第6回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会 議事録 【日時】平成22年3月15日(月) 16:30〜18:00 【場所】厚生労働省省議室(9階) 【出席委員】(50音順) 飯沼委員、岩本委員、宇賀委員、岡部委員、加藤部会長、北澤委員、倉田委員、黒岩委員、 坂谷委員、澁谷委員、廣田委員、宮崎委員 【行政関係出席者】 上田健康局長、中尾大臣官房審議官、福島健康局結核感染症課長、高井医薬食品局長、熊本 医薬食品局総務課長、亀井医薬食品局血液対策課長、森医薬食品局安全対策課長、鈴木新型 インフルエンザ対策推進本部事務局次長、松岡健康局生活衛生課長、正林新型インフルエン ザ対策推進室長、土肥健康局健康対策調整官 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 定刻になりましたので、ただいまより第6 回「厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会」を開催させていただきます。今村委員、木 田委員、櫻井委員、古木委員、山川委員から欠席のご連絡をいただいております。飯沼委員、 岩本委員から所用のため遅れる旨のご連絡をいただいております。17名中12名のご出席を いただいていることをご報告させていただきます。以降の議事進行は加藤部会長にお願いい たします。 ○加藤部会長 年度末のお忙しいところをお集まりいただきまして、各委員の皆様方には深 く感謝申し上げます。本日の資料の確認をお願いいたします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 座席図、議事次第、委員名簿、配付資料一 覧があり、その後から資料になっております。資料1-1と資料1-2は同じホチキス止めにな っておりますが、資料1-2が議題1にある日本脳炎に関する小委員会の中間報告です。資料 1-1がその概要です。資料2は今後の進め方についてということで、資料2-1が実際の案で、 裏に別紙が付いていて、ヒアリング対象の候補です。資料2-2は平成17年の予防接種に関 する検討会の中間報告の概要です。中間報告そのものは参考資料に付いております。資料 2-3はワクチン産業ビジョン(平成19年3月)の概要で、これもビジョンそのものは参考 資料に付いております。資料3-1は前回までご議論いただきました、予防接種法及び新型イ ンフルエンザ予防接種に関する健康被害の救済等に関する特別措置法の一部を改正する法 律の概要です。資料3-2は同法に関する法律案の要綱、法律そのもの、新旧とあります。テ ーブル席に座っておられる方には冊子が用意してありますが、これが法律案の参考資料とい うことで、要綱、法律案、新旧対照のほか、提案理由の説明、参照条文が付いています。資 料4は2月にプレスリリースした、ポリオワクチン関連の健康被害についてです。資料5 は新型インフルエンザ対策に関する総括についてです。資料6は2010年、2011年シーズ ンのインフルエンザワクチンについてです。  参考資料1は、本日議論されます日本脳炎について簡単にまとめたものです。参考資料2 は、先ほど申し上げました平成17年の予防接種に関する検討会の中間報告書本体です。参 考資料3は、平成19年のワクチン産業ビジョンの本体です。 ○加藤部会長 議事に入ります。議題1は日本脳炎に関する小委員会中間報告についてです。 この小委員会は、本年の1月15日から2月9日までに計3回開催されて、日本脳炎ワクチ ンの予防接種の進め方について議論をしてきました。この小委員会の議長は、私自身が務め ておりました関係上、本日は副委員長を務めておりました岡部委員に、この小委員会の中間 報告について説明をしていただきます。 ○岡部委員 感染研の岡部です。小委員会のほうは、いま加藤部会長がおっしゃったように、 加藤先生が自分で報告するのも変だからということで、副委員長である私が代わりに報告を させていただきます。  資料1-1が日本脳炎に関する小委員会の中間報告の概要です。その前に参考資料1の日本 脳炎についてというのがあります。多くの方はご存じだと思いますが、簡単に日本脳炎につ いて説明をさせていただきます。日本脳炎という病気は、ヒトからヒトには感染しないので すが、ブタが持っているウイルスを蚊が媒介してヒトに行く。非常に重症な病気で、発症し た場合は約3分の1前後の方が亡くなります。幸いに回復した場合でも、半数前後は何らか の非常に重篤な後遺症が残ります。子どもにおいて、特にそれが著しいというのが病気の特 徴です。一方では非常に不顕性感染、症状が出ない感染をする方が多くて、症状が出ないで かぜ症状、あるいは軽い髄膜炎といったようなものもあります。実際に脳炎を起こすのは 100〜1,000人に1人ぐらいであるということで、そういう意味では希な疾患であります。  現在では、年間10名にいくかいかないかぐらいの患者ですけれども、かつては1,000名 を超える患者が我が国にもいました。それに貢献したのが予防接種です。しかしそれだけで はなく、いろいろな環境要因もあるということが言えます。日本脳炎をコントロールされて いない中国の一部、あるいはベトナム、タイ、インドなどでは非常に多くの患者が出て、い ま東南アジア全体で、この感染症については非常に重大視をしている状況にあります。  我が国では、日本脳炎ウイルスが現在も存在します。このウイルスのもともとの保有であ るブタの血清抗体調査をわが国では毎年やっており、地域差はありますが、西日本を中心に して8〜9割ぐらいのブタが日本脳炎に感染しているという調査成績があります。我が国に 日本脳炎ウイルスはまだ存在をしているところから、日本脳炎に対する対策は、やはり続け ていかなければいけないと考えられております。ただし、ヒトからヒトへの感染はないので、 直ちに麻しんのように爆発的に流行するようなことはないだろうということが背景にあり ます。  ここから資料1-1の日本脳炎に関する小委員会中間報告の概要の1.経緯のところをご覧 下さい。平成17年にマウス脳による製法の日本脳炎ワクチン接種後に、重症な健康被害を 発生した事例があったところから、厚労省が自治体に対して積極的な勧奨を差し控えるよう に求めたという、非常に法的に微妙な書き方で書いてあります。マウス脳による日本脳炎は、 何らかの異種蛋白が残存していると、それがヒトの中枢神経系に影響を与えるかもしれない という、理論的なリスクがずっと専門家の間でも頭の中に入っており、ADEMと言う病気 との関係が長い間論じられているところです。  しかし、実際としてそのマウス脳由来ワクチンに含まれている蛋白量というのは極めてわ ずかなので、理論的リスクはあるが高いリスクではないと考えられます。平成17年に日本 脳炎ワクチン接種後にADEM(急性散在性脳脊髄炎)の重症型が発生し、健康被害救済の ための判定が求められました。私はその委員会の委員長だったのですが、疑わしい場合には 救済をするというような従来の考え方で、この方を救済するという決定をその委員会では行 い、国に出しました。国はそれを重大な危険情報と受け止めて、日本脳炎ワクチンの定期接 種勧奨を中止することになりました。勧奨の中止ではありますが、事実上は日本脳炎ワクチ ンはほとんど行われなくなったというのがこれまでの状況です。  そして、紆余曲折はありましたけれども、そのようなマウス脳由来ワクチンの理論的な危 険性を払拭するということと、もう1つは動物愛護の問題からマウスを大量に使うことはい かがなものかという議論もあり、わが国で研究開発が続けられてきたベロ細胞という培養細 胞を使ったワクチンがつい最近我が国で導入されました。さて、それをどう使用するかとい うのが、これまでの委員会あるいはその前身である予防接種に関する検討会で議論が行われ てきたところです。  そしてこの小委員会では、これまでの疫学のデータの検討、そして新しいベロ細胞による ワクチンの検討を行った結果、3歳を標準年齢として、2回目の接種を約1カ月後に、約1 年後に3回目の接種を行うという。1期接種については、その安全性及び効果について、こ の効果というのはあくまで血清学的に見た効果ですけれども、それについて確認が得られた ので、これを定期接種としての勧奨を行うということに戻すことが妥当である、ということ をこの小委員会で結論づけました。  そうすると、これで1期の定期接種ができるわけですが、日本脳炎のワクチンは1期の定 期接種に加えて、2期の定期接種があります。2期は9〜13歳未満で、小学校の4〜5年生 ぐらいが対象になるわけですが、その方をどうするか。