10/05/18 平成22年5月18日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会議事録 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 食品規格部会 議事録 ○日 時 平成22年5月18日(火)13:00〜15:00 ○場 所 中央合同庁舎5号館 共用第7会議室 ○出席者 <委員> 浅見真理、五十君靜信、井上達(座長代理)、大前和幸(座長)、香山不二雄、小 西良子、阪口雅弘、松田りえ子、山内明子(敬称略) <参考人> 独立行政法人放射線医療総合研究所緊急被ばく医療研究センター明石センター長、 国立感染症研究所細菌第一部第一室寺嶋室長、環境省水・大気環境局土壌環境課笠井課長 <事務局> 俵木基準審査課長、工藤課長補佐、入江課長補佐、近藤専門官、大原専門官、内 海係長 ○議題 (1)審議事項 ・食品中のアフラトキシンに係る規制について (2)報告事項 ・食品への放射線照射についての科学的知見等に関する調査結果について  ・食用油等のグリシドール脂肪酸エステルの含有実態調査結果について ・食品中のカドミウムに係る規格基準について (3)その他 ○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、薬事・食品衛生審議会 食品衛 生分科会 食品規格部会を開催いたします。  本日は、御多忙のところ御参集いただき、ありがとうございます。  議事に入るまでの間、私、基準審査課入江が進行いたしますので、よろしくお願いいたしま す。  本日は、石田委員、小沼委員、長野委員、宮原委員、宮村委員が御欠席ですが、部会委員14 名中9名の委員に御出席いただいておりますので、当部会は成立しております。小西委員がま だお見えではないですが、欠席の連絡は入っておりません。  また、本日の議事に係る参考人として、独立行政法人放射線医学総合研究所緊急被ばく医療 研究センター長の明石先生、国立感染症研究所細菌第一部第一室長の寺嶋先生に御参席いただ いております。   ここで、両先生より一言御挨拶いただきたいと思います。どうぞ、明石先生お願いします。 ○明石参考人 放射線医学総合研究所におります明石と申します。私は、日常は放射線の被ば く、特に急性障害であるとか、一部慢性障害、それから体内汚染等についての治療等に関わっ ております。どうぞ、微力ではございますが、今後ともよろしくお願いいたします。 ○寺嶋参考人 国立感染症研究所細菌第一部の寺嶋と申します。腸内細菌等に関する研究をし ています。どうぞよろしくお願いします。 ○事務局 それから、本日の議事のうち、報告事項「食品中のカドミウムに係る規格基準につ いて」に関しては、部会長の大前先生より、所属研究室として50年を超える研究フィールドで あるニッケルカドミウム電池製造事業所で、カドミウムの毒性研究及び労働衛生管理に携わっ ているため、カドミウムにかかわる審議には一切関与しないとのお申し出を受けており、昨年 10月に本部会で審議を行った際と同様、本日も御退席されるとのことですので、あらかじめ御 了承願います。また、本件に関しましては、関係者として、環境省水・大気環境局土壌環境課 笠井課長に御出席いただくこととしています。なお、お手元に配布しました資料中の名簿にお きましては、土壌環境課紺野補佐となっておりますので、修正願います。  それでは、議事に入りたいと思います。大前部会長よろしくお願いいたします。 ○大前部会長 大前でございます。それでは、本日の部会の座長を務めさせていただきます。 先ほどありましたように、報告事項の最後のカドミウムに関するところ以降は、私は退席いた しますので、また、井上先生、誠に申しわけございませんが、どうぞよろしくお願いします。  それでは、まず、事務局の方から、配布資料の確認をよろしくお願いします。 ○事務局 配布資料でございますが、まず、資料1−1:アフラトキシンに係る加工用・直接 消費用の規制値の設定について。資料1−2:食品中のアフラトキシンに係る規制について (案)。資料2:食品への放射線照射についての科学的知見等に関する調査結果について。資 料3:食品中のグリシドール脂肪酸エステルの含有実態調査結果について。資料4−1:食品 中のカドミウムの規格基準改正に係るその後の動きについて。資料4−2:畑作物等指定要件 検討基礎調査について(環境省)。  参考資料でございますが、参考資料1:食品中の汚染物質に係る規格基準設定の基本的考え 方。参考資料2:かび毒に関する調査研究の進捗状況。参考資料3:かび毒評価書「総アフラ トキシン」。参考資料4:Guidance Document for Competent Authorities for the Control of Compliance with EU Legislation on Aflatoxins。参考資料5:食品照射専門部会報告書 「食品への放射線照射について」について。参考資料6:(株)三菱総合研究所「食品への放 射線照射についての科学的知見等のとりまとめ業務」報告書(概要版)。参考資料7:食品規 格部会報告書「食品中のカドミウムの規格基準の一部改正について。参考資料8:食品、添加 物等の規格基準の一部を改正する件について。参考資料9:「食品に含まれるカドミウム」に 関するQ&A。  また、机上配布資料としまして、「食品衛生分科会における確認事項」、それから、「食品 衛生分科会規程」、また、平成19年度及び20年度の環境省畑作物等指定要件検討基礎調査の報 告書、それから、三菱総合研究所の「食品への放射線照射についての科学的知見等のとりまと め業務」報告書(本体)でございます。  傍聴の方々には、三菱総合研究所の報告書の本体はお配りしておりませんが、ホームページ の方に掲載しておりますので、御参照いただければと思います。  資料の不足等がございましたら、事務局までお知らせください。 ○大前部会長 資料の不足等ございませんか。よろしゅうございますか。  それでは、どうもありがとうございました。  それでは、まず議事に入る前に、3月3日に開催されました食品衛生分科会において、「食 品衛生分科会における確認事項」に一部改正が行われてございますので、御報告いただきたい と思います。改正の詳細につきましては、事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、事務局より説明させていただきます。  机上配布、お手元の資料「食品衛生分科会における確認事項(平成22年3月3日一部改正)」 と、「食品衛生分科会規程」の2つをごらんください。  まず、「食品衛生分科会規程」を1枚おめくりいただきまして、3ページ目の第8条をごら んください。こちら、第8条の規程によりますと、「部会における決定事項のうち、比較的軽 易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を 得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする」といった旨が従前より定められていると ころでございます。  これに基づきまして、部会ごとに比較的軽易なものとしてあらかじめ定める事項として確認 いただきましたのが、3月3日の確認事項の別表でございます。こちらの趣旨といたしまして は、今後、規格基準の改正等でますます薬事・食品衛生審議会へ諮問いたしまして、御議論・ 御検討いただく案件の増加が見込まれております。慎重を期して御審議いただくものとそうで ないもののめりはりをつけて効率的に御審議をいただくということで、今回、こちら比較的軽 易なものと定める取り扱いの区分の明確化が図られたところでございます。  当食品規格部会につきましては、確認事項を1枚めくっていただきまして、2ページ目に掲 げている表でございます。こちら食品規格部会では、3つの区分に分かれております。概略説 明いたしますと、まず、新たな規制物質または項目に係る規格基準を策定する場合が1でござ います。こちらにつきましては、比較的軽易なものとは言えないと考えられますので、部会で 御審議いただいた後、分科会で再度御検討をいただくという取り扱いとなっております。  一方、既に規格基準が策定されております規制物質または項目につきまして、当該規格基準 の一部を改正する場合につきましては、中には、その内容等から見て慎重に審議する必要があ る事案もございますけれども、そうした特段の事由がない一部改正につきましては、比較的軽 易なものということで、部会で御審議いただいた後、分科会においては報告の取り扱いとする こととなりました。  また、分科会報告の扱いとする比較的軽易なもののうち、食品安全委員会の評価が既に一度 行われておりまして、その評価結果に変更がない場合ですとか、あるいは、食品安全委員会の 評価を要さないような案件につきましては、さらに一層軽易なものとして、事務局の方で御用 意させていただきます文書配布によりまして、分科会の報告とさせていただくということとな ります。  以上、3月3日の分科会に御出席の委員の先生方、あるいは他の部会で既に御存知の先生方 も当部会委員におられますけれども、改めて3月3日の分科会での確認以降初めての当食品規 格部会の開催ということで、御説明させていただきました。  以上でございます。 ○大前部会長 ありがとうございました。  今の規程、それから、分科会で審議されない確認事項について御質問はございますか。よろ しゅうございますか。  どうもありがとうございます。  それでは、議事に入りますが、審議事項の最初は、アフラトキシンに関するものが第1番目 になっておりますけれども、小西先生がまだいらしておりませんので、少し順番を変えまして、 報告事項の「食品への放射線照射についての科学的知見等に関する調査結果について」から開 始したいと思います。  それでは、これにつきまして、事務局の方から御説明をよろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料2に基づいて御説明をいたします。参考資料の5と6もお手元に御 用意ください。  資料2 1に経緯をお示ししております。  まず、食品への放射線照射について厚生労働省が議論することとなった経緯でございますが、 平成17年10月の原子力政策大綱、平成18年10月の原子力委員会決定「食品照射専門部会報告書 『食品への放射線照射について』について」がございます。参考資料5として、原子力委員会 決定を付けておりますが、その2番目の(1)でございます。この部分が厚生労働省に対して求 められている部分ですが、食品安全行政の観点から妥当性を判断するために、食品衛生法及び 食品安全基本法に基づく、有用性が認められる食品への照射に関する検討・評価(まずは、有 用性のある香辛料への照射について)と書かれております。  