10/05/19 第4回独立行政法人評価委員会高度専門医療研究部会議事録 独立行政法人評価委員会 高度専門医療研究部会(第4回) 開催日時:平成22年5月19日(水) 10:00〜12:06 開催場所:共用第7会議室 出 席 者:永井部会長、猿田部会長代理、内山委員、夏目委員、花井委員、本田委員、和田委員 ○永井部会長  定刻になりましたので、ただいまから第4回「独立行政法人評価委員会 高度専門医療研究部会」を 開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しいところをご出席いただきましてありがと うございます。本日は祖父江委員と三好委員がご欠席です。本日は、各高度専門医療研究センターの 理事長の皆様にお集まりいただいております。審議事項を行った後で、各理事長からお話をいただく 時間があります。本日の議事の流れについて、事務局から説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  本日の議題についてご説明させていただきます。議事次第にありますように、(1)「国立高度専門医 療研究センターの役員報酬規程について」、(2)「国立高度専門医療研究センターの役員退職手当規程 について」、(3)「その他」です。その他の1番目は「国立高度専門医療研究センターの中期目標、中 期計画について」の報告、2番目は「各センターの中期計画における重点事項など、今後の運営方針に ついて」です。(1)の国立高度専門医療研究センターの役員報酬規程と、(2)の国立高度専門医療研究 センターの役員退職手当規程については、まとめてご審議いただきたいと思います。よろしくお願い いたします。 ○永井部会長  議事に入ります。国立高度専門医療研究センターの役員報酬規程、並びに国立高度専門医療研究セ ンターの役員退職手当規程についてですが、審議の前に事務局より説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  独立行政法人の役員報酬規程及び役員退職手当規程についてご説明させていただきます。お手元の 「独立行政法人評価関係資料集」の326頁をご覧ください。  役員報酬規程及び役員退職手当規程は、独法通則法第52条第2項の規定に基づき、法人が報酬及び 退職手当の支給基準を定め、厚生労働大臣へ届け出るとともに公表することになっております。通則 法第53条第1項及び第2項の規定に基づき、厚生労働大臣は評価委員会へ通知し、評価委員会では、 その通知に係る報酬及び退職手当の支給基準が社会一般の情勢に適合しているか厚生労働大臣に対し、 意見を申し出ることができることとなっております。  この規定は特定独法の規定になっておりますけれども、国立高度専門医療研究センターについては、 非特定独立行政法人であります。ただいま申し上げました規定については、329頁の下のほうにある準 用規定として第62条があります。ここで非特定の独法法人についても準用しておりますので、同様に 審議をいただくことになっております。以上です、よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 法人の役員報酬規程について、所管課からの説明をお願いいたします。 ○大臣官房参事官  大臣官房参事官の松尾です。籍を医政局に置いて仕事をさせていただいておりますので、私のほう からご説明させていただきます。国立高度専門医療研究センターの役員報酬規程についてご説明させ ていただきます。資料1から資料6ですが、各センターごと3部構成になっております。考え方につい ては各センター共通ですので、資料1-1及び資料1-2、資料1-3の国立がん研究センターの資料をもっ てご説明させていただきます。  資料1-1は、規程のポイントをまとめたペーパーです。役員の報酬は、基本年俸と手当からなってお ります。基本年俸は、月例年俸と業績年俸から構成されております。月例給については、月例年俸の 12分の1を毎月支給し、業績年俸は、年2回、6月と12月に支給することとなっております。  イメージ図をご覧ください。月例年俸額については、基本的には毎年度定額です。業績年俸額につ いては、年度単位で定めるものとしており、前年度の業績年俸の額に、当部会が実施する前年度の法 人の業績評価を踏まえ、その上で理事長が定める割合を乗じて得た額となることから、年度ごとに増 減することになります。なお理事長が定める割合は、資料1-2の2頁にあります業績年俸第8条です。 下の表のようにS評価からD評価として、この基準に従って増減することになります。手当については 地域手当、通勤手当、単身赴任手当を手当該当者に支給することとなっております。  具体的に申しますと、報酬の額についての基準は先ほど事務局から説明がありましたように、独立 行政法人通則法第62条及び第52条第3項により、国家公務員の給与、民間企業役員の報酬と、当該法 人の業務の実績及びその他の事情を考慮して定めることとなっております。NC役員の報酬は事務次官、 病院長、研究所長等の国の幹部職員に適用されております、国家公務員の一般職給与表の指定職俸給 表に準じ、法人の長である理事長については資料1-1に戻りまして2,036万円、常勤理事は年額にして 1,761万円及び1,609万円、常勤監事の年額は1,498万円及び1,391万円です。  また非常勤理事、非常勤監事については、国家公務員の一般職給与表の指定職俸給表1号俸を基礎と した標準年収、この標準年収は月例年俸、業績年俸、地域手当を足した合計額ですが、これから年間 の勤務日数、実労働日365日から土・日の122日を引いた243日で除して、日額単価6万円としており ます。なお地域手当については、東京23区が18%、その他の地域は15%となっております。以上が役 員報酬規程に関するご説明です。  続きまして、資料1-3の役員の退職手当規程についてです。退職手当については、平成15年12月 19日の独立行政法人等の役員の退職金に関する閣議決定において、政府で統一的な算定方法及び手続 が定められており、これに沿って定めているところです。具体的な支給額の算定方法としては第3条に 明記しております。在職期間1カ月につき月例給、いわゆる月例年俸の12分の1に、閣議決定で定め られた100分の12.5の割合を乗じて得た額に、当部会が当該役員の業績に応じて決定する、いわゆる 0.0から2.0の範囲内の業績勘案率、これも平成16年7月23日の政独委の評価委員会分科会で決定さ れていて0.0から2.0ですが、1.0を基本とすることになっております。これら検討していただいた率 を乗じることとしております。役員報酬規程と同様、各センターとも考え方については同じです。以 上で2つの規程の説明を終わらせていただきます。 ○永井部会長  ただいまの件についてご質問、ご意見がありましたらご発言をお願いいたします。 ○国立がん研究センター嘉山理事長  年俸とか退職手当は、たぶん従来の独立行政法人の役職を考えてお作りになっているのだと思うの です。どういうことかというと、例えば桐野先生だと東大の医学部長をおやりになっておられますが、 大体65歳を過ぎてからおやりになっているのではないかと思うのです。私のことを言っているのでは なくて、これからのことなのですけれども、独立行政法人が本当にアクティブにやるためには、若い 人でもこれに応じられると。我々若い人間にとっては、労働対価というのは仕事のやりぶりで充実し たものに気持としてなります。  私の場合は59歳でこれになったのですけれども、文部科学省でそのまま行った退職金と今度では 2,000万円違います。従来、私は文部科学省の指定職、42国立で唯一の法人化前からの指定職なので指 定職3になります。指定職3になって、そのまま行って退職金をいただくことになるとあと5、6年あ ったのです。私はこれでいいです、これがわかっていて応募したわけですから。これからの若い人が これに応募するかというと、金銭的には全く従来の独立行政法人の考え方でできていますので、今後 若い人でもちゃんと応募ができて、人生設計の上できちんとしたことができるようなことにしていた だけるのかどうか、官房参事官からお聞きします。私が言っているのはエビデンスです。  ですから、いままでみたいに65歳になってから、天下りのように入ってきて、お座りしているだけ の理事長ならそれでいいかもしれないけれども、そうではなくてアクティブにやるとしたら、これは 完全にディスアドバンテージの要素になりますということを、評価委員の先生方にもご理解願いたい ということで私は申し上げたのですが、いかがでしょうか。 ○永井部会長  参考までにいまのことはお聞きしておきますけれども、まず部会委員のほうから発言をお願いいた します。 ○猿田部会長代理  確かにおっしゃるとおりだと思います。もう1つのほうは、私たち評価委員会としては各先生方がど のぐらいこれからアクティブにちゃんとやってくださるか。私はいま国立病院のほうをやっているも のですから、それは評価をできるだけ付けてやっていくというのはおっしゃるとおりだと思います。 働く人に対して将来の夢を持たせることは非常に大切なことだと思います。 ○夏目委員  今回の6法人は、公務員型ではない形でスタートしていると思うのですが、先ほど説明のあった法律 によると、特定独立行政法人公務員型に準用するという準用規定があるということで、ほとんど雁字 搦めに法令で定められているのです。ですから、この部会で議論することがあり得るとすれば、業績 をどう評価するかということで、それ以外は、法令で細かく定められているわけですから、この原案 で私は行かざるを得ないのではないかと思います。それで、業績評価のところで皆様方のパフォーマ ンスをきちんと評価して、それを反映させていきたいと思います。 ○本田委員  先ほどの嘉山先生のお話はなるほどと思ったのですが、私たちは本当に門外漢なのです。例えばそ のようにする場合は、具体的にいまの決められたものが、どういうふうにあるべきなのかということ を伺います。 ○永井部会長  それは、事務局への質問ですか。 ○本田委員  はい。どういうことがあり得るのか。 ○大臣官房参事官  最初、先生からもお話がありましたけれども、我々は国家公務員ですので、決められた法律を遵守 して遂行しなければいけない立場にありますので、私のほうからコメントできるような内容ではない のです。仮にあるとすれば、現在ある通則法等を改正していただくことになるのかと思っております。 ○本田委員  この額をそういう。 ○大臣官房参事官  このほかに細かい閣議決定がなされております。例えば、平成19年12月24日に独立行政法人整理 合理化計画というのがあり、その中で「主務大臣は各独立行政法人に対し、独立行政法人の長の報酬 を各省事務次官の給与の範囲内にするように要請すること」という閣議決定もあります。それらも種 々踏まえて今回制度設計をしておりますので、さまざまな要素があろうかと思っております。 ○花井委員  関連して事務局にお伺いします。今回は役員報酬の話なのですが、さまざまな独立行政法人があり ます。いま業績とかパフォーマンスの話が出ました。業績の中身は、例えば国立である種税金が入る 所は、民間ができないようなミッションを遂行する、そしてそのパフォーマンスを見る。一方で独法 は自分でお金を稼ぎなさい、税金はあまり使うなという部分があります。  しかしながら、医療という機能を持っている独法に関してはかなり稼げます。