平成22年度 第1回水道水質基準逐次改正検討会議事録  日  時:平成22年7月12日(月)14:00〜17:00  場  所:金融庁9階904会議室  出席委員:眞柄座長、浅見委員、安藤委員、遠藤委員、国包委員、広瀬委員、       西村委員、松井委員 ○松田室長補佐   それでは、定刻より少し時間が早いですが、検討会に御参画していただいている委 員の方が皆さん御出席しましたので、これから平成22年度第1回「水質基準逐次改 正検討会」を開催いたします。  委員の皆様方には御多忙中にもかかわらず、お集まりいただきましてありがとうご ざいます。本検討会の開催に当たり、主催者を代表して粕谷水道課長よりごあいさつ を申し上げます。 ○粕谷課長   本日は足元のお悪い中、この検討会に御参加いただきまして本当にありがとうござ います。前水質管理官の吉口が7月1日付で水資源機構に異動になりまして、人事の 都合で後任が今、空席でございます。今月の終わりぐらいには後任も決まると人事担 当者から聞いているところでございますが、何とかまたきちんとした体制で我々も検 討していきたいと思っております。  逐次改正検討会では、これまでもカドミウムの基準値改正などいろいろ御議論賜り ましたし、今日は昨年から御議論いただいておりますトリクロロエチレン等の基準改 正案などについて御検討いただき、その先のことについても御議論を賜りたいと思い ます。  更に検出状況に基づく基準項目、管理目標設定項目の分類の見直しですとか、嫌気 性芽胞菌の検査法についても御議論いただく予定でございます。是非とも専門的な観 点から忌憚のない御意見を賜ればと思います。  申すまでもなく、水質基準は水道のさまざまな基準値あるいは規格の一番根本にな っているものでございまして、我々としても大変大切な検討会だと思っております。 引き続きいろいろ御指導賜りますようお願いいたしまして、冒頭のごあいさつとさせ ていただきます。よろしくお願いいたします。 ○松田室長補佐   本日は委員の先生方、皆様の御出席をいただいております。委員名簿については参 考資料2に付けております。  また、マスコミの方におかれましては、カメラ撮りは恐縮ですが、会議の冒頭のみ とさせていただいておりますので、御協力お願いいたします。  それでは、以降の議事進行につきましては、眞柄座長にお願いをしたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○眞柄座長   それでは「水質基準逐次改正検討会」を開催したいと思います。トリクロロエチレ ンの基準改正等に関する幾つかの議事が準備されておりますので、よろしく御審議を お願いいたしたいと思います。  それでは、まず最初に本日の配付資料が幾つか先生方のお手元にあると思いますが、 それの確認を行いたいと思いますので、事務局から説明をしてください。 ○松田室長補佐   それでは、資料の確認でございますが、最初の1枚目の議事次第に配付資料一覧を 書かせていただいておりますので、確認をお願いしたいと思います。  資料1「トリクロロエチレンの水質基準改正について」。  資料2「最新の科学的知見に基づく今後の水質基準等の改正方針(案)」。  資料3「検出状況に基づく水質基準項目及び水質管理目標設定項目の分類見直し」。  資料4「ハンドフォード改良寒天培地法(嫌気性芽胞菌の検査法)に必要な培地の 製造中止について」。  参考資料については運営要領と委員名簿を付けております。  以上、過不足がございましたら事務局にお申し付けいただければと思います。 ○眞柄座長   よろしゅうございますか。それでは、議事に入りたいと思います。  まず第一に、トリクロロエチレンの水質基準改正についてであります。事務局から 説明をお願いします。 ○松田室長補佐   それでは、資料1のトリクロロエチレンの水質基準改正につきまして、資料の御説 明を申し上げたいと思います。  「1.経緯」でございますが、トリクロロエチレンにつきましては平成20年11月 に内閣府食品安全委員会から、厚生労働大臣あてに食品健康影響評価が通知されまし て、トリクロロエチレンの非発がん毒性を指標とした場合のTDIが1.46μg体重/kg/ 日、発がん性のユニットリスクは8.3×10-3(mg/kg体重/日)とされました。  これを受けて平成22年2月の厚生科学審議会生活環境水道部会において、トリク ロロエチレンの水質基準に関して審議がなされ、今後は水質基準値を0.03mg/Lから 0.01 mg/Lに強化する方向で、薬品からの混入、資機材からの溶出などについてデー タ収集・解析を進めるとともに、食品安全基本法第24条第1項第7号の規定に基づ き、食品安全委員会の意見を求めることとされたところです。  平成22年6月11日に厚生労働大臣から食品安全委員長に、食品健康影響評価につ いて意見を求めており、6月17日の食品安全委員会において諮られております。今 後、審議をいただく予定となっております。  経緯にございました「トリクロロエチレンに係る水質基準等の見直しについて」の 考え方を参考に付けております。資料1の後ろの参考を見ていただければと思います。  1番目にトリクロロエチレンに係る水質基準等の見直し方針について、厚生科学審 議会において了承をいただいております。トリクロロエチレンについて現行基準(平 成15年答申)。このときは評価値が0.03ということでしたが、食品安全委員会の評 価内容で非発がん性の評価値が、TDIが1.46の部分で0.0183mg/L(WHOガイド ラインと同様に寄与率は、50%とした場合)ということで、このTDIを基にトリク ロロエチレンの水質基準の考え方として2番以降にお示ししているとおり、飲料水の 寄与率について70%として計算した結果、評価値を0.01mg/Lに強化をすることで了 承いただいております。これはおさらいとして御説明いたしました。  資料1に戻りまして、1ページ「2.トリクロロエチレンの水道水からの検出状況 について」ということで、これについて表1にお示しをしております。19年度の水道 統計水質編によれば、17年度から19年度までの間に0.01mg/L、これは評価値という ことですが、この10%超過については毎年約70〜100件、50%超過は約10件、評価 値を超えるものについては約3件あったということでございました。  「3.給水装置等における使用等について」ですが、これについては日本水道協会 の協力をいただきまして、水道用薬品、水道用資機材などの既往製品について、浸出 性に係る調査結果をとりまとめております。また、工業会への聞き取り調査を行いま して、水道用薬品、水道用塗料及び水道用資機材・給水装置などの製造に使用してい ないということでございました。また、水道用薬品、塗料、資機材について評価試験 または浸出試験データを調査した結果、トリクロロエチレンは検出されていないとい うことでした。  これについては5ページ目の別紙1に付けております。これについて先ほども御説 明をしたとおり、水道用薬品や塗料についての評価試験のデータを示しており、また、 工業会のヒアリング調査結果をお示ししていまして、水道用薬品ごとの評価試験のデ ータで濃度が検出されていないというデータと、工業会のヒアリング結果で薬品等に はトリクロロエチレンを使用していないことをお示ししています。  2番目にも同様に水道用塗料について、さまざまな製品があるわけですが、それぞ れごとの浸出試験データ、使用状況をお示ししております。  6ページ目には水道用資機材・給水装置について、これについても確認試験、浸出 試験データと、工業会へのヒアリング結果として使用状況をお示ししています。  資料1の2ページに戻りまして「4.水道事業体の対応について」でございますが、 15年度から19年度の間に、原水から現行評価値の10%値以上が検出された水道事業 体を対象に、浄水におけるトリクロロエチレンの検出状況、基準値が強化された場合 の対応について、対応策のアンケート調査を行ったわけですが、63の上水道事業体、 9の簡易水道事業体から回答がありました。  これらの水道事業体に対して基準の達成可能性について確認をしたところ、すべて の水道事業体でほかの水源からのバックアップやエアレーション設備の設置等によ り、水質基準の遵守が可能であることが示されております。  「5.