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支援費制度Q&A集

1.制度の趣旨、概要

(問1)支援費制度導入の趣旨如何。
(問2)支援費の支給を受けるにはどのような手続を行えばよいのか。
(問3)措置制度から支援費制度へ変更されることにより、重度の障害者などが施設から忌避されることはないのか。
(問4)支援費制度実施に向けてサービス提供体制の整備をどう進めるのか。
(問5)利用者が選択できるよう、利用者に対する情報提供をどのように進めていくのか。
(問6)支援費制度の対象となるサービス如何。小規模通所授産施設はどのように取り扱われるのか。また、手話通訳事業など現在予算措置によって実施されている事業はどうなるのか。

2.支援費の支給決定について

(問7)支援費支給決定の手続、方法はどのようなものを想定しているのか。介護認定審査会のようなものを設置するのか。
(問8)支援費支給はどのような基準に基づいて決定するのか。決定に当たっての客観的な基準は示されるのか。
(問9)支援費支給決定におけるケースワーカーの役割如何。現在、ケースワーカーが行っている業務はどのように整理されるのか。
(問10)支援費支給決定は、申請のあった種類のサービスや施設についての要否のみを決定することとなるのか。本来であれば、更生施設に入所することが適当な者から授産施設に係る支援費支給申請がなされた場合には、どのように判断するのか。申請時点で申請区分を変更するよう指導する必要があるのか。
(問11)障害程度区分は何段階程度か。
(問12)障害程度区分は何をベースとして判定されるか。身障手帳や療育手帳の等級との関係如何。
(問13)支援費支給決定時に決定する支給期間はどの程度か。
(問14)今まで受けていたサービスが低下するようなことはないのか。
(問15)支援費の支給決定について不服がある場合にはどうすればよいのか。

3.支援費の内容について

(問16)支援費の水準はどの程度になるのか。
(問17)施設種別、サービス種別によって異なった額となるのか。
(問18)重度障害者への対応如何。従来の重度加算はどうなるのか。
(問19)施設の入所期間が長くなると支援費は下がるのか。
(問20)支援費の額は施設所在地に関わりなく一律か(級地区分の取扱い如何。)。
(問21)支援費の額は定員の多寡に関わりなく一律か(小規模加算の取扱い如何。)。
(問22)支援費の基準は民間事業者、公立事業者に関わりなく一律か。

4.利用者負担について

(問23)利用者負担が増えることはないのか。障害者が施設に対して支払う利用料の金額、階層区分は、現行の徴収基準額と比較してどのようになるのか。
(問24)市町村により利用者負担の水準が異なることはあるのか。
(問25)支援費支給決定を受けずに、全額自己負担により、支援費支給の対象となる施設サービスを受けることは可能か。

5.代理受領について

(問26)支援費の支払いについて、なぜ、利用者本人を通じての支払ではなく、施設・事業者の代理受領としたのか。
(問27)基準該当サービスの提供に対して市町村から支給される特例居宅生活支援費については、代理受領が認められるのか。

6.支援費支給制度とケアマネジメントとの関係について

(問28)障害者のケアマネジメントの実施主体如何(福祉事務所、市町村障害者生活支援事業の実施機関などが行うのか。)。
(問29)障害者ケアマネジメント推進事業で養成したケアマネジャーの位置づけ如何。

7.事業者指定について

(問30)現行の施設の最低基準と新たに設定する指定基準との関係如何。
(問31)事業者、施設がサービスの提供を拒否できる「正当な理由」としてどのよう なものを想定しているのか。
(問32)契約により提供されているサービスについて、利用者負担を支払わないことは、施設がサービスの提供を拒否できる正当な理由に当たるのか。
(問33)訪問介護事業者の指定要件は、高齢者対象のヘルパー研修受講済みの者でよいのか、障害者ヘルパー研修受講が要件となるのか。
(問34)支援費制度における政令指定都市の役割如何。事業者指定は政令指定都市も行うのか