医療現場、もしくは 研究について優秀な人材を引っ張ってこようと思うと、それなりの報酬を払わなければいけないわけ です。ところが一方で独法はいくら稼いだところで、人件費については先ほど言った一定の基準にな ると。こういう部分についてはどのような説明になっているのですか。  つまり、稼いだら独法が偉いということではないと思うのです。一方で本当に業績を残そうとする ときに、ある程度稼いだお金をミッションに注ぎ込むために、優秀な人材を民間と闘って引っ張って こようと思うと、それに対抗できる報酬を、今回は役員ですけれども、例えば独法がそれを設定した いと思ったら、いや全体の人件費はいくら稼いでも関係ないということになっている理解なのですか、 私の理解でいいのでしょうか。もしその意見が正しければ、その辺の整合性は事務局としてどのよう な説明になるのですか。 ○大臣官房参事官  今回の独立行政法人国立高度専門医療研究センターについては研究独法ですので、優秀な研究員等 の確保、あるいは臨床ドクターの確保が望まれています。あるいは民間企業との共同もあります。国 家公務員時代になかった、任期付常勤職員ということで、例えば数年間に限って非常勤ではなく常勤 職員として採用できる、あるいはそれに対する見合い相当の報酬を支払うことができる。可能な限り の工夫はされた制度設計になっております。これは役員とは別です。そういうことで、事業遂行にな るべく支障のないような、あるいは一方で交付金をいただく形になりますので、そういう透明性の図 れるような制度設計にはしております。 ○花井委員  任期付きのスペシャルな専門家を期限付きで雇ったときには、全体の人件費からは外れているとい う理解ですか。 ○大臣官房参事官  人件費はトータルで見ますけれども、基本的に研究部門は収益を生まない部門ですので、そういう 所については当然交付金が使える形になっております。一方で、それは民間からの資金調達も可能で す。任期付きのほうは、総人件費改革は要請されていますが、その人件費の中にはカウントされない ことになっております。 ○花井委員  任期付きに関しては、総人件費の中にはカウントされないことになっているのですか。 ○大臣官房参事官  はい、そうです。 ○花井委員  ある程度大枠の縛りは付けているけれども、ある程度柔軟な運用にして、そういうことを可能にし ているという理解でいいのですか。 ○大臣官房参事官  はい、そうです。 ○内山委員  嘉山先生のご発言はもっともだと思います。特に嘉山先生はずっと病院長、医学部長をやってこら れています。だから、逆に私ども旧国立大学病院の苦しさというのもよくわかっておられます。ただ、 私どもの委員会は法人評価委員会であり、あくまでこれからどのぐらい頑張っていただけるか、とい う点に注目しています。  独法化されて、各ナショナルセンターが私たち国民のために頑張ってくれていることがわかれば、 自ずとその先に、この程度の待遇ではちょっとまずいよねという議論が出てくると思うのです。これ から始まるといういまの段階で、給与云々というのは、私のように地方の旧国立大学に働いている立 場の者からすると、ちょっと話がうますぎるのではないかという気がします。その辺は嘉山先生も十 分ご存じだと思います。  ナショナルセンターで改善があれば、その次に文部科学省の旧国立大学病院のほうにも多少の影響 があると思うのです。そのためには、まず、それぞれの専門医療研究センターがこれまでに比べてさ らに活躍するということが前提になります。その次の段階として、待遇面を継続的に議論していくの がよろしいのではないか。  以前のこの会議でも発言がありましたが、私たち旧国立大学病院は債務をそのまま引き継いだので すが、ナショナルセンターは独法化に当たって債務の償還をかなり免除されています。ですから、い まの段階で専門医療研究センターの待遇をさらに改善するという考えは、ほかの医療現場で働く人た ちの理解を得にくいのではないかと考えます。 ○大臣官房参事官  説明で補足させていただきます。任期付き研究員の場合で、すべてが人件費抑制の対象から除外さ れているわけではなくて、若手育成型、いわゆる若い研究者を教育する目的で、外部資金からそれら を雇うような場合は適用除外になります。 ○花井委員  リサレジということではないのですか。 ○大臣官房参事官  それとは違います。 ○花井委員  若い研究者の育成に関してはという条件付きですか。 ○大臣官房参事官  そういう意味です。 ○花井委員  そうすると、先ほどの文脈とは若干違いますね。 ○大臣官房参事官  いずれの、それなりの相当の知識を持った方まで除外するという意味ではありません。 ○花井委員  民間と競合するような人材を引っ張れるかという話だからちょっと違いますね。 ○大臣官房参事官  はい。 ○永井部会長  私から事務局にお伺いしたいのですが、理事の中にはほかの大学の教授とか兼職で就任している方 もいらっしゃいますが、そういう方の報酬についてはどうなっているのでしょうか。 ○大臣官房参事官  本籍というか、本務がどちらにあるかによってだいぶ変わってくると思います。非常勤の場合には ここに書いてありますように、日額6万円で整理をさせていただいております。 ○永井部会長  兼業の方の場合には、非常勤の立場になるということですね。 ○大臣官房参事官  はい。 ○永井部会長  ほかにご意見がないようでしたら、本部会としては本件について異存はないということで、厚生労 働大臣にお伝えしてよろしいでしょうか。 ○猿田部会長代理  これからの評価を見て、業績を上げたらそれに対しては十分考慮する、そこだけはいちばんね。 ○永井部会長  それを強調してということで。それでは、そのように取り扱わせていただきます。今後の手続の過 程で、役員報酬規程、あるいは役員退職手当規程の内容に修正があった場合の取扱いについては、ま た事務局と相談して調整させていただきたいということで、部会長のほうにご一任いただきたいと思 います。ありがとうございました。  次は議事3の国立高度専門医療研究センターの中期目標、中期計画についてです。まず事務局より手 続についての説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  国立高度専門医療研究センターの中期目標、中期計画についてです。これについては第1回及び第2 回の当部会においてご議論いただき、手続は終了しております。ただ、部会長預かりとなっておりま したので、今回は最終的にこのようになった経緯等をご報告させていただきます。 ○永井部会長  法人の中期目標、中期計画について所管課のほうから説明をお願いいたします。 ○医政局政策医療課長  政策医療課長の武田です。ご説明の前に、永井部会長、その他先生方には、3月の大変お忙しい時間 をいただきまして、中期目標についてさまざまなご意見をいただきましたことに感謝申し上げます。 この評価委員会の高度専門医療研究部会でご議論いただきました後、私ども関係省庁、関係団体又は 我が厚生労働省の大臣と順次話を上げさせていただき、修正すべき点は修正をし、内容については決 定させていただいたところです。その経緯・内容について本日はご報告申し上げます。  改正内容については、各6センターそれぞれ多少異なっておりますが、便宜上資料7の国立がん研究 センターの中期目標、中期計画の資料でご説明させていただきます。資料7の表紙をめくって1頁の冒 頭に「前文」があります。前文の中では、右側の中期計画の下から3行目に「センターは、事業体とし て業務運営の効率化に取り組むとともに」ということで、いろいろご指摘のありました効率化を進め るとともに診療、研究といった事業についての充実を図るということで、その効率化について書き込 まれています。  2頁の左側の中期目標のところの上から5行目に、「具体的には」のところのその下の3行目に「日 本人のエビデンスの収集を行い」という文言があります。前文の最初のところに加え、ここの部分に ついてもこの部会でご意見をいくつかいただきました「日本人のエビデンスの収集」という点につい て書き込んであります。以上の点については、6センターすべて同様の表現を挿入させていただきまし た。  4頁の右側のいちばん下の欄の[6]「知的財産の管理及び活用推進」のところですが、がん研究センタ ーについてはここの変更はないのですが、ご指摘をいただきましたように、ほかの5センターについて も同じように知的財産の規定をしっかり書いたほうがいいのではないかということで、残りのセンタ ーについてもがんセンターと同様の規定を追加させていただきました。  5頁の右側の中期計画の(2)「病院における研究・開発の推進」の[1]の真ん中辺りに、「積極的に独 立行政法人医薬品医療機器総合機構等との人事交流を行って」という文言を追加しております。これ は、この審議の中で各センターだけではなくて、例えば学会やPMDAとの連携を進めるべきではないか というご意見がありましたので、そういう規定を追加しております。  [2]のところに「倫理性・透明性の確保」という欄があります。センターで実施している治験等につ いて適切に情報開示するという点、これも本部会でご意見をいただきました、各センターがどういう 治験をやっているのか、これを国民にわかるように情報開示をしてはどうかということがありました ので、これも各センター並びで表現が追加されております。  8頁の下のほう、これは左右両方になりますが「客観的指標を用いた医療の質の評価」ということ。 いわゆるクリニカルインジケーター、その他の客観的評価の評価手法の開発という点、それからその 質の評価を実施する点についてご意見をいただきましたので、文言を盛り込んでいます。  12頁の左右両方ですが、ただいまお話が出ました総人件費改革について、特に左を見ていただきた いのですが、財政当局との間でさまざまな議論をいたしました。先ほどご意見がありましたように、 ナショナルセンターのミッション遂行のためには、総人件費改革を形式的に当てはめることの是非が あるのではないかという点を議論させていただきました。最終的には、総人件費改革というのは、す べての独立行政法人にかかる法律になっていることを踏まえ、総人件費改革の規定が盛り込まれてお ります。ただしその際ということで、ナショナルセンターの特性を踏まえ、高度先駆的医療推進のた めの取組みも併せて書いてあります。独立行政法人そのもの、又は研究開発型の法人のあり方につい て現在議論が進んでいることを踏まえ、最後に「また、独立行政法人に関する制度の見直しの状況を 踏まえ適切な取組を行う」という一文が追加されております。  具体的な形については右側に書いてあります。総人件費改革は、平成22年度までの人件費の抑制と いうことが法律に書いてあり、かつ1年間の延長継続が閣議決定で決められているということが右側に 書いてあります。なお、この総人件費の抑制については、先ほどお話が出ましたように、すべての人 件費に形式的にかけることがいいのかどうかという議論があり、いくつかの見直しが行われてまいり ました。その1つが先ほどのお話に出ましたように、若手育成型の任期付き雇用の場合は除外するとい ったことですが、限定的な除外に留まっているということだろうと思います。以上が総人件費改革に ついてです。  13頁の左側と右側の両方にありますが、一般管理費について、1年間3%に相当する5年間での15% 以上の削減ということが、すべての独立行政法人発足の際に規定されておりますので、これが盛り込 まれております。