10/03/11 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 1.日時及び場所    平成22年3月11日(木) 13:00〜   航空会館 201会議室 2.出席委員(17名)五十音順   ◎池 田 康 夫、 稲 田 英 一、○大 石 了 三、 大 戸   斉、    大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、 小 幡 純 子、 佐 川 公 矯、      嶋   緑 倫、 高 橋 孝 喜、 中 村 雅 美、 幕 内 雅 敏、      三 谷 絹 子、 三 村 優美子、 山 口 一 成、 山 口 照 英、     吉 澤 浩 司    (注) ◎部会長  ○部会長代理  他 参考人5名   欠席委員(4名)五十音順    朝 倉 正 博、 飯 沼 雅 朗、 花 井 十 伍、 宮 村 達 男 3.行政機関出席者    高 井 康 行(医薬食品局長)、 岸 田 修 一(大臣官房審議官)    亀 井 美登里(血液対策課長)、    光 岡 俊 成(血液対策企画官)、他 4.備考    本部会は、公開で開催された。 ○血液対策企画官 定刻となりましたので、ただ今から「平成21年度第2回薬事・食品 衛審議会血液事業部会」を開催いたします。なお、本日は公開で行うことになっておりま すので、よろしくお願いいたします。  本日は、朝倉委員、飯沼委員、花井委員、宮村委員から、それぞれ欠席の御連絡をいた だいております。山口委員は遅れる旨、ご連絡をいただいております。  現在、委員21名中16名の御出席をいただきまして、定足数に達しておりますので、薬 事・食品衛生審議会令第9条により、本部会が成立しますことを御報告申し上げます。  また、本日は採血事業者で血液事業の担い手として、日本赤十字社血液事業本部から、 経営会議委員の田所憲治さん、副本部長の日野学さん、献血推進課長の菅原拓男さん、販 売管理課長の石井博之さん、参事の五十嵐滋さん、参事の柴田玲子さんにお越しいただい ておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  議事に入る前に、本日御出席いただいた血液事業部会委員の先生方の、「平成20年3 月24日 薬事・食品衛生審議会薬事分科会申合わせ 審議参加に関する遵守事項」に基づ いて、利益相反の確認を行いましたところ、議題2と議題5がそれに関わってくるのです が、いずれもこの議題における審議及び議決への参加については、「退室委員及び議決に 参加しない委員は、ともになし」となっておりますことを申し上げます。  この後の進行につきましては、池田部会長どうぞよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。先生方にはお忙しいところをお集まりいただき まして、ありがとうございます。平成21年度の第2回ということですが、よろしく御審 議をお願いしたいと思います。  それでは、事務局から資料の確認をお願いします。 ○血液対策企画官 お手元に薬事・食品衛生審議会分科会血液事業部会の議事次第があり まして、その後に座席表、血液事業部会の委員名簿となっており、その後に資料がありま す。配付資料の「議事次第」に沿って確認をいたします。  議題1関連として資料1「平成22年度の献血の推進に関する計画(案)について」。議 題2関連として資料2「平成22年度の献血の受入れに関する計画(案)の認可について」。 議題3関連として二つありますが、一つは資料3-1「平成22年度の血液製剤の安定供給 に関する計画(需給計画)(案)について」、資料3-2「血漿分画製剤の供給のあり方に関す る検討会(仮称)運営要綱(案)」。議題4関連として、資料4-1「採血基準の見直しについ て」です。  議題5関連は六つあります。資料5-1「血液製剤に関する報告事項」、資料5-2「新型 インフルエンザによる血液の安全性への影響について」、資料5-3「英国滞在歴に関する 献血制限の見直しの実施状況について」、資料5-4「NATコントロールサーベイについ て」、資料5-5「血液製剤に対する感染性因子低減化(不活化)技術について」、資料5-6 「フィブリノゲン製剤等に関する報告について」です。紹介が遅れましたが、資料4-2に 日赤から「新採血基準移行への準備について(改訂版)」も配付しています。  資料5-5に委員のみの配付としていますが、文献案をお手元に配付しております。参考 ですが、血液事業部報告の平成21年度版ができましたので、机上に配付しております。 よろしくお願いします。 ○池田部会長 不足の資料はありますか。もし不足がありましたら、挙手をしていただい て、事務局から届けたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは、議事に入りたいと思います。本日は、議題1〜4について、先生方の御承認 をいただきたいと思います。そして、議題5の関連に関しては報告をしたいと思います。 午後3時が終了の時間ですので、議題は少し多いのですが、よろしく御議論のほどお願い したいと思います。  まず初めに、議題1「平成22年度の献血の推進に関する計画(案)について」です。こ れはいつも先生方に御議論いただいていますが、血液法の規定で、この計画の作成に当た っては、厚生労働大臣の諮問を受けて、この部会で審議して答申することになっておりま す。先生方には、昨年12月の第1回の部会において、「平成22年度の献血の推進(案)」 に関する計画について、非常に熱心に御討論をいただきました。その後、パブリックコメ ントの募集が行われ、意見がいくつか提出されております。これらを参考にして、既に事 務局で修正案が用意されておりますので、本日は改めて、この場で皆様に御意見を伺って、 部会としての意見をまとめて答申をしたいと思っておりますので、よろしくお願いしたい と思います。それでは、早速、事務局から資料1について説明をお願いします。 ○事務局(秋山専門官) それでは、事務局から議題1の「平成22年度の献血の推進に関 する計画(案)について」の御説明をいたします。本計画は、安全な血液製剤の安定供給の 確保等に関する法律の第10条第3項の規定によって、本日の部会で御審議いただくもの です。本計画は、昨年12月24日に開催された当部会にて御審議いただき、その後、「平 成22年度の献血の推進に関する計画(事務局案)」に対する意見募集を本年2月1日〜3 月2日の間に行い、5名の方からの御意見を頂戴しました。この御意見に対する回答を行 う予定になっています。  資料1です。1ページが諮問書、2〜9ページが献血推進計画(案)の本文、10ページ 以降が意見募集結果(案)となっております。  資料2ページからの「献血の推進に関する計画」については、昨年の本部会での御指摘 によって3点の修正を行っています。6ページの2ポツ目に、将来の医療従事者になろう とする者に対する取組みを追記しています。  7ページの一番下の段落の2〜3行目にかけて「採血後の休憩スペースを十分に確保す る等」という文言、さらに8ページの1段落目に、イメージアップの具体的な事例という 形で記載しています。  この3点が主な修正です。そのほか法令的な文言の整備を行うとともに、「献血推進の あり方に関する検討会」の提言事項を盛り込んだ上で、必要に応じてこの文章についても 整備を行っている次第です。  資料の10ページから、意見募集に対する御意見と、それに対する考え方となっていま す。以下、この概要について御説明いたします。  御意見1の、「医療従事者に対して、献血の正しい知識と意識の醸成を図るべき」との 御意見に対して、現在及び将来の医療従事者に対して、献血や血液製剤の重要性について 理解を深めていただくための取組みを行って、正しい知識と意識の醸成を図る、との考え 方を示す予定にしています。  御意見2です。これは「献血健康手帳という形で作成して、献血検査サービスの結果を、 献血者自らが長期的・継続的に記入することによって、複数回献血者の増加につながるの ではないか」という意見です。これに対しては、日本赤十字社が運営している「複数回献 血クラブ」で、過去5回の検査結果が、現在、携帯電話やパソコンで確認できること、ま た、これまでの献血者のニーズを反映させた各種サービスを行ってきていること、さらに、 今後も献血者のニーズを調査・把握し、これらの取組みをさらに進める、との考えを示す 予定にしています。  御意見3の、「献血に対する魅力を高めるために図書券の配布を行うべきである」との 御意見については、献血の定義について説明するとともに、図書券を含む金券の提供は有 料採血とみなされることをお示ししています。これらを御理解いただくとともに、献血へ の御協力をお願いしているという形です。  御意見4は、「近年の検査精度の向上から、輸血経験のある方でも、検査して問題がな ければ、献血可能としてはどうか」という趣旨の御意見です。輸血された方からの献血に ついては、一定のリスクがあるということで御遠慮いただいている趣旨を説明していま す。さらに輸血を受けられた立場から、もし、献血の意義、重要性を周囲の方に御説明い ただければ、御理解いただいた方の献血への御協力につながるのではないか、そうした形 でやっていただけると、誠に有り難いとの考えを示す予定にしています。  御意見5は、「採血所に託児体制を確保することについて、運用後の安全管理責任に関 して懸念している」という旨の御意見です。現時点で日本赤十字社では、全国8か所の献 血ルームでキッズスペース等を設置しております。お子さんを預かっている間は保育士、 日本赤十字社の職員が側に付いて、目を離すことなく対応する等の安全確保を実施してお り、今後、新規にキッズスペース等を設置する場合においても、同様の対策を講じて、お 子さんの安全確保を図ることとしています。  