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科発第0331004号
平成15年3月31日

国立医薬品食品衛生研究所長
国立保健医療科学院長
国立社会保障・人口問題研究所長
国立感染症研究所長



殿
厚生労働省大臣官房厚生科学課長
(公印省略)

厚生労働省国立試験研究機関職務発明等規程について

 標記について、別添のとおり定めたので、平成15年4月1日以降の事務処理については、これを踏まえ遺憾なきを期されたい。
 また、貴機関においては、本規程を踏まえ、それぞれその内部規定若しくは契約を見直し、又は新たに整備されたい。



別添

厚生労働省所管の国立試験研究機関における職務発明等規程

第1章 総則

(目的)
第1条 この規程は、厚生労働省所管の国立試験研究機関(以下「試験研究機関」という。)において試験研究に従事し、または従事した職員がした発明等について必 要な事項を定めることを目的とする。

(定義)
第2条 この規程において、次に掲げる用語は次の定義による。
 「職員」とは、試験研究機関において試験研究に従事し、または従事した職員をいう。
 「所長」とは、試験研究機関の長をいう。
 「発明」とは、特許法(昭和34年法律第121号)に規定する発明をいう。
 「著作物」とは、著作権法(昭和45年法律第48号)に規定するプログラムの著作物及びデータベースの著作物をいう。
 「考案」とは、実用新案法(昭和34年法律第123号)に規定する考案をいう。
 「意匠」とは、意匠法(昭和34年法律第125号)に規定する意匠をいう。
 「品種」とは、種苗法(平成10年法律第83号)に規定する品種をいう。
 「ノウハウ」とは、前五号に掲げるもの以外の技術情報のうち秘匿することが可能なものであって、かつ財産的価値を有するものをいう。
 「職務発明」とは、職員がした発明であって、発明の性質上その発明をした職員が所属し、または所属した試験研究機関の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至った行為が当該試験研究機関における職員の現在または過去の職務に属するものをいう。
 「職務著作物」とは、職員が所属し、または所属した試験研究機関の発意に基づき職員が作成した著作物をいう。
十一 「職務ノウハウ」とは、職員が案出したノウハウであって、ノウハウの性質上そのノウハウを案出した職員が所属し、または所属した試験研究機関の業務範囲に属し、かつ、そのノウハウを案出するに至った行為が当該試験研究機関における職員の現在または過去の職務に属するものをいう。
十二 「特許権等」とは、特許法に規定する特許を受ける権利及び特許権をいう。

第2章 届出及び出願

(届出)

第3条 発明を行った職員は、速やかにその発明の内容を詳記した発明届(様式第1号)を、自己の所属する部の長(以下「所属部長」という。)を経由して所長に届け出なければならない。

(認定及び承認)
第4条 所長は、前条の発明届を受理したときは、速やかにその届出に係る発明が職務発明であるか否かの認定をし、職務発明であると認定したときは、速やかに当該発明の特許化及び実用化の可能性等を評価し、当該発明に係る特許を受ける権利を国が譲り受けるか否かを決定するものとする。
 所長は、前項の認定または評価及び決定をしようとするときは、第10条の職務 発明審査会に諮問することができる。
 所長は、第1項の認定または評価及び決定をしたときは、速やかにその旨を理由を付して発明届を提出した者に文書で通知するものとする。
 第1項の規定により職務発明と認定され、かつ、当該発明について特許を受ける権利を国が承継しないと決定された発明について、その職務発明をした職員(以下「職務発明者」という。)が特許権を取得したとき、またはその取得した特許権について特許の無効その他に基づく変動があったときは、当該職務発明者は、速やかにその旨を所属部長を経由して所長に報告しなければならない。
 前4項の規定は、職務発明者が前条の規定による届出をしない場合において、所長が、特許公報、特許目録その他の資料によりその旨を知ったときに準用する。

