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2017年11月15日 中央社会保険医療協議会 総会 第370回議事録

○日時

平成29年11月15日(水)8:59~12:08

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

田辺国昭会長 野口晴子委員 荒井耕委員 関ふ佐子委員 中村洋委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
榊原純夫委員
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 猪口雄二委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員 
安部好弘委員
菊池令子専門委員 丹沢秀樹専門委員 横地常広専門委員
<参考人>
薬価算定組織 秋下委員長
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医薬品の薬価収載について
○DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
○在宅自己注射について
○最適使用推進ガイドラインについて
○在宅医療(その4)について
○その他

○議事 

 

○田辺会長
それでは、おそろいのようでございますので、ただいまより、第370回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
委員の出席状況について、御報告いたします。
本日は、松原委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきますので、御協力のほうお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、議事に入らせていただきます。
初めに「医薬品の薬価収載について」「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」「在宅自己注射について」を一括して議題といたします。
まず「医薬品の薬価収載について」ですが、本日は薬価算定組織の秋下委員長にお越しいただいております。秋下委員長より御説明をお願いいたします。
では、お願いいたします。
○秋下委員長
薬価算定組織の委員長の秋下です。
私から今回検討いたしました新医薬品の算定結果について報告いたします。資料は中医協の総-1をごらんください。今回の報告品目は1ページの一覧表にありますとおり、12成分25品目となります。
それでは、算定内容について御説明いたします。まず1番目「レバチオ懸濁用ドライシロップ900mg」及び「レバチオODフィルム20mg」です。2ページ及び3ページをごらんください。
懸濁用ドライシロップ900mgは、同一成分のレバチオ錠20mgを最類似薬とした類似薬効比較方式1により算定しました。
本剤は、小児を対象に国内で臨床試験が実施されていること、小児に係る効能及び効果が明示的に含まれていること、比較薬は小児加算を受けていないことから、小児加算Aイコール5%を適用することが妥当と判断しました。また、レバチオODフィルム20mgの薬価は、既収載のレバチオ錠20mgと同額としました。
その結果、本剤の算定薬価は10mg1ml、これはドライシロップですが、こちらが671円30銭、ODフィルムですが、20mg1錠が1,213円50銭となりました。
2番目「イブランスカプセル」です。4ページ及び5ページをごらんください。
本剤は、手術不能または再発乳がんを効能・効果とする内用薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定しました。
本剤は、新規作用機序医薬品であり、既存の標準治療である内分泌療法剤との併用により、無増悪生存期間の統計学的に有意な延長が認められ、臨床的意義があると評価されていることなどを踏まえ、平均的な営業利益率のプラス10%の評価が適当と判断いたしました。
その結果、本剤の算定薬価は25mg1カプセルが5,576円40銭、125mg1カプセルが2万2,560円30銭となりました。
3番目「ルパフィン錠10mg」です。6ページ及び7ページをごらんください。
本剤は、アレルギー性鼻炎等を効能・効果とする内用薬であり、薬理作用類似薬が既に3以上あることなどから、類似薬効比較方式2により算定しました。
その結果、本剤の算定薬価は1錠が69円40銭となりました。
4番目「マヴィレット配合錠」です。8ページ及び9ページをごらんください。
本剤は、C型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善を効能・効果とする内用薬であり、効能・効果、薬理作用、剤形等が類似するヴィキラックス配合錠を最類似薬とした類似薬効比較方式1により算定しました。
本剤は、既存治療薬に対する治療不成功例に対して有効であることを臨床試験で確認した初の薬剤であること等を踏まえ、有用性加算2の5%加算の評価が適当と判断しました。
その結果、本剤の算定薬価は1錠が2万4,210円40銭となりました。
5番目「アラグリオ顆粒剤分包1.5g」です。10ページ及び11ページをごらんください。
本剤は、経尿道的膀胱腫瘍切除術時における筋層非浸潤性膀胱がんの可視化を効能・効果とする内用薬であり、効能・効果が異なる同一有効成分の既収載品があることから、組成及び投与形態が同一で効能及び効果が異なる既収載品がある新薬の薬価算定の特例により算定しました。なお、原価計算方式と類似薬効比較方式で算定した算定額のうち、いずれか低いほうとされていることから、原価計算方式で算定した額としました。
その結果、本剤の算定薬価は1.5g1包が7万4,873円70銭となりました。
6番目「ケブザラ皮下注」です。12ページ及び13ページをごらんください。
本剤は、既存治療で効果不十分な関節リウマチを効能・効果とする注射薬であり、効能・効果、薬理作用が類似するアクテムラ皮下注を最類似薬とした類似薬効比較方式1により算定しました。
その結果、本剤の算定薬価は150mg1筒が4万5,467円、200mg1筒が6万329円となりました。
7番目「ベンリスタ点滴静注用」及び「ベンリスタ皮下注」です。14ページ及び15ページをごらんください。
本剤は、既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスを効能・効果とする注射薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定しました。
その結果、本剤の算定薬価は120mg1瓶が1万5,404円、400mg1瓶が5万245円、200mg1キットが2万4,547円、200mg1筒が2万4,540円となっております。
8番目「ダラザレックス点滴静注」です。16ページ及び17ページをごらんください。
本剤は、再発または難治性の多発性骨髄腫を効能・効果とする注射薬であり、本剤と効能・効果が同一のエムプリシティ点滴静注用を最類似薬とした類似薬効比較方式1により算定しました。
その結果、本剤の算定薬価は100mg1瓶が5万1,312円、400mg1瓶が18万4,552円となりました。
9番目「バベンチオ点滴静注200mg」です。18ページ及び19ページをごらんください。
本剤は、根治切除不能なメルケル細胞がんを効能・効果とする注射薬であり、本剤と薬理作用、用法等が類似するオプジーボ点滴静注を最類似薬とした類似薬効比較方式1により算定しました。
その結果、本剤の算定薬価は200mg1瓶が21万8,955円となりました。
10番目「エイフスチラ静注用」です。20ページ及び21ページをごらんください。
本剤は、血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制を効能・効果とする注射薬であり、薬理作用、類似薬が既に3以上あること等から、類似薬効比較方式2により算定しました。
その結果、本剤の算定薬価は、250国際単位1瓶が2万2,308円、500国際単位1瓶が4万1,370円、1,000国際単位1瓶が7万6,719円、1,500国際単位1瓶が11万104円、2,000国際単位1瓶が14万2,273円、2,500国際単位1瓶が17万3,568円、3,000国際単位1瓶が20万4,184円となりました。
11番目「ジーンプラバ点滴静注625mg」です。22ページ及び23ページをごらんください。
本剤は、クロストリジウム・ディフィシル感染症の再発抑制を効能・効果とする注射薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定しました。
本剤は、クロストリジウム・ディフィシルトキシンBを中和し細胞内への侵入を阻害することで腸管の損傷を防ぐ新規作用機序医薬品であり、重症例では死亡に至ることもあるクロストリジウム・ディフィシル感染症の再発抑制効果を示した初の医薬品であること等を踏まえ、平均的な営業利益率のプラス20%の評価が適当と判断しました。
その結果、本剤の算定薬価は625mg1瓶が33万500円となりました。
なお、新薬収載希望者による市場規模予測において、本剤の投与対象は、繰り返し再発した患者や重症化リスクが高い患者を想定しているため、通知により投与対象が限定されることが算定薬価の前提となっています。後ほど補足がございます。
12番目「レクタブル2mg注腸フォーム14回」です。24ページ及び25ページをごらんください。
本剤は、潰瘍性大腸炎を効能・効果とする外用薬であり、適切な類似薬がないため、原価計算方式により算定しました。
その結果、本剤の算定薬価は、48mg1瓶が6,940円60銭となりました。
以上でございます。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
引き続き、事務局から補足として「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」並びに「在宅自己注射について」の御説明をお願いいたします。
薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
薬剤管理官でございます。
若干補足させていただきます。今、秋下委員長から説明がございましたが、その中の11番目、22ページから23ページの「ジーンプラバ点滴静注625mg」の収載に当たりまして、事務局の考え方を補足させていただきます。
本剤はクロストリジウム・ディフィシル感染症の再発リスクが高い患者を投与対象として承認されているということですけれども、再発リスクが高い患者が具体的に示されていないということで、薬価算定組織において市場規模予測の前提となった患者以外にも多く使用される可能性があるのではないかという議論がありました。このため、保険適用の条件として、新薬収載希望者による市場規模予測の前提となった投与対象患者でありますところの、これは具体的に申し上げますと、22ページの右下にありますけれども、過去2回以上クロストリジウム・ディフィシル感染症を再発した患者または重症のクロストリジウム・ディフィシル感染症、免疫不全状態もしくは強毒株への感染の1つ以上に該当する患者ということで、これを留意事項通知によりお示しさせていただきたいと考えているところでございます。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
引き続き、医療課長、補足をお願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
お手元の総-2でありますが、これは従来新薬の収載時に行っております。DPCにおける高額な医薬品の取り扱いにつきましては、御案内のとおり一定の要件を満たすものについては出来高算定になっております。今回この表で御説明しておりますのは、まず1ページ目から3ページ目にかけて、今、委員長から御説明いただきました新薬の関係、それ以外に新たに効能追加されたもの、公知申請されたもの、こういったもので受理されたものにつきまして、該当するものの一覧表でございます。
4ページ目、最後でありますが、オプジーボの関連につきましては、ことしの2月以降、別立ての算定という形で取り扱いをさせていただいております。それから、最後にありますが、今回オプジーボを類似薬として御審議をいただく予定になっておりますこのバベンチオ、これは同様の扱いになりますので、そういった整理をさせていただいております。ルールにつきましては、別添の総-2(参考)にございます。
もう一点、総-3で、在宅自己注射に係る指導管理料の対象となる薬品につきまして、追加の御提案をさせていただいております。これは御案内のことと思いますが、在宅自己注射の対象医薬品につきましては、昨年、中医協の総会において改めて運用について整理していただきまして、その運用が今回総-3参考1となっておりますが、昨年の8月にまとめていただいたものであります。この内容にのっとって運用しております。
その中で総-3、2つの医薬品のサリルマブ、ベリムマブ、それぞれ既存治療で効果不十分な関節リウマチ、既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデスということでございますけれども、総-3参考2、最初のほうがサリルマブ、その後ろがベリムマブ、いずれも学会からの御要望がございます。こういったことを踏まえまして、総-3に戻りますけれども、1番目のサリルマブにつきまして、裏面が2番目のベリムマブにつきまして、取り扱いとして、在宅自己注射を対象としてはどうかと。
なお、この1番目のサリルマブにつきましては、用法のところを見ていただければわかるのですが、2週間間隔の投与となっております。新薬につきましては処方日数の関係で投薬期間が14日に制限されることから、この1年間の経過がなされるまでの間は14日間という制限ですので、この在宅自己注射の対象にはなりませんけれども、それが解除されたときに、そういった取り扱いをしてはどうかという御提案でございます。
以上でございます。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
今の医療課長の御説明、いわゆる在宅自己注の話ですけれども、そういう考え方も一つであろうかとは思いますが、1週間に一度が頻回なのか2週間に一度が頻回なのかという部分の中で、この要望書を拝見いたしましても、特にサリルマブのほうにどうしてもこの薬剤でなければいけない、また診療上の必要性といいますか、自己注でなければいけない必要性は認めにくい感じがします。新薬収載1年後にこれをオートマチックに自己注を認めるというのではなくて、要望自体をもう少し考えていただく考え方はないのでしょうか。質問をさせていただきます。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
御指摘の点は基本的にはそのとおりでございまして、決してオートマチックにということではございません。繰り返しになるかもしれませんけれども、まず運用の考え方として、大前提としては、臨床の現場からのそういった御要望、御意見があった上で、それを前提といたしまして、参考資料としてつけておりますけれども、中医協の場でこう取り扱ってはどうか。特に新薬の場合は処方日数の一定の考え方がございますので、その整合で、あくまで前提としては診療上の必要性があった上で、新薬について2週間という取り扱いをしているということでございます。私どもといたしましても、この要望の内容について必要性があるということで御提案しておりますけれども、御指摘を受けまして、改めてもう一度整理をするということはもちろんさせていただいてもよろしいかと思いますが、私が申し上げたいのは、決してオートマチックにやっているということではございませんということでございます。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
幾つか慢性関節リウマチの治療薬があり、それの全てが在宅自己注を認められているから新しい薬でも在宅自己注を認めるというのでなくて、要望があってそれの必要性を考えて認めるという整理でよろしいのですね。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
全くそのとおりで、そのような認識のもとで御提案させていただいているということでございます。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
ほか、いかがでございましょう。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
次に報告事項でございます。「最適使用推進ガイドラインについて」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、事務局より説明をお願いいたします。
医薬品審査管理課長、お願いいたします。
○山本医薬品審査管理課長
医薬品審査管理課長でございます。
お手元資料、総-4-1に沿って、まずは御説明をさせていただきたいと思います。
今回御説明させていただきますのは、先ほども挙がりました剤の一つでございますアベルマブ(遺伝子組換え)、販売名「バベンチオ点滴静注200mg」につきまして、最適使用推進ガイドラインを作成して発出したいと考えております。適応はメルケル細胞がんということでございます。そして、今回アベルマブとしては初めての承認でございますので、最適使用推進ガイドラインを作成するのも今回が初めてでございます。このアベルマブ、バベンチオにつきましては、免疫チェックポイント阻害薬の一つでございますが、オプジーボなどがPD-1抗体であるのに対しまして、この剤はPD-L1抗体でございます。そういう意味で、オプジーボ等と類似しているということでございます。