以上が意見募集に対する御意見と、それに対する考え方の御説明です。近年、少子高齢 化社会の進展とともに、人口構造の大幅な変化など、献血を取り巻く環境は大きく変動し ています。また、いわゆる団塊の世代の方々も60歳代に差しかかっているという現状に おいて、献血された血液を使用する側の年齢構成の変化、さらに、それに伴う血液需要の 変動なども、今後は注意深く観察して、将来にわたり安定供給が図られるように、献血推 進方策を考えていく必要があると考えております。  12月の部会でも御説明したとおり、今回お示しした平成22年度献血推進計画は、こう した課題を御審議いただいた「献血推進のあり方に関する検討会」の提言を盛り込んだも のとなっています。以上が「平成22年度の献血推進に関する計画(案)」及び「意見募集 結果(案)」です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ただ今の説明について、何か御意見・御質問はありますか。 ○中村委員 前回出席できませんでしたので重複するかもしれませんが、その点は御容赦 ください。まず、パブリックコメントの5番目にある託児施設に関してですが、これは献 血センターを経営している日赤が最終的に責任を負うという理解でよろしいですね。  それから、これに関してキッズスペースなどを設けることについて、かなりの費用がか かると思いますが、これは日赤が血液事業を行う上で耐えられる状況かどうかを伺いたい と思います。それから、確かに若年層が減っていることは火を見るより明らかです。前回 出たと思いますが、若年層の献血の割合は減っているような気がしてならないのです。そ れを何とか高めなければなりません。対象は高校生だと思いますが、都道府県や政令都市 の教育委員会に働きかけているというようなことはやっているのですか。昨年も一昨年も 聞いたと思いますが、その後、どのようになっているのか、どういう働きかけをしている のか、御存じでしたら教えていただきたいと思います。 ○池田部会長 まず事務局から、そして日本赤十字社からお願いします。 ○事務局(秋山専門官) まず、一つ目の責任の所在に関してですが、詳しくは日赤の方が よろしいかと思います。献血ルームの中での事故であれば、ごく一般的には日赤の責任に 帰するということになる部分が多かろうと思いますが、個別の事故の態様によってはケー ス・バイ・ケースということになるかと思いますので、そこについては個別に判断される ものと考えております。  献血ルームにキッズスペースを置くことが財政的にどうかという問題ですが、これは日 赤からお答えいただきたいと思います。  三つ目は、まず若年層への対策です。国としては「ホップ・ステップ・ジャンプ!」と いう高校生向け、あるいは教員向けの冊子を作っております。これは献血の趣旨や内容に ついて分かりやすく説明した高校生用のもので、県の教育委員会宛にも送付しているとこ ろです。私どもが存じ上げていることとしては、昨年度の献血推進のあり方に関する検討 会の中で、地域における教育をどのようにやっているかということで、委員の中に埼玉県 の県立高校の先生、養護教員の先生も入っておられて、先生の話によれば、埼玉県庁にお きまして、教育部門の教育長、衛生部門が連携して、例えば「献血出前講座」といった活 動を積極的に行っている例もあると聞いています。事務局からは以上です。 ○池田部会長 それでは、日本赤十字社からもお返事をお願いします。 ○日本赤十字社(菅原) キッズスペースの件ですが、今、事務局からもありましたとおり、 キッズスペースが日赤に設置されている、いわゆる採血所の中に設置されているというこ とで、事故が発生して、それについて過失や設備に欠陥があるという状況ですと、それに よって発生した場合は、当然日赤が賠償責任を負うということが前提になります。ただ、 場合によって保護者にも過失があれば、それは相殺される場合もあり得るという中で、今 後、特に献血ルームにおけるキッズスペースの整備については、一律一斉にということは 非常に困難です。今後、地域環境を踏まえて施設を移転あるいは新築・拡充していくとい う所が、年間数施設で計画されていくだろうという中において、段階的にそういう所の中 にキッズスペースを確保していくことを必須条件とした上で、現在、日赤内部における施 設整備に伴うガイドラインを策定しております。これに基づいて進めていくことになろう かと考えております。以上です。 ○池田部会長 いかがでしょうか。 ○中村委員 確認ですが、今後、採血センターを改築するときにはキッズスペースは必須 だと理解してよろしいですね。というのは、献血を要請するような年ごろの女性は、小さ いお子さんを持っている方が多いと思います。ですから、託児施設というのは必須だと思 います。センターを改築する際には、キッズスペースは今後は必須だという理解でよろし いですね。 ○日本赤十字社(菅原) 献血ルームの話だと思いますので、その献血ルームにおいて、今 後は区画ということではなくて、スペースとして確保していくことを盛り込んだガイドラ インにしていく予定で検討しています。まだこれは承認されたものではありませんが、内 部でそういう形で検討している状況です。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。パブリックコメントも踏まえて、いくつか の修正を御説明いただきましたが、特にありませんか。 ○日本赤十字社(田所) キッズスペース等の充実というのは、一つの方向ではあろうかと 思います。現状、保育士などはボランティアでやっていただいている所があります。そう いうのをすべて義務として確保するとなれば、人員の問題は当然出てきますので、それは 今後、財政的な基盤も含めて検討していく必要はあろうかと思います。 ○池田部会長 ガイドライン等でそういう方向に進めるということについてはよろしい と。今お返事いただいているのは、そういう考えでよろしいわけですね。 ○日本赤十字社(田所) ある時期に一挙にというのはなかなか難しいかと思います。 ○池田部会長 方向性としては、当然そういうことだという認識でよろしいですね。 ○大平委員 2点お願いがあります。1点目は、幼少期の問題のところで、幼少期にある 子どもに対しての血液の大切さや助け合いというところです。親子の問題を取り上げてい ますが、子どもに対しても、ある面、親から離れた形で幼児期、学童期において、もう少 し血液の問題、献血に結び付くような対応も大事ではないかということです。以前に出さ せていただいたところが、親子の関係の中で、これが啓発ということになっておりますが、 子どもの問題としても特に取り上げていただけたらと思います。  もう1点は、献血ができなかった方に対しての栄養指導などの問題が出てきますが、今 後、献血ができるように体調を治して、もしできない場合でも献血の推進にいろいろ情報 をいただけるように、またお手伝いできるようにということで、希望される方については 情報を提供できるような何か関係を作れるように御配慮いただけたらと思います。 ○池田部会長 貴重な御意見だと思います。事務局から特にありませんか。 ○事務局(秋山専門官) 比重不足等によって献血できない方々に対しては、例えば献血ル ームで栄養指導を行うといった取組みを検討したこともありますし、今後も、この点につ いては御意見を踏まえてしっかりとやっていきたいと思います。 ○池田部会長 そうですね。日本赤十字社の方々もよろしくお願いします。何か付け加え ることはありますか。 ○日本赤十字社(田所) 親子だけでなく、子どもを対象にということに関しては、これま でも夏休み等に血液センターの献血ルームに来ていただくとか、学校に出向いて出前講座 をさせていただくということもやっておりますので、引き続きそういう活動を強化したい と思います。 ○池田部会長 御指摘がありましたので、引き続き御努力をお願いしたいと思います。 ○大平委員 「献血推進施策の進捗状況等に関する確認と評価」ですが、以前から、評価 の問題が適切に行われていないのではないかというところが何回も血液事業部会で出て いて、できている面、できていない面という表を前にも時々出していただいたところがあ ります。今回はそういうのが出てきていないところがあって、今後定期的に本当にどのよ うな進捗状況か、そしてまた反省面、いい面を適切に評価できるような場面があってもい いのではないかと思います。もしできたら、そういった検討のできる場所とか、そういう のも提供していただけたらと思いますが、いかがでしょうか。 ○池田部会長 先ほども事務局から少し話がありましたように、献血推進の立場から、血 液使用量は少しずつオペ室のニーズ等も含めて上がってきていると。長期的に需要計画を 立てていかなければいけませんし、その計画の実行、評価をどうしていくかということも 含めて、献血推進について恒常的に調査検討をするような組織の設置等も提案されている ようですので、そのことも含めて、先生方に今回の「献血の推進に関する計画(案)」につ いて、もし差し支えなかったら御承認をいただけたらと思います。議決に入りたいと思い ますが、よろしいでしょうか。  この「平成22年度の献血の推進に関する計画(案)」について、議決に入りたいと思い ます。日本赤十字の方は議決に参加できません。特に御異存はございませんか。  ありがとうございました。今後、「平成22年度献血推進計画」を告示するに当たりま して、厚生労働省で、法令的な観点から形式的な修正がもしありましたら、部会長に御一 任いただくということでお願いしたいと思います。  