8.措置制度について

(問35)措置の対象となる「やむを得ない事由」のケース如何。

9.契約について

(問36)契約の当事者としての能力を誰がどのようにどの程度まで認めるのか。
(問37)成年後見を要する場合、成年後見人の選任まで時間がかかるため、選任され るまでの間は措置の対象たる「やむを得ない事由」に該当するのか。
10.準備作業について
(問38)支援費制度における市町村、県福祉事務所、県本庁、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所の役割如何。
(問39)現在施設に入所している障害者については、15年度以降、支援費の支払い はどこの市町村が行うのか。
(問40)今後の法令改正、基準、通知などのスケジュール如何。


平成13年3月6日
厚生労働省社会・援護局
障害保健福祉部

支援費制度Q&A集

 支援費制度に関し、以下の通り、各方面から寄せられた主な御質問とそれらに対する現時点での考え方をまとめたので、業務のご参考にされたい。

1.制度の趣旨、概要

(問1)支援費制度導入の趣旨如何。

 支援費制度は、ノーマライゼーションの理念を実現するため、これまで、行政が「行政処分」として障害者サービスを決定してきた「措置制度」を改め、障害者がサービスを選択し、サービスの利用者とサービスを提供する施設・事業者とが対等の関係に立って、契約に基づきサービスを利用するという新たな制度(「支援費制度」)とするものである。
 支援費制度の下では、障害者がサービスを選択することができ、障害者の自己決定が尊重されるとともに、利用者と施設・事業者が直接かつ対等の関係に立つことにより、利用者本位のサービスが提供されるようになることが期待される。

(問2)支援費の支給を受けるにはどのような手続を行えばよいのか。

 まず、障害者は、自ら希望するサービスについて、指定事業者・施設の中から利用したい施設・事業者を選択し、直接に利用の申し込みを行うとともに、市町村に対して、利用するサービスの種類ごとに支援費支給の申請を行う。
 市町村による支援費支給の決定がなされると、当該障害者に受給者証が交付され、当該障害者は、施設・事業者と直接に契約により、サービスを利用するとともに利用者負担を支払う。なお、利用者負担は、支援費支給決定時に決定される。
 なお、施設・事業者は、サービスを提供したときは、利用者に代わって市町村に対し支援費の支払いを請求し、審査の後、支援費を代理受領することになる。

(問3)措置制度から支援費制度へ変更されることにより、重度の障害者などが施設から忌避されることはないのか。

 支援費制度においては、重度の障害者などが施設・事業者から忌避されることがないよう、以下の措置を講じている。

(1)市町村による利用の調整等
 市町村は、障害者から求めがあったときは、施設・事業の利用についてあっせん又は調整を行うとともに、必要に応じて施設・事業者に対して利用の要請を行うこととしている。また、施設・事業者は、市町村からの要請に対し、できる限り協力しなければならないこととしている。
(2)施設・事業者の応諾義務
 施設・事業者の指定基準において、正当な理由がない限り、利用の申し込みを拒否してはならない旨の規定を設けることとしている。
(3)支援費の設定
 厚生労働大臣が施設訓練等支援費の基準を決定する際、障害程度区分に応じて支援費の額を設定することとしている。

(問4)支援費制度実施に向けてサービス提供体制の整備をどう進めるのか。

 障害者福祉サービスの提供体制の整備については、現在、障害者プランに基づき、着実に進めているところであり、市町村障害者計画の策定も促進しながら、支援費制度の実施に向けて、障害者プランが達成されるよう、全力を挙げてまいりたい。
 障害者プランの達成のためには、市町村において障害者計画が策定されることが重要であり、障害者計画を策定していない市町村におかれては、速やかに策定していただくとともに、都道府県におかれては、未策定市町村に対する強力な御支援をお願いする。

(問5)利用者が選択できるよう、利用者に対する情報提供をどのように進めていくのか。

 今回の法改正において、社会福祉法に、利用者が必要な情報を容易に得られるよう、社会福祉事業の経営者及び国、地方公共団体に対し、情報の提供等に関する規定が置かれた。
 この規定の趣旨に基づき、都道府県、市町村におかれては、利用者に対する情報提供に積極的に努めるとともに、障害者に対する相談支援事業を一層推進していただくようお願いする。国としても、利用者への情報提供を積極的に行っていくこととしている。
 また、事業者は、事業の透明性を確保するとともに、サービスを利用しようとする者に対する情報提供、利用申し込み時におけるサービス内容等の説明、利用契約の成立時における重要事項を記載した書面の交付を行わなければならないこととされている。

