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事業者・施設指定基準に関すること

1 指定基準の性格について
2 指定基準の主な内容について
3 契約に当たっての基本的な考え方


1 指定基準の性格について

(1) 支援費の支給の対象となるのは、支給決定を受けた利用者が都道府県知事の指定した事業者又は施設から支給決定に係るサービスの提供を受けた場合である。
 したがって、指定基準は、支援費制度において対象となるサービス提供主体の範囲を特定するものである。
 また、特例居宅生活支援費の対象となるのは、指定を受けた事業者以外の者であって、指定基準のうち一定の事項を満たす者から受けたサービス(基準該当居宅支援)に限定される。

(2) 事業者又は施設の指定は、事業者又は設置者からの申請により行われることとなるが、その際の指定基準としては、居宅支援事業者に関しては、従事者に関する基準と設備及び運営に関する基準を、施設に関しては、人員、設備及び運営に関する基準を厚生労働省令で規定することとなる。この指定基準は、支援費の対象となるサービスについて一定のサービスの質を確保するとともに、サービス提供主体としての遵守事項を規定することにより、利用契約制度の円滑な運営を確保する観点から設けられるものである。
(3) 指定基準のうち、一定のサービスの質を確保するための人員、設備及び運営に関する基準に相当する部分については、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法において、所要の施設の基準(いわゆる最低基準)が定められ、ホームヘルプ事業等の在宅サービス事業については、それぞれの運営要綱に基づき事業が実施されるとともに、民間の在宅サービス事業者についての「ガイドライン」が策定されていることから、原則として、こうした最低基準等を基に規定することとなる。
(4) 指定基準のうち利用契約制度の円滑な運営を確保するための部分については、支援費制度の固有の領域として、指定事業者又は指定施設は、正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないことや重要事項に関する書面交付義務等を盛り込むこととしている。
(5) なお、指定基準と施設の最低基準との関係は、基本的に、介護保険法における指定介護老人福祉施設と老人福祉法における特別養護老人ホームのいわゆる最低基準との関係と同様である。

(参考)指定基準と施設の最低基準との関係

指定基準と施設の最低基準との関係
2 指定基準の主な内容について

(1)人員に関する基準について
(1) 施設訓練等支援における人員基準について
 基本的には、現行の最低基準を基に、必要な検討を加え、各施設ごとに入所者の処遇に直接従事する職員の員数等について規定することとしている。
 その際、重度障害者への適切な対応を図るため、障害程度区分を支援費の額に反映させることとしていることも踏まえ、重度の入所者に配慮した人員配置基準とする方向で検討している。
 なお、これまでの重度身体障害者更生援護施設及び重度身体障害者授産施設の施設類型については廃止することとしている。
(2) 居宅生活支援における人員基準について
 身体障害者、知的障害者、障害児を対象に実施されている現行の居宅生活支援事業の各運営要綱を基に必要な検討を加え、それぞれのサービス毎に職員の員数等について規定することとしている。

(2)設備に関する基準について

(1) 施設訓練等支援における設備基準について
 基本的には、現行の最低基準を基に必要な検討を加え、各施設ごとに入所者の処遇に直接必要な設備・備品等について規定することとしている。
 その際、重度の入所者に配慮した設備基準とする方向で検討している。
(2) 居宅生活支援における設備基準について
 身体障害者、知的障害者、障害児を対象に実施されている現行の居宅生活支援事業の各運営要綱を基に必要な検討を加え、それぞれのサービス毎に必要な設備について規定することとしている。

(3)運営に関する基準について

 運営に関する基準については、利用者と事業者の関係及び事業者と市町村・都道府県との関係で必要となる事項について規定することとしている。
 具体的には、利用者へのサービス提供にあたって事業者が書面を交付して説明 すべき事項、利用者の受給資格等の確認、支援費支給申請に係る援助、支援費の代理受領、各種記録の作成、市町村への通知等の事項が考えられる。
 なお、運営に関する基準中に、指定居宅支援事業者又は指定施設等は正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないこととする規定(応諾義務)を置くこととしている。
 サービスの提供を拒否できる正当な理由に該当する場合としては、

(1)当該事業所の現員からは利用申込に応じきれない場合
(2)利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合
(3)入院治療の必要がある場合
 等が挙げられる。

(4)基準該当居宅支援に係る人員・設備等

(1) 基本的な考え方
 市町村は、居宅支給決定を受けた者が、居宅支給期間内において、指定居宅支援以外の居宅支援(以下「基準該当居宅支援」という。)を受けた場合において、必要があると認めるときは、厚生労働省令の定めるところにより、当該基準該当居宅支援に要した費用(特定費用を除く)について、特例居宅生活支援費を支給することができる。
 基準該当居宅支援とは、指定居宅支援事業としての指定を受けるべき要件(法人格、人員、設備及び運営に関する基準)のうち一部を満たしていない居宅支援事業者で、一定の水準を満たすサービスの提供を行うものにつき、そのサービスについて「基準該当居宅支援」として支援費支給の対象とすることにより、多様な事業者の参入を可能とし、地域においてきめ細やかなサービスを提供することを可能とするものである。

(2) 基本的な枠組み
 多様な事業主体の参入を促し、地域においてきめ細やかなサービスを提供できるよう、サービスの質の確保に留意しつつ、指定居宅支援事業者が満たすべき人員、設備及び運営に関する基準の緩和を図ることとし、法人格がない場合であっても、基準該当居宅支援の対象とする方向で検討中である。
 具体的には、基準該当居宅支援を行う事業所が満たすべき人員、設備及び運営に関する基準を、厚生労働省令により規定することとしている。
 なお、知的障害者地域生活援助(グループホーム)については、長期間生活する場であることに着目し、事業実施についての継続性・安定性の確保を図る観点から、基準該当に関する規定を設ける必要があるか否かについて検討中である。


3 契約に当たっての基本的な考え方

(1)契約者について

 支援費制度においては、利用者が事業者から直接サービスの提供を受ける仕組みとなっていることから、原則として利用者本人と事業者の間でサービスの利用に係る契約を締結する必要がある。何らかの支援があれば本人の意思を確認できる知的障害者については、本人の意思により本人が契約できるよう、福祉サービス利用援助事業を活用すること等により、本人に対する必要な支援が行われることが重要である。
 また、契約の締結にあたって成年後見制度の利用が必要となる場合があることから、国としては、成年後見制度の利用の支援策について検討を行っているところである。
 なお、成年後見制度の十分な活用、普及が図られるまでの間は、利用者本人の意思を踏まえることを前提に、本人が信頼する者が本人に代わって契約を行うことも、サービスの円滑な利用を確保するためにやむを得ない場合があるものと考えてい る。
 なお、児童居宅サービスを利用する場合は、保護者が事業者と契約を締結することとなる。その他のサービスであって20歳未満の未成年者がサービスを利用する場合にあっては、未成年者本人が法定代理人(親権者及び未成年後見人)の同意を得て事業者と契約する方法と、法定代理人が未成年者に代って事業者と契約する方法がある。

(2)契約の相手方である事業者・施設が行うべき事項について

ア 社会福祉法第76条において、社会福祉事業の経営者は、その提供する福祉サービスの利用を希望する者からの申込みがあった場合には、その者に対し、当該福祉サービスを利用するための契約の内容及びその履行に関する事項について説明するよう努めなければならないこととされていることから、事業者指定基準省令の運営基準において、支援費支給決定を受けた利用者からのサービスの利用申し込みに際しては事業者から当該利用者に対して、施設の目的や運営方針、施設の概要、職員の勤務体制等の重要事項について書面を交付して説明する旨の規定を置くことで検討しているところである。
イ 社会福祉法第77条の規定により、社会福祉事業の経営者は、福祉サービスを利用するための契約が成立したときは、その利用者に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
(1) 当該社会福祉事業の経営者の名称及び主たる事務所の所在地
(2) 当該社会福祉事業の経営者が提供する福祉サービスの内容
(3) 当該福祉サービスの提供につき利用者が支払うべき額に関する事項
(4) 当該福祉サービスの提供開始年月日
(5) 福祉サービスに係る苦情を受け付けるための窓口
ウ なお、支援費支給決定を受けた利用者と事業者の間でサービスの利用に係る契 約を締結する必要があるが、当該契約は、書面で行うことが望ましい。


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