10/03/25 平成22年3月25日医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録 第6回 医道審議会医師分科会医師臨床研修部会         日時 平成22年3月25日(木)             15:00〜          場所 厚生労働省共用第7会議室(5階) ○臨床研修指導官 定刻になりましたので、ただいまより「第6回医道審議会医師分科会医師 臨床研修部会」を開催いたします。本日は、ご多忙のところご参集いただきまして、誠にあり がとうございます。  本日は、山下委員、吉岡委員が所用にてご欠席、また長尾委員から到着が少し遅れるとの連 絡をいただいています。  議事の進行に入らせていただきます。部会長、よろしくお願いいたします。 ○部会長(相川) 本日はご多用のところ、また足下の悪い中をありがとうございます。  まず、資料の確認について事務局からお願いいたします。 ○臨床研修指導官 お手元の議事次第をご覧ください。本日の議題は「平成23年度の臨床研修 の対応等について」です。資料として、資料1「パブリックコメント手続きによる意見につい て」、資料2「研修医の募集定員に関する都道府県別の上限についての試算」、資料3「今後のス ケジュール(案)について」です。  参考資料1「主な団体からのパブリックコメント」、参考資料2「2月18日の部会の意見とり まとめ」、参考資料3「『医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に関する省令の施行につ いて』の一部改正案について」をご用意しています。  不足がある場合はお申しつけください。よろしいでしょうか。それでは、部会長、よろしく お願いいたします。 ○部会長 議事に入りたいと思います。本日の議題は、ご案内のように、1.「平成23年度の臨 床研修における対応等について」、2.「その他」となっています。  前回の会議では、平成23年度の臨床研修における対応等について、大変ご熱心にご議論いた だき、いただいたご意見を踏まえて、当部会の意見を取りまとめました。その後、厚生労働省 において、臨床研修に関する省令の施行についての一部改正案を作成し、パブリックコメント を行いました。本日は、事務局よりパブリックコメントの意見と、その意見に対する考え方な どについて、まず説明を受け、その後、皆様からご意見をお願いしたいと思います。  資料1「パブリックコメント手続きによる意見について」から資料3「今後のスケジュール案 について」までについて、事務局より説明をお願いします。 ○医師臨床研修推進室長 資料1によりまして、「臨床研修に関するパブリックコメント手続き による意見について」をご説明いたします。  前回のこの部会でご議論いただきまして、2月18日に意見を取りまとめていただきました。 参考資料2のほうに、その取りまとめられた意見を付けています。また、2月18日から3月19 日にかけてパブリックコメントを厚生労働省のほうで実施しており、その内容については参考 資料3を付けています。このパブリックコメントの手続きを行い、資料1になりますが、その 結果、寄せられたご意見は合計470件でした。  この寄せられた意見の概要とその意見に対する考え方は、別添として、横になっていますが、 「臨床研修制度の見直しに関するパブリックコメントの概要」という形で整理しました。左側 にそれぞれの項目、個人や病院のほうから出されているご意見と、団体から出されているご意 見があります。特に団体から出されているご意見については、参考資料1に主な団体からのパ ブリックコメントとして整理していますので、必要に応じてご覧いただきたいと思います。ま た、私たちのほうで、そのご意見に対して考え方を整理したものを右側に記載しています。  まず、「当面の取扱いへの対応について」、基幹型臨床研修病院の指定に関することですが、 ご意見のところをご覧いただくと、「賛成する」あるいは「引き続き平成25年度以降も継続し てほしい」、3段目にありますように「次回の制度の見直しまで続けてほしい」というご意見や、 1つ飛ばして「過去3年間に研修医の受入がなくても、激変緩和措置の継続をしてほしい」な どのご意見がありました。  右側にそういったご意見に対する我々の考え方として、昨年4月に行った見直しですが、基 幹型臨床研修病院の基準を強化するとともに、研修医の受入実績がある場合などには、激変緩 和措置として1年間指定を継続する取扱いとしたわけです。  この激変緩和措置が適用された114の基幹型臨床研修病院について、本部会においても、個 別の状況をご検討いただき、最終的に各病院が新しい基準を満たすまでの猶予期間として、平 成24年度から研修を始める研修医の募集まで継続した後、廃止をする方向になりました。  また、研修医の受入実績がない基幹型病院については、研修医に対する指導実績が必要とい うことでしたので、激変緩和措置を適用しないという考え方です  2頁です。「基幹型病院の指定に関するもの」の続きですが、激変緩和措置の廃止について「反 対である」あるいは「再検討してほしい」というご意見で、特に中小病院との関係がご意見と してありました。右側にありますが、我々の考え方として、基幹型臨床研修病院として指定が 継続されない場合であっても、協力型病院として臨床研修を担うことが可能であるということ、 地域の中小病院が協力型病院となって地域の中核病院である基幹型病院と協力して臨床研修病 院群を形成し、地域で研修を確保、養成する取組みを促進していくという考え方を記載してい ます。  続いて「小児科・産科プログラムの作成について」です。定員4名分を病院の定員に別途加 算する方法ですが、1段目に「賛成する」というご意見や、1つ飛ばして、この項の3段目には 「断固反対する」というご意見がありました。この点については、右側に考え方を整理してい まして、昨年4月の見直しにおいては、一定規模以上の病院に産科・小児科プログラムを必ず 設けることにしています。そのプログラムに対する希望者を、ここでも資料をお示ししました が、用意された定員の6割程度であったということから、空席の部分について募集定員の減少 につながるのではないかというご意見がありましたので、そういう減少につながらないように 4名分を病院の募集定員に別途加算することにしたということを記載しています。  その下のご意見ですが、小児科・産科プログラムの定員4名分について、「都道府県の定員の 上限の枠外としてほしい」あるいは「上限についても別途加算してほしい」というご意見等が ありました。これについては、右側に考え方をお示ししていますが、この定員4名分の加算に ついては、病院の定員に加算しますが、都道府県の上限との関係においても別枠という形で取 り扱って、他の病院の定員の減少につながらないようにしたいと考えていまして、その取扱い が明確でありませんでしたので、それははっきり明確にしたいと思います。具体的には資料2 でご説明したいと思います。  その次のご意見は、「小児科・産科プログラム以外のプログラムについても加算の対象にして ほしい」というご意見がありましたが、そのご意見に対しては、この4名分の加算は、必置と なっているプログラムの4名分を対象にしたもので、病院のご判断で設けているプログラムに ついては対象外です。また、小児科・産科のプログラムであっても4名を超える部分は、加算 の対象外にするという考え方を整理しています。  3頁です。「病院の募集定員に関する激変緩和措置」で、前年度の内定者の数を下回らないよ うにする激変緩和措置ですが、これに対しては、1段目にありますように「賛成する」、2段目 にありますように「歓迎する」というようなご意見と、3段目にありますように「次回の制度 の見直しまで続けてほしい」というご意見、そして、この項目の最後、真ん中あたりですが、 「激変緩和措置は速やかに廃止してほしい」というご意見がありました。  これに対して、右側に考え方を整理していますが、現時点では地域医療への影響が十分に評 価できていないことから、平成23年度の研修においては、激変緩和措置を継続し、その後の取 扱いは、研修の実施状況、地域医療への影響等を評価して定めることにしています。こういっ たことを記載しています。  その下の「都道府県別の募集定員の上限について」の項目は、その上の「病院の募集定員に ついて」と基本的に同じご意見です。考え方も同様の形で整理しました。  4頁をご覧ください。「臨床研修病院群の形成の促進について」の項目ですが、上から4つぐ らいまでは、それぞれ「都道府県との調整を十分に踏まえて、国において定員決定の責任を果 たしてほしい」というご意見や、「都道府県が病院の定員調整を行う場合に、病院に十分な説明 を行ってほしい」あるいは「法令によって事務や権限等を明確にすべきである」というご意見 がありました。  右側にそれに対する考え方ですが、病院の募集定員は全国共通の規則に基づいて決定されて いますが、地域において臨床研修病院群を形成して、研修医の確保に向けた工夫ができるよう に、都道府県において募集定員が調整できるようにするというものです。