これを受けまして、資料2に戻っていただきたいのですが、平成18年12月に、薬事・食品衛 生審議会食品衛生分科会において、議論を始めることが了承されました。その翌年6月の食品 規格部会において報告事項として議題に挙げられ、以下の点について外部委託調査を実施する こととされました。3点ございまして、1つ目が「食品健康影響評価に必要な科学的知見」、 2つ目が「食品(特に有用性が認められるとされました香辛料)への放射線照射のニーズ」、 3番目が「食品への放射線照射に関する消費者の理解」でございます。この調査につきまして は、三菱総合研究所に委託して実施し、今般、その調査結果がとりまとまりましたので、御紹 介いたします。  参考資料6に概要版を御用意しておりますので、こちらを簡単に御説明いたします。  報告書は4部構成となっております。  まず、1ページ目から第1章でございます。「食品への放射線照射に係る科学的知見の収集 及び整理」として、「食品への放射線照射実用化の経緯」が、「国際的な動向」と「日本にお ける動向」とに分けてまとまっております。  2ページ目に年表の形式で主要な出来事を挙げております。50年代の研究初期の段階、70年 代の国際的な安全評価段階を経まして、1980年にFAO/IAEA/WHOの照射食品の健全性に関する合 同専門家委員会において、10kGy以下の照射は健全性に問題がないとの見解が発表されておりま す。  また、83年、コーデックスの方で「照射食品に関する国際一般規格」が採択されております。  このようなリスク評価の結果を踏まえて、実用化の段階に80年代に入っております。  しかしながら、90年代、97年のところでございますが、高線量に関してのWHOの健全性の宣 言に続いて、ドイツの研究データが発表されました。これはアルキルシクロブタノンによる細 胞のDNA損傷についてのデータでございました。  このようなデータがありましたが、2003年、再度FAO/IAEA/WHOの高線量照射に関する合同研 究部会で、必要性がある場合には、10kGy以上での照射も認めるということで合意されておりま す。  3ページ「日本における動向」でございます。食品衛生法では、食品への放射線照射は、原 則的に禁止されております。しかしながら、1967年から実施されました原子力委員会の原子力 特定総合研究の結果を踏まえまして、1972年に放射線によるジャガイモの発芽防止に限って放 射線照射が認められております。このような原則禁止を担保するために、監視あるいは輸入時 の検査といった管理が行われております。  「日本における動向」の一番下、「2000年には」のところでございますが、「香辛料の微生 物汚染の低減化を目的とする放射線照射の許可の要請」が全日本スパイス協会から提出されて おります。  次のページに、「食品照射の利用分野」ということでまとめております。一番上、発芽防止、 これがジャガイモについて照射が認められている理由ですが、これは0.15kGyに限って認められ ております。  一方、現在、要望書が提出されておりますスパイスに関しましては、一番下の欄「調味料、 食品素材の殺菌」ということで、10〜50kGyと、高線量の照射が必要とされております。  1章の以下の部分の説明は割愛いたしまして、2章にまいります。10ページからになります。 2章では、食品への放射線照射に関する世界各国・国際機関の規制及びその運用状況の調査結 果がまとめられています。  11ページに表の一覧がございますが、各国の法規制・ガイドライン、照射認可品目、表示の 規定、それから、施設検査制度等についてまとめられております。  次、14ページに、照射認可品目(動物性食品)についてまとめられておりますが、例えば家 禽の肉については照射が認められている国もございますが、例えば豚肉・牛肉については、認 められている国が少ないということが見ていただけます。  また、15ページの表の真ん中辺り、乾燥ハーブ・スパイス、つまり香辛料が挙げられており まして、多くの国々で照射が認可されているということが見ていただけるかと思います。  その他、表示の規定や検査制度についての説明がございます。  3章、20ページにまいります。「わが国における食品への放射線照射に係るニーズ及び理解 を把握するための調査」としまして、一般消費者・食品関連事業者等・学会等の3者に対して アンケート調査を行った結果でございます。一般消費者に対しては、WEBでのアンケート、事 業者等・学会等については、調査票でのアンケートを実施いたしました。  アンケートの結果ですが、22ページから、一般消費者を対象とした意識調査の結果でござい ます。(2)「主要な調査結果」の下、「技術認知」ですが、食品に放射線を照射することにつ いては、いろいろな目的を挙げて聞いているのですが、「知らない」と回答した人の方が多く、 最も認知度の高かったばれいしよについても、3割以下の人のみが「知っている」と答えてい ます。23ページの「我が国への導入賛否」につきましては「どちらともいえない」という回答 が最も多く、態度を決めかねているということが読み取れます。  それから、「懸念事項」、安全性に関して、以下のような意見もありますということで項目 を挙げたところ、「照射食品と非照射食品の区別ができなくなってしまう恐れ」あるいは「照 射食品中の成分が変化し、未知の健康影響をもたらす恐れがある」という項目について同意す る方が多かったという結果でございます。  最後、24ページに、自由に意見を記載してもらうところでは、科学的安全性あるいは海外の 状況、必要性といったことについての情報が不足している。照射食品というもの自体の情報が 不足しているということが読み取れます。  次に、25ページ以降、今度は食品関連の事業者等を対象とした意識調査の結果でございます。 25ページの下から、導入の意向についての設問がございますが、「導入すべき」と回答した割 合は41%と最も多かったとなっております。ここで、「導入すべき」と回答した方に、導入に 必要な条件を尋ねましたところ「既存の技術より有用性が認められるならば導入すべき」「消 費者が受容するのであれば導入すべき」という回答が7割と多く見られます。  一方、「導入すべきでない」と答えた方にその理由を訊きましたのが27ページでございます。 懸念事項として「消費者や出荷先からの敬遠」「風評被害」ということが挙げられております。  また、具体的に放射線照射を行いたい食品の有無について尋ねましたところ、実際にそのよ うな食品が「ある」と答えたのは全体の1割程度でございました。放射線照射の利用意向が最 も高い食品を次のページの表で挙げておりますが、香辛料、スパイスが最も多くなっておりま す。  以降は割愛いたしまして、33ページから、4章「リスクプロファイルの作成」を御説明いた します。国内外の科学的知見収集を行って、放射線照射食品のリスクプロファイル原案を作成 いたしました。大きく分けて「照射食品の安全性に係るリスク」と、それから、「照射食品の 栄養適性、加工適性、保存性に係るリスク」について選定をしております。  そのうちアルキルシクロブタノン、これが先ほど年表のところで御紹介しました放射線特異 的分解生成物として、1990年代後半より注目されている物質ですが、これについて次ページ以 降、表形式でまとめております。科学的特性のところでございますが、2-ACBは、食品中の脂 質であるトリグリセリドの分解によって生成します。前駆体となる脂肪酸の種類によって、ア ルキルシクロブタノン類と申しましても、いろいろな種類がございます。表1にその種類をま とめております。  次のページに、アルキルシクロブタノンの構造と生成経路を図でお示ししております。図の 下に書かれておりますが、主要な脂質の一種であるトリグリセリドの含有量の多い食品ほど 2-ACBとの関連性が強いと言われております。  次に、「4.毒性評価」でございますが、2-ACBについては、まず、体内動態に関しまして は、ラットへの給餌試験におきまして、脂肪組織への蓄積量は、ラットの摂取量の10万分の1、 非常にわずかな蓄積ということが示されております。また、糞中に排泄されることも知られて おります。  一般毒性の項目でございますが、急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性に関する試験データはご ざいませんでした。ただし、1970年代に行われました英国陸軍の実験データ、これは高線量で 照射した鶏肉を用いたものですが、この鶏肉中にはアルキルシクロブタノン類も含まれており ましたが、この長期毒性試験では、異常は確認されておりません。  36ページに行っていただきまして、変異原性・遺伝毒性についてまとめております。微生物 を用いた試験では、陰性という結果が出ております。一方、哺乳類培養細胞を用いた遺伝毒性 試験では、セルライン、あるいはアルキルシクロブタノンの種類にもよりますが、DNA鎖切断、 酸化的DNA傷害、それから、小核の増加といった所見が見られております。ラットを用いたin vivo試験は1つしかありませんで、これはコメットアッセイによって実施されております。こ れによりますと、DNA損傷の頻度と損傷量が増加したとされています。  その下、発がん性に関する試験ですが、発がん性そのものに関する試験はありませんで、発 がんプロモーション作用に関する試験が1つだけございます。これは、ラットを用いまして発 がん物質に加えて、アルキルシクロブタノン類を投与した影響を見たものでございます。腫瘍 が発生した固体数には変化がなかったんですが、固体ごとの腫瘍の数、サイズに違いがござい ました。これらの結果から、アルキルシクロブタノン類は発がんプロモーション作用を有して いる可能性が示唆されております。  次、「暴露評価」37ページでございます。  WHOの声明によれば、アルキルシクロブタノン類の生成量は極めて少ないとされております。 一般的に、低用量から中程度の照射による2-DCBの食品中の生成量はわずかなレベルであり、 室温で保存した鶏肉中では、安定ではあっても、分解が起こるということが指摘されておりま す。また、これまでに肉、卵、魚介類、アボガド、ヘーゼルナッツ、カカオ豆等で2-ACBが検 出されたとの報告がございます。  以下に図でお示ししておりますが、鶏肉に放射線を照射したときのアルキルシクロブタノン の生成量。これがドーズに比例をして増えるということが示されております。ですが、スパイ スの中には、ゴマ、あるいはマスタードの種子、そして、ナツメグ等、比較的脂肪含有量の高 いものがございますが、これらについて高線量で照射を行った際の2-ACB生成量に関するデー タはございませんでした。  また、推定摂取量ですが、鶏肉を例とした試算例はございますが、スパイスからの推定摂取 量に関する研究はございませんでした。  