(国が承継する職務発明)
第5条 職務発明者は、所長が当該発明に係る特許を受ける権利を国が承継すること を決定したときは、その権利を国に譲り渡さなければならない。
 前項の規定により特許を受ける権利を譲り渡すこととなった職務発明者は、所属部長を経由して譲渡証書(様式第2号)を所長に提出しなければならない。
 所長は、試験研究機関以外の共同研究者がない場合であって、前項の譲渡証書の提出を受けたときは、当該譲渡証書に記載された特許を受ける権利について、速やかに、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律(平成10年法律第52号)第13条第1項の規定により厚生労働大臣が認定する者(以下「認定事業者」という。)への譲渡の手続を行うものとする。ただし、認定事業者が当該権利に係る発明について特許化及び実用化等の可能性を評価し、当該権利を譲り受けないと決定したときは、この限りではない。
 所長は、認定事業者が、前項の規定により譲り受けた特許を受ける権利に係る発明について特許化及び実用化等の可能性を評価し、特許出願を行わず、当該認定業者から当該権利を返還された場合において必要があると認めるときは、当該権利について、特許出願の手続を行うことができる。
 所長は、試験研究機関以外の共同研究者がある場合であって、前条第2項の譲渡証書の提出を受けたときは、当該譲渡証書に記載された特許を受ける権利について、当該共同研究者と協議の上、認定事業者への譲渡または特許出願の手続を行うことができる。

(拒絶査定等の通知)
第6条 所長は、前条第3項の譲渡に係る発明について、認定事業者から拒絶査定または出願無効の処分を受けた旨の通知を受け、または前条第4項もしくは第5項の特許出願に係る発明について拒絶査定もしくは出願無効の処分を受けたときは、速やかにその旨を書面により、職務発明者に通知するものとする。

(国が承継しない職務発明)
第7条 職務発明者は、第4条第1項の規定により特許を受ける権利を国が承継しないと決定された発明に係る特許権を取得したときは、速やかに通常実施権確認書(様式第3号)を所属部長を経由して提出しなければならない。
 所長は、前項の通常実施権確認書の提出を受けたときは、当該通常実施確認書に記載された権利について、速やかに、通常実施権設定登録の手続を行うものとする。

(第三者への譲渡等)
第8条 職務発明者は、所長が当該発明に係る特許を受ける権利を国が承継しないと決定した場合であって、共同研究、受託研究及び委託研究に係る契約(以下「共同 研究契約等」という。)に基づき職務発明に係る特許権等について優先的に実施し得る者(以下「優先実施権者」という。)があるときは、職務発明者がその者以外の者に対し当該特許権等を譲渡し、それを目的として質権を設定し、または当該特許権等について専用実施権を設定し、若しくは通常実施権を許諾することはできない。ただし、職務発明者が当該優先実施権者から同意を得た場合はこの限りでない。
 前項の規定は、当該特許権等の譲渡若しくは質権の設定または当該特許権について専用実施権の設定若しくは通常実施権の許諾を受けた者が、第三者に対し、当該譲渡を受けた持分または設定若しくは許諾された権利の譲渡、それを目的とした質権の設定、当該特許権について専用実施権の設定または当該特許権等若しくは専用実施権について通常実施権の許諾を行う場合について準用する。

(職務発明者の出願及び権利譲渡の制限)
第9条 発明を行った職員は、当該発明について、第4条第3項の規定により、職務発明でないと認定された旨の通知又は特許を受ける権利を国が承継しないと決定された旨の通知を受けた後でなければ、当該発明に係る特許を出願し、または特許を受ける権利の一部または全部を第三者に譲り渡してはならない。ただし、特許出願を緊急に行う必要があるときは、この限りではない。

第3章 職務発明審査会

(設置)
第10条 この規程を実施するため、試験研究機関に職務発明審査会(以下「審査会」という。)を置く。

(審議事項)
第11条 審査会は、所長の諮問に応じ、この規程に定める事項その他職務発明に関する重要事項について審議する。

(組織及び運営)
第12条 審査会は、会長、副会長及び委員若干名をもって組織する。
 会長は、副所長または部長の職にある者から所長が指名する者とし、会務を総括するものとする。
 副会長は、会長が委員の中から指名する者とし、会長を補佐し、会長に事故あるときはその職務を代理する。
 委員は、部長の職にある者及び総務部職員から所長が指名する。
 会長は、必要があると認めるときは、審査会に関係者の出席を求め、その意見を聴くことができる。