この調整結果を踏ま えて、厚生労働省において最終的な定員を決定するわけです。  この定員の調整は各都道府県の自主的な取組みと考えていまして、調整が行われない場合は、 こちらのほうで最終的に定員を決定する形にしたいと思っています。県のほうで必ずやらなけ ればいけないというものではないという位置づけです。  4頁のいちばん下の段にありますのは、「臨床研修病院群の形成促進のインセンティブとして、 プログラム選択を各病院群の中で医師国家試験後に自由に行えるようにすること」あるいは「病 院群形成に補助金を上乗せすること」の要望です。  右側にご意見を載せていますが、病院群が形成されるように地域において臨床研修の内容を しっかりと検討する場の設置を促進していきたいと思っています。  また、プログラムに関しては、研修医にとって不利益にならないように、研修を始める前に プログラムは研修医が選択しておくことが必要と考えています。このプログラムの内容につい ては、いろいろ工夫することにより、協力型病院をいろいろな所から選択したり、診療科の順 番を変更することが可能だと考えています。  5頁は、高額給与を支払っている場合の補助金の取扱いについての項目です。ご意見として は、1段目にありますように「当然のことと考える」あるいは「賛成する」というご意見や、3 段目にありますように「500万円以上を超えた場合に補助金を減額すべき」といったご意見、1 つ飛ばして「給与はあくまで病院が決めるものであるので、反対である」、その下にありますよ うに「医師のモチベーションが低下するので、再検討してほしい」といったご意見がありまし た。  これに対しては、右側にありますように、「今回の対応については、研修制度の本来の趣旨に 照らして、不適切に高額な処遇の事例が見られる」というご指摘を受けて、そういった場合に 補助金を一定程度減額するということです。そういった考え方を整理しています。  5頁目の最後の2段については、次回の制度見直しに向けた取組みについての項目です。そ れに対しては、「初期研修の検証をきちんと行うために、医道審議会とは独立した検証組織を創 設すべき」といったご意見がありました。これについては、右側にありますように、昨年の見 直しから5年以内に見直すことにしていまして、これまでの臨床研修の成果を評価し、臨床研 修病院の指定基準を含め、平成22年度から制度全般の見直しに向けた検討に着手する考えをお 示ししています。  6頁からは、「その他」の項目になっています。これはパブリックコメントを行ったもの以外 のご意見です。制度全般、病院の募集定員の設定方法、7頁には、都道府県の定員の上限につ いてに対するご意見、8頁は、指定基準、研修プログラムに関するご意見がありました。これ については、それぞれの右側に考え方を示していますが、臨床研修の成果をしっかりと評価し て、来年度から制度全般の見直しに向けた検討に着手するということで、その中で検討してい きたいと考えています。以上がパブリックコメントに関することです。  資料2をご覧ください。「研修医の募集定員に関する都道府県別の上限についての試算」です。 都道府県別に、いちばん左側の列には平成22年度の募集定員、トータル10,699をお示しして いますが、その際に、上限を設定しています。それが(1)、その右隣で、9,979になっています。 この各都道府県の定員の上限については、その直近の人口、医学部入学定員、研修医の受入実 績を踏まえて、毎年見直しをすることになっていましたので、そういった数値を入れて試算し ましたら、トータルで9,867という形になりました。これは、その右にありますように、前年 度に比べて112ほど減少するということです。その積算については、次の頁の「試算(2)」の 表を見ていただきたいと思います。こういう表に基づいて、いちばん右側に上限の数値を算出 したものです。この中で左から2段目の(2)の平成21年度の採用実績が、合計7,644となってい ます。これは平成20年度の研修医採用実績が7,735で、これよりも91人ほど減っているとい うことが主に影響して、いちばん右側にあります経過措置後の上限9,867、前年度よりも112 ほど減る形になっているわけです。  資料2の1枚目に戻っていただいて、上限については、いま申し上げたとおりですが、その 右側にありますように、参考として、産科・小児科プログラムの募集定員については、資料1 でご説明しましたが、別途、その上限枠とは関係なく、加算する取扱いですので、我々のほう で試算をしましたら、トータルで436名の定員枠を設けるという形になるであろうと。また、 実際は若干違ってくるかもしれませんが、そういうことを考えた場合に、その試算、(2)に(3)を 加えたものを、その隣に設けていますが、そのトータル10,303を各都道府県ごとに前年度の上 限と比較すると、すべての県でプラスになっている形で、実質的な影響はないであろうと考え ています。以上が資料2のご説明です。  資料3は、こういったことについて、今後のスケジュールですが、ここで方針が決まりまし たら、4月には通知の改正等を行って、4月末に病院からのプログラムの変更届出締切がありま す。また、6月末には新規指定申請締切がありまして、7月から9月にプログラムの審査等を行 います。この間に募集定員を決める形になります。  以上、資料1から資料3までをご説明しました。 ○部会長 はい、ありがとうございました。ただいま資料1から3までの説明がありました。 この後でディスカッションに入ります。その前に個々の資料についての質問等を受けたいと思 います。まずは資料1の「パブリックコメントの手続きによる意見について」と、それぞれの コメントの横書きの別添です。それに対して質問はございますか。ディスカッションは後程で すが、いかがでしょうか。パブリックコメントの数は今回470とのことですが、前回1,200ぐ らいですか。 ○医師臨床研修推進室長 はい、1,200ぐらいございました。 ○部会長 また団体からも多くいただきました。特に全国医学部長病院長会議、全日本民主医 療機関連合会等、あるいは自治体からは群馬、長野、京都府、大阪府、鳥取、島根、山口、徳 島、鹿児島等からもいただいております。ご質問はいかがですか、よろしいですか。もう少し 時間をかけましょう。2頁の「小児科・産科のみならず、麻酔科、救急、外科」は少し誤解な さっている可能性があるとのことでよろしいですか。必置となっていないわけですから、その 点のところは。 ○傍聴者 質問があるのですけれど。 ○部会長 はい、部会では委員だけが発言することになっていますが。資料についての質問と いうことでよろしいですか。ご意見ではなくて。資料に対しての質問。ご意見ではないですか ら、どうぞ質問。 ○傍聴者 資料8の「年間入院患者数3,000人以上の根拠が分らない」というところ。 ○医師臨床研修推進室長 別添の8頁です。 ○傍聴者 3,000人というところについて、質問させていただきたいのですが。 ○部会長 上から2つ目のところですか。 ○傍聴者 それと。 ○部会長 これは質問ということでしょうか。質問を受けつけているわけですが。3,000人以 上の根拠が分からないことに関して。 ○傍聴者 なんで3,000人かを教えてください。 ○部会長 ご資料に対する質問とのことだと思います。3,000人に関する質問ではなく。 ○傍聴者 なんで3,000人かについて。 ○部会長 それに関しては。 ○医師臨床研修推進室長 全部質問をいただいてからお答えしたいと思います。 ○部会長 他にはございますか。 ○傍聴者 もう1点よろしいでしょうか。最後の6頁の一番上の、「医師の偏在の解消のために 制度を改正すべきではない。評価なしに。」その評価なしにということについてどうをお考えに なっているのかお伺いしたいと思います。評価をするのでしたらするし、どのような評価をさ れるのか。 ○部会長 これは特例として受けましたので、お答えください。 ○医師臨床研修推進室長 まず入院患者3,000人のところで、資料の8頁の上から2番目です。 これは前回平成21年の4月に見直しをいたしましたときに、基幹型臨床研修病院の指定基準を 強化すべきであるという意見がありました。それについては、この研修部会でも議論をいただ きました。その前の臨床研修制度のあり方に関する検討会でも様々なご議論をいただきまして、 例えば病床数を550床以上の病院に限るべきだというような意見もありましたし。逆に当時の 従来どおり、全ての基幹型病院について指定を続けるべきであると、基準を変更すべきではな いという意見がある中で、基幹型病院、研修医の研修プログラム全体を管理する病院としては、 ある程度の規模以上が必要であろうと。また、それだけの入院患者、新規入院患者を有してお くべきであろうとのことで、3,000人以上という基準を設けたわけです。この基準は、平成16 年度に臨床研修制度を導入する以前にありました旧制度におきます臨床研修病院の基準と同じ になっております。  また、2番目の質問では、同じ資料の6頁のいちばん上の段にありましたが、「臨床研修の結 果の十分な評価なしに」という点についてどう考えているかという質問です。