1ページ、「目次」をごらんください。これまでのオプジーボやキイトルーダと同じ項目立てをしております。
2ページ、「1.はじめに」のところでございますが、作成の背景としては、オプジーボ、キイトルーダと同様の点を記載させていただいております。そして、対象となる効能・効果は根治切除不能なメルケル細胞がんとしております。枠囲みの上をごらんください。本ガイドライン作成に当たりまして、御協力いただいた学会の皆様、日本臨床腫瘍学会、日本臨床内科医会、日本皮膚科学会の御協力をいただきながら作成をしたものでございます。その点、記載させていただいております。
3ページ、繰り返しになりますが、「2.本剤の特徴、作用機序」を記載しております。作用機序は先ほど申し上げましたとおり、PD-L1に対する抗体となっております。
4ページ、5ページに、「3.臨床成績」を示させていただいております。4ページにつきましては、有効性について、提出された国際共同第2相試験の結果などを示しております。パートAで化学療法歴のある患者さん、パートBで化学療法歴のない患者さんを対象に試験を実施しておりますが、いずれのパートも一定の奏功率が得られたという結果になっております。5ページ、安全性について記載しております。ここにはオプジーボ、キイトルーダと同様の安全性プロファイルが示されているといった内容になっております。
6ページ、7ページ、「4.施設について」、要件などを記載させていただいております。この剤につきましては、6ページの冒頭のところに記載しておりますように、承認条件として全例調査が付されております。このため、お使いいただく施設においては、全例調査を適切に実施できることが求められているところでございます。そういう意味で、6ページ、○1-1などに、オプジーボ、キイトルーダと同じくがん治療に精通している施設として(1)から(5)までを示させていただいております。また、○1-2として、皮膚悪性腫瘍の化学療法や副作用発現時の対応に十分な知識、経験を有する医師を責任者として配置するということを記載しております。これはオプジーボ、キイトルーダの悪性黒色腫と同じ内容でございます。また、一番下の○2、医薬品情報管理の体制が整っていること、7ページの○3、副作用の対応が適切に実施できる体制が整っていることを記載しております。このあたりもオプジーボ、キイトルーダと同じ内容とさせていただいております。
8ページ、「5.投与対象となる患者」ということで記載しております。安全性に関する事項といたしましては、○1としまして、禁忌の患者さんには投与しないこと、○2としまして、幾つか示させていただいていますが、慎重に投与すべき患者さんに対してそのとおり慎重に本剤の使用を考慮していただくことなどを記載しております。また、有効性に関する事項といたしましては、○1として、臨床試験で化学療法歴のない患者さん、化学療法歴のある患者さん、いずれも有効性が示されていること、○2として、他の抗悪性腫瘍剤との併用は、現時点で有効性・安全性は確立していないことを記載させていただいております。
9ページ、10ページ、「6.投与に際して留意すべき事項」として、オプジーボ、キイトルーダと同様に、本剤の適正使用について十分に理解した上で御使用いただくことや、副作用についてしっかりマネジメントしていただきたい点について記載しております。
10ページ、オプジーボ、キイトルーダと同様に、本剤の臨床試験の有効性評価の間隔などを御参考にいただきながら、定期的に本剤の効果があるか、使用を継続する必要があるかを確認していただくということを記載しております。
以上、駆け足でございますが、「バベンチオ点滴静注200mg」の最適使用推進ガイドラインの案を作成しております。本日御確認いただけましたら、近日中にガイドラインとして発出したいと考えております。
私からの説明は以上でございます。
○田辺会長
引き続き、薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
引き続きまして、総-4-2をごらんください。最適使用推進ガイドラインが作成されましたら、あわせて留意事項通知を発出させていただくこととしております。その内容でございますが、1ページの真ん中あたり「3 留意事項の内容」ということで、まずは基本的考えとして、対象品目について、最適使用推進ガイドラインに従って使用する旨を明記すること。そして、診療報酬明細書の摘要欄に記載を求める事項といたしましては、医療施設の要件のいずれに該当するのかということ。さらには2ページ、治療の責任者の要件のいずれに該当するかということを記載いただくということをしておりまして、これはこれまで出してきたものと全く同様の内容でございます。
最後に「4 留意事項通知の発出日及び適用日」ですが、薬価収載の予定が11月22日ということですので、この通知自体は、その1日前の11月21日に発出いたしまして、22日から適用ということとさせていただきたいと考えております。
以上です。
○田辺会長
どうもありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして、何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次の議事に入らせていただきます。初めに「在宅医療(その4)について」を議題といたします。事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
では、医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
それでは、お手元の総-5「在宅医療(その4)」となりますけれども、訪問看護関係でございます。
2コマ目、今回御審議いただきます大きく4つの内容を掲げてございます。順次御説明させていただきます。
最初に総論で、訪問看護の提供体制に係るさまざまな状況であります。これまで御説明しておりますので極めて簡略に御説明、御紹介だけさせていただきますと、4コマ目は訪問看護の仕組みであります。
5コマ目、これは医療保険と介護保険、それぞれで訪問看護については給付を行っておりますので、イメージとして持っていただきたいのは、要介護被保険者となります介護保険につきましては、基本的に介護保険の中で給付を行うわけであります。ただ、この矢印で書いてあるところ、それから、3つの破線でまたがっているところにつきましては医療保険を適用するということでございまして、その条件に係る部分が別表7、別表8、これは後から何度か出てまいりますけれども、その都度御紹介いたしますが、そういう取り扱いをしているということでございます。
6コマ目、全体的な年次推移でありまして、近年増加しているということでございます。それから、折れ線で書いておりますけれども、病院・診療所からの訪問看護については、実施医療機関数としては減少傾向であるということでございます。
7コマ目、これは都道府県の地域によってこういう状況ですということであります。機能強化型訪問看護ステーションの届け出状況が8コマ目、法人種別のステーションの状況が9コマ目であります。
10コマ目、少し詳し目に御紹介しますが、従業員の規模別の推移でありまして、全般的に規模につきましては従事者の人数がふえている、大規模化しつつあるということでございます。
11コマ目、従事者数の推移、従事者の職種別でございます。これは後ほど出てまいりますけれども、特に左側でありますが、全般的に増加傾向でありますけれども、特にリハビリテーション専門職についての増加が著しいということでございます。
12コマ目、利用者数の推移です。
13コマ目、利用者の状態に係る話、先ほど出てまいりましたが、別表7、別表8、ここに少し詳し目に解説があります。別表7は末期の悪性腫瘍あるいは難病等の疾患に着目をした該当者、別表8は医療機器、例えば人工呼吸器などを使用しております医療ニーズが一定程度高い患者さんの状態をあらわすものでありまして、こういったことに該当する方の年齢階級別の割合でございます。
14コマ目、主傷病別の利用者数の推移であります。
以上、14コマ目までが総論、概況でございます。このようなことを念頭に置いていただきまして、順次課題等を御説明させていただきます。
15コマ目、16コマ目、3つのセクションの最初でございますが、利用者のさまざまな状況に対応する訪問看護ということで、サブセクションを2つに分けております。まず前半でありますけれども、16コマ目であります。なるべく説明の時間を短くして御審議いただきたいと思いますので、効率的に御説明させていただく関係で、今回から16コマ目、課題の部分の記載を前に持ってきております。今から見ていただきます資料、大体こういうことだということでありますが、さらに3つに分けております。
1点目、24時間対応の体制、この整備と緊急時の対応についての内容であります。ポツが1つございます。これは訪問看護ステーションの看護職員の数が多くなるほど24時間対応体制の加算の届け出をしている割合が高いということであります。関係する加算としては、対応体制の加算と連絡体制の加算が2つあるわけでありますけれども、特に対応体制の加算が増加しているということであります。それから、緊急訪問の算定回数がふえておりまして、訪問以外についても電話対応を行っていますというのが1点目であります。
2点目、複数名による訪問ですが、患者さんの身体的な理由で複数名による訪問看護が必要な患者さんもおられるわけですが、先ほど御紹介しました別表7、これは疾患の関係でありますけれども、そういった疾患に該当しない、それから、別表8、これは状態でありますけれども、医療機器の使用、こういったものもしていない、7にも8にも該当しないような患者さんにつきましては、加算の対象にならない場合がありますということであります。2つ目は、複数名の訪問については算定回数は増加しているということですけれども、職種別でその回数の制限がない看護補助者の同行による算定について、それがふえている現状をお示しした上で、算定回数が1カ月当たり400回を超えるようなレセプトが存在することをどう考えるかという話であります。
3点目、実施主体が複数にまたがる場合がございますけれども、その組み合わせによる訪問看護が現場の運用としては相当程度ございます。2点掲げておりますが、複数の実施主体によって訪問看護が提供されている場合の加算の取り扱いにつきまして、組み合わせによって違うということがあります。これは一覧表で見ていただけます。それから、1人の患者さん、利用者さんに対しまして、複数の訪看ステーションが実施することがありますけれども、その連携について幾つか課題があるということでございます。順次御紹介いたします。
最初に24時間対応体制の関係です。利用者さん、患者さんが求めることの大きな割合になっているというのが、18コマ目であります。
19コマ目、これは先ほどお話ししました2種類の加算がありまして、対応体制と連絡体制という加算があるということでございます。
その加算算定状況が20コマ目、推移でございますけれども、体制加算のほうがより活用されているということでございます。
利用状況につきましては、21コマ目にまとめてございます。
24時間対応体制と緊急訪問の状況、これは介護保険と医療保険を並べて全体図をお示ししております。詳細は省略させていただきます。
23コマ目、緊急訪問という加算がございます。これは増加傾向でありまして、これは精神と一般それぞれグラフで両方お示ししておりますけれども、いずれも増加傾向にあるということでございます。介護保険の関係の資料も参考までに24コマ目にお示ししております。
25コマ目、訪問以外につきまして、電話等による利用者への対応、これは一定程度行われているということでありまして、特にこの表では、がんの末期、がん以外におきましても、終末期、ターミナルに関する利用者さんについては、電話等の連絡対応を行っているということでございます。
次に複数名の訪問看護でありますけれども、27コマ目、これは加算の概要であります。詳し目に御説明をしますと、この表の3行目にございますけれども、同時に訪問する職種によりまして算定の考え方が違うわけであります。看護補助者につきましては、下に掲げてございます5つ要件の(1)(2)(3)というのは、先ほどから何度も出ております別表7、別表8、一定の疾患、一定の状態、それから、特別訪問看護指示、一定の医療ニーズがある場合については回数制限はございません。ただ、その下の(4)(5)、暴力行為等ですけれども、こうした要件については週1回という要件になっているということでございます。
28コマ目、複数名のイメージはこのような考え方で、別表7、別表8の取り扱いになっているということでございますが、今、見ていただきましたとおり、別表7、別表8に該当しない場合には、複数名訪問看護の加算の対象にならないケースがありますということであります。
29コマ目、特に患者さんの身体上の理由等々で腰痛の発生が深刻な課題となっておりますということであります。その腰痛に対しまして一定程度の対策が求められていますということで、これは他の産業分野といいますか、サービスに係る内容もあわせて御紹介していますが、保健衛生の関係が件数あるいは状況としては厳しいということでございまして、そういったことからも対策を求められているということでございます。
30コマ目、先ほど御紹介しましたが、複数名の訪問看護につきまして、その算定回数はレセプト上どのようになっているのかということでありまして、左側は算定回数が伸びていますという話であります。特に看護補助者に係る部分が伸びていまして、それを加算の算定回数別で分布を見ていますが、基本的には100回以下が、ほとんどとなっています。一番多いボリュームとしては10回以下がオーソドックスなケースだということなのですが、このグラフの一番右側に破線で囲っておりますけれども、ごく一部でありますが、400回以上のレセプトが存在するということであります。これについてどう考えるのかということでございます。
31コマ目以降でありますが、複数の実施主体の組み合わせによる訪問看護でございます。
28改定で対応した考え方が32コマ目です。そして、33コマ目でありますけれども、どの程度の数が複数の実施主体からということでありますけれども、おおむね1割強存在いたしまして、年齢的に見ますと15歳未満の患者さんについて割合が高いということでございます。ただ、複数のステーションが訪問看護を実施する場合については、総論的にこの記載がございますけれども、具体的にどういう連携が求められているのかといったようなことにつきまして、今、必ずしも十分な取り扱いになっていないという問題意識を持っております。
34コマ目、同じく実施主体が複数ある場合で、組み合わせ的にはステーション同士、医療機関同士、ステーションと医療機関となるわけでありますが、訪看ステーション同士の加算につきましては、算定できないものがありまして、これについてどう考えるのかという話でございます。
以上が前半3つの内容でございます。
次に、後半3つでございますけれども、御紹介としては同じく3つあります。35コマ目、まず課題であります。4番目の課題になりますけれども、専門の研修を受けた看護師によるストーマケア、これにつきましては2つ掲げております。現在訪問看護を利用している人工肛門・人工膀胱といったストーマを造設している利用者はふえているわけでありますけれども、実際、現場としてはスキントラブルや漏れの問題が多いということでございます。2つ目でありますが、専門の研修を受けた看護師、基本的に多くは病院・診療所におられるわけですけれども、看護師による同行訪問では、現行の取り扱いとしては緩和ケア、化学療法のケア、褥瘡ケアのみが対象となっておりますので、ストーマケアの場合については対象になっておりませんということであります。ストーマケアについても一定程度ニーズがありまして、効果も見られるということを後ほど御紹介いたします。
2点目、理学療法士等による訪問看護であります。訪問看護基本療養費について、理学療法士等のリハビリテーション専門職の訪問看護の割合が2割から3割程度と一定の割合を占めているということでありますけれども、検証調査で行った話でありますが、訪問看護で提供したケアのうち「リハビリテーション」に該当する利用者につきましては、看護職との連携の関係で、例えば看護職が訪問看護を行う日がないといった事業所が4割程度あるということでありまして、こういった課題意識を持っております。
3点目、複数の主治医がいる場合の訪問看護の指示の関係であります。高齢者につきましては、複数の疾患に罹患しているケースが特に多いわけでありますけれども、それぞれの医療機関がどう訪問診療するのか、これは先般御議論いただいた内容であります。そういった現場の状況の中で、訪問看護につきましても、複数の医師からの指示が出ることは当然あり得るわけですが、複数の主治医がいる場合に、それぞれの主治医の訪問看護指示について、どういったことをなすべきかという課題意識でございます。
順次御紹介しますと、まず36コマ目以降がストーマケアの関係であります。
37コマ目、訪問看護の利用者における褥瘡の状況につきまして、一定の専門性が発揮をされまして、一定の効果が見られるという概況であります。
38コマ目、そういった中で、人工肛門・人工膀胱のストーマケアにつきまして、一定の現場のニーズがある、そういったことを利用されている方がふえているということであります。
39コマ目、専門の研修を受けた訪問看護師の活躍が期待されているわけでありますが、ほとんどの場合、病院・診療所からの訪問ということになります。専門の研修を受けた訪問看護師による訪問は必ずしも多くはないという理由の中に「依頼がない」「忙しい」という状況とともに対象が限定されていることも一定の理由として掲げられているということでございます。ストーマケアの関係の同行訪問の現状、効果につきましては、40コマ目、41コマ目にまとめております。
以上がストーマケアの関係であります。
2点目、理学療法士等による訪問看護であります。