いま現在この年齢にある方の多くは、 旧来型のワクチン、つまりマウス脳によって作られた日本脳炎ワクチンを接種して、一定の 免疫を持っている人に対して、新しい形のベロ細胞のワクチンを接種して、その効果と安全 性はいかがだろうかと言う疑問が出されました。これは、理論的にはほとんど問題はないと 多くの専門家は考えたわけですが、しかし、そこにはエビデンスをきちんと出しておいたほ うがいいという意見のほうが強かったためであり、これについては現在研究として検討を行 っているところであります。まもなくデータは出ると思うのですけれども、この小委員会の 中間報告の時点では、それに対するきちんとしたデータとしての回答がないので、なるべく 早くこれを取りまとめ、そのデータを国側は受けて、新たな方策、つまり定期接種の勧奨を 含めた導入をすみやかに考えるべきであるということが、この(3)に書いてある検討事項であ ります。  また、平成17年以来中止していたことにより、本当は接種をすべきだけれども、勧奨が 行われていないということですが事実上の中止に近かったわけですから、接種を強く希望す る方は別として、ほとんどの方は接種を受けていなかったということで、約5年にわたる免 疫のギャップを持つ世代ができております。これらの方々をどうしようかという検討も小委 員会で行いました。これは、以前の検討会からずっと持ち越しの問題点でありました。その 方たちは自主的に接種をやめたのではなくて、国の方針によって接種の機会を逃がしたと言 ってよく、やはりこの方たちには接種の機会を設けるべきであるという議論も行われました。  ただ残念なことに、ワクチンの生産は一気にこれだけの人たちのものを賄うだけの十分な 量はどうしても技術的にできないということであります。そうすると、できた分のところか らそれを考えていかなくてはいけない。現在資料1-1の1頁(2)に書いてありますように、 その生産量というのは、現在仮に1期接種をきちんとやった場合でも、余っているのは180 万本程度であるということでは、この分ですべての未接種者に接種を行うわけには実際いか ない。勧める以上はそれだけの十分な量を確保したいわけですけれども、これはメーカーの ほうにも逐時生産量を増やしていただくことになっても、どうしても平成23年度にかかっ てくる可能性があると考えられるものでした。  したがって、現在のところでは残念ながら機会を逃がした方に対する接種をすぐに再開は できないけれども、資料1-1の2頁にア)、イ)、ウ)といくつかの条件・要望を設定してお ります。ア)国は引き続き平成22年度の接種状況について迅速に把握し、つまり現状を早 くキャッチをしてもらいたいということであります。イ)日本脳炎に罹患するリスクの高い 地域等に関する情報や、平成22年度の接種シーズんにおいては予定されているワクチン供 給量では、接種機会を逃がした者に対して十分な接種の機会の提供は困難である。そのよう なことについて、きちんと国民に対して情報の提供を行うこと。ウ)市町村においては、保 護者からの希望があった場合に、接種の機会確保をするように努めること。また国は接種の 機会を逃がした者のうち、平成22年度に9〜12歳となる者に対しても、接種の機会を提供 できるよう、省令や通知による対応について検討することというところで、これらの点につ いては少し柔軟な対応をお願いしたいということが、この小委員会の全体のまとめです。  資料1-1の1頁に戻りまして、四角で囲ってある(1)(2)(3)について最終的な検討を行い、(1) 予防接種の積極的な勧奨の取扱いは1期について行うこと。(2)予防接種の積極的な勧奨を差 し控えたことにより接種機会を逃がした者に対する対応は、現在この小委員会ですべて解決 できないのは生産量の問題もありますが、これについては速やかに検討を実現できるように お願いしたいというのが小委員会の結論です。  第2期は、いままで現在の段階では実施はペンディングとなりますけれども、これはまも なくデータが出てきますので、それについてはエビデンスが出たのちには速やかに対応をお 願いしたいということが、日本脳炎に関する小委員会中間報告の概要です。 ○加藤部会長 ただいま、岡部委員から小委員会中間報告について説明がありましたので、 順次ご意見を承ります。 ○北澤委員 特にないです。 ○倉田委員 ありません。 ○黒岩委員 今後の予防接種の根本的議論にかかわると思うのであえてお伺いします。予防 接種の機会を逃がしたという5年間ですが、輸入ということは考えなかったのでしょうか。 輸入を考えなかったとするならば、そのことについて検討はされたのかどうか、その辺りを 教えてください。 ○血液対策課長 当時、海外においてもマウス脳由来によるものが主流であったところです。 そもそも積極勧奨を差し控えた理由としては、マウス脳による製法の日本脳炎ワクチンの使 用と重症のADEMとの因果関係が肯定する論拠があると判断されたからですので、マウス 脳由来のワクチンを輸入するということは詳細には検討しておりません。 ○結核感染症課長 これは当初の経緯がありますけれども、マウス脳による製法のものによ る使用について、積極的な勧奨を差し控えた時期に、既に新しい製法の乾想培養ワクチンの 承認申請がされていたということがありました。  そういうこともあり、その当時の当課の判断では、それが速やかに承認されるであろうと いう見込みの下にこのような対応を行ったわけですが、結果としてはその承認が実際には相 当遅れてしまったということは事実です。ただ、先ほど血液対策課長から申し上げましたよ うに、外国のものについてその承認を取る作業をしたとしても時間がかかることもあり、現 在まで行っている対応になりました。結果的に見れば、当初の私どもの判断が十分でなかっ たことが、こういう状況になったことについては、私どもはそれについて、現在の時点から 見ればいろいろと反省すべき点があることは考えているところです。 ○黒岩委員 これは今後の議論にかかわってくると思うのですが、輸入のものと国産のもの というのはどのように分けて考えるか、その辺りを教えてください。 ○加藤部会長 その議論に関しては、今後煮詰めた議論の中でやってまいります。本日は日 本脳炎の小委員会の中間報告についてご議論をいただきたいということです。 ○黒岩委員 中間報告の議論の中では、輸入のことについて検討しなかったということにつ いては議論が行われたのですか、行われなかったのですか。 ○岡部委員 この小委員会では、輸入に関することは全く議題のほかですからやっていませ ん。ただ私の知っている範囲では、マウス脳のワクチンによる接種勧奨中止が行われたとき には、海外ものも含めてマウス脳由来以外のものはライセンスが下りていない状況でした。 つい1、2年前にアメリカが、アメリカにおける国産の新しいタイプの日本脳炎ワクチンを 承認したというのはあります。 ○加藤部会長 日本脳炎に関してだけ申し上げますと、その当時日本脳炎のワクチンは日本 にしかないということです。輸入しようと思ってもなかったということです。 ○黒岩委員 先ほどの厚生労働省の話とは違いますね。 ○加藤部会長 同じです。よく読んでいただくとわかりますが、亀井課長がお話をしたこと と同じです。 ○黒岩委員 納得できません。先ほど、反省するとおっしゃったではないですか。 ○結核感染症課長 申し上げたのは、その当時に速やかに輸入承認をすればよかったという ことではなくて、その当時の見通し、この通知を出したということについて、直ちに積極的 勧奨を差し控えるという判断をしたことについてのいろいろな検討が必要ではなかったか というふうに申し上げたのです。 ○坂谷委員 教えていただきたいのですが、5年間のギャップが、この方々が将来このまま 打たずに大きくなると、どのような数字の変化が出てまいりますか。 ○加藤部会長 宮崎委員から何か答えられますか。 ○宮崎委員 5年間、接種率が極めて低下したことにより、現在ゼロ歳〜6、7歳の小児で、 免疫が非常に下がってきています。いまの日本脳炎のウイルスの侵淫度、感染率などを考え ると、先ほど岡部先生も言われましたように、急に患者が増えるという状況にはありません けれども、日本で何十年暮らす中でリスクはだんだん上がっていくだろうとは思います。 ○澁谷委員 日本で生産するしかないワクチンで、生産量に限りがあるということとか、現 場の状況を考えますと、1期から積極的な勧奨をしていくことはそういう結論なのだろうと 納得できます。5年のブランクがあって、その間の人たちの不利益を考えると、対象年齢を 外れた子どもでも、これまでどおり任意でも受けられるような仕組みも考えているようなの で、そういうことを是非詰めていただければと思います。  