これについては、 平成20年9月、一昨年9月から臨床研修制度のあり方について見直しするという検討会、有識 者の検討会がありまして、その中で大学病院の先生方、あるいは臨床研修病院の先生方からお 話を伺い、必要なデータもお示しした上で、平成21年の2月に意見をまとめていただいたわけ ですが、その中には臨床研修制度の導入により、大学病院の医師派遣機能が低下して医師不足 を引き起こすきっかけになったとの指摘がありました。また、研修医の都市部への集中が継続 しているとの指摘、評価がありましたので、そのような評価をもとに昨年臨床研修制度の見直 しを行ったものであります。今回の議論では、そのうちの激変緩和措置を中心にして、取扱い を議論しておりますが、こういった制度そのものについて更に評価をしっかりとしてその上で 制度を見直すという意見に対しては、右側にありますように、これまでの臨床研修数の成果を さらに評価して、評価をすることを含めて来年度から、また、制度全般の見直しに向けた検討 を行うという考え方を示したものです。以上です。 ○部会長 ということですが、先生、今回の公開しているのは、公開の方からの意見をいただ く、傍聴の方からの意見をいただくことではなく、今回、私が特別に初めてですが、先生が国 政の立場にいられる方とのことですので、私どもの議論を理解していただく、他の方にも理解 していただくために、質問をお受けいたしました。しかしながら、本来これは部会の委員が発 言、あるいは意見を言うところですので、これ以上は。いまの説明の内容に関して更に疑問と いうことでしたら別ですが。意見等ではここでは受け入れられないと、ぜひご理解できればあ りがたいと思います。 ○傍聴者 いまの質問についてはよろしいですか。もう駄目ですか。 ○部会長 駄目といいますか、本来やはり公開の場というのは、我々がやっているところを皆 様にお示しすることでして、透明性というところで公開しているわけです。 ○傍聴者 問題提起の場にしてはいけないわけですか。 ○部会長 そうですね。これはいわゆる研修部会の委員、ここにいる委員ならびに事務局でこ れを検討していくとのことです。国政の立場でいらっしゃる方であろうとも、この部会では、 この部会の中で議論を進めていただきまして、また、先生のお立場のところで更にこれに対し て・・・。 ○傍聴者 すみません、例えば1つだけ、このような場のときに先生方に問題提供したい場合 は、どのような手段を取ればよろしいですか。 ○部会長 この点は事務局からお伝えください。まずパブリックコメントということもありま すが。先生の場合はパブリックとのことではなく、更に国会議員という立場があると思います ので、その点についても事務局からお願いいたします。 ○傍聴者 場のKYという形ではなく、いま本当に大事なことを議論されている場に、やはり現 場の声が反映されていないような気がしますので、是非ともと無理をして申し訳ございません。 ○部会長 ありがとうございます。そのようなルートをもって、一般の方に関してはパブリッ クコメントの機会を設けたわけですし、国会議員においても、これはパブリックコメントをい ただくことは、それなりに。 ○傍聴者 それ以外に。 ○部会長 国会議員として特別に何かということですね。審議官に代わります。 ○審議官 この場は、厚生労働大臣が意見を聞くための場ということで設定されておりますの で、我々のほうが先生の問題意識というものを承ったところで、こういうご意見が国政の場で 出ておりますと。これについていかがでありましょうかということをお聞きする、そのような ルートの形で意見を聞く形になろうかと思います。まずは、この場で議論してもらいたいとい う事柄がありましたら、まず厚生労働省側に伝えていただき、それを我々のほうで、厚生労働 大臣の判断として、これを審議会に聞くかどうかということを判断をさせていただくと、その ような手順を踏むことになるかと思っております。 ○傍聴者 厚生労働委員会の意見、委員とか皆さんが、厚労省の皆さんにお話をしてこういう 議題として上げてくれと言えば、大臣が認めれば上がるということですか。 ○審議官 厚生労働委員会というのも1つの意見反映の場です。 ○傍聴者 国会議員の我々が。 ○審議官 それ以外に厚生労働省と、国会議員の方々との意見交換の場というのは他にもござ いますよね。 ○傍聴者 ないから。 ○審議官 なければ、我々の医政局に直接言っていただくなり、そのような機会については、 我々が先生方からいただきました意見については、すべて大臣まで報告しております。従いま して、それは私ども審議官であろうが、室長、係長であろうが、担当の者に言っていただけれ ば、すべて大臣に国会議員の方からのご意見というものは伝えるという形になっております。 ○傍聴者 こういう場で審議される。 ○審議官 それは大臣にご相談をした上で、ここで諮るべき事柄であるかどうかということは、 大臣のご判断で進めていただく形になります。 ○傍聴者 わかりました。すみません、ありがとうございました。 ○部会長 ということでよろしいですか。 ○傍聴者 はい。 ○部会長 それでは部会を進めていきたいと思います。先ほどの資料1に関して、まずは質問 をうけつけます。ディスカッションはこの後にいたします。質問はよろしいですか、事実関係 等について。よろしいですか。  続いて資料2、「上限についての試算」これは2頁にわたっております。先ほど説明がありま した。(2)と(3)を足したものが(4)になる。いちばん右側の(1)の上限との差は全部プラスになって いるとのことですが。1人のところも、一応全部プラスになるということですね。その辺のと ころの質問はよろしいですか。 ○山口委員 前回の資料に出ていたと思うのですが、実際の産科・小児科プログラムの実績は どうだったのでしょうか。 ○部会長 それ、わかりますか。 ○医師臨床研修推進室長 産科・小児科のプログラムについては、トータルで募集定員が393 に対して、内定者数が224で、57%でありました。 ○部会長 よろしいですか、その他に資料の2について、いかがですか。確認ですが、資料2 頁の左から2行目の採用実績は、これは国家試験を終わった後ですね。 ○医師臨床研修推進室長 終わった後です。平成21年4月に採用したと病院のほうから報告い ただいた数字です。 ○部会長 よろしいですか。資料3についてはよろしいですか。このような資料です。ありが とうございます。  これから、ただいまのパブリックコメントの意見等の説明を踏まえまして、平成23年度の臨 床研修における対応等について、ディスカッションに入りたいと思います。すでにこの件に関 しては前の委員会等でもディスカッションを行いましたが、パブリックコメントでこのような ことがありましたので、委員の皆さんにおかれまして、どなたからでもご自由に積極的なご意 見をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。  もしよろしければテーマごとにいったほうがよろしいですか。整理がつきやすいかとも思い ます。また、多少関連しているテーマもあるかと思います。この横書の資料のところで、まず 当面の扱い激変緩和措置について、基幹型臨床研修病院の指定と、あともう少し関連するとこ ろはありますが、2頁の2列目ぐらいまでですが、いかがですか。 ○長尾委員 先ほどの質問にもありましたが、一応の臨床研修の基幹型について指定というの は前回決められたわけですが、その評価をやはりきちんとこの5年間でやっていかなければい けないということがあります。中小の部分がそれでなくなったとのことですが、やはり中小で も相当しっかりやって評価が高かったところがあるのも事実です。そういったところは協力型 病院として、病院群を形成した中でやっていけばよいとなっております。その病院群の形成と いうのが、本当にきちんとやられるのかどうか、これは非常に大きな問題になってきます。そ れがやはり機能をきちっとしなければ、その中でも、十分にその機能を担える部分に入ってい かない場合もありうると思います。大病院もしくは大学病院の意向によって左右されていく可 能性はずいぶんあるかなということもあります。そういった病院群を形成するためにどうした らいいのかということと、やはり今後の、ここ2、3年の部分でやはり評価と論議をきちんとや られなければならないと思います。それによって、5年後の見直しというものをもう1度根底 から考えていくこととなると思いますので、その辺をやはり求めたいと思います。 ○部会長 はい、ありがとうございました。ただいまの意見は、検証とか評価、全国医学部長 病院長会議のほうからも独立した機関というご意見もありました。4頁の「臨床研修病院群の 形成の促進」と関連しているかとは思いますが、もしよろしければ形成の促進と一緒に、他の 方の意見をいただいてもよろしいかと思います。その他にいかがでしょうか。 ○西澤委員 長尾先生と似たような件ですが、基準については、平成24年度募集ではなく次期 見直しまでと、前回私も申し上げました。ここでも一応議論の中で、このように決まったわけ ですが。