43コマ目、冒頭、総論のところの11コマ目にございました職種別従事者数の推移、これを少し詳し目にもう一度整理し直したものであります。1事業所当たりの理学療法士等の従事者の数、これは常勤換算しておりますけれども、見ていただいたとおりでありまして、理学療法士等の割合が大きくふえているということであります。下の帯グラフは、24時間対応の体制、連絡体制、特別管理、こういった緊急性の高いニーズに対応する加算の届出は、基本的にはこの理学療法士等の割合との関係で一定の相関があるということであります。
44コマ目、理学療法士等が行う訪問看護につきましては、件数的に増加傾向でありまして、特に理学療法士等による訪問看護の割合は年次推移的にふえている。それから、算定額に占める職種別の割合で、理学療法士等のみという割合も一定程度あるということでございます。
45コマ目、46コマ目は、その提供状況の中で、職種の組み合わせ、計画の関係でございます。
45コマ目、訪問看護で提供したケアについて「リハビリテーション」に該当した利用者さんに提供した訪問看護の実施者が主としてどの職種かということでありますが、理学療法士等というのが44%でございます。そして、そのような利用者に対します訪問看護について、看護職が訪問看護を行う日があるのかないのかと聞きますと「看護職が訪問看護を行う日がない」というのが、おおむね半分弱あるということでございます。
訪問看護の計画・評価の関係が46コマ目にまとめてございます。同じくケアにつきまして「リハビリテーション」に該当した利用者の関係でありますけれども、「理学療法士等による訪問看護の計画は特に作成していない」という割合が多くはないですけれども、一定程度おられるということであります。仮にこの計画を策定しているとしても、看護職が関与していないというのが2割程度あるということでございます。こういった実態についてどう考えるのかということになります。
47コマ目以降、これは介護保険に係る介護給付費分科会で同様の審議の資料をおつけしておりますので、説明は省略させていただきます。
以上が理学療法士等による訪問看護の課題であります。
3点目、最後でありますが、複数の主治医における訪問看護の指示の関係でございます。
51コマ目、52コマ目を並行して見ていただくのですが、52コマ目、まず先般、中医協で複数医療機関による訪問診療をどう考えるのかという御審議をいただきました。実際に複数の医師が連携をして在宅医療を行うことがあるということでありますけれども、そういった状況を踏まえた上で51コマ目であります。複数の主治医が訪問看護を活用する場合には、当然複数の主治医から指示が出るわけであります。訪問看護師指示料の算定回数は増加傾向であるということでありますが、それぞれの指示についてどう考えるかということでございます。
以上が利用者のさまざまな状況に対応するという意味での論点に対します課題でございます。
論点でございますが、53コマ目にまとめてございます。訪問看護の提供体制に関します論点でありますが、まず○が合計8つあります。見ていただきましたとおり、24時間の対応体制、連絡体制という加算がございますが、これは対応体制に一本化するよう見直してはどうかというのが1点目です。
2点目、複数名の訪問看護加算、これにつきましては、看護補助者との同行につきまして、算定回数の制限の有無につきまして、先ほど見ていただきましたけれども、算定回数の設定を検討してはどうかということでございます。
3点目、利用者の安全のために一定程度の身体的理由をもって複数名の訪問看護を行うことがあるということは見ていただきましたけれども、場合によっては、そういった加算が算定できる、できないの要件について少し見直す余地があるのではないかと考えておりまして、そういった御提案をしております。
4点目、1人の利用者に対して複数の訪問看護ステーションが訪問するということが実際にあるわけでありますけれども、その連携の具体的内容について必ずしも明確でないということをお示ししましたので、それについて明示することを考えてはどうか。
5点目、複数の実施主体から訪問看護を受けるという利用者につきまして、ステーション、医療機関の組み合わせについて、加算を適正に評価するようなことを考えてはどうか。
6点目、専門の研修を受けた看護師の同行による訪問、これは現在、一定の対象の制限がありますので、ストーマケアにつきまして、これは排せつトラブル等を早期に解決するということでありますけれども、対象について見直してはどうか。
7点目、理学療法士等による訪問看護、これにつきましては、看護職員と理学療法士等の協働が必ずしも十分ではないのではないかという問題意識、先ほど御説明いたしましたけれども、協働して訪問看護が提供できるという趣旨からしますと、理学療法士等のみが訪問している利用者につきましても、訪問看護の計画や評価といったことについて看護職員が参画するということを考えてはどうかということであります。
最後の点は、複数の主治医がいる場合の指示の取り扱いについてどう考えるのかということであります。
以上が、利用者のさまざまな状況に対応する訪問看護の提供体制に係る御説明であります。
次はさまざまな状況に対応する訪問看護の利用者ニーズに係る課題の御説明であります。課題を2つに分けてございますが、55コマ目、56コマ目であります。
55コマ目、前半上半分でありますけれども、2つサブセクションを設けておりまして、医療的ケア児等への対応ということでございます。これは後ほど御説明しますけれども、医療的ケア児、一定のケアが必要な小児がおられるわけですけれども、一般に小児の訪問看護につきましては難しい、困難であると考えているステーションが相当程度、約半数ございます。その理由につきましては、一定の経験が必要なので、そういった経験のある人材が足りないということと、小児なりの難しさだろうと思いますが、保護者との関係づくり、保護者へのケアが難しいということがあるということでございます。
超重症児、それから、準超重症児については、週3回、長時間訪問看護の加算を算定することができるということであります。ただ、これは一定の要件がございまして、医療的ケア児につきましては、歩行が可能である場合については週1回のみの算定となることをどう考えるのかという話があります。それがまず医療的ケア児に係る課題であります。
下半分ですが、精神障害を有する方への重点的な支援ということで、2つ掲げております。措置入院の患者さんが退院した後など、典型でありますけれども、頻回な訪問が必要な方がおられるわけですが、そういった場合について、これは主治医、つまり医療機関が精神科重症患者早期集中支援管理料を算定しなければ訪問看護の複数回加算は算定できないわけであります。実際、精神科重症患者早期集中支援管理加算の届け出を行っているステーションは数が多いのですが、算定回数が多くはないということであります。それは医療機関のほうが届け出ていないということの関係がありまして、そういったことについて課題意識を持っております。
2点目、精神関係でありますけれども、集団を対象とする一定の報酬設定がございます。これは社会復帰等を目的として創設されたわけでありますが、算定人数、算定回数は決して多くないということでございます。一方、近年訪問看護の関係、訪問診療の関係はいろいろ整理がなされておりまして、特に同一建物に居住する利用者に関しますさまざまな設定がございます。個別の状況に応じて訪問看護は評価するということでございますので、そういった算定が基本的には可能であるということから、この取り扱いについて考えてはどうか、そういう問題意識を持っております。
後半、56コマ目、過疎地域等における訪問看護であります。これは3つポツがありますけれども、過疎地域等につきましては一定の地域を設定いたしております。特別地域という設定があるわけでありますが、そこに所在します訪問看護ステーションというのは一定の割合があります。ここで申し上げたいのは、訪問ステーションの所在地と患者さんの所在地によって、この地域の取り扱いをどうするかということが生じるわけであります。特別の地域にない訪問看護ステーションが、特別の地域にいる利用者さんに訪問看護を提供する場合が少ないながらもあるということでございます。その場合には、この加算が算定できないことになっておりまして、その取り扱いはどう考えるのかということであります。
それから、特別地域の訪問看護ステーション、その地域外の訪問看護ステーションと比べまして、基本的には立地条件が余りよくないということでございますので、24時間対応体制加算の届け出の割合も少ないということであります。
3つ目、この特別地域に定める地域に医療機関が訪問看護を行っている地域があるけれども、医療機関からの訪問看護については、この加算が設定されていない、このような算定上のさまざまな課題があるということでございます。
順次御説明いたしますと、医療的ケア児の関係は57コマ目以降であります。
58コマ目、改めまして、医療的ケア児とは何かということであります。医療的ケア児というのは、医学の進歩を背景といたしまして、NICU等に長期入院をした後で引き続き人工呼吸器や胃瘻等を使用して、たんの吸引でございますとか経管栄養といった医療的なケアが日常的に必要な小児のことを指すということでございます。この医療的ケア児の人数は増加傾向にあるということでございます。
訪問看護の関係で幾つか資料をお示ししております。59コマ目、これは冒頭申し上げましたが、小児に対する訪問看護は一般的に難しい側面があるということでありますけれども、その難しい側面といたしましては、指導の内容あるいはサービスの内容が、家族のへのケアの方法、指導でありますとか、さまざまな調整が必要である。そういう環境的な要因への支援が多く含まれるということ。それから、右側半分でありますが、難しさについて、特にスタッフが足りないということともに、保護者、家族との関係づくりが難しいということが状況として掲げられているということであります。
60コマ目、小児の訪問看護の利用状況、これは大きく伸びているということでございます。
61コマ目、訪問看護ステーションは報酬上現在3類型ございます。機能強化型1・2とそれ以外ということになりますけれども、左側の上、これは27年と28年、要するに28改定の前後で見ていますが、いずれの類型も小児の訪問看護を実施しているステーションの割合がふえているということでございます。機能類型別の人数について、平均の小児利用者数はこの右側の表でございます。
62コマ目、加算の関係でありますが、冒頭御説明しました超重症児・準超重症児という設定があります。そういった超重症児・準重症児には該当しないけれども別表8といった一定の状態に該当する小児、これは帯グラフで内訳を示しておりますが、左側、いずれも増加傾向にありますということであります。この超重症児・準重症児の判定については、座位までということなので、一定程度動ける、歩行が可能な小児につきまして該当しないということであります。下に長時間訪問看護加算の説明がございますが、この超重症児・準超重症児に該当するかしないかで算定回数は変わりますので、座位までは算定できる、逆に言いますと、歩ける小児につきましては週1回だけになるという取り扱いになっているのが現状で、これをどう考えるのかということでございます。
ここまでが医療的ケア児でありまして、次に63コマ目以降が精神関係でございます。
64コマ目、精神科訪問看護の実施回数は全体の伸びと比べまして、明らかに大きく伸びているということでございます。病院・診療所からの実施状況は65コマ目、66コマ目は精神科重症患者早期集中支援管理料の考え方でございます。詳細は省略させていただきます。
冒頭の課題意識のところで御説明をしましたが、67コマ目であります。訪問看護とその主治医、医療機関との関係で、医療機関が算定している場合について、訪問看護の加算を算定できるわけでありますが、逆に言いますと、医療機関でそういった算定ができていない場合については、訪問看護のほうでも算定できないという関係になっているということでございます。
先ほど説明が漏れましたが、64コマ目に戻っていただきますと、訪問看護の伸び、特に精神の訪問看護は大きく伸びているわけでありますが、これは同時に掲載しております病院・診療所の精神科訪問看護指導でありますけれども、こちらにつきましては必ずしもふえていないということでございます。これをどう考えるのかということでございます。
68コマ目、これは先ほどの課題のところで御説明しましたが、集団的な訪問看護として、同時に複数の利用者さん、患者さんを対象とするという設定の訪問看護の項目があるわけでありますが、これにつきましては算定回数が極めて少ないということでありまして、こういったケースにつきましては、現在、同一建物に居住する利用者への訪問看護の設定がありますので、こちらで代替ができるのではないかということでございます。
ここまでが精神の関係であります。
69コマ目以降に、過疎地等、先ほど御説明させていただきました内容ですが、一定の地域についての配慮があるという設定であります。
70コマ目、まず全体の概況、訪問看護ステーションが全くないという市町村、これは517ございます。そのうち200につきましては診療所・病院からの訪問看護の実績があるということでございます。逆に言いますと、両方ないというのは317ある。これは全体の概況でございます。
71コマ目、過疎地等における訪問看護、先ほども御説明しましたけれども、これは訪問看護ステーションが一定の地域で定める地域外に所在する場合、配慮すべき地域に居住する利用者さんを訪問したとしても算定できない状況が発生しているということでございます。
72コマ目、特別地域に所在する訪問看護ステーションというのは、基本的には一定の配慮が必要な地域でありますので、資源が足りない、マンパワーも足りないということでございます。したがいまして、24時間対応は難しい状況になっているということでございます。
73コマ目、これは訪問看護ステーションがないという地域につきまして、訪問看護を実施している診療所・病院がある地域については、特別な地域に該当する市区町村であることが多いということでございます。医療機関に関しまして、この加算の設定がないのが課題でございます。
74コマ目、これは介護の関係で、同様の整理でございます。これは御参考でございます。
論点でございますが、今見ていただきました3つにつきまして、75コマ目にまとめてございます。まず、医療的ケア児、これは増加しているわけでありますけれども、地域で療養しての生活を支えることは非常に重要なサービスだろうと思いますが、この長時間訪問の加算の関係につきまして、対象も含めまして、医療的ケア児に対する評価を拡充してはどうかという御提案が1点目であります。
2点目、精神の関係、冒頭の課題でも御説明しましたが、措置入院後の患者さんなど入退院を繰り返すといった状態が不安定な精神障害を有する利用者、こういった方々が地域で生活することを支援することが重要でありますけれども、その訪問回数、複数回の訪問の加算につきまして、この対象を見直してはどうかというのが精神の1点目です。
精神の2点目は、最後に触れましたけれども、福祉ホーム等に入所しております複数の利用者、これは同一建物という設定が現在ございますので、そういった内容が評価可能だということに鑑みまして、先ほどの集団的に提供するという評価につきましては廃止をしてはどうかというものであります。
3点目、過疎地の関係でありますが、基本的には住みなれた地域で療養する生活を継続するというのが重要なコンセプトでありますけれども、この過疎地等における訪問看護について、対象となる要件でございますとか、24時間体制の評価の届け出基準について見直してはどうかという御提案。あわせまして、医療機関はこの加算が算定できないということでございますけれども、そういったことを考えてはどうか。これが体制の関係でございます。
長くなって恐縮ですけれども、次に、3点目、病院併設の訪問看護ステーションの関係の整理でございます。
課題でありますが、77コマ目であります。まず医療機関の訪問看護の実施件数は、訪問看護ステーションの約3分の1でありますけれども、全ての医療機関のうち、訪問看護を実施する医療機関は全体で必ずしも多くないということでございます。訪問看護ステーションに比べまして、医療機関からの訪問看護というのは、精神科の訪問看護の割合が多いということでございます。
3つ目、併設している病院がある訪問看護ステーション、これは15%程度あるわけでありますけれども、病院併設の訪問看護ステーションのほうが、病院を併設していないものよりも、平均利用者の数でございますとか訪問回数、それから、緊急訪問の回数、重症の利用者の受け入れの割合が多いということでございます。それから、地域ケア会議への参加等々、地域の活動を行っている割合も多いということでございます。規模も全般的に大きいということでございます。
4つ目、就業しております看護職員のうち、訪問看護ステーションに就業している、従来2%程度と言われていましたが、最近ふえておりますが、それでも3%であります。訪問看護ステーションに従事する看護職員について、少しずつ増加傾向にあるということでございます。
それから、看護系の大学の卒業生が、就業先につきまして、訪問看護ステーション、これは0.1%でございますけれども、病院の看護師の方に聞きますと、2割程度は訪問看護ステーションへの就労意思があるということでございます。こういったことを含めて、今後どう対応していくのかを御提案ということになります。
78コマ目、これは先般、訪問看護も含めまして、医療と介護の連携についての意見交換を、今回同時改定ということでございまして行っております。テーマとして訪問看護を掲げておりましたけれども、幾つか御意見をいただいております。その簡単な御紹介でありますが、例えばステーションの事業規模の拡大について拡大していく方向性でありますとか、病院・診療所が行う支援の拡大につきましては、報酬の面も含めてということの御意見もありますけれども、緊急的な対応でありますとか、病院・診療所、医療機関における看護職員は基本的には看護職の中では大部分を占めておるわけでありますので、そういった視点から、人材育成も含めまして、一定程度そういった仕組み、あるいは研修等も含めて実施をしていくことが望ましいという御意見をいただいている概略でございます。