最後に、38ページ「リスク評価の状況」ということで、WHO、EC、FDA等の国際機関の見解を まとめております。WHOによりますと、あったとしても、アルキルシクロブタノン類の影響は わずかか無視できるとされておりまして、その理由が、先ほど御説明しました米国陸軍の実験 データ、さらに、実験で使用されたアルキルシクロブタノン類が分解している可能性、それか ら、コメットアッセイは、偽陽性の結果が得られやすく、国レベルの規制機関によって正式な 遺伝毒性試験方法としては採用されていないということが挙げられております。また、ECにお きましてもアルキルシクロブタノン類の悪影響を示すデータは、ほぼin vitroであり、2-ACB の遺伝毒性は、標準的な遺伝毒性試験法によって確認されていない、また、2-ACBに対する無 毒性量を定めるための適切な動物給餌試験データがない、ということを指摘しております。 FDAは、ラットの実験結果がありますが、これは実際に予測されるヒトの暴露量よりはるかに 高い濃度の暴露量であることを指摘しております。  以上、まとめまして、「不足しているデータ」というところでございますが、各照射食品中 のアルキルシクロブタノンの生成量及びその推定暴露量については、さらにデータの蓄積が望 まれる、また、アルキルシクロブタノンの毒性(特に、遺伝毒性、発がん性プロモーション作 用)についても、今後の研究の動向を注視し、データを充実させていく必要がある、とされて おります。  以上を踏まえまして、資料2ですが、食品規格部会で事項として挙げられました3つの事項 に沿って、今の報告書の内容を簡単にまとめています。  まず、(1)に、必要な科学的知見としまして、一番下の行ですが、アルキルシクロブタノン について不足しているデータについて、生成量、推定暴露量、それから、毒性ということにつ いてデータが不足していることを指摘しております。  次のページ、(2)ニーズでございますが、アンケート調査、食品関連事業者等を対象とした 今回の意識調査の結果から、一部に香辛料を対象とした放射線照射についてのニーズがござい ますが、その導入に当たっては、有用性の確認とともに、消費者の理解が得られることが前提 と考えられる、としております。  次に(3)消費者の理解でございますが、平成18年の原子力委員会決定以降、原子力委員会を 中心に、照射食品に関する社会受容性の向上に向けた取組が行われておりますが、今回の平成 20年に実施をしましたアンケート調査の結果を見ますと、消費者の理解は進んでいないと考え られます。  以上の報告書の結果を踏まえまして、今後の方針(案)として、最後のページの3.に示し ております。  まず、1点目が「アルキルシクロブタノン類に関する科学的知見の収集等」科学的知見が不 足しているとされる事項2つございましたが、生成量及び推定暴露量、それから、毒性(特に、 遺伝毒性、発がんプロモーション作用)に関する事項について、関係者に情報の収集を要請し てまいりたいと思います。  また、消費者の理解が進んでいないということが確認されましたので、原子力委員会に対し、 国民との相互理解を一層進めるためのさらなる取組を要請してまいりたいと思います。  以上です。 ○大前部会長 どうもありがとうございました。  資料2に基づきまして今御報告いただきましたけれども、何か御質問・御意見いかがでしょ うか。 ○山内委員 3ページに「今後の方針」として、科学的知見の収集等を今後関係者に要請する とございますが、ある時点で一定程度評価に値する知見の収集等が十分に行われたら、厚生労 働省として、リスク管理機関として、リスク評価機関である安全委員会の方に評価を求めてい くことがこの予定の向こう側にあるというふうに理解してよろしいのでしょうか。 ○事務局佐 その理解で結構でございます。もし、科学的知見が集まりましたら、また、この 食品規格部会の場で御審議をいただいて、食品安全委員会に食品健康影響評価をお願いするだ けの情報があるかを御審議いただくことになります。 ○大前部会長 そのほか、いかがでしょうか。 ○明石参考人 参考人として出席させていただいております明石と申します。ちょっとお伺い したいんですけれども、「今後の方針」のところで、アルキルシクロブタノンの毒性について、 例えば先ほどの資料にも出ておりましたけれども、体内に投与をするとか、体内というのは、 動物を使った実験とか、そういう実験は不可能ではないと私は思っているんですが、そういう 検討は、この論文に書かれている以外にはないのでしょうか。 ○事務局 今回検索をした結果では、非常にデータが限られていることがわかりまして、発が んプロモーション作用に関する実験も、この1研究者の1論文しかありませんし、また、ラッ トを用いたin vivo試験ということでは、コメットアッセイしか確認されませんでした。  一方国内では、現在、食品安全委員会で研究として、アルキルシクロブタノン類を対象とし た研究が実施されていると承知しております。 ○明石参考人 それから、もう一点の、先ほど「国民の理解」という言葉がいっぱい出てきて いるんですが、実は我々が本務としてやっている放射線被ばく医療に関しても、かなり理解は 難しいのではなくて、放射線についてわかりやすい言葉で国民・住民の人たちにきちんと説明 をするということが重要な1つではないかと思います。といいますのは、放射線というのは、 人間でも何でもそうなんですけれども、被ばくしたかどうかというのはまずわかりません。で すから、わかりにくい、見えない。つまり、色もない、匂い、味もないというものを対象とす る場合にはわかりやすく。それから、何が危なくて、何が危なくないのかという、僕らはよく 言うのですけれども、「正しく怖がる」というようなことができるような説明は重要かなと思 っております。ちょっとコメントさせていただきました。 ○大前部会長 そのほか、何か御意見あるいは御質問はございますか。  このような方針でよろしゅうございますか。確認いたしますけれども、3ページにあります ように関係機関に対しての情報の収集をお願いする。それから、原子力委員会に対しましては、 国民との相互理解を進めるようにお願いするというようなことで進めるというようなことでご ざいますが、よろしゅうございますか。  特に御異議がなければ、そのような形でお進めいただきたいと思います。  どうもありがとうございました。  続きまして、報告事項をもう一つ一緒にやってしまった方がいいですね。報告事項のもう一 つの方ですけれども、グリシドール脂肪酸エステルに関する含有実態調査について御報告をい ただきたいと思います。これも事務局の方から、御説明をよろしくお願いします。 ○事務局 お手元の資料3に基づいて御説明いたします。  まず、「1.経緯」ですが、高濃度にジアシルグリセロール(DAG)を含む食品(花王(株) 「健康エコナクッキングオイル」等)については、発がんプロモーション作用の懸念から、現 在、食品安全委員会において食品健康影響評価が継続されているところです。  昨年7月、高濃度にジアシルグリセロールを含む油(以降、DAG油)の製造過程において、 意図せず不純物として、一般の食用油に比べ高濃度のグリシドール脂肪酸エステルを生成する ことが判明し、この物質が、発がん物質であるグリシドールの関連物質であることから、食品 安全委員会におきまして、DAGと併せて評価を行うこととされました。これを受けて、昨年8 月、食品安全委員会より食品健康影響評価に係る補足資料として、以下の2点を提出するよう 依頼があったところです。  一点目として、食用油等に含まれるグリシドール脂肪酸エステルの分析法を検討すること、 それから二点目、グリシドール脂肪酸エステルについて、DAG油以外の食用油等の含有量の実 態調査を行い、グリシドール脂肪酸エステルの高い含有がDAG油に特有のものか否かを考察す ることの2点の指摘を受けております。  本件に関しましては、一般の食用油に含まれる汚染物質の問題ともとらえられますので、昨 年10月6日の当部会においても、今後、実態調査を行う旨を御報告させていただいております。 今般、国立医薬品食品衛生研究所食品部において実施した調査の結果がとりまとまりましたの で、この場で御報告させていただくものです。  「2.調査概要」ですが、対象食品としては、まず、DAG油は市販品を購入したものです。 その他の食用油10種については社団法人日本植物油協会、マーガリン及びファットスプレッド につきましては日本マーガリン工業会、それから乳幼児用調整粉乳につきましては社団法人日 本乳業協会より入手したものを使用しております。  ここで、乳幼児用調整粉乳を調査の対象にした理由ですが、母乳を与えることができない授 乳幼児につきましては、生後数か月間、栄養摂取源として、乳幼児用のミルク製品に依存せざ るを得ないこと、それから、これらの製品については、脂肪成分として植物油脂が使用される ことが非常に多いことに鑑みまして、調査の対象に含めているものです。  続きまして、分析対象物質ですが、一般的な食用油中に含有割合の高い脂肪酸上位3種(パ ルミチン酸、オレイン酸、リノール酸)のグリシドール脂肪酸エステルとしております。  分析方法ですが、常温下で液状の食用油を対象として妥当性確認を行った抽出法により得ら れた試料をLC/MCにより分析しております(定量限界5ppm)。それから、常温下で固形のマー ガリン及びファットスプレッドにつきましては日本農林規格、乳幼児用調整粉乳につきまして は、食品衛生法に記載されている油脂含有率に係る規格試験法により油脂を抽出し、以降の操 作は食用油の分析法に従っております。分析法の概要につきましては、別紙1に示してござい ます。  分析結果ですが、別紙2を御参照ください。6ページでございます。  一番上の欄ですけれども、DAGを主成分とする油(DAG油)につきましては、ごらんいただい ているとおり、3種の脂肪酸エステルの合計値として166〜286ppmのグリシドール脂肪酸エス テルが検出されております。その他の食用油につきましては、真ん中辺り、こめ油の製品Bに ついてのみ、定量限界をわずかに上回る検出が確認されております。合計値として10.3〜16.1 ppmです。  一方ページの7になりますが、マーガリン、ファットスプレッド、乳幼児調整粉乳につきま しては、すべて定量限界未満という結果になってございます。  ページ2に戻りまして、「3.結論」といたしまして、食用油等に含まれるグリシドール脂 肪酸エステルの分析法を検討し、これにより分析を行ったところ、DAG油のみにその他の食用 油等に比べ、高濃度のグリシドール脂肪酸エステルの含有が認められたとしております。  なお、本件につきましては、今後、食品安全委員会に御報告をさせていただくこととしてお ります。  事務局からは、以上です。 ○大前部会長 ありがとうございました。  いかがでしょうか、御質問・御意見。  