パブリックコメントを見ますと、かなり年間入院患者数3,000人以上に対しての意見 が多いということを踏まえれば、本当に中小病院3,000人いないところだと駄目なのかという 検証は、できるだけ早期にやっていただきたいなと思っております。私のほうにも来ている意 見では、例えば研修医1人あたりの症例数でいいますと、かえって大病院のほうが少ない例も あると。そこをどう考えるのだという意見もきておりますので、そういうことを踏まえて検証 していただければ。場合によっては見直しということを前倒しということもあるのかなと思っ ております。このパブリックコメントを、今回決まったことを全部引っ繰り返す気はありませ んが。やはりパブリックコメントの重みというものを感じて今後やっていただければと思いま す。 ○部会長 はい、ありがとうございました。3,000人以上の基準に関するコメントがかなりあ ったことも踏まえてという意見だったと思います。いかがでしょうか。激変緩和措置の、形の 上では1度決めたことに対する激変緩和措置ということですから。激変緩和措置というのをい つまで続けるかということがいまの焦点かとは思いますけれども。いかがでしょうか。  小川委員は、全国医学部長病院長会議の会長様でありまして、そのコメントを書面でいただ いておりますが、いまのところを含めていかがでしょうか。 ○小川(彰)委員 基幹型研修病院と、そうでなくなったからといって、中小病院が臨床研修 病院になれなくなるわけではありませんので、まだ皆様の考え方の中に基幹型と基幹型ではな い協力型の間にどちらが偉いかとかの認識がどうも残っているような気がしてなりません。そ れよりは外形基準としてもっと厳しくしたほうがいいというのが我々の考えです。あくまでも、 卒業して2年間の臨床研修の2年間ですべてが終わるわけではございませんで、生涯学習の中 の一環としての2年間と位置づけられるわけです。その意味では生涯面倒を見ていくような、 面倒を見れるようなそういう病院が基幹型になり、それと協力型の臨床研修病院が連携をして やればいいわけでありまして、そういう意味ではきわめて重要なのが、やはり臨床研修病院群 の形成ということです。地域で各基幹型の病院だけではなく、協力型研修病院も連携し、地域 の医師を育んでいくという認識がきわめて重要ではないかと私は思っております。 ○部会長 ありがとうございました。という意見でしたが、その他にいかがでしょうか。 ○河野委員 前にも意見を述べたことがあるとは思いますが。これ拝見していましても、いわ ゆる研修の問題と、地域医療の問題が混在するのです。それぞれの病院で初期研修だけではな く、地域医療といいますと後期研修ですね。ですからそれぞれの病院で初期研修をとられた方 が、実際に後期研修医で地域にどの程度残っていたかの情報が、実績としてどの程度あるのか がわからないと、地域医療の問題に当然影響するだろうと思いますので、それが出てディスカ ッションが必要ではないかというのが1つです。  評価も非常に重要なので、前の話のときに桐野先生の班でいま評価をやっていると、その項 目等がいま申し上げたような数字以外でいろいろな評価をするわけです。もっと全体で。それ のなかなか項目等で議論がされてるとのことですが、我々のところにまだ情報があまり来てな いものですから。こういった会でそういった機会をどのようなことが議論されているかを1度 出していただくのもいかがだろうかと思います。 ○部会長 ありがとうございます。 ○小川(彰)委員 一応私が班員の1人ですので、お話をさせていただきます。桐野班での臨 床研修の評価に関する研究ということで、厚生科学研究でいただいているわけですが、今年度 に関しては、年度途中からのスタートでしたので、ほぼ半年しか時間がなかったということで す。来年度も継続が一応決まっております。今年度は年度始めからスタートできますので、様々 な検討が始まる予定です。  しかし、一応今年度の報告書は出さなければなりません。十分なデータが出ているわけでは ありませんが、報告書については近々に公表される予定です。よろしくお願いいたします。 ○部会長 よろしいですか。そちらの進展も見ていきたいと思います。その他にいかがですか。 「基幹型臨床病院の指定について」は先ほどから意見に対する考え方とのことで、今回ではな くて、以前からも考え方として基幹型、協力型で行くとのことで、必ずしも基幹型にならなけ れば研修医を受け入れられないということではないと、それぞれの病院の特徴を活かしてプロ グラムを組んでいただくこともあったかと思います。  いまの件で2の「臨床研修病院群の形成」というところも含めて、小児科・産科はまたこの 後にしますが。関連しますので、ご意見をいただこうと思いますが、4頁です。すでにこれに 関してもご意見をいただきましたが。国においては都市部の都道府県の実状について病院に十 分な説明を行ってほしいという団体からの意見も来ております。この中で4頁の最後のところ では、このような「プログラム選択を各病院群の中で医師国家試験後に自由に行えるようにす ること、病院群形成に」、補助金のことは別として、この辺については、なかなか難しいという のもありますが。これは、かなり自由なプログラムを組めば、マッチング後にこれに対応でき るとのことでよろしいですか。 ○医師臨床研修推進室長 プログラムを作成する際に、いろいろ工夫をすることにより、その プログラムの中での病院選択、あるいは診療科の順番の変更だとか。そういったところはかな り自由にできるのではないかと思っておりますので、それは個別に厚生局等で相談に応じたい と考えております。 ○部会長 確かに過去の実績からいいますと、約1割前後の方が国家試験を落ちるわけですの で。プログラムによっては、あるプログラムはゼロになってしまうと。マッチしたけれども結 果的にゼロになってしまうことも起こるとのことです。その中で例えば、ABCと3種類のプロ グラムがあったときに、Cプログラムは実際には国家試験を落ちた人が来なくなっている。国 家試験を落ちてしまったときに、そこが空くのではなく、BとCに「病院群」の中でうまくプ ログラムを組んでおく。ただし、BからCへ移行することはできないわけです。 ○医師臨床研修推進室長 予め定めたプログラムを超えることは出来ないのです。ABCと3つ のプログラムでそれぞれ募集するのか、それとも3つのプログラムを1つにまとめて共通する 科目を中心に、協力型病院も選択肢をいろいろ設けて、そして大きな括りで募集をすればかな りそのプログラムの中での自由度が効くのではないかと考えておりますので、また、個別に相 談をいただき対応したいと思います。 ○部会長 ということです。臨床研修病院の形成の促進について、基幹型臨床研修病院の指定 について、このような意見をいろいろいただきましたが。引き続き戻ってもよろしいですが、 「小児科・産科の研修プログラムについて」はいかがでしょうか。募集定員に断固反対である とありましたね、加算するのは。賛成、反対。今回、県の上限に関してはこのようなことをは っきりと明示して理解をいただくとのことでよろしいですか。この中で特に。 ○長尾委員 産科・小児科は非常に医師不足の象徴的な科として取り上げられて、産科・小児 科のプログラムを作られたわけですが。実質は他の科もやはり足りないわけです。この産科・ 小児科は象徴的な分として、これはいいのですが。これをいつまでどうやっていくのかという ことも、今後の部分としてきちんと取り上げないと、このままずっと永遠にこれを続けますよ ということではないでしょうけども。やはりトータルとして医師をきちんと養成して、その中 でやはりいろんな科をきちっと選択できていくということが、本来のあるべき姿なので、これ をいつまでどうやっていくのかもやはり論議の中でやっていかないといけないと思います。今 後の見直しの中でこれはやられるべきだろうと思います。それもやはりきちっとやっていただ きたいと思います。 ○部会長 ありがとうございます。 ○冨永委員 いまの関連の意見です。30代の医師をみますと産科では女性が約70%で、小児科 では女性が約50%とのことで医師数は両科とも少しづつ増加しているということです。このプ ログラムは先ほど産科・小児科の充足率が40何%とおっしゃいました。産科・小児科の特別プ ログラムではなくて、スーパーローテート研修の人が、どのくらい小児科・産科に進んだのか ということと、今回は産科・小児科が40%といいますが、その人数の差がどのくらいあるのか。 もし産科・小児科のプログラムからそれぞれの科に進んだ人が多いとのことでしたら、今後5 年ぐらい続けていく必要があるでしょう。スーパーローテートをやっていた人も、産科・小児 科にどんどん行っているということでしたら、このプログラムの評価を踏まえてどうあるべき かを考えていかなくてはならないと思います。 ○部会長 事務局から何かございますか。いまの件に関して。 ○医師臨床研修推進室長 いまのお話にありましたようなデータは、臨床研修を終了された方 のアンケート調査を毎年度やることにしておりますので、そのときにこのようなプログラムで 研修をしましたと。