(問6)支援費制度の対象となるサービス如何。小規模通所授産施設はどのように取り扱われるのか。また、手話通訳事業など現在予算措置によって実施されている事業はどうなるのか。

 支援費制度の対象となるサービスは、身体障害者、知的障害者、障害児福祉サービスのうち、現在措置制度によってサービス提供がなされているものであり、具体的には、次の頁の表の通りである。
 従って、小規模通所授産施設でのサービスや手話通訳事業などを含め、措置以外の仕組みによって提供されるサービスは、支援費制度には移行しない。

  身体障害者福祉法 知的障害者福祉法 児童福祉法
(障害児関係のみ)











・身体障害者更生施設
・身体障害者療護施設
・身体障害者授産施設
(政令で定める施設に限る。)
・身体障害者居宅介護等事業
・身体障害者デイサービス事業
・身体障害者短期入所事業
・知的障害者更生施設
・知的障害者授産施設
(政令で定める施設に限る。)
・知的障害者通勤寮
・心身障害者福祉協会が設置する福祉施設
・知的障害者居宅介護等事業
・知的障害者デイサービスセンター
・知的障害者デイサービス事業
・知的障害者短期入所事業
・知的障害者地域生活援助事業
・児童居宅介護等事業
・児童デイサービス事業
・児童短期入所事業












・身体障害者福祉ホーム
・身体障害者相談支援事業
・身体障害者生活訓練等事業
・手話通訳事業
・補装具製作施設
・盲導犬訓練施設
・視聴覚障害者情報提供施設
・身体障害者の更生相談に応じる事業
・日常生活用具給付事業
・補装具給付事業
・更生医療・育成医療
・知的障害者福祉ホーム
・知的障害者相談支援事業
・知的障害者の更生相談に応じる事業
・日常生活用具給付事業
・知的障害児施設
・知的障害児通園施設
・盲ろうあ児施設
・肢体不自由児施設
・重症心身障害児施設
・障害児相談支援事業
・児童の福祉の増進について相談に応じる事業
・日常生活用具給付事業

2.支援費の支給決定について

(問7)支援費支給決定の手続、方法はどのようなものを想定しているのか。
 介護認定審査会のようなものを設置するのか。

 支援費の支給決定については、利用者からの申請に基づき、市町村において、厚生労働省令で定める事項を勘案の上、居宅生活支援費の支給の場合は支給期間と支給量、施設訓練等支援費の場合は支給期間と障害程度区分を定めることとなるが、その具体的な手続については、支給決定が円滑に行われるような仕組みとすべく、十分な検討を行ってまいりたい。
 なお、介護認定審査会は、介護保険の被保険者が要介護状態に該当することの審査及び判定等を行うため新たに設置されたものであるが、支援費の支給決定のために新たな審査・判定機関を設けることは現段階では想定していない。
 専門的な判定等については更生相談所が行うことを基本に、詳細について今後検討してまいりたい。

(問8)支援費支給はどのような基準に基づいて決定するのか。決定に当たっての客観的な基準は示されるのか。

 市町村は、支援費の支給の決定を行うに際し、居宅生活支援費の支給の場合は支給期間と支給量、施設訓練等支援費の場合は支給期間と障害程度区分を定めなければならないが、支給の要否を決定するに当たって勘案いただく事項は厚生労働省令で定めることとされている。
 障害者に対するサービスの提供は、当該障害者の障害の程度や家族の状況等を総合的に勘案して決定されていることから、支給すべきサービス量等を一義的にに導き出せるような基準を提示するのではなく、支給決定に当たっての勘案事項を適切に定め、市町村における総合的な判断に資するものとなるよう、検討を進めてまいりたい。