大平委員から非常に貴重な御意見をいただきましたが、先ほど私が申し上げましたよう に、事務局から献血推進について恒常的に調査検討するような組織を設置して、今御指摘 のあったような点を見える形でやっていこうということで準備をしていただいたらと思 いますが、その辺、事務局から何かありますか。 ○事務局(秋山専門官) ただ今御指摘のあった、献血推進に係る恒常的な検討、これは実 行の評価ということも含めてですが、先ほど御指摘のあったとおり、しっかりとした検討 が必要と思っております。例えば、この部会の下に、調査会という形で設置をするような ことも含めて準備を進めたいと考えております。 ○池田部会長 委員の先生方、貴重な御意見をありがとうございました。  次に、議題2に進めたいと思います。議題2は「平成22年度の献血の受入れに関する 計画(案)の認可について」です。これも血液法の規定により、厚生労働大臣の認可を受け なければならないことになっております。これに当たっては審議会で審議して答申するこ ととされております。この計画は、採血事業者である日本赤十字社から提出されたもので すので、この場で委員の皆様の意見を伺いたいと思います。  それでは、日本赤十字社から説明をお願いします。 ○日本赤十字社(菅原) それでは、資料2「平成22年度の献血の受入れに関する計画(案) の認可について」を説明します。よろしくお願いいたします。なお、本日は時間の関係か ら、この資料の中の平成22年度献血受入計画の要点のみ説明をさせていただくことを、 予め御了承願いたいと思います。  資料2の3ページからポイントを説明します。1.「平成22年度に献血により受け入れ る血液の目標量」です。平成22年度に献血により受け入れる血液の目標量については、 過去3年間の輸血用血液製剤の供給量が、各製剤ともに毎年3〜4%程度増加しているこ とを踏まえて、全血献血で約139万L、血漿成分献血では約30万L、血小板成分献血で 約33万L、合計約202万Lを受け入れることとしています。これを献血者数に換算しま すと、約516万人を受け入れる計画になります。この詳細な内容については、資料の7ペ ージの別紙1を御覧いただきたいと思います。  続きまして、「2.前項の目標量を確保するために必要な措置に関する事項」です。(1) の「献血受入れの基本方針」について御説明します。先にも述べましたように、医療機関 への供給量が、各製剤ともに伸びている状況から、需要に見合った血液を確保するために、 各都道府県の目標量を基にして400mL、あるいは成分献血を中心とした献血の推進、受入 れを行って、平成22年度の目標量である約202万Lを確保する計画です。この詳細につ いては、8ページ及び9ページの別紙2-1及び2-2を御覧いただければと思います。  続きまして、献血者の安全性と利便性に配慮して、立地条件等を考慮した採血所の設置、 あるいは移動採血車による計画的な採血等、効率的な採血を行うために、今後も引き続い て国や地方自治体と相談をしながら進めていきたいと考えております。特に平成22年度 については、採血所における休憩スペースの十分な確保、あるいは地域の特性に合わせた イメージづくり、また、移動採血車の外観を見直す等、一層のイメージアップを図ること としております。また、献血者が安心して献血できるように、より良い献血者へのサービ スの提供を目的として、職員のスキル向上のために教育訓練の充実強化に努めてまいりま す。4ページです。これらに加えて、特に低比重による献血に御協力いただけなかった申 込者に対しては、次回の献血につなげていただけるような部分も含めて健康相談等を実施 してまいります。  次に「献血者の確保対策」です。将来にわたっての需要に見合った安定供給確保のため、 平成22年度についても、若年層あるいは複数回献血者の増加、安定的な集団献血の増加 を中心に、その確保を図ってまいります。具体的な対策としては、まず、若年層を対象と して雑誌、放送の媒体、あるいはインターネット等を含む様々な手段を用いて効果的な広 報を展開したいと考えております。また一方で、学校へ出向いての勉強会、あるいは血液 センター等での体験学習を積極的に行い、正しい知識の普及啓発と協力の確保を図りたい と考えております。さらに、学生献血ボランティアとの更なる連携を図り、将来の医療の 担い手となる学生等に対して、多くの国民の献血によって医療が支えられているという事 実や血液製剤の適正使用の重要性などへの理解を深めてもらう取組みを行ってまいりま す。  来年度は、献血者の年齢層に応じた献血推進対策にも力を入れていきたいと考えており ます。特に、20代後半〜30代の女性を対象とした対策として、この年代の女性が、出産 あるいは子育てに忙しいという理由等によって献血への協力が減少しているものと考え られることから、当然地域環境も考慮しつつ、段階的に献血ルームにキッズスペース等の 体制を整備するように考えています。親子が献血に触れ合う機会を設けるように努めてま いりたいと考えています。  5ページです。60歳を超えた方々を対象とした対策としては、この年代は特に定年退 職あるいは健康上の問題などによって、献血者数が急激に減少していると考えられており ます。引き続き積極的にその協力が得られるよう、情報伝達の方法を工夫するなどして、 献血者の増加を図るように努めてまいります。また、[3]と[4]にありますとおり、企業等に おける献血の推進、あるいは複数回献血協力者の確保についても、引き続き積極的に取り 組んでまいりたいと考えております。  続いて、献血推進キャンペーン等の実施です。ここは将来の献血基盤となる若年層献血、 これは血液事業にとって喫緊の課題であると考えておりますので、戦略的なキャンペー ン、例えばメディアによる繰り返しの啓発や、輸血を受けた患者のドキュメント映像を制 作、情報提供などの広報を展開して、広く国民への献血の普及啓発を図ってまいります。 また、今後の400mL全血献血採血基準の下限年齢見直しを見据えて、特に初回献血者への 安全性を確保するために、初めて献血をする方に対する不安などを払拭できるように、例 えば学校献血会場における採血後の献血者をケアする人員の配置、あるいは献血前・献血 時において、献血の手順や献血した後の過ごし方などの情報提供を行うなど、採血副作用 の防止に努めてまいります。なお、6ページの3「その他献血の受入れに関する重要事項」 については、引き続き実施しますが、本日は時間の関係から説明を割愛いたします。以上 が平成22年度の献血受入計画の概要です。 ○池田部会長 「平成22年度の献血の受入れに関する計画(案)」について、日本赤十字 社から御説明いただきましたが、これについて、先生方の御意見・御質問があれば受けた いと思います。前回御議論したものから大きな変化はないと思いますが。 ○中村委員 これも前回出たかとは思いますが、資料の4ページにある「若年層を対象と した対策」というところで、「出前授業」というのがありますが、これは学校の要請です ね。日赤から押しかけて行くというわけではないですね。 ○日本赤十字社(菅原) 日赤としても積極的に、能動的に、受身だけではなくて、いろい ろな中でというか、アクションを起こしていくことも必要だと思いますが、当然、各学校 からの要請に応えても対応していきたいと考えております。 ○中村委員 これは平成22年度から新しく始めるのではなくて、平成21年度に始めてい ますね。 ○日本赤十字社(菅原) 既に一部の血液センターにおいては、出前講座をしています。 ○中村委員 反応はいかがですか。 ○日本赤十字社(菅原) 献血以前に生命の大切さというか、そういう部分について、非常 にいい機会であるという御意見は、何センターかからいただいております。 ○中村委員 もう少し広く知れ渡った方が、啓発の意味があると思うのですが、そこは平 成22年度にやるという意識でよろしいですか。 ○日本赤十字社(菅原) はい。今、内部でも検討しておりますが、まず能動的にPRする ために、こういうことをやっているという、例えばリーフレットを作成して配布したりと か、素材についても、ある程度全国統一的なものを作成して、しかも献血だけではなく、 例えば赤十字の活動も含めた中での理解を深めていただくというイメージを含めて、平成 22年度は具体的にやっていきたいと考えております。 ○中村委員 もう一つですが、同じ資料の5ページの上の方に、「60歳以上を対象とし た対策」ということで、リタイア後の周知徹底ということが書かれていますが、具体的に どういう形で周知はされているわけですか。リタイア後は会社によらず、組織を離れてい る人が多いと思いますが、日赤としてはどういう形で啓発をしているのか、もし具体例が あったら教えていただきたいと思います。 ○日本赤十字社(菅原) これは正しく、これからも積極的に行わなければならないという ことで盛り込んでおります。これについては、例えば、60歳を超えた年齢、61歳とか、 そういう方々に対してダイレクトにおはがきを出して、「また引き続き献血に御協力いた だきたい」とか、そのような情報提供をして、何とか継続していただけないかという意識 付けというか、そういう形の方策もとっております。 ○事務局(秋山専門官) 先ほどの献血出前講座の関連ですが、補足したいと思います。高 校の授業の場が舞台になるかと思います。長年の課題でしたが、これまで高校の授業に献 血が取り上げられたことはなかったわけです。実は昨年夏に、文部科学省の仕事になりま すが、学習指導要領の解説、高校の保健体育に、「献血に関することについても適宜触れ ること」という文言が初めて掲載されました。こちらに掲載されると、教科書に取り上げ られることは、まず間違いないということですので、当然教員の目に止まることにもなり ますから、授業の中で、こうしたことを生徒に教えたいという要請が強まると期待してい るところです。 ○池田部会長 非常に積極的に取り組んでいることを皆さんに知っていただくという、そ の努力を普段から行っていかなければいけないのではないか。折角いいことであるのでと いうことだと思いますので、具体的にその効果が上がるように、是非、教育現場の方々に も広く知っていただくということについてアクションを起こしてほしいと思います。恐ら く中村委員が言われているのもそこだと思いますので、よろしくお願いしたいと思いま す。そのほかはよろしいでしょうか。  特に献血の受入れに関する計画に関して、御意見がないようでしたら、議決に移りたい と思います。これも日本赤十字社の方々は議決に参加できませんので、よろしくお願いし ます。議題2について、特に御異存はありませんでしょうか。よろしいですか。  ありがとうございます。それでは、御承認いただいたということにさせていただきたい と思います。事務局は、部会の意見を踏まえて、本計画の認可の手続きを進めていただき たいと思います。そして、日本赤十字社の方々は、是非、この受入計画に基づいて献血の 受入れの円滑な実施と、先ほども意見がありましたが、積極的に国民に広く呼びかけた形 の献血受入れをお願いしたいと思います。ありがとうございました。  続きまして、議題3「平成22年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)について」 です。これは血液法の規定によって、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて策定されるも のです。委員の皆様には、昨年12月のこの部会においても、本計画案について御議論を いただきました。原料血漿の確保目標量と需要の見込み、製造目標量等については、事務 局案を暫定的に了承していただいたところですが、今回は、原料血漿の配分価格をも含め て、最終的に部会で審議をして、答申をしたいと思います。よろしくお願いしたいと思い ます。それでは、事務局から説明をお願いします。 ○事務局(秋山専門官) 議題3の「平成22年度の血液製剤の安定供給に関する計画 (案)」、いわゆる需給計画(案)について御説明します。平成22年度の需給計画(案)に関 しては、血液法第25条第5項の規定により、本日の部会で御審議いただくものです。昨 年12月の血液事業部会において、原料血漿の確保目標量と、日本赤十字社から国内受給 者への原料血漿の配分量について御検討いただき、暫定的に御了承いただいております。 今回は、それに原料血漿の標準価格を加えた案となっております。  資料3-1の1ページが諮問書、2〜7ページが需給計画の本体です。なお、3ページに ありますように、「平成22年度に確保されるべき原料血漿の量の目標」については、昨 年12月の部会で御了承いただきました96万Lとしております。なお5〜7ページの別表 第1〜第3については、昨年12月以降、企業側の製造計画等に一部見直しがあった関係 で、需要見込量や製造・輸入目標量に若干の変更がありましたが、原料血漿確保目標に影 響はなく、また、医療事業に対しても安定的に供給されるよう算出されています。  それでは、「平成22年度に配分される原料血漿の標準価格の考え方」について、9ペ ージを御覧ください。標準価格の算定の基本的な考え方は、各採血方法別の確保量以外は、 昨年度までの考え方と同様です。まず、血漿成分採血については、昨年度までと同様に献 血全般に共通する事項と、サービスに係る経費は除いて必要経費を積算しております。ま た、全血採血及び血小板成分採血については、輸血用血液製剤の製造が主たる目的である ことから、原料血漿の確保に係る費用としては、一部に限定して積算しております、ただ し、平成19年度より赤血球製剤の白血球除去の導入に伴って、原料血漿の製造に生じた 費用を含めております。積算はこれまでの年度と同様に、まず凝固因子製剤用の原料血漿 について、経費の積算を行っています。配分量は、確保目標量の合計を96万Lとし、原 料血漿の確保から供給までに必要な経費を積み上げ、1L当たりの単価を算出しておりま す。この積上げに用いる経費については、直近の実績である日本赤十字社の平成19年度 及び平成20年度決算の平均の数値を使用しております。  積算する費用の内訳については、10ページの表を御覧ください。費用は採血から原料 血漿を製造・保管するまでに必要な材料費、人件費、経費及び日赤の管理センター等への 原料血漿の輸送・貯留保管経費である管理供給・調査研究費で構成されています。採血種 別ごとに積算する費用は、全血採血と血小板成分採血については、まず材料費としてシン グルバッグ代相当分と製品表示ラベル代。人件費として原料血漿の凍結・一時保管費に係 る製剤職員費。経費として凍結・保管費に係る経費に加えて、全血採血においては白血球 除去の導入に伴い生じた経費を一部加算しています。管理供給・調査研究費については、 従来どおり、原料血漿輸送・貯留保管経費を積算しています。  中心である血漿成分採血については、従来どおり、材料費は全額、人件費は原料血漿の 凍結・一時保管費に係る製剤職員費及び検診や検査などに係る医師、看護師、検査職員、 事務職員の必要経費。経費は、凍結・保管費のほかに、成分献血登録者に対する依頼経費、 処遇費の一部、検査機器等の保守関連経費など。そして管理供給・調査研究費については、 原料血漿の輸送・貯留保管経費を積算しております。  採血方法別の原料血漿の配分量については13ページにありますように、献血推進計画 に則って、日本赤十字社が策定した平成22年度の事業計画に基づいて設定しています。  以上の内容を一覧表にしたものが11ページの表です。今申し上げた方法により積算さ れた1L当たりの単価[1]に、それぞれ採血別に原料血漿確保見込量[2]を掛けて、採血別の 確保費用を算出しております。その総額の[3]を96万Lで除して、消費税を掛けて、1L 当たりの原料血漿標準価格、ここでは12,380円ですが、これを算出しています。この結 果、凝固因子製剤用については、平成21年度単価の13,040円より660円の減となってい ます。660円減の要因ですが、最も大きな要因は原料血漿確保目標量が100万Lから96 万Lへと、4万L減少したことが挙げられます。  11ページの2番の表の原料血漿確保見込量[2]の欄、このうち血漿成分採血の222,353 Lは、平成21年度見込量の276,891Lから大幅に減っています。その結果、原料血漿標 準価格を積算する過程において、採血したものがそのまま原料となることから、各献血種 別のうち、負担する費用が最も大きく、ほかの献血種別よりも1採血当たりの単価が高い 血漿成分採血の費用が、結果的に大幅に圧縮されています。同じ表の確保費用総計の[3]に おいて、11億円程度の減額となっています。これによって、1L当たりの算出価格が660 円減となったものです。凝固因子製剤用以外の原料血漿については、12ページにありま すように、昨年度までと同様に、今回の凝固因子製剤用の価格改定率を用いて、それぞれ 比例計算で算出しています。その結果、その他の分画製剤用が600円減の11,300円、ペ ーストについては、II+IIIが2,540円減の47,640円、IV-1が760円減の14,330円、IV -4が790円減の15,000円となっています。なお、14ページについては、平成22年度の 需要見込関連表で、15〜22ページは血漿分画製剤の需給率の推移ほかの各種統計関係の 資料となっています。資料22ページの「需給計画の状況」の左側の一番下の表「平成22 年度需給計画」のうち、上から5番目の乾燥濃縮人血液凝固第IX因子については、本年4 月から重要視されている輸入の遺伝子組換え製剤の供給見込みが、12月の部会でお示し したものから若干の変更が生じております。これは当該遺伝子組換え製剤の平成22年度 の企業供給見込みが改めて精査されて、12月のものに比べて下方修正されたことに伴う 変更です。したがって、国内需給率は75%となっております。  次に、この資料の中段の表右側部分です。中段は平成21年度の需給計画の実施状況で す。右側は、平成21年度の4月〜12月の9か月間の実績を示しています。前回12月の 部会でも御説明し、御議論いただいたアルブミン製剤の国内受給率は、この9か月で58 %、血液凝固第VIII因子製剤のうち、国内血漿由来製剤の占める率は24.8%と、25%を切 る状況になっております。以上が資料3-1です。  次に資料3-2です。前回の部会でアルブミン製剤の国内需給率の低下をはじめとした、 例えば製剤のコスト構造の問題、インフォームドコンセントの問題、そして供給体制の問 題など、血漿分画製剤を取り巻く諸課題について御議論いただきました。これらの検討を 行う場を設置するよう御指示を頂いたところです。今回、「血漿分画製剤の供給のあり方 に関する検討会(仮称)」の運営要綱の案という形で示しました。  1の「目的」について、製造・供給体制のあり方については、これまでも様々な議論が 行われてまいりました。国内需給・供給体制等に係る諸問題について改めて検討を行って、 将来にわたって安定供給が可能な体制の構築を図ることが目的です。  「主な論点」としては、先ほど申し上げた血漿分画製剤を取り巻く諸問題の検討、国内 需給率の低下の問題、血漿分画製剤のコスト構造等の問題、インフォームドコンセントの 問題、利便性の向上の問題、遺伝子組換え技術等の新技術への対応の問題、さらには生産 及び供給に係る効率性の確保、将来にわたり安定供給が可能な供給体制の検討としており ます。「委員構成」については、検討会の委員は、医学、法律学及び経済学等の有識者の 他、医療関係者、患者団体、報道関係者及び献血推進関係者等により構成することとした いと考えております。検討会は、互選により、委員のうち1名を座長として選出すること としております。  