同じ頁のいちばん下に「電子化の推進」、この部会でご議論、ご意見をいただきま した、IT化推進のときには費用対効果をよく勘案したほうがいいというご意見でしたので「費用対効 果の勘案」という点が入っております。  14頁は随意契約の適正化です。政府全体で取り組まれておりますが、独法化した後も随意契約の適 正化について取り組むべきという、政府部内の調整によってそういう文言が入っております。  17頁の左側の1「重点的な研究開発戦略の考え方」という長い文章がありますが、この下から5行目 に「国内外の医療機関、研究機関、学会等との一層の連携」という文言があります。先ほど少し申し 上げましたが、学会との連携についてのご意見を踏まえ、ここに「学会」という言葉を追加させてい ただいた経緯があります。  19頁の右側の「がんの実態把握」のところです。これも、がんセンターの中期計画に書いてあるこ とと同じような内容をほかのセンターも書いたらどうかというご意見がありました。がんセンターに ついては、特段ここは修正しておりませんが、ほかのセンターについてもこの「実態把握」のところ は各センター充実した記載になっております。一つひとつはご説明いたしませんが、そういうことで す。  交付金については、25頁に別紙2「中期計画の予算」とあります。この中で「運営費交付金の算定ル ール」が表の下のところに細かい字で書いてあります。交付金算定ルールのところでA(a)、A(b)、 A(c)の後にα1、α2、α3とあり、これがいちばん下の欄にα1が0.97、α2が1.00、α3が0.99と書 いてあります。これはどういう意味かというと、α1については一般管理費15%減という目標が掲げら れておりますので、毎年で考えると0.3%、それに沿って交付金の0.3%削減。α2については、退職 手当その他の固定的な経費と、レジデントの育成という大きなミッションがありますので、それにつ いては効率化係数は1のまま。α3は、その他の経費については0.99ということで、毎年マイナス1% の削減ということが、財政当局から示され、合意をしている点です。  以上が主な修正点ですが、ほかのセンターについては個別にはご説明いたしませんが、1つだけ。資 料10、国際医療研究センターの中期目標、中期計画を見てください。国際医療研究センターの資料の9 頁に、「その他我が国の医療政策の推進等に関する事項」ということで、いわゆる政策医療に関する 部分です。(3)HIV・エイズのところですが、国際医療研究センターにおいては、国の時代からエイズ 治療・研究開発センターを設置し、HIV裁判の和解に基づき国の責務となった被害者の原状回復に向け た医療の取組みを実施しております。ここの部分についても、関係者の意見を踏まえて意見の修正を しました。例えば、「エイズ治療・研究開発センター」という名前を主語として書き、かつ厚生労働 省に届いた意見を踏まえるということ、又は被害者の意見を反映した取組みを行うことを書き込んで おります。  個別のセンターごとのご説明を申し上げなくて誠に恐縮ですが、私からの報告は以上です。ありが とうございました。 ○永井部会長  ただいまの報告に対してご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。 ○夏目委員  質問なのですが、14頁に中期目標も中期計画もあるのですが、「法令遵守等内部統制の適切な構 築」のところの契約についてです。ここは、今いろいろと世の中の注目を浴びているところだろうと 思うのです。ここの表現として「原則として」と書いてあり、「一般競争入札等によるものとし」と いうように、一般競争入札に「等」が入っているのですが、この「等」というのは一体どういう意味 なのか。そして、原則だから当然随意契約が必要なものも出てくるだろうと思いますが、「それを踏 まえた適正化を図り、その取組状況を公表する」と書いてあるのであれば、一般競争入札に「等」と いうのがなぜ入ったのか、この「等」にはどういう意味が込められているのか、その辺の解説をお願 いいたします。 ○医政局政策医療課長  現在、国においても契約の見直しが進められております。原則として一般競争入札という点は徹底 するようにということでさまざまな指示が出ております。例えば、一般競争入札に「等」が付いてお りますのは、1つは企画競争といいますか、単に価格のみではなく、提案型の公募をし、総合評価方式 によって決定をするという形もあります。どうしても競争に馴染まない、相手方が1社に限られるよう な場合、医薬品ですと、例えばアイソトープ協会、血液製剤、輸血の関係とか、どうしても相手先が 限られるものなどもあり、すべてが一般競争入札ということではないということで「等」を付してい るということです。  さらに申し上げますと、この「等」を入れることにより、原則が笊みたいにならないかどうかとい う心配は常に出てくることだと思いますが、国においても各センターにおいても、契約監視委員会を つくり、一件一件の契約について事前・事後に審査をお願いする形をスタートさせておりますので、 そういうところで適正化が担保できるのではないかと考えております。 ○夏目委員  一般競争入札と、随意契約との間に、若干両方には入らない契約方式協定があるということなので すか。 ○大臣官房参事官  名称から申しますと、公募型企画競争のような定例文句がありまして、一般競争という名の下では 公募しにくいということです。 ○夏目委員  読みきれないと。随意契約という形でも読みきれないということなのですか。 ○大臣官房参事官  はい、そうです。 ○夏目委員  その辺は、監視委員会等を設けて厳格にやるということですね。 ○大臣官房参事官  はい。 ○永井部会長  ほかにご意見がないようでしたら、ただいまの報告は了承したことにさせていただきます。また後 ほどフリーディスカッションの時間があると思いますので、そのときにさらにご議論いただければと 思います。  議事は以上です。本日は各法人の理事長の皆様方がお見えですので、理事長の方々からここでご挨 拶をお願いいたします。 ○政策評価官  国立高度専門医療研究センターについては、4月に独立行政法人としてスタートして本部会が初めて ということ、それから、年度計画を各法人が鋭意作業中ということもありますので、中期計画の重点 事項なども含めてお願いしたいと思います。 ○永井部会長  お1人5分程度でご挨拶をいただき、後で質疑応答、あるいは自由討論をしたいと思います。最初に がん研究センターの嘉山理事長からお願いいたします。 ○国立がん研究センター嘉山理事長  独立行政法人国立がん研究センターの嘉山です。よろしくお願いいたします。資料に従ってお話さ せていただきます。国立がん研究センターの基本的なプリンシプルを4月1日に、職員全員を対象に、 病院がありますので4回にわたって4月1日・2日と行いました。そこでビジョンを掲げ、まず使命と しては1頁の裏にあるように、がん患者さんに起きる医学的、社会的、精神的問題等を解決する組織で ある。学問的には世界TOP10のがん研究・医療の展開をする。定員枠にとらわれず、業務内容による人 員配置と広い人事交流。これは独立行政法人になった特色を、いままでの公務員型ではできなかった ことをここでやるということです。  ヒアリングをして、あるいは見て非常によくわかったのですが、定員枠のせいだと思いますが、派 遣社員が非常に多くて正規職員がいない。脳外科でも3人しかいなくて、これでは市中病院と同じなの です。大学と対抗するような業績を上げるのであれば、正規職員を増やさなければならないと考えて います。  ミッションですが、がんセンターは国のがん医療、あるいは研究を引っ張らなければならないので、 ここに挙げた7つをミッションとして職員に提示いたしました。調査、研究、技術開拓、先進医療の提 供、教育、政策立案、国際、これは1962年に創設されたときにあったわけですが、これが最近の10年 間では全く国民の期待には応えていないということであります。  次の頁を見るとわかるのですが、ここに矢島さんの名前が入ってしまっていて申し訳ないのですが、 まず事務組織があり、次に病院の組織があり、研究所があります。これを見ると旧軍隊のように、い まお話したミッションを施行するには機能しない組織になっています。例えば中央病院でお話させて いただきますと、中央病院のいちばん最初に第一領域外来部長とあります。患者さんの目線から見た ら、この人は一体何をやるのだろうというのが全くわかりません。先ほど、ミッションをやるために はこの組織を変えなければいけないということ、あるいは研究所の組織もトランスレーショナル・リ サーチ、つまりがんセンターの存在意義があるかというと、がんの患者さんが集まってくる病院を持 っていて、かつ研究所があるという所なのです。現場からの問題点を取り上げて研究する組織に変え なければいけないということです。  6頁ですが、独法後は理事長を中心に運営委員会でやる。いままでの組織と全く違うのは、いままで は医長が104人、医師が93人、その下にレジデントがいるというような全く機能しない組織になって いましたので科長制にして、6頁にあるような組織にしました。こうすると、ガバナンスがきちんとい くような組織に生まれ替わります。副病院長も1人だったのですが、各責任を持たせて3人にする。  7頁は従来です。総長がいて、運営局長がいて、病院長、副院長、研究所長、副所長、センター長、 ここに看護師もないのです。これでは病院が患者さんと向かい合った病院になっているわけがないで す。  従来のような組織では駄目だということで、8頁にあるような科長が入る運営委員会、科長会議をつ くりました。6月1日からこれを一気に動かしますので、そうすると先ほどのミッションがすべてでき ることになります。もはや中期計画には書いていないことではありますが、例えば調査でいうと、厚 生労働省と武田課長、阿曽沼局長のご了解を得て、我々としては国ができない、現場からの意見を取 りまとめて、それを厚生労働省に持っていってもらって、まずがん登録を実際に1年以内で全員のをな んとかやろうと思っています。研究に関しても治療困難例、従来がんセンターでは治療困難例は全然 やっていませんでした。主に標準的医療をやっていたのですが、全国どこへ行っても治らないような 病気をする。  ここから後はオン・ゴーイングのキックオフを始めたところなので資料はありませんが、治療困難 例の対応プロジェクトを立ち上げました。治療困難例というのは、がんそのものと合併症があります。 これは、がんセンターには糖尿病の専門家もいませんし、心臓病の専門家もいませんし、血圧の専門 家もいないということで、私が1カ月でやったことは、東京大学をはじめ、慶應義塾大学を回って、順 天堂大学を回って連携を深めることをやりました。特に東大とは、いまオン・ゴーイングですが、連 携大学院をつくります。  日本はがんの健診率が低いので、このことをいまプロジェクトとして立ち上げ、先ほどの組織を使 ってやれば動いていくだろうと考えています。先進医療は、サイバーナイフを使って、日本ではまだ できていない、呼吸を止めながらの肺がんの治療や、重粒子線に匹敵するような治療技術をいま開拓 していて、そのこともこの1カ月以内にオン・ゴーイングになると考えています。ですから、従来あっ た国立がん研究センターが制度疲労を起こしていたものを、組織改変をして実現していくということ が現時点です。 ○永井部会長  ありがとうございました。