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2018年3月7日 中央社会保険医療協議会 総会 第390回議事録

○日時

平成30年3月7日(水)9:59~10:47

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟 2階)

○出席者

田辺国昭会長 野口晴子委員 荒井耕委員 関ふ佐子委員 中村洋委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 猪口雄二委員 島弘志委員 遠藤秀樹委員 
安部好弘委員
菊池令子専門委員 横地常弘専門委員 丹沢秀樹専門委員
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○医薬品の薬価収載について
○DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について
○DPC対象病院同士の合併・分割について
○先進医療会議の検討結果報告について
○震災特例について

○議事 

 

○田辺会長
定刻より少し前ではございますけれども、皆さんおそろいのようでございますので、ただいまより、第390回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
まず、委員の出席状況について御報告いたします。
本日は、松原委員、榊原委員、岩田専門委員が御欠席でございます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○田辺会長
それでは、早速でございますけれども、議事に入らせていただきます。
初めに「医薬品の薬価収載について」を議題といたします。
本日は、薬価算定組織の秋下委員長にお越しいただいております。秋下委員長より御説明をお願いいたします。
では、よろしくお願いいたします。
○秋下委員長
おはようございます。薬価算定組織の委員長の秋下です。私から、今回検討いたしました新医薬品の算定結果について報告いたします。資料は中医協総-1をごらんください。
今回の報告品目は、資料1ページの一覧表にありますとおり、1成分2品目です。
それでは、算定内容について御説明いたします。資料の2~3ページ目をごらんください。ゾフルーザ錠でございます。
本剤はA型またはB型インフルエンザウイルス感染症を効能・効果とする内用薬であり、効能・効果、投与回数が類似するイナビル吸入粉末剤を最類似薬とした類似薬効比較方式(1)により算定しました。
3ページ目の下のほうをごらんいただくといいと思いますが、本剤はキャップ依存性エンドヌクレアーゼを阻害することにより、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する新規の作用機序を有し、臨床試験において、ウイルス排出期間の短縮が認められたこと等を踏まえ、有用性加算(2)の5%加算の評価が適当と判断しました。
また、本剤は先駆け審査指定制度の対象品目として指定されていることから先駆け審査指定制度加算に該当し、10%の加算を適用することが適当と判断しました。
その結果、本剤の算定薬価は10mg1錠が1,507円50銭、20mg1錠が2,394円50銭となりました。
以上です。
○田辺会長
ありがとうございました。
事務局から補足がございましたら、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
特にございません。
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
比較薬にイナビルが挙がっておりますけれども、このイナビルにも有用性加算はついていたのでしょうか。
○田辺会長
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
お答えします。
有用性加算はついておりまして、当時で10%という形でついております。
○田辺会長
松本純一委員、どうぞ。
○松本純一委員
それで、今回の有用性加算というものは、そのときの有用性加算とは異なるという意味で新たな有用性加算と理解してよろしいのでしょうか。
○田辺会長
では、薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
はい。そのとおりでございまして、具体的に申し上げますと、イナビルのときは当時の比較薬が1日2回5日間という形であったのに対して、単回投与ということが評価されて10%という加算がついたということでありまして、今回につきましては、それに加えまして新規作用機序ということなのですけれども、説明にもありましたとおり、ウイルスの排出期間を明らかに短くしている。既存薬でウイルス排出期間の中央値が2~3日というところが本剤では1日ということで、明らかにウイルス排出期間が短くなるということで、家族への感染を抑制するとか、そういった効果も期待されるということでの加算と御理解いただければと思います。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