今後の方針」でございますが、トリクロロエチレンの水質基準値について、 今後の食品安全委員会の審議においてTDIを現行の1.46μg/kg体重/日に維持する ことが決定される場合、従来の方針どおり水質基準値を0.03mg/L以下から0.01mg/L 以下に強化をすることとしたいと考えております。  表2に水質基準、薬品基準、資機材の材質基準、給水装置の浸出性基準。給水装置 の基準については水栓その他末端給水用具と、それ以外の給水用具または給水管で分 かれますが、それぞれについて基準の見直しということで、強化をしたいということ でございます。  ということで、これについては施行時期を平成23年4月施行ということで、来年 度から基準値を強化することとしたいと考えております。  資料1については以上でございます。 ○眞柄座長   ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について御質問や御意見が ございましたら、委員の方々からお出しください。いかがでしょうか。 ○浅見委員   なかなか地下水の汚染ということで、大分難しいかもしれないところを調べていた だきまして、ほぼ水道事業体では対応が可能と伺ったんですけれども、今回は地下水 の汚染ということがありまして、多分データ収集するのが非常に難しいと思うんです が、今後施行されたときに専用水道等でも超過する場合があり得る可能性があると思 いますので、その辺の情報の周知を施行のときに徹底していただけるとありがたいな と思います。 ○眞柄座長   ほかにいかがでしょうか。安藤委員、どうぞ。 ○安藤委員   これはむしろお願いなんですが、トリクロロエチレンが出ているような地下水は将 来、塩化ビニルモノマーが当然変わって出てくるだろうと想像される。環境省も当然 その基準化しました。それを考えますと、これからそういうことにも目を向けていた だければありがたいということです。これは希望です。 ○眞柄座長   ほかにございませんか。よろしゅうございますか。  それでは、特に御意見がないようですが、一番最初の経緯にありますように、平成 20年11月に食安委からトリクロロエチレンの1日耐容摂取量を1.46ということにつ いて通知をされたわけでございます。それを踏まえて種々検討されてきて、今日のよ うな形になったわけでございますので、2ページにありますように来年4月施行とい う形で、現行の水質基準値を0.03から0.01にするということで、検討委員会として 結論を出したいと思います。  なお、これに関しましてお二人の委員から、1つは専用水道あるいは自家用の井戸 に関して、新しい基準が施行されるに当たって、その背景などがよく承知されるよう に配慮をいただきたいことが1点だと思います。まさにそのとおりだと思います。  もう一点はトリクロロエチレンのみならず、地下水の有機化学物質による汚染や多 くの化学物質の使用が禁止されるようになってきましたが、現に我が国の地下水では まだ汚染が続いておりますし、かつてはこれらの化学物質は非常に安定で、地下水あ るいは土壌中で変化しないと考えられていましたが、だんだんといろいろな調査の蓄 積から、それらも地下水あるいは土壌中で変化することがわかってきましたので、地 下水のこれらの化学物質による汚染について、その挙動等についての調査を国として 引き続き進めていきたいということであったかと思います。そのとおりだと思います ので、厚労省の方で行政調査費あるいは科学研究費、補助金等の際に、これらの御意 見を御配慮していただきたいと思います。  それでは、トリクロロエチレンにつきましては、これで終わりたいと思います。  議事2で、最新の科学的知見に基づく今後の水質基準等の改正方針について、事務 局から御説明をください。お願いします。 ○松田室長補佐   それでは、資料2の今後の水質基準等の改正方針(案)について説明いたします。  水質基準については平成15年の厚生科学審議会答申で、最新の科学的知見に従い、 逐次改正方式により見直しを行うこととされ、厚生労働省では本検討会で、所要の検 討を進めていただいてございます。  そこで本検討会におきまして、内閣府の食品安全委員会で新たな健康影響評価の知 見が出てきているということでございますので、今後の水質基準の改正方針について 検討いただきたいと考えております。  2番目に今後の水質基準等の見直しということですが、新たに内閣府食品安全委員 会による食品健康影響評価が得られた項目でございます。最近の食品安全委員会の食 品健康影響評価ということで、農薬類以外のものと農薬類で分けておりまして、最初 に農薬類以外のものでございます。  これについては表を付けておるのですけれども、水質基準項目ということで物質名 と、その物質名について現在の水質基準の根拠になっている現行基準(H15答申)と いうのがあるのですが、これは厚生科学審議会の答申の中で示されている根拠でござ います。これについて食品安全委員会の評価内容が、平成15年の厚生科学審議会の 答申の内容と比較してどうなのかという点を、この表の中で示しております。  クロロホルムですが、これについては食品安全委員会の評価内容は平成15年答申 に示される知見と同じでございました。そのため、対応方針としては現行評価値を維 持することでどうかと考えております。  2ページ目、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルムの3物 質について、同様に厚生科学審議会の答申に示される評価値または根拠と、現在の食 安委の評価内容が同じということでございますので、評価値については維持をするこ とでどうかと考えております。  3ページ、総トリハロメタンでございますが、厚生科学審議会の答申は消毒副生成 物全生成量を抑制するための総括的指標として、0.1 mg/Lとすることは適当と示され ているわけですけれども、食品安全委員会につきましては総トリハロメタンとしての TDIは、設定できないとしております。  これについては各物質の評価は平成15年答申と同一の評価ということもございま すので、現行評価値を維持することの更新でいくとすると、総トリハロメタンについ ても現行評価値を維持することでよろしいのではないかということで、お示しをして おります。  これらの5物質について、現行評価値を維持することでお示しをしております。  4ページ、次は農薬類でございます。農薬類については出荷量や水への検出状況、 測定方法の有無などで、第1候補群、第2候補群、第3候補群ということで、3つの 分類がなされている。特に第1候補群につきましては水質管理目標設定項目というこ とで、農薬類の総括的指標としてお示しをしているところでございます。  これについて、やはり食品安全委員会でもそれぞれの農薬類について新たな評価が 示されているところでございまして、まず第1候補群につきましてはイプロベンホス とエスプロカルブについて、ADIが平成15年の厚生科学審議会の答申の目標値と 異なる値になっております。それを受けて、この2つの農薬類については評価値を緩 和する方向で(案)をお示ししております。  第2候補群でございますが、これについては1物質メトラクロールがありますが、 これについては平成15年答申と食安委の評価内容は同じで、現行評価値を維持する ことでどうかということでお示しをしております。  第3候補群につきましては、ペントキサゾンについて評価値を0.6に緩和するとい うことを示しております。パクロブトラゾールについては評価値を0.05に強化という ことでお示しをしております。  ということで、こちらにお示しをした網かけをした農薬類については、評価値を緩 和もしくは強化でどうかということでお示しをしております。  第1候補群につきましては、新評価値案に照らした検出状況について、いずれの物 質も評価値の50%値を超えることはないということで、現時点では水質基準項目への 格上げは必要ないと考えております。  今後につきましては、農薬類の分類につきまして3つの分類があるということでご ざいますけれども、これは平成15年の答申の際に、それまでの農薬類のデータを基 に当時作成したということですが、現在の出荷量、農薬類の水における検出状況とい うのは刻一刻変わっていることもございますので、この辺のデータを見て農薬の分類 の見直し、水質基準の格上げなど、これについて厚労科研の中で松井先生を中心にし て研究を行っていただいていますので、この研究に携わっている松井先生や浅見先生 などの協力をいただいて、今後は検討していきたいと考えております。  