(問9)支援費支給決定におけるケースワーカーの役割如何。現在、ケースワーカーが行っている業務はどのように整理されるのか。

 支援費支給決定に当たっては、市町村は、申請者の障害の種類・程度や介護を行う者の状況等を勘案して、支援費支給の要否を決定するとともに、居宅生活支援の場合には支給量と支給期間を、施設訓練等支援の場合には障害程度区分と支給期間を定めることとされている。また、市町村は、障害者からの求めに応じ、福祉サービスの利用についてのあっせん、調整又は要請を行うものとされている。これらは、従来福祉事務所等の障害者福祉担当職員が行ってきた、障害者の個々の状況に応じて公的な支援の範囲を確定するという業務について、障害者本人の選択を基本として行うものである。

(問10)支援費支給決定は、申請のあった種類のサービスや施設についての要否のみを決定することとなるのか。本来であれば、更生施設に入所することが適当な者から授産施設に係る支援費支給申請がなされた場合には、どのように判断するのか。申請時点で申請区分を変更するよう指導する必要があるのか。

 市町村と障害者との間で、必要とされる公的なサービスの種類について、障害者本人の希望を尊重しながら十分に話し合われることが重要である。支援費支給申請については、このような話し合いを経た上で行われることが望ましい。
 このような話し合いを経ても、市町村が適当と判断するものと異なるサービスについて支給申請が行われた場合には、市町村において、申請された種類のサービスについて支援費を支給することの要否を決定することになる。

(問11)障害程度区分は何段階程度か。

 障害程度区分については、施設訓練等支援費の額自体がその区分如何により変わることとなる。区分は簡素で合理的なものとする考えであるが、重度の障害のある者が敬遠されることのないよう、適切なものとすべく、検討を進めてまいりたい。

(問12)障害程度区分は何をベースとして判定されるか。身障手帳や療育手帳の等級との関係如何。

 障害程度区分は、機能障害のみに着目したものではなく、日常生活上の能力障害も加味した上で判定される趣旨のものであることに鑑み、身障手帳の等級や療育手帳の障害の程度と関連させて考えることが適切かどうかを含め、重度の障害がある者が敬遠されることのないよう、適切な区分の仕方について十分に検討してまいりたい。

(問13)支援費支給決定時に決定する支給期間はどの程度か。

 支援費を支給する期間については、障害の程度や介護者の状況等に変化(*)があることもあり、障害者の状況を的確に把握していく観点からは、あまりに長い期間とすることは適切でないため、省令において定める期間を超えてはならないこととされている。省令において定める期間については、その趣旨を踏まえ、今後検討してまいりたい。なお、支給期間の終了に際しては、改めて支援費の支給決定を受けることにより継続してサービスを受けることは可能である。

*変化の例
  • 自立のための能力が高まり、施設入所から地域での生活に移行することが可能となる場合
  • 更生施設におけるリハビリテーションにより障害が軽減され、授産施設において授産訓練を受けることが適当になる場合

 なお、支援費の受給期間中においても、障害の程度が変化すること等も考えられることから、居宅生活支援にあっては支給量について、施設訓練等支援にあっては障害程度区分について、変更の必要がある場合には、本人の申請又は市町村の職権により、変更の決定を行うことができることとしている。

(問14)今まで受けていたサービスが低下するようなことはないのか。

 支援費の対象となるサービスの量については、現行の措置制度と基本的には同様に、市町村において決定いただくものであり、基本的に、支援費制度の導入がサービスの量の低下を招くことはないものと考えている。なお、サービスの質については、利用者が事業者・施設を直接選択できることとすることにより、より利用者本位のサービスが提供されるようになるものと考えている。

(問15)支援費の支給決定について不服がある場合にはどうすればよいのか。

 支援費の支給決定内容に不服がある場合には、行政不服審査法に基づき、支援費の支給決定を行った市町村に対し、支給決定を知った日の翌日から60日以内に異議申し立てを行うことができる。なお、支援費の支給決定にあっては、上級行政庁はないので、都道府県や国への審査請求や再審査請求はできない。
 なお、市町村におかれては、支援費制度の実施に当たっては、制度の仕組みについて、障害者に対する十分な情報提供等に努めていただくようお願いする。