79コマ目以降に、訪問看護の実施件数でございますとか、算定回数における実施主体別の割合を記載しております。80コマ目を見ていただきますと、圧倒的に訪問看護ステーションの割合が高いということになります。
81コマ目、これは併設している病院がある訪問看護ステーション、つまり、病院の併設ステーションというのは15%程度の割合であるということでございまして、病院との併設のほうが職員数、規模的にも大きい傾向があるということでございます。
82コマ目、規模的な問題もさることながら、回数、利用者数についても多いということになります。その比較でございます。それから、何度か出ておりますが、別表7、別表8、一定のニーズが高い、あるいは重症者についても、病院併設のほうが対応の割合が高いということでございます。
83コマ目、病院併設のステーションにつきましては、活動状況として地域的な活動、地域の会議への参加でございますとか相談への対応、研修の受け入れ、こういったことについて活動を行っているということでございます。特に目立つのは研修の関係、人材育成、学生の実習の受け入れ等につきましては、病院併設のステーションが対応している割合が高いということでございます。
84コマ目、就業者数の状況、先ほど申し上げましたが、今、全体の就業場所別の看護職員数で見て、常勤換算でありますけれども、訪問看護ステーションは全体に占める割合は3%ということでございます。常勤換算での職員数は増加傾向にあるということでございます。
85コマ目、ステーションへの就労の意思ということで、看護系大学の卒業生の就職先はここに記載しておりますとおり、もちろん圧倒的多数は病院・診療所、医療機関ということになりますが、病院看護師については、決して少なくない割合でステーションへの就労意思があるということでございます。
86コマ目、これは報酬関係の整理でありまして、病院・診療所からの訪問看護、それから、ステーションからの訪問看護では、報酬の考え方について違いがございまして、これは病院・診療所は一定の他の診療部門も含めまして機能を持っておりますので、そういったそもそもの全体の管理でございますとか、機能の違いから、一定の報酬には違いが設定されているということでございます。
87コマ目、論点でございます。全般的にまとめておりますけれども、訪問看護に従事いたします看護職員の確保、これは非常に重要な課題であります。それから、体制を拡充するためにもさまざまな対応が必要だと考えられますが、重症度の高い利用者を受け入れるでございますとか、先ほど見ていただきましたとおり、特に研修の関係、人材育成について非常に重要でありますので、病院に併設しております訪問看護ステーションの機能でございますとか特性についてどう考えるのかという、まずは幅広い視点での御議論をお願いしたいと考えております。
最後、関係機関との連携でございます。
90コマ目、関係機関はさまざまな機関がありますけれども、課題として4つのポツを掲げてございます。まず、特定相談支援事業所あるいは障害児、こういった福祉関係の支援でございますとか相談対応について併設している訪問看護ステーション、これは決して数として多くはないわけでありますが、特に先ほど御紹介しましたような医療的ケア児も含めた小児あるいは精神の訪問看護の関係の方々について、多く対応している実態がまずございます。
2つ目、訪問看護ステーションと指定を受けております介護保険あるいは障害のサービス、これはここに書いてございます定期巡回・随時対応の訪問介護看護が多いわけでありますが、介護保険以外につきましても、障害児へのサービスに一定の割合でございますけれども、実施実績がある。児童発達支援でございますとか放課後等デイサービス、こういったものについては実施実績があるということでございます。
同様に児童発達支援、それから、放課後等のデイサービス、これは医療的ケア児の対応をしている事業所、これは1割から3割弱あるわけですけれども、こういった対応している事業所は限定的になっているということでございます。
4つ目、訪問看護ステーションの管理者、これは同時にほかの訪問看護ステーションの管理はできないわけでありますが、管理業務に支障がない範囲で他の事業所の職務と兼務ができるということでございますけれども、この機能強化型の訪問看護管理療養費の届け出基準につきましては、常勤の看護職員5または7以上の配置が求められている。2つの型がございますので、一定程度の配置が求められている現状がございます。
順次御説明ですけれども、91コマ目、92コマ目、これは28改定で対応した内容です。詳細は省略させていただきます。
93コマ目、先ほどちょっと触れましたが、左側の、これは類型別でございますけれども、機能強化1・2、それ以外につきまして、超重症児・準重症児の利用者について集計をして見ますと、特定相談事業者あるいは障害児相談事業者との連携をやっているというのが半数以上を占めているということでございます。連携の有無につきまして、これは年齢別に見ますと15歳未満の利用者、それから、3歳未満、その内訳でございますけれども、一定の児童にかかる年齢層が高いということでございます。
94コマ目、今、御説明しました計画相談支援とか障害児相談支援の事業の概要でございます。詳細は省略をさせていただきます。
95コマ目以降から、ステーションの状況でございます。今触れました特定相談支援事業所、それから障害児相談支援事業所を併設している訪問看護ステーション、これは少数でございますけれども、そういった事業所につきましては、小児でございますとか精神の訪問看護の利用者の多くを受け入れているということでございます。
96コマ目、訪問看護ステーションの指定を受けております児童発達支援でございますとか放課後等デイサービスにつきまして、これは2%程度でありますけれども、一定の実績があるということでございます。
97コマ目、同じく児童発達支援、それから放課後等デイサービスで医療的ケアを実施している事業所、これは1割から2割5分、11~25%でございまして、逆に言いますと、児童発達支援や放課後デイサービスのほうから見た事業所について言うと、医療的ケア児を受け入れているというのは限定的であるということでございます。
98コマ目、これは御参考でありますけれども、今、大体お示ししているようなことについて課題意識を持っておられます関係団体のヒアリングの主な意見をまとめてございます。詳細は省略をさせていただきます。
99コマ目、療養通所介護の事業所、これは一定の医療ニーズの高い方々も含めて対応するということになるわけでありますが、同一法人で運営しております施設につきまして、訪問看護が最も多いということでございます。つまり、訪問看護のニーズが高いと見てとれるということでございます。
100コマ目、これは療養通所介護の取り扱いのまとめであります。主に重症心身障害児・者を通わせる児童発達支援等を実施する場合、こういった場合について取り扱いについての整理をしております。詳細は省略させていただきます。
人員配置の基準であります。これは先ほど御説明をしましたが、一定の割合について機能強化型の1と2でそれぞれ人数は違いますけれども、一定の7人ないし5人ということでございます。これは兼務の関係でありますが、管理業務に支障がないと認められる範囲内で、他の事業所、施設等がある場合については、他の職務を兼ねることができるという取り扱いになっているということでございます。
102コマ目、論点でありますけれども、これは全般的な記載にさせていただいております。居宅介護支援事業所以外で、特定相談支援事業所あるいは療養通所介護等のサービスの機能を併設して運用する訪問看護ステーションは一定数あるということでございます。これは機能強化型では、居宅介護支援事業所との連携を求めておりますけれども、現在そういった規定がこれらの特定相談支援事業所とか療養通所介護等のサービスに係る部分についてはございませんけれども、小児や精神障害を有する利用者等を支援するという実態、さまざま見ていただきましたが、こういった取り組みについて、現行では特別な記載はないわけでありますが、機能強化型の訪問看護ステーションの要件としてどう考えるのかということを御議論いただきたいということでございます。
恐縮ですが、もう少しでありますので、続けて説明させていただきます。最後、関係機関との連携の課題でございます。103コマ目、関係機関を特に3つに分けておりますが、自治体、学校、それから、介護職員等との連携でございます。
まず自治体との連携の課題でありますが、自治体の立場からしますと、さまざまなこういった住民あるいは訪問看護の利用者に係る事業者の情報の収集が必要となっているということが背景にあるわけでありますけれども、その中で、報酬上の関係について言うと、訪問看護の情報提供療養費として自治体との連携を目的とした情報提供があります。ただ、対象者について特に規定がないということでございまして、この算定回数がふえているというのをどう見るかということであります。2つ目は、そういった自治体への情報提供をしております訪問看護ステーション、これは6割ということでありますけれども、情報提供書を送付した利用者さんというのは、末期の悪性腫瘍や難病等、それから、精神科の訪問看護基本療養費を算定するという利用者さん、患者さんが多かったということでございます。これについてどう見ていくのか。
2点目、学校であります。小児の訪問看護を実施しております訪問看護ステーション、その連携につきましては、患児の通学する支援学校との連携、それから、情報交換といった学校との連携、これは3割行われているということであります。医療保険以外での学校での訪問看護の提供、これは、訪問看護ステーションと学校との間で日々の様子、頻回に情報共有が行われているという側面があるということでございます。
介護の関係との連携でありますけれども、介護職員、これは喀たん吸引等の特定行為を行うに当たりましては、当然ながら、医療・看護職員との連携が必須だということでございます。介護保険につきましては、看護・介護職員連携強化加算というものがあります。考え方としては、医療保険についてはそれに該当する評価がないというのが現状であります。最後でありますが、利用者が医療保険の訪問看護を利用している場合について、報酬は設定されていないのですが、介護職員等のたんの吸引等の実施に当たりましては、連携している訪問看護ステーションは一定程度あることについてどう見るかということでございます。
順次御説明しますと、まず自治体との連携でありますが、105コマ目、これは先ほど申し上げました情報提供療養費の算定状況でありまして、ふえているということでございます。
106コマ目、ステーションからの自治体への情報提供の状況についてどうなっているのかということでございますが、実施しているのは約6割でございまして、その利用者は、悪性腫瘍の末期、難病等、精神関係が多いということでございます。
次に学校との関係でありますけれども、107コマ目以降であります。
108コマ目、これは日本再興戦略において明記しております。医療的ケア児への義務教育のための看護に関する新たな仕組みの構築が必要だということでございます。これはここに記載がございますけれども、日常生活の中でたんの吸引や経管栄養等の医療的ケアが必要となる子供、医療的ケア児が増加をしている中で、義務教育を十分に受けられる機会を確保するということからしますと、学校の環境でどういった対応ができるのかということでございます。現在の訪問看護についてどう考えるのか、見直しを含め、学校や通学時等の居宅以外の場所での看護が可能となるような検討を行って、速やかに結論を得るといったことが記載をされておりまして、財源のあり方や関係省庁と既存の施策とも密接な連携を図るということでございます。
考え方といたしまして、109コマ目、110コマ目でありますけれども、学校におきます訪問看護につきまして、切れ目のない支援体制を整備していくということで、これは概算要求ではありますけれども、医療的ケア児のための看護師の配置事業、これを学校に配置する事業を進めている、という事業でございます。
訪問看護ステーションと学校との連携、これは現実問題として患児が学校に通うことになりますと、当然そういった連携や情報交換は学校との間で行っているということでありまして、割合として3割程度行われているというのが実態でございます。
最後、介護職員等、介護関係との連携であります。
112コマ目、これは基準の部分でありまして、医師の文書による指示等々、こういった記載がございます。特に2でありますが、喀たん吸引等を必要とする状況を定期的に確認するでありますとか、連携を確保する。これはある意味当然でありますけれども、そういった基準があるということでございます。
113コマ目、加算の関係について申し上げますと、介護保険については、一定の加算がございます。ただ、医療保険については該当するそういった報酬上の評価はないというのは冒頭申し上げました。それがこの事実関係でございます。
114コマ目、これは喀たん吸引等を業務として行う事業者につきましては、登録特定行為事業者という位置づけになっております。増加傾向でありますけれども、利用者が訪問看護を医療保険で実施する場合には、現行の報酬上、評価は特にはないわけですが、一定の助言でありますとか、そういった連携をステーションが行っているというような実態が114コマ目であります。
115コマ目、これは制度についての概略でございますので、省略をさせていただきます。
116コマ目、論点であります。それぞれ1つずつ論点を書いております。
1点目、自治体でございますが、自治体への情報提供、これは情報の有効な活用をするという観点からしますと、今、利用者について特段の要件を設定しておりませんが、それについて設けてはどうか。
2点目、医療的ケア児、義務教育を受ける学校の場についてでございますけれども、学校での医療的ケア児に係る訪問看護の実施がより円滑、安全に行われるように、学校の介護職員、教職員との連携についてどう考えるのかということでございます。
3点目、在宅におきまして、介護職員等との必要な特定行為、先ほど御説明しました喀たん吸引等々でございますかが、実施を推進して、利用者のニーズに対応するということからしますと、一定の評価についてどう考えるのかというのが論点でございます。
最後でありますが、医療機関等との連携であります。
118コマ目、医療機関等との連携につきましては、幾つか課題を掲げております。これはことしの5月から7月に入院・入所しました利用者についてデータを集計しているわけですけれども、ステーションからの入院・入所先への直接連絡は6割、それから、介護支援員、介護支援専門員を経由した連絡と合わせますとかなりの割合でそういった情報提供をしているということでございます。疾患や病歴や病状といった診療に関する情報とともに、訪問看護の提供状況や内容、こういったものについての情報がありますということです。
入院患者さんが退院をするに当たって、医療機関と訪問看護ステーション、の共同についてはいろいろな評価がございます。一方で、在宅療養中の利用者さんが入院するに当たりまして、医療機関と訪問看護ステーションとの情報共有でありますとか連携に関しては実は評価はないというのが、現在の事実関係でございます。
これらの情報のやりとりにつきましては、いずれの種別の訪問看護ステーションについても一定程度行われているということでありますけれども、居宅支援事業所への文書による情報提供、これは報酬による評価はないものの回数はそれなりに多いということでございます。
情報の内容でありますが、医学的な情報以外の疾病等の受けとめ、あるいはADL、そういった看護の視点から見た情報が含まれているということでございます。
最後の5点目、退院時共同指導加算等の訪問看護ステーションと医療機関等との連携に関する加算、これは特別の関係にある医療機関等との連携では算定ができないという規定になっている。これは事実関係でございます。
簡単に御紹介しますと、119コマ目、先ほど申し上げましたことしの一定期間の患者さんについて集計をとっているということでございます。その内容につきましては、訪問看護の提供状況でございますとか生活の様子といった情報が含まれているということでございます。
120コマ目、これは現時点での入退院のさまざまな連携に関する評価の実態でございます。
121コマ目、先ほどと同様でありまして、情報提供の現状でありまして、機能強化型1・2、それ以外ということで類型がありますけれども、病院・診療所、さまざまな事業者等のかかわる内容でありますが、一定の割合でやりとりがなされているということでございまして、その内容の一例が122コマ目であります。
123コマ目、特別な関係にあります医療機関等との連携、これは報酬算定については一定の制限がございまして、現時点ではここに記載のとおり、算定できないということになってございます。
含めまして、論点、最後でございますが、長くなって恐縮ですが、124コマ目、訪問看護の利用者が療養の場を変更する場合、新しい療養の場で利用者の特性に合わせた療養支援を継続的に受けるといったことが非常に重要でありますので、そういったことを含めて、円滑な移行をするために訪問看護ステーションから病院等への情報提供についてもどう考えるのかという全般的な考え方について御審議いただきたいと思っております。
最後の論点でありますが、退院時共同指導の加算等、これは訪問看護ステーション、医療機関で実際に頻回に行われる話でありますけれども、これらの連携についての加算、これは特別な関係ということで現在算定できませんけれども、これについて見直してみてはどうかという御提案でございます。
以上でございます。
○田辺会長
御説明どうもありがとうございました。
説明が長く続きましたので、皆さんもお疲れだと思いますので、10分ほど休憩を入れまして、40分から再開したいと存じます。
 