急激にキャッチアップしようと思うと、現場も予算もかなり負担がかかってくるので、5 年のブランクをどのように埋めていくかというのは今後の課題かもしれませんけれども、あ まり無理なスケジュールは現場にかなりの負担がかかるかとも思います。 ○廣田委員 私は小委員会の委員ですので、このとおりです。 ○加藤部会長 宮崎委員も同様ですね。 ○宮崎委員 そうです。先ほど言いましたように、平成17年に行われた積極的勧奨の差し 控えの判断の問題はありますが、とにかくなるべく早く再開をして、積み残した部分、特に 予防接種の定期接種対象年齢を外れた年齢層もきちんと面倒をみていくというメッセージ が明確に出ると、現場の混乱が少なくなるのではないかと思います。 ○宇賀委員 この中間報告の内容のとおりかと思います。特に異論はありません。 ○加藤部会長 厚生労働省から何か付け足すことはありませんか。 ○結核感染症課長 特にありません。 ○加藤部会長 ほかにご意見はありませんか。 (特に発言なし) ○加藤部会長 異議なしと認めます。どうもありがとうございました。日本脳炎に関する小 委員会より提出された中間報告書は了承されたと考えます。本部会の報告書として取りまと めることといたします。議題を移します。議題2は今後の進め方について(案)です。資料 2-1の説明を事務局からお願いいたします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 資料2-1、資料2-2、資料2-3についてご 説明させていただきます。資料2-1の説明は最後にさせていただいて、過去にどんなことが 議論されてきたかという概要が資料2-2と資料2-3に書いてありますので、そちらを先に説 明させていただきます。  資料2-2は、平成17年の予防接種に関する検討会の中間報告です。予防接種に関する検 討会自体は「はじめに」の中に書いてありますが、平成13年の改正予防接種法附則第2条 に記された、「5年後に検討を加える」旨の規定を受けて設置をされたということです。  この報告の内容ですが、いちばん最初の○が定期接種の対象疾患について。2つ目の○は、 定期接種の未対象疾患。定期接種の対象になっていないものについてと大きく分けています。 それぞれについて、課題なり対応をご検討いただいております。特に本日のご議論との関係 の深いところを申し上げますと、いちばん下に書いてある日本脳炎、特に(3)のより安全性が 高いと考えられている組織培養型ワクチンの早期転換ということで、これはまさに今回のご 議論の中身です。  裏側にインフルエンザとあり、特に高齢者、それから小児への予防接種等々について検討 しております。高齢者について、接種の対象から外すような知見は得られていない、つまり 接種をすべきであるということだと思います。2は小児についてですけれども、小児に接種 した場合の有効性については限界があることが示唆されているという中身になっておりま す。  定期接種になっていない疾患について4つぐらい整理をしております。特に下から2つ目 のインフルエンザ菌b型、いわゆるHibに対するものです。(2)のところで、当時の検討状 況としては、定期接種化に当たっては有効性・安全性、費用対効果等々の知見を収集する必 要があるというところで終わっております。肺炎球菌についても、同様にそうしたものの研 究を進めて知見を収集することが前提ということが、定期接種化に当たっての課題と整理さ れております。以上が予防接種に関する検討会の中間報告です。 ○加藤部会長 ちょっと止めてください。ただいま、裏側のところに疾病名が書いてありま したが、インフルエンザ菌b型というのは疾病名ではありませんので、インフルエンザ菌b 型による菌血症及び髄膜炎ということと理解してください。その下の肺炎球菌は病名ではあ りませんので、肺炎球菌による肺炎というふうに読み換えてください。続けてください。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 失礼しました、正確にはそのとおりです。 資料2-3はワクチン産業ビジョンで、平成19年にまとめられたものです。本物は参考資料 のほうに入っております。これも概略だけザッとご説明させていただきます。ワクチン産業 にかかわる背景等々で、Iの1.のところで、ワクチン施策に係る国の関与というのが、ワ クチンは必要性が高いけれども、市場性がなかなか見込みにくい。特に子どもに打つ場合が 多いのですけれども、少子化で市場が縮小するところがあり、やはり安定的に供給する必要 があるのではないか。2.のワクチン需要については、まさに今回さまざまご議論いただいた ような、新型インフルエンザの危機管理の問題、それから欧米で使用されているワクチン、 成人へのワクチン、ワクチンの改良等々との問題があるのではないか。3.は感染症をきちん と予防していくためには、基礎から臨床研究という橋渡し、それで実用化が円滑に進むよう にする。将来性を見越して、新開発に投資できる体力のある産業に構造転換する。国民の皆 様方の理解を得て、安定的な成長を見込み、製造体制を確保する。  II実際のアクションプランです。橋渡しについては、例えば官民共同研究、大規模治験ネ ットワークの問題、開発企業との連携、競争力強化、収益構造の転換、外国企業との協力。 3のところは、非常に危機管理上必要だけれども、なかなか採算ベースに乗らないようなも のについてどうするか。4のところは、特に新型インフルエンザ等の話にも関係ありますけ れども、どうしても危機管理上生産体制を強化しなければいけない場合の国の支援というこ とで、これは生産体制に対する補助が平成20年まで行われております。5は承認・審査等々 の問題です。6はそれを支えるさまざまな課題ということで、実際に感染症の疫学のデータ をしっかりするべきだろう。地域ブロック単位で在庫の管理や配送もしっかりしないといけ ない。実際に必要量を一定に生産することが必要だということを、関係者の皆様に理解して いただき、合意をしていただく必要があるのだろうか。7は正確でわかりやすい情報が、国 民の方々に幅広く広がるような普及・啓発活動。ワクチンの医療経済学的な研究調査が必要 だろう。  III今後の対応です。フォローアップの場の設定ということで、これは推進委員会をつくり、 5回ほど開催させていただきました。以上が過去、予防接種事業、それからワクチン産業に ついての検討状況です。  それらを踏まえて資料2-1.です。資料2-1.は予防接種部会の今後の進め方についての案で す。まずスケジュールですが、平成21年度の3月については日本脳炎の話、今後の進め方 等々についてご議論していただきます。ここに○が6つ書いてありますが、今後議論が必要 と考えられる6つの事項のご指摘をいただきました、実際に対象となる疾病の問題、どうや って適正な実施を図るかという問題、情報提供の問題、費用負担の問題、検討組織の問題、 研究開発等の問題といったものが大きく考えられるということです。これら6つについて、 平成22年度冒頭は次頁にありますような方々においでいただいて、この部会としていろい ろヒアリングさせていただく中で、課題の整理、論点の整理等々をしていただいたらどうか と考えております。  裏側の別紙のところですが、こういう方々に来ていただいたらどうだろうということです。 予防接種に関するさまざまな学会、小児科の問題、感染症・疫学の問題、ウイルス・細菌学、 公衆衛生という専門家の方々がおられます。  それから実際に予防接種を受ける立場の方、これにはさまざまな立場の方がおられると思 いますけれども、そのさまざまな方に来ていただいて、忌憚のないご意見を伺うべきだろう と思っております。それから研究開発等に当たる方々についても、実際にメーカーの方、研 究者の方がおられると思います。有効性の評価についても、公衆衛生学的な問題、医療経済 学的な問題等々があると思いますので、そういう方にも来ていただいたらどうかと思ってお ります。それから、ワクチンの接種や流通にかかわる自治体や医療機関の方、流通業者の方 も必要です。情報提供ということもありますので、医療倫理や、リスクコミュニケーション に関する有識者の方にも来ていただいてご意見を伺ってはいかがかと思っております。  1頁に戻りまして、4月から夏ごろまで、私どもとしてはこの6つの課題について、いま 申し上げたような方々、またここでご意見をいただければそういう方も加えてと思っていま すけれども、ご意見を伺いながら現状と課題を少し整理させていただいて、夏以降本格的に 予防接種の目的、基本的な考え方も含めて答申を受けて考えさせていただいたらどうかと思 っております。