終了後どのような進路に進みますというのが出てきますので、そういった ものを評価の際に示して議論いただければと思っております。 ○山口委員 これはやはり2年の初期研修が終った後、専門研修のほうに行って初めて答えが 出てくる話なので、そこまで追っていただかなければわからないことがあるかと思います。  もう1つは、プログラムを約1年に短縮して必須だけをやって、2年目を何か特別な選択にあ てたプログラムがけっこう出ていると思います。そのようなものの効果もやはりフォローをし ていただかないと、本当に2年間フルにやることと比べてどうだったかが、非常に大きなプロ グラムの変更の、小児科・産科だけは突出してこうなっておりますから追いやすいとは思いま す。多少追いかけるのに難しいところはあるかと思いますけれど。従来のフルの2年間のロー テーションをやられていたプログラムに比べて、新しいプログラムがどういう将来の医師の進 路につながっているかというところも、是非やっていただきたいと思います。 ○部会長 これはいかがですか。 ○医師臨床研修推進室長 いまの山口先生のご意見についても、臨床研修修了者に対するアン ケートで、ある程度わかるものが出せると思います。実際にプログラムも聞いていますし、プ ログラムだけではなくて、実際にどのような診療科を何カ月研修したか、それはどこの都道府 県でやったかについても聞いているので、診療科と地域についての相関関係、3年後の診療科 の選択とのクロスも分析できると思いますので、またそれはこの場でいろいろとご意見をいた だきながら、分析したものをお示ししたいと思います。 ○部会長 さらにもうちょっと長いスパンですと、2年に1度の12月末の医師の調査ですが、 これは医籍登録番号と合致しているから追えるのでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長 医籍登録番号も聞いているので、いろいろ手続きはあると思います が、クロスをして、3年後だけではなく、5年後、10年後という形で追える可能性はあると思 います。それはどのような形でできるかは、我々のほうで検討させていただいて、できる範囲 でまたお示ししたいと思います。 ○小川(秀)委員 いままでのご意見と大体同じなのですが、小児科、産科プログラムの作成 について、前回、前々回と私は随分発言させていただきました。2頁の「意見に対する考え方」 にありますが、「小児科、産科プログラムの定員4名分は、病院の募集定員に別途加算すること としています。都道府県の募集定員の上限との関係においても別枠と考えています」と説明し たことをかなり理解していただいたと思います。従って、本件に対してのパブリックコメント でコメントが少なかったと理解しています。これはシステムとしては重要な1点、研修を受け 入れようとする病院にとって進んでこの方たちを受け入れることが、小児科、産科以外の他科 のバランスを考えなくても良かった点、これは重要です。ボランティアティックに、とにかく 研修医を多く受け入れてきた実績ある病院の使命としてこれを日本で不足している科を指向す る者を教育する、受け入れるのだということで、受け入れる病院はかなり努力しつつ両科専攻 医不足問題を解決させるよう努力しているのです。しかし、実際に小児科医、産科医になろう とする人に対しても、指導医に対しての特別な手当ては一切インセンティブを与えてはいませ ん。又、受け入れる病院に対しての教育・研究設備、宿舎拡充の補助などのインセンティブな どの何の恩典を与えているわけではないです。  ここが次なるポイントとして考えねばならない点です。そうは言っても、このような小児科、 産科プログラムを設定したことにより、そこの不足部分がかなり解消される兆しが見えたとい うことであります。若者と病院の使命感により希望が見えましたが持続される対策の要ありで す。さて次に、本当にどの科の医師が足りないかは先生方がおっしゃっておられるように、ほ とんどすべての科で足りません。この中であえて言うとすれば救急救命の医師、そして外科の 根幹となる麻酔科の医師の不足は否めません。これも1つこういう受け入れ別枠増というパタ ーンで考えると同時に、その足りない科に進んでもらおうとする若者、そして指導医に対する インセンティブを考えなければいけないということを提起します。  次、第二の点、いままでのご意見に、もう1つ私の立場でコメントさせていただきますと、 パブリックコメントの数が多かったところは、それだけの関心事を持っているということです。 これは早急にこの部会においていかように対応するか方向性を再審議しておかねばなりません。 作業グループがたくさんありますし、それを考えている人たちもありますので、それを参考意 見としてここに招聘して意見を聞くとか、もし無ければそのような作業部会を設けて早急に検 討すべきである、つまりパブリックコメントの多い事項は、やはり重いものがあると思います。  ただ、数が200とか50というと、かなり多そうに見えますが、前回のパブリックコメントは 1,200とか、その前は2,000という数字ですので、私どもにとっては、多いけれどもそれほど 多くはない、ディスカッションが大体伝わったかなとは思います。それでも異議あり、コメン トありということは真摯に受け止めて、5年の中の前倒しに優先順位を高めて検討したい。西 澤先生はそのような趣旨のことをおっしゃっていますが、概ね私も賛成です。 ○部会長 産科、小児科だけではなく、ほかの診療科についても、これが必置とするかどうか というご提言もありましたが、これは平成23年度に向けてということではなくても、近い将来 ということでのご提言かとも思いますが、いかがでしょうか。 ○小川(彰)委員 診療科間偏在については、全国医学部長病院長会議で、初期臨床研修が始 まる前から、継続して調査をしております。実は、その間に医療崩壊ということがマスコミに 取り上げられるようになりました。その中で、小児科医、産科医の不足が、マスコミで取り上 げられて、学生諸君は、確かに3Kではあるのですが、高邁な責任感からか、小児科医あるいは 産婦人科医の数は増えています。これは確実に増えています。  ただ問題なのは、むしろ基本的診療科である内科、外科が激減しています。外科に関しては 3分の2に激減している状況です。ですから、近い将来このままいくと、簡単な急性腹症で、 地域において手術ができず、命を落とすという国民が出てくることを、大変危惧しています。  そういう意味で問題なのは、産科、小児科、全科どこでも足りないのだということはありま すが、国民に十分に知らされていないところは、基本的診療科である、内科と外科の減少が、 地方においてはボディーブローのように効いてきていることをご認識いただきたいと思います。 そのために、これを今回どうにかしなければいけないということではないわけですが、その辺 に関しては、十分な対応を、近い将来取っていかないと大変なことになると思います。 ○部会長 というご意見です。これは臨床研修制度だけのことではなくて、いろいろな要因で 内科、外科の医師が少なくなっていることもあろうかと思いますが、臨床研修制度でそれに対 応できる部分もあるかということでのご発言かと思います。ほかにいかがでしょうか。 ○冨永委員 いまのご意見に対してです。今度の弾力型プログラムで、3科目の必修科目以外 の選択必修科目に、外科を入れている臨床研修病院がいちばん多いわけですから、その成果も 見守っていかなければならないと思います。  全部の科の医師が不足しているのですから、全部の科を特化してやるのか。それは臨床研修 の理念からいってもおかしいと私は思っていますので、いまの産科、小児科の推移を見守って、 産科・小児科の医師が増えてくればそれは外して、いよいよ外科が足りないとなれば、外科を 特化するということも考えられますが、今回の選択必修の外科のプログラムは多くの病院で取 り入れられているわけですから、その経緯は見守るのがよいと思っています。 ○部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○矢崎委員 2点申し上げます。1つは、先ほどから議論になっている基幹型病院の新規基準の 問題です。これに対してパブリックコメントが非常に多くあったのは、中小病院で、診療の垣 根が非常に低く、総合的な研修ができる病院が、比較的研修医側からの満足度が高いです。そ のような病院がこれからやりにくくなるのではないかという危惧が、病院側と研修医側の両方 の意見ではないかと思うのです。この議論はある程度これで済まされたので、実質的にはそん なに数は多くないのだけれども、貴重な病院が全国に存在する。特に地域に存在するというこ とで、これをどうするかというのが、1つの課題です。  もう1つは、診療科の偏在をどうするのかに対して、いろいろな意見がありまして、例えば 専門医制度を検討する会、あるいは新たにいろいろなところ、例えば小川彰先生の脳神経外科 の専門医を何名にするかというお話があるのですが、そう単純にはいかないのではないか。脳 神経外科でも、本当に専門的な手術をする方と、そうではなくて、脳卒中の領域で活躍される 脳神経外科の先生もいるので、単に何名ということでは解決できないのではないか。  