6ページ、要検討項目に関する評価値等の検討についてでございます。  最初に過塩素酸でございます。過塩素酸イオンは水溶性で、水中では移動性が高く て非常に安定をしてございます。また、過塩素酸塩は浄水処理に用いられる次亜塩素 酸ナトリウムの分解過程でも生じるものでございます。  主な使用用途についてはロケット、ミサイルの推進剤、火薬、花火、安全マッチな どであるということで、我が国の生産量はナトリウム塩で1,370tと推定されています。  国内におきましては、平成18年に国立保健医療科学院で全国の代表的な水系を対 象に行った原水・浄水中の実態調査で、利根川で冬季に高濃度の過塩素酸が検出され ている状況でございます。原水では5.2〜13μg/L、浄水では5.5〜15μg/L。その他の 水系では原水・浄水ともに濃度は低い状況でございました。  過塩素酸につきましては、通常の浄水処理では除去できないということで、原水と 浄水の検出濃度はほぼ同程度でございます。現在、先ほど利根川水系で高濃度が検出 されたということでございましたが、排出事業者による自主的な取組みが行われてい て、利根川水系の濃度というのは5μg/L以下の低濃度で推移をしてございます。  過塩素酸につきましては、平成20年12月16日の厚生科学審議会生活環境水道部 会の了承を得て、要検討項目に平成21年4月から位置づけてきているということで すが、評価値は未設定でございました。  今般、2010年3月にJECFAにおいて過塩素酸の暫定最大1日耐容摂取量が0.01 という数字が示されたことを受けて、JECFAや米国EPA等の過塩素酸の評価書 レビューを行いまして、主要な科学的知見を抽出して評価値の検討を行ってきたとこ ろです。この検討に当たっては、本検討会の委員の広瀬先生に御協力をいただいてお ります。  毒性評価の概要でございますが、過塩素酸イオン、過塩素酸についてはラットなど の動物実験の結果で、甲状腺への影響が報告されております。また、ヒトのボランテ ィア実験でも甲状腺へのヨウ素取込み阻害が報告されております。疫学研究でも甲状 腺機能低下との関連性を示唆した報告があります。  米国EPAなどの評価においては、ヒトボランティア実験Greerらの知見を用いた リスク値の設定が行われております。EPAなどでは甲状腺へのヨウ化物取込み阻害 をエンドポイントとしてNOELを設定して、RfDを設定しています。それが 0.0007mg/kg/dayと出てございます。  カリフォルニア州EPAにおいても、BMD手法を用いて5%のヨード取込み阻害 率に基づいたBMDの数値を設定して、それを基に健康を守るべき濃度ということで 0.0056mg/Lを算出しております。  JECFAにおきましてはGreerらの知見、これはEPAやカリフォルニアEPA と同じ知見を用いてBMD手法を適用して、BMDの50%値、甲状腺へのヨウ化物取 込みが50%阻害される用量として0.11mg/kg/dayを求め、この値から個体差に関する 不確実係数10を適用して、先ほどお示しした暫定的な耐容1日摂取量0.01mg/kg/day を設定しております。  National Academies of Scienceのレビューによれば、通常の食事からヨウ化物を摂 取している成人では、ヨウ化物取込み阻害率が少なくとも75%で数か月以上続かなけ れば、甲状腺ホルモン産生の低下が引き起こされない。健康な小児、成人の場合、ヨ ウ化物取込み阻害の程度が50%までであれば、短期的・長期的な取込み阻害に対応す るホメオスタシスが機能することが知られている。  そこでJECFAのBMDL50 0.11mg/kg/dayであれば、正常な成人に甲状腺機能 低下を生じさせる用量0.4とBMDL50 とのマージンが少なくとも4倍あるというこ とでございます。なお、この0.4というのはNational Academies of Scienceにおいて 示されている数値でございます。  したがって、JECFAのBMDL50に基づく暫定的なTDIというのは適切なも のと示しております。  JECFAの耐容1日摂取量を用いた場合は我が国の評価値の算定法に従って、体 重50kgの人が1日当たり2Lの飲料水の摂取、アロケーション10%を前提として、 水道水中の過塩素酸(イオン)に関する評価値は25μg/Lとなります。  この数字を過塩素酸の評価値として、引き続き要検討項目として存在状況調査など について知見の集積を図ることとしたいと考えております。その上で水質管理目標設 定項目への格上げを検討することとしたいと考えております。  8ページ、塩化ビニルでございます。主にポリ塩化ビニルなどの樹脂の合成原料に 用いられる物質で、我が国の生産量は300万トン程度。IARCではグループ1に分 類しているということでございます。  国内では16年度から19年度の水道事業体が行った水質検査においては、塩化ビニ ルが検出された地点が8点あったということでございます。検出濃度は0.1〜2.8μg/L で、評価値の2.0μg/Lを超過したのは、平成20年度に1地点であったということで ございました。同時に測定した原水が検出されておらず、浄水で検出された原因は明 らかになっておりません。  塩化ビニルについては平成15年4月28日の厚生科学審議会答申を受け、要検討項 目として評価値を定めています。その後、WHO飲料水ガイドライン及びEPAにお いて塩化ビニルのガイドライン値が示されたことを受け、WHOの飲料水ガイドライ ンや米国EPAなどの塩化ビニルの評価書をレビューし、主要な科学的知見を抽出し、 現在の要検討項目の評価値の点検を行っております。これについても同様に、広瀬先 生の協力をいただいております。  塩化ビニルにつきましては、DNAに作用する遺伝毒性物質であることが示されて おります。ラットなどの動物実験結果において肝細胞の変性、腫瘍性結節、肝細胞が ん、血管肉腫などの腫瘍のほか、種々の影響が確認されています。また、吸入経路で 高濃度に曝露された労働者の知見から、発がん性を示す証拠が得られています。  米国EPA、WHOにつきましては、Wisterラットを用いた投与試験の結果で、飲 料水のガイドライン値などを算出しています。EPAについては肝腫瘍の発生率を線 形マルチステージモデルに適用して、スロープファクターから10-5のリスクレベルに 相当する濃度として、成人では0.48μg/L、出生時からの曝露のガイドライン値とし て0.24μg/Lを算出しております。  WHOも同様のデータと手法を用いまして、成人期の曝露については0.5μg/L、出 生時からの曝露については0.3μg/Lを算出しております。  一方、日本でも2003年に同じFeronらの報告の雌の肝細胞がんの発生率を用い、 線形マルチステージモデルを用いて10-5リスク相当の用量(VSD)として0.0875 mg/kg/dayを算出しております。我が国の水質リスク評価においては、米国EPAや WHOで採用した肝臓腫瘍のうち、腫瘍性結節の発生率については肝細胞腫瘍のほか に結節性過形成が含まれている可能性があることから、低用量への外挿が適切ではな いとし、また、肝細胞がんと血管肉腫は異なる細胞から発生するため、その発生率を 併せたものを用いることも不適切としております。  これ以降、塩化ビニルの肝腫瘍発生のリスク評価に関する新たな知見や見解は公表 されておらず、現状の我が国のリスク評価結果を変更するには至らないものと考えら れるということで書いております。  したがって、我が国の評価値については引き続き2μg/Lとして維持をすることが、 適切ではないかということで示しております。要検討項目として存在状況調査を行っ て、知見の集積を図っていきたいと考えています。その上で必要があれば水質管理目 標設定項目への格上げも検討していきたいと考えております。  参考として、日本水道協会において塩化ビニル濃度の調査結果、6つの水道事業体 の水道原水、浄水場のデータを提供していただいております。1事業体の浄水、給水 栓水の調査において、最大0.2μg/Lの検出が確認されているということです。  