(休 憩)
 
○田辺会長
それでは、再開したいと存じます。
先ほどの説明につきまして、何か御質問等がございましたらよろしくお願いいたします。
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
幾つか質問を含めながら意見を述べさせていただきます。まず6コマ目、これで介護保険での訪問看護、あるいは医療保険での訪問看護、どちらも行っている事業所が多いのだと思いますけれども、介護保険による訪問看護と医療保険における訪問看護の割合はどれぐらいなのでしょうか。例えば1つの訪問看護ステーションで何対何とかというのは、実際にわかっているのでしょうか。まず最初にそれをお聞きさせていただきます。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
必要がありましたら詳細な資料をまた後日ということだと思いますが、きょうはお手元に用意しておりませんけれども、説明のときに御紹介をしました意見交換のときに数字は出させていただいておりまして、大ざっぱに申し上げますと6対4程度でありますけれども、給付費の割合について言いますと、平成26年度で介護給付費と医療費の割合についてシェアはどれぐらいかというと、介護給付費が61.7%、医療費が38.3%、絶対額はもちろんありますけれども、割合で行きますとそういう割合、これは直近平成26年であります。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
ありがとうございます。
もう少し聞きたかったのは、1つの事業所で偏りがあるかないかです。今後の中でまたわかれば教えてください。
そして、53コマ目のところで論点があります。2つ目の○になりますけれども、これはいわゆる同行訪問の算定回数制限がないということで、30コマ目の右側ですが、非常に極端に算定回数の多いところもあるようでして、考えにくいような回数だと思いますので、一定の適切な回数制限もやむを得ないのかなと思います。
3つ目の○でございますけれども、身体的理由による複数名の看護師による訪問につきましても、基本的には医師が訪問指示を出す際に身体的な理由として適切か判断すべきではないかと思います。
6つ目の論点ですけれども、これは41コマ目で改善しているとおっしゃっているのだと思うのですけれども、n数が若干少ないのではないかと。エビデンスとしてはなりにくいなと思います。ただ、事実そうだとしても、診療報酬で手当てする話ではないのではないかと思います。
7つ目に関しましては、訪問看護ステーションからの理学療法士などによる訪問看護は、あくまでも訪問看護の一環として実施するもので、計画や評価に関与するだけではなくて、月に1回は看護師と理学療法士などが同時に訪問し、共同して訪問看護を提供すべきと考えます。
75コマ目、1つ目の○に関しましては、けさから予習をしてきたのですけれども、厚生労働省は医療的ケア児への訪問看護について診療報酬を手厚くする方針を固めたとありました。賛成しましょう。以上です。
87コマ目、地域で診療に従事していますと、訪問看護の提供体制の拡充が必要だということは切実な願いでもあります。ただ、訪問看護ステーションが病院に併設されていることで、看護師の意識が変革される機会になることは考えられますが、診療報酬上の手当てのような話ではないのではないでしょうか。重症度の高い患者への訪問看護は算定回数をふやすなどの評価を行っており、人材育成、人事交流といったスキルや就業意欲の向上といった取り組みは、診療報酬とは別の対応を検討すべきとも思います。それを踏まえまして、病院併設の訪問看護ステーションについての我々の考えを述べますと、かかりつけ医機能を持つ中小病院は、訪問看護ステーションを併設して、医師会と連携しながら地域包括ケアを支える在宅支援を行う必要があると考えます。急性期の大病院は、あくまでも後方から中小病院の訪問看護ステーションを支援するために、看護師の出向などを行う必要があるとも思います。病床の機能分化と連携に沿って、例えば200床以上の大病院は許可病床数200床未満の中小病院の訪問看護ステーションを支援し、徐々に急性期の大病院のダウンサイジングで、あわせて看護師を地域包括ケアを支える中小病院、有床診療所、診療所、訪問看護ステーション、介護施設に異動させる必要があると思います。それを院内、あるいは同一法人内の異動で行うことではないと考えます。
116コマ目の1つ目の○、これは主治医への報告を要件化してはどうかと思います。
2つ目の○ですが、これは103コマ目の課題のところにも学校との連携というものがありましたけれども、学校でのケア児に対して、医師との連携をどうするのか。学校医なのか、かかりつけ医なのか、あるいは病院の専門医なのか、その辺のところは後でまたどういうお考えなのかを教えてください。
3つ目の○ですが、特定行為を介護職員まで広げたのは行政側、強く言えば、あえて言えば厚生労働省であります。今さら評価というのは違和感があります。
124コマ目、最後です。1つ目の○で、訪問看護ステーションから病院への情報提供は、訪問看護を指示した主治医から病院への情報提供の中に含まれて評価されているものであり、医療連携に係る情報提供を総合的に評価しているものであります。当然訪問看護は主治医の指示書によって行われるものでありますので、その結果は主治医に返してしかるべきと考えます。同じ患者の情報が異なる情報提供者の文書のやりとりでそれぞれ個別に報酬で評価されるというのは非効率的であり、本来そうした患者情報は一元的に管理され、総合的に共有されることが医療のあり方としても望ましいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
一点御質問がございましたけれども、いかがでございましょう。
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
116コマ目の2つ目の○だったと思いますが、主治医と学校医との関係で御質問ということだろうと思います。これは認識として、まず学校の児童といいますか、生徒に係る健康管理等を含めて学校医がおられるわけですが、ここでさまざま御紹介をしたり、あるいは現場的に対応されている主治医が学校医と一致するというのは、ケースとしてはレアケースだと思われますので、そのことを前提にどう考えるのかということだろうと思います。
もう一つは、連携なり一定程度の情報共有を当然していく必要がありますので、実態としては事実上一致することは余りなくて、機能的な連携といいますか、情報共有をしっかりやっていくことは当然望まれるというのが総論的な考え方だろうと思いますが、一旦こういうお答えでよろしいでしょうか。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
例えば、この109コマ目のところにもありますように、上のポンチ絵の左隅に※印で「病院や訪問看護ステーションに委託して実施することも可能」となっています。例えば訪問看護ステーションへ看護師派遣を依頼するのは、これは学校がするでしょうか。それとも、例えば市の教育委員会とか、この辺はどういう筋道で依頼をするのか、そこに例えばこの主治医はどういう絡み方をするのかが聞きたかったのです。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
私の御説明が少しかみ合っていなかったということがよくわかりました。まず、学校医も含め学校側の学校の管理といいますか、学校の中で児童・生徒に対して一定の健康管理なりケアをしていくという視点でのサービスといいますか、看護のあり方をご議論いただくわけですが、さまざまな御議論いただく前提は医療保険の訪問看護であります。基本的に学校の場で行われているものに対して医療保険が提供されるということではなくて、あくまで学校の場で提供する看護についてどうやっていくのかという学校サイドの話と、患児といいますか、医療的ケア児が典型だと思いますが、医療的ケアを要する児童は家から学校に通うわけでありますので、その日常的な居宅におけるケア、あるいは医療的なものを含めて、これは医療保険が当然対応するという話でありますので、そこは基本的には切り分けて考えていくのが前提であります。ですから、訪問看護はあくまで居宅に対するサービスでありますので、学校の場における学校の対応は、それが教育委員会なのか学校長なのかという、そのあたりの事務的な整理は必要があればもう少し正確にお答えしたいと思いますけれども、学校サイドの管理や提供と、私どものほうの医療保険による提供あるいはサービスについては、一定のすみ分け、切り分けをした上でどう連携するのかという話だったと思います。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
当然、訪問看護ステーションに所属する看護師に依頼をするにしても、これはもちろん主治医がこの患者さんのところへ訪問看護してくれという指示書ではないということはよく理解しておりますので、恐らく医療保険ではなかなか手当てしにくい部分もあるのだと考えます。その辺はまた整理していただければと。
この医療的ケア児に関しましては、先ほど98コマ目のところでヒアリングの表もございました。我々もこのところでヒアリングに行かせていただいて、このような主張もしております。ですから、このことに関してとやかく言うつもりは全くないのですけれども、先ほど茶化して言ったのは、きょう中医協で議論することが、けさの新聞紙面に出ていた。これはこの間の財務省の話とはちょっと違うことでして、特に内容的には問題ないとは思うのですけれども、マスコミ事例が先行しますと、全てにおいて発表されたらそのとおりになってしまう、では、議論の必要はないのではないかと。それが心配といいますか、心配というよりは不愉快なのですけれども、それを感じたものですから、言わせていただきました。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
この点はマスメディアの方々が何らかの形で情報を入手されているのかどうかわかりませんけれども、私ども事務局といたしましては、あくまでこの場で御審議をいただくことが基本であり、資料を提供して御審議いただいたことにのっとって最終的には診療報酬につないでいくということは、従来から一貫して申し上げております。報道の内容等で一定の予断を持った情報提供をされていることにつきましては、私どもとしても必ずしもよしとしてはおりません。あくまでこの場での御議論、御審議を基本にということは重ねて確認をさせていただきたいと思っております。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
今の課長の御発言を受けて、この場での議論ということで言わせていただきたいのですけれども、先ほど課長からもお話があったように、居宅におけるこういった子供さんたちに対する訪問看護の話と学校現場の話、いわゆる教育の場でのお話は、一応切り分けた議論だというお話をいただきました。私はすごく大事なことだと思います。こういうお子さんにきちんと学校教育の場に出ていただいて、みんなと一緒に教育を受ける機会を設けるというのはとても大事なことだと思うのですけれども、では、その財源をどこから持ってくるのかというお話になったときに、108コマ目にありますように、日本再興戦略の中でも財源のあり方や財政制約を十分考慮して、どこで施策をつくるかというように書いてあります。109コマ目にあるように、文科省もこれは非常に大事だということで、こうやって補助金をつけて、看護師の配置事業をやっていると。先ほど松本純一委員からもお話があったように、主治医の指示書がない医療の中で訪問看護が提供されない形での訪問看護に関して、保険診療の中で学校のこういったものを手当てするというのはよく理解しづらい部分があります。縦割りで言うのも何だとは思いますけれども、これは文科省の中のきちんとした事業としてまずは実施されるべきではないかと。診療報酬の中でやるというのは、もしそういうことであれば、先ほど松本純一委員からもお話があったように、きっちりと医療の連携というか、医師からの指示に基づいて行われるべきではないかと私は思っていますけれども、いかがでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
松本純一委員、今村委員の御指摘は、私どもは大前提としてそのように理解しております。ただ、先ほど御紹介もいただきましたとおり、現場の特に御両親といいますか、御家族、御本人もそうだと思いますが、現実的にいろいろな悩みなり課題を抱えておられて、そういったことを行政としてどうしていくのかということが一方で求められております。これは省庁縦割りという話ではなく、基本的に給付と事業は当然分けていかなければいけないわけでありますけれども、現実にこういった課題を指摘されていることを受けまして、文部科学省のほうで現在検討会を立ち上げまして、学校における医療的ケアの実施に関する検討を行っていくということであります。
私どもの立場といたしましては、もちろん医療保険が本来想定されております給付、それから、さまざまな根拠法令はもちろん遵守はするわけでありますが、さまざまな指摘された課題について、どういった形で対応できるのか。あるいは医療保険の給付そのものではないわけでありますが、実際問題訪問看護のマンパワーなり事業所を圧倒的に擁しておりますのはこの介護保険、医療保険でありますので、給付の内容だけではなくてさまざまな情報共有、サービスの提供を、文科省サイド、学校サイドが実際に行っていこうとした場合に、人材の確保やさまざまな事業者の協力を得るといった情報提供については、私どものほうの守備範囲のほうが広くて対応能力が高いわけであります。そういった省庁間連携をしっかりやっていくということをある意味前提といたしまして、医療保険でどういったことができるのか。あるいは文科省でどういったことをやっていただくのか。そこはしっかりすみ分けはすみ分けとして押さえた上で対応していくということを御審議の前提とさせていただいているということであります。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
趣旨はよくわかっていますが、非常に重要なことだというのは理解をした上で、今、お話のあったように、文科省の中で教育の現場でのこういったお子さんたちにどういう対応がとり得るのか、これから議論をしていくということをおっしゃっているので、そういうものが十分煮詰まった中でまた診療報酬で何ができるのかを考えていただいたらいいのかなとは思っています。
○田辺会長
ありがとうございました。
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
ありがとうございます。
何点か質問があるのですが、まず11コマ目、もう前にも出ている資料ですが、訪問看護ステーションの場合に、看護師よりもリハビリテーションのスタッフのほうが昨今非常にふえているということは間違いないことだと思います。また、45コマ目を見ますと、リハビリのスタッフだけが行って訪問看護が行かないということが非常にふえているのだということもあろうかと思います。例えば、これは介護保険のほうが多いのかもしれませんが、通所・通院でリハビリをやっていて、期間が過ぎた後に介護保険に移行すると、通所リハビリや通院リハビリではなくて、訪問のリハのほうに移行されていくことが非常に多いと思うのです。病院に通院できていたような方が訪問リハビリに移行していくようなことは、どういうことなのかなと。このような訪問リハビリに対する適応というものがあるのかどうか。その辺を少し教えていただきたいなと思いますが、いかがでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
これは介護保険の中での話であれば、本来私ではなく介護の担当がお答えすべき話だろうと思いますけれども、基本的には医療が必要な場で医療を提供する医療保険と、介護で提供いたします自立支援に根差したといいますか、目指した介護サービスは、必ずしも同じ考え方でやっているわけではございません。特に今回同時改定でリハビリテーションの生活期、維持期にどう移行していくのかという部分は、従来から御議論いただいているわけであります。医療から維持期、生活期に移行して、介護に移行した後、それが通所・訪問でどうなっていくのかというのは、基本的には利用者、患者さんの状態と目指すべき自立支援のケアプランの中身に応じて変わっていくので、個別にどういった視点で例えば通所の方が訪問にかわるのかということは、総論的にはなかなか議論しづらいところがあるのかもしれません。一定の必要性なりサービスの考え方があって、それを切りかえているということが前提になるものと推察をいたします。