ほかはいかがでございましょう。
では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
ありがとうございます。
これは緊急収載ということなのですけれども、今、まだインフルエンザがはやっているということだとは思うのですが、その緊急度といいますか、そんなに緊急収載するほどの状況なのかどうなのかということ。あと、やはり副作用ですとか異常行動の度合いといいますか、そういうものがどういう状況なのかということ。それから、緊急収載で、外国でまだ売られていない、日本発の薬ということですから、やはり対策といいますか、緊急収載ということとも考えると、特別な対策をしているのかということをお聞きしたいのです。
○田辺会長
それでは、薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
まず、緊急収載の必要性という観点ですけれども、インフルエンザウイルス感染症につきましては、やはり季節性ということで、そういった季節性の中で治療の選択肢というものを提供するということについては、公衆衛生上の観点からも意義があるのだというふうに考えておりまして、そういった観点から緊急収載をしたいと考えております。これまでもラピアクタとかイナビルについても緊急収載をしてきた前例もあるということで、そういった並びで必要性は高いのではないかと考えているところであります。
あと、異常行動の御指摘をいただきました。これについては、そもそもタミフルの服用によって異常行動が発現するかどうかというところについても、まだ明確な結論は出ていないものと承知しております。本剤については、臨床試験では異常行動は認められていないということでありますけれども、添付文書においては重要な基本的注意というところの中で同様の注意が、タミフルやタミフル以外の治療薬と同様に注意喚起がなされることになっております。その内容につきましては、インフルエンザウイルス感染症発症時には治療薬の種類や使用の有無にかかわらず異常行動等の精神神経症状の発現した例が報告されているなど、そういった形での注意喚起は同様になされることとなっているということであります。
外国でも売られていないということで、何か特別な対策という話ですけれども、基本的には市販後に必要なデータを集めるということなどの安全対策はほかの医薬品と同様になされると考えていただければと思います。
○田辺会長
間宮委員、どうぞ。
○間宮委員
これは緊急収載ですけれども、季節性とかそういうものを勘案してということですが、そうなると、はやっている時期に何か合わせて出せば緊急収載されるみたいな、そういうことにつながってしまうのではないか。そのあたりはどうなっているのかなと思うのです。そのあたりはやはり収載の時期を考えて申請するということなのでしょうけれども、季節性だけで緊急に必要性が高いのだという判断は何か納得がいかない感じなのですが、そのあたりはどうなのでしょうか。
○田辺会長
では、薬剤管理官、お願いいたします。
○中山薬剤管理官
緊急収載につきましては、エイズの治療薬については定型的に緊急収載するということですけれども、インフルエンザ治療薬のような場合、その他の場合も例はありますが、その都度、その必要性について考慮した上でということで緊急収載の判断を行うということになろうかと思います。
今回のゾフルーザについては、もう一つ理由がありまして、この品目については先駆け審査指定制度というものに乗って、通常1年というふうに審査するところを6カ月で審査するという形で、審査のほうでも迅速に進めてきたところもありますので、そういったところも加味すれば、やはり季節性というところでできるだけ早く収載することも一つは必要ではないかということもあったことが一つ追加できることかと思います。
○田辺会長
では、間宮委員、どうぞ。
○間宮委員
薬害被害者の立場としては、世界に先駆けて日本発の薬ということなので、そのあたりはやはり慎重にやっていただきたいという、これはお願いであります。
それで、これは単回の薬なので、途中で薬をやめるとかということができない、そういう選択ができないものですので、ぜひそのあたり、注意していただきたいと思います。
以上です。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
次に「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。お手元の総-2で御説明させていただきます。
DPCにおける医薬品の対応につきまして、総-2の1つ目の○の段落でありますけれども、現行制度の運用でも現にやっておりますが、改定時あるいは期中に新規に薬価収載されるといった場合については、診断群分類点数表は実績に基づいて報酬設定をしておりますので、データがない場合でこういった一定の基準に該当するものについて出来高扱いをしているのが現行の扱いでございます。
