再投与しないこと。
本剤の再投与を考慮する際は,次のことに注意すること。

   ・本剤による過敏症が疑われた患者には,決して再投与しないこと。
   ・本剤を中止した理由を再度検討し,過敏症との関連性が否定できない場合は再投与しないこと。
   ・投与中止前に過敏症の主な症状(皮疹,発熱,胃腸症状等)の1つのみが発現していた患者には,本剤の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ,必要に応じて入院のもとで投与を行うこと。
   ・過敏症の症状又は徴候が認められていなかった患者に対しても,直ちに医療施設に連絡できることを確認した上で投与を行うこと。
本剤の使用に際しては,患者又はそれに代わる適切な者に,次の事項についてよく説明し同意を得た後,使用すること。
  3)本剤の投与後過敏症が発現し,まれに致死的となることが報告されている。過敏症を注意するカードに記載されている徴候又は症状である発熱,皮疹,疲労感,倦怠感,胃腸症状(嘔気,嘔吐,下痢,腹痛等)及び呼吸器症状(呼吸困難,咽頭痛,咳等)等が発現した場合は,直ちに担当医に報告し,本剤の服用を中止すべきか否か指示を受けること。また,過敏症を注意するカードは常に携帯すること。
  4)本剤の再投与により重症又は致死的な過敏症が数時間以内に発現する可能性がある。従って,本剤の服用を中断した後に再び服用する際には,必ず担当医に相談すること。担当医又は医療施設を変わる場合には本剤の服用歴がある旨を新しい担当医に伝えること。
(本剤投与による過敏症は,通常,治療開始6週以内(中央値11日)に発現し,まれに致死的となることが報告されている。患者に過敏症について必ず説明し,過敏症を注意するカードを常に携帯するよう指示すること。過敏症の徴候又は症状が発現した場合は,直ちに担当医に報告させ,本剤による過敏症が疑われたときは本剤の投与を直ちに中止すること。(「副作用」の項参照)を削除)
(過敏症の発現後は,本剤を決して再投与しないこと。本剤の再投与により数時間以内にさらに重篤な症状の発現,生命を脅かす程度の血圧低下の発現及び死に至る可能性がある。(「副作用」の項参照)を削除)
[副作用(重大な副作用)]過敏症
   (1)海外臨床試験において,本剤投与患者の約%に過敏症の発現を認めており,まれに致死的となることが報告されている。
   (2)過敏症は,通常,本剤による治療開始6週以内(中央値11日)に発現するが,その後も継続して観察を十分に行うこと。
   (3)過敏症の特徴は多臓器及び全身に症状を認めることである。過敏症を発現するほとんどの患者に発熱又は皮疹が認められる。過敏症の徴候又は症状は以下のとおりである。
    皮 膚:皮疹(通常,斑状丘疹性皮疹又は蕁麻疹)
    消化器:嘔気,嘔吐,下痢,腹痛,口腔潰瘍
    呼吸器:呼吸困難,咽頭痛,咳
    精神神経系:頭痛,感覚異常
    血 液:リンパ球減少
    肝 臓:肝機能検査値異常(AST(GOT),ALT(GPT)等の上昇),肝不全
    筋骨格:筋痛,筋変性(横紋筋融解,筋萎縮等),関節痛,CK(CPK)上昇
    泌尿器:クレアチニン上昇,腎不全
    眼 :結膜炎
    その他:発熱,嗜眠,倦怠感,疲労感,浮腫,リンパ節腫脹,血圧低下,粘膜障害,アナフィラキシー
   (4)過敏症に関連する症状は,本剤の投与継続により悪化し,生命を脅かす可能性がある。通常,本剤の投与中止により回復する。
   (5)本剤による過敏症発現後の再投与により,症状の再発が数時間以内に認められる。これは初回よりさらに重篤であり,重篤な血圧低下が発現する可能性及び死に至る可能性がある。従って,過敏症が発現した場合は,本剤の投与を中止し,決して再投与しないこと。
(過敏症
   3)過敏症の特徴は多臓器及び全身に症状を認めることである。通常,認められる徴候又は症状は発熱,胃腸症状(嘔気,嘔吐,下痢,腹痛等),皮疹,嗜眠及び倦怠感である。他に,筋痛,関節痛,浮腫,呼吸器症状(呼吸困難,咽頭痛,咳等),頭痛,感覚異常が認められる。なお,皮疹は多様であり,通常,斑状丘疹性皮疹又は蕁麻疹として認められるが,認めないこともある。
   4)身体所見では,リンパ節腫脹,ときに粘膜障害(結膜炎,口腔潰瘍)及び血圧低下が認められる。過敏症の発現に伴い,肝酵素値の上昇,CPK上昇,クレアチニン上昇及びリンパ球減少等の臨床検査値異常を認めることがある。
   5)過敏症に関連した腎不全及びアナフィラキシーが報告されている。
    を削除)
膵炎があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

36 〈インターフェロン製剤〉
インターフェロン−α注射液,注射用乾燥インターフェロン−α,注射用乾燥インターフェロン−α−2a,注射用乾燥インターフェロン−α−2b
[販 売 名]スミフェロン300(住友製薬)他
IFNαモチダ250(持田),オーアイエフ250万IU(大塚製薬)他
キャンフェロンA300(武田),ロフェロンA300(ロシュ)他
イントロンA注射用300(シェリングプラウ)他
[副作用(重大な副作用)]敗血症:易感染性となり,敗血症があらわれることがあるので,患者の全身状態を十分に観察し,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告

37 〈インターフェロン製剤〉
注射用乾燥インターフェロン−β
[販 売 名]フェロン(東レ),IFNβモチダ(持田)
[重要な基本的注意]本剤の投与初期において,一般に発熱がみられる。その程度は個人差が著しいが高熱を呈する場合もあるので,発熱に対してあらかじめ十分配慮すること。
[副作用(重大な副作用)]敗血症:易感染性となり,敗血症があらわれることがあるので,患者の全身状態を十分に観察し,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
〈参 考〉企業報告



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