3.支援費の内容について

(問16)支援費の水準はどの程度になるのか。

 支援費は、厚生労働大臣が定める基準を下回らない範囲で市町村長が定める基準により算定した額とされているが、厚生労働大臣の定める基準は、当該サービスに通常要する費用という基本的な考え方に基づき、今後、適切な額を定めてまいりたい。
 なお、公費助成の水準は、現行の水準を後退させないこととしている。

(問17)施設種別、サービス種別によって異なった額となるのか。

 支援費の趣旨から、施設やサービスの種類ごとに異なった額となる。

(問18)重度障害者への対応如何。従来の重度加算はどうなるのか。

 施設サービスについては、障害程度区分を支援費の額に反映させることにより、重度障害者が適切なサービスを受けられるようにすることとしている。
 したがって、従来の重度加算は、支援費の中に織り込むこととなる。
 重度身体障害者更生援護施設及び重度身体障害者授産施設については、施設類型としては廃止の方向で検討中である。

(問19)施設の入所期間が長くなると支援費は下がるのか。

 施設の入所期間の長さに応じて、一律に支援費の水準を低下させていくような仕組みは考えていない。
 しかしながら、地域生活への移行が可能な者が長期間にわたって施設に入所している場合等もあるものと考えられ、施設が入所者の地域生活への移行に積極的に取り組むことを促す仕組みも重要であると考えている。このため、支援費基準の検討に当たっては、今後、入所期間との関係を含め、入所者の現状を踏まえた検討を行っていくこととしている。

(問20)支援費の額は施設所在地に関わりなく一律か(級地区分の取扱い如何。)。

 支援費は措置費と異なり、障害者に対して支給されるものであり、支援費に級地区分を織り込むことが制度の趣旨から適当であるかという問題はあるが、今後、地域による給与水準格差等の実態を踏まえて検討することとしたい。

(問21)支援費の額は定員の多寡に関わりなく一律か(小規模加算の取扱い如何。)。

 支援費は措置費と異なり、障害者に対し支給されるものであり、支援費に定員の多寡を織り込むことが制度の趣旨から適当であるかという問題はあるが、ノーマライゼーションの理念から、地域に密着した小規模施設の果たすべき役割は重要であると考えており、今後、検討することとしたい。

(問22)支援費の基準は民間事業者、公立事業者に関わりなく一律か。

 支援費の趣旨から、一律となるが、現在民間事業者に対して措置費の中に算定されている民間施設給与等改善費については、民間事業者の施設運営に不可欠なものであることから、どのような対応をすべきか、今後検討してまいりたい。

4.利用者負担について

(問23)利用者負担が増えることはないのか。障害者が施設に対して支払う利用料の金額、階層区分は、現行の徴収基準額と比較してどのようになるのか。

 新たな制度におけるサービス利用者等の費用負担については、厚生労働大臣が定めた基準を上回らない範囲内で、利用者本人又は扶養義務者の負担能力に応じて、市町村長がその基準を定めることとされている。
 厚生労働大臣の定める基準は、平成11年1月の障害関係3審議会分科会意見具申において示された考え方に沿って、今後検討することとしている。
 具体的には、現行の費用徴収基準等を軸に、

(1)所得に関わらず必要なときに必要なサービスを利用できるようにすること
(2)全体としてこれまでの公費負担の水準を維持すること
に留意しつつ、新しい利用制度への円滑な移行、障害者の所得の状況等を勘案し、現行の負担能力に応じた利用者負担という考え方に沿って、簡素で合理的なものとなるよう検討していくこととしている。

(問24)市町村により利用者負担の水準が異なることはあるのか。

 新たな制度におけるサービス利用者等の費用負担基準については、利用者本人又はその扶養義務者の負担能力に応じ、厚生労働大臣が定める基準を超えない範囲内で、市町村長が定めることとなっており、市町村により利用者負担の水準が異なることはありうる。

(問25)支援費支給決定を受けずに、全額自己負担により、支援費支給の対象となる施設サービスを受けることは可能か。

 支援費制度において、全額自己負担することにより施設サービスの利用が可能かどうかについては、支援費支給を受けていない者を受け入れていく施設が指定事業者としてふさわしいか等の問題があると考えているが、現行の措置外定員の取扱いなども踏まえて、検討することとしている。