第4章 優先実施権

(優先実施権)
第13条 所長は、意匠、品種に係る権利を国が譲り受けた場合にあっては、当該職員の申出により、当該職員またはその指定する者(以下「当該職員」という。)に限り、実施契約締結の日から7年を超えない範囲内で当該契約で定める期間内において、当該権利を優先的に実施させることができるものとする。ただし、当該職員の申出の日よりも前に第三者に対し実施の許諾があった場合、または共同研究契約等に基づき当該権利について優先的に実施し得る者がある場合は、この限りでない。
 前項の場合において、当該職員が当該権利を優先的に実施できる期間の第2年以降において正当な理由なく実施しないとき、または当該権利を優先的に実施させることが公共の利益を著しく損なうと認められるときは、所長は、当該職員以外の者に対し、当該権利の実施を許諾することができるものとする。ただし、共有に係る権利の実施を許諾しようとするときは、当該権利の共有者の同意を得るものとする。
 国は、当該職員に対し当該権利について専用実施権を設定し、又は通常実施権を許諾するに当たっては、第8条の規定に準じた扱いをするものとする。

第5章 著作物の取扱い

(届出)
第14条 作成した著作物または作成中の著作物が次の各号の一に該当するに至った 職員(以下、「著作物を作成した職員」という。)は、速やかにその著作物の内容を詳記した著作物届(様式第4号)を、所属部長を経由して所長に届け出なければならない。
 著作物を公表もしくは職員以外に移転する必要が生じた場合
 著作物に関連して本規程に定める他の届出を行う場合
(認定)
第15条 所長は、前条の著作物届を受理したときは、速やかにその届出に係る著作物が職務著作物であるか否かの認定をするものとする。
 所長は、前項の認定をしようとするときは、第10条の職務発明審査会に諮問することができる。
 所長は、第1項の認定をしたときは、速やかにその旨を理由を付して著作物届を提出した者に文書で通知するものとする。
 前3項の規定は、著作物を作成した職員が前条の規定による届出をしない場合において、所長が、資料等によりその旨を知ったときについて準用する。

(帰属)
第16条 前条において、プログラムの著作物について、職務著作物であると認定したときの著作者は、国とする。
 前条において、データベースの著作物について、職務著作物であると認定し、かつ、国は自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、国とする。

(著作者人格権)
第17条 職務著作物を作成した職員は、著作権法に規定する著作者人格権を行使しないものとする。

(権利譲渡の制限)
第18条 著作物を作成した職員は、作成した著作物について、第15条第3項の規定により、職務著作物でないと認定された旨の通知を受けた後でなければ、著作権を第三者に譲り渡してはならない。

(準用)
第19条 第11条、第25条、第27条から第29条、第33条及び第34条の規定は、著作物について準用する。

第6章 ノウハウの取扱い

(届出)
第20条 ノウハウを案出した職員は、速やかにその著作物の内容を詳記した届を、所属部長を経由して所長に届け出なければならない。

(認定)
第21条 所長は、前条の届を受理したときは、速やかにその届出に係るノウハウが職務ノウハウであるか否かの認定をするものとする。
 所長は、第1項の認定をしようとするときは、第10条の職務発明審査会に諮問することができる。
 所長は、第1項の認定をしたときは、速やかにその旨を理由を付してノウハウ案出届を提出した者に文書で通知するものとする。
 前3項の規定は、ノウハウを案出した職員が前条の規定による届出をしない場合において、所長が、資料等によりその旨を知ったときについて準用する。

(帰属)
第22条 前条において、職務ノウハウであると認定した場合、当該ノウハウを使用する権利は国に帰属する。

(権利譲渡の制限)
第23条 ノウハウを案出した職員は、当該ノウハウについて、第21条第3項の規定により、職務ノウハウでないと認定された旨の通知を受けた後でなければ、ノウハウを使用する権利を第三者に譲り渡してはならない。