今回、確認といいますか、こういう整理にさせていただきたいということが2つ目の○でありますけれども、御案内のとおり、平成30年度の改定では、一部の薬品につきまして費用対効果評価の試行導入の対象となった薬品がございます。そういった薬品は、ここに書いてございますが、通常のそれ以外の医薬品は、原則として薬価調査に基づく市場価格を反映させますので、その薬価調査を全体の報酬に反映させる対応で診断群分類点数表は設定しておりますけれども、そういった調査の枠外になってまいりますので、改めまして一定の配慮が必要になるということでございます。
そのため、1つ目の○で御紹介しましたような形と同じで、出来高算定にさせていただくのが適切ではないかということでありまして、該当する薬品は2つ目の○の下2行に書いてございますが、対象となった薬品と、それから、その類似薬効比較方式で保険収載されている医薬品、具体的にはこの下にリストとして掲げさせていただいておりますが、出来高算定とさせていただきたいということでございます。
以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
次に「DPC対象病院同士の合併・分割について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
続きまして、総-3、それから、総-3参考1、総-3参考2とございます。まず、総-3をごらんいただきたいと思います。
本件はDPC対象病院が合併あるいは分割を行う場合につきまして、どのような対応をするのかということで、これはかねてから「1.経緯」のところに書いてございますが、昨年6月14日の中医協におきまして、一定の手続については御相談をさせていただいて、幾つか宿題事項がございます。今回はそのことに関します御相談であります。
「2.具体的な対応」ということで記載がございます。まず(1)ですが、何を御検討いただきたいかということを整理しております。
まず1つ目で、DPC病院でございますので、医療機関別係数の設定が必要になりますということです。○が2つ書いてございますが、前回の審議をさせていただいたときに、これは既に整理させていただいているのですが、大きく分けますと合併と分割、それから、病床数が一定以上増減する場合と、3つのケース、3パターンについて考える必要がありまして、このうち、これは総-3参考2、これは抜粋でありますが、破線で囲ってございます。3つのパターンのうち、合併と分割は、この表にございますとおり、既に整理をさせていただいておりまして、宿題といいますか、残っている一定以上の増減の場合について取り扱いを整理することが必要であるというのが検討事項の1つ目であります。
2つ目でありますが、こういった一定の処理といいますか、審査の要否でありまして、これは背景としてありますのは、医療機関としては、まず都道府県の衛生サイド、医療法に基づく許認可が必要になりますので、その手続に入り、以降、速やかに医療保険に関する取り扱いという手順になっておりますが、ここの部分の審査のあり方とか手続の関係についての整理が求められているということでございます。
(2)以下、対応の考え方と具体的な御提案でありますが、まず「(2)対応の考え方」であります。
まず1点目、係数であります。○が2つ書いてございますが、宿題となっておりました、一定以上増減という場合であります。これは結論的に申し上げますと、分割の場合と同じような考え方で整理せざるを得ないのかなと。そこに書いてございますが、結局、一定以上の増減の場合に考慮するという趣旨は、診療の内容がどうなっていくのかというのが明らかでないため、個別に見る必要があります。それはまさに分割の場合と同じ考え方でございますので、係数設定の考え方については分割の場合と同様とさせていただくべきではないかという考え方であります。
2つ目の○に書いてございますのは、ちょっと補足的な話ですが、平成30年度の改定でこのDPC関連は係数全体を整理しておりますので、具体的に申し上げますと、調整係数の設定がなくなりますので、これは当たり前の話ですが、3つのケースについて、いずれにしても整理が要りますねという話であります。
2つ目の論点で、審査の関係であります。まず1つ目の○で、これは前回、既に御提案させていただいているわけでありますが、確認的な話として、合併の場合には既に活用している病床あるいは医療機能を統合いたしますので、基本的には係数の設定等も含めて一定の審査といいますか、定型的な取り扱いはできるということなので、個別審査は必要ないのではないかということであります。
2つ目の○で、分割、病床が一定以上増減。これは先ほど触れましたが、結局、その後、どういう医療機関の機能になるのかというのは個別に見ざるを得ないので、この部分については引き続き審査をすることが適当である。こういうことでございます。
「(3)対応方針(案)」でありますけれども(1)(2)と書いてございます。