また、過去5年間では塩化ビニルが検出された事業体はなかったということです。  一方で幾つかの事業体では塩化ビニルの生成確認試験が行われた結果、水道原水に 塩素を添加して設置して、24時間後に塩化ビニルモノマーの生成が確認されていると いう結果も示されております。  なお、塩化ビニル管からの浸出確認試験を行った結果では、溶出は確認されていな かったということでございます。  10ページ、PFOS、PFOAでございます。  最初にPFOSでございますが、すべての水素がフッ素で置換された直鎖アルキル 基を有するスルホン酸ということで、界面活性剤としての使用など、種々の合成原料 や消化剤に利用されているものでございます。  我が国の水道水質基準では要検討項目、ただし基準値の設定はないということです。 ほか、WHOの飲料水ガイドラインでは指針値の設定には至っていないものの、環境 中の濃度などのデータの蓄積が必要とされております。  一方、PFOSにつきましてはPOPs条約の第4回締約国会議において、使用制 限の対象物質として新規登録され、国内においては化審法で製造・輸入・使用などが 禁止されることになっております。  以上のことから、PFOSに関する最新の評価書をレビューして、科学的知見の抽 出、検討を行っております。  これについても広瀬先生の協力をいただいております。  毒性評価の概要でございますが、イギリスにおいてはPFOSを含む消化剤による 水源地の汚染の問題を契機とした一連の検討がございまして、非発がん性の影響を根 拠としたTDIが示され、体重10kgの1歳児の日毎飲料水摂取量を1L、アロケーシ ョンを10%として、0.3μg/Lの飲料水中「最大許容」濃度の改定勧告値が報告されて います。  このほか、EFSAにおいてはカニクイザル亜慢性試験結果から0.15 μg/kg/day を勧告しております。  一方、我が国では環境省で環境リスク初期評価を実施しております。ラットについ て非発がん性影響の無毒性量など、これは0.03mg/kg/dayと飲料水・食物からの平均 曝露量を比較して、マージンが450ということで報告をしております。これは無毒性 量と曝露量の比較で計算するものでございます。  PFOSについてはPOPs条約の対象物質ということですが、特にヒトにおける 体内残留性の高いことが知られております。ヒトについては血清中半減期は5.4年、 雄ラットでは約180時間、サルでは88〜146日ということで、ヒトと実験動物の間に 半減期の著しい種差があるということでございます。このことは耐容摂取量を求める ときには、摂取量よりも体内負荷量や血中濃度などを用いて、実験動物の結果からヒ トへの外挿を行うべきであることを示唆しております。  実際にU.S.EPAの暫定評価でも種差について、これらの血中クリアランスの違いを 考慮しております。最終的な勧告値としては0.2μg/Lを設定してございます。  しかし、サルを用いた長期間の投与の血清中濃度を解析した実験では、曝露時間に 依存した血清中濃度増加曲線が曝露量に依存して飽和現象が認められる。また、1コ ンパートメントモデルでは説明できないということで、詳細なPBPKモデルの構築 が求められるということでございます。メカニズムの観点からも、一般毒性に加えて 生殖発生毒性や発がん性も含めた、さまざまなエンドポイントに対するヒトへの外挿 性を考慮することも指摘されています。  このため、PFOSに関する体内動態解析情報やヒトへの外挿性に関するメカニズ ム研究情報を収集して、評価値を検討することと併せて、曝露マージンがどれだけあ るかということで、飲料水濃度や環境中濃度のモニタリングの継続が望ましいという ことで、こちらにまとめております。  PFOSについては引き続き要検討項目として、存在状況調査等について知見の集 積を図っていきたいということでまとめております。  次にPFOAですが、PFOAについてもPFOSと物質としてはかなり近いもの でございます。違いがあるとすれば、POPs条約ではPFOAについては対象にな っていないということでございます。ただ、PFOSの類似物質として注目がなされ てございます。  ここも同様に最新の評価書をレビューしている。主要な科学知見の抽出、検討を行 っているということでございます。PFOAの毒性評価文書については、PFOSと 同様にイギリスでの検討があるということでございます。これについてはTDIとし て3μg/kg/dayの勧告値に基づいて、体重5kgの人工乳保育児の日毎飲料水摂取量を 0.75L、アロケーションを50%として、10μg/Lの飲料水中「最大許容」濃度の勧告 値が報告されてございます。PFOAについても同様にTDIが勧告されてございます。  我が国については環境省の初期リスク評価において、無毒性量と平均曝露量とのマ ージンがどれだけあるかということで、500以上あることを報告しています。  PFOAもPFOSと同じように体内残留性が高いということで、その点について の同様の記述を13ページの3行目から下から7行目ぐらいまでのところに記載して ございます。PFOAについても同様に体内動態の解析情報、ヒトへの外挿性につい てのメカニズム研究情報を収集することで評価値を検討するとともに、曝露マージン を求めるためにも、飲料水濃度や環境中濃度のモニタリングの継続が望ましいと書い ております。引き続き要検討項目として、存在状況調査等について知見の集積を図っ ていきたいと思っております。  14、15ページについてはダイオキシンについてです。体内負荷量を考慮して算出を しているということが事例としてありますので、それについての資料をお示ししてお ります。実験動物の体内負荷量とヒトの体内負荷量はほぼ同じだということで、あと はヒトの血中のダイオキシン濃度の体内負荷量というのも数学モデルで計算をして、 TDIを算定した例ということでお示しをしております。  以上でございます。 ○眞柄座長   ありがとうございました。それでは、これらの資料を作成する段階で、広瀬委員に いろいろと御助言をいただいたようでございますので、先生からコメントがあればお 願いします。 ○広瀬委員   特に事務局からの説明に追加するということではありませんけれども、過塩素酸に ついては実は同じエンドポイントで、EPAもカリフォルニアもJECFAも評価し ているところで、何が違うかというところでは、ヨウ化物の取込み阻害がどのくらい 有害影響に寄与するかという、毒性学的解釈の違いが一番大きいです。実質的にJE CFAは有害影響をヒトで起きるような影響をエンドポイントとして、通常余り使わ ないんですけれども、BMDL50という値をもとに決めたということで、こういった 値が出てきている。そこが値の違いになっています。  塩化ビニルにつきましては、これは実は既に2003年の時点で評価していまして、 私の論文が引用されていますけれども、これはそのときの評価を論文にしたので、実 質的にはWHOの評価と日本の評価が同時に進行していて、結果的にそれを比較した らこうであったということで、それ以降データがないので現状維持で良いだろうとい った内容でまとめさせていただいているところです。  PFOSとPFOAにつきましては、まだこれは国際的にコンセンサスを得た評価 というのはできていないところです。クラシカルに不確実係数というアプローチをイ ギリスといったところでやっていますけれども、EPAでは暫定評価としてダイオキ シンに似たというわけではないんですが、半減期の長いキネティクスを考慮して、不 確実係数を半減期あるいはクリアランスでも、1コンパートメントモデルだと半減期 の比とクリアランスの比は同じ計算でできますので、それを不確実係数に、この場合 は不確実係数と本当は言わなくて、化学物質特異的調整係数となるんですけれども、 扱いとしては同じです。それで0.2μgになるだろうといった暫定値を算出していると いうことです。  この文書で実は少し計算を端折っていまして、寄与率を20%として0.2になるとい うのは、NOAELからいくと実はこの計算にならなくて、EPAは子どもが10kg で毎日1L飲むというデフォルトを使っているところを、後で付け加えた方がいいか もしれないです。同じことをPFOAでもやっている。実は誤植がありまして、EP Aの暫定値が0.2ではなくて、その計算でいくと0.4になりますので、0.4を暫定値と して算出しております。  