5.代理受領について

(問26)支援費の支払いについて、なぜ、利用者本人を通じての支払ではなく、施設・事業者の代理受領としたのか。

 代理受領方式は、障害者本人がサービスの提供にかかる費用を一時的にせよ立て替える必要がなく、低所得の障害者にもサービスの円滑な利用を可能とするものである。
 また、この方式は、施設・事業者にとっても、利用者に代わって市町村から支援費を受け取ることとなり、サービスの提供に要した費用を確実に取得できるものであり、市町村にとっても、個人に支払うよりも事業者に一括して支払う方が効率的な事務執行につながる。
 このように、利用者、事業者、市町村それぞれの利便に資する方式であることから、代理受領方式をとることとしたものである。

(問27)基準該当サービスの提供に対して市町村から支給される特例居宅生活支援費については、代理受領が認められるのか。

 特例居宅生活支援費の対象となる事業者については、都道府県知事の指定が行われないため、支援費の対象となるサービスとして一定の基準を満たすことについて、市町村において個別に判断せざるを得ないことから、代理受領方式としなかったものである。
 特例居宅生活支援費は、地域の実情に応じたきめ細かなサービスを提供するため認めることとしたものであり、支援費の支給方式についても、サービスの円滑な利用を確保する観点から、運用上何らかの工夫ができないか、今後検討することとしている。

6.支援費支給制度とケアマネジメントとの関係について

(問28)障害者のケアマネジメントの実施主体如何(福祉事務所、市町村障害者生活支援事業の実施機関などが行うのか。)。

 ケアマネジメントは、支援費制度においては制度上位置づけられていないが、「利用者が自ら選択する」という制度の趣旨から、利用者がサービスを選択する際のサポートとして、非常に重要であり、具体的には、利用者がサービスの組み合わせを選択する際に、相談支援事業を活用し、ケアマネジメントの手法による支援を受けることが考えられる。
 また、市町村が支援費の支給決定を行う際、サービスの種類ごとに支給量や支給期間を決定することになるが、例えば、複数の種類の居宅サービスを希望される場合には、市町村において一定期間内におけるサービスの組み合わせも考慮いただくこととなり、その際には、ケアマネジメントの手法が有効と考えられる。

(問29)障害者ケアマネジメント推進事業で養成したケアマネジャーの位置づけ如何。

 支援費支給制度においては、ケアマネジャーの制度的な位置づけはなされていない。
 障害者ケアマネジメント体制整備推進事業で研修を受けた者については、市町村の支援費支給決定担当部局の職員であれば、支給決定においてケアマネジメントの考え方を活用していただくとともに、相談支援事業等を行う社会福祉法人等の職員であれば、研修等で得た知識を相談・指導に活用していただくことが考えられる。
 支援費支給決定は公的なサービスの決定を判断するものであるから、支給決定に従事する職員については、障害者ケアマネジメント体制整備推進事業で行う研修とは別に、独自の研修の実施を検討している。

7.事業者指定について

(問30)現行の施設の最低基準と新たに設定する指定基準との関係如何。

 施設に係る最低基準は、福祉サービスの利用者保護の観点から、設備・人員・運営の基準を定め、事業の適正運営を確保するためものである。これに対し、指定基準は、最低基準が遵守されていることを前提として、支援費という公費を支払うにふさわしい質のサービスを提供する施設・事業者を特定するためものである。指定基準においては、正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないことを始め、支援費制度が円滑に実施されるために事業者が遵守すべき事項についても盛り込むこととしている。

(問31)事業者、施設がサービスの提供を拒否できる「正当な理由」としてどのようなものを想定しているのか。

 サービスの提供を拒むことができる正当な理由としては、空き定員がない場合、医療機関における入院治療が必要な場合等が考えられる。

(問32)契約により提供されているサービスについて、利用者負担を支払わないことは、施設がサービスの提供を拒否できる正当な理由に当たるのか。

 そもそも、利用料負担は所得に応じたものとすることとしており、利用者は、利用料負担を無理なく支払えるものと考えている。
 契約に基づきサービスが提供されている場合に、どのような理由でサービスの提供を行わないこととしうるかは、指定基準に抵触するかどうかという問題ではなく、両者間の契約により規律される事項である。
 なお、契約期間が終了し、引き続き施設が利用できるよう改めて利用の申し込みが行われた場合には、指定基準の問題となるが、悪質な利用料滞納者の場合には、サービスの提供を拒む正当な理由になる場合があり得ると考えている。