別紙2の試料の定量限界が5ppmで、検出限界が0.75ppmで、括弧が付いているのは検出限界 以上であるという、そういうふうになっていますけれども、この検出限界と定量限界の差とい うのはどういうことですか。 ○事務局 もし可能であれば、松田委員から補足いただけますでしょうか。 ○松田委員 検出限界といいますのは、LC/MCでノイズを超えてピークが認められるというよ うな量でして。必ずしも定量性が高くないようなレベルです。5ppmと申しますのは、油に5 ppmのグリシドール脂肪酸エステル類を添加しまして、その精度と真度を確認した量が5ppmま では正確に定量できる量となります。 ○大前部会長 そのほか、御質問あるいは御意見はいかがでしょうか。  特にないようでしたら、この報告を食品安全委員会の方に提出いたします。  どうもありがとうございました。  それでは、最初に戻りまして、審議事項に移りたいと思います。アフラトキシンに係る規制 につきまして、これも事務局から御説明をよろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料1−1、1−2を用いて説明をいたします。傍聴の皆様にお配りし ました資料におきましては、資料1−1と資料1−2の間に資料2が入っておりまして、大変 申しわけございません。  資料1−1でございますが、前回の部会での御議論を踏まえて、このような紙をまとめてお ります。「アフラトキシンに係る加工用・直接消費用の規制値の設定について」でございます。  「経緯」のところですが、コーデックス委員会において、平成11年に加工用の落花生、平成 20年に加工用及び直接消費用の木の実(アーモンド、ヘーゼルナッツ及びピスタチオ)につい て、総アフラトキシンの最大基準値が採択されました。  これを受けまして、食品規格部会におきまして、アフラトキシン規制のあり方について検討 を行い、食品安全委員会の食品健康影響評価を踏まえまして、落花生及び木の実については、 BGグループの複合汚染が増加していること、アフラトキシンについては、輸入品の汚染が問題 であること等に鑑みまして、コーデックス規格に準じて、以下の表のとおりの総アフラトキシ ンの成分規格を設定するということが前回の部会で検討されました。  しかしながら、この時点の部会の案では、加工用、直接消費用の二段階の規制値となってお りました。このような二段階の規制を行うに当たっては、加工用として輸入された落花生及び 木の実が、国内において然るべき加工を経ないで直接消費用として販売に供されることのない よう、適切なリスク管理措置を講ずるべきであるとされました。  このような御指摘をいただきましたので、次、裏でございますが、検討を行いました。  まず、EUにおける管理体制を調べました。EUにおきましては、コーデックス規格と同様、二 段階の基準値を設けている食品がございます。参考資料4として、実際の資料を付けておりま すが、このような二段階の規制の実効性を担保するために、EUにおきましては、規制当局にお ける監視に関するガイダンス文書を作成しております。この中では、以下のような事項が記載 されております。  加工用の食品である場合、その旨の表示の義務付け  アフラトキシンの低減処理が可能な加工施設の指定  加工用の食品を取り扱う食品事業者におけるアフラトキシン低減の責務  また、規制当局における監視(書類審査、分析検査等)  が示されております。  ここで、「アフラトキシンの低減処理が可能な」と書いてございますが、ここに関しまして は、表に戻っていただきまして、「コーデックス規格に準じて」の表の下でございます。「* 1」としまして、「アフラトキシンのレベルを低減可能な加工とは、殻を剥く、あるいは湯通 し後の色選別、比重及び色(傷)による選別をいう」となっております。ピスタチオにつきま しては、焙焼(ロースト)するということも低減するということが知られておりますが、その 他の木の実については、ローストといった加工は、アフラトキシンの低減とは見なされません。  裏に戻っていただきまして、「我が国における現状」でございます。我が国における現状に ついて、落花生及び木の実の輸入・加工に関連する国内業界団体よりヒアリングを行いました ところ、以下の事情が明らかとなりました。  アフラトキシンの低減を目的とした処理という加工は、国内ではそのような施設が存在しな い、ということでございます。塩味をつける、あるいはローストするといった加工は行ってお りますが、アフラトキシンの低減を目的とした加工ではないということでございます。ですの で、加工用として輸入された落花生及び木の実について、確実に消費者への販売に供する段階 までに、直接消費用のレベルまで低減することを担保するのは困難ということでございます。 よって、仮に加工用の規制値が設定されたとしても、実際には、輸入の段階で直接消費用の規 制値を満たすもののみが国内流通するものと想定されます。  以上のような我が国の現状を踏まえますと、3.の「対応方針」のところでございますが、 アフラトキシン管理のための規制値は、加工用、直接消費用の別を問わず、一本化することが 望ましいと考えられます。なお、この場合の規制値でございますが、コーデックス規格で直接 消費用の木の実に設定されている「総アフラトキシン10μg/kg」とすることが適当であると考 えられます。  次に、資料1−2も続けて御説明をいたします。これは、部会報告書の形で案としてまとめ ているものでございます。  「経緯」のところで、一番上の部分、我が国の現状について書いてございます。  我が国では、昭和46年、食品衛生調査会等の意見に基づき、アフラトキシンが検出された食 品は、食品衛生法第4条第2号(現第6条第2号:有害な又は有毒な物質を含む食品の販売等 の禁止)に違反するものとして取り扱う旨通知され、以降、この通知に基づきまして、アフラ トキシンB1を指標とし、10μg/kgを規制値として管理を行ってきております。  通知におきましては、「アフラトキシンが検出された食品」とのみ書かれておりまして、ア フラトキシンB1というのは、分析法でそのように示されているということでございます。  国際的な動きは、先ほど、資料1−1で御説明をしたとおりでございます。  「2.アフラトキシンの概要」でございますが、アフラトキシンは、アスペルギルス属の真 菌が産生するかび毒であり、A. flavusといったアスペルギルスの一種はアフラトキシン B1及 び B2を、その他のアスペルギルス属においては、Bグループのみではなく、Gグループを産生 するものもあることが知られています。今のところ、Gグループのみを産生するような菌はな いということになっております。  アフラトキシンは、遺伝毒性が関与すると判断される発がん物質であることが知られており、 1997年のJECFAでの評価において、耐容摂取量は示されず、「摂取は合理的に達成可能な値に まで低減されるべき」とコメントされております。  食品安全委員会の食品健康影響評価で、アフラトキシンの発がん性について、2ページのと ころでございますが、以下のようにまとめられております。読み上げます。  アフラトキシンB1(AFB1)の遺伝毒性については、in vitro及びin vivoともに広範な試験 が実施されており、そのほとんどにおいて陽性の結果が得られている。  発がん性については、ほとんどの動物種において肝臓が標的器官であり、肝細胞癌が最も多 く認められた。  人における疫学調査のほとんどにおいてAFB1暴露と肝細胞癌との相関が指摘されている。こ れらの調査はアフラトキシンの暴露量が多く、かつ、HBVの罹患率が高い地域で実施されており、 HBV感染はリスク因子であることが示唆されている。  AFB1以外のアフラトキシンについては、アフラトキシンG1では遺伝毒性及び発がん性が認め られた。アフラトキシンB2及びG2に関するデータは限られている。  IARC(国際がん研究機関)では、自然界で生じるアフラトキシン混合物はヒトに対して発が ん性がある物質(グループ1)と分類している。  このようなアフラトキシンに関して、我が国の暴露状況ということで、3.でまとめてござ います。「汚染実態」と「暴露量推計」の2つを示しております。  まず「(1)汚染実態」ですが、平成16〜18年度に実施しました厚生労働科学研究による調 査によれば、我が国に流通する食品中の汚染実態は、次のページの表のとおりでございます。 まず、検出された食品が、落花生、チョコレート、ピスタチオ、はとむぎ、そば粉、香辛料、 ココア、ピーナッツバター、アーモンド及びコーングリッツでございます。  また、検出した食品のうち、落花生、はとむぎに関しては、それぞれの一試料でございます が、総アフラトキシンが、落花生については28、はとむぎについては9.7と高いものもござい ましたが、それ以外の試料では、概ね低レベルでございました。  それから、ピスタチオ、そば粉、コーングリッツは、Bグループ汚染のみなのですが、それ 以外の検出された食品については、BGグループの複合汚染が見られました。  それから、落花生は、先ほどの28という高いサンプルでございますが、これに関しましては、 Bの汚染よりもGグループの汚染の方が濃度が高いという結果になっております。  4ページ「暴露量推計」でございます。  今のような汚染実態調査結果に基づき、アフラトキシンが含有されると思われる11種の食品 (落花生、ピーナッツバター、チョコレート、ココア、ピスタチオ、香辛料として白こしょう とレッドペッパー、アーモンド、はとむぎ、そば粉及びそば麺)を対象として、シナリオ4つ で規制値を設定するということで、モンテカルロ・シミュレーションで暴露量の推計を行って おります。シナリオ(1)は、B1:10μg/kg(現行の規制)でございます。下の表に結果が示して ございますが、シナリオ(1)現状の規制の仮定で99.9パーセンタイル値でアフラトキシンB1の暴 露量が2.06ng/kg/dayで、最も厳しい規制、シナリオ(2)のB1の4μg/kg、総アフラトキシン8μ g/kgで規制をするというものですが、これの99.9パーセンタイル値1.88と比べましても、その 差が0.2ng/kgと非常にわずかでございます。  次のページ、「食品健康影響評価」食品安全委員会のリスク評価書の食品健康影響評価を抜 粋しております。ここも読み上げます。  発がんリスクについては、人の疫学調査の結果から、体重1kgあたり1ng/日の用量で生涯に わたりAFB1に経口暴露したときの肝臓癌を生じるリスクとして、HBsAg陽性者では0.3人/10万 人/年のがん発生率でございます。また、HBsAg陰性者では0.01人/10万人/年の発がんリスク とされています。  