最後のダイオキシンの説明がPFOA、PFOSとどう関係しているのかというの は説明が難しいんですけれども、1つは体内負荷量というか、血中濃度とイコールの 関係で比較したかったということと、ダイオキシンのときは明示的に使わなかったん ですが、これは調整係数をこのダイオキシンでもし適用したとすると、多分数百倍ぐ らいの半減期の違いがその程度ありますので、それがTDIの設定に結果的に反映され てるといったところで、ある意味似たような評価をしているといった例として、挙げ させていただいているところです。  以上です。 ○眞柄座長   ありがとうございました。それでは、どこからでも結構ですので、御質問や御意見 があったら出してください。浅見委員、どうぞ。 ○浅見委員   ありがとうございました。広瀬先生の先ほどの御説明の中で、私が聞き間違えたか もしれないんですが、BMDL50は余り使わないと過塩素酸の関連のものであったん ですけれども、それは安全率の見込みが少ないということでしょうか。  過塩素酸の通常の濃度というので、科学院で調査したものを載せていただいている んですけれども、大体こういう形で推移なんですが、ときどき少し高いことがある場 合もありまして、例えば排水が出てしまっているときですとか、何か行事があってと いう場合で、ときどき変動がある可能性があるんですけれども、その辺の注意事項が あれば教えていただきたいと思います。 ○広瀬委員   それはひょっとしたら評価値を超えるケースがあるかもしれないという意味です か。 ○浅見委員   評価値を完全に超えるまではいかないかもしれないですけれども、5以下で推移と いうものよりは少し高いことがある場合があると思うんです。 ○広瀬委員  ヒトで50%ヨウ素の取込みで使ったということは、ヒトは甲状腺ホルモンの結合タ ンパクというものを血中に持っていまして、多少の変動で変化しないですが。ラット はそういうタンパクがないので、甲状腺ホルモンレベルに影響を与える物質を投与す ることによりすぐにT3とかT4が変動するんです。  ヒトは結合タンパクというバッファーがありまして、ヨードの取込み阻害が多少変 動してもT3、T4は余り変わらない。そういう知見に基づいて50%取り込み阻害を 指標としてとっているということで、マージンという意味でいくと100とか1,000を 使う化学物質に比べると少ないということがありますけれども、ヒトの知見でやって いるという点を考慮すると、一過性の変動については余り気にするほどの影響ではな いかという気がします。 ○浅見委員  ありがとうございます。 ○眞柄座長  ほかにございますか。国包委員、どうぞ。 ○国包委員  私の方からも広瀬先生に質問なんですけれども、今の過塩素酸のヨウ素取込み阻害 に関して、私の記憶ですと同じような阻害を示すものは、過塩素酸以外にも結構いろ いろあって、過塩素酸だけの影響を実験で明らかにするのは非常に難しいという話を 聞いた覚えがあるんですが、そういった観点からこの過塩素酸の毒性評価のデータの 信頼性は、どう考えればよろしいでしょうか。 ○広瀬委員  複合曝露ということでしょうか、1つはヒトのボランティア実験なので、影響値、 NOAELの根拠、BMDLの根拠については過塩素酸しか曝露していない状況のデ ータであり、、通常の疫学調査の場合は何が曝露しているのかわからないことを考慮 すると、そういう意味ではこのデータは信頼性が高いと思います。例数の多さに関す る信頼性も一方ではありますが、そういう意味でヒトの不確実係数10を加えてあり ますので、それはいいと思います。  ただ、今、言った実際の複合曝露については、特に水道の不純物の中にあるヨウ素 取り込み阻害の物質が挟雑夾雑したときの評価の問題は、まだそういうものを国際的 にもどういう評価をするという点については、まさにそういった複合曝露の影響とい うのは実はどこの国もトピックでして、農薬もそうですし、フタル酸といった複合曝 露で同じメカニズムというのを一緒に曝露している場合のリスク評価は、ハーモナイ ズを確立しようとしている段階です。しかし、今回はこれをケアしていません。 ○国包委員  どうもありがとうございます。必ずしも複合曝露ということではなくて、過塩素酸 そのものの毒性評価に関して、これはボランティア実験だからほかの交絡因子のこと は全然問題にする必要がないということであれば、それはそれでいいと思うんです。 ただ、実際問題として同じようなヨウ素取込み阻害を示す物質がこれ以外に結構あっ て、トータルとしてそういったものがヨウ素の取込み阻害を引き起こしているので、 その中の過塩素酸だけを評価することがなかなか難しいということだったように私 は記憶をしております。このボランティア実験では問題なくできているということで あれば、それで結構です。 ○広瀬委員  これについてはそうだと思います。 ○眞柄座長  ありがとうございます。よろしいですか。遠藤委員、どうぞ。 ○遠藤委員  塩化ビニルについては遺伝子に対する影響があるということなので、可能性があれ ば接触毒性についてデータを収集していただければと存じます。経皮的な曝露による 健康影響についてです。 ○眞柄座長  西村さん、何もないですね。塩ビモノマーだからガス化してしまうんでしょう。 ○西村委員  ただ、ガス化したときに皮膚からということでも、直接触らなくてもそこから吸収 の有無ということだろうと思います。 ○眞柄座長  塩化ビニルと書いてあるから、これはあくまでもポリ塩化ビニルではない。それの 原料のモノマーでしょう。だから遠藤先生がおっしゃるような曝露経路はあるのです か。 ○広瀬委員  それは例えば感作性ということですか。ひょっとしたらモノマーだと皮膚の生体分 子と結合して。  データは今、調べていないので、多分そういう実験はあると思いますけれども、そ れは調べていなかったです。 ○遠藤委員  本質的に余り心配しなくて良さそうですけれども、また、高濃度の汚染があるとも 考えられませんが、水道水は飲むだけではないのでお持ちでしたら経皮暴露による健 康影響についてのデータがあれば教えていただければと思います。 ○眞柄座長  最初の農薬類以外のところで、現行基準が平成15年の答申で、答申のところは括 弧付きでUF:1,000となっています。食安委の評価内容はH15答申と同じと書いて あって、食安委の評価でUFの値は明かしているんですか。 ○広瀬委員  明かしています。 ○眞柄座長  では私の理解が外れていました。明かしていれば結構です。  ほかにございますか。国包委員、どうぞ。 ○国包委員  もう一点確認なんですが、先ほどの過塩素酸で毒性のこととは直接関係ないんです けれども、6ページの検討経緯の2〜3行目に、次亜塩素酸ナトリウムの分解過程に おいても生じると書いてあります。私はそういう理解を必ずしもしていなかったんで すが、確認をされたんですか。浅見さん、これは科学院でということでしょうか。 ○浅見委員  はい。実験的にも。  科学院の方でもアメリカのAWWAとの共同調査もしておりまして、次亜塩素酸ナ トリウムを高い濃度といいますか、12%ですとかそういう市販の次亜の濃度で保存を したときに、塩素酸にいって過塩素酸まで酸化をしてというケースがあることは確認 をしております。それがどういうときになりやすいかというと、不純物が多いときで すとか、時間が長くなってきたときというのはあるんですけれども、ただ、浄水場で 使うような濃度に最後希釈をして使いますので、希釈をして使っていったときにはい ろんなところの実態調査の塩素注入量を踏まえますと、最大でも1μg/Lぐらいの影 響しかないので、ほとんど次亜から来る過塩素酸というのはほとんど心配するほどで はないかなというのが結論というか、我々の調査の限りではそう思っております。 ○国包委員  わかりました。 ○眞柄委員  よろしゅうございますか。ほかにございますか。  それでは、この議事2の農薬類以外のクロロホルム等については、事務局の説明の とおり。  農薬類については食安委で評価が変わりましたので、それを踏まえて評価値を緩和 したり強化したりするものが4種類の農薬についてある。なお、今後の課題としては、 厚生科学研究費で農薬類について研究が引き続き行われておりますので、その成果を 将来活用することにしたいということでございました。  