必要に応じて全員で議論する場合と、日本脳炎の場合もそうでしたけれども 小委員会のようなものを設けて議論する場合があるでしょうから、そういうことも含めてご 示唆をいただければと思います。以上が資料2のご説明です。 ○加藤部会長 ただいま、事務局より事務局案を提示させていただきましたが、この案につ いて各委員からご意見を伺います。 ○北澤委員 特にいまの段階でということではないのですが、予防接種についてはいろいろ な意見や考え方を持っている方がたくさんいて、報道などでも盛んになっているように思い ます。こういうヒアリングもいいと思うのですが、もし可能であれば、この段階で厚生労働 省がパブリックコメントのような形で、この6つの論点でもその他のことでもいいのですけ れども、いろいろ自由にご意見を募り、それを事務局でまとめ、私どもにもフィードバック していただけたら、より広い意見が伺えるのではないかと思います。 ○加藤部会長 いま事務局から説明のあったことをやっていくために、この部会は相当突っ 走らなければなりませんのでかなりハードな部会になります。定員割れすると流会になりま すので、その辺のところを各委員は十分ご承知おきいただきまして、ご協力をお願いいたし たいと思います。パブリックコメントをいただきたいということですので、事務局はよろし いですか。 ○事務局 はい。 ○倉田委員 議論する内容についてはこれでよろしいのではないですか。ただ、同じ名前の ワクチンであっても中身がいろいろですし、品質の問題もあります。それをここでやるのが 適切かどうかわかりませんが、どこかでそういうことはきちんとやる必要があるかもしれな いです。事情が進んでいけばです。 ○黒岩委員 根本的な議論がどこから始まるのか、それでゴールがいつになるのか。とりあ えずヒアリングは夏までと書いてありますが、ゴールはなるべく早くやることが大事だと思 います。どの辺がゴールかということを教えてください。 ○加藤部会長 部会長としてのコメントを述べますと、今回の国会の後に通常国会が約3 回ほど開かれると思います。私どもの任期は2年間ですから、その間に国会は3回というこ とです。その中で出せるような方向で、委員の皆様に努力していただきたいということだと 私は考えております。 ○坂谷委員 資料2-2は平成17年の中間報告です。当たり前のことですが、これには結核 が入っておりません。BCGは結核予防法のほうで扱っておりましたのでそういうことです。 ご存じのとおり平成18年平成19年にかけて感染症法に統合されまして、BCGに関しても この部会が扱うべきことになってきたのだと理解いたします。新たな目で結核のワクチンに 関しても仲間に入れていただきたいと考えます。 ○加藤部会長 この小委員会は平成17年に中間報告を出したということでありますが、そ の後何回も開かれております。その後に中間報告を出していないというだけで、結核BCG のことも当然話し合われております。もし委員が必要であれば、後ほど事務局から資料を提 供させます。 ○澁谷委員 議論するテーマについてはこういう内容でいいかと思います。ヒアリングにつ いてどなたということではないのですが、希望として、ワクチンの研究開発のところは日本 のメーカーになるのでしょうけれども、海外の日本支社、海外のメーカーの意見、あるいは WHOの考え方も聞けたらと思います。それから、最後の医療倫理リスクコミュニケーショ ンのところで、社会学系の大学でこの研究をしている先生でよい方があれば話を聞かせてい ただきたいと思います。 ○加藤部会長 事務局はよろしいですか。 ○事務局 はい。 ○廣田委員 別紙に書いてありますヒアリング対象の候補は当然考えていただくことにな ると思います。いちばん上の予防接種に関する専門学会のところで、日本ワクチン学会は是 非入れていただきたい。最後の公衆衛生学の専門学会のところには、日本公衆衛生学会・日 本疫学会というのを入れていただきたいと思います。同様に4つ目の○で有効性評価のとこ ろも、公衆衛生学・疫学の専門家としていただきたいと思います。 ○加藤部会長 事務局はよろしいですか。 ○事務局 はい。 ○宮崎委員 ご報告いただいた予防接種に関する検討会と、ワクチン産業ビジョンのことに ついてちょっと追加です。予防接種に関する検討会については、いま部会長が言われました ように、この後に随分議論があって、先ほどは日本脳炎のワクチンのことしか出ませんでし たが、実際には「はしか・風疹」のMRワクチンの2回接種の問題をここで検討して実現 しました。あるいはDTワクチンの代わりにDPTワクチンを接種するというのは、いま現 実にデータ集めが進んでおりますから、そういうこともかなり具体化してきているというこ と。その下のIPV(不活化ポリオワクチン)もそうですが、いま治験が走っております。ま だ定期に入っていないワクチンで言えば、インフルエンザb菌ワクチンはまだ中間報告の取 りまとめの時には承認されていませんでしたが、平成20年12月に発売されました。現在 でも供給量が不足していますが、これからだいぶ生産量も上がってきて、定期接種化の議論 を詰められる時期に来たと思います。肺炎球菌ワクチンに関しても、この時にはまだ23価 の、いわゆる高齢者向けのワクチンしかなかったのですが、これも子ども用の7価結合型肺 炎球菌ワクチンがつい最近承認されて使われ始めましたので、より一層定期接種化の議論が 詰められる段階に来たことを追加しておきたいと思います。  ワクチン産業ビジョンも、平成19年3月にビジョンができた後に、これを実現化させる ために、フォローアップの場としてワクチン産業ビジョン推進委員会という場ができていて、 そこでも議論が行われ、海外メーカーのワクチンをどうやって日本に入れていくかとか、い ろいろなことの議論が既にかなりされております。  今回のヒアリングということですけれども、1つはワクチンの研究開発のところに加えて、 ワクチンを審査する立場、あるいは認可する立場ということが、実際にワクチンが出ていく 上で非常に大きなハードルになる部分ですから、ここを抜きには迅速な予防接種行政はいか ないだろうと思いますので、是非公の立場でご意見を伺いたいと思います。もう1つヒアリ ングというのは限界があります。本当はもっと突っ込んで議論を深めていかないといけない ので、そういうきっちりした議論をする場と、議論に参加する人を集めるということをやっ ていかないと、議論は上滑ってしまうのではないかと思っております。 ○加藤部会長 貴重なご意見をありがとうございます。 ○岩本委員 前にも申し上げたことがあるかと思いますが、予防接種法でここに疾患として 挙がっているもの以外にも、いま認められている任意接種対象のワクチン、近未来に必要な ワクチンを含めて議論すべきと思います。人間は小児期がいちばん大事なわけですが、一生 の間にどういう病気がワクチンで守れて、それに対してどういうワクチンがあるかという議 論を早くきちんとやった上で、全体を進めていただきたいと思います。 ○加藤部会長 ただいまの岩本委員のご発言は非常に重大なご発言で、米国等では65歳を 過ぎてもワクチンの計画ができていますが、そういうことを申し上げたいわけですね。 ○岩本委員 はい。 ○宇賀委員 論点については、大体ここに書いてあるようなことかなと思います。予防接種 は光の部分と影の部分があると思います。やはり影の部分からも目を外すわけにはいかない と思います。特にここの論点に挙がっている、健康被害の救済制度とか、あるいは情報提供 のあり方の面での問題をいちばん強く認識されているのは、副作用の被害を受けた方ではな いかと思います。そういう方たちからのヒアリングも考えていただければと思います。 ○加藤部会長 その件に関しては私も同感です。健康被害を受けた方にお聞きすること。も う1つ大事なのは、ワクチンをしなかったためにある病気にかかって、重大な合併症を残し た方もおられます。両方相い並列して考えるべきではなかろうかというのが部会長の考え方 です。事務局も、その辺のところはきちんとノートオンをお願いいたします。 ○岡部委員 項目としてはこれでいいと思うのですけれども、予防接種に関する評価・検討 組織のあり方の中に含まれると思うのですが、ワクチンそのものの有効性に関する調査研究 だけではなく、ワクチンで防げる疾患、これをワクチン・プリベンタブル・ディジーズとい うような言い方をしますけれども、それに関する基本的な現在の疫学、すなわち予防接種関 連疾患のサーベイランスについてきちんと情報を収集するということ。それから、いまの予 防接種の影の部分にも関係しますけれども、副反応のモニタリングの充実をいかに行うかと いうこともテーマの中に入れておいていただければと思います。 ○加藤部会長 ほかにご意見、ご質問はありますか。 (特に発言なし) ○加藤部会長 特にないようですので、ただいま各委員から承りました要望その他を事務局 案に加え、さらに各委員の皆さんの仕事量は増えますが、事務局から具体的にテーマを絞っ て考えていただきたいと思います。次に資料3の説明をお願いいたします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 資料3-1、資料3-2、それから白表紙のも のについてご説明させていただきます。これは、前回までご議論いただきました、予防接種 法の改正に関するものです。予防接種法と特別措置法それぞれを改正いたしますのでその概 要となっております。法改正の目的は、今回のH1N1の新型インフルエンザと同等のもの が来ても、法的にもきちんと対応できる、万全にすることが目的です。  必要性としては大きく2つあります。H1N1については、去年の冬以来、緊急応急的に国 が予防接種事業を実施してきましたけれども、都道府県・市町村の位置付けが不明確という ことなので、ここをきっちり法的にも類型をつくって明確化したいというのが1つです。  2つ目は健康被害の救済の水準です。これは特別措置法のほうに書いてありますが、ここ が低かったものですから、後でご説明いたしますけれども、現在の水準と、高いと言われる 一類の間の水準ということにさせていただきたい。この際、公的な関与の程度を努力義務な しの勧奨ということにさせていただきたいと思います。いちばん下に※で書いてありますが、 先ほどご議論いただいたような、抜本的なものについては引き続き議論をさせていただきた いということです。  2頁は既にご議論いただいた中身です。大きく2つありまして、1つは類型の創設という ことで、市町村が実施します新型インフルエンザや、病原性が高くない新型インフルエンザ について公的関与は、努力義務は課さないけれども勧奨を行う。健康被害救済の給付水準に ついては、新型インフルエンザのワクチン事業と、現行の一類との間の水準ということです。 実費徴収についてはここに図がありますが、基本的には低所得者を除いて実費徴収も可能。 低所得者分の減免分については、国が2分の1、都道府県と市町村が4分の1ずつというこ とが1つです。  2つ目は、国の責任によるワクチン確保です。5年間の時限ですけれども、製造販売業者 と損失補償契約を締結できるということが書いてあります。※でその他と書いてありますけ れども、新型インフルエンザにかかる定期接種にいった場合、高齢者以外に接種できるよう にするということです。  施行の期日は1、2とありましたが、2については公布日、1については公布の日から3 月を超えない範囲と思っております。  3頁は実際の健康被害の水準です。一類もしくは臨時と現行の特別措置法の水準の間と申 し上げましたが、障害養育年金とか、障害年金については実際に間の額になっております。 死亡の場合の一時金については、一類定期、それから臨時は4,280万円、現在の特別措置法 については、生計維持者でない場合には714万円、生計維持者の場合には年間238万円で 最長10年分ということで2,378万円。これの間を取りまして、死亡一時金について、生計 維持者の場合は3,330万円、それ以外の場合には2,497万円にさせていただきたいと思いま す。これは、法律事項ではなくて政令事項であることを付け加えさせていただきます。  以上が概要で、あとは実際の要綱なり法律の案文なり、新旧というのは資料に載っている とおりです。以上です。 ○加藤部会長 ただいまのは、報告事項として承ってよろしいですか。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 はい。 ○加藤部会長 次に進ませていただきます。資料4ポリオワクチンによる2次感染事例につ いて事務局から説明をお願いいたします。 ○結核感染症課長 資料4は、去る2月17日に神戸市から、ポリオワクチン関連の健康障 害についての情報提供があった事案の概要です。神戸市在住の9カ月の男の子が、昨年末か ら発熱があり、感冒様の症状で受診した後、下肢の麻痺が出てきた。その後、医療機関から 保健所に相談があり、検便の結果、ポリオウイルスII型が同定され、それでポリオと診断が つきました。  神戸市環境保健研究所から分離されたウイルスについて、感染研のほうで、これはワクチ ン株によるものか、それとも野生株によるものなのかを精査した結果、II型のワクチン株に よるものと同定できたということで、この麻痺についてはワクチン由来のウイルスによるも のという判断ができるだろうと考えました。ただ、ポリオワクチンの接種歴ですが、ちょう どその接種時期に本人は体調不良のために接種ができなかったということです。感染原につ いて検索いたしましたけれども、特定できておりませんが、結果としてワクチンに関連する ポリオ様症状が起きたということです。  こういうワクチン接種後、ないしはワクチンに関連してその周辺の方がポリオ様症状を起 こすということは、いまは生ワクチンですので数百万回に1回こういうことが起こることは 知られていることです。本ケースはそういう非常に希なケースです。これについて私どもの ほうでは、当職の通知を各都道府県・政令市・特別区の衛生主管局長宛に出しております。 予防接種を受けた乳幼児の周辺の方についての2次感染の防止等についての注意喚起とい うもの。それから感染症法に基づく、ポリオの届出基準について一部改正をしたという通知 を出しております。報告は以上です。 ○加藤部会長 この件に関してご質問はありますか。 ○黒岩委員 私は詳しくないので教えていただきたいのですけれども、欧米では生ワクチン ではなくて、不活性化ワクチンが一般的になっているということのようですが。 ○加藤部会長 不活化ワクチンです。 ○黒岩委員 日本ではなぜ不活化ワクチンは使えないのですか。 ○結核感染症課長 本邦においては、薬事承認されている不活化ワクチンがないということ です。 ○血液対策課長 このワクチンの開発についてはいろいろ経緯がありましたので、その経緯 を少しご説明させていただきます。IPVの単抗原のワクチンについては、財団法人ポリオ研 究所が開発を進めていて、2001年に承認申請をしましたが、薬事法上の資料の基準適合性 等種々の問題があり、2005年に承認申請の取り下げが行われております。この時点でIPV 単抗原のワクチンの開発はこれ以降はなされないという状況になりました。いまご指摘のと おり、DPT、IPV4種の混合ワクチンについては、DPT製造メーカー5社が国内開発の検討 を2002年ごろから開始しております。ポリオ研究所によるIPV単抗原ワクチンの承認申請 に至らなかったことが、主な理由となり、各社の開発が遅れる因になったと聞いております。  ただ、いまお話にもありましたとおり、OPV(生ワクチン)から、IPV(不活化)への切 り替えに加えてDPTワクチンとの混合ということに関して評価する必要もあって、臨床試 験のデザインが、非常に複雑化しているということも開発が遅れている一因です。ただ厚生 労働省としては、DPT、IPVの開発が進められるようにワクチンのメーカーの開発を促す よう、必要な対応を進めているという状況です。 ○加藤部会長 付け足しますと、先ほどの検討会の中間報告が出されていますが、まさに黒 岩委員がご指摘したことが、この検討委員会で検討されております。その当時のことを委員 長として申し上げますと、確かに黒岩委員が言われるように、その検討委員会でも不活化ワ クチンを是非、早めにお願いいたしたいという報告はしております。  しかし、輸入品と日本の製品との若干の違いは、日本の製品はセービン株と申しまして、 極めて安全な株ですが、米国等で使われているのはワイルド株と言って、いわゆる流行って いるポリオのウイルスを用いてワクチン化しているということで、その辺がなかなかご理解 が得られないところがあると思います。そのような問題がありますので、岡部委員に追加の 発言をお願いします。 ○岡部委員 世界各国でという話が出ましたが、いわゆる先進諸国のほうが、不活化ワクチ ンをいち早く導入しているという経緯があります。費用の関係あるいは製造の関係等からい えば、生ワクチンのほうがはるかに安く、効果が高いわけですが、この病気がなくなってき て、VAPPという麻痺が出てきたならば、やはり速やかに、速やかにというのはいろいろな 紆余曲折の議論はあるのですが、バランスからいうと、やはり不活化ワクチン導入というの は、かなり早期からわが国においても議論されていました。  