○田辺会長
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
そのとおりだと思うのですが、現実的には訪問リハが訪問看護よりも非常に量的にもどんどんふえて、現実的にそこがふえて、訪問看護における訪問リハと呼べるのかどうかよくわからない状況になってきているように思いますので、少し整理が必要かなと思っております。
続けてもう一つお願いしたいのですが、87コマ目に病院併設の訪問看護ステーションというものが論点になっております。この病院併設についての考え方をどう整理するかということなのですが、例えばそれは病院の同一敷地内にある訪問看護ステーションを指すのか、もしくは同一法人で隣地にある場合もあるでしょうし、少し離れたところで独立した形の訪問看護ステーションもあると思います。それから、86コマ目にあるように、病院の中から看護師もしくはリハビリのスタッフが直接出向くという訪問もあろうかと思います。ここで言う病院併設というのはどういうものを指しているのかを教えていただけたらと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
御指摘のとおり、病院の組織、施設とどう線引きをするのかということであります。同一法人という概念はないわけではないのですが、ただ、その場合には、おっしゃるとおり立地や物理的な関係にかなりバリエーションがあって、それは一概には捉えることができませんので、基本的には立地といいますか、同一敷地あるいは物理的に一定の近接関係にあるという事業所について併設と考えています。これは実際に報酬関係を整理する際にはもっともっと事務的なことも含めてディテールの詰めは必要ですが、概念的には物理的な近接関係にある事業所で訪問看護事業所を設置しているものを指しておりまして、法人関係では必ずしも整理してはおりません。
○田辺会長
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
86コマ目にありますように、病院・診療所から直に行っている訪問看護、訪問リハというのは、例えば退院直後にその看護師、またリハビリスタッフが行くことも可能になりますし、いろいろな意味で連携が同じ病院の中でとれることを考えますと、病院から直に行くことも併設以外に非常に重要な観点で、この訪問看護師の不足の中でもこういうことを進めていいのではないかと考えております。
最後にもう一つだけ教えていただきたいのですが、124コマ目の論点の2つ目、特別な関係ということが出ております。この特別な関係というのは、昨今、地域医療連携推進法人等もできて、その場合も特別な関係に分類されるのかどうか。これを少し教えていただきたいということです。もはや、かつては特別な関係というのは、いろいろな意味で診療報酬の算定ができないなどというところがあったのですが、今後の連携、特に医療と介護の連携等々を考えますと、余り特別な関係だからこういうものは請求できないのだというような縛りはむしろなくす方向でどんどんいろいろな意味の連携が進んでいくほうがいいのではないかと考えますけれども、その辺はいかがでしょうか。お願いいたします。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
123コマ目、124コマ目、連携推進法人との関係であります。御指摘のとおり、連携推進法人における連携のあり方、法人あるいは事業所の考え方の整理とここの部分との整合や関係については、必ずしも十分整理できておりませんので、その点につきましては、必要がありましたら、改めまして整理した上で、審議を行っていただきたいと考えております。
もう一点補足をさせていただきますと、先ほどの病院からの訪問看護の関係、併設の関係についての考え方を、松本純一委員がお話をされている部分とも関連するので、先ほど御説明が漏れたので追加でお話をさせていただきたいのですが、86コマ目に病院・診療所から直接訪問看護を実際に行っていただく場合の取り扱いとステーションが行う場合の取り扱いの記載がございます。見ていただいたとおり、報酬、それから、言ってみれば評価の考え方が違います。ですから、逆に言いますと、今回なぜ私どもがこういう御提案をさせていただいたかといいますと、基本的には訪問看護の看護師さんが十分獲得できていない、それは病棟、外来、訪問看護ステーション、全て一般的に看護師さんが足りない状況の中で、病院・診療所において訪問看護の提供を実際に我々としてももっと充実していただきたいということが大前提であります。
その際、グラフで見ていただきましたとおり、6コマ目でありますけれども、病院・診療所からの直接の訪問看護の提供は、一貫して減少基調にあります。これは現実の問題として看護師さんの確保がそもそも厳しい中で、入院部門を持っておられる以上はそちらに看護師さんを充てていかれるというのが基本的な運営のまず大原則のように見受けられます。かつ、86コマ目にありますとおり、報酬の整理の考え方からしますと病院・診療所とステーションとの報酬水準なり評価の範囲が違いますので、一般的に訪問看護を医療機関、病院の関係の方が行っていこうとしますと、どちらかというと訪問看護ステーションを併設してやっていくという考え方のほうが現状の設定からしますと取り組みやすいのではないかと考えられます。その上でさまざまな対応をやっていただく上で、現実的には病院併設の訪問看護につきましても一定の考え方や一定の整理をしていったほうが訪問看護全体の人材育成に資するのではないか。ただ、そこの部分の費用の充て方については、松本委員御指摘のとおり、一定の考え方の整理が必要なのではないかという御指摘を受けておりますので、今いただきました猪口委員からの御指摘を含めて整理をして今後、御審議いただけないかと私どもとしては受けとめております。
以上でございます。
○猪口委員
ありがとうございました。
○田辺会長
松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
まず53コマ目の論点案のところでございますけれども、1つ目の○の24時間対応の評価についてということでございますが、電話だけではだめで実際に行くことが非常に重要だということであって、24時間対応体制に一本化するということはいい方向ではないかと思います。
8つ目の○で、複数の主治医がいる場合の訪問看護指示書の取り扱いですけれども、きちんと整理して行って取り扱っていただけるようであれば行ってもいい方向で検討されてはいかがかと思います。
先ほど松本純一委員からお話しいただいた医療的ケア児のことでございます。75コマ目に論点案がございますけれども、もともとその説明は62コマ目にあります。補足させていただきますと、医療的ケア児は、話すこともできるし歩くこともできるけれども非常にケアが大変だということであります。また、医療的デバイスを使用していらっしゃる割合が非常に高いということ。それから、家族へのケアは重要であり、本当に家族の方はほとんど寝る時間がないぐらいに忙殺されるということもあって、この判定基準に関しましては、先ほど松本純一委員からお話があったとおり、98コマ目、ヒアリングで意見を述べさせていただいております。判定基準の見直しも少し考えたほうがいいのではないかと思いますけれども、いずれにしましても、75コマ目にありますように、この評価に対しましては進めていっていただいていいのではないかと思います。
75コマ目の4つ目の○でございますけれども、過疎地における訪問看護ステーションは非常に不足しているということも間違いないことで、こういった地域におきましては、中小の訪問看護ステーションがきちんと連携していくという仕組みをつくって、さらに先ほどの病院併設の訪問看護ステーションの話もございましたけれども、そういった病院併設の訪問看護ステーションが、例えば研修等も含めてこういった中小の訪問看護ステーションを支える、支援する仕組みが大切ではないかと思います。
病状が不安定な精神障害を有する利用者の方々、75コマ目にもありますけれども、これも検討を進めていっていただいてよろしいのではないかと思います。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございます。
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
3点確認をさせていただきたいと思います。まず53コマ目の松本吉郎委員からもあった複数名訪問にかかわる加算のことなのですけれども、30コマ目を見ていただきますと、いわゆる看護補助者の方の算定回数がある意味激増していると左の絵では見えます。右側の棒グラフで21回から40回の数字のところで平成27年から29年、これも非常に激増しているということで、厚労省として一定の分析をされているのか。先ほど松本純一委員からお話のあったように、この背景を見ますと、一定程度の算定回数の制限は行われるべきなのだろうと思います。
それを前提として、私が知らないので教えていただければと思うのですけれども、看護補助者というのはどういう方、つまり、誰でもいいと。私も訪問看護ステーションの立ち上げにかかわったことがあって、当初は本当に訪問看護師さんは自転車で真夏の炎天下であるとか冬の寒風吹きすさぶ中を患家に向かわれるということがあって、昨今は運転手さんに乗せてもらって車で行くというようなことが多いのですけれども、例えば運転する方も看護補助者の扱いになって、おうちまで訪問看護師さんを連れていって、その後で患者さんのおうちの中に運転手さんが入れば、これも看護補助をしたということになるという理解でよろしいのでしょうかということが、まず1つ目の御質問です。
2つ目、複数の主治医の指示書、これは51コマ目を見ると、既に今でも別に指示書を出せることにはなっているのですけれども、厚労省としてこの取り扱いをどうするかという問題提起をされているので、一体どういうことが問題と考えておられるのかを改めてもう一度教えていただければと思います。
3つ目、これは最後ですけれども、自治体への情報提供をされるということで、105コマ目を見ていただきますと、これも右側の棒グラフを見ていただくと25年、27年、29年というのは激増していまして、この辺もそんなに何か状況が変わるような大きなことがあったのかどうかよくわからない。厚労省としてこういう理由だというようなお考えというか調査があるのかどうか。極めて機微に触れる医療情報ですので、訪問看護の方が患者さんのさまざまな状況を自治体に提供されるときに、本人同意というものをきちんと確実にとっておられるのかどうか。
もう一点、先ほど松本純一委員からもお話があったように、なぜかかりつけ医が自治体に情報提供をするのではなくて、訪問看護師さんがするのか。これはもしそういう情報提供をしたのであれば、当然看護の報告書の中にそういう記載がされるべきであって、私も今般こういう形で参加させていただくまで、このようなことが行われていたのだということを逆に知らなかった。自分の訪問看護指示書を出している患者さんのかなりの例で自治体への情報提供をされているということを見て、そうなのだと改めてびっくりしたこともあります。この辺の要件にきっちりと報告を、先ほどの松本純一委員からもお話があったように、これは入れていただかなければいけないのではないかと思っています。
以上3点です。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
まず、複数名の同行訪問でありますけれども、実際に訪問するに当たって、今の今村委員の例でおっしゃっている運転をされる方が実際に居宅の中にお入りになってというケースでありますが、運転されている方がどうかは別といたしまして、あくまで実際に看護の補助をされるかされないかが基本的な評価のポイントになりますので、実際に補助をされたのであれば、当然そういったカウントの対象になり得るということであります。
数字的に伸びている実態について、個別の事例でどのようになっているのかは必ずしも十分把握できているわけではありませんけれども、さまざまなケースがあろうかとは思います。ただ、あくまで現在の算定の要件から見て、こういったことが仮にあったとしても十分制度上の対応ができていないのではないかという問題意識で御提案しておりますので、個別の事案はいろいろあるかもしれませんけれども、その個別の事例について対応できるような制度上の工夫はできるのではないかという前提での投げかけでございます。
意見書の話でありますけれども、我々が一つ課題意識として持っておりますのは、複数の主治医がおられて、例えば診療の内容は俗に言う主治医、副主治医の場合と違いまして、例えば皮膚科でありますとか、泌尿器科でありますとか、一定の診療の専門性で分けて対応されているようなケースについては、ドクターサイドについて役割分担はある程度はっきりされているのだろうと思います。ところが、訪問看護ステーションの立場からしますと、それぞれが訪問看護を指示書として出しているかどうかという事実が実は必ずしも自動的には把握できませんので、実態としては複数の訪問看護ステーションに同一の患者さんについて指示書が出ていて訪問看護をやっているというケースがあるのですが、お互いに事業所が同じ患者さんのところに行っているという認識が必ずしもできていないケースが起こり得ます。そのような場合は、恐らくドクター同士もそうですし、ステーション同士もある意味連携上の問題といいますか、やりにくさも含めて、報酬の算定上もさまざまな課題が生じますので、そこについては、どういった形かは今後少し整理が要ると思いますけれども、情報を共有するなり、複数の指示が出ているものを例えば全体像を見えるようにするとか、様式の問題かもしれませんけれども、そのあたりの工夫の余地があるのではないかという問題提起であります。
自治体の関係でありますが、自治体サイドから情報提供を求めるというのは、訪問看護ステーション、医療機関に限らず、地域の住民に係るさまざまな、例えば危機管理等で避難の対応体制を考える上でもどうしてもそういった情報が必要で、当然機微に触れる情報であります。その場合に、訪問看護ステーションとドクターといいますか、医療機関との関係について言うと、そういう情報提供が行われているというのは、恐らくお互い知らないままに情報提供がなされているということだろうと思います。そこの整理の余地は恐らくあろうと思いますが、ただ、前提としては自治体がそういう情報が欲しい、必要だということでそういうアクションを起こされているので、自治体がどうお考えになるのかということと十分連携した整理は必要なのかなとは感じております。
以上であります。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
ありがとうございました。
大分明確になりました。看護補助者の方というのは、いわゆる看護師さんとか准看護師さん、理学療法士さん、さまざまな医療関係職種の方というのは極めて専門性が高くて、自分たちが知り得るさまざまな情報に関して、きちんとした管理をしなければいけないということを理解した上でお仕事につかれていると思うのです。今、私が一例で挙げた例えば運転手さんがおうちの中に入って一定の看護に関する補助をしたからといって、診療報酬上はそれで要件的にはいいのかもしれませんけれども、患者さんのおうちの中に入ってさまざまなことをされるわけですから、そういった知り得る情報についてどうするかみたいなことはきちんと考えていただきたいというのは、これは中医協の話ではないと思いますけれども、申し上げておきます。
2点目、いわゆる主治医が複数いる、あるいは1人の患者さんに複数のステーションが入る。これは多分2つを切り分けて考えたほうがいいと思っていて、私が2つのステーションを利用する場合には、訪問看護の指示書の中にきちんとどういう他のステーションが入っているかということを明示することになっておりますので、ステーション間にどういう連携をとっていただくかは一つの課題だとは思います。
先ほど実例に挙げられた複数の先生が1人の患者さんのところに行って指示書が2枚出るというのは、実態として余りデータがないというお話があったのですけれども、余り現実的にはなくて、例えば私が内科で、皮膚科の褥瘡ができたのでぜひ皮膚科の先生に行っていただきたいというこちらからの依頼に基づいてステーションが入るということになれば、当然のことながら、医療情報はある意味共有できていることが前提になっているかなとは思うので、そこは整理をしたほうがいい。
3点目の自治体のお話につきましては、自治体がいろいろな情報、住民情報を災害時に知りたいのは当然だと思うのです。ただし、私は自治体から直接ステーションにこういう情報を出してくださいという依頼が出ているとは思えなくて、そもそもそうなのであれば、地域の医師会なり医師の側にそういう自分たちの診ておられる在宅の患者さんの情報について情報提供いただきたいというのが普通の一般的な考え方なのだと思うので、これは本当に自治体からステーションにそういう依頼が出ているのかどうか教えてください。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
1点目、これは説明が少し足りなかったと思います。実際に現場でこの問題提起をさせていただく多くのケースが身体と精神のケースであります。おっしゃるとおり通常の診療科で連携されている場合に余り起こりにくいというのはよくわかります。身体と精神でそれぞれ報酬上もそこは峻別しているということも含めて、並行的にやっている。ステーションについても恐らく専門性が違うと思われますので、そういう課題がありますという話であります。
2点目、私が申し上げたのは、総論的に自治体が基本的な情報が必要だと考えるケースについて申し上げましたが、まさに今村委員の御指摘の点が私どもとしても問題意識でもありまして、自治体からの要請があった場合、もちろん返すのは当然なのですが、自治体の要請があるなしにかかわらず情報提供をして算定している場合もあって、それについては、基本的に一定の考え方の整理が必要ではないかという問題意識ですので、まさに今村委員の御指摘の点と私どもの問題意識は合致しているということだと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
榊原委員、お願いいたします。
○榊原委員
自治体から看護ステーションなどにそういった情報提供を求めることは、まずないと思います。一般的にそれぞれの市町村の医師会さんなどに災害があったときに手助けの必要な方のリストをというようなことは出しますけれども、そういったことはまずあり得ないと理解しています。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
菊池専門委員、お願いいたします。
○菊池専門委員
看護の立場から3点意見を申し上げます。まず、53コマ目の論点の利用者のさまざまな状況に対応する訪問看護の提供体制ということで、6つ目の○の専門の研修を受けた看護師による同行訪問の対象の拡大についてですけれども、こちらに賛成するということで意見を述べます。
38コマ目にありますように、人工肛門・人工膀胱を造設している利用者はふえております。ストーマ造設者には、皮膚のびらんやかぶれ、腸管脱出、排せつ物の漏れなどのトラブルがよく生じます。こうしたトラブルは御本人や家族にとっては生活上の大きな問題ですけれども、その多くは適切なストーマ装具を選んだり、洗浄剤を選んだり、張りかえ方の工夫をしたりということで解決ができます。専門の研修を受けた看護師は、これらの工夫や腸管脱出を防ぐための腹圧をかけない生活動作だとか、パウチが剝がれにくい姿勢の保ち方だとか、本人、家族、それから同行の地域の訪問看護師に伝えるなど、きめ細かな指導、アドバイスを行っております。個々の患者の生活状況を踏まえて適切なアセスメントができて、患者の病態、最新の装具に関する知識やケア方法を熟知している看護師だからこそできるケアだと考えております。既にこういったストーマ患者さんへの同行訪問や訪問看護師へのアドバイスも実施されておりますが、点数がついておりませんので、速やかな患者さんのトラブル解決につながっているという結果が出ておりますので、これが評価拡大されることで患者のQOLの向上や患者の負担軽減にもつながると考えられますので、ぜひ訪問対象をストーマ患者にも拡大していただきたいと思います。
同様に、この考え方は例えば摂食・嚥下障害のある方についても専門の研修を受けた看護師が嚥下機能の評価をして、正しい姿勢のとり方とか食事内容とか飲み込み方などを指導、アドバイスすることで、食べられるものが変わったというような成果も出ておりますので、こういったこともあわせて検討していただければと思います。
2点目、87コマ目の病院併設の訪問看護ステーションの論点に関することです。こちらについて、病院からの訪問看護の評価を充実することに賛成という立場から意見を述べます。ステーションの数は年々増加しておりますけれども、70コマ目の資料にありますように、その提供体制には地域格差がございます。今後、住民が病や障害を抱えながらも住みなれた地域で暮らしていくには、各地域での訪問看護の提供体制を整えることが必要で、そのためには病院からの訪問看護も重要で、特に医療資源の限られた地域においては役割が期待されると考えます。現在看護職員は病院に集中しておりますけれども、今後は病院の看護職員が地域でも活動し、住民の療養を支えていくということが必要です。病院からの訪問看護を特に退院直後に行って、その後、地域の訪問看護ステーションに引き継いでいくということもあるかと思います。
病院は、多くの看護人材を抱えておりますので、訪問看護に多くの看護職員を配置して、24時間体制で重症度の高い患者さんを支えることが可能です。訪問看護の人材育成も行いやすい環境が整っております。また、病院からの訪問看護を拡充することは、重症者や緊急時の対応だけでなく、訪問看護師の確保や病院と在宅療養との連携強化にも効果がございます。本会では、病院と訪問看護ステーションの間で人材交流事業を行っております。病院から訪問看護ステーションに出向することで、看護師が病院に就業したまま訪問看護を経験し、その魅力とやりがいに気づきますので、長期的に見て訪問看護希望者の増加につながることを期待しております。
また、訪問看護を経験した看護師は、退院後の生活が具体的にイメージでき、在宅療養可能な患者像の幅がひろがりますし、在宅サービスや多職種への理解が深まりますので、病院に戻ると退院後の生活を見据えたケアや退院調整がより効果的に行えるという報告が行われております。
以上のことから、病院からの訪問看護について、重症度の高い利用者の受け入れや人材育成など、地域において一定の機能を果たした場合に評価を行うことについて賛成です。人事交流の取り組みは、先ほど述べましたように、訪問看護師確保や退院調整の円滑化に寄与しまして、訪問看護の基盤強化につながるものと考えられることから、求められる機能として検討していただきたいと思います。
最後に3点目は、124コマ目の医療機関等との連携に関する論点についてです。○の上のほうですけれども、入院に当たり、ステーションから情報提供を行うということについて、非常に重要なことであると思っております。また、既に行われておりますので、その評価が必要だと考えております。訪問看護師は患者の家族状況、それから、生活状況、療養状況を知っておりまして、その情報を病院等の看護師などへ提供することで、円滑な療養継続につながると考えます。例えば食事や排せつなど日常生活の様子、ADLの状況、認知症などの状況、創傷処置や医療機器の使用状況、複数の疾患に処方されている薬、現病歴、独居などの家族状況、在宅で利用しているサービスなど、訪問看護ステーションはそういった患者の療養状況に関することを統合的に把握しております。入院直後からスムーズに療養が開始でき、その後の退院まで円滑に調整できるようにするためには、これらの情報が入院に当たりまとめて医療機関に伝えられることが重要ですので、その評価は大事だと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
我々は訪問看護の実態や現場がよくわかっていないので、質問を交えながら意見を述べさせていただきたいと思います。まず、訪問看護は医師の指示書に基づいて訪問看護が提供され、看護師は患者の状況を医師に報告して、さらに医師がその報告から判断して再度指示を出すという流れだと思います。この医師の指示の内容ですが、例えば看護師や理学療法士などのどの職種に行ってほしいという指示や訪問看護の頻度などの具体的な指示がされるのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
実際には指示書は、これは標準的な様式として定めておりますが、そこの記載事項については、まず誰という意味は職種という意味だと思いますけれども、そこについての指定はございません。あと、頻度ですね、これについても基本的には包括的といいますか、内容的な記載はもちろんあるわけですけれども、頻度について必ず記載していただきたいとか、そういう趣旨の標準的な様式は定めてはおりません。
以上でございます。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
では、どの職種が訪問するということや、どれぐらいの頻度で訪問するということは、訪問看護ステーションで決めているということでしょうか。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
例えば、そのステーションには看護師だけではなくて理学療法士などもいるといったときに、この患者さんには理学療法士による訪問看護が適当であるからというようなことは、内容の中に書くことはあります。今度はそれはそのままそうなるかと言えば、例えば週3回行ってくれというような指示もそうなのですけれども、マンパワーの問題がありますから、ステーションでできない、応えられないときがあって、それはどうしても主治医との話し合いになります。
○幸野委員
私は、それが問題ではないかと思います。先ほどから話題になっております30コマ目にあるように、月に400回以上も訪問看護が行われているところがあるようですが、医師はそのような指示を出しているとは思えないので、訪問看護ステーションで訪問回数を決めているのではないかと思います。医師との連携や報告、訪問看護師からの状況報告を見た上で行われる医師の再指示が上手くいっていないのではないかということが問題ではないかと思います。これに対して医療課長はどのような見解でしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
補足でございますが、私が先ほど申し上げたのは、私どもの標準的な様式として定めている部分に回数や職種の欄はないという趣旨であります。一方で、実際に松本委員がおっしゃったとおり、現場で実際に指示されている内容は非常に多岐にわたりますし、詳細に記載されている指示ももちろんございます。それは現場の実情で、内容の濃淡、それから、中身の量的・質的な話は当然幅がありますということです。それは私どものほうで、つまり行政サイド、算定要件として微に入り細に入りの細かい設定をしていないという趣旨でありまして、そこについてどう考えるのかは、まず総論的な議論としてはもちろんあり得ますが、今回はそういったことではなくて、あくまで算定実態としてこういうケースがあって、それについてどう考えるのか。そういう問題提起の仕方をさせていただいたという趣旨でございます。
○田辺会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
では、意見を述べさせていただきます。訪問看護ステーションで訪問看護を提供する場合は、医師による明確な指示があった方が良いと思いますので、訪問看護を提供するようにという指示だけではなく、訪問頻度や医師に報告する内容の要件化なども検討していった方が良いと思います。また、30コマ目にありますように、1日に3回以上の訪問看護の場合の費用は、8,000円の加算と、複数名訪問看護加算の3,000円掛ける3と合わせて、合計1万7,000円という計算になるのでしょうか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
30コマ目の複数の8,000円というのは別の加算でございます。あくまで加算について言うと、3,000円掛ける3回で9,000円ということになります。
○幸野委員
わかりました。複数名訪問看護加算については、ある程度の回数以上は包括化とすることを検討すべきだと思います。
もう一点、47コマ目の理学療法士等のみによる訪問看護について疑問に思うことがあります。理学療法士等のみの訪問における要介護度別利用者数割合は、2割が要支援2以下で、理学療法士等のみの訪問を提供している利用者について、看護師のアセスメント等の実施状況がないとする割合も2割程度あるということが示されています。理学療法士のみの訪問看護では、どのような療養行為が提供されているのかが想像できないので、どなたか教えていただければと思います。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
重ねて申し上げますが、ここの資料は御参考でおつけしております。ただ、これは介護給付の内容です。ですから、ここの中医協の場で御審議いただく医療の必要性に応じた医療としての訪問看護とは別の視点での整理ですので、特に要支援あるいは要介護の視点での訪問看護がどういうことなのかというのは、できましたら別の場で御審議をいただければ幸いかと考えております。
○田辺会長
今村委員、お願いいたします。
○今村委員
先ほど幸野委員がおっしゃった指示書と回数の関係なのですけれども、先ほど御指摘のあったような400回、これは1日3回ではなくて30で割るから1日13回ですか。極めて異常な数値だと。こういう常識外の話とそうでない一般の訪問看護の中の指示というのは私は違うかなと思っていて、極めて一般的には、先ほど松本純一委員がお話しされたように、大体ステーションとかかりつけ医の間で、希望はこうなのだけれども、今はステーションの人員がこういう状況だからこういう回数でしばらくやりたいなどという連携は、私はかなり密にとれていると思っていて、30コマ目の絵にもありますように、大体月に10回ぐらいまでのところは、大概そういう形で弾力的に対応して、余りそれをがちがちにルール化しないほうがいいのかなと思っています。ただ、先ほど算定回数云々の話もありましたけれども、常識的に考えて異常なものをどう取り扱うかというのは、監査のお話なのか、もしくは一定の算定回数を制限するのかというお話だと思うのですけれども、これを全部のルールに当てはめないほうが、私は現場の感覚からしていいと思っています。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
先ほど猪口委員が言った、医療保険の算定が終わって、次に介護保険になる。介護保険によるリハビリといったときに、いわゆる理学療法士による訪問看護が、なぜ通所でできていたのが訪問になるのだと言われたのに尽きるのではないかと思います。ですから、ここは診療報酬による、医療保険による訪問看護の話をする場ですから、そぐわないかもしれないのでここまでにしておきますけれども、そういう感じがします。
それと、105コマ目のスライドにある患者情報、これは先ほど榊原委員におっしゃっていただいたように、なかなか自治体から訪問看護ステーションに依頼するということは、名指しで依頼するというのはまずあまりない話。ということは、ちょっと厳しい見方をすれば、患者情報の押し売りなのです。私はこれは許してはいけないと思います。ましてや29年になって急激に伸びている。こういう算定は慎むべきだと思います。
先ほど菊池専門委員がるる言われましたけれども、ストーマのケアは特別な研修を受けた看護師が行くからよくなった、あるいは褥瘡がよくなった。そういう看護のケアというのは成功報酬ですか。そうなって当たり前の話であるわけで、それがよくなったから手当てをつけようと、なぜそういう議論になるのか。例えば治療は、病気は必ず治るものでしょうか。疾病が必ずしも治るものでないとすれば、治ったときには報酬は上がるのでしょうか。だから、その辺の議論がずれているような気がいたします。
○田辺会長
幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
繰り返しの意見になりますが、月に400回以上の訪問というのは例外的な事例だということはわかりましたが、やはり医師が指示書を出す際に、どれぐらいの頻度で訪問が必要だというような指示があってしかるべきではないかと思います。頻度についての指示もなく、訪問看護ステーション任せというのはいかがなものかと思いますので、ぜひそれは検討していただきたいと思います。
○田辺会長
猪口委員、お願いいたします。
○猪口委員
一番基本的な話なのですけれども、5コマ目を見ていただくと、大体そのことが書いてあります。今、医療保険の中では原則は週3日以内ということで、状態に応じて非常に常識的な線で回数が決められていると思えば、医療保険はそれでいいと思います。
ただし、ここで言いますところの別表7とか、非常に重度な場合の特別指示書、例えば毎日もう御飯が食べられないので点滴をしてほしいとか、そういうものは2週間単位で回数まで決めて医師から指示が出ることがあるということです。400回というのは特別なことで、そのようなことは普通はあり得ない話です。
介護保険に回った場合には、逆に介護保険ではケアマネジャーが訪問看護の数も大体指定が出ますので、ケアマネジャーのほうで数を調整しながら、訪問のヘルパーさんとの調整とか、そういうことを行っておりますので、ドクターのほうではそれでももうちょっと入れてくれないかという交渉はありますけれども、基本的には最後に決めるのはケアマネジャーとのケアプランのほうで決めていっているというのが実態です。ですから、そんなに驚くようなひどい回数を行っているというようなことは通常はあり得ないと理解していただいて構わないかと思います。
○田辺会長
松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
補足いたしますけれども、5コマ目をごらんいただきたいと思います。ここには医療保険のところに原則週3日以内ということが書いてございますので、現実の我々の訪問、例えば私で言うと褥瘡の患者さんなどに指示を出すことはありますけれども、普通は重症の方でも週2回なり3回が原則ですので、一般的にはきちんと回数の指示を私は書いております。ほとんどの医師はそのように指示を出していると思います。
○田辺会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
よくわかりました。
最後に、病院併設の訪問看護ステーションは、併設の方が指揮命令系統もきっちりすると思いますし、質の高い訪問看護が提供できるのではないかと思いますので、これは推進していくべきだと思いますが、診療報酬上でどのように手当てするかについては、また別途議論が必要だと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
個別の話と、総論的に皆さんの今まで出ている意見と違う観点で意見を申し上げたいと思うのですけれども、まず個別の話としては、53コマ目のいわゆる患者のさまざまな状況に対応する訪問看護、これの提供体制にかかわる論点でございます。個別に言えば、最初の○の24時間対応と連絡の加算についての論点などは、利用者が訪問看護師に求めるニーズ、訪問看護ステーションの最近の動向、そういうものを踏まえれば、これを別々に評価する必要性は全く乏しく、実際に緊急時に訪問できる体制を備えておくという対応体制加算に一本化していくという方向性は必然だと考えます。
その他、個々の方向性等について検討するという背景、これについては理解できるところではありますが、この患者のさまざまな状況に対する訪問看護については、既に御案内のとおり医療保険でも介護保険でも位置づけられているサービス類型でございますし、高齢化に伴えば当然介護保険の利用も医療保険の利用もふえていく。個別の別表等の患者は別にしましても、一般的にはそういうことで、両方どちらかという使い方については、利用者サイドは余り意識しないで使うのかもわかりません。そういうことを踏まえれば、今回同時改定ということでもございますので、事務局へのお願いでございますけれども、診療報酬上の評価と介護保険上の評価、これの比較整理などを一覧表などにまとめていただいて、項目別にどういうような評価の違いがあるのかを提示いただければありがたいと思います。近年の環境の変化、利用者のニーズ等の動向を踏まえればより訪問介護を重点化して推進すべき論点と、一方では、両者の評価の差に差異をつける合理的な理由のないものについては、この機会に適正化していくような見直しが必要ではないかと考えております。その辺はぜひ次回でも示していただければありがたいと思います。
例えば、この資料にもありましたけれども、増加傾向にございます緊急時にかかわる訪問介護について、介護保険では私の知識が間違っていなければいいのですが、訪問看護費に加えて緊急時訪問看護加算が月単位で加算されるということでありますが、医療保険では、先ほどの24時間対応体制の体制加算が月単位と緊急時訪問看護加算が日単位で加算されると理解しております。これは体制の整備、実際の患者さんの疾患状況に応じた訪問、こういうものはある程度密接不可分であるというのは理解しますが、このような加算評価の違いというのは、合理的な理由がなければ両者統一するような方向で整理していくのが大事ではないかと考えます。事務局におかれては、その辺をこの同時改定を踏まえてどういうような方向性をお考えなのか、お聞かせ願えればありがたいと思います。
続けてもう一点、最後の124コマ目です。最初の論点のところですけれども、在宅療養中の利用者が療養環境を変化する際の情報提供の評価。そういう論点だと思いますが、これは療養支援がシームレスに継続されて円滑に移行されるための訪問看護ステーションと病院の間での利用者の医学的情報、支援体制とか、看護に関する具体的な情報提供、こういうものがきちんとできることが大前提だと考えますので、その際の方法や文書、フォーマットなどが一定パターン化されていないというか、定まっていない現状があることを考えれば、この情報提供のあり方を考えるのもあわせて、まずはその方法の一般化や文書のフォーマットの統一を要件整理としてあわせて考えるべきだと思います。これは意見です。
○田辺会長
ありがとうございました。
1点目はいかがでございましょう。
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
同時改定を踏まえてということでございますけれども、これは非常に大事で重要な点ですので、ぜひ明確にしておきたいと思います。質疑の中にも出てまいりましたが、これは訪問看護だけではないと思いますが、訪問看護の例について今議論していただいておりますので、医療保険における訪問看護の位置づけ、考え方と介護保険における位置づけ、考え方は、共通の部分はもちろんありますが、大きく違う点は疾病、療養の給付ということでございますので、一定の期間なり想定している範囲といいますか、制限のようなものが算定要件に反映されております。
一方で、介護は一つには医療と比較して、かなり長期にわたって療養生活を支援するということと、在宅を含め生活を支援するということと、基本的には他のサービスを組み合わせて一定の給付を構成しておりますので、質疑の中でも出ましたが、ケアマネジャーがケアプランを策定し、その範囲の中で給付を行いますということです。さらに、区分支給限度基準額という設定をしていまして、一定の範囲に給付をとどめておりますので、それを超えるサービスの提供も基本的には利用者の負担のもとで可能でありますので、そもそも給付の制度設計自体に大きな理念の違いがあります。
そういった中で、一方で同じ事業者さん、あるいは同じ医療機関が同一の患者さん、利用者さんにサービスを提供するというのも、また事実であります。同じようなサービスについて、基本的には同じような評価であることが理解を得る上でも望ましいと思われますので、可能な限りそういった観点でのすり合わせといいますか、整合性をとる努力はいたしますけれども、最終的に全てを合致させるということは基本的には難しいので、その違いを踏まえた上でどういった形で支払い側と診療側、もっと言えば利用される側の納得感、あるいはわかりやすさというものができるのかということは、しっかり整理させていただきたいと考えております。
○田辺会長
吉森委員、お願いいたします。
○吉森委員
ありがとうございます。
理念の違い云々は理解しているつもりですので、今、おっしゃっていただいたように、両者共有の部分とか、同じ対応施設で対応するときに、片一方は医療と片一方は介護で違いがあるとかというようなところはぜひ整理していただきたいと思います。限られた財源という言い方はあれですけれども、ファンドが限られている中で、より患者に対してその対応がためになるような方向性、重点化、適正化を進めていただきたいと思います。その辺、ぜひよろしくお願いします。
○田辺会長
松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
今、医療課長がおっしゃったとおりなのですけれども、ただ、別表7にあるこの疾病以外では介護保険優先なのですね。そうしますと、こちらは医療的ケアで訪問看護に入ってもらいたいのに、要介護度認定を受けていると、どうしても介護保険でのことになってしまう。いみじくも言われたように、こちらは週2回行ってほしいのにケアマネは1回でいいという指示を出す。その辺が、非常に我々としては困る部分があります。ケアマネと話をしても、理解できないケアマネが中にはいます。そのときのために同時改定で何とかしようというお気持ちはあられますか。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
恐らく5コマ目の資料をなぞって御質問されていると思います。御指摘のとおり、基本的には、特に高齢者の場合には生活の中で自立支援するという考え方ですので、要介護の被保険者については介護保険が優先というより前提となりますという理解でよろしいかと思います。その上で、疾病にかかるさまざまな治療、ケアが必要な場合には、表現上、そちらを優先すると明示的な資料にはなっておりませんが、必要なものはちゃんと給付できるような制度設計になっていて、それが5コマ目の青い破線で囲っていますけれども、両方にまたがる格好になっていて、医療保険が大きくカバーをする格好になっていますが、必要な給付を行うということです。
別表7については位置づけがあるけれども、そうではないという御指摘があります。これはおっしゃるとおり、そこの部分の給付の調整は絶えず課題になっていて、俗に言う特指示という、5コマ目の下にあります特別訪問看護指示書でそういった臨機応変的な対応ができるように、制度的にも一定の手当てはしています。ただ、個別の事例でなかなかそこがうまくいかないという御指摘はそのとおりであります。
そのような問題意識で先般御議論いただいたのが終末期にかかる医療と介護の連携の話でありまして、ケアマネさんと主治医との情報共有とか、そこの連携のあり方については、御指摘のとおりさまざまな課題がありまして、今回の同時改定でもぜひそこの部分については情報共有を推進する、特に、これは細かい話ではありますが、ケアマネさんの立場からしますと、特にがんの場合はそうですけれども、実際に主治の医師がどなたなのかということを必ずしも常時把握できるシステムになっていないのではないかという指摘があります。主治医の意見書に基づいて要介護認定を受けておりますが、現実の主治医がケアマネさんと連携できている場合がほとんどだろうと思いますけれども、そこの部分については課題があると指摘されておりますので、今回同時改定でせっかくの機会でありますので、しっかり御議論いただいてやっていきたいと事務局としては考えておりますので、ぜひそういったことも御審議いただきたいと思っています。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
学校との連携のところなのですけれども、107コマ目からのところで、医療的なケアを必要とするお子さんが義務教育を十分に受けられるように、そういう機会を保障することは非常に重要なことだと思っています。私自身も小学校入学のときに、こういうお子さんは養護学校に行くものなのですよと言われて、普通学級への入学を拒否されたことがあるのです。それは結局ケアできる人がいないとか、ケアする方法がわからないとか、そういう学校側の事情で、不安などを感じてそういう対応をしたのかもしれません。私の場合は本当に4月が始まるぎりぎりまで親が交渉して普通学級に通うことができたわけですけれども、もちろん養護学校が劣っているとかそういうことではなくて、社会の一員として一般の子供たちの中で義務教育を受けられるということは、本人にとっても周りのお子さんたちにとっても非常に大切なことなのではないかと思います。少しのケアがあることで学校に通うことができるお子さんがふえて、安心して学校生活を送ることができる体制を整えることは非常に大事なことだと思いますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
少し話を戻しまして、先ほどの介護保険との関係で、先ほど松本純一委員が言ったような本来は訪問看護が週2回必要なのが週1回でいいと判断されているケアマネさんの実態というのは、データ上、顕在化しているのでしょうか。1つ質問です。
○田辺会長
医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
個別的にそういった事例の集計みたいなものはございませんけれども、一般的にケアマネジャーさんから見たときの医療と介護の連携の難しさ、主治医からごらんになったときの医療と介護の連携の難しさという、総論的なデータなりアンケートの集計はございます。特に今、ケアマネジャーさんは実際問題として、かなりの方々が福祉的バックグラウンドを持った方々なので、医療の専門職と同等の知識を持っておられるとは必ずしも限らないというのが前提としてあると思いますけれども、だからといって両者が必ずしも同じ土俵に立てないとは限りませんので、そういった工夫を現場では、実際問題としてはやっておられるだろうと思います。ただ、連携の難しさという点でアンケートをとられたときのデータとしては、医療に係る理解が得られにくいというのが主治医からの立場であり、ケアマネさんの立場からしますと、医師等の忙しさとか、さまざまな専門的なことの問題かもしれませんけれども、理解を得るのが難しいと双方がそう感じておられるというのは、総論としてはデータはございます。
○田辺会長
平川委員、お願いいたします。
○平川委員
そういう意味では、とりあえずは理解を深めることが最重要課題でありまして、ケアマネさんのケアプランが不的確で、それが訪問看護に関してより医療の側から多く対応すべきか、そうではないのかということについては、もうちょっと整理して考えていかないと介護保険の制度設計の枠組みが崩れてしまう危険性がありますので、整理をお願いできればと思います。
○田辺会長
ほか、いかがでございましょう。
菊池専門委員、お願いします。
○菊池専門委員
先ほどお話が出ておりましたけれども、例外的ではあるとはいえ、看護補助者の400回以上の同行加算だとか、PTのみの訪問で看護師がかかわっていないということについては、訪問看護ステーション側も姿勢を正す必要があるかと考えております。
もう一つ、別件ですけれども、53コマ目の先ほど発言しました専門研修を受けた看護師の同行訪問について、こちらにつきましては専門的な知識や技術、例えばストーマケアについてですが、同行訪問するのはもともと回数制限がついております。そして、これはそのときに行った患者さんや家族の方に対する質の高いケアを提供するということだけでなく、そこに同行している地域の訪問看護師にその知識や技術を伝授するということで、同行訪問しなくても、その人が力をつけて同じような質の高いケアをやれるようになるというような意味合いも含まれておりますので、そういう点を御理解いただければと思います。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件にかわかる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございますけれども、事務局から「その他」として資料が提出されております。事務局よりこの点に関して御説明のほうお願いいたします。
調査室長、お願いいたします。
○矢田貝保険医療企画調査室長
調査室長でございます。
お手元の資料総-6-1、総-6-2でございます。この資料は毎年定期的に御報告させていただいているものでございまして、6-1が主な施設基準の届け出状況などにつきまして、平成28年7月1日までの3カ年分を整理したもの。また、6-2が選定療養に関するものにつきまして、同じく4年分を整理したものでございます。今後の審議の際に御活用していただければということで、お手元に配付する形で御報告させていただければと思います。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの御説明に関して、何か御質問等はございますか。よろしゅうございますか。
では、本件にかかわる質疑はこのあたりとしたいと存じます。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会はこれにて閉会といたします。
どうも御参集ありがとうございました。
 

 

 

 

 

(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第370回議事録(2017年11月15日)

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