要検討項目に関する評価値等の検討でありますが、過塩素酸についてはとりあえず 25μg/Lとするということで、この評価値を前提として存在状況調査等を行い、それ を管理目標設定項目あるいは水質基準項目にするかということの検討を、次のステッ プとして行いたいということであったと思います。  なお、国包委員あるいはほかの方かもしれませんが、毒性評価についてBMDを用 いているわけですけれども、それのある種の信頼性というか妥当性について質問が出 されましたが、現在このデータ、この数値を出すのはボランティア実験でありますの で、過塩素酸についての影響についてはBMGの手法でよろしいかと思います。  なお、過塩素酸に関わらず、さまざまな化学物質について、ある種の複合影響は現 実として存在することがしばしばありますが、その際のリスク評価について、国際的 に定まったものが現在ではありませんので、それについては今後とも動向を注視して いくことかと思います。  塩化ビニルにつきましては基本的には評価値を維持しつつ、今後とも存在状況調査 を行うということであったとかと思います。  PFOS、PFOAでありますが、これにつきましてもヒトへの影響の機序、つま りダイナミックな挙動あるいはメカニズム的にまだ不明の点が多くて、毒性評価ある いはリスク評価が確定しておりませんので、今後とも要検討項目として存在状況の調 査を進めていくことが案として出されまして、今後ともその方向で進めるということ であったかと思います。どうもありがとうございました。  それでは、続いて議事3でありまして、検出状況に基づく水質基準項目及び水質管 理目標設定項目の分類の見直しについてであります。これにつきましては事務局から 御説明をください。 ○松田室長補佐  それでは、資料3に基づきまして、検出状況に基づく水質基準項目と水質管理目標 設定項目の分類見直しについて御説明いたします。  これらの分類につきましては、第8回厚生科学審議会生活環境水道部会(平成22 年2月2日)において、了承が得られた別紙の考え方に基づきまして、15年度から 19年度までの浄水等の検出状況から、検出基準項目などの分類の見直しに関する作業 を行っております。  最初におさらいとして、別紙をごらんいただければと思います。4ページ目でござ います。これにつきまして逐次水質基準改正検討会において、分類の見直しの考え方 について御議論をいただいて、その議論を踏まえて修正をして、厚生科学審議会に提 出をした資料でございます。  定期見直しの進め方ということで、水質検査結果に基づいて濃度が頻繁に変わった りする場合もあり、基準項目と管理目標項目を定期見直ししようということでござい ますが、そこで定期見直しの対象物質については、物質をそれぞれの項目について据 え置くべきものを整理した上で、それ以外の項目について見直しをしていこうという ことで、この段階で了承をいただいてございます。  5ページ目には水質基準項目として据え置くべき対象物質として、水道法第4条に 例示されているものとか、飲料水の水質としての基本的指標として考えられるものと か、指標性の観点から議論すべきものとか、鉛管の交換推進の観点とか、さまざまな 観点で据え置くべきものを選んでございます。  6ページ目、水質管理目標設定項目として評価値が暫定なものとか、基準を補完す るものについて選定をしております。  以下に示す項目については、据え置くべきか専門家の議論を踏まえて確認すべきも のとして、代表的な汚染物質として社会的関心が高いものとか、トリハロメタン生成 能に関連するものとか、オゾン処理の副生成物など、これらについては据え置くべき か確認すべき物質ということで示しております。  ということで、現時点で基準項目と管理目標設定項目の見直しをすべき物質として は、基準項目14項目、水質管理目標設定項目は農薬類も含めて11項目とされてござ います。これについては5年ごとに、5年分の検査結果に基づいて計画的に見直すこ ととされております。  水質基準の分類の考え方でございますが、これについては15年の答申を踏まえて 10%値を重視しつつ、50%値についても考慮して、複数年度の検出状況や検出率を踏 まえて分類を精査していくこととされております。  8ページの下の表にありますけれども、見直しの検討時点で水質基準項目等につい ては、分類要件が10%超過のものが1つでもあれば基準項目として維持をする。ただ、 10%値もないということであれば、水質管理目標設定項目に格下げをする。水質管理 目標設定項目につきましては、分類要件が10%超過地点があるということと併せて、 50%値の超過地点がある、または評価値を超過する地点については水質基準項目に格 上げをする。そうでない場合については、水質管理目標設定項目として維持をすると いうことで、こちらにお示しをしております。  こういった考え方に基づいて1ページにまた戻って、水質の検出状況から見て分類 の見直し作業を行ってきました。2ページに過去5年間の浄水水質の検査結果をもち まして、評価値の10%超過地点数、50%超過地点数、評価値の超過地点数についてデ ータを整理しております。そこの検討結果としては見直し時点で水質基準項目につい て、分類要件1に該当する場合は基準項目として維持するということでございました。 これについては分類要件2でYESかNOかというもので分かれてはいるのですけ れども、基本的に分類要件1がNOのものについてはなかったということで、水質基 準項目について水質管理目標設定項目に格下げするものはなかったところでござい ます。  見直し時点で水質管理目標設定項目については、分類要件1は評価値が10%値を超 えるものがあったのですが、50%値が評価値を超えるものはなかったということで、 これも基準項目に格上げするものはございませんでした。  ということで、現時点では分類の見直しを行うべき項目はないということですが、 農薬類については第1群の物質に総括的な指標ということでございますので、非常に 膨大な物質がある。これについては改めて検出状況を整理して、分類要件に即したさ らなる検討が必要と考えております。これについては先ほども資料2で説明をしまし たけれども、農薬類のリスクの見直しと併せて、検出状況を整理して、必要に応じて 基準項目に格上げするものも考えていく必要があるかと思います。  ということで、また引き続き検査結果を収集して分類の見直し、検討を行っていく ことでどうかということでまとめております。  以上です。 ○眞柄座長  ありがとうございました。それでは、御質問や御意見がありましたら、どうぞお出 しください。いかがでしょうか。よろしいですか。  それでは、これにつきましては今日、御説明があった方針で進めるということでよ ろしいかと思いますが、これはあくまでも浄水水質の検査結果を基にして検討したも のでありますので、これとは別に原水のデータもございますので、原水の挙動も別途 見ていただいて、どうするか検討していただきたいと思います。  例えばシアンは浄水には絶対ないんだからこの表の中には入ってこないわけです。 でも浄水処理を考える上で、あるいは安心して水道水を使うという場合には、そうい うものも基準の中に入っているわけですから、言わば急性毒性に属するようなもので 浄水ではなくなるというものも、水質基準の枠組みの中に入れておかないといけない ものもあるので、その辺のところをよく見ておくという意味で、原水の水質データも 別途報告されておりますから、そういうデータもチェックしていただきたいと思いま す。ありがとうございました。  それでは、その次に議事4で嫌気性芽胞菌の検査方法についてであります。資料4 がございますので、これで御説明ください。お願いします。 ○松田室長補佐  資料4に基づきまして、ハンドフォード改良寒天培地法(嫌気性芽胞菌の検査法) に必要な培地の製造中止についてということで、今後の対応について審議いただけれ ばと考えております。  背景でございますが、クリプトスポリジウムの対策についてということで、平成19 年4月1日からクリプトスポリジウム対策指針に基づいて、各水道事業体が取り組ん でいただいてございます。  対策指針につきましては、水道原水のクリプトスポリジウムなどの汚染の判断につ いて、糞便により汚染された水道の水にクリプトスポリジウムなどが混入するおそれ があるとし、また、糞便汚染の指標として大腸菌及び嫌気性芽胞菌を指標菌というこ とで、指標菌が有効であるとしております。