続きまして、循環器病研究センターの橋本理事長にお願いいたします。 ○国立循環器病研究センター橋本理事長  国立循環器病研究センターの橋本です。どうぞよろしくお願いいたします。資料の2枚目で中期目標、 中期計画に沿った部分に視点を置いて説明させていただきます。組織については、縦割り、あるいは 責任体制についてもう一度見直しをして、名称と役割をしっかり同一化させるようなことをやってき ました。  本日は、研究開発に視点を置いて説明させていただきます。  病院と研究所の間に研究開発基盤センターを立ち上げました。図では下に書いてありますけれども、 私は病院と研究所のいろいろなシーズを含めて吸い上げる、あるいは指示をしていくというもので病 院、研究所の上位にあるものという理解で進めております。この中には臨床研究部、知的三部、トレ ーニングセンターを設置しております。臨床研究部というのは、いわゆるTRの部分でありますが、こ こではリサーチナースやコーディネーターの人材育成、あるいは研究倫理ということも含めて活動し ていきます。  知的資産部には産学連携室、事業化戦略室をつくりました。このポストには、既に公募して民間か ら採用しております。ここでは、大学でできないようなニーズオリエンテッドの研究を推進する。資 金調達、寄付金について積極的に推進していく事業化戦略室では、名誉でやっているような権利化ま でではなくて、むしろ権利化から事業化を推進するということで、既に活動を始めております。  トレーニングセンターですが、循環器病研究センターでは人工心臓の開発等で、いままでいろいろ な実験施設があります。ここで、補助人工心臓の埋込み訓練を受託でやっていく。これは、同時に産 学連携の共同研究にもなりますので、既に受託ということで契約を結ぶ段階に至っております。ある いはカテーテルのシミュレーターとか手術用ロボットを使って、日本だけではなくてアジアを含めて のトレーニングということと、産官学連携の場にしたいと考えております。  次の頁ですが、研究開発費という研究費を有効に活用し、かつての競争的資金ではできなかった継 続的な研究、あるいは基盤整備を行っていく。これは、ここにありますように診療評価指標の基盤体 制構築、コホート、バイオリソースについて、しっかり体制として汲み上げていって、3年で終わって しまうような研究班という形ではなく、循環器病研究センターの体制としてやっていきたいと思いま す。  がん登録が先行しておりますが、そのがん登録を参考にし、今後体制を整備していかなければなり ませんがん登録の問題点を含めていろいろ検討してまいりました。その中で、簡単に言えば循環器疾 患の登録のための精度管理指標を確立しなければいけない。いわばメートル原器のようなものを循環 器病研究センターでしっかり作り、そして既存の全国データを集めることを同時にやりながら、最終 的には持続性のあるものにしていかないといけないと考えております。  コホートについても、循環器病研究センターでは、吹田コホートがありますが、これの延長拡大と ともに、新しいコホート、これは循環器病研究センターでなければできないようなコホートを立ち上 げていこうと考えております。これは、サブクリニカル指標を用いた新しいもので、できれば循環器 ドックの患者さんのデータを含めてこれを確立していきたいと考えております。  バイオリソースについては、他のバイオバンクと共同し、既に他のバイオバンクからの資料を循環 器病研究センターに移転をし、それをオープンにしていくという試みも開始しております。  人材育成については、この研究開発費を使って40歳以下の若手に研究費を出して、そこから新しい 芽を育てていこうということをやっております。昨日、30名ほどの若手研究者に研究費の授与式を行 いました。  次の頁ですが、循環器疾患というのは時間との闘いという部分がありますので、循環器疾患の地域 医療システムの構築のモデルを全国展開していく形になればと思います。この中で特記すべきは、循 環器病研究センターの周産期医療です。例えば、心疾患を合併した分娩数というのは世界で3位です。 脳血管障害合併で分娩は国内でトップ、あるいは胎児の心疾患を有する分娩も国内トップです。また、 大淀病院等のいろいろな問題が出てきております。こういう中で日本産婦人科医会と連携し、妊産婦 死亡の情報を循環器病研究センターに全部集めて検討していく。妊産婦死亡の原因分析、あるいはシ ステム構築について提言していきたいと思います。  救命救急センターですが、循環器病研究センターは入院の37%ぐらいが救急入院です。したがって、 これ以上救急を取るのはなかなか難しい側面がありますが、中での体制を再構築し、周産期を含めた 重症例をさらに受け入れるために、救命救急センターの指定を獲得する、あるいはドクターカーを導 入する。既にモバイル・テレメディスンということで、心電図等の情報を循環器病研究センターに転 送するシステムを備えた救急車が6台ほど走っていますが、さらにドクターカーを導入して強化したい と考えております。  最後に、経営基盤の強化についてはここに書いてあるようなことです。重症の症例数を増やしてい くことと、一般管理費の節減等に心がけていきたいと思います。 ○永井部会長  ありがとうございました。国立精神・神経医療研究センターの樋口理事長からお願いいたします。 ○国立精神・神経医療研究センター樋口理事長  国立精神・神経医療研究センターの樋口です。よろしくお願いいたします。資料の1枚目はホームペ ージから取ってきたものです。売りとしては「世界に一つだけの精神・神経センター」ということ、 それを私たちの誇りとしております。世界中に精神だけの研究所、あるいは神経だけの研究所はいく つもあるのですが、精神と神経を一体的に研究と医療を行っているセンターはありませんので、そう いう意味では非常にユニークなものと考えております。  次の頁が私たちのミッションです。病院と研究所が一体となって精神・神経疾患の克服を目指した 研究開発を行い、その成果を基に高度先駆的医療を提供するとともに、全国への普及を図るというこ とです。私たちの領域の精神疾患、あるいは神経疾患のほとんどが、まだその原因が解明されていな い、治療法も対症療法的な域をなかなか出られないでいる。多くの神経難病、精神疾患を対象にして、 その基盤的なところ、基礎的なところから、最終的に臨床にそれが反映されるようなところまで、先 端的な研究を行って治療法を開発していくことが私たちのミッションであると思っております。  中身としては、どういうものがあるかというのは、そこで赤丸で4つほど書きました。私たちは精神 疾患、神経難病、筋ジストロフィー、発達障害という大きな4つの領域を手掛けていくことになってお ります。  次の頁ですが、センターの使命は先ほど述べましたので省略しますが、これはどのセンターも同じ ですが、私たちは基本的に「研究と医療という軸」と「運営という軸」、この大きく2つの軸で取り組 んでいくわけです。その中の基本的な取組みとして、研究と医療に関しては、疾患の基礎的な研究、 病因・病態の研究を基に、標準的な医療が提供できるようにすることが1つの取組みで、そのための研 究基盤をより強固なものにすることが必要と考えております。運営の点に関しては、これもほかのセ ンターと共通ですが、当然のことながら効率的な業務運営を実施していく、そして、安定的な経営基 盤を確立していくということであろうと思っています。  次の頁では、中期計画に書き込んでおりますが、その中でも私たちがこれから重点的に、特にこの1 期の間に取り組んでいかなければならないと考えているところを少し整理しました。「業務の質の向 上」というネーミングにしていますが、この中では先ほどのミッションを反映した形で、まずは研究 所と病院の連携を一層深めていく必要がある。これまではどちらかというと、研究所は研究を推進し、 病院は医療を行う。その中で連携はいくつもありましたが、一体的な連携というところまでは至って いない部分がありました。それを特に意識して、研究成果を臨床の場で検証していく。そのためのシ ステムとして、TMCを立ち上げました。TMCとは、Translational Medical Centerの略で、これは言っ てみればインターフェースの役割を果たすもので、研究所と病院をつなぐ上で大変重要な組織と位置 づけております。  2つ目は研究基盤の整備で、ここではいくつものものがありますが、1例としては、脳病態統合イメ ージングセンターをこれから立ち上げます。いま多くのイメージングの技術が進歩してきております ので、これを研究のレベルから臨床に至るまでのすべてに持ち込むためには、基盤的なところをかな りしっかりする必要がありますので、その整備を行うこと。それから、生体試料のレポジトリーにつ いて取り組むということなどがあります。  3つ目が臨床研究機能の強化ということで、いま一部スタートしましたが、これも新たなこれからの ものです。専門疾病センター、特に患者さんが多く、かつ治療法がまだ確立されていないもの、例え ばパーキンソン病とか多発性硬化症、あるいはうつ病、てんかんなどといった疾患は、研究所と病院 との具体的な連携の場を作って臨床研究を行う必要がある。それを専門疾病センターとして、専門外 来を組み込んで、研究も含めて行っていくということで立ち上げてきております。もう1つはCBTセン ターといって、これはいま社会的に非常に注目されております認知行動療法という、精神科療域の療 法です。日本は、これまではどちらかというと、非常に短時間の医療を行って、患者さんの精神的な 面に十分対応できていなかった。今回ようやく保険点数においても、この認知行動療法が認められた ということがありますので、その研修を行って、トレーニングをして全国的にCBTが行えるようにして いきたいということで、CBTセンターを立ち上げようとしております。  政策医療は当然のことながらでありまして、私どもの場合は医療観察法病棟と自殺予防総合対策セ ンター、あるいは重症心身障害病棟といったところがこれに相当するわけで、これもさらに推進させ ていきたいと思っております。  右の頁ですが、業務運営の点での重点課題とその取組みということで、これは他のセンターと共通 したものもたくさんあります。経営の効率化が最も重要なポイントであろうと思います。いまスター トした病院経営会議というのは、いままで経営改善委員会という形であったものですが、さらにそれ を発展させて病院経営会議として、この中ではむしろ具体的な事例を若い方々に発表してもらって、 それを評価するということをやっております。2番目は給与水準の適正化です。3番目は、当然のこと ながら、私たちも自己収入を増加させていく必要があります。どうしても精神・神経領域は診療点数 という意味では非常に低く抑えられておりますので、それを100%実行しても、なかなかプラスが生じ にくいという体質があります。そこで、例えば研修事業を拡充していって、研修にかかる費用を集め ていくとか、画像の診断を他の医療機関から依頼された形で行っていって、それをフィードバックし てその報酬をいただく。あるいは治験であるとか、先ほどのCBTセンターといったものをいまは考えて おります。さらに、人事システムの最適化。特に若手を中心とした、やる気のある人を育てていって、 それが全体の組織を活性化していくということだと思いますので、それを意識しております。  次の頁です。そういった意味で、いま新たな取組みとして開始しておりますのが、臨床研究の活性 化のために、若手育成カンファレンスを始めております。