先ほどの亀井課長の話ですと、厚生労働省はすべてメーカー側から何かアクションをとっ ていった意味合いのことをおっしゃっていました。ここで私がこういう発言をするのが適当 かどうかわかりませんが、方向性としてどういうワクチンが必要か、あるいはそれを早く導 入するにはどうしたらいいか。これは今後のこういうワクチン検討会に期待するところです が、そういう基本的な方針に関する議論を国としてやっていかなかったために、結局、三竦 みの状態で、なかなか導入ができなかったというのが現況であろうと思います。さらに、治 験の考え方、実施の方法などが切り換わったとか、いくつかのことが重なって、なかなか導 入できなかったというのも事実だろうと思います。 ○加藤部会長 ただいま不活化のワクチンについて検討委員会でというお話がありました が、今後の検討というところで、先ほどの話とリンクしてくるということですので、検討委 員会でももちろんやりますが、当部会でも大きな問題点になろうかと考えております。 ○岩本委員 生ワクチンは非常に良く効いて、しかも値段も安いということだと思いますが、 こういう事例以外にもいろいろな問題があるときに、いままでの日本のポリオを守ってきた ワクチンがある中で、それを不活化に切り替えるには、どういう仕組みでやるのかを明らか にしないと、次の段階には行けないと思います。 ○加藤部会長 よく理解できますが、私から言うよりも、事務局福島課長どうぞ。 ○結核感染症課長 実際にいま言われるように、生ワクチンと不活化のものについても、不 活化が承認されたときでも、供給量が一遍に十分にできるわけではないという可能性があっ て、それをどういうスケジュールで切り替えていくのか、またDPTとIPVの混合ワクチン になりますから、従来のDTPとどのように切り替えていくのか。この2つのことを同時に 考えなければいけないものなので、いまの時点でどのようにするということを申し上げるこ とは困難ですが、そういう課題があることは認識しています。これが認可される以前からど ういうプログラムで、移行プログラムでさせるべきかということについては検討を進めてま いりたいと考えています。 ○加藤部会長 ただいま黒岩委員と岩本委員から、少しご質問が出ましたので、中間報告と いうもの、いままでの議事録等を直接、きちんと両委員にお渡しいただけると、どれだけこ のことについて検討委員会で検討されてきたかがおわかりになっていただけると思います ので、もしありましたら、そのようにしていただけないでしょうか。ここで議論をする場合 ではないと思いますので。過去の経過、これは17年としてありますから、その後もずっと 働いてきていることです。したがって、いまここで議論をしても、また同じ繰り返しになり ます。  しかし、そのときの小委員会は局長の諮問機関で、現在ある部会は厚生労働大臣の下にあ る審議会の部会ですので、これは皆さんの発言はかなり重いです。それらのことをよくお考 えいただいた上で、今後の審議を進めていただきたいと私は思います。したがいまして、不 活化ポリオについては、既に17年のときに、この委員会から提言しております。 ○黒岩委員 それは納得できません。根本的に予防接種法を改正するという議論は、そもそ もワクチン後進国となったこの現状を何とかして取り戻そうということから始まっている と思います。これまで議論しましたが、それはそれでいいですという過去を全部肯定するの だったら、何のための抜本改正なのか、全く理解できません。ここの議論も全部根本からや ってください。 ○加藤部会長 そういうことではなくて、いままでに検討委員会において、どのようなこと が検討されていたかということを、黒岩委員に送ってくださいとお話しているのです。それ は明確ですね。 ○黒岩委員 その上で議論をすればいいではないですか。 ○加藤部会長 ですから、それは続いてやりましょうと。 ○黒岩委員 先ほど議論しなくていいとおっしゃったでしょう。 ○加藤部会長 黒岩委員にまず資料を送ってください、とお話しているのです。 ○黒岩委員 だから、ここで議論しましょう。抜本改革なら全部やりましょうよ。 ○加藤部会長 ですから、それは今後やりましょうという、まさにいまやっている議論です ね。 ○黒岩委員 だって、今後やらないとおっしゃったではないですか。 ○加藤部会長 その話と別でしょう。 ○黒岩委員 別ではないですよ。 ○加藤部会長 いや、違います。 ○黒岩委員 部会長の発言にはちゃんと責任を持ってください。 ○加藤部会長 ですから、ちゃんとこの会の議事録をお読みになっていただければおわかり になると考えます。 ○黒岩委員 だから、あなたたちがやってきた検討会のことは、全部いまのワクチン行政の 遅れにつながっているわけでしょう。そこの反省なしではどうやって前へ進もうというので すか。ですから全部肯定するという議論には賛成できません。 ○加藤部会長 いいえ、肯定とか、否定ではなくて、提言したものがそのままになっている というのは、その委員会の責任ではないということです。 ○黒岩委員 不活化のワクチンについても、この場で議論していただくことを希望します。 ○加藤部会長 一応議事にとどめておいてください。ほかにいかがですか。ご意見はないよ うですので、次に進めます。  続きまして、資料4です。今回の新型インフルエンザに係る総括の進め方について、事務 局からお願いします。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 新型インフエンザ対策推進室長の正林です。資料5 をご覧ください。この部会でも話題になりましたが、今回の新型インフルエンザ(A/H1N1) 対策についての総括に関するペーパーです。まだパンデミックが終わったわけではありませ んが、昨年4月23日以降、この新型インフルエンザについて、どのように対応してきたの か、その総括を行いたいと考えています。  総括した結果を、今後の新型インフルエンザ(H1N1)の再流行、それから鳥インフルエ ンザ(H5N1)の対策の見直しに活かしていこうと考えてます。総括の視点は目標の達成状 況、対策の効果、諸外国と比較してどうか、施策の遂行上の課題、その他、そういった視点 で見ていく。  進め方のイメージですが、今回の対策に関わった専門家、かつて行動計画とか、ガイドラ インを策定していますが、それに携わった専門家を中心として、まず本委員を選定し、その 本委員によって事実関係をまず整理する。そして対策に携わった方々から見て、今後の課題 は何か、そういたものを抽出します。その上で検疫とか、公衆衛生、広報、医療、ワクチン といったテーマを設定して、その都度、そのテーマに合った各分野の専門家、有識者をお招 きして、意見をいただき、最終的に第三者の評価とか、提言も含めてとりまとめを行います。  スケジュールとしては、できるだけ今月中に本委員を選定して、第1回の委員会を速やか に開催したい。以後、月2回程度のペースで開催しながら、何とか6月ぐらいを目途にとり まとめをしたいと考えています。以上です。 ○加藤部会長 ただいまは新型インフルエンザ対策推進室長からのご報告ということでよ ろしいですか。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 そうです。 ○加藤部会長 ご報告ですので、そのとおりです。次に進みます。続きまして、次のシーズ ンのインフルエンザワクチンについてです。事務局からご説明をお願いします。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 資料6です。先般、WHOで次のシーズンのインフル エンザワクチンの株について議論がありました。そこでは例年、季節型は3つの株の A/H3N2、B、H1N1についてはソ連型を組み合わせて、今後の3価ワクチンとして行って いるわけてすが、先般のWHOの議論の結果では、例年使っているH1N1(ソ連型)を、 今回のA/H1N1(新型)に置き換えることを推奨するという結論でした。   3価のワクチンを作るのか、あるいは1価のワクチンを作るのかというのは、各国の判断 とはなっていますが、我が国としては、今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)を含めた3 価ワクチンを製造すればいいのではないかと考えています。もちろん最終的には各ワクチン メーカーが判断することになります。  3価のワクチンを製造するメリットですが、季節性と新型が同時に接種でき、経済的・身 体的負担が最小限度となる。1価ワクチンと2価ワクチンとを合計2回接種すると、3価を 1回接種するほうが負担が少ないということ。