そのため、指標菌のいずれかが検出され た場合には、原水に耐塩素性病原生物が混入するおそれがある場合に該当するとして、 汚染のおそれの低下に応じた施設整備や原水等の検査などの予防対策を講じること としております。  これについて図に示しておりますが、最初に原水での指標菌の検出があるかないか で最初に分けまして、ある場合については原水が地表水なのかどうかでレベル3かレ ベル4ということにしております。レベル4の場合は適切なろ過、レベル3の場合は 適切なろ過か紫外線処理が必要になります。  原水での指標菌の検出がない場合について、原水に地表水等が混入していない被圧 地下水のみの場合、これがYESの場合はレベル1で隔絶性の確認をすればよい。NO の場合はレベル2で、原水の指標菌検査による監視の徹底ということがございます。  2ページ、原水などの検査という部分については、レベル4とレベル3につきまし ては水質検査計画などに基づいた適切な頻度でのクリプトスポリジウム等及び指標 菌の検査を実施。ただし、上記の必要な施設を整備中の期間、まだ対策がとられてい ないというところについては、原水のクリプトスポリジウム等を3か月に1回以上、 指標菌を月1回以上検査することとしております。  レベル2については3か月に1回以上、原水の指標菌の検査を実施することとして おります。レベル1は隔絶性を確認するための検査をお願いしてございます。  ということで、嫌気性芽胞菌の検査についてはレベル2〜レベル4までの施設で検 査の実施をお願いしてございますが、その検査方法については水道における指標菌及 びクリプトスポリジウム等の検査方法で3つの方法が示されておりまして、ハンドフ ォード改良寒天培地法、M−CP観点培地法、DRC培地法という3つの方法が示さ れていますが、ただ、ハンドフォード法についてはほかのよりも検査が容易だという ことで、水質検査を実施する水道事業体のほとんどが採用している状況でございます。 しかし、そのハンドフォードに必要な培地を国内で唯一製造・販売する栄研化学から、 当該培地に必要な抗生物質、これはファイザーが数年前から製造中止されており、抗 生物質の在庫も尽きたため培地の製造を中止することとし、在庫も今年秋ごろに尽き ると情報提供が今年あったところです。  ハンドフォード法が嫌気性芽胞菌の実質的な標準検査法であることを踏まえると、 培地がなくなることで嫌気性芽胞菌の検査体制に混乱を生ずることも予想されるた め、各水道事業体に今後の対応も含めた情報提供を行う必要があると思っています。  そこで今後の対応でございますが、ハンドフォード法が使用できなくなったときの 対策指針に基づく指標菌のモニタリングについて検討する必要があるとしておりま す。  ハンドフォード法の培地がなくなる時点で、検査方法を嫌気性芽胞菌の検査方法か ら削除するという対応が考えられる。その一方で、水道事業体や登録検査機関等にお いてハンドフォード法の培地について、一定のストックも有していると考えられ、ス トックがなくなる時期は水道事業体などの機関よって異なることが考えられるので、 この対応をとる時期を見極めるのは現時点では難しいことを示しております。  3ページ目、東京都水道局や横浜市水道局等の大規模水道事業体でも、ハンドフォ ード法以外の方法では非常に手間がかかり、ハンドフォード法以外の2つの方法によ る嫌気性芽胞菌の検査体制の構築は事実上困難としており、ハンドフォード法以外の 検査方法で嫌気性芽胞菌の検査を行うように示すことには、課題があると記載してお ります。  日本水道協会等によると、ハンドフォード法の培地の代替となる新しい培地が数社 で製造されているとのことから、ハンドフォード法について新たな培地を採用する対 応が最も現実的な対応である。しかし、新たな培地採用するに当たって、嫌気性芽胞 菌の培養に関するバリデーション実施や評価の期間が必要となる。  これらのことを前提に、各水道事業体などにおいてハンドフォード法の培地のスト ックがなくなったときの嫌気性芽胞菌の検査について、新たな検査法が採用されるま での間の暫定的な対応を検討する必要がある。  暫定的な対応案でございますが、ハンドフォード法の嫌気性芽胞菌の検査が困難な 場合、ハンドフォード法以外の方法により嫌気性芽胞菌の検査を実施するか、または クリプトスポリジウム等の検査体制を強化することで対応する。  ハンドフォード法以外の嫌気性芽胞菌の検査が困難な場合、対策指針における汚染 のおそれの程度に応じた予防対策としての原水等の検査について、以下のとおり読み 替え、各水道事業体に新たな検査法が採用されるまでの間、暫定的な対応として周知 することとしたいと考えております。  また、暫定的な対応(案)については、水道における微生物問題検討会及び水道水 質検査法検討会においても審議をいただいた上で、水道事業体に周知することとした いと考えております。  読み替えでございますが、先ほどの原水等の検査でレベル4とレベル3についてで すけれども、水質検査計画などに基づいてクリプトスポリジウム等及び大腸菌の検査 を実施。ただし、施設整備を行っていない施設整備期間中の機関については、原水の クリプトスポリジウム等及び大腸菌を月1回以上検査することと、頻度を上げている ことでどうかと考えております。  レベル2、月1回以上、原水の大腸菌の検査を実施することでございます。これに ついても大腸菌の検査を頻度を上げてお願いするということで示しております。レベ ル1については同じでございます。  以上でございます。 ○眞柄座長  それでは、これについての説明について、御質問や御意見があれば出してください。 遠藤委員、どうぞ。 ○遠藤委員  今お示しいただいた原案については、基本的によろしいのではないかという感触を 持っています。また、指標菌というのは基本的に糞便汚染の指標であって、クリプト スポリジウム等と指標菌との間に、定量的な相関は認められません。また、この間に クリプトスポリジウム等の検査が充実してきておりますので、検査回数を増やすこと が可能だと思います。ご説明いただいた暫定対策をおとりいただくことがよろしいの ではないかと判断します。 ○眞柄座長  ありがとうございました。ほかの先生方いかがでしょうか。国包委員、どうぞ。 ○国包委員  結論的には私はこういう方法で暫定的にということでしょうし、とりあえずはよろ しいのではないかと思います。このハンドフォード法の培地については、いずれ代替 品の供給が可能ということになれば、またそれはそれで考える余地が大いに実際にあ ると思いますし、これが現実問題として使えない以上は、当面大腸菌を3か月に1回 とするよりは、月1回という方がリスクの回避という面ではより好ましいわけですし、 実現可能か不可能かという辺りからの判断としても、この程度であれば特段の無理は ないだろうと思いますし、そういった意味で妥当な線ではないかなと私は思っており ます。 ○眞柄座長  ありがとうございました。松井委員、何かございますか。 ○松井委員  特にございません。 ○眞柄座長  では西村委員。 ○西村委員  この案で私もよろしいかと思います。 ○眞柄座長  浅見委員、いかがですか。 ○浅見委員  調査をしているときに、クリプトスポリジウムとほかの芽胞菌ですとか大腸菌、大 腸菌群などのデータをとって比べてみるんですけれども、なかなかそれぞれ相関とい うのが非常に難しいというのが実感です。  今度微生物検討会で検討していただくときに、大腸菌のサンプリング量をどのぐら いとるかという辺りも含めて、検討していただけるとありがたいなというのがありま して、量が少ないと不検出になってしまったりとか、安全側を見越してというのと操 作性といいますか、指標性の確保の点が両方あると思いますので、その辺もちょっと 御議論いただけるとありがたいなと思います。 ○遠藤委員  確認ですが、大腸菌の検査のときの検水量ですか。 ○浅見委員  これに代わる方法として大腸菌をやるときに、どのくらい以上を濃縮して検査をす るのかという辺りです。 ○遠藤委員  わかりました。考慮いたします。 ○眞柄座長  今は100ですね。 ○遠藤委員  そうです。100mlです。 ○眞柄座長  浅見委員はもっと多い方がいいんですか。具体的にどのぐらいまで要りますか。 ○浅見委員  100あればいいのかなと思うんですけれども、河川とかでもう少し少ない量でやっ ていらっしゃるところが多分あります。 ○日本水道協会(西野)  MPNの場合は少ない量でやりますが、大抵は出ることが前提です。 ○浅見委員  では、このクリプトの指針も皆さん100でやっていらっしゃるんですか。 ○眞柄座長  大腸菌群数だとMPMだからサンプル数は違うけれども、大腸菌で検出されないと きの試験方法は、河川水であっても検水量は100mlですね。 ○浅見委員  そう思っていたんですけれども、ちょっと違うケースがあるかもしれなかったので、 それは試験をされるところにわかるようになっていればいいかなと思います。 ○眞柄座長  確認だけれども、今の告示による試験方法は浄水の試験方法ですね。原水の試験方 法は認可のときの検査方法で、認可のときの検査方法は告示の検査方法を使うことに なっているのか、工業用水試験法のK1002を使うのか、あるいは環境省のJISを使 うのか、どれを使うことになっているのか。そこは水道課はどう指導をしておられま すか。  上水上水試験方法は同じでしょう。どうですか。 ○日本水道協会(西野)  同じだと思います。 ○眞柄座長  浄水は同じですね。だけれども、厚生省はどういう扱いをしているのか。原水の試 験法と浄水の試験法と同じにしているのか。浅見さんの質問はそういう意味でしょう。 ○浅見委員  何かに基づいて検水量が少ない場合があるかもしれないので。 ○粕谷課長  調べて、浅見先生の御懸念のような事態があれば、微生物問題検討会できちんと御 議論いただいて、しっかりしたサンプリングを示すようにしたいと思います。 ○眞柄座長  安藤委員、今の試験法はどういう試験法で大腸菌試験をしているか説明をしてくだ さい。 ○安藤委員  ずっと100mlです。100ml採って蛍光で測定することになります。 ○眞柄座長  それだけなんですね。いるかいないかなんです。 ○日本水道協会(西野)  だから、最初から数を把握したいときはMPNを使っていますけれども、ほかのと ころはみな100ccで、いるかいないかの確認だけです。 ○眞柄座長  いるところは少ないのがわかっていれば少なくやりますね。 ○日本水道協会(西野)  そうです。いることがわかっていれば、それに応じてサンプル量を減らしてやって いるというだけであって、いないことを確認するためには100mlでやらないと、いな いことが確認できないんです。 ○眞柄座長  浅見委員が言われるのは、出ないようにサンプル数を少なくして検査をしている事 業体があるかということですね。 ○浅見委員  たまたまうちのがそうだったので。相関などをとったときのうちの方でやっていた ものも混ざっていたことがありますので。 ○眞柄座長  うちのというのは、浅見さんのところの実験室でサンプリングしてはかったときに 100より少ないというのではなくて、水道事業体のデータ自体が100以下の水を使っ ていて検出されないという報告をしたデータがあったということですか。 ○浅見委員  うちで委託した先のところで、それは原水だったので恐らくそういう方法をとられ たんだと思うんですけれども、このデータをとられているときに何ccのデータで比 較をするかというのが私の方でわからなかったので、その辺も今度御議論していただ くときに検討していただければありがたいなと思った次第です。 ○眞柄座長  それはデータの問題ではなくて、そういうデータが上がってきているということは、 それこそ水質試験方法が正しく行われているか行われていないかということの問題 であって、このクリプト云々の話とは全然違います。  もし原水の厚労省に報告するデータで大腸菌があるなしのときに、100以上のサン プルをとらなくて100以下でサンプリングして、それで出る出ないと言って出ないか ら、原水から検出されませんという報告があったら、そのデータは評価の対象に値し ないとしなければいけないんでしょう。だから、そんなデータをもし受け取っていた ら、データを受け取った方の職務が適正に行われていなかったということになる。 ○日本水道協会(西野)  別表には100しかないんです。原水の年に1回やれというものも、その方法しかな いんです。 ○浅見委員  でも、それは浄水用ですね。 ○眞柄座長  原水が別表でない試験方法でいいと書いてあれば別です。だからそれは別表1でや れと書いてあったら、それでしなければいけないので、そこのところは私はよくわか らなかった。 ○日本水道協会(西野)  何も書いていないです。 ○眞柄座長  だから水質基準に適合する検査かどうかというのは、別表1でやりなさいと書いて ある。水質基準に合うか合わないかというのは浄水しかやらないんだから、蛇口の水 しかやらないんだから、それ以外の水について別表1でやれとは私は多分書いていな かったと思います。書いてなかったんだけれども、行政的な慣例として認可のときの 原水のデータが上がってくる。今も受け継いでいてほかの水道統計で集めているが、 そのときに別表1でやっているかやっていないかというのは、今まで確認してこなか った。だから、これからそういうことがあるとすれば、確認するようにしなければい けない。 ○松田室長補佐  今、言われた点については精査をして、検査法告示で決まっている方法はあくまで も浄水の水質基準に対しての検査法ですので、基本的には原水検査については通知で 示しているところだと思いますので、その事実関係をよく精査して、必要があれば今 の点について検討を行って、今後の対応を考えていきたいと思いますので、よろしく お願いいたします。 ○眞柄座長  非常に大事なことです。ありがとうございました。ほかにありますか。  それでは、基本的にはこの方向でいいと私も思いますが、先ほど一番最初に遠藤先 生からお話がありましたように、この対策の指針をつくったときには、水道事業体あ るいは水道分野でクリプトの試験、検査ができる機関が非常に少なかったことと、そ の検査についてどれぐらい実行可能性があるかということを考えた場合に、非常に厳 しいということでこの対策指針が出されたことを私も覚えています。  それ以来、水道事業体あるいは水道界でクリプト等についての検査方法、試験方法 に熟知されている方が非常に多くなりましたし、クリプトの検査ができるところも多 くなってきましたので、大腸菌の検査をやることになっていますが、その前のクリプ トの検査がちゃんと行われるところが多くなってきましたので、そういう状況を踏ま えてこのような対応をとっていただくことでよろしいかと思います。  なお、ハンドフォード法の培地がなくなるだけで、どうしても心配だという場合に は、ほかの方法もきちんと示しておりますので、その方法で実施していただければよ ろしいと思いますので、当面の間、3ページの下の方にあるようなことで対応してい ただきたいということでよろしいかと思います。  ただ、これはあくまでもレベル3、レベル4で地表水を利用していたり、あるいは 伏流水を含めて浅層地下水を利用しているところで、クリプトの汚染のおそれがある ところは浄水処理を徹底していただきたいというのがそもそもの趣旨ですので、逆に 言えば検査しなくてもそういうところは浄水施設を高度化するというか、ちゃんとろ 過塔をつくって適切なろ過をしていただかなければならないのが本筋でありますの で、是非水道課としてはそこの最初の目的を、実施していない水道事業体がありまし たら督励をしていただくようにお願いいたしたいと思います。  それでは、以上で今日準備をしていただいた議事について全部議論をしていただき まして、それなりの結論が得られたと思いますので、あとは事務局にお返しいたしま す。 ○松田室長補佐  ありがとうございます。今後は本日の御議論を踏まえまして、トリクロロエチレン の水質基準など改正のパブリックコメントについて、実施してまいりたいと思います。  次回の逐次改正検討会に関しては、本日御議論いただいた議事の今後の検討状況や、 パブリックコメントに寄せられた意見などを踏まえて、秋ごろから年末にかけて開催 することとしたいと思います。  嫌気性芽胞菌の検査法については、微生物問題検討会や検査法検討会で御審議いた だくこととしたいと思います。 ○眞柄座長  ありがとうございました。終わります。 <照会先> 厚生労働省健康局水道課水道水質管理室 代表 : 03(5253)1111 内線 : 4032 ・ 4034