それで1つは、小川先生もそうおっしゃっていますが、私個人的には、地域で医師を育てる 考え方でいくことです。例えば基幹型ではなく協力型になっても、そこに研修医が行けるよう な道を残すとか、地域で本当に脳腫瘍や脳卒中が何例あって、その地域にこういう専門の医師 が何人いるか。いままでは国全体あるいは学会が何名と。アメリカなどはボードがあって、そ のような歴史がありますが、日本ではそういうことはないので、そういうところで何名と決め るトップダウン型は、現実問題でないので、地域ごとに積算して、ボトムアップで、全国で何 名と。そのボトムアップのデータは患者数だと思うのです。患者数と施設ということを、行政 的に具体的に進めていただきたいと思います。  もう1つは、2頁の2番目の「臨床研修病院群の形成の促進」の中で、「地域において臨床研 修の内容を検討する場の設置を促進する」という文言を入れていただいたのですが、これは実 際には絵に描いた餅になってしまう可能性があるので、実効性のある対応としては1つの提案 ですが、いま基幹型病院として、私たち臨床研修病院協議会がつくっているのですが、大学も 含めて情報発信をする、臨床研修推進財団のPMETというウェブサイトがあるのです。プログラ ム定員数がうんと増えてしまうといけないという大前提があるのですが、そこに実績のある協 力型の病院も情報発信する場を設けていただければ、そういう病院が活かされるのではないか。 ただし、ある基幹型の病院の中にそれがあるという位置づけで、例えば地域であれば、基幹型 のA病院に応募するけれども、実際には協力型のこの病院で研修をしたいというような、研修 医の希望が実現するようなシステムを作っていただかないと、皆さんの不満が解消できないの で、是非内容を検討する場の設置の促進ということではなくて、具体的にそのようなことがで きるシステムを備えていただきたいと思います。  それから、診療科の地域偏在については、もう少し地域の発信力を高めるような仕組みを作 ることによって、トップダウンではなくてボトムアップで、是非そのようなシステムを作って と。誰がどのように旗を振るかというのは、また難しい問題で、いろいろな議論があると思い ますが、とにかくそういうものを具体的に作っていただけるように、是非よろしくお願いしま す。 ○飯沼委員 皆さんのおっしゃられることは逐一ごもっともで私も賛成です。アンケートの結 果も、私が前からずっと申し上げていることと一切変わりはなくて、中小病院をしっかりとと いう意見だと思います。  いま矢崎先生がおっしゃったことが非常に大事で、協力型病院に基幹病院の先生方が変わる ということに対して、何か抵抗があると思います。この理解不足について、アンケート調査か 何かをやって、何が問題かを厚生労働省に掴んでいただきます。それがまず第1にやっていた だくことです。何が問題で、基幹病院に拘っているのかが1点です。  それから、できれば都市型と地方型のモデル事業をやってほしいのです。どこかの地域、過 疎地なら過疎地でもいいですが、そのようなところで、基幹病院的なところを中心に、協力病 院型的なところを集め、いまだと入院患者が3,000人の上下で構いませんが、そういう分け方 で、本当に組めるかどうか。大学病院の先生方が、そこまで踏み込んでやってくれるかどうか を、全国に大号令をかけてやるのもいいと思いますが、全国で3つぐらいは、どこかでモデル 事業をやるべきではないでしょうか。それでものを考えないと、このままずっとこの話が続い ていくような気がします。 ○長尾委員 先ほど矢崎先生が言われたことは非常に大事だと思います。地域で病院群を作っ てということで、いままで基幹型病院で、中小のところでやれなくなったところが、協力型に 入ってやれるシステムを作るのは非常に大事なのですが、いまそのシステムがないわけです。 基幹型でやっていたのが、外れたから協力型でやりますという手挙げができないわけです。だ から、基幹型からの声が掛からないとできない。基幹型の意向に沿ってやらざるを得ないとい うのが、いまの現状なので、地域によっては病院群というのは、わりとうまく形成されるとこ ろもあれば、いろいろなものが混在してなかなか形成されない部分もあったりすることもある と思うのです。その辺について、いかにそういうところが手挙げができて、中へ入っていける システムを構築するかを考えないと、いまのままでは、切り捨てられてしまう可能性は強いと 思います。その辺はきちんと論議しないといけないと思います。 ○部会長 協力型に手挙げの形で入れないにしても、基幹型にはなれそうもないから次年度か ら協力型でいこうというときには、その病院が積極的に基幹型にアプローチをしなければなら ないのですか。何かの方策はあるわけですよね。 ○医師臨床研修推進室長 そのとおりでして、パートナーとなるべき基幹型病院が決まって、 協力型病院としての指定ができるという形になります。  いまご意見をいろいろと伺いましたが、どのようなことができるかはまだわかりませんが、 その実態をよく踏まえながら、協力型病院、小規模の病院が臨床研修にどのようにかかわるの か、そういうことがこの場でご議論できるような材料を我々のほうで整理をして、お示しした 上で、ご議論いただければと思っています。 ○部会長 モデル事業のアイディアもありましたし、矢崎先生の言われたいくつかのことは大 変重要なことですので、そこも受け止めて、いろいろとお考えを出していただきたいと思いま す。 ○西澤委員 パブリックコメントでどこに書いてあったのかは忘れましたが、中小病院が基幹 型をやめて、ある地域の大病院か大学病院かと組もうとしたけれども拒否されたというのがあ ったと思います。ですから、地域でそういうことはないようにしていただきたいです。  それから、いままで中小病院が頑張ってきたのは、規模が小さいというハンディの中で、い いプログラムを作って研修医を集めて、いい研修をやってきたという実績のある病院があると 思います。ところが、その病院が今回3,000ないということで、ほかの大きな病院と組んだと きに、大きな病院のプログラムの中に入って、その優れたプログラムがなくなることは、ある 意味で非常に損失だと思います。ですから、そういう中小病院のプログラムも、組んだときに 活かせるようなシステムです。小川先生の言うように、大きなところと小さなところは上下関 係ではないと言うのですが、現実としてはそうではない面が残っていますので、まさしく上下 関係ではなくて、対等なパートナーとして組んでいかれるようなことを、この部会なのか厚生 労働省なのか、どこかで発信していただければと思います。 ○部会長 いろいろとご意見をいただきましたが、そのいくつかのテーマの中で、「臨床研修病 院の募集定員」と「都道府県別の募集定員」についてもコメントが来ていますので、それにつ いてもディスカッションしていきたいと思います。パブリックコメント全体にです。また、研 修医の給与については、後ほど行いたいと思います。いかがでしょうか。臨床研修病院の募集 定員ですが、これはよろしいでしょうか。都道府県別とも一部連携しているところがあります が、いかがでしょうか。3、4頁ですが、募集定員に対して、「賛成する」というのもあれば、「激 変緩和措置は次回の制度見直しまで続けてほしい」という意見、「速やかに廃止してほしい」と いう意見があります。団体としてはそのようなものもあり、個人や病院からは「続けてほしい」 という意見もありました。このような考え方でよろしいかどうかですが、平成23年度の研修に おいては、激変緩和措置を継続することとして、その後の取扱いについては、研修の実施状況、 地域医療への影響等を評価して定めるというのが、今回の対応案ですが、よろしいですか。ま た、都道府県に関しても、同じような対応ということで、すでにディスカッションしてきたと ころですが、よろしいでしょうか。 ○矢崎委員 この都道府県別の募集定員の上限を行政側が決めるということは、見方によって は、非常に乱暴な行為を行っているということになります。先ほど申し上げましたように、こ れは各病院がプログラムの定員を決めて、それこそボトムアップで出てきた数を総枠で按配す るというので、国として数を決めて、それを都道府県に割り振ってブレイクダウンしたものと はちょっと違うのです。だけれども、知らない方は非常に乱暴な定員の出し方をして怪しから んという意見があると思うのですが、これはもともとは各病院が地域ごとにプログラムで出し たボトムアップの積上げを、国として全体を見て調整するということなので、これはそういう 乱暴な方式で決めているのではないということを一般の方にもご理解いただければと思います。 ○部会長 そのようなことを再認識して、今日は公開の場ですので、そのようなことであるこ とも認識していただきたいと思います。そのほかにいかがでしょうか。 ○小川(彰)委員 ちょっとだけ戻らせていただきます。参考資料3の2枚目の(2)「臨床研修 病院群の形成の促進について」で、先ほど矢崎委員からもご指摘がありましたし、西澤委員か らもご指摘がありました。