「汚染実態調査結果からアフラトキシンが含有されると思われる・・」というところは、今 のお示しをしました暴露推計の結果を引いておりまして、このことから、AFB1に対して10μg/ kgを検出限界として規制をしている現状においては、AFB1で4又は10及び総アフラトキシンで 8、15、20μg/kgの基準値を設定したとしても、AFB1一日推定暴露量はほとんど変わらなかっ た。よって、落花生及び木の実(アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ)について、総ア フラトキシンの規格基準を設定することによる食品からの暴露量に大きな影響はなく、様々な 条件を前提とし不確実性を含んでいる推計ではあるが、現状の発がんリスクに及ぼす影響もほ とんどないものと推察された。しかしながら、アフラトキシンは遺伝毒性が関与すると判断さ れる発がん物質であり、食品からの総アフラトキシンの摂取は合理的に達成可能な範囲ででき る限り低いレベルにするべきである。汚染実態調査の結果、BGグループの汚染率が近年高くな る傾向が見られていることを考慮すると、落花生及び木の実について、発がんリスク及び実行 可能性を踏まえ適切に総アフラトキシンの基準値を設定する必要がある。なお、アフラトキシ ンは自然汚染であり、BG比率が一定しないと予想されることから、総アフラトキシンとAFB1の 両者について規制を行うことが望ましい。  また、食品からの総アフラトキシンの摂取を合理的に達成可能な範囲でできる限り低いレベ ルにするために、落花生及び木の実以外の主要な食品についても、汚染実態及び国際的な基準 設定の動向等を踏まえ、総アフラトキシンの規格基準の必要性について検討を行うことが望ま しいと考える。  以上が、食品健康影響評価でございます。  6ページ、7ページ、8ページと、諸外国における規制状況をまとめております。  なお、乳及び乳製品等のアフラトキシンM1にかかる規制値等もございますが、それは省略し ております。アフラトキシンM1につきましては、その対象製品が乳及び乳製品ということで、 本日、当部会の後に開催されます乳肉水産食品部会で議論されることとなっております。  コーデックスの基準は、先に御紹介をしたとおりでございまして、米国に関しましては、総 アフラトキシンの最大基準値ではなく、規制値ということになっております。これはアクショ ンレベルとされる値でして、汚染を完全にゼロにすることが困難であるために設定をされたコ ントロールレベルでございまして、そこまで許容される最大基準値というのとは若干性格は異 なります。オーストラリアは、総アフラトキシンの最大基準値で15というものを置いておりま す。EUは、二段階の規制を行っておりまして、アーモンド、ピスタチオ、ヘーゼルナッツにつ いては、例えば人が直接食べる、または食品の原材料として用いられる前に、選別、その他の 物理的処理が行われるものにつきましては、コーデックスにおける総アフラトキシン15という 値に合わせてあります。また、6番、7番目、これは直接消費用のものでございます。これに つきましては、総アフラトキシンで10というコーデックスの基準に合わせてあります。一方、 EUの特徴は、B1、総アフラトキシン両方での規制を行っているというところでございます。  8ページ、6.における「我が国におけるアフラトキシンに係る規制のあり方」として、考 え方を整理いたしました。  まず、1番目「規制の方向性」、全体の枠組みでございますが、3.(2)に示した暴露量 推計によりますと、すべての食品について、今、B1で10μg/kgという規制値で管理している現 状では、さらに低いレベルで、B1及び総アフラトキシンを管理する場合と比較しても、総アフ ラトキシンの暴露量に顕著な差異は認められず、発がんリスクの違いもほとんどないものと考 えられました。これは我が国に流通する食品において、規制値を超えてB1を含有するものの割 合が少ないためと考えられ、すなわち、現行の規制が有効に機能していることを強く支持して いるものと考えられます。  しかしながら、食品健康影響評価にもありますように、アフラトキシンは遺伝毒性が関与す ると判断される発がん物質であり、食品からの総アフラトキシン暴露は合理的に達成可能な範 囲でできる限り低いレベルにされるべきであります。また、これまでの調査結果を見ますと、 我が国で流通する食品について、BGグループの複合汚染が見られる食品があること、また、落 花生のように、BグループよりもGグループの汚染濃度の方が高い場合があることに加えて、ア フラトキシンは輸入品の汚染が問題であることもありますので、コーデックス規格と同様に総 アフラトキシンで管理することは、健康被害を未然に防止する上で妥当であると考えられます。  以上のような枠組みの下で、具体的な規制値ということで(2)以降でございますが、これは、 先に資料1−1でも御説明をいたしましたように、二段階という規制は、我が国の加工の実態 を考えますと、現実的に難しいということですので、9ページの下でございますが、現状を踏 まえると、アフラトキシン管理のための規制値は、加工用、直接消費用の別を問わず、一本化 することが望ましいと考えられる。なお、この場合の規制値は、コーデックス規格で直接消費 用の木の実に設定されている「総アフラトキシン10μg/kg」とすることが適当である、として おります。  このように、総アフラトキシンで10としますと、現行のB1で10という規制よりもさらに厳し い規制となりますので、規制の強化となります。  最後の10ページ(3)で「食品衛生法第6条第2号に基づく規制の整備」としております。  (1)で示しましたように、現行の食品衛生法第6条第2号に基づくアフラトキシンの規制 は十分に有効ですので、引き続き、この枠組みで管理を行っていくことが適当と考えられます。 ただし、落花生及び木の実については、コーデックスでの規格基準設定といった国際動向、ま た、Gグループの汚染も見られている汚染実態等にかんがみ、これまでのアフラトキシンB1を 指標とした規制から総アフラトキシンを指標とした規制に移行することが適当である、として おります。  また、落花生、木の実以外の食品につきましても、引き続き、BGグループの複合汚染の動向 を把握するとともに、総アフラトキシンを指標とした分析法の整備を進めていくべきである、 としております。  事務局からの説明は、以上でございます。 ○大前部会長 どうもありがとうございました。  去年の6月に決めたのは二段階で決めているわけですけれども、加工用に関しては、日本で は設備があるところがないということで外しまして、トータルで、総アフラトキシンで10とい うのが、今説明のあったところだと思いますが、御意見・御質問はいかがでしょうか。 ○阪口委員 3ページのデータですけれども、落花生で150で1ですね。それを加工した、下の 方のピーナッツバターは62で、21ということで、これは加工用と直接消費用のピーナッツが例 えば国産だったりとか、輸入だったり、そういう違いでこういうものが出てきたのでしょうか。 それとも、加工というか、特殊なそういうことで濃縮していってなったとか、その辺、もしわ かりましたら。 ○小西委員 会議に遅れまして、大変申しわけございませんでした。お詫び申し上げます。  先ほどの御質問でございますけれども、日本で実態調査を私たちの研究室でやらせていただ きました。そのときの落花生は、市販で、そのまま食べる ready-to-eatの形の落花生です。 このready-to-eatは、非常にきれいであります。見た目も傷がついたり、それから、極端な話、 黒ずんだりするようなものはなくて、すべて白く、非常に清潔感のある落花生でありました。 一方、ピーナッツバターに加工する方は、もともとどういうピーナッツを使っているかという ことはわかりません。ですから、悪く考えればready-to-eatに加工できないようなものを使っ ている可能性も十分考えられるということで、昔から、ピーナッツバターには恒常的にアフラ トキシンの汚染があるということは知られていたことです。それが品質の違いではないかとい うふうに考えておりますので、製造工程においての濃縮だとか、その以前に、最初に原料とな る落花生の品質が問題ではないかと私は思っております。 ○阪口委員 そうすると、ピーナッツバターは日本で加工したものではなくて、海外のものも あるわけですね。 ○小西委員 はい。有名なピーナッツバターは大体海外から入って来ておりまして、国産のも のも幾つかはあると思いますけれども、メインは輸入品だと思っております。 ○阪口委員 今回、日本の加工の規程なんですけれども、そういう理由から、海外はちょっと 置いておいて、日本の加工を考えていた場合、この従来の案というか、分けるということはあ まり意味がなくて、逆に、加工法を甘くする理由は全くなくて、両方厳しくやろうという形を ある意味では支持するようなデータというふうに考えていいんですか。  加工だと甘くなったわけですね。逆に、日本のデータを見ると、加工品の方がどうもすり抜 けていって、悪い品質を使っているのかどうかもわからないですけれども、そういう高めに出 ているということですね。 ○小西委員 この違いは、加工品用として輸入しているか、それとも、ピーナッツバターみた いに、もう加工したものを輸入しているかというところだと思いますね。今は、加工品用とし てピーナッツを輸入するか、それとも、ready-to-eatで、そのまま食べる状態でというのは、 生のピーナッツのような、ready-to-eatというのは焙煎したピーナッツをさしているとします。 その状態で輸入するかというところで規制を二段階にしましょうというのがコーデックスの考 え方なんですね。だから、加工品として入るという意味ではないと思います。 ○阪口委員 勿論、それは海外でやられているのでわからないのですけれども、海外はちょっ と置いておいて、日本で加工する場合に、コーデックスのような条件よりは、統一した基準の 方がいいだろうと。これは、ピーナッツバター自体が海外で加工したものか、日本で加工した ものかというのは分けて書かれてないのですけれども、ちょっとそこは話を置いておいた場合、 コーデックスのような基準の方がより安全性が担保できるということですね。 ○小西委員 そうです。コーデックスでは、加工用のピーナッツと、それから、ready-to-eat が違うのがちゃんと担保できているのに、日本は担保できていないかどうかというところをち ゃんと確かめたいというお話だと思うんですが、それは先ほど、入江課長補佐から御説明があ ったと思いますけれども、日本の場合、そういうきちんとした担保できるだけのバックグラウ ンドが今はまだ整備されてないという理解でよろしいのでしょうか。それをちょっとお戻しし ます。 ○事務局 補足説明をいたします。  恐らく、ここで挙げられているピーナッツバターは、既に加工された製品でございます。資 料1−1で最初に挙げられていた加工用という案は、まさにそのピーナッツバターになるはず の加工前の原材料のものでございまして。確かに、そのような加工をすれば、アフラトキシン は減るかもしれないんですが、ただ、その減ったことを確認するような体制に今国内ではなっ ておりませんで、「加工用の原材料です」と言って、この緩い基準15で入ったとしましても、 それが確実にピーナッツバター、加工製品となった段階で10を満たしているかどうかというの は、そこは担保が、我が国ではできないということでして。この加工用と言ったときに、「製 品にするための加工」と、「アフラトキシン低減のための加工」と、ちょっと分けて考える必 要があると思うんですが、日本では、確かに製品にするための加工、味付けとか、ピーナッツ バターにするとか、そういう加工はなされているんですが、アフラトキシン低減のための加工 というような施設が存在をしないという実態でございます。 ○阪口委員 大変よくわかりました。  ただ、ちょっと思ったのは、例えばコーデックスの基準は、このピーナッツバターは多分ア メリカ製とかが多いと思うんですけれども、アメリカでコーデックスの基準でやっているにも かかわらず、たくさん入っていると。ただ、アメリカの直接消費用のものが、これはデータが ないので、比較しようがないのですけれども、必ずしも加工用としてやった場合でも、実際は ちゃんとコーデックスの基準を守ったとしても、やはり含まれているという話ですよね。 ○事務局 恐らく米国では、二段階の基準になっていないので、すべて20をクリアしていれば、 きっと米国内ではオーケーなんだと思うんです。ただ、日本に輸出をされた場合、その場合は、 恐らくコーデックスの規格を満たしているもので輸出してくるはずだと思うんですが、その場 合、ピーナッツバターは直接消費用のものですから、10という値を満たしたピーナッツバター をアメリカからは輸出をされるんだと理解をしています。 ○阪口委員 どうもありがとうございました。 ○香山委員 ページ3の同じ表ですが、「汚染件数」と書いてあるのがちょっとよくわからな かったので、データをじっと見ておりますと、これは定量限界以上だったものという意味です ね。 ○小西委員 お答えいたします。そうです。 ○香山委員 年次を見てもそうですし、勿論10を超えているものはどれもなかったということ でありますので、今のB1の基準を超えているものはないということだと思うのですが。  それから、次のこの測定値を使って、モンテカルロ・シミュレーションをされたということ でありますが、定量限界以下の数値に関しては、どういう処理をされたか、これは書いてあり ますかね。0.1と書くと。仮定AとBですね。わかりました。どうもすみませんでした。 ○五十君委員 全体のお話は非常にすっきりしていると思います。特に加工品について、コー デックスの基準と異なるという部分の対応について、その値を下げるための処置手段が国内に ないというので、リスク・マネジメントとしては一本化したマネジメントが適するであろうと、 非常にわかりやすい規格基準になると思います。  それから、安全委員会の答申でも、幾つかのシミュレーションをやった場合に、特に大きな 差はないようですので、コーデックスの10という値を採用し、この点についても十分かと思い ます。  ただ、1点ちょっと気になったのですが、もしかしたらこの部会ではないお話になるかもし れませんが、EUの規制を見ておりますと、最近、いろいろな食品でもそうなんですが、乳幼児 向けの食品に関して非常に高いレベルの別枠の規制値を設けているというのがあるのですけれ ども、これについては、アフラトキシン関係ではそのような設定をするというような考え方と か議論はお持ちでしょうか。 ○大前部会長 いかがでしょうか。 ○俵木課長 事務局の方では、今、乳幼児用に限った暴露評価は承知しておりません。特段、 前回までの御議論でもいただいてきておりませんので、今回この報告書の中には、その点につ いては全く触れていない状況でございます。 ○小西委員 補足させていただきます。  乳幼児というくくりをどういうふうにするかというのはちょっと別に置いておきまして。ア フラトキシンB1の暴露評価の基としました国民栄養調査による主要汚染食品の摂取量を、年齢 別、すなわち、1〜6歳、7〜14歳、15〜19歳、あと、20歳以上の4段階に分けてシミュレー ションをしておりますが、年齢別の差はそれほど見られませんでした。ですので、今のところ、 子どもが食べる食品に対して、特に我が国においては健康被害を云々するというような状況で はないと報告書には書かせていただきました。 ○五十君委員 今のお話は汚染実態ということですか。 ○小西委員 汚染実態から摂取量を調査した場合です。 ○五十君委員 わかりました。 ○山内委員 私なりに最終的な結論をまとめてみると、日本の今後の規制の方法は、今後、日 本国内においては、すべての食品において、総アフラトキシンは検出されてはならないものと して食品衛生法第6条第2号の規程で管理をすると。ただし、その規制値は10μg/kgである、 と理解しています。「検出されてはならない」と言っておきつつ、規制値に10μg/kgが置かれ ることは、分析等との関係やコーデックスとの関係だとは思うのですけれども、普通の消費者 にとっては、非常にわかりにくいので、もう一度御説明をお願いします。  それから、先に決めたカドミウムの規制については米に0.4ppmの規格基準を設定するという ものでした。アフラトキシンとカドミウムの考え方の違いをもう一度、説明していただけると 助かります。 ○事務局 恐らく6条と11条の説明になるかと思うんですが、今回、この議論をしていただい ておりますアフラトキシンにつきましては、「経緯」のところで、一番最初に書いております ように、昭和46年以降、「アフラトキシンが検出された食品は食品衛生法第6条第2号に違反 するものとして取り扱う」、これは通知で運用をされております。  この通知上は、「アフラトキシンが検出された食品」と文言としては書かれているのですけ れども、実際に分析をいたしますと、この10という値が出てきます。この10を超えるものにつ いて、これまでも規制がされてきました。「6条に該当する」というのは、「有害な、または 有毒な物質を含む食品」ということで、販売等が厳しく禁止をされているものでございます。  一方、カドミウムで決めました成分規格、食品衛生法第11条に基づく成分規格は、例えば0.4 でしたら、その値までが許容される最大基準値でございます。  また、もう一点、6条と11条で違いがありますのは、その対象食品でございます。「アフラ トキシンが検出された食品」と書かれておりますので、食品の対象は、すべての食品となりま す。カドミウムにつきましては、米に関しまして0.4ですから、食品を絞った形で成分規格が 置かれております。その点が違うかと思います。恐らく6条の趣旨は、アフラトキシンは遺伝 毒性がある発がん物質ということで、その他の発がん物質に比べましても、特に発がん性が強 いことが知られておりますので、ほぼゼロ、検出をもって規制をするという精神で、6条で規 制をされてきたものと考えられます。  一方カドミウムは、これも同じ汚染物質ですが、その汚染を避けることはできないので、耐 容量を定め、その範囲である一定の許容できる基準値を定めようということで、先日、部会で 議論を行っていただいた上で、0.4という値を許容値として、最大基準値として置きました。た だ、カドミウムのように、耐容週間摂取量が示されるような物質とは違いまして、アフラトキ シンは遺伝毒性に関する発がん物質ということで、閾値もございませんし、なるべく低いレベ ルに管理することが適当ということで、6条の精神のままで、今回、食品衛生法第6条の枠組 みのままで規制を、値としては、総アフラトキシンでの規制となりますので、B1のみで規制す るよりもさらに厳しい規制となりますが、リスク管理を強化していくという案でございます。 ○山内委員 説明を何度も繰り返し聞いているとわかりますけれども、今回、新しく規制値を つくったときに、広く国民にお伝えいただく場合には、大きく趣旨として、有毒物質の規制の ものであり、それに基づいてこのように決めたというようなことを、今説明いただいたように わかりやすく説明していただくなり、Q&Aをつくっていただけると助かります。  申し忘れておりましたけど、規制値の10μg/kgと15μg/kgを一本化することと、すべての食 品を対象とすることについては、私は賛成です。 ○大前部会長 そのほか、御意見あるいは御質問はございますか。 ○小西委員 総アフラトキシン10μg/kgになるということになりましたので、分析法も当然変 わってくると思いますし、今までと同じサンプリングプランでされる御予定かどうかというと ころをちょっと教えていただきたいです。 ○事務局 この件に関しましては、監視安全課の方からお答えいただきます。 ○事務局 そうしましたら、今、小西先生から御質問のありましたサンプリングにつきまして、 私、監視安全課の近藤と申しますが、説明させていただきます。  分析法も変わることもございまして、特にアフラトキシンの試験に当たりましては、その基 となるロットの評価をいかに適正に行うかという点が非常に大事でございます。特にアフラト キシンにつきましては、不均一に汚染されやすいという特徴がございます。ですので、そのよ うなロットを適切に、より真値に近い値が求められる形でサンプリングが行われるように、現 在、検討を行っております。  具体的には、国立医薬品食品衛生研究所の先生の御尽力も得まして、様々な文献等をお集め いただいております。その中で1つの例といたしましては、トウモロコシのような穀粒につき ましては、おおむね1万粒程度のものが集まれば、その評価の結果につきましてはばらつきが 大分小さくなるというような御報告もいただいております。ですので、そのような考え方も踏 まえつつ、サンプリングについては検討をさせていただければと思っております。  また、施行につきましても、今回、部会でいろいろ御審議をいただいておりますけれども、 この御審議の結果の施行に合わせて、私どものサンプリングも施行できればと考えております。 ○五十君委員 今の試験法の件ですが、このコーデックスの基準では、試験法はどのようにな っているのでしょうか。総アフラトキシンということですか。 ○事務局 コーデックスの方で定まっている規格に関しましては、それに対応するサンプリン グプランが付いておりますので、落花生、木の実といったコーデックス規格があるものについ ては、総アフラトキシンで示されております。 ○五十君委員 もしそうだとすると、基本的には、規制値をコーデックスで取った場合は、試 験法も、特殊な日本の食材に関しては別かもしれないのですけれども、試験法についても合流 していく方が、サンプリングプランにしても、あまり変えない方がいいのではないかと思うの ですが、いかがでしょうか。 ○大前部会長 いかがでしょう。 ○事務局 先生の御意見も一つの御意見として受けとめていきたいと思います。今、サンプリ ングにつきましては、まさに私どもで検討している最中でございますので、様々な専門家の御 意見も踏まえつつ、その内容については検討を進めたいと思っております。 ○大前部会長 そのほか、御意見あるいは御質問はいかがでしょうか。  よろしいですか。  それでは、特に御意見・御質問がないようでしたら、この食品中のアフラトキシンに係る規 制につきましては、先ほど説明がありました食品衛生法第6条第2号に基づきまして、アフラ トキシンB1を指標とした規制から、総アフラトキシンを指標とした規制に移行するということ としまして、その値に関しましては、10μg/kgということで御了承いただきますが、よろしゅ うございますか。  それでは、今後の予定につきまして、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 本日御議論いただいた内容につきましては、冒頭に御説明しました食品衛生分科会 における確認事項に照らした場合、表の区分のいずれにも該当するものではありませんが、そ の内容等に鑑み、食品衛生分科会で御審議いただきたいと考えています。御了承いただけます でしょうか。 ○大前部会長 よろしゅうございますか。一番最初に御説明がありました確認事項、重要な問 題なので、分科会の方に上げたいということでございます。  それでは、食品衛生分科会で審議することといたしまして、分科会長の方にもお伝えいただ きたいと思います。  そのほかの件につきまして、何かございましたら、お願いします。 ○事務局 今後、食品衛生分科会で審議いただくとともに、パブリックコメント等の手続を進 めます。また、現行の食品衛生法第6条第2号に基づくアフラトキシンの規制の運用は、通知 により示しておりますので、総アフラトキシンの分析等の整備を行った上で、その運用を変更 する旨の通知を発出いたしたいと考えております。 ○大前部会長 この件に関しまして、御質問・御意見はいかがでしょうか。  御了承いただけますでしょうか。  それでは、この審議事項を終了したいと思います。  一番最初に申し上げましたように、報告事項カドミウムに関することでございますので、私 はこれで退室させていただきます。井上先生、あとをよろしくお願いいたします。 ○井上委員 井上でございます。  先ほどのお話にありましたように、これから、食品中のカドミウムに関する規格基準につい ての報告の説明を事務局からお願いいたします。 ○事務局 大前先生ありがとうございました。  それでは、お手元の資料4−1、4−2、それから、適宜、参考資料7〜9を用いて説明さ せていただきます。  まず、資料4−1、「経緯」のところでございます。食品中のカドミウムの規格基準につき ましては、昨年10月の当部会におきまして、米の成分規格を現行の1.0ppmから0.4ppmに改正す ることも含めて御審議をいただき、同年12月の食品衛生分科会の審議を経て、本年2月に答申 をいただいたところであります。一方、御承知の方も多かろうかと思いますが、本年の3月の 初旬、一部の報道等で、平成19年度及び20年度に環境省が実施した「畑作物等指定要件検討基 礎調査」の結果について、カドミウム汚染地域の畑作物のカドミウム含有濃度データが含まれ ているにもかかわらず、その調査結果が薬事・食品衛生審議会での審議の際に提出されていな かったことが問題であるといった指摘がなされたところです。  本件につきましては、厚生労働省としての考え方を、既に3月5日時点で、部会委員の先生 方にはお知らせをしているところですが、本日、改めて御確認をいただくとともに、以降の厚 生労働省の対応について御報告をさせていただくものです。  続いて、資料4−2に基づきまして、本日陪席をいただいております環境省土壌環境課の笠 井課長より御説明をお願いいたします。 ○笠井課長(環境省) 土壌環境課長の笠井でございます。  資料4−2に基づいて説明をさせていただきたいと思います。机上に、19年度と20年度のデ ータ集の形になっていますけれど、調査結果を配らせていただいております。  コーデックスでもいろいろ議論がございますので、米以外につきましても、カドミウムに関 する成分規格が設定された場合に備えて、農用地土壌汚染防止法に基づく対策地域の指定要件 を検討する必要があるということで、土壌のカドミウム濃度と農作物中のカドミウム濃度の相 関関係を把握するための基礎データを得るということで、平成19年度と20年度にかけて調査を 実施しております。  我々の調査は、土壌と農作物の関係ということですので、農作物から人間の体に入るところ は考慮してなくて、どこでどれくらい採れているかというようなことは必要な情報ではないの で、どこで採れたかということは言わなくてもいいということで都道府県にもそのようにして データを集めてもらったというものでございます。  ということでありましたので、昨年当部会のヒアリングがありましたときにも、あえて御報 告をする必要はないと考えたわけですけれども、一部の報道で、それがよくないのではないか というような指摘もございましたので、データ集そのものは厚生労働省の方にも届けさせても らいました。  「概要」でございますが、米以外の63品目について、農作物と土壌中のカドミウム濃度の関 係を見ようということで測っております。サンプル数は一番少ないもので1つ、一番多いもの は218個ぐらいありました。その結果をもとにして、作物中のカドミウム含有量に関連すると推 定される土壌の性質(複数の抽出法による土壌中カドミウム含有量、陽イオン交換容量、リン 酸吸収係数、土壌pH(H2O)、土壌pH(KC1)、全炭素)と作物中のカドミウム含有量の相関関 係を検討しているところでございます。つまり、今、解析をやっているところです。  現在、米の食品規格が変えられたということで、農用地の対策基準も検討しております。農 用地土壌汚染防止法に基づく対策地域の指定の基準は、人の健康に関するものはカドミウムだ けで、これは土壌と作物の関係がはっきりしないところもありますので、米中のカドミウム濃 度で決めて、そういう基準を超える米が採れないようにするということでやっております。  カドミウム以外は、作物の生育障害に関する基準ということで、銅と砒素については土壌の 基準がございます。ですが、今後、米以外の作物について基準がつくられたときに、土壌中の 濃度と農作物の濃度の関係がどうなるかというところが課題になると思いますので、そこを先 駆けて、データを集めましたので、分析を今進めているところでございます。  以上でございます。 ○事務局 ありがとうございます。  続いて、資料4−1に戻りまして、厚生労働省の対応について御報告いたします。  まず、本件につきまして、平成22年3月「食品に関するカドミウム」に関するQ&Aにおい て、この環境省の調査結果への対応に関する質問を追加しております。参考資料9の一番最後、 10ページですが、「本年3月に新たに公表された環境省の調査結果によれば、カドミウム濃度 の高い畑作物が確認されていますが、厚生労働省は、この結果を踏まえて、畑作物に関する基 準を設定するなど、再審議をしないのですか?」という問いを立てまして、これに対する回答 として、まず、先ほど、笠井課長から御説明がありました調査の概要、それから、これまで、 本部会を含め審議会で御議論いただいた概要について説明しております。読み上げますと、2 段目からですが、  「薬事・食品衛生審議会における食品中のカドミウムに関する審議は、食品安全委員会の食 品健康影響評価を踏まえて行われたものです。同評価では、農林水産省が実施した全国規模の 調査結果をもとにカドミウム濃度が比較的高い農作物の流通も想定して推計された日本人のカ ドミウム摂取量分布も含めて評価されています。  審議会においては、食品安全委員会の食品健康影響評価を踏まえ、各食品群のカドミウム摂 取量の寄与率、国際基準のある作物に基準を設定した場合のカドミウム摂取量低減効果の推計 等も勘案して、以下の結論が得られました。  (1) 米中のカドミウムの規格基準を改正すること  (2) 消費者に対し、バランスのよい食生活を心がけることの重要性について情報提供を行う こと  (3) 米をはじめその他の農作物について、低減対策を推進するよう関係者に要請すること  (4) 農水産物中のカドミウムの実態把握に努めるよう関係者に要請すること  今般公表された環境省の調査結果を含めたとしても、以上の審議会での審議の結論に影響を 与えることはないと考えていますが、次回開催される定例の審議会(5月予定)では、環境省 の調査結果を御報告し、御確認をいただくこととしています。」  続きまして、Q13ですが、「新たに公表された環境省の調査結果によれば、カドミウム濃度 の高い野菜があるようですが、野菜を食べても大丈夫でしょうか?」という問いに対しまして、 Q3、Q5、ページを戻って御参照いただければ幸いですが、食品からのカドミウムの摂取量 の経年変化という表がありまして、食品からのカドミウム摂取にどういった食品がどの程度寄 与をしているかというものの説明をしております。それから、めくっていただいて、Q5で、 米を毎日摂取することによる健康影響ということで、耐容週間摂取量を十分に下回っていると いうことを説明しております。  これを参照いたしまして、  「食品安全委員会の食品健康影響評価によれば、我が国での市場流通食品の分析結果をもと に算定したカドミウムの一日摂取量は2.8μg/kg体重/週であり、耐容週間摂取量の7μg/kg体 重/週を十分下回っていることから、一般的な日本人における食品からのカドミウム摂取が健 康に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられるとされています。  また、同委員会では、比較的カドミウム濃度が高い農作物が流通することも想定して推計さ れた日本人のカドミウム摂取量分布についても、以下のとおり評価しており、審議会における 議論では、カドミウム摂取量が多いと推定される人でも、健康に悪影響を及ぼさない摂取量を 十分に下回っているとされています。」  以下は、食品安全委員会の評価書からの抜粋になります。  ページをめくっていただいて、一番最後になりますが、  「日本人が食品を通じて摂取するカドミウムのうち野菜各品目から摂取する量の割合は、主 要な摂取源である米に比べて低い上、我が国の農作物の流通・販売や食生活の現状からは、カ ドミウム濃度の高い野菜を毎日大量に、長期間にわたって摂取する可能性は低いと考えられま すが、食生活を通じて健康な毎日を過ごすためにも、同じ食品を毎日たくさん食べ続けるとい った偏食などに注意し、バランスの良い食生活を心がけましょう。」  