4の「検討会の運営」については、厚生労働省医薬食品局長が招集する形としたいと考 えております。必要に応じて、参考人として血漿分画製剤の製造販売業者や採血事業者等 の参加を求めることができることとしています。検討会は、知的財産・個人情報等に係る 事項を除いて、原則公開するとともに議事録を作成し、公表することとしております。検 討の「期間」は、平成22年度の第一四半期から、できる限り早く開催して、1年間の検 討、1年後を目途に報告書をとりまとめることとしたいと考えております。  「検討会の庶務」は、医薬食品局血液対策課が行うこととしております。資料の説明は 以上です。 ○池田部会長 資料3-1、3-2について、まとめて御報告をいただきましたが、平成22年 度の血液製剤の安定供給に関する計画について、委員の先生方の御意見を伺いたいと思い ます。 ○幕内委員 安定供給はこれでいいと思いますが、ここ10年毎年、患者さんの血液の値 段と原料血漿と称する業者に卸す値段とが余りにも違いすぎるということを、しばしば御 指摘しているのですが、一向に改善がないし、近年では、さらに値段の差が開いていると いうのが印象です。実際に120mL当たりの患者用の血漿はいくらするのか、お答え願いた いと思います。 ○事務局(秋山専門官) 御指摘の件ですが、いわゆる患者用と言われるのは新鮮凍結血漿 のことかと存じます。これと、原料血漿の価格の対比は、現在、新鮮凍結血漿の薬価は 400mL献血由来がおおむね240mLで、17,414円となっています。ですから、120mLに換算 しますと、この半分ということで8千数百円になるかと思います。それから原料血漿の標 準価格は、今回の案では1L当たり12,380円です。仮に新鮮凍結血漿が、1L当たりの 価格としますと、72,558円に相当することになりますので、おおむね5.8〜9倍というこ とになろうかと思います。 ○幕内委員 これは普通の人から見れば、妙な値段の付け方であって、やはり1票の格差 ではないけれども、2倍以上あるということは妙なことですよ。この辺は、今日は審議官 も局長も来ておられるので、厚生労働省の各部局とよく話し合って、統一性を付けるべき です。お話があったのでこれ以上言うのは何ですが、原料血漿の方はL単位で、患者さん に投与する方はmL単位です。今の話だと5.8倍も違うと。これはいくら何でも、やはり 常軌を逸していることではないですか。これを見れば患者さんをないがしろにして、血液 製剤業者を保護していると言われても致し方ないので。同じ日赤が出すのだから、同じよ うな値段ですべきであって、5.8倍も違うというのは許されることではないと思うのです が。 ○事務局(秋山専門官) 御指摘の点については、厚生労働省としても血液事業の根本に関 わるような大きな問題であると認識しているところです。確かに先生がおっしゃいますと おり、平成16年3月、今から6年前ですが、この血液事業部会でも御指摘をいただき、 またさらに平成17年3月、18年3月の部会においても同様に御指摘をいただいていると ころです。現状の原料血漿標準価格の算定方式については、毎年度当部会にお諮りしてい るとおり、一定の考え方に基づく経費の積上げという形を採用しておりますが、例えば歴 史的な経緯から見ますと、献血によって血液製剤を賄うという体制を築き上げてきた長い 歴史の中で、様々な血液製剤の価格それぞれがどういう水準であるべきなのか、あるいは どのような原価計算であるべきか、非常に重要な問題です。そうした課題を必ずしもその 都度、原点に立ち返って検証していなかったという問題があろうかと思います。厚生労働 省としては御指摘いただいた点について、平成16年の時点で「血漿分画製剤の製造体制 のあり方に関する検討会」というものをやっております。この検討会の中で4度ほど、こ の問題について議題として議論をさせていただいたところです。特に、このときは日赤の 製造供給に係るコスト構造等について、業務改善とも絡めて議論されたところですが、残 念ながらこの問題に係る根本的な結論は得られていません。以前から何回も指摘をいただ いている点ですし、検討会で検討していただいたものの、現在に至るまで結論や明確な答 えが出せていないという点については、率直におわび申し上げたいと思います。  この問題の解決を図るために、例えば、現在の輸血用血液製剤、あるいは血漿分画製剤 の価格体系を大きく変動させる必要が生じることがあるかどうか、製造や供給の体制も大 きく見直す必要が生じる可能性も考えられます。短期間に対応させるためには、多分混乱 や困難があることも想定されます。しかしながら御指摘の問題は、血液事業の根本に関わ る非常に重要な問題であると考えております。これは原点に立ち返って議論すべきである という認識の下、本日の議題の中でお示ししたとおり、今後、「血漿分画製剤の供給のあ り方に関する検討会」という形で、検討会の設置を予定しております。この中では製剤の コスト構造等に係る議論も行いたいと考えております。当面はこの枠組みの中で、しっか りとした検討をしたいと考えております。以上です。 ○幕内委員 今の答弁にもあったように、この話はもう何回もやっているわけでしょう。 顔ぶれは代わっていますが、審議官も局長も来られて、「省庁の中の縦割りの枠も越えて 検討してみます」という返事までいただいているわけです。しかし、相変わらず国会答弁 なのです。「検討してみます」ということは、どうも何もしないということらしいです。 もう何年も経っているのに、全然変わってないではないですか。局長は、これをどのよう に答えるのですか。血液製剤業者保護であるという私の考え方に対して、先生はどういう ようにお考えでしょうか。これは業者保護としか言い様がないですよ。今いろいろ問題に なっているように、そういう保護体系が天下り先の確保か何か知らないけれども、そうい うことになっているのではないかと言われても仕方がないわけでしょう。この辺は極めて 不透明です。相変わらず省庁の中でも検討していないし、それに対する回答も出していな いわけです。5.8倍も値段が違うなど、とんでもないことですよ。あなたたちは一体何を やっているのですか。 ○医薬食品局長 今、事務局から答弁をしたように、平成16年3月以来というのは、御 指摘いただいたことは事実で、私もこれにどのように対応できるのか考えております。し かし、これまでも言われておりますように、大変根の深い根本的な問題だと思っておりま す。ですから私も何の知恵が出るか。3-2で検討会についてのお話もさせていただいてお りますが、真剣に考えていきたいと思っております。 ○幕内委員 検討会をいくらやったって省庁の枠組みの中で、もう意見の分かっている人 ばかりを集めているわけです。それでは変わりようがないわけです。反対する人は委員会 に呼ばないのだから、変わるわけがないでしょう。これが公官庁の意思決定機関の根本的 な問題であって、そこから変えていかなくてはならない。今日は御答弁をいただいたけれ ども、結局5.8倍も価格の差があるということに対して、一言も回答がないではないです か。その論理的根拠がないでしょう。局長は、どうお考えですか。なぜ5.8倍も値段が違 うのですか。 ○医薬食品局長 これも先ほどのFFPと原料血漿で、それぞれ経緯があって出てきてい るわけです。これをどのように説明するか。 ○幕内委員 そんなことは説明にならないのですよ。同じ所が作っているわけでしょう。 それをみんな下に卸しているわけでしょう。その値段が業者に卸すときは5.8分の1なの に、患者さんに投与するときは5.8倍では。普通、献血される方は血液製剤業者に自分た ちの血が使われているなどとは思っていないですよ。患者さんに投与されていると思って います。こんなことをしていたら、献血意欲をものすごく削ぐ根本的な問題ですよ。局長、 そういうところの認識は一体どうなっているのですか。 ○医薬食品局長 それは認識させていただいておりますが、では、どうするのかと。 ○幕内委員 同じ値段にすればいいのですよ。 ○医薬食品局長 それは大変な混乱になると思います。 ○幕内委員 混乱など起こりませんよ。値段が上がったところを、国家としてどのように 補填するかという問題です。それをきちんとしてください。それをやるのが厚生労働省の 仕事ではないですか。何をサボっているのですか、あなたたちは。 ○医薬食品局長 差については認識しておりますが、では、それをどうするのかと。 ○幕内委員 認識している、では駄目なのですよ。あなたたちには全然、論理がない。結 局、何もしないということなのです。実際は省庁の中、縦割行政の中で、お互いに話もし ていないんだ。そういうことに対して、2年経てばほかの部署に行ってしまうから、私は 知りませんということをやっているのです。それで局長としての任務が済むと思ったら大 間違いですよ。日赤をはじめ、こういう血液関係はみんなそうなのです。ひどいものだ。 そういうことをメディアの人は書かないのです。私も書かれては困りますよ、外科医とし て、血液が足りなくて仕事がやりにくくなりますから。しかし、これは直すべきです。全 然一つも説明していないではないですか。なぜ患者に売るときと血液製剤を業者に流すと きと値段がこんなに違うのか、一つも理由を言っていないじゃないですか。積算根拠など、 そんなものはどうだってなるわけです。いい加減にしなさい。あなたはすぐに辞めるべき だよ。 ○池田部会長 そのほかに。中村先生は何か御意見はありますか。 ○中村委員 今の幕内委員の指摘と同じです。少なくとも5.8倍の輸血用の血液を供給さ れているというのは、患者にとっては非常に不利なことですね。それを何とか正さなけれ ばならない。ただし、同じ厚生労働省の中にあっても、薬価を決めるのは医薬食品局では ありません。