2価のワクチンと1価のワクチンというよう な複数種類のワクチンを製造する場合と比べると、この3価のワクチンは全体として見た場 合に生産効率が最も良いということで、3価ワクチンを製造するということでいいのではな いか。  ちなみに1価のワクチンを希望する方については、今シーズンのワクチンについて、おそ らく余剰が出てくると思いますので、それを備蓄して使うことになるのではないかと思って います。以上です。 ○加藤部会長 ただいまは次年度のインフルエンザワクチンについて、WHOからのリコメ ンデーションと、これを踏まえて、我が国では次年度からどのようなワクチンを使用してい こうかというのが、室長のご見解と考えますが、それでよろしいですか。 ○岡部委員 突然の補足ですが、WHOが推奨したのは南半球は、もう既に推奨されていて、 これと同じパターンのH3N2パーストB型のビクトリアと、それからH1N1の新型である というのは、既に南半球では推奨されていて、つい最近、北半球向けが同様な数が推奨され ているということです。 ○加藤部会長 よろしいですか。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 すみません。それを補っていただいて、どうもありが とうございます。 ○加藤部会長 飯沼委員、すべて終わりなのですが、何かお話がありましたらどうぞ。今日 の検討会の議事次第が最初にありますが。さもなければ全部お読みになる時間はありません ので、別の話でも結構ですから、これを機会にどうぞ。先生だけ、まだ発言をしていません ので。何でも結構です。 ○飯沼委員 次からどういう話しをするかというのは終わったのですね。 ○加藤部会長 宮崎先生、考えている間に。追加発言ございますか。 ○宮崎委員 WHOの推奨株は決まったのですが、日本での製造株が決まったかどうかを聞 きたかったのです。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 日本の製造株は、例年6月ごろに決定します。一応 WHOの推奨株を踏まえて決定することになります。 ○宮崎委員 その時に、海外の株と日本の製造株が微妙に違うかどうかというのが、海外ワ クチンが国内に入る、入らないに関係してくるのですが、今回はWHO推奨株そのままで 行かれますかね。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 WHOもこういった株についてもそうなのですが。 Likeという言葉を使って、大体類似の株、幅がありますが、その中から日本も選ぶことに なるかなと思います。 ○宮崎委員 例年そうなのですが、国立感染研がワクチンの検定をするときに、日本で決め た株と違う株のワクチンが海外にあったときに、検定をどうするかという議論があるのです よね。季節性インフルエンザワクチンの場合、海外で作るワクチンの株と、日本で作るワク チンの株が、類似(Like)はしているのですが、違うといえば違うのです。今回のH1N1 に関しては当初からあまり抗原のずれがないので、同じもので行かれるのかなとも思ったり もしますが、その辺の議論は、まだいまからということですか。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 そうですね。 ○宮崎委員 わかりました。 ○岡部委員 インフルエンザワクチン株を、翌シーズンはどういうのを選ぼうかというイン フルエンザワクチン株選択会議というものが、毎年感染研インフルエンザ担当者および外部 の専門家を交えて行われており、本年も少なくともいま正林さんが言われた5月から6月に かけて結論が出るということになっております。しかし、3つのコンポーネントを一本に入 れるかどうかというのは、ここの会議での決定事項にはなりません。  そうすると、どこかが決めなければいけないのですが、先ほどの説明ですと、メーカーが 決めると言われましたが、それはある程度国の方針なり何なりはどこかで決めていかなけれ ばいけないと思うのですが、そういうことを議論する場所はどこになりますか。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 最終的な決定権はもちろんメーカーですが、厚生労働 省としてメーカーに対してどこまで言えるのかはよくわかりません。一応私どもとしては、 3価のワクチンの混合でいいのではないかなと。今日、この場でご披露させていただいて、 もし特段の異論がなければ、どういう形でメーカーに伝えるかはわかりませんが、何らかの。 ○加藤部会長 ちょっと室長お待ち下さい。それはこの場で言う必要がありますか。岡部先 生のご質問ですけれども。ここで決められないのではないでしょうか。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 決定のプロセスをということだったので、一応、厚生 労働省としては3価でいいかなと考えていますけれども。 ○加藤部会長 この場でとおっしゃったけれども、この場では決まらないですよ、ここは部 会ですから。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 はい、わかりました。 ○加藤部会長 飯沼委員、今日のメインはたぶん資料2-1です。この中に書かれていること に加えて、渋谷委員から、このほかに研究開発において、海外メーカー等も呼んで、視野を 広めていただきたいということ、WHO等の情報も欲しいということ、倫理学的な関係の方 もお呼びしたらいかがかということ、また社会科学系の方も参考人としてご意見を伺いたい ということ。そして岩本委員からは、予防接種は小児だけのものではなく、成人にも関与し ているので、その辺のところも考えていただきたいということ。そして倉田委員からは、日 本ワクチン学会も入れてほしいということ。 ○倉田委員 いいえ、それは私は言っていません。廣田委員です。 ○加藤部会長 失礼しました。廣田委員がおっしゃいました。宇賀委員からは予防接種につ いては光と影があるということで、予防接種を受けたことによって被害を被った方々にも参 考意見を聞きたいという意見が出ましたので、部会長としては予防接種を受けなかったため に病気にかかり、そのために重症な症状を残した方も同時に呼ぶべきではなかろうかという ようなことをお話したところです。それに付け加えて、日本医師会の飯沼委員からご意見が ありましたら伺います。 ○飯沼委員 遅れて来てすみません。説明をあらかじめ受けておりますので、特に問題はな いと思います。日脳のほうの話が随分長引くような印象だったのですが、クリアできて大変 子どもたちにもよろしいことだと思っております。早く潤沢な日脳のワクチンの提供を望み たいと思っているところです。  資料2-1については、いま部会長から、これに加えていろいろ説明していただきましたが、 その方向で日本医師会も協力をしていきたいと思っております。 ○加藤部会長 ありがとうございました。続きまして、ご意見、ご質問はありますか。 ○倉田委員 先ほど私が品質の問題と言いましたが、宮崎委員もどのように承認されている か、そのシステム、FDAみたいなことですが、日本には総合機構がありますが、それをき ちんともっとみんな知るべきだと思います。そこを飛ばして物事をやることではないと思い ます。そこを説明をしてもらう機会を。 ○加藤部会長 失礼いたしました。宮崎委員から審査側と、さらにそれを認可する側につい てのご意見も承りたいという意見が出ております。そういうことですね。 ○宮崎委員 はい。 ○加藤部会長 ほかに。 ○黒岩委員 これは前から言ってきたことですが、そもそも予防接種とは何なのか。予防接 種を大改正というのは、要するに何を目指すのか、その大枠の議論をきちんとしたほうがい いと思います。これはいろいろな議論が考えられる事項の中のどこに入っているのかよくわ かりませんが、大枠にそもそも何なのだ、どこを目指すのだというところをまず議論してか ら個別の話に入っていくのだと考えます。 ○加藤部会長 よくわかります。それは私も黒岩委員と同じ意見です。ただいまの予防接種 法というのは、昭和23年にできておりまして、その目的を読みますと、いまの時代にはあ りません。したがいまして、この部会で非常にラッシュで進まなければならない。しかし、 その前によく皆さんの意見を聞いて、相当スピードを上げることになります。おわかりです か。相当スピードを上げてやっていって、その上でそもそも論から入る。しかし、それは私 たちが持っているのは2年きりしかない。