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『数学的思考を活かせる厚生労働行政』 |
村田 祐美子(平成2年採用)
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私が、国家公務員に数学での採用があることを知ったのは、「就職するなら、好きな数学を
活かしつつ、社会に直接貢献できる仕事がよいなあ」と漠然と考えていた時期でした。当時の
私にとって、行政に数学を活かせる場があるというのは目から鱗の発見であり、とても新鮮に
感じました。中でも厚生省は、人の誕生から老後の保障まで、その一生をサポートする国民生
活に最も密着した重要な仕事を担っており、仕事の内容がとても魅力的で興味を持ちました。
そして、厚生省の門をたたくことになったのです。
厚生労働省の仕事の中で、私たち数理を専門とする者が関わることが多いのは、年金、医療、
介護等の社会保険の分野です。少子高齢社会に向けて、持続可能な社会保障の構築が課題とな
っていますが、私たちは、シミュレーションによる将来推計や制度改革の各種メニューの財政
効果等を試算することで、政策決定の判断材料を提示し、数理の立場から制度改革の議論に積
極的に取り組んでいます。
私の場合も、年金や医療の分野での仕事が多く、これまで、年金制度改正に向けた検討や医
療保険制度の改革、医療費動向の分析といった仕事に携わってきました。中でも、「医療機関
メディアス」という新しい医療費統計を整備・構築する仕事に最初から完成まで関わり、その
過程で、関係者への説明・交渉から、企画、システム開発、分析、記者発表等、いろいろな経
験をつむことができたことは、とても貴重な体験だったと思っています。また、他省庁に出向
し、省外の方々と一緒に仕事をさせていただく機会もありました。省内にとどまらず幅広い分
野で活躍できるのも、公務員の魅力の一つです。
現在は、統計情報部人口動態・保健統計課の課長補佐として、主に人口動態統計の分析や生
命表の作成・分析等を行っています。婚姻や出生の動向を分析することを通じて、少子化対策
の根本に関わる仕事をしているなという実感を味わっています。
また、私事ですが、子供を出産した際に育児休暇を取得しました。忙しい時期であったにも
かかわらず、「後に続く後輩のためにも、しっかりがんばってください。」という暖かい励ま
しとともに快諾していただき、周囲の方々のご理解ある対応にとても感謝しています。「肩肘
はらずに自然体で」というのが私のポリシーなので、現在も、自然に仕事をこなしつつ、普通
に子育てしていこうと、日夜奮闘しているところです。
最後になりますが、行政の企画・立案にあたっては、数学で養われた論理的で柔軟な思考が
ますます必要とされてきています。皆さんもぜひ、選択肢の一つとして、厚生労働省を考えて
みてください。一緒にお仕事できる日を楽しみにお待ちしています。
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『数理職員として働いています』 |
村木 幸広(平成13年採用)
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昨今、説明責任という言葉がよく使われています。説明責任とは単なる表面的な説明だけでな
く、責任をもって実証的に説明する行為を意味しています。行政においてこの説明責任が以前に
まして求められている中、直感や経験だけに頼るのではなく、定量的・統計的な分析結果等を根
拠とした論理的説明が求められるようになってきており、そのため、数理的素養をもった人材の
必要性は大きくなっています。とくに厚生労働省では、社会保障や労働環境の整備等の制度の企
画立案において、保険等様々な数学的技術を要するもの、数学的裏付けの上に成り立っているも
のが多くあり、そのため、厚生労働省では多数の数理職員(理工U区分)の採用を行っており、
数理職員は数理的な能力を必要とする部署を中心に数年ごとに異動しています。
私の場合、最初に配属された部署は統計情報部でした。統計情報部は厚生労働省の中でも数理
職員が多く在籍している部署の一つです。的確な政策判断を行うためには統計データやそれらの
分析結果は非常に重要であり、数理職員は、主に、統計の分析や調査の標本設計等に携わってい
ます。統計調査はいくつかの標本を抽出して調査を行います。その際の、適切な標本数の決定に
は、前回調査における誤差が使われます。誤差を算出することは、私が所属していた係の仕事の
一つでありますが、扱うデータ数が非常に膨大であるため計算はC言語でプログラムを組んで行
うといったように、コンピュータに関する知識も必要となります。こうしたプログラミング等に
ついては研修もありますし、統計に関する基本的な理論についても数学的素養があれば入省して
から勉強すれば十分ですので、心配はいりません。また、当係においては、勉強会を積極的に行
っており、サンプリング理論や多変量解析等について知識を深めています。
現在は中小企業の退職金共済制度の制度設計に関する業務をしています。中小・零細企業では
独力で退職金制度をもつことは困難なことが多いため、中小企業の従業員の福祉の増進や中小企
業の振興に寄与することを目的として、本制度は創設されました。共済制度ですので単なる積立
金ではなく、当然に共済数理や資産運用の知識が必要となってきますが、当該業務に係る数理職
員は私一人であるため、誤った判断をしないよう常に専門性を高めるよう勉強しているところで
す。こうしたなかで、判断に迷うことがあれば省内にいる数理の諸先輩方に相談することができ、
そういった意味では非常に恵まれた環境であり、安心して仕事のできる職場であると思います。
数理職員の業務内容等にについてもっと詳しく知りたいという方は、この夏の官庁訪問にいら
してください。そして、諸先輩方の話を十分に聞いて、厚生労働省で数理職員として働くことが
ご自分の興味・適正と合致するとお感じになりましたら、是非厚生労働省で一緒に働きましょう。
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『科学技術行政の一端を担ってみなせんか』 |
木下 江梨子(平成8年採用)
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厚生労働省は何をするところでしょうか。そして、厚生労働省の薬剤師は何をすることが求め
られているのでしょうか。薬学を志した方々の活躍の場は、医療機関での薬剤師に限らず、研究
開発、製薬企業、薬局経営、遺伝子ビジネスなど多岐にわたるものと思いますが、その職業の場
の選択肢のひとつとして、行政という場を一度お考えいただきたいと思います。
現代の科学技術の進歩とともに、遺伝子組み換え食品、遺伝子治療、画期的な新医薬品などの
私たちの生活を豊かにする新しい技術が次々と開発されています。これらの新しい技術は、その
有用性ばかりがクローズアップされがちですが、その一方で、使われてみて初めて顕在化しうる
安全性の問題をも持ち合わせています。新しい技術をより有効に、かつ、より安全に活用する道
を探ること、それは科学技術行政を担う厚生労働省の仕事のひとつです。日々めまぐるしく変化
し、わかりにくい科学技術に関する政策を、わかりやすく説明すること、それも厚生労働省の仕
事のひとつです。
私は、入省後、化学物質や医薬品の安全な活用のための業務にかかわってきました。画期的な
新薬は、新しい治療の可能性を開くだけでなく、使い方を誤れば有害な影響を私たちに及ぼしか
ねない側面を有しています。また、私たちの生活を豊かにする様々な化学物質も、環境汚染とい
う言葉が広く知られているように、環境を経由して私たちの健康に影響を与えかねない側面を有
しています。最新の科学的知見基づいて、リスクとベネフィットのバランスを考慮し、私たちに
とってもっとも有益な方法を探ることが科学技術行政には必要です。また、その中で、もっとも
難しくまた重要なことは、その問題に関係する人々の意見を聴き、共通の理解のもとで意志決定
を行うことです。例えば、ある医薬品の使い方を限定するといった意志決定を行おうとすると、
その医薬品を販売している企業、あるいはその医薬品により治療の恩恵を受けている患者や医療
関係者の他に、それを研究している人、その医薬品で副作用を受けたことがある人など多くの関
係者がいます。様々な関係者の関心の方向性や専門性は、全くばらばらですが、行政の意志決定
においては、これらの関係者の意見を聴き、関係者が共通の理解が得られる形で、最善の意志決
定を行うことが求められます。このコミュニケーションが円滑にできないと、それは行政への不
信につながります。
わかりやすい科学技術行政、これは国の東西を問わずに重要な課題です。私は、米国に留学す
る機会にも恵まれましたが、その米国においても、科学技術行政の意志決定における関係者との
コミュニケーションは、大きな課題のひとつとなっており、消費者、企業、研究者、行政の間で
活発な議論が交わされていました。行政の意志決定のわかりやすさは、今後とも、行政に求めら
れる重要な課題のひとつであり続けるでしょう。
このような中で、薬学という人間を対象とした生命科学を志したみなさん、わかりやすい科学
技術行政のために、科学技術と政策の架け橋となって、その知識と経験を生かしてみませんか。
ともすれば、専門的で独りよがりになりがちな科学技術行政を、わかりやすい形で伝えることが
できる行政にかえていく一端を担っていただきたいと思います。
現代の社会において、行政に対する世の中の風は、決して穏やかではありませんが、それは、
行政に対する期待の裏返しでもあると思います。そして、厚生労働省には、日々変化する社会に、
職員の成長が追い抜かれないよう、国内外留学制度を含む充実した職員研修制度もあります。ま
た、将来の勤務先は、厚生労働省にとどまらず、意志さえあれば、世界保健機関などの国際機関
に勤務し、広い視野を養う経験を積むことも可能です。志のあるみなさん、是非一度、厚生労働
省をご自身の職場として考えてみませんか?
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『少しだけ厚生労働行政で働いた経験から』 |
花谷 忠昭(平成13年採用)
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日本の平均寿命は世界で最も高い水準を維持しており、また、国民皆保険制度を採用している
日本の保険医療システムは世界的にも非常に高い評価をうけています。この成果は今後とも守っ
ていく必要がありますが、一方で医療をとりまく環境は大きく変化してきています。急激な高齢
化の進展や経済の低迷などにより、医療保険財政は大変厳しい状況となっています。また、医療
に対する国民の意識は年々高まってきており、患者さん一人一人に応じた適切かつ安全な医療を
提供することが求められています。そのため、厚生労働省ではこれらの変化に対応するため、効
率的で、質の高い医療や医薬品の使用環境を整備するべく、さまざまな医療政策を実施していま
す。現在、私が所属する課では医療保険制度の改革を進めており、薬価制度や診療報酬体系とい
った課題に取り組み、今後の医療のあるべき姿について、さまざまな視点から議論しているとこ
ろです。
まだ短い期間ですが、私が厚生労働省の職員として実際に働いてみて感じることは、この仕事
は終わる時間を気にして時計ばかりみているような仕事ではないということです。私の周りをみ
ましても、仕事が充実している(ようにみえる)職員が大半で、私自身も自分の仕事にやりがい
を感じています。また、もう一つ感じることは、いろいろな方と出会える機会に恵まれた職場環
境であるということです。尊敬できる方との出会いは大変刺激的です。自分自身の未熟さを痛感
しますが、逆に向上心を持つことができます。このことは何事にも代えがたいものだと思います。
厚生労働行政はシステムの面から深く医療や社会に関わっており、そのため責任は非常に大き
いものがありますが、人の役に立っていることを実感できる仕事であり、ここでしかできない仕
事です。それが本当に自分のやりたいことなのかは、自分自身の経験を通じてしかわからないも
のなのかもしれませんが、十分に考えるだけの価値がある仕事ですよ。
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『職業安定行政2年生』 |
礒 みず穂(平成14年採用)
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厚生労働省の人間科学T(心理)職に興味をお持ちの皆様、こんにちは!せっかくこのような
場をいただいたので、就職して1年余りという短い経験ではありますが、私の仕事を紹介して、
少しでも当省で働くイメージをふくらませて下されば…と思います。
心理職は、主に職業安定行政に携わっています。失業率が高水準で推移するなど、雇用情勢は
厳しい状況が続いており、私たちの仕事には大きな期待が寄せられています。
私は入省して最初の一年間はハローワーク名古屋東(名古屋東公共職業安定所)に勤務しまし
た。職業安定行政に関わる国の機関は、厚生労働省−都道府県労働局−公共職業安定所という形
でつながっています。ハローワークは窓口に訪れる方々に直接サービスを提供するところで、雇
用保険に関する手続きをしたり、会社からの求人を受けつけたり、仕事を探している方の相談に
のって希望の会社へ紹介したりします。私は主に、仕事を探している方の手続きや相談を担当し
ていました。一生懸命頑張ってきたのに離職せざるを得なかった方、納得できる就職先がなかな
か見つからず悔しさや不安を抱えている方など、窓口にいらっしゃる方々の悩みは深刻で、少し
でも役に立ちたいと思ってよいサービスを心がけてきました。そして、「就職が決まりました!
」と笑顔で報告に来てくださると、とてもうれしかったです。
そして、4月からは職業安定局労働市場センター業務室に勤務しています。ここは、ハローワ
ークに置かれている雇用保険や職業紹介の手続きを行うシステムを管理・開発しているところで
す。私の主な仕事は他部局や外部への窓口となって、室内の仕事を調整することです。今は、組
織を動かす役割のひとつを私が担うことで、国としての職業安定行政の方向性が決まっていくの
だという仕事の重みを感じています。
皆様は、これから自分がどのように社会と関わっていくかを真剣に考えられていると思います。
ぜひ、厚生労働省を訪れて、いろいろな先輩のお話を聞いてみてください。公のため、人のため、
一緒に仕事をしていける仲間を来年また迎えられるのが楽しみです!
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