それから、若手研究グループを自発的なグ ループとして申請してもらって、それを評価し、まだ競争的な研究資金が獲得できないぐらいの若い 人たちに関しては、研究開発費の一部を充てて、それによって研究の指導を行いながら育てていこう ということです。それから、大規模臨床研究などといったものがこの領域でも非常に遅れております ので、それをやっていくためにはどうしても生物統計の専門家、あるいは知財の専門家が必要で、私 たちのセンターではこれまでこういう人たちが存在しておりませんでした。新たにこういう人たちを 確保しようと。いまほとんどは非常勤の体制でやろうとしておりますが、TMCという先ほどの Translational Medical Centerの中では、今年の4月から常勤の生物統計の人を確保しております。  国内外の研究機関との連携、国際性ということは非常に重要と考えておりますので、そこに書きま したようにMax Planck研究所と交流の協定書を結ぶことになり、Johns Hopkins大学、あるいは Melbourne大学には若手を派遣するということ。そして、PMDAとは従来人事交流をしておりますが、さ らにこれを広げていきたいと考えております。  今回、企画戦略室ができました。これはある意味では将来計画、発展をいかに遂げていくのかとい うための知恵出しの企画室と位置付けており、そこにも手挙げ方式で若手を公募しました。内部の職 員です。研究者であり、臨床医であり、あるいは事務職ですが、手挙げ方式をしたら、自ら率先して これにかかわりたいという十数名の希望者が出てまいりました。私たちはこれを非常に楽しみにして おります。  あとの資料の説明は割愛させていただきますが、今後こういったことで取り組んでまいりたいと思 っております。以上です。 ○永井部会長  続きまして、国際医療研究センターの桐野理事長にお願いしたいと思います。 ○国立国際医療研究センター桐野理事長  国立国際医療研究センターの桐野でございます。当センターの中期計画における重点事項を中心に、 今後の方針について考えるところを申し上げます。1枚めくって、「国立国際医療研究センターの概 要」と書いてありますが、少し全体像を説明いたします。  国立国際医療研究センターは2つの病院、すなわち、センター病院と国府台病院を持っており、それ と研究所があります。平成5年にナショナルセンターとして発足したときには、国際医療協力をその主 要ミッションとして発足して、それを担う組織として、国際医療協力部、国立看護大学校という組織 を持っているところが、少し他のナショナルセンターと異なり、また基盤的な幅の広い医療を行う総 合病院を持っており、そこに初期臨床研修医を1学年40名近く、全体で80名ぐらいを受け入れている ところも異なっております。  平成9年にHIVの裁判があり、そのあとHIV・エイズの治療について、当センターがお引き受けする ことになり、平成14年にSARSが発生して、感染症が国際的な問題であるということになり、私どもが 国外の古典的な国際感染症以外の感染症も担当することになったわけです。そのあとは、糖尿病、ご く最近では肝炎を担当する肝炎・免疫研究センターを平成20年に発足させたなど、当センターは基盤 のしっかりした旧国立第1病院を基盤として、その総合病院の上に時代の要請に従って政策医療の重要 課題を担う機能を乗せた形式、つまり概要の下のような形をとっております。主軸である疾患ととも に、基盤となる機能も強化していかなければ、本来、全身疾患である感染症や糖尿病のような病態に 対応できないということで、基盤のほうも重視しながら、全体として国民の健康を守るミッションを 担当していくという考え方で進めてまいりたいと思っております。  次の頁の「目指す方向と運営方針」です。これもごくかいつまんで説明することしかできません。 センターではエイズ、肝炎を含む感染症と糖尿病・代謝疾患を基軸的な中心疾患に据えて、国際保健 医療協力を推進してまいります。研究と医療の分野では、これらの疾病の克服を目指す臨床開発研究 を進めます。特に肝炎、エイズ、糖尿病の分野では、最新の研究を臨床開発研究に結び付ける体制を 強化してまいります。特に、今後、質の高い研究の推進を進めていかなければならないと考えており ます。それから、治験の体制を強化して、迅速な治験の拡大を目指しております。国府台病院は、現 在まだ建築の準備中ですが、新病棟には治験病棟を開設いたします。  臨床研究を推進するために、1枚目の概要の所に出ておりますが、病院と研究所の間に国際臨床研究 センターという名称を付けておりますが、臨床研究をサポートし、また自ら臨床研究を実施する部署 を設けて、国際臨床研究センターの機能の強化、またMRCやデータマネージャーの増員を行って、今後 も疾患レジストリーを着実に強化していきます。初期臨床研修医やレジデントを中心に、研究倫理を 含めて、臨床研究に対する教育を常に行っており、それぞれコースを設け、テキストブックを作って 教育をしております。  質の高い全人的な高度専門・総合医療を実践するのが私どもの基本ですので、臨床研究の推進力を 持つような医療人を養成していくことが我々の任務と考えております。業務の効率化については、ア ウトソーシングの推進や購買の効率化によって、一般管理費の節減を行います。それから、経営の改 善を図ります。初年度は、まだ病棟が新築中であり終了していないことや、国府台病院が現在、再開 発中であるという事情のために、限界はありますが、診療収益の経常収支の改善を継続的に行ってい く所存です。  3頁、4頁、特に5頁以降に、中期計画の中で重点的と考えているものを赤で評価しております。こ の中期計画は、各部門からボトムアップ的に意見を集約して議論し、また全体のセンター管理会議な どで職員に周知してきたところです。その際、中期計画、年度計画の実行は、当センターのミッショ ン達成に向けて必要不可欠であるということを徹底して理解するように求めました。また、数値目標 だけにとらわれることなく、センターの本来のミッションに照らして、それをよく理解し各人の置か れた状況を把握して、独立行政法人としての運営に資するように取り組むことが重要であることを周 知してきました。  今後の方向についても、理事と職員の有志によって、ミッションの現状把握、問題点の洗い出し、 改善策の検討などを目的として、集中的な議論を開始したい。6月24日を第1回と考えております。 以上のような考え方で運営をさせていただきたいと思っております。以上です。 ○永井部会長  続きまして、成育医療研究センターの加藤理事長、お願いいたします。 ○国立成育医療研究センター加藤理事長  成育医療センターの加藤達夫でございます。本部会の委員の先生方におかれましては、貴重なお時 間をいただきまして、誠にありがとう存じます。中期目標に対する中期計画については、各部会の委 員の先生方は既に十分ご承知おきと存じますので、主に当センターの説明をして、その中で今後の運 営方針を勘案していただきたいと存じております。別添資料として、古い資料ですが、参考資料1があ ります。これらが基となって平成20年度、平成21年度の計画ができたということですが、これは国が 作っていた時代ですので、あくまでも参考です。  まず1枚目です。これが独立行政法人国立成育医療研究センターの表からの写真で、そこに理念と基 本方針が書いてあります。ホームページにも書かれていますが、わざわざ開けていただく必要もあり ません。次の頁で全体の病院像を示します。  病院があって、研究所、そして真ん中に臨床研究センターとあります。これがいわゆる医療クラス ターといって、国から5億6,000万円いただいたところで、ちょうど病院と研究所の間の機関として作 り上げられた臨床研究センターです。現在まだ内部工事中ですが、一部活動中です。病院の敷地、入 院患者数、外来患者数並びに救急患者数は、そこに文字で示したとおりです。ちなみに、写真の中の やや右上に出ている大きな建物は、日本大学商学部の建物で、手前にあるいくつかのマンションは大 蔵団地と申しまして、普通のマンションです。それに比較すると、このセンターの大きさが想像され ると思いますが、是非とも部会の先生方には一度ご訪問いただきたいと存じます。  3頁は、研究所を示しております。11部3室を備え、成育医療の調査・研究を推進しているところは 中期計画に書かれているとおりです。  4頁です。特に得意としているところは遺伝子に関係するところです。研究においては、中期的な研 究、短期的な研究、いずれも私は有効としておりますが、これがだんだんと自然に人間に近付いてま いりました。左側に書いてあるのは造画、漫画ですが、このように遺伝子の研究、特にiPS等について、 かなり積極的に慶応大学等、または山中先生等と関連して研究を続けております。  次の頁はヒトES細胞そのものを示しております。ヒトES細胞については、我がセンター独自のもの です。そして、これはiPSよりも先に人間に使えるES細胞の樹立というのを提供して、我が国の再生 医療全体に元を提供するということで、関連大学との提携を進めているところです。  次の頁です。これが先ほど申し上げた医療クラスターで作った臨床研究センターです。下段ですが、 研究事業としては、臨床研究推進室、治験推進室、知財・産学連携室があります。産学連携に関して は、既に連携大学院として、東京農業大学、日本医科歯科大学と連携を組んでおり、現在、慶應義塾 大学と聖マリアンナ医科大学との間で、連携医科大学構想を練っているところです。開発事業として は医療機器開発室、先端医療開発室、この辺は当然やることになっています。これは中期計画・目標 をご覧ください。その中の臨床研究センターの場所を利用して委託事業を行っております。  委託事業の所を読むと、こども健康と環境事業、これはいわゆるエコチル、環境省です。約1億円の 事業費をいただいて、13年間継続です。妊娠と薬情報センター事業、これは妊婦がどのような薬を飲 んだときに、おっぱいを飲んだ子供にどのような影響を与えるか。それはカナダ・トロント等の国々 と連携して行っている事業で、年間約5,000万円いただいております。その下の子供の心の診療拠点病 院の事業に関しては、年間約4,000万円いただいております。新たにこの地を利用して、外来の診療を 開始することとしました。  ライソゾームセンター、これは先天性代謝異常疾患です。この外来はかなり長時間の点滴を必要と しますので、現在のところ土曜日もここを利用して行うことを決定しております。そして、予防接種 センターも新たに行うことになっております。別に感染防御対策室を新たに付けて、その下に同人物 をセンター長として置いております。小児がん外来は、既に治癒された方々のフォローアップも兼ね ます。また、がん治療においては化学療法が長時間かかりますので、この中で行いたいということで す。この予防接種センターにおけるスタディ、または小児がん外来においては、ドネーションが既に オファーされております。さらに、救急車購入というドネーションの申込みがあり、それが約1億円で す。これは今年度中に達成いたします。  7頁が臨床研究センターの外来部門で、これはまだ開始されておりませんが、準備万端です。  8頁は治験です。これはつい先日まで、新型インフルエンザのワクチンで大変混乱を極めたところで すが、日本では妊婦にはインフルエンザワクチンは接種できないという規定がありました。しかし、 成育医療センターの研究が2009年に出ました。