したがって、その2年の間にどれだけスピードア ップできるかということは、前へ向かえば大体わかることで、その間にすごいスピードで進 むということです。黒岩委員のご意見は、私は座長としても十分理解しております。ほかに いかがですか。 ○岩本委員 資料6の件です。新型インフルエンザを含めた3価ワクチンの件ですが、去年 の特措法改正のところの、いまのパッチを当てる議論の中で、新型インフルエンザワクチン に関しては年齢制限を外すと。今後、混合ワクチンができたらどうなるのですかというのは、 私は事務局に初めから聞いてきたと思います。これはリーズナブルだと私は思っていますが、 これ自体ができたときは、これを新型インフルエンザワクチンとするのか。いずれ季節性に なるので、そうすると、年齢条項はそもそもインフルエンザから外しましょうか、という議 論に入っていくと思うのですが、この間の議論は何だったのだという気がするのです。 ○加藤部会長 まさに岩本委員がおっしゃるとおりであろうと思います。したがって、ここ で室長に「ここでは決められないはずである」と私が言ったのはまさにそこです。岩本委員 がおっしゃるのは、これが季節性になれば定期の努力義務を課さない。高齢者に対象するワ クチンになってしまいますよということですね。 ○岩本委員 あるいは逆にしても、外すのかどちらかです。高齢者にしないのか。 ○加藤部会長 従いまして、そういうところも踏まえませんと、軽々しくは論じてはいけな いということで、室長にストップをかけたのですが、決まっていないのですね、いかがです か、室長。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 まず法案についても、国会に提出したばかりですので、 可決されるかどうかは、まだわからない段階ですから、軽々に申し上げることはできないの ですが、仮に今度の予防接種改正案が通って、来シーズンになったときに、まだパンデミッ クが終わってなくて、季節型になっていない段階だとしたら、高齢者にとっては、この3 価のワクチンは定期接種であり、かつ新しい臨時接種でもあるという形になるかなと思いま す。これが完全にパンデミックが終わりました、完全に季節型になりましたとなったら、ま たここの議論になると思いますが、最終的にはこの議論まで変えることになると思います。 ○加藤部会長 したがいまして、室長がちょっとやさしいペーパーを出してしまったのでは ないか、ちょっと先走りではなかろうかと私は思っています。すなわち、世界でもまだパン デミックの終息宣言は出ていないのですか、出ているのですか、室長。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 出ておりません。 ○加藤部会長 したがいまして、この議論は少し早くありませんか。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 早いといえば、まだ法案が審議もされていない段階で 仮定であれするのは、確かに早いのですが、仮にパンデミックがまだ終わっていないという 段階でのこの秋なり冬なりを想定して、メーカーは少なくともぼちぼち製造に入らなければ いけませんので、それで今日、このような形でお話しました。 ○加藤部会長 よろしいですか。 ○黒岩委員 先ほど部会長が2年しかないという話をされましたが、まさにご専門の立場と して2年しかないという感想をお持ちなのでしょうが、私の印象からすれば、2年もあるの かという感じがします。  というのは、予防接種というのは、いま切実な思いを持っておられる患者さんがいっぱい いらっしゃると思います。そういう人たちにとっては、抜本改正をするという議論の中で、 当面は早く認めてほしいということが、どんどん先送りされてくるという不安もあると思い ますので、抜本改正の議論は議論としながら、それとは別途に個別のものに対応するという 発想があってもいいかと思います。 ○加藤部会長 わかりました。しかしながら、黒岩委員はそもそも論から始めましょうとい うことですので、そもそも論に入るまでに個別のワクチンに入るわけにはまいらないと私は 考えております。 ○黒岩委員 そんなことありません。だって、この間のパッチワークの議論はまさにそうだ ったではありませんか。パッチワークの議論の中で、そもそも論はあとにしてくれという話 だったけれども、やはりパッチワークを当てていかなければいけないことはいくらでも出て くるのです。そういうものには我々は機敏に対応していくという姿勢が大事だと思います。 ○加藤部会長 その件に関してはこの部会を活性化させて、もしそうおっしゃるのであれば、 皆さん努力して、8月の通常国会に出せるように突っ走る以外にはありませんので、努力し ようではありませんか。ほかにご意見ありませんか。ないようですので、それでは。 ○黒岩委員 ちょっと待ってください。基本的に部会長の議事進行は横暴だと思います。も う少し議論を丁寧にやりましょう。 ○加藤部会長 どのように丁寧にやっていいか、私にはわからないのですけれども、具体的 に教えていただけますか。 ○黒岩委員 私も司会においてはプロだと思っていますが、こんなに見事にどんどん仕切っ ていくということは、そう簡単にできることではありません。その議論を途中まで聞いて、 どんどんあらかじめ決まったようなシナリオのもとに持っていくという運営の仕方に関し ては納得できません。議論はちゃんと議論したいと思います。 ○加藤部会長 今日は私がこのシナリオを作っているわけではありません。しかし、私は平 成5年から、この予防接種に関わる仕事をしておりますので、自分自身ではよくわかってい ます。しかしながら、皆さん方に十分な情報を提供するためには、先ほどお話したようない ろいろな参考人をお呼びして、私たち全体が知識を持たなければいけないというところです ので、2年もあるのかというのと、2年しかないというのではだいぶ違います。私の本心か らいきますと、非常に歯痒い状態で、2年しかないと言ったのでして、シナリオどおりにス ラスラと進めているとおっしゃいましたが、私としてはすべての委員の方々にご発言の機会 を差し上げて、皆様からご意見を等しく伺っていると考えておりますので、私の独断でやっ ているということではないということは、ほかの委員の方々はご理解していただけるのでは ないかと思っております。もし私の進行が少し荒々しいということであれば、次回から少し く改めさせていただきます。ほかにいかがですか。 ○飯沼委員 しつこいようですが、資料6をもう一回確認をしておきます。ソ連型をブタに 変えて、このワクチンは私も全く賛成です。これは国民やうちの会員には、どういうところ に該当するワクチンであるかという説明、例えば、新しくできたのに入るのか、いままでの 季節性インフルエンザのワクチンに入るのは、どのように説明したらいいか、もう一回教え てください。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 繰り返しますが、まだ予防接種法の改正案が国会で審 議されていない段階ですので、あくまでも仮定で申し上げますが、仮に新しい臨時接種を規 定した、新しい予防接種法改正案が可決・成立した上で、この秋にまだパンデミックが終わ っていないで、例えば高齢者であれば、その方は新型インフルエンザのH1N1を含む3価 を打つ場合、それは定期の接種でもあり、かつ新しい臨時の接種も打つような形になるかと 思います。 ○飯沼委員 わからない。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 きちんとまた整理して。 ○飯沼委員 おっしゃっていることはわかりますよ。意味も中身もわかりますが、説明する のなら、定期接種なのか、今度の新しいのかという、その択一しかないのではないですか。 ○新型インフルエンザ対策推進室長 医療現場に対して伝える方法について、これからいろ いろ考えたいと思います。きちんと丁寧に説明できるようにしたいと思っています。 ○加藤部会長 よろしいですか。ご意見がないです。本日は時間もいつもより早く終わりま したが、本会議はこれをもって終了といたします。次回の部会については、有識者等の方々 からヒアリングを早急に進めさせていただきたいと存じます。事務局から次回の予定につい てお願いします。 ○新型インフルエンザ対策推進本部事務局次長 次回ですが、4月中を予定しておりまして、 詳しい日時、場所等はまたご連絡いたします。以上です。 ○加藤部会長 年度末で極めて多忙な折、各委員にご出席いただきまして、ありがとうござ いました。これをもちまして本会議は終了です。 照会先:健康局結核感染症課(03−5253−1111 内線:2077)