それならば、とにかくこの部会なら部会でアピールをして、何らかのアクシ ョンを起こさない限り、今、幕内委員がおっしゃったように、現状のままずっと行ってし まうことになると思います。何かアクションを起こすことを考えなければならないと思う のです。この検討会は、あくまでも血漿分画製剤の検討会ですので、それとは別に部会の 中に、局を跨るような調査会や検討会を設けるというところを少し検討して、アピールす るようなことを考えないと同じことだと思うのです。6年経っても、幕内委員が御指摘に なった平成16年と全然変わっていないでしょう。ですから何か変えなければ駄目だと思 うのです。 ○池田部会長 ありがとうございました。実は私も平成17年に、血液事業部会の部会長 を拝命しました。平成16年は前任の方だったのですが、その時代から今のような原料血 漿の価格についての議論がありました。私の記憶するところでも、やはりこれは非常に大 事な問題だという認識はあっても、その先から出なかったことについては、確かにおっし ゃるとおりだと思います。これには薬価あるいは血漿分画製剤の価格の積算の仕方の問題 も、非常に大きくあります。中村委員がおっしゃるように、血漿分画製剤の供給のあり方 に関する検討会で、供給の問題の方に余り議論が集中してしまうと、血漿分画製剤のコス ト構造の議論に時間が余り割けないということになりますので、そこのところは先生方の 御意見に、もし異存がなければこの部会で、特にコスト構造に少し集中して議論をするよ うな仕組みをつくっていただけたらよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょう か。  血漿分画製剤に関しては今回の資料にもありますように、アルブミンの国内需給率も非 常に落ちてきています。これはコストの問題にも非常に関わり合ってくることだと思いま す。その国内需給率の低下をどうするか、あるいは患者さんや家族にどのようにインフォ ームするかということも含めて、コスト以外にやらなければいけないことがあることも確 かですが、やはり今、お二人の委員から御指摘がありましたように、コストの問題はかな り根本的な問題ですので、これについて掘り下げて議論を起こしていくということが必要 かと思います。その点についてほかの委員の先生方、何か御意見はありますか。 ○大平委員 この問題については、多分平成16年ごろから血液事業全体の見直しといっ たところで、何回か大幅な見直しについての提案などがありました。最終的な結論は、小 さくまとまってしまったところがあって、とても残念ですが、この価格又は血漿分画製剤 の製造の問題についても、例えばこのまま日赤にお任せしていっていいのかどうかも含め て、いろいろな議論がありました。私たち患者の方からしても、安定供給や安全性の問題 を含めますと、海外からのメーカーとの問題も、また国内メーカーをきちんと育てていく といった観点も、積極的な議論を進めておかないと、将来的に日本の血液事業の構造とい うのが、大変危惧されるものになるのではないかということで、私たちも大変心配してお りました。今回、分画の方はこういった検討会ができますが、もともとは献血又は献血推 進から始まりますが、献血推進、献血また原料血漿の価格の算定といったものも含めて、 一体化した血液事業全体の流れが、本当に透明で合理化させていくという面で、どういっ た問題があるのかということは1回洗出しをしないと、幕内先生の言われるような問題に はなかなか到達しないのではないかと思っております。  今までの歴史の中の経緯というのは、大変深いところがあるのだろうと思いますが、今 の現状を見ますと、かなり綻びが出てきているのではないかと思います。特に分画につい ては、日本の数社のメーカーが鎬を削って、海外のメーカーとの太刀打ちと言うのですか、 そことの争いの中で本当に生き残れるかどうかというのは、私たち患者も血液の専門の先 生方も心配されているというように伺います。ですから、そういった面もこの部会で十分 に議論をしていただき、よろしくお願いしたいと思っております。 ○池田部会長 御承知のように、我が国は献血率や血液製剤、あるいは血液の安全性とい う面から、血液行政については一定の成果を上げている国だとは思いますが、今御指摘の あったいくつかの点については、我が国の血液行政をきちんと見直すという意味で、非常 に大事な時期にきているかと思います。私は座長として、事務局から「供給のあり方に関 する検討会」という提案がありましたので、その提案を受けて議論すべき点を明確にして、 結論をきちんと出していくということをしなければいけない時期にきているのではない かと思います。幕内委員あるいは中村委員からは、遅きに失しているという御指摘をいた だきましたが、ここではその提案をきちんと受けて、何をするかという目的を明確にして 進めていただきたいと思います。いかがでしょうか。それでよろしいでしょうか。もし、 それでよろしいようでしたら、先ほど、需給計画に関しては大きな問題はないだろうとい う御意見をいただきましたので、まず資料3-1に従った、需給計画の議決に移りたいと思 います。これについてはよろしいでしょうか。  ありがとうございました。それでは今後、「平成22年度の血液製剤の安定供給に関す る計画」を告示するに当たり、厚生労働省で、法令的な観点から形式的な修正があった場 合には、私に御一任いただきたいと思います。  今、非常に御熱心に重要な点を御討議いただきましたが、資料3-2の血漿分画製剤の検 討会の設置についても、私が申し上げた意味で設置をするということでお認めいただけた らと思います。場合によっては名前も少し具体的な名前にすることも、事務局と相談をさ せていただきたいと思います。その内容については、今御議論いただいたようなことも含 めて進めさせていただくということでよろしいでしょうか。  ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。血液事業部会という のは、今、年に2回開かれていて、国の法的な立場から、安定供給あるいは需給計画だけ ではなく、採血計画等、決めなければいけない議論がありまして、こういう本質的な議論 がなかなかできないということになっています。今後は血液事業部会でも、本質的な議論 もやれるような仕組みをつくることも必要です。やはりそういう本質的な議論は、調査会 あるいは検討会で十分な時間をかけてやっていただいて、それをこちらに持ってきて、ま た議論をするという仕組みも考えていかなければいけない時期にきているのかと、私自身 は感じております。ありがとうございました。 ○小幡委員 今のはおっしゃるとおりだと思いますが、大きな本質的な議論というところ で、血液法というのは非常に難しい法律で、血液法を実現するためには、単純ではなく、 いろいろなことをやらなければいけないというのが、実はこの論点の中にも含まれている のです。その大きな本質的な議論を、是非ここでしていただきたいと思っております。 ○池田部会長 大変大事な御指摘だと思いますので、よろしくお願いします。  それでは事務局で検討会の設置をお願いしたいと思います。検討会での審議状況はその 都度、この部会で必ず御報告いただくということで進めていただきたいと思いますので、 よろしくお願いします。  それでは議題4「採血基準の見直し」に入ります。これは平成20年度に開催された献 血推進のあり方に関する検討会で提言された、「献血推進のあり方に関する検討会報告 書」というものがあって、それを受けて現行の採血基準を見直すものです。委員の先生方 には昨年の12月の部会において、採血基準の改正案について御議論をいただきました。 その後、パブリックコメントの募集が行われて、意見が提出されております。これらを参 考にして、本日改めて採血基準の改正案について、この場で皆さんの意見を伺って、部会 としての意見をまとめたいと思います。そして答申をいたしますので、よろしくお願いし ます。まずは事務局から報告をいただいて、その後、日本赤十字社から説明をお願いしま す。 ○事務局(難波江補佐) それでは資料4-1について、事務局より御説明いたします。1ペ ージは前回の部会において御審議、御了承いただいた内容となっております。施行日をち ょうど1年後の平成23年4月1日として、本年1月26日から1か月間、パブリックコメ ントに諮りました。頂いた御意見と回答を5ページ以降に記載しております。計14名の 方から御意見を頂いております。御意見は重複するものが多かったので、5ページと6ペ ージに要旨を書き出し、7ページ以降に御意見全文を載せているという形にしておりま す。  まず、御意見の一つ目です。これは更なる改正の検討を要望されているもので、今後海 外の基準も参考にしつつ、引き続き検討してまいるという回答となっております。  二つ目は、健康面への影響が不安であるという御意見です。その理由を枝番として2-1、 2-2、2-3として記載しております。いずれも献血推進のあり方に関する検討会に設けら れたワーキンググループにおいて、専門家により検討された事項で、その内容を記載して おります。特に初回献血者への対応として、説明の充実や献血後のスペースの拡張等を図 っていくことが記載されております。  三つ目が、高校での献血が集団心理として駆り立てられる可能性があるという御指摘で す。ここでは、献血はあくまでも自発的な無償の供血であることを改めて記載して、高校 生に対してもその点をしっかり担保して対応してまいりたいと考えております。  四つ目は、献血は献血体験ではなく、教育によって将来の献血者確保を図るべきとの御 意見です。献血に関する教育を進めるべきであるという点では、御指摘のとおりと考えま すが、一方で意識調査によれば、「高校での献血体験がその後の献血への動機づけになっ た」と回答された方が8割を超えております。