上の○のいちばん最後に「地域において臨床研修の内容を検討する 場の設置を促進する」とありますが、これが形式的に流れないかと危惧します。ここが非常に 重要なポイントで、先ほど西澤委員からも出たような、協力型が上手に連携を組める、あるい は協力型の中で、小さな病院でいいプログラムをやっていたところが、大きなところに入った ときもそのプログラムが活きるようにすることを検討する場がどうしても必要です。これをも うちょっと強力に何かできないでしょうか。この辺がキーになるところだと思うのです。 ○部会長 そのような意見ですが、いかがですか。 ○医師臨床研修推進室長 通知にも、こういった場の促進についても明記していきますし、ま た我々としても必要な支援をこれから検討していきたいと思っていますので、具体的な形がで きましたら、先生方にもご報告したいと思っています。 ○部会長 これと多少関係するかもしれませんが、医学部長病院長会議から「独立した機関で の検証」ということも出ていましたね。よろしいでしょうか。臨床研修病院の募集定員、都道 府県別の募集定員も、平成23年度に向けてこのような方向ということでよろしいでしょうか。  あと、「研修医の給与(補助金の取扱い)」にいきます。これもいろいろなご意見がありまし た。「400〜500万円を超えた分でも減額すべき」というのもありますし、逆に「病院が決める ものであるからということで、補助金減額のペナルティには反対」ということもありました。 考えとしては、前回の会議でもこの考え方は了解されたかと思います。  それから、山口先生の言った低いところというのもあります。今回は高額なところを対応に しましたが、安すぎるところに対しても、どうするかということもあります。大体この考えで、 当直手当てを除いて、年額720万円を決まって支払うということで、募集の段階でこのように なっているところに関して、補助金の減額等を考えていくというところかとも思いますが、よ ろしいですか。「離島などに関しては、モチベーション低下」というご意見もありますが、補助 金はインセンティブとして出しているわけではないわけですし、高額な給料もインセンティブ として出しているということではないというのが、研修制度の考え方かと思っていますが。 ○冨永委員 いま低額な場合というお話が出ましたが、前回の部会でも、特に都会の病院では 現物支給もあるので、例えば年収が200万円といっても、現物支給を加えたらそこそこになる のではないかというお話もありましたし、現物支給の臨床研修病院側の負担を含めて、どれく らいの年収となるのかということを調査してみる必要があります。現物支給を含めて、およそ 月30万円相当であれば、私は問題ないと思うのです。そういうことを調査をして、年収360万 以下であれば、少し待遇の改善をしてもらうように指導してもらうほうがいいと思います。 ○部会長 現物支給の1つの例では、都心でアパートなどが高いところに関しての宿舎の低価 格あるいは無料提供というものがありますが、それらも含めてということです。これはある程 度は情報も、現時点では押さえられていないのですか。募集の段階では押さえられていないで すね。 ○医師臨床研修推進室長 はい。2年前に調べたものですので、また調べるのであれば、改め てやらないといけないと思います。そういったところをどのように整理をしていいのか、また 考えさせていただければと思います。いまある資料は、先日ご覧いただいた資料です。 ○部会長 矢崎先生が委員長のときの検討部会では、アルバイトをしないでも研修に専念でき るような給与ということが、1つの考え方だったかと思いますが、それが年俸360万円、年収 360万円ということですよね。 ○河野委員 給与に関して、先ほどからの都会等での生活費の差というのがあるわけですが、 地域ごとでのある程度の基準は定めることはできないのでしょうか。臨床研修制度の理念から 考えると、例えば同じ地域で、隣のA病院は700万円で、すぐ隣のB病院は300万円とあるの はおかしなことではないかと思うのです。ですから、あまり自由競争的な給与設定というより、 物価が高いとか、その地域の特性があるのはわかると思うのです。ここに出ている離島等のあ る条件のときには、あるインセンティブというのはあるかもしれないのですが、ただ外枠の額 だけが決まっていて、ただ病院が設定するというのも、何か矛盾を感じるのです。 ○部会長 これに対して意見はありますか。 ○医師臨床研修推進室長 病院が定める給与というのは、まさに病院が定めるもので、それは 労働条件の1つですので、それに対して直接上げろとか、下げろというのは、なかなか難しい です。そこで、今回著しく高いものについては、補助金を削減する形で、臨床研修制度の趣旨 を示そうという考えです。  隣の地域で給料が高い低いというのは、選択をする学生あるいは研修医が、それを見てそこ を選択するわけなので、高いからいくわけでもないし、低いから避けるわけでもないので、処 遇が全部オープンになっていて、それを基に学生が選択できる仕組みがあれば、一般的なとこ ろについては、あまり大きな問題はないのではないかと思っています。ただ、あまりにも少な いとか、あまりにも多いところについて、何らかの対応というのはあり得ると思うのですが、 中間的なところについては、それはそれぞれの地域の実情あるいは病院の状況によって、いろ いろと変わってくるのではないかと考えています。 ○河野委員 おっしゃることは理解できるのですが、幅から考えると倍以上違うわけです。今 回の設定を考えてもそうです。そうすると、初期臨床研修医というのは、病院における常勤の 医師とは各病院でちょっと扱いが違います。それを勘案すると、ある程度の幅は仕方ないので すが、倍、3倍の違いはいかがかなという感じがするのです。 ○医師臨床研修推進室長 給与だけではなくて、常勤、非常勤というのも違ってきて、これも かなり大きな差だと思うのです。それは病院によって考え方が違うので、それを何かお示しす るのが適切なのかどうかというのは、また皆様からご意見を伺った上で、方向を整理していた だければと思います。 ○部会長 質問ですが、協力型病院に勤務している期間は、協力型病院から給与が出ることも あるのですか。 ○医師臨床研修推進室長 それは病院同士の話合いですが、基幹型病院で全部出すと書いてあ るところと、実際にそうするところと、協力型病院に行ったときにはそちらの給与でやると書 いてあるところがあります。ほとんどは基幹型病院の給与体系でやっているようには思います が、それは各病院同士の話合い、プログラムの内容で決まってきます。 ○部会長 それはプログラムの中にも示されているのですか。例えばこの協力型病院の1カ月 の間は、この病院の給与規定とか、決まったもので出すと。 ○医師臨床研修推進室長 はい。変わる場合はそのようなことを示さなければいけないという 規定になっています。 ○山口委員 この給与のディストリビューションを見ると、ときどきおかしいのではないかと 思います。例えばこれは医師を養成するのは国の仕事だ、それで2年間は必須でやらなければ いけない。こういうものだとすれば、本来ならば全部の養成に要する費用を、全部国が持つと。 もしそういうことを考えたら、当然都会のほうがいろいろな諸費用がかかるので、こちらのほ うが高くて、地方が安くて然るべきなのだと思うのですが、実際はその逆のような傾向にある わけです。  それは何かというと、労働力と見ているところがあるので、そういうところのほうが、むし ろ研修ということよりも強く出ている結果が、1,000何百万と200万円という差になっている のではないかと思うのです。  そうすると、やはり本質的に、その給与とは何だという話を、もし給与が一律であれば、プ ログラムで学生は選んで、どこのプログラムで受けたいという純粋なことでいくのではないか と思うのですが、いまの給与の極端な差が、本当に研修システムの給与として妥当かというと、 もう少しある程度の幅の制限があっても然るべきではないかと思うのです。 ○部会長 給与の本質論にかなり近くなってきましたが、そのようなご意見ですが。 ○西澤委員 いろいろな考えはあると思いますが、医師免許を持っているということは、ある 意味で研修プラス労働者というか、医師として入っているということになれば、ある程度の幅 はあっていいのかなと思います。  私は2倍というのは、せいぜい2倍の幅の範囲であれば、あまり差がないと見るべきではな いかと思っています。一律にした場合には、いま若い方々は本当に地方には行きたがらないと なれば、同じであれば全部都会に集まるということで、また研修の理念と逆の方向になると思 います。いろいろな考えはあると思いますが、2倍という範囲内は妥当ではないかと思ってい ます。 ○部会長 人によっては、2年間は是非地方に行ってみたいという変わった人もいるのです。 それは給料が高いからということではなくて、例えば都会の大学を卒業してです。 ○西澤委員 いますが少数派だと思います。 ○部会長 確かに少数派ですね。いかがでしょうか。2倍というと720万円で、これはすでに 前回の会議で議論しましたが、このような方向でいくということで、特段強い反対のコメント が多かったということでもないので、そのような方向でいきたいと思っています。時間が迫っ てきましたが、大事なことは次回の制度見直しに向けた取組みについて、これは今回の議題の 「平成23年度の臨床研修における対応等について」の議事から外れて、「その他」に関連した ディスカッションになりますが、特に「医道審議会の医師臨床研修部会とは独立した検証組織 を創設すべき」という意見もいただいておりますが、この辺について、医学部長病院長会議か らのご意見もその1つだったと思いますが、ご説明いただけますか。 ○小川(彰)委員 医道審議会医師分科会医師臨床研修部会の中に、調査機能まで持っている のであればいいのですが、また評価は厚生科学研究で桐野班が行っています。桐野班の位置づ けがはっきりしないところがあります。例えば医道審議会の医師分科会のこの部会で研究班に 諮問をしていただくような格好になっていれば、もう少しスムーズにいくかなと思います。  もう1つは、この部会として調査研究をするような機能がないわけですから、だとすれば独 立した評価をする機関があって然るべきだと思いますし、それをシステマチックにつくってい ただけば、パブリックコメントの中にもたくさんご意見があった「十分な評価がされていない 状況」、「エビデンスとしての科学的な評価に耐えるような事実が出てきているわけではない状 況」また、「臨床研修制度がいい制度だったのか、あるいは日本の医療に対して大きな悪影響を 及ぼしたのかという状況」について研究班の位置づけを明らかにすること。また、そういう調 査研究を行って、評価をできるような組織の創設をお願いできればと思います。 ○部会長 というご意見があるということですね。そのほかに、「4年後の改定に向けて、当初 の研修理念に沿って研修の質と目標達成度について評価を行い、昨年度の制度改定を見直すべ き」と、これもいまと同じようなご意見で、これは多くの同じようなご意見がパブリックコメ ントで13ほどいただいています。先ほどのものは、「独立した」と性格まで位置づけておりま すが、いずれにせよ見直すべきであるということですが、そのほかにいかがでしょうか。 ○長尾委員 前回、この平成22年のプログラムは以前の必修プログラムの47%ぐらいでした か。 ○医師臨床研修推進室長 3割ぐらいです。 ○長尾委員 そういうことでありましたが、その中での到達目標の設定というのは、まだある わけなので、そういったことをどのように検証し、到達目標が達成されたかどうかをどのよう な形でやっていくのかをお聞きしたいと思います。 ○医師臨床研修推進室長 研修医が到達目標をどのように達成しているのかについては、桐野 先生の研究班でもテーマになっていますので、その中で調査をどのようにするかの研究をして いただいています。先ほど小川先生からもお話がありましたが、来年度に報告書が公表され、 この場でも何らかの形でご報告をして、ご意見を伺って、今後の評価をどのように進めていく べきなのか先生方のご意見を賜った上で、また進めていきたいと考えています。 ○長尾委員 いつ報告書が出るのですか。 ○医師臨床研修推進室長 報告書は今年度の報告ですので、今年度の部分については4月中旬 ぐらいには出るのではないかと思いますが。 ○長尾委員 今年度の報告書はこれまでのプログラムでの検証ですよね。 ○小川(彰)委員 検証はまだ進んでいないわけですから。 ○部会長 実質的には半年ぐらいのですからね。 ○小川(彰)委員 今年度に関しては、半年しか活動ができておらず、班会議は数回しか開か れておりません。現状は実質的な評価の部分に立ち入るまでのデータ収集もできていない状況 です。従って来年度のためにキックオフしたという格好です。 ○長尾委員 わかりました。もう1つは、平成22年度からの新たなプログラムの検証をどうす るか、その次の2年間です。その中で、到達目標は、必修として掲げられていないものの到達 目標はあるわけなので、それがどのようにやられているのか、やられていないかをどのように チェックするのかは、どう考えているのでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長 1つは、網羅的にやるものについては、研修を行った診療科を修了 者に対するアンケート調査でしていますので、どの診療科で何カ月やっているのか、それが今 回のプログラムでやられた方と、それより前の方とを比較できます。そのようなプロトコール の部分での評価と、実際に達成しているかどうかの成果の部分での評価については、どのよう な調査をすればいいのかは、桐野先生の研究班でご議論をいただいていて、それを踏まえて来 年度から実際の調査を進めていくことになると思っています。 ○長尾委員 いまの話だと、調査をこれからして、その結果を待って考えるということですが、 実際は今後2年間で1つのプログラムがあるわけです。例えて言えば、精神科の研修というの は多くの新たな研修プログラムの半数は、必修の中の期間としては取り入れられていないわけ です。それは到達目標としては、入院の症例をもってきちんとするということがあるわけなの で、そういったものについては、どのようにチェックするのか、その検証を待ってからでは遅 いわけですね。 ○医師臨床研修推進室長 個人個人の研修医が到達目標を達成したかどうかというのは、まず 各病院の研修管理委員会でチェックをします。それが適正に行われているかどうかというのは、 また厚生局で見ることも可能だと考えています。 ○長尾委員 見ることは可能であるということではなくて、きちんとチェックをされないと、 終わってからやっていませんでしたでは済まないでしょう。 ○医師臨床研修推進室長 基本的に修了基準は通知でお示ししておりますので、その修了基準 を満たした方に修了証を出されていると考えていまして、逆に到達目標が達成できていない方 に修了証が出されているということは不適切ではないかと考えています。 ○部会長 現時点ではそのようなことなのですが、よろしいですか。 ○長尾委員 もう1つ釈然としません。大学病院を含めて、多くの大きなところがきちんと期 間を定めていないわけです。それについては、足りなければどこかを削ってやるという話が、 ずっと出てきているわけです。それが本当にきちんとやられる保証がなければ困るわけです。 そういうことを途中でチェックしていただきたいのです。そうでないと、途中でやられていな い、そのまま済んでしまいました、形だけ揃えたらいいという話では済まないと思います。 ○医師臨床研修推進室長 途中でチェックをするというのは、研修管理委員会でその都度チェ ックをしていただく必要がありますので、例えば1年間経ったときにチェックをする、それか ら1年半経ったときにチェックをする、その時点で足りない部分についてしっかりと見極めて いただいて、足りない部分をあとの半年でやっていただきます。そのような手順を各病院でや っていただけるようにしたいと思います。 ○部会長 それは、やることになっていますよね。 ○医師臨床研修推進室長 規則で義務づけられているわけではありませんので、そういう形で 各病院にお話をさせていただければと思っています。 ○部会長 その辺のことをしっかりとやっていただきたいと思います。そろそろ時間がきまし たが、いろいろなご意見をいただきました。第1議題の「平成23年度の臨床研修における対応 等について」は、すでに2月18日に取りまとめた意見の方向性で、今回のパブリックコメント でいただいたコメントも検討して、概ねご了承いただいたと思いますので、今回の本部会の意 見を踏まえて、厚生労働省で今後の手続きについて行っていただきたいと思います。  また、最後に再確認ですが、先ほど傍聴者から質問がありました。この質問を部会長として お受けしたのは異例のことではありますが、配られた資料の中での、特に3,000人ということ に関してご理解をさらにいただくためにということの質問とそれへの回答でありまして、本部 会が傍聴者の質問によって影響を受けたとは思っておりませんので、その辺のところは再確認 させていただきますし、今回は透明性を高めて、傍聴している方にも資料について理解を深め ていただくということで、質問を受けたということでご理解いただきたいと思います。事務局 から何かありますでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長 今後のスケジュールです。本日のご意見を踏まえ、関連の通知の改 正等を行っていきたいと思っています。事務局からは以上です。 ○部会長 本日の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会を終了します。お忙しいところ、ま た積極的なご意見をありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省医政局医事課                              医師臨床研修推進室 (代表)03−5253−1111                                (内線4123)