これは治験を行った結果ですが、ここに書かれている 論文が妊婦の優先順位を高めて接種できることにしたという証拠です。その下の段は、新型インフル エンザワクチンは不足すると言われており、海外から輸入することになりました。そこで、私どもは6 カ月から17歳の子供たちに対して、主にGSKから輸入されたワクチンを接種して、その安全性・有効 性を確立して、論文を書かれて、それが通過したことにより、海外のワクチンが接種できる状況にな ったという、治験の症例を示したところです。  次は、単なるアメニティー、このような雰囲気で我がナショナルセンターはできているということ です。非常に高価な建物ですので、借金がその程度あっても致し方ないと考えております。また、こ のアメニティーが、逆に、病める方々が来やすくなっている状態であると把握しており、この辺のと ころは国のご努力に感謝をいたすところです。  10頁はベッドです。460ベッドあります。各ベッドごとにIT、テレビが入っていて、この中に各子 供たちが飲む薬、そしてどのような服用をするか、その効果。これはナース、そして子供たちが共有 できます。スイッチを押すことにより、普通のテレビも見ることができますし、講堂でいろいろなイ ベントを行う場合には、ここに画面が映るというシステムになっております。  11頁です。これは私たちの売りです。LDR、すなわち陣痛・分娩・回復室で、陣痛開始と同時にこの 部屋に入っていただいて、分娩開始。そして、分娩が終了してリカバリーに入り、回復するまで同一 の部屋にいます。1人の方がお産をするのに約10名のスタッフが入ってお産を行います。分娩数は約 1,700件。平成23年度、これも国の予算をいただきましたので、30床増床することが決定しており、 現在構築中です。分娩は平成23年度からは2,400件になる見込みです。したがって、このようなシス テムですので、国から離れたために、従来60万円いただいていた分娩料は少々値上げさせていただく ことになっております。また、生まれたと同時にお土産を付けることとして、女性が持てるようなバ ッグを提供することにしました。それもドネーションによるもので、既に4月1日から実行していると ころです。  12頁は救急外来です。私どもの売りは、「いつでも(365日・24時間)、誰でも、どこからでも」 拝見いたすということです。しかし、順番ではありませんで、そこでトリアージを行うということで、 軽症の方は最後まで待っていただくというシステムです。当然、途中で帰ってしまう方もおられます。 しかし、最後に来た方でも、重症の方は専門のナースが見てトリアージを行うという方法をとってお り、日本の先駆たるものであろうかと思っております。  13頁は屋上にあるヘリポートです。ここは360度全貌が見渡せるようになっております。主に生体 肝移植で、既に100例を超えております。未熟児網膜症は、昔はレーザーでやったのですが、いまは生 まれてすぐ血管を手術しませんと失明します。したがって、このような方々は全国からヘリコプター で運ばれてきて、手術終了後、直ちに元の病院にお戻しするというシステムです。このヘリコプター はエレベーターで小児集中治療室に直行することになっております。これが利用されたのが、センタ ー開設以来約150件ということです。  14頁は一般的な活動です。右側にあるのがワクチンに関する市民公開講座で、昨年11月に日本小児 保健協会、まさに学会との連携で行った主催です。そして、妊娠と薬情報センターのシンポジウム、 このような市民公開講座を企画しております。  15頁は、今年度もう既に行うことが決定していることで、これも市民公開講座です。このようなプ ログラムで、もう既に開始しており、約1カ月半後に開始いたします。  16頁は国際交流事業です。各国からいろいろな先生方、または各方々がこちらのほうに見えて、国 際交流を行っております。左側のいちばん上にCHAN理事長と書かれております方が国際小児学会の理 事長で、この際、こういう方と懇談して国際交流を図る。そして、どのような方をどのような所へ持 っていくか。例えば中国、韓国、インド、そのような方々との交流、患者の交流、人材の交流、この ような方々が来たことをチャンスとしてお話をしているところです。このようにこの数カ月間でも、 上海、ロシア、韓国、ブルネイという国々から来訪されております。  17頁、これは今回もう既に決まっていることで、9月に行うことになっております。これもインフェ クションに関することですが、先生方は当然ご存じのとおり、プロフェッサーCherryをメインとして、 そのほかに韓国からLee、その他の先生方が参加して国際交流学会というカンファレンスを開くことは 決定しております。  18頁は組織図に似ているものです。私どもの所はすべて非常勤の理事、監事です。既に理事会は毎 月第1、第3月曜日に、4月からスタートしており、8時30分より開始して、大体12時まで行っており ます。既に4月5日、19日、5月10日に正式な会を開いておりますが、そのほかの日にも理事の先生 方、または監事の先生方は足繁く通ってくださっております。理事の先生方は、ここにありますよう に五十嵐隆教授、木村氏、濱田氏で、五十嵐氏はご承知のとおり東京大学の副院長先生で、非常に多 忙です。木村氏、濱田氏に関しては、私は企業会計に対しては非常に疎いところがありますので、あ えて長妻大臣にお願いして経済人を導入させていただいたところです。このほかに、ここにはありま せんが、現在考慮中であるのは、大きな病院を経営されている方を探し出して、是非、参与的な形、 または相談役的な形で、私のアドバイザーになっていただきたいと考えております。以上、非常に早 口で簡便でわかりにくいところですが、失礼いたしました。  一方、PMDAの話が出ましたが、PMDAからは1名だけ、先方からのご依頼により、研修医が1人、1 年間継続でまいりまして、昨年から続けて1名がまいっているところです。  ちなみに組織図ですが、当然のことながら理事会が最高決定機関で、その下に企画戦略室を置きま した。そのほかに執行役員会議を置いております。メンバーが重複しているところもありますし、し ていないところもありますが、これは先刻ガバナンスがお作りになった組織図をそのままに作ってお り、理事長特任補佐も作っております。コンプライアンスについては、先ほどお話したとおり弁護士 の菊池京子氏を任命しており、必ず週1度来ていただいているところです。簡便で失礼いたしましたが、 以上です。 ○永井部会長  最後に、長寿医療研究センターの大島理事長、お願いします。 ○国立長寿医療研究センター大島理事長  長寿医療研究センターの大島でございます。よろしくお願いします。時間が限られていますので、 基本的な考え方と私たちが取り組む主な点についてだけ、お話をさせていただきます。具体的には、 これから先、約1年間が頭の中にある具体的な内容ですが、中期計画をいかに達成するかというのが我 々組織全体の考えていることで、これが国民に対する責任であると思っています。  1頁に書いたのは、この1年間ぐらい、とにかくこのことを徹底していこうということで、1番目に 理念、使命の明確化徹底。2番目に目標、計画、責務を社会にきちんと公表していく。3番目に行動計 画、作業工程。これは順位付け、成果目標、期限、責任者を明快にして、特にヒト、モノ、金と連動 していますので、そこの内容をきちんと織り込んだアクションプランを作る。4番目に、これは非常に 重要だと思っていますが、とにかく自己管理システムを確立していこう。これは医療だけではなく、 研究についても管理についても、評価指標を明確にして自己管理をする。そのためには、いちばん重 要なのは人材の確保ですが、いま非常に不足状態であるというのが実態です。しかし、外科手術を簡 単にやるわけにいきませんので、1年、2年という時間をかけて、より良い人材を確保することと同時 に、意識改革を徹底していくことを考えています。同時に、このような評価委員会の先生方の評価を 常に受け止めて、更には、社会からの支援、そして批判も受けながらやっていこうということです。  2頁ですが、今後のあり方についての有識者会議の報告とありますように、あえてナショナルセンタ ーのあり方についてあらためて確認をしておこうということです。この有識者会議のペーパーがあま り議論になって出てこないので、私はいつも不思議に思っているのです。ナショナルセンターのあり 方については、大げさな言い方をすれば、この報告が憲法だと思っていまして、きちんと記述されて 世に出たのはこれだけだと思っています。この報告は一言で言ってしまえば、国民のニーズに対して どう応える組織であるのかという1点に尽きると思っています。II「『医療政策の牽引車』としての3 つの役割」、特にこういったことが重要であると読めるというか、それ以外のことはないというわけ ではありませんが、ここにもっとも重点を置いた有識者会議の提言であると受け止めております。職 員には、ナショナルセンターの役割はこうなのだということを徹底させているところです。私たちの センターがこれから進めようとしている、主なことは3つです。1つは在宅医療の推進、もう1つは認 知症への対策、もう1つは情報部門の確立、これを特に重点的なこととして取り組もうと考えています。  次の頁の在宅医療の課題ですが、これは医療がものすごく大きく変化をし始めていて、医療再編が 確実に進みますし、これをきちんと行っていかないと、日本の医療がとんでもないことになるという 認識を持っています。したがって、在宅医療を核にした地域全体でカバーできるような医療提供体制 をどう確立していくのか。これは私どもの非常に大きな役割だと考えておりますし、特に先ほど申し たあり方会議の報告書の中にも、在宅医療については特に、長寿医療研究センターの役割であること を謳っています。  次の頁は認知症医療に対する取組みです。4月から、2段目の認知症先進医療開発センターともの忘 れセンターを設置して、重点的に取り組むことを組織的にもはっきりとさせました。これは研究所と 臨床が一体化した医療開発センターであります。また、もの忘れセンターについては、日本で最大規 模のもの忘れ、認知症といったものを、臨床できちんと見て解決をしていく場として設けたところで す。  次は情報発信ですが、当面はできることからやるしかありませんが、私は情報管理をいままでのよ うなアクセサリーとしての部門ではなくて、完全に独立した部門として情報全体を統括する部門とし て設置していきたいと、考えています。そういう意味で、まず最初にエキスパートの人材を雇うこと から始め、4月から来てもらうことになりました。まずは最初に情報発信ということからスタートしよ うと準備を始めました。国民に対する情報発信、研究者に対する情報発信、あるいは国際的に向けて の情報発信という、いくつかのカテゴリーがあると思います。当面ここに書いてある世界一の高齢大 国として、科学的研究基盤についての情報発信。そして、老化・老年病に関する基本的データベース で、これは長期縦断疫学で、もう10年以上やっていますので、この蓄積されたデータが出てきていま す。こられを国民に対してきちんと情報提供する。そして、国の高齢者施策との関わりについての問 題。最後には、国際シンポジウムの開催等、国際的な問題についての情報発信。  次の頁は、認知症先進医療開発センターの概念図です。これは見ていただくことにします。次の国 立長寿医療研究センター『もの忘れセンター』。