(準用)
第24条 第11条、第25条、第27条から第29条、第33条及び第34条の規定は、ノウハウについて準用する。

第7章 雑則

(異議の申立)
第25条 発明を行った職員は、第4条第1項の認定、または評価及び決定に対して 異議があるときは、同条第3項の通知を受けた日から起算して30日以内に、その 旨を文書で所属部長を経由して所長に申し立てることができる。
 所長は、前項の異議の申立について、遅滞なく決定を行い、その結果を当該申立をした職員に通知するものとする。
 所長は、前項の決定をしようとするときは、あらかじめ審査会に諮問するものとする。

(補償金の請求)
第26条 所長は、第5条の規定に基づき、認定事業者への譲渡または特許出願の手続を行った発明について、認定事業者から特許権設定登録を受けた旨の通知を受け、または、特許権の設定登録を受けたときは、速やかにその職務発明者に対しその旨を通知し、登録補償金請求書を提出させるものとする。
 所長は、国が承継した職務発明に係る特許権の実施(認定事業者が民間事業者に実施させる場合を含む。)により国が収入を得たときは、その職務発明者に対し、毎年1月1日から12月31日までの間の収入実績を通知し、実施補償金請求書を 翌年1月31日までに提出させるものとする。
 前2項の請求書の様式は、別途定める「厚生労働省所管の国立試験研究機関における職員の職務発明等に対する補償金の請求手続及び支払方法」によるものとする。

(秘密の保持)
第27条 職務発明者及び当該発明の内容を知り得た関係職員は、国及び職務発明者の利害に関係ある事項について、必要な期間中、その秘密を守らなければならない。

(外国における権利)
第28条 この規程により国が取得する権利は、外国法の適用によりその外国法にお いて定める権利となるものを含むものとする。

(職員以外の者の取扱い)
第29条 研究生、実習生及び臨時職員等が、試験研究機関の業務に関連して行った発明については、当該試験研究機関の職員の発明とみなして、この規程を適用する。
 客員研究員及び協力研究員が、試験研究機関の業務に関連して行った発明の取扱いについては、発明者間の協議に基づき、審査会の審議を経て、所長が決定する。

(職務発明でない発明)
第30条 所長は、第4条第1項の規定により職務発明でない旨の認定がなされた発 明について、発明者から当該発明に係る特許権等を国へ譲渡することを希望する旨 の申し出があった場合は、当該特許権等を国が譲り受けるか否かを決定するものとする。
 第4条第2項及び第3項、第5条から第9条、第26条から第29条、第33条及び第34条の規定は、前項の発明について準用する。この場合において、第4条第2項中「前項の認定または評価及び決定」とあり、及び第4条第3項中「第1項の認定または評価及び決定」とあるのは、「第30条第1項の決定」と読み替えるものとする。

(国が承継しない職務発明に係る特許権)
第31条 所長は、第4条第1項の規定により特許を受ける権利を国が承継しないと決定された職務発明(次項において単に「職務発明」という。)について特許権を取得した職務発明者から、当該職務発明に係る特許権を国へ譲渡することを希望する旨の申し出があった場合は、当該特許権を国が譲り受けるか否かを決定するものとする。
 職務発明者は、職務発明について共同研究者がある場合であって、前項の申し出を行うときは、当該共同研究者の同意を得なければならない。
 第4条第2項及び第3項、第5条第1項及び第2項、第26条から第29条、第33条並びに第34条の規定は、前項の発明について準用する。この場合において、第4条第2項中「前項の認定または評価及び決定」とあり、及び第4条第3項中「第1項の認定または評価及び決定」とあるのは、「第31条第1項の決定」と読み替えるものとする。

(考案、意匠、品種への準用)
第32条 この規程は、職員がした考案、意匠及び職員が育成した植物体の品種に準用する。

(委任)
第33条 この規程に定めるもののほか、職務発明の取扱いについて必要な事項は、所長が審査会の審議を経て定めるものとする。

(経過措置)
第34条 この規程の施行前にされた職務発明の取扱いについては、なお従前の例による。

(見直し)
第35条 この規程は、必要に応じ見直しを行うものとする。


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