また、高校での献血について反対されてい る方が2割以下というデータもあります。ですから高校での献血体験も重要であると考え ているという回答になっております。  五つ目は、本人と保護者へのインフォームドコンセントの話です。本件についてもあり 方検討会において検討されて、こちらに記載しております。「献血は定型的行為であり、 数十年間にわたる極めて多数の経験を通して、今や隠れたリスクはほとんどなく、また、 その性格・危険性の理解にさほど高い能力を要求されるものではない。したがって、未成 年者の献血についても、必ずしも親権者の承諾を必要としないと考える」という結論が得 られております。ただし、これは献血へのリスクについて、情報提供が平時から広く行わ れていることを前提としておりますので、その点はしっかり対応してまいりたいと思いま す。  六つ目は、献血年齢を20歳に引き上げるべきという御意見です。これは先ほどの、高 校献血に対する意識調査の結果などを記載しております。  七つ目は事故発生防止についての御意見です。検討会での結果を踏まえ、初回献血者、 時のリスク管理の徹底を行う旨の記載をしております。資料4-1は以上です。 ○池田部会長 それでは日本赤十字社から「新採血基準移行への準備について」、お願い します。 ○日本赤十字社(菅原) それでは日本赤十字社から、資料4-2について御説明します。こ の件については昨年の12月24日に第2回の血液事業部会において、当初案を御説明させ ていただきました。その際にいろいろ御議論いただき、貴重な御意見等をいただいた内容 を踏まえて、一部を改訂して、改訂版として作成いたしました。したがって、今回はその 該当部分について、資料4-2を基に御説明させていただきます。  1ページの基本的な考え方から4ページまでは、前回と同じ内容です。献血事前説明、 会場入口での情報提供等については変わっておりません。  5ページを御覧ください。受付時における「初回献血者向け映像等の作製」という項目 です。ここは初回献血者に対していろいろな情報提供をして、注意喚起をするということ です。その一つとして、献血ルーム等の固定施設においては、当初イメージ図にあります とおり、問診タッチパネルによって新規画面を作製して、注意事項を確認していただくと いうことで考えておりました。  6ページを御覧ください。御意見を頂戴した内容を踏まえて、さらに分かりやすく、不 安を払拭できるような形として、問診タッチパネルの選択を「理解できた」のか、職員に よる「説明を希望」されるのかという形にしました。「説明を希望」という場合は、不明 な点や不安に感じている部分について担当職員、必要に応じて検診医師から説明、あるい は柔軟な対応を図っていきたいということです。そういうことにより、初回献血者の不安 を少しでも和らげるような対応をしていきたいというイメージを改修しております。併せ て、初回献血者用のリーフレットを作製したいと考えており、事前配布することも考えて おります。このリーフレットについては、不安が残る等の理由により献血しなかった方々 も対象として配布し、お持ち帰りいただくことも考えております。そこが改正した点の1 点です。  7ページと8ページのアは、前回と変わっておりません。  8ページのイを御覧ください。「血小板採血基準の見直しについて」は、血小板の上限 年齢を男性に限り69歳までに引き上げることについて、生活習慣病あるいは動脈硬化を 基盤とした疾患に考慮する必要性の御意見を、前回頂いたところです。ここでは、現在実 施している「献血者の安全と健康状態の判断に関する項目」として御説明させていただき ます。なお、各項目の右側には、これらの検査項目、あるいは質問項目から考えられる生 活習慣病を明記しております。参考にしていただければと思います。  (1)の血圧、脈拍測定については、すべての献血を実施する際に毎回実施しているとい う状況です。(2)の心電図の検査については、40歳以上になって最初の成分献血で実施 をしております。また、40歳以上の成分献血者については、年1回の検査を実施してい るところです。9ページを御覧ください。体外循環あるいは長時間採血針を留置すること による影響を確認するという観点から、(3)から(6)のグリコアルブミン、(8)の出血凝 固に関する症状の有無の確認という質問事項について、毎回確認をしております。なお、 (7)の総コレステロールについては、記載されているとおり、過去3回分の検査結果を参 考にしているという状況です。  10〜11ページの「採血後十分に休憩できる環境整備」についても、特に前回から内容 は変更しておりません。  最後に12ページを御覧ください。「問診票改訂・採血基準の見直し」を同時に対応す る血液事業統一システムの改修です。中段の赤の太枠でお示ししておりますが、このシス テムの改修に係る開発期間、具体的に申しますと、システムの設計、改修プログラムの製 造、そのプログラムの個別のテスト、結合テスト等を踏まえて、日本赤十字社がプログラ ムを受け入れた上で、そのチェックをする評価機関の作業日程に加え、特に初回献血者の 安全性の確保対策、そのための様々な環境整備、あるいは関連する職員の教育等も含めた 準備として、約1年間の期間が必要になるということで、改めて説明させていただきます。 以上で、新採血基準移行への準備の改訂した部分についての説明とさせていただきます。 ○池田部会長 採血基準の見直しについて、事務局と日本赤十字社から移行への準備状況 の御説明をいただきました。委員の先生方から何か御意見・御質問はありますか。 ○中村委員 事務局でも日赤でもどちらでも結構ですが、事務局の方が答えやすいでしょ うか。パブリックコメントを寄せられて、何件かあるうち、養護教員の方が多いですね。 新採血基準の年齢を下げることについて、かなり慎重にすべきだという声が強いのです が、私個人的には新採血基準は了解します。実際問題、献血者は高校3年生が対象になる と思うのです。例えば高校に集団献血に行った場合、どのように安全性を確かめているの か、参考のためにお伺いできますか。要するに、高校の養護教員の方に反対というか、慎 重論の方が多いですよね。養護教員と緊密に連絡を取れば、懸念されている高校生がかな りオミットされると思うのです。実際問題、どういう形で健康の状況を把握されているの か、具体例が1、2、日赤の方にありましたら教えていただければと思います。 ○池田部会長 日本赤十字社からお答えはありますか。 ○日本赤十字社(田所) おっしゃっている意味は、養護教員の方とどう連携しているかと いう御質問でしょうか。それとも一般的な。 ○中村委員 一つは、養護教員とどういうように連携を取っているかということです。も う一つは、例えば日赤が採血のために高校に行きますね。そのときにどういう健康診断を されているのかということです。従来どおりの献血の検査で、40歳以上は心電図をとる のですが、それ以外のことは全部確認していますということでも結構です。 ○日本赤十字社(田所) そういう意味では今、標準的にやられていることをやっていると いうのが一つです。配慮としては、倒れやすいということで、通常よりは少し目を配るよ うにしています。例えば椅子なども採血場所の近くに置いて、すぐに座れるような配慮は しております。 ○中村委員 これまでに重篤な健康被害というか、健康に大きな齟齬を来したケースは、 採血の場合にはないという理解でよろしいですね。新しい採血基準は4月からスタートし ますが、現在は18歳以上の高校3年生の一部がかかります。そういう年齢の方を対象に されるのですが、現在までに重篤なこと、例えば採血後に倒れてしまったような、安全性 に危惧を抱かせるようなケースはないと理解してよろしいですか。少なかったという理解 でよろしいですか。 ○日本赤十字社(田所) 予備として17歳男性にお願いをした段階で、VVR等の発生率 がその方々で有意に高いということはなかったというのが第1点です。あと、ここの文章 にも入っていましたが、若ければVVRが高いかというと、必ずしもそうではないという 結果も出ております。ですから18歳から17歳になったことで明らかにリスクが高まると いう結果はなく、それでやれるだろうということを結論付けました。 ○池田部会長 よろしいですか。そのほかにどうぞ。 ○吉澤委員 4-2に「200mL献血の今後の」云々というのがあります。現実に200mL献血 は受け入れているのでしょうか。200mLの献血を受け入れるとコストがかかり過ぎて、日 赤の負担が多すぎるからお引取り願っているということを、複数の所から聞いておりま す。  もう一つは、生活習慣病の検査とサービスのことが書いてありますね。これは以前から の問題ですが、感染症について陽性の人には、きちんとわかるように報告しているのでし ょうか。肝炎ウィルスのキャリアか否かということについては、報告を受けた人への対処 の仕方がありました。このごろはB型肝炎に関してはHBC抗体について、「あなたは今 後の献血を御辞退ください」というのがあります。その通知を受けた献血者は混乱を来た して、よく分からない状態で医療機関に来るようなことが結構多いのです。  もう一つ大事なことは、かなり前から提案していることです。HIVについては相も変 わらず公式には告知しないということを、まだ堅持するのでしょうか。このことは、もう そろそろ解除する時期にきているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○池田部会長 その3点ですね。一つは200mL献血のこと。 ○日本赤十字社(田所) 200mL献血については、その前の段階ですが、病院から400mL、 200mLの要請というのは、400mLが90%ぐらいです。従来、我々は要望がありながら、400mL は65%ぐらいしか供給できませんでした。