(問33)訪問介護事業者の指定要件は、高齢者対象のヘルパー研修受講済みの者でよいのか、障害者ヘルパー研修受講が要件となるのか。

 支援費支給制度における居宅支援事業者の指定に当たっては、居宅介護サービスについて、一定の研修を終了した者により提供されることを要件とする方向で考えている。この一定の研修の具体的な範囲については今後検討することになるが、障害者施策として行われるもの以外のホームヘルパー研修であっても、必要な知識技能が習得されるようなものであれば、その範囲に含まれうるものと考えている。

(問34)支援費制度における政令指定都市の役割如何。事業者指定は政令指定都市も行うのか

 現在、施設の設置や居宅支援事業の開始に係る届出等及び事業・施設の運営に係る報告の徴収等、法律上都道府県が行うこととされている事務については、地方自治法施行令において、いずれも政令指定都市及び中核市も行うこととされている。支援費制度における事業者指定についても、こうした従来からの事務との一体的処理を図る観点から、政令指定都市及び中核市も行うこととする方向で考えており、今後必要な調整等を行うこととしたい。

8.措置制度について

(問35)措置の対象となる「やむを得ない事由」のケース如何。

 介護をしている者が急な死亡や入院などにより緊急にサービスを必要とするため支援費支給申請を行う暇がない場合、家族からの虐待等により本人からの申請が期待できない場合、などが考えられるが、制度の趣旨から、あくまでも例外的なケースに限られる。

9.契約について

(問36)契約の当事者としての能力を誰がどのようにどの程度まで認めるのか。

 契約を締結するだけの能力があるかどうかという問題は、利用者と事業者との間の問題であるが、実際の契約の場面においては、判断能力が不十分な者についても契約が円滑に結べるよう、利用者本人の意思を代弁する家族が支援したり、福祉サービス利用援助事業による支援を受けることが考えられる。また、家族等が代理人として契約を結ぶことも考えられる。
 さらに、本人や家族、親族の家庭裁判所への申し立てにより、成年後見制度を利用することも考えられる。なお、身寄りのない者にあっては、本人の福祉を図るため特に必要な場合は、市町村長の申し立てにより、成年後見制度を利用することができる。

(問37)成年後見を要する場合、成年後見人の選任まで時間がかかるため、選任されるまでの間は措置の対象たる「やむを得ない事由」に該当するのか。

 意思能力が欠けていること等により、契約によるサービス利用が期待できない状況であり、かつ、成年後見人の選任まで待たずにサービスを提供する必要があると認められる場合は、後見人が選任されるまでの間、措置によりサービスを提供することも想定される。
 なお、成年後見人が選任され、契約によるサービス利用が可能となったときは、措置ではなく支援費制度によりサービスを利用いただくことになる。

10.準備作業について

(問38)支援費制度における市町村、県福祉事務所、県本庁、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所の役割如何。

 支援費制度における都道府県及び市町村の役割は、平成12年11月14日の全国障害保健福祉関係課長会議の資料にあるとおりである。
 県福祉事務所と県本庁の役割は、それぞれの都道府県の実情に応じて適切に分担されるべきものであり、法律上は、都道府県に関しては、福祉事務所と本庁とを分けて規定していない。
 更生相談所については、現行制度の下で果たしている機能等を踏まえつつ、専門的な知見、技術を有する機関として、支援費支給制度の下でどのような役割を果たすべきか、さらに検討を進めていくこととしている。

(問39)現在施設に入所している障害者については、15年度以降、支援費の支払いはどこの市町村が行うのか。

 支援費支給における援護の実施者は入所前の居住地の市町村であり、入所前に居住していた市町村から支援費が支給されることになる。

(問40)今後の法令改正、基準、通知などのスケジュール如何。

 平成12年11月14日の全国障害保健福祉担当課長会議の会議資料でお示しした通りである。


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