これも先ほどお話した日本で最大規模の病院の中で の認知症に対するもの忘れセンターです。  最後に、「アジア・エイジング・サミット(構想)」と書きましたが、我が国は世界一の高齢社会 ですが、アジアが日本から10年、20年遅れで、全く日本と同じような勢いで高齢化を迎えています。 これらの諸国は我が国と同じ問題意識を持っているますので、ここは日本が音頭をとって、私は毎年 というように考えていますが、この図に示したような構想のサミット、会議を開いて、そこから毎年 世界へ向けての情報発信を行っていく。また、アジア諸国が、お互いに意見交換をしながら、高齢社 会、高齢者医療対策を考える場にもしたいと考えています。 ○永井部会長  残った時間で委員の先生方からご質問、あるいはお互いにフリーディスカッションをしたいと思い ますが、いかがでしょうか。 ○猿田委員   嘉山先生にお伺いしたいのですが、非常に新しい取組みがいいと思っているのです。先生は中央 病院のことを書いていますが、東病院との関係はどのようになっているか。 ○国立がん研究センター嘉山理事長  東病院もこれに準じてやっていこうと思っています。私自身は、従来のがんセンターは完全に時代 遅れの組織だったので、いくらいろいろな事例で並べても、がんセンターしかできない仕事をすべき だと考えています。例えば、普通の病院と同じことを羅列しても、それは意味がないので、そのため にはまず組織を完全に動くようにするというのが私の役割だと思っています。先進医療もいくつかオ ン・ゴーイングがあったのですが、全部凍結しました。あまりにもレベルが低いので、そのレベルを バージョンアップするために、いま早稲田とか女子医とか日立などと連携をしていて、構築を組み直 しています。組み直すときに、組織がちゃんとしていないと駄目なので、組織改変、これがいちばん。 大島先生もおっしゃったように、人間というのは結局、組織で動きますから、いままでの簾のような 個人商店の集まりの組織を変えました。そういうことです。 ○猿田委員  要するにナショナルセンターですから、そこのところを。 ○国立がん研究センター嘉山理事長  がんセンターしかできない仕事をやります。 ○猿田委員  もう1つ。先ほどの循環器病センターの話を聞いていて、大阪で妊産婦に対するいろいろなものを考 えているのですね。これはナショナルセンターとしても、成育センターとの連携などといったことも 考えていらっしゃるわけですか。 ○国立循環器病研究センター橋本理事長  これについては、とりあえずは周産期ということで当センターに集めます。特に当センターで集め る理由は、その中のかなりの症例が循環器疾患、脳出血とかもやもや病、あるいは心臓病などがあり ますので、ここでやりますが、もちろん成育と協調して、全国展開で2つのセンターでやっていけば、 いろいろなことができるのではないかと。事実、今年の段階で妊産婦の死亡例が17例きています。こ れを匿名化して詳細に、産科医だけでなく循環器あるいは脳外科医も入れて、何をすべきかというこ とを検証していって、システムを作りたいと考えています。 ○猿田委員  全体で日本の疾病的な状況を見ていますと、やはり循環器病はかなり小児で、胎児とかそういうと ころで起こってくるので、連携もうまくとっていくことが日本では大切だと思います。 ○国立循環器病研究センター橋本理事長  ありがとうございます。 ○国立成育医療研究センター加藤理事長  ただいま猿田委員から、循環器センターと妊婦に関しての連携というお話がありましたが、そうし ていただきますと大変ありがたいと存じます。ただし、地域的にかなり離れておりますので、私ども は現在のところは、そばにあります東京医療センター、松本先生の所とタイアップしています。協力 型の小児の臨床研修、研修医も引き受けるのと同時に、救急を要しますので、うちで生まれた方は循 環器に送るのはまず無理ですので、とりあえずのところは東京医療センターとタイアップをしている ところです。 ○国立循環器病研究センター橋本理事長  症例については時間というのが大きな問題ですので、これはかなりローカルにならざるを得ないと 思います。ですから、それは西と東と分担してやらなければいけない。私が申し上げているのは、そ のデータと症例を登録して、全体の把握をして、どうしていったらいいかというシステムを構築して、 あるいはそういうことにかかわるドクターにメッセージを発するという情報発信の場として考えてお ります。 ○永井部会長  私から1つお聞きしたいのですが、何をするにしても、倫理の問題は非常に重要なわけです。倫理教 育を徹底するというのは各センター挙げられていますが、講習をちゃんと管理するのかとか、受けな かったらどうなるのだとか、その辺まできちんとされるのかどうか。 ○国立成育医療研究センター加藤理事長  倫理に対する教育はまだこれからですが、倫理委員会そのものは、当然のことながら相当厳しい外 部の委員を入れて、たまに6時間から7時間かかることもあります。1つの血液を採ることですら倫理 委員会を通さなければいけない。 ○永井部会長  それはもうわかるのですが。 ○国立成育医療研究センター加藤理事長  それを基として、人材の教育を図っていきたいと考えております。 ○永井部会長  講習会に出なかった人まで、ちゃんと研究費の申請を認めるかどうかというところまで、いま問わ れていると思うのですが。 ○国立成育医療研究センター加藤理事長  今後、先生のご意見を参考にしていきたいと思います。 ○国立精神・神経医療研究センター樋口理事長  おっしゃるとおりで、私どもの所は先ほどちょっとご紹介したTranslational Medical Centerとい う所が教育、要するに倫理、研究をスタートする若い人たちが身に付けておくべき倫理的な側面とい うものの講習会を行って、講習会を受けた人が初めてアプリケーションできるというところをいま実 行しております。 ○国立国際医療研究センター桐野理事長  臨床研究の指針などに書かれた倫理教育を必要とするのは、もう皆さんおっしゃったとおりですが、 我々は初期臨床研修医を持っているので、最初のころからちゃんとそういう教育をしないといけない ということで、2年ぐらい前から初期臨床研修医にはそれぞれセミナーを義務付けましてテキストも作 っています。それは倫理教育だけではありませんが、生物統計やプロトコールの書き方など、臨床研 究の全体像の中に倫理教育を含めてやっております。 ○永井部会長  ただ、99%がそういうことを受けても、1人が何か問題を起こすわけですね。 ○国立国際医療研究センター桐野理事長  概ね100%行っております。 ○国立がん研究センター嘉山理事長  私が以前の職場でやってきたように、新採用者には全員、社会規範、こんな厚い冊子を渡して、コ ンフリクトも全部サインをしてもらっています。その中に生命倫理、あるいは動物実験の研究の倫理 も全部入ったものを全員に渡すことになります。以前いた人はこれからということになると思います。 ○内山委員  成育医療研究センターに対してドネーションが多いことは、きわめて喜ばしいことだと思います。 海外では、病院に対するドネーションは一般的ですが、日本では多いとは言えません。一方で、コン フリクト・オブ・インタレスト、利益相反の問題が起こらないよう、しっかりと法令順守をしていた だきたいと思います。 ○国立成育医療研究センター加藤理事長  それに関して、まさにコンプライアンスが必要で、そこは弁護士さんを中心として、十分な措置を 図っているところで、しっかりとした契約を結んで行うところが着々と進んでいるところです。 ○和田委員  私は医療については全く門外漢でよくわからないのですが、いま高度専門医療研究センターの皆さ んのお話を伺っていて、独法化を機に大変な意気込みを感じ取りました。これから5年間の中期目標期 間中に、いまご発言なさったようなことが実行されていくのだと思うのですが、一方で独立行政法人 は経営基盤の安定については、自らがきちんとしていかなければいけないという責任もあるのだと思 います。収支並びに損益の予算といいますか、計画をここにお示しいただいていますが、これから5年 間で果たしてこれをきちんと実行できるのかどうか。この計画は、随分早くできているなと。本当に いま皆様方、各法人が掲げられた計画を十分盛り込んだ計画になっているのか、予算になっているの か、その辺が若干心配ではありますが、毎年度、年度計画で予算を立てながら、なおかつ経営改善に 向けて十分な努力をされていくということですので、それに是非期待をしていきたいと思います。 ○国立成育医療研究センター加藤理事長  ご質問ありがとうございました。和田委員のご質問にお答えさせていただきますが、まさにそのと おりで、私どもの理事からはそのような疑問の言葉が既に出されており、いま資料を提供して検討し ていただいている最中です。何とかこの1年間は。実は私たちが作った予算ではありませんので、それ が正しく執行できるかどうかということは、やはり理事の方々のご協力を得ない限り、理事長1人では できないということで、お答えになっているかどうかわかりませんが、努力しております。 ○国立国際医療研究センター桐野理事長  いま加藤先生がおっしゃったとおりなのですが、法人に入るときに私が国立国際医療研究センター のメンバーの皆さんに強調したのは、自分自身を知ることがちょっと十分でなかったのではないかと いうことなのです。というのは、例えば財務状況についても、入ってくるほうはわかっても、出るほ うがなかなかわかりにくいという公的会計の問題があります。財務1つをとっても、実際、自分がいま どの位置にいるのかがつかみにくいような状況でしたので、これはたぶんほかのセンターも同様に進 んでいると思いますが、月次決算、部門別決算を比較的早期にやるということで、少なくとも月次決 算については5月末にはスタートできますので、それを基に健全な経営計画を立てていきたいと考えて おります。 ○国立精神・神経医療研究センター樋口理事長  ご指摘いただいた点が非常に重要と、私たちも認識しております。確かに、一方で経営の効率化を 図るためには、末端の職員一人ひとりの意識が重要だと思っており、それなしには理事長が旗を振っ ても、皆さんの意識が変わらないと、動きとしては、結果としては出てこないところがあると思いま す。そういうところでは、いま経営に関する委員会を立ち上げて、自ら何ができるかを現場で考える ということをやっているところです。  もう1つ、これはある意味では私どものセンターが担っている宿命的なところがあるのだろうと思う のですが、一方ではミッションをきちんと達成していかなければならない。ミッションを達成するた めには、いままで未整備の部分がかなりあります。1つの例を申し上げますと、画像のセンター、イメ ージングセンターを動かして、PETを動かしていくためには、PETの放射性リガンドを合成する人がい なければ動かないわけです。旧来の国立の時代には、そのポストは与えられていなくて、それでPETを 動かすのかという話になります。ですから、ここはやはり人件費というところ、人件費の総抑制を当 然考えなければいけないのですが、一方ではどうしても必要な人材を確保して、ミッションを果たす ためには少し無理してでも頑張っていく。結果として経営的にも収入を上げていくということにつな がるのであれば、それはやらざるを得ないのではないかと考えております。 ○国立循環器病研究センター橋本理事長  ご指摘いただいた経営ということについては深刻に考えておりますが、もう一方で、例えば国立大 学が法人化して、経営ということに対して非常に主眼が置かれてしまう。その中で、臨床研究論文を 調査すると、かなり減ってきている。事実いくつかの国立大学病院に聞きましたが、黒字になってい る大学病院は手術件数も増え、入院患者数も増え、経営的にもうまくいっている。ところが、臨床研 究論文、研究の質あるいは量が極めて落ちてきているという現実があります。ナショナルセンターは、 やはり本来のミッションを達成するという、そのいちばん根源を忘れてはいけないと思っております ので、このバランスをどうとっていくかが今後の課題だろうと思っております。 ○国立がん研究センター嘉山理事長  大学は法人化で経験したことですので、いままでのナショナルセンターのいちばんの問題は、どこ に責任があって、どこに権限があったかというのが全く見えていないのです。ですから、組織改革か ら始めたのです。いままで毎月の診療報酬の表もありません。なかったのです。それを作るために診 療科体制を作ったので、これからは各診療科で、どこでお金を使って、どこで診療報酬を上げたなど ということは見えますので、それはできるのではないかと思います。ですから、我々はオペレーティ ングファンドとキャピタルファンドの両方を考えてやっていかなければいけない。つまり、維持する お金と、これから積み立てていかなければいけないお金を分けて考える。  ただ、いま橋本先生がおっしゃったのですが、確かに私が大学の1兆円の借金を最初に言ったのです が、とんでもないところを運営する。この現業部分がある所に効率化係数をかけるのは問題だと思っ ています。なぜかというと、独立行政法人というのはイギリスの制度、イギリスのエージェンシーを 真似したわけですが、まだ検証されていません。国家がやるべき仕事を法人化して、国立化になるか、 ならないか、まだ検証化されていないのです。そこにこの効率化係数をかけていますので、このこと は政治マターになると思うのですが、我々としては経営努力はやっていくつもりです。 ○永井部会長  先ほど論文の話が出たのですが、研究業績というのは論文の数だけではないと思います。やはり大 事なのは、何回引用されたかです。是非、センターの理事長の先生方にお願いしたいのは、各年度に 論文がいくつ出たかということと、各年度のそれぞれのセンターが中心になった、とくにコレスポン ディングオーサーになっている論文が年々何回引用されたか。是非これを5年間モニターしていただき たいのです。最終年度は1年しか期間がありませんが、立上がりを見ればわかりますので、本当に各研 究センターから良い仕事が出ているかどうかを、年平均の引用回数で見ていただきたい。これは是非 お願いしたいと思います。 ○国立成育医療研究センター加藤理事長  部会長にお答えいたします。私が配付した参考資料です。古い資料ですが、成育医療センターにお けるインパクトファクターがどれだけ高いかという論文の図表が中に入っております。 ○永井部会長  インパクトファクターというのは雑誌のインパクトファクターですから、その論文の引用回数が大 事だということです。 ○国立成育医療研究センター加藤理事長  1つの例としてインパクトファクターをとるとすれば。 ○永井部会長  でも、それはやはり違うのですね。『NATURE』に出ても全然引用されない論文がありますので、そ こを見ていただきたい。 ○国立成育医療研究センター加藤理事長  了解しました。 ○国立がん研究センター嘉山理事長  永井先生がおっしゃることは、そのとおりだと思います。我々も研究センターですから、それは目 指すのですが、先生が東大改革をやられたときに、病院のほうに先ほどおっしゃったようなことがあ って、東大はたぶん落ちなかったと思うのですが、人数的にかなり少ないということがわかったので す。その辺は評価委員会でもご配慮願いたいなと。 ○永井部会長  それは少ない人数の中で是非、そういう優秀な研究者を連れてくればいいわけです。それはそんな 難しいことではない。そこは理事長、先生方の腕の見せ所だと思います。 ○国立がん研究センター嘉山理事長  それは先生がお金をくれれば、ちゃんとやってみせます。 ○国立国際医療研究センター桐野理事長  おっしゃるとおりだと思うのですが、6つのセンターをこの委員会で評価していただくことになるの ですが、これはランキング評価ではありませんし、大学と違って比較的似たようなミッションを担っ ているのではなくて、6つのセンターがかなり色合いの違うものを。 ○永井部会長  私が申し上げているのは、5年前、あるいは10年前に比べて推移がどうなのだと。そのトレンドを 知りたい。目標があるわけではないと思うのです。 ○国立国際医療研究センター桐野理事長  現状においても、例えば施設整備が比較的終了している所と、これからおやりになる所もあります し、いろいろな違いがありますので、そのようなことを勘案されて、全体としてミッションをどのよ うに果たしているかを見ていただければありがたいと思います。 ○永井部会長  それぞれのインターナルコントロールがあると思いますし、数値目標があるわけではないと思うの ですが、前よりはよくなっているということをお示しいただきたいと思うのですが。 ○本田委員  時間があれなので、それぞれの先生方に伺うことはできないかと思うのですが、国民、患者の視点 からすると、独法である理由、もしくは普通の病院でいいではないかという理由の大きな違いは、大 島先生が示された国立高度専門医療センターの今後のあり方についての有識者会議で出されたところ に、私は本当にあると思っています。私もこの委員をさせていただいていたのですが、特にIIの「医 療政策の牽引車」として、自センターの医療のレベルはもちろんなのですが、臨床研究重視型病院を 担っていく、そういう研究開発をやっていくのはもちろんで、そこの部分のご発表は今日の説明でた くさんしていただいたので期待したいところです。  一方で、広い国民からすると、みんながこのセンターで受けられるわけではないのです。そういう 意味からすると、IIの2の「医療の均てん化等の推進『調整・支援・指導者の役割』」、リーダーシッ プ、その辺のところをどうやって日本全体のご担当されている分野の医療の質のレベルアップという ことをやっていくのか、私は特に見させていただきたいと思っているのです。1つだけ、例えばがんセ ンターの場合、客観的指標等を用いた医療の質の評価という項目で、自センターの中でちゃんとやっ ていくということを書き込んでいただいて、私は大変評価したいと思っているのですが、それを全体 にどうやって広げていくのかということで、何かご意見があれば教えていただきたいのですけれども。 ○国立がん研究センター嘉山理事長  これは厚生労働省との共同作業になると思いますが、我々が現場からのいろいろな問題、例えばド ラッグ・ラグでもいいのですが、いまドラッグ・ラグ、ドラッグ・ラグと声高に叫んでいますが、現 実にエビデンスとして、どういう薬が、どういう患者に、何人ぐらいというのが全然出ていないので す。ただ、何かお念仏みたいに出ているだけで、その調査をして、北海道から沖縄まで、ドラッグ・ ラグで苦しんでいる人が何人いるのだと。そうすると、政策的にどのぐらいお金をかければ、ドラッ グ・ラグを解消できますということを厚生労働省に答申できると考えています。例えばの例ですが、 そういうことをやりたいと思っています。 ○花井委員  時間がないのですが、患者としては一言言っておかなければいけないと思いまして。先ほどいろい ろ出た最初の段階からの議論ですが、なぜこれが要るのかという議論で、先ほどから先生方からも自 己批判的なものは出ていたのですが、ナショナルセンターだと思って、そこは素晴らしいと思って行 ったら、一般民間以下だった。だけど、素晴らしいと信じている。そういう裏切りが今まであったと 思う。どことは言いません。どこもあったと思うのですね。そのときに、いま先生方の話を聞いて、 今度変わるのだと。ナショナルセンターは変わるのだということが伝わってきたと思うのです。  ドラッグ・ラグの件は、細かい話はいろいろ言いたいことはあるのですが、1つは、患者からすると、 一般的な標準的な医療と研究の医療と臨床試験とあって、患者からすれば、自分の命がどうかという 話は一緒なのです。そこをナショナルセンターがやっている先進医療、もしくは治験、臨床研究等々 が、全体の中でどのようなステータスにある医療行為であって、ということをわかりやすくプレゼン をするシステム、具体的にはホームページで。アメリカなどはかつてからあった。十何年前から、エ イズの治療薬がないときからあって、パラレルトラックの検索なども自由にできて、患者がそこの治 験に参加を選んでできるという体制が1980年代後半からあって、日本にはなかったわけです。  その後、日本で整備されたかというと、やはりそれはまだだと思うのです。スタートしたところで すが、変わったことを見える形でやっていただきたい。そうすれば、要は治験というのは人体実験だ けれども、患者としては別に人体実験が嫌だというわけではないわけですね。そうでないと治験が成 立しませんから。何だかよくわからないけれども、良いと思っていたら良くなかったという、結果が 非常に不幸なトラブルを招いているし、日本の治験環境の整備の遅れもあると思うのですね。是非是 非、近々に「ナショセン、変わったぜ」という感じのことがわかるように、ちょっとやっていただき たいと思います。一般論になってしまいますが、そこだけはくれぐれもお願いしたいと。 ○永井部会長  時間になりましたが、最後に私も一言だけ申し上げます。最終的に何を目標にするか、社会に対し てどのように還元するかといったら、それは倫理に裏付けられて、高いレベルで安全で安心で思いや りのある医療だと思います。それにどのように貢献しているかということが是非わかる形で、いろい ろな指標を工夫してお出しいただきたいと思います。それだけ部会長としてお願いしたいと思います。  最後に、事務局から連絡事項等をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  今後の予定についてご連絡いたします。当部会の次回については、当面予定はありません。必要が あれば、また委員の皆様と日程を調整させていただいて開催したいと思います。当部会の日程ではあ りませんが、総会メンバーの方については、日程調整をさせていただいており、8月27日14時から18 時に総会を開く予定としております。それから、国立病院部会と兼任されている委員の方もいらっし ゃいます。その方については7月26日14時から17時、平成21年度の業務実績の個別評価、8月23日 (月)14時から16時で総合評価という開催予定を今のところ考えております。正式な案内は先になり ますが、日程確保をお願いする事務連絡を近々発送させていただきますので、日程の確保のほうをよ ろしくお願いします。今後忙しくなりますが、よろしくお願いします。 ○猿田委員  いま国立病院の評価はちょうど5年経ったのです。一般病院としてのやり方としてはうまくいったと。 そういったことも是非参考として、そこに先生方のそれぞれの専門を入れていただくことが非常にい いことのように感じています。是非参考にしていただければと思います。 ○永井部会長  それでは、これで終了させていただきます。理事長の先生方には、お忙しいところお出でいただき まして、ありがとうございました。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)