(1)は、裏面に別紙という形で記載させていただいておりますが、先ほど申し上げましたとおり、合併、分割、それから、一定以上の増減、あわせて裏面の表の1.でありますけれども、こういう設定方法を改めて激変緩和のほうの新しい係数も含めて整理をさせていただいたらどうかということであります。
裏面の2.に書いてございます。少し細かい話ですけれども、分割の場合のデータの取り扱いにつきましては、分割の時期が改定の時期とぴったり合えば結構なのですが、途中で生じる場合もありますので、その場合のデータの活用についての考え方を整理させていただいております。
本文に戻っていただきまして、1ページ目の(3)の2つ目の論点で、これは先ほど申し上げましたとおり、一定程度、個別の審査は、分割、一定以上の病床増減については必要ですので、これにつきましては個別に審査をさせていただき、あわせて中医協に御報告させていただく。こういう形で整理をさせていただいたらどうかということでございます。
事務局からは以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
済みません。お考えはよくわかりましたけれども、この分割の場合というのは、確認させていただくと、複数の病院でそれぞれが増減があるということなのでしょうか。具体的に教えていただきたいのです。
○田辺会長
では、医療課長、お願いいたします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
これは正直申し上げまして、かなり現場の対応にさまざまな形態があろうと思いますけれども、例えば200床なり300床なりの病院が2つの医療機関、場合によっては3つということもあり得ると思いますが、200床のものが100床と50床、50床とか、50床と150床とか、それぞれ地域によって、地域医療構想等もございますので、機能に応じてということを考えておられるケースはままあります。そういった場合の取り扱いについて整理をさせていただいているということでございます。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
次に、報告事項でございますけれども「先進医療会議の検討結果報告について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
では、企画官、よろしくお願いいたします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
それでは、中医協資料総-4-1から御説明申し上げます。今回、3件ございます。よろしくお願いいたします。
まずは、総-4-1の1ページ目をごらんください。今回承認されました先進医療Bの技術は、整理番号118番「大腸癌治癒切除後アスピリン補助療法」でございます。本技術にかかる費用は表に記載のとおり、国立がん研究センター中央病院からの申請でございます。
技術の説明に移りたいと思います。技術の概要は9ページをごらんください。本技術はステージ3の治癒切除後大腸がん患者を対象としております。こうした患者様に対しまして、現在、再発抑制のためには術後抗がん剤治療が標準治療として実施されておりますが、今回の技術は術後補助化学療法に加えてバイアスピリンを3年間内服するか、プラセボを3年間内服することでバイアスピリン群がプラセボ群に対して3年時点無病生存割合が改善することを検証する技術でございます。
ロードマップについては10ページをごらんください。本試験をもとに学会要望、また、ガイドライン掲載をもとに公知申請を目指す予定とのことでございます。
なお、先進医療会議における評価でございますが、総合判定は「適」となってございます。
続きまして、本日2件目でございます。先進医療Aの技術で、整理番号327番「腹腔鏡下スリーブ状胃切除術および十二指腸空腸バイパス術」でございます。本技術は東北大学病院からの申請で、かかる費用は表に記載のとおりでございます。
技術の概要は5ページをごらんください。本技術でございますが、内科的治療抵抗性の糖尿病を合併するBMI35以上の重症肥満の方を対象としております。この患者様に対しまして、現在、外科治療としてはスリーブ状胃切除術が保険適用となっております。この資料の左側でございます。今回の技術は、スリーブ状胃切除術に加えて十二指腸空腸バイパス術を実施する技術でございます。
対象患者さんにつきまして少し詳細を、1ページお戻りいただきまして4ページをごらんいただきたいと思います。下半分の(対象患者)のところでございますが、ここにるる条件を記載しております。すなわち、BMI35以上の糖尿病患者さんのうち、インスリン分泌能の低下、また、罹病期間の長い方。こういった方を主な対象としております。
また(効果)の欄の下半分に書いてございますが、実施に当たりましては、医師、管理栄養士などを含む多職種による術前症例検討を必須といたしまして、この技術の実施に伴うリスクについて患者さんに十分な説明を行うということとしてございます。
最後にロードマップで、6ページ目をごらんください。本先進医療の結果をもとに保険収載を目指すということでございます。