それをこの数年間、需要に応えるということ で400mLの比率を上げてきて、今89%ぐらいまできています。そういう意味では200mL の比率自身が非常に減ってきていますので、ほぼ需要に見合う形になってきているだろう と思います。確かに200mLは要望が少ないがゆえに、期限切れを起こしやすいということ はありますが、200mLだからといって捨てているということはありません。ちなみに今、 日赤内で期限切れの赤血球は2%弱だと思います。多分東京のような大都市では、1%を はるかに切るぐらいになっておりますので、捨てているということはないだろうと。 ○吉澤委員 質問の趣旨が違っています。「200mL献血をしたい」と言ってきた人につい て、献血をしないで帰っていただくことがたくさんあるということです。これについては 何年も前から、複数回ここで申し上げているのです。高校生の体験献血の場合、200mLか ら始める人が多いというときに、どうしても日赤の現場に費用的な負担が多すぎると。も し、若い人の献血を本当に推進するのであれば、パンフレットを配ったり授業をしたりと いうのではなく、早めに献血を体験した方がいいのではないか。費用の不足部分を国が出 してでも、200mLの体験献血をさせた方がいいのではないかという提案をしたことがある ので、そのことについての質問です。廃棄している、していないということを聞いている のではありません。 ○日本赤十字社(田所) ある意味、廃棄してでも、200mLの人には経験してもらった方が いいのではないかということですか。 ○吉澤委員 若いうちに、献血の体験をしていただくということです。その使い道につい ては、廃棄するしないということではなく、どう使うかはまた別の問題ということになり ます。具体的には分画製剤の原料にすることだって何だってあると思います。それは後の 議論です。200mLの献血を申し出てきた人について、「あなたに献血していただくと赤字 になるから」ということで帰っていただくことが多いと伺っているのです。このことは日 赤に全部背負わせるという意味ではなく、これは国にも聞いていることなのです。費用の 不足分を補填をする気があるかどうかというのは、前にも聞いたことがあるのですが。 ○日本赤十字社(田所) 多分献血をするということは、有効に使われるということを前提 にして言われていることだと思いますので、とにかく献血してみてくださいというのが、 本当に通じるかどうかということもあります。少なくとも今まで我々は医療機関の要望に 応える形での採血をしようということで進めてきましたが、今おっしゃるように、若い人 をやるために、献血を経験することがどれだけ重要かということについては、確かに今後 考える上で重要な課題ではありますので、引き続き精力的に検討したいと思います。 ○池田部会長 もし、よろしかったら吉澤委員がおっしゃったように、200mLの献血を希 望してきた人に帰っていただくことがあるのかどうかだけ、少し全国のセンターに当たっ ていただいて。実際にそういう言葉を聞いたというお話だったわけですね。まさかそうい うことはないだろうという御心配だったというように理解しました。 ○吉澤委員 検診をしている医師が、同行した血液センターの事務の方から帰すように強 制されたということです。ですから聞いたのではなく、これは現実なのです。 ○池田部会長 では、実際にそういうことがあるかどうかを少し赤十字社の方で確認して ください。 ○事務局(難波江補佐) 体験献血として200mLをやっていただくことに、国が補填をする かどうかといういう検討はありません。実際にワーキンググループにおいて17歳に拡大 するときに、最初に200mL献血をした後に400mL献血をするのと、最初から400mLをして、 次に400mLをしたときの2回目のVBRの発生率の違いを検証していただいたところ、最 初に200mLにした方が、2回目に副作用が減るかといったらそうではなく、逆に高まった というデータもあります。広げるから最初に200mLをやるのを進めるべきというエビデン スは得られていない状況にあります。 ○幕内委員 今のはスタディーデザインが非常に不正確です。要するに、400mLと400mL を一定の期間に採った場合と、200mLと400mLを一定の同じ期間で採った場合とで、比較 して有意差があるかないかという問題でしょう。そう答えなくては駄目なわけです。あな たのは答えになっていない。 ○池田部会長 吉澤委員の指摘は、そういう事実があるというお話でしたので、是非、日 本赤十字社でそういうことが本当にあるのかどうかも含めて、少し調べていただきたいと 思います。よろしくお願いします。あと、HIVのインフォームと肝炎の件の二つの質問 について、簡単に答えていただけますか。 ○日本赤十字社(田所) HIVの通知については、ここでも何度か議論になっていること だとは思いますが、実際にHIVに感染しているかどうか検査してほしいと希望をしてい る人がいたときに、その方がきちんと検査できる体制ができてくるならば、献血の場に来 ることはほとんどなくなるだろうと思われますので、そこの体制の成熟度というのも十分 考えた上で、通知の是非を考えるべきだろうと思います。ただ、献血に来るリスクと通知 をすることの透明性の確保のどちらを。 ○池田部会長 今、吉澤委員は、通知はしていないのかということをただお尋ねになった だけなのです。変えてはいないわけですよね。 ○日本赤十字社(田所) 変えてはおりません。 ○池田部会長 その辺はしていないということでよろしいですか。 ○日本赤十字社(田所) 事業としては、通知はしておりません。 ○池田部会長 ですから今後、また議論を継続してやっていくということになると思いま す。 ○日本赤十字社(田所) 言葉を強調しますが、事業としてはしておりません。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。採血基準の見直しと準備状況も伺いましたので、こ の議題について、皆様の御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。特にありませ んか。  それでは、この件に関しても、委員の先生方に御了解をいただいたということにさせて いただきます。もし、この件についても形式的な修正があった場合には、私に一任させて いただきたいと思います。ありがとうございました。  審議事項は4題終わりました。これから議題5の「その他の報告事項」に入ります。資 料5-1から順次、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局(難波江補佐) 資料5ですが、3月2日に開催された運営委員会の審議結果の報 告です。資料5-1は、定期的に行われている血液製剤感染報告の資料を束ねたものですの で、御覧いただければと思います。  資料5-2は前回の部会でも御報告した、昨年5月の新型インフルエンザの国内発生を受 けて、予防的措置として献血後7日以内に新型インフルエンザの感染が確認された、又は 疑われた方から採血した血液は用いないという通知を発出しております。次のページです が、その後、日赤において使用されなかった血液579人分を検査したところ、いずれから もウイルス遺伝子は検出されなかったという結果が得られております。今回のH1N1新 型インフルエンザについては、発症前にウイルス血症を起こす可能性は極めて低いとの見 解が運営委員会で得られましたので、この通知は廃止させていただきました。  資料5-3も前回の部会で御報告した、英国渡航歴に関する献血制限の緩和についてで す。1980年〜1996年まで、1日でも英国に滞在された方の献血を制限しておりましたが、 本年1月27日より、これを1か月以上に緩和しました。その後、1月27日〜2月21日 までの26日間、九州・沖縄では19日間に御来場いただいた英国滞在歴を有する方の人数 を、日赤より報告いただきました。計3,759名、年換算にすると約51,000人の献血の受 付があったという報告です。  資料5-4は分画製剤メーカー等が行っている、NAT検査の精度を確認するために実施 しているNATコントロールサーベイの結果です。今年度はHBVの異なる四つの genotypeについて検出できているかどうか、陽性検体と陰性検体を送付して調べました。 その結果、すべての施設において異なるgenotype、陰性検体をきちんと検出できている という結果が報告されております。  資料5-5は、血小板製剤への病原体低減化・不活化技術の導入についてです。本件は 12月の運営委員会にて、リボフラビン法における臨床試験の準備を進めることが妥当と の見解が示されましたが、併せて、血小板の劣化等の問題があることから、海外での臨床 試験、市販後調査について情報を集収し、精査した上で行うよう指示が出されておりまし た。そのほかに非臨床試験について、いくつかの宿題が出されております。さらに、前回 の本部会において、データの示し方等について、いろいろと御意見を頂いたところです。  資料5-5について、若干御説明いたします。1〜5ページまでは、今回1月〜2月にか けて行った海外調査の結果です。海外情報については、これまで日赤が赤十字ルートを通 じて、またメーカー報告や公表資料などを集めて報告されていました。今回はそれに加え て、国としても大使館を通じて、国対国のやり取りで情報を集収いたしました。まず1ペ ージは英国からの情報です。英国では今年1月27日に諮問委員会が開催され、本件が審 議されました。その結果、英文を下に付けておりますが、日本語の下から3行目にありま すように、諮問委員会として「この技術は現時点では使用されるべきではないと結論づけ られた」ということが報告されております。  2ページがドイツです。ドイツは現在、「技術の許可はあるