
国立ハンセン病療養所 医師募集
「南の地」への移住の夢と奄美和光園との出会い
私は、長野県生まれで、静岡県の浜松医大を卒業しています。皮膚科という専門を決めた頃から「患者さんに近いところで働きたい」という気持ちがあり、また将来的には南の方に移住したいとも思っていました。
夏休みのたびにあちこちの「南の地」に旅行しては、移住の候補地を探していました。ある年、奄美大島に遊びに来たとき、ここの風土や料理に接して、馴染めそうだと直感し、4回、5回と遊びに来るたび、移住したいという気持ちが固まっていきました。
この間に結婚したのですが、夫は柔道整復師と鍼灸師の勉強をしていて、移住した土地で開業をするというプランを持っており、それも移住が現実的なものになる要因の一つだったともいえます。
治療だけでなく、生きていくことのための医療を
入所者の方にとってこの施設は生活の場であり、終の棲家であり、後遺症などの治療を受ける場でもあります。ですから、効率的な治療よりも、「その人らしい生活を送るためのお手伝い」が重要です。この施設の目標は、穏やかに生きていくことであり、変わらない日常そのものなのです。
医師にとって、ガイドラインに基づく効率的な治療を受け入れていただけないことに、もどかしさを感じることもあるかもしれません。しかし、一つひとつ解決しながら、自分なりの医療を見つけることは、大いに意義があると思います。
私は治療についての理解を深めるため、可能な限り学会発表や論文作成することを自分に課しています。また、その時々に必要な勉強を怠らないようにし、その理解度を図るため、試験を受けるようにしています。
チーム医療を大切にした診療を目指す方へ
この施設の仕事では、「チーム医療を大事にすること」が求められます。
メンバーにはそれぞれに高い専門性が求められますが、リーダーたる医師が治療という専門性だけを追い求めてしまうと、うまくいきません。
歴史も踏まえた入所者の背景、倫理観、宗教観を熟知しているのはスタッフです。当園の基本理念である「生命の尊厳と人権を守り、穏やかで心豊かな療養生活と、安全で安心できる医療の提供」のためには、スタッフの意見を尊重すること。それが求められるリーダーの資質だと思います。
また、奄美和光園では入所者の希望により皮膚科に限り地域の方の診察もしていて、地元の重要な医療資源という側面もあります。生活の場として、奄美大島という土地と切っても切れない施設だといえます。生きていく場所は、自分で決めることができる。そしてそこで送る日々は充実したものになる、私はそう思っています。
令和4年3月31日
8:30 | 始業。 メールや書類の確認 1日のスケジュール確認と調整 |
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8:45 | 幹部ミーティング |
9:30 | 治療棟、病棟、不自由者棟を回り、診療や処置にあたる 当直に備えて全入所者の体調変化や治療内容の把握 主治医として担当入所者の全身管理 皮膚科医として全入所者の皮膚トラブルに対応 NST、褥瘡、感染対策など、各委員長として対策や指示 会議 |
12:00 | 昼食 午後の診療の準備。休憩時間が十分とれず、スタッフに心配されることもしばしば |
13:00 | 月・火・金曜日は外来診療(1日平均30人) 水・木曜日は外来の予約処置、検査、手術、自費診療 入所者の診療 会議 皮膚科専門医としての診療の他、感染症や高齢者医療(認知症、摂食嚥下、終末期ケア)の勉強や対策、副園長としての書類作成や確認作業(決裁)など、業務が多岐に渡り、終わるまで帰れません |
××:00 | 帰宅 敷地内に官舎があるので通勤時間は30秒ですが、ハブに注意! |