ということで、Q&Aの追加をしてございます。  資料4−1に戻っていただいて、本年4月でございますが、当部会での審議結果等も踏まえ て、米のカドミウム成分規格を1.0ppmから0.4ppmに改正する告示を公布させていただいており ます。これに伴いまして、2点目ですけれども、地方自治体に対して通知を行いまして、食品 からのカドミウム摂取について、Q&A等を活用した消費者への情報提供を要請しております。 特に汚染地域を有する地方自治体においては、当該地域等で収穫される農産物を自家消費等に より継続的に摂取する住民に配慮をした情報提供を要請しております。  この内容に関しましては、参考資料8、4月8日付けの改正告示の通知になりますが、第4 「消費者への情報提供」ということで、今御説明した内容を各地方自治体に通達をしてござい ます。  それから、再び資料4−1に戻っていただきまして、平成22年5月、本日の部会にて本件に ついて御報告をしているところです。6月に予定をしております食品衛生分科会においても、 同様の報告をさせていただく予定としております。  参考資料7になりますが、本部会の報告書にございますとおり、ページの7でございますけ れども、食品中のカドミウムの規格基準に関しましては、引き続き、含有実態調査、あるいは 摂取量等の調査を継続しまして、一定期間後にその実施状況等を再び本部会で御報告させてい ただき、その時点での規格基準の設定の必要性等について御審議をいただくこととしておりま す。  事務局からは、以上です。 ○井上委員 ありがとうございました。  Q&Aの事の発端、Q&Aの内容説明、それから、4月の段階での措置、本日の会議、それ から、今後の報告書にもあるとおり低減対策及び含有実態調査等について、本部会に検討結果 を報告していくというあらすじの御説明だったわけですけれども、御質問等ありましたら、ど うぞ。  食品の摂取の仕方に対する注意とか、そういった配慮が必要ですし、関係者による低減対策 の推進とか、そういった事柄全体を通じて、目標を達成していくということになるわけですけ れども、御提案とか、御質問とかありましたら、お願いします。  香山先生、何か付加的な御説明はありますか。 ○香山委員 環境省が土壌汚染対策のために行った農作物調査のことが過大に報道されたとい うことが、まず、この事情の第1点だと思います。我々も、全国10か所以上で、もう既に調査 をしてまいりまして、そこには、国内ではかなり高いと思われる汚染地域でのマーケット・バ スケット方式によります農作物、ローカル・マーケットで農作物を買ってきて、測定をし、ト ータル・ダイエット・スタディ方式で摂取量を評価しました。また、同じ地域で、陰膳法を行 ったりもいたしましたが、それでも、勿論若干高めのものは中にはありますが、摂取量は、PT WIの中に入るレベルでありまして。それと、特に陰膳法をしますと、トータル・ダイエット・ スタディ方式より半分ぐらいの値になるということがわかりました。そういう実態を踏まえま すと、シミュレーションは少し高めに出るのだろうというふうに我々は感じております。  それから、その地域での健康影響評価に関しましては、特に腎機能あるいは骨密度に関して は影響がなかったというふうに解析をいたしました。  以上でございます。 ○井上委員 どうもありがとうございます。  そういう調査結果だということでありますが、いかがですか。  よろしいでしょうか。  消費者への情報提供などは、今後とも特に重要な要になることかと思うんですね。そういう 意味では、これまでの経過が本日は、一通りよく御説明いただいたと思いますし、これを周知 願って、今後の情報提供をお願いしたいと思いますけれど、本当によろしいですか。 ○浅見委員 全体としまして、トータル・ダイエットとか、全国的な意味というのでは非常に よくわかりますし、おしなべて非常にそうだと思いますし、今回、ちょっと高いところがとい う御指摘があったところも、わざと添加してあったところですとか、特殊なケースはごく一部 しかないと思うんですけれども、今回、逆に、そういう調査結果をわかりやすく環境省さんの 調査結果として整理して公表をしていただいた方が、逆に安心につながるのではないかという ことと。あと、住民の方に本当に広報をしているかどうかというのをフォローアップをしてい ただけると、言っただけということではなく済むのではないかなと思いますので、それをお願 いしたいところです。 ○井上委員 ただいまのような御提案もありますが、何か今後の方向について、環境省並びに 厚生労働省の方での御準備はありますか。厚生労働省については、いろいろここで方針を出し ていただいているわけですけれども、環境省の方でも何かございますか。 ○笠井課長 今、香山先生の方から、ヒトへの摂取の方でどうなのかということの御説明もい ただきまして、正直言って我々も安心したところではあります。つまりますところ、ヒトへの 摂取がどうなのかというところは、我々が扱う形にはなってないもので、環境省のデータは、 摂取量は全然わからなくて、地点を公表しないという前提で、土壌と作物中の濃度の関係を調 べようというものです。土壌中に何ppmぐらいあると作物中にどれくらい出てくるのかというそ の相関を見ようということで、割と濃度の高いところ、0.3mg/kg以上のところということで出 してもらったりしていますし、その地域でとられた植物がどのような利用をされたかというこ ともとらないでデータを集めているものでございますので、そういうものだということをきち んと情報提供をすべきであったということは反省をしております。御迷惑もおかけしているよ うなので、申し訳なかったと思います。  それで、摂取の方を考慮して基準をつくっていただいたら、それを踏まえて、また、土壌の 方の対策も考えていかなければいけないということになると思いますけれども、米の場合でも、 米の濃度をバシッと決めれば、土壌の濃度でどれくらい以下だったらもう出ないというのはう まく出ないので大変苦労をしております。さらに、畑作物ができて、畑作物でいろいろな基準 は決まっていて、それで、土壌の濃度でどれくらい以下だったらバシッとできるかというと、 ここもなかなか難しい感じがあります。それで、今の農用地土壌汚染防止法で対応がしきれる のかどうかというところも含めて、時間もいただいておりますので、検討をしていかなければ いけないと思っております。 ○香山委員 実際にそういう結構汚染の高い地域の方々で、注意を促すべき集団は、自営の農 家の方で、自分のところの米と野菜を食べている方、ですから、そういう方を対象にリスクコ ミュニケーションをきちんと厚生労働省の方から、あるいは食品安全委員会の方からでもいい のでしょうが、やっていただくしかないのかなと私は思います。それだけやれば、これがスク リーニングしなくても、高いものが間違ってもし市場に出たとしても、そればかりを食べる人 はいないわけですし、この頻度は極めて低いわけなので、多少高いものを1、2度食べたとし ても、カドミウムはそういう毒性のものではなく、長期間の暴露によって影響が出る重金属で ありますので、一般消費者に対しての対策は特に今のリスクコミュニケーションで問題はあり ませんが、そういう地域の農家の方には何らかの指導をしていただきたいと思います。 ○井上委員 香山先生、どうもありがとうございます。  片方は国民向けの広報、片方は土壌の調査ということでもってやっておられるわけだから、 視点も違い、調査の目的も違う。それが総合的にどのような形になっていくのかということの 情報公開は、正しく情報提供されることが大事だということを香山先生はおっしゃったと思う んですけれども、何かもうちょっと私よりも上手な言葉で補足があったらどうぞ。 ○山内委員 Q&Aも即座に改定していただいて、役に立ったのですけれども、これを見る者 側から言いますと、環境省のお仕事の範囲もわかりますし、厚労省のお仕事の範囲もわかるの ですが、国民側から言うと、政府というものが何のためにどういう調査をされていて、その結 果が国民の健康に与える影響は一体どうなのかということを、それこそ今総合的にとおっしゃ ったんですけれども、平易な言葉で伝えていただくことが必要です。現行のQ&Aを読みます と、環境省の仕事はこのようなものだと聞いていますというような他人事のようにとれる表現 があります。その辺りを是非、ちょっとチャレンジになるとは思いますけれども、双方の関係 者が協力して、このQ&Aに環境省の調査はこういうもので、今回の食品健康影響評価から言 うと、気にしなくてもいいという範囲でとらえていいというふうに考えているというような表 現を考えていただきたいと思います。また、例えば香山先生に今回のデータをどう評価したら 良いのかについて、コラムのようなかたちでお書きいただいたものを添付してもらえると、第 三者の方の評価として、消費者の理解を助けることになると考えます。そんな工夫もしていた だければと思います。 ○井上委員 貴重な御発言だと思うんですね。承っておきたいと思います。要は、なかなか国 民の見えないところで、各省庁でネゴシエートしてまとまったものだけが出てくるというのは 気持ちの悪いものですからね。そういう意味では各省がそれぞれの立場の見解を発信するのは、 国民の皆さんに分かりいい状況なのではないかと思います。そういう意味では、最終的に正確 な安全性の問題という、厚生労働省の責任だから、厚労省にはそこのところを引き取って発表 していただくということになろうかと思うことと、あとは、香山先生のようなアカデミーの立 場の先生方の御発言を待つということになろうかと思います。  そんなところでよろしいですか。  事務局から何かありますか。 ○事務局 リスクコミュニケーション、特に汚染地でのリスクコミュニケーションに関しまし ては、農林水産省と今回この食品衛生法の成分規格が変わるということを周知する意味、また、 汚染地での消費者の方への情報提供も含めまして、リスクコミュニケーションを開催してまい る予定です。  補足です。 ○井上委員 是非、その辺をよろしくお願いいたしたいと思います。  では、ほかに御質問がなければ、この件については、終了いたしたいと思いますが、よろし ゅうございますか。  続いて、議題の3は「その他」ということですが、事務局から何かありますか。 ○事務局 特にございません。  なお、次回部会につきましては、現在、日程調整を進めているところでございますが、7月 下旬の開催を予定しております。よろしくお願いします。 ○井上委員 どうもありがとうございました。  本日の議事はこれで終了いたします。  以上をもちまして、本日の食品規格部会を終了いたします。ありがとうございました。 照会先: 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課  規格基準係 TEL:03-5253-1111(内線4280)