続きまして、最後の3件目で、先進医療Bの技術でございます。整理番号119番「筋ジストロフィー心筋障害に対するTRPV2阻害薬内服療法」。費用等につきましては、表に記載のとおりでございます。
技術の概要は6ページ目をごらんください。本技術は筋ジストロフィーによる心不全患者を対象としております。この心筋障害の原因といたしまして、TRPV2というカルシウムチャネルが細胞変性に関与していることがわかっております。抗アレルギー薬であるトラニラストがTRPV2の阻害効果を示すことがわかり、先行臨床研究も実施いたしました。今回、この患者様に対しましてトラニラストを投与するという技術でございます。
ロードマップで、次の7ページ目をごらんください。本先進医療の結果をもとに治験を経て、薬事承認申請を目指すということでございます。
なお、先進医療会議における評価でございますが、総合判定は「適」となってございます。
説明は以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
御報告ということですけれども、懸念が若干ございますので、中医協委員として指摘をさせていただきます。
2つ目のスリーブバイパスのことなのですが、非常に侵襲の大きな手術で、余り安易に行えないということが当然必要になります。例えば、これは18歳から適用となっておりますが、人生100年時代と言われている中で、手術後80年、消化器障害を抱えながら生きていくことになるわけですので、その手術の実施に当たっては、その運用となる患者さんを慎重に選んだ上で、その副作用を患者にわかりやすく、十分に説明した上で行われることを求めます。
そこで質問なのですけれども、本邦において糖尿病に対して、このスリーブバイパスではなくて、スリーブ術を行った症例はどのぐらいあるのか。その結果、どうだったのか。その際の患者の条件はどのようなものであったのか。まず、この3点を教えていただきたいと思います。
○田辺会長
それでは、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
本邦で国内9施設の多施設共同のレジストリーのデータがございます。そちらにおきますと、スリーブ状の胃切除術は177例のレジストリーデータがございます。
こうした現在の保険適用の算定留意事項につきましては、6カ月以上の内科的治療で十分な効果が得られない重症肥満症の方、BMI35以上、また糖尿病、高血圧、または脂質異常症のうち1つ以上を合併しておりまして、それらの治療について5年以上の経験を有する常勤の医師が手術の必要性を認めるということでございます。
また先ほど、御質問の順番が変わってしまいましたが、その効果につきましては、一応、この体重減少率は約6割でございます。また、ヘモグロビンA1cの低下につきましては約8割の患者さんということでございます。
○田辺会長
では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
患者さんにとって、この手術が福音なのかどうかということも含めて、今、条件というものは聞きましたけれども、実際に行われた手術の、患者さんのいわゆる年齢の幅、性別等がわかればお教え願いたいと思います。
○田辺会長
では、企画官、よろしくお願いします。
○古元医療課企画官
まず年齢でございますが、中央値が45歳ということで、幅として信頼区間としてはプラスマイナス10歳といったところでございますので、おおむね35歳から55歳の患者さんということでございます。また、症例数につきましては、女性のほうが若干多いといった状況でございます。
○田辺会長
では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
恐らく先進医療会議で、その辺は詳しく検討されたと思いますので、ここはこれだけにしておきますけれども、最後に、このスリーブバイパス術を施行するに当たりまして、私はちょっと倫理的に問題があるのではないかなと思っていますので、院内で多職種で術前に会議するというふうに言われましたけれども、倫理委員会などを設置する用意はあるのでしょうか。
○田辺会長
では、企画官、よろしくお願いします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。御説明が不十分でございました。
今回、審査に当たりまして、やはり倫理審査の委員会をきっちり開催することという御指摘もございまして、そういった体制で行うというふうに伺っております。
○田辺会長
では、松本純一委員、お願いいたします。
○松本純一委員
ごめんなさい。私が見落としたのですか。何か書いてございましたか。
○田辺会長
では、企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
本日の報告資料にはそこまで詳細な記載はございませんでしたが、先進医療会議のほうで、公開の資料の中でそのように記載してございます。説明が不十分で、申しわけございませんでした。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
では、今村委員、お願いいたします。
○今村委員
今、松本純一委員の御指摘に関して、ちょっと補足の質問を差し上げます。
この総-4-2の2ページと3ページにそれぞれの評価者の方たちの評価が書かれていますが、どちらの先生も安全性については「問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり)」につけられていて、これは先行研究の中でそのようなデータがあったので、こういう記載になっているのでしょうか。それとも、何か根拠があって、こういうふうに、その会議の中でどのような御意見があったか、教えていただければと思います。
○田辺会長
では、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
ありがとうございます。
通常のスリーブ状胃切除術に比べまして、十二指腸空腸バイパス術をあわせて行うことによりまして、合併症が若干増加するといったことはございます。そうしたことを背景に、やはりきっちり安全性を担保すべきであるという議論がございました。そうした結果、対象患者さんを可能な限り限定をしますとか、あとは多職種による術前の症例検討を必要とするなどのガイドラインにしっかり従ってやるといった基準を今回厳格に適用したということでございます。
○今村委員
先ほど百二十数例ですか。既に実施された中でそういった手術に伴う急性期の合併症があったということはなかったということでよろしいのですか。
あと、これは長期的ないわゆる消化器症状等の合併症ということを言っているわけではないという理解でいいのでしょうか。
○田辺会長
では、企画官、よろしくお願いします。
○古元医療課企画官
手術に伴います合併症につきましては、スリーブ状の通常の胃切除術について8.5%、または十二指腸空腸バイパス術をあわせて行った場合に9.7%ということで、やはり若干の合併症の率が高かったということでございます。
○今村委員
合併症の軽重というものは多分あって、軽症のものについて回復が可能なものも含んでの割合だとは思いますけれども、やはり相当リスクがあるということは間違いないと思います。先ほど松本純一委員からも御指摘あったように、非常に若い方たちが対象になり得るということなので、相当にこれは患者さんに対する同意のとり方についても丁寧に御説明をいただかなければいけないなと思っています。
また、いわゆる従来、保険適用を認められている胃切除術が6カ月以上の内科的な治療抵抗ということですけれども、これはさらにリスクが高くなる。それで、将来的ないろんなさまざまな合併症が起こり得るのに、6カ月という期間で本当にいいのかどうかということがちょっと私は疑念があります。
ここに書かれている内科的治療抵抗性というものの中身が何を言っているのかというのもあるのですけれども、インシュリンを打っていない方についてもこれは対象になるわけで、通常考えると、やはりいろんな内服薬や運動指導、食事制限等をして、さらにインシュリンも注射をするということがあった後に、やはりそれでも改善しないということが内科的な治療抵抗性というイメージなのです。
これはインシュリンを導入する前にも既に重症な肥満があればこういう手術をするという適用になっていると思うのですが、その辺は内科的治療抵抗性というものはどういうことを言っているのかという具体的なことについて教えていただければと思います。
○田辺会長
では、企画官、よろしくお願いします。
○古元医療課企画官
患者さんの状態、症例などによって内科的治療の内容というものは本当にさまざまあると思いますけれども、今回はこちらの資料の一番最後に記載してございます。6ページのロードマップの枠の中に記載してございますとおり、ABCDスコアというものをとりまして、糖尿病の罹患期間が長くて、さらにインシュリンの分泌能が低下している方に限って、ただ、そういった方の中でも、やはりこの手術が必要だという方が複数の医療従事者によって検討された上でということで御理解いただければと思います。
○今村委員
これは組み合わせなので、ABCDスコアというものはいろんな組み合わせがあると思うのですけれども、基本的に罹病期間が長いことが一つの大きな要素ということになると、先ほどのように18歳という年齢を対象にすること自体が少しどうなのかなと思います。
繰り返しになりますけれども、これは本当にリスクの高いもので、一度、手術をしたら簡単にもとに戻せないという状況になるので、これは保険収載ということを考えて、軽々にその症例をふやそうということにならないように、相当慎重に実施していただきたいというのがお願いです。
○田辺会長
ほかはいかがでございましょう。
では、間宮委員、お願いいたします。
○間宮委員
今の同じスリーブバイパス術のことなのですけれども、これは内科的治療抵抗性となっていますけれども、カウンセリングとかそういうものも含めて内科的治療ということになっているのですか。もしカウンセリングとか、そういうものも含めてであるということであれば、6カ月という時間が非常に短いのかなということと、やはり年齢の問題、若年層にこういう手術を受けさせるのは余り推奨されるようなものではないのかなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○田辺会長
では、企画官、よろしくお願いします。
○古元医療課企画官
内科的治療の中には薬物療法だけではなく、やはりさまざまな指導も含めて、そういった診察を含めたやりとり。そういったものも当然、まず1点目は含まれてまいります。
また、年齢につきましては、この6ページにABCDスコアがございます。これが5点以下の方が対象になるということなのですけれども、BMIが35点以上という段階で、このスコアがそこで2点で、さらに40歳を下回るということで1点ということで、相当、その時点でスコアが重なってまいりますので、実質的にはある程度の年齢の行かれた方で糖尿病の罹患期間の長い方が対象になってくるというふうには考えてございます。
そういった意味で、適応症がむやみに広がらないようにという基準と御理解いただければと思います。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
ほかはいかがでございましょう。
では、松本吉郎委員、お願いいたします。
○松本吉郎委員
3例目のTRPV2阻害薬についてなのですけれども、トラニラストそのものは重大な副作用が少ないという面ではいいのかもしれませんが、このパイロットスタディーの2例という例数については、大体どんなふうな考えになっているのでしょうか。複数例あればいいのか、それとも物によって必要とする例数は違ってくるのか。その辺をまずお聞きしたいと思います。
○田辺会長
では、企画官、お願いいたします。
○古元医療課企画官
先進医療におきましては数例といった規定がございます。こういった非常に頻度の少ない疾患ということもございまして、今回は2例ということで認められたと御理解いただければと思います。
○田辺会長
では、松本吉郎委員、お願いします。
○松本吉郎委員
それは了解しましたけれども、質問としては、このトラニラストですが、これはTRPV2に対してかなり特異的に作用するのかということと「BNPの低下が認められた」と書いてありますが、どの程度低下されたのかがデータにないですね。それから、6ページ目の阻害の効果というものがグラフで示されていますけれども、これはこの2例の結果ということなのでしょうか。その3点について教えていただきたいと思います。
○田辺会長
では、企画官、よろしくお願いいたします。
○古元医療課企画官
TRPV2に対する阻害効果というものは認められたということで今回でございますが、それ以外の例えばさまざま、レセプター等への影響がないかと言われれば、そこがないといったところまでの知見ではないと認識しております。
続きまして、BNPの低下につきましては、1つの症例につきましては140を超えていたというものが正常化したということ。あと、2例目はBNPが約200程度であったものが100を下回っている。こういった状況でございます。
済みません。3点目の御質問をもう一度お願いできますか。
○松本吉郎委員
6ページ目のTRPV2阻害の効果というものは、下段のグラフは、このパイロットスタディーの2例の結果ということなのでしょうか。それとも、ほかの実験によるものなのでしょうか。
○田辺会長
では、企画官、お願いします。
○古元医療課企画官
こちらは2例というものではございませんで、基礎的な実験ということでございます。
○田辺会長
よろしゅうございますか。
ほかはいかがでございましょう。よろしゅうございますでしょうか。
では、ほかに御質問もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。
次に「被災地における特例措置について」を議題といたします。
事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
では、医療課長、よろしくお願いします。
○迫井医療課長
医療課長でございます。
総-5-1、総-5-2、それぞれ東日本大震災、熊本地震に係る被災地特例の関係で御審議をお願いしたいと思っております。被災地特例措置に関しまして、これは御案内のとおり、半年ごとに状況を御報告して、継続をお諮りしてきております。
まず、東日本大震災関係で、総-5-1であります。
全体状況を1枚目にまとめてございますが、本年1月の時点で4つの保険医療機関が活用しているということであります。内訳は3件書いてございますけれども、岩手につきましては1つ減少いたしまして、宮城、福島につきましては変わらずということでございます。
具体的に活用しております特例措置、医科、歯科とございますけれども、仮設の建物による診療、それから、定数超過入院といったものでございます。
おめくりいただきまして、それ以外の特例措置の状況をその3、その4、その5に書いてございます。これは説明を省略させていただきます。
今回、東日本大震災関係で特例措置を継続していくということを御審議いただくに当たりまして、今後どういう見通しなのかということを現地にお聞きいたしております。それがその6、その7に記載させていただいております。
大きく分けますと、震災でございますので、物理的な診療体制あるいは建物につきまして、損傷を受けている、あるいは再建をしているというのが幾つかございます。当然、そういったものにつきましては時間が一定程度かかるわけでありますが、例えばその6で、これは完成までに時間がかかるという意味で被災地特例の継続はしてまいりましたが、一定程度時間をかけますと解消できるということでございます。
一方で、その6からその7で、これは受入体制が必ずしも十分できていないために、いってみれば特例措置の解消がなかなか難しいという状況があるのも否めない事実であります。
まず東日本大震災については、8コマ目でありますけれども、対応方針で、このような状況を踏まえて、どのように考えていただきたいかということでありますが【対応案】のところが四角囲みにございます。
まず、数字的な話は今、御説明しましたが、1つ目の○ですけれども、医療機関が1つ減少いたしまして、現在活用しておりますのは4施設となってございます。
今後の解消時期のめどについて調査いたしました結果が2つ目の○で、ポツが3つありますが、平成31年3月末目途で2医療機関、平成32年3月末目途で1医療機関、そしてめどが立たないというのが1医療機関あるということでございます。
これは先ほども御説明しましたが、新しい診療所が開設できる見込みであるとか、あるいは連携して医療機関が取り組んでいて解消していけるというものもある一方で、特に精神科の医療機関につきましては全体的な体制といいますか、地域の体制が正常化していないこともあり、なかなか転院先が見つからないという事情もあるということでございます。
こういった状況を踏まえて、3つ目の○で、半年ごとのこういった状況報告は引き続きさせていただきたいと考えておりますが、特例措置につきましては半年刻みというよりも、ある程度の期間の取り組みが必要かなと考えますので、基本的には特例措置の継続は1年単位とさせていただいたらどうかということでございます。
それから、平成32年3月末を目途でめどが立てられないとした医療機関について、平成31年3月末の目標については、基本的には一定の期間ごとに解消に向けた取り組みを促すということをさせていただきつつ、今、お話をしましたとおり、半年ごとに状況は把握するけれども、措置自体は1年単位で継続をさせていただいたらどうかということでございます。
最後の○のなお書きでありますが、これは当然の話でありますけれども、施設基準等を満たさなくなった場合の利用を原則とするとか、これまで大原則として特例措置を認めてきたことについては継続して対応させていただきたいということでございます。
これが東日本大震災でございます。
それから、総-5-2でありますが、熊本地震の対応であります。同じような形で現地の特例措置の利用状況、それから、めどにつきまして調査をさせていただいております。
その1で、利用状況でありますけれども、件数につきましては大きく変わっておりませんで、利用されております特例措置は仮設の建物、病棟以外への入院、それから、他病棟への入院。こういった状況でございます。
同様に、今後の対応についての見通しについてお聞きしております。これはその4でありますけれども、やはり地震、震災でございますので、物理的なダメージ、最近着手しているが、一定程度時間がかかりますというのがかなりの部分を占めております。聴取したところ、一定の時期で解消できる見込みであるというのがほとんどでございます。
こういったことを踏まえまして、同様に5コマ目に対応をまとめさせていただいておりますが【対応案】の2つ目の○でありますけれども、時期に若干違いはありますが、基本的には平成31年3月末を目途に解消できるということが全体状況でございますので、先ほどと同様に、半年ごとに御報告はさせていただきつつ、1年間の継続をさせていただいたらどうかということでございます。
事務局からは以上でございます。
○田辺会長
ありがとうございました。
ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
よろしゅうございますでしょうか。
では、御質問等もないようでございますので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○田辺会長
ありがとうございました。
それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと存じます。
本日の議題は以上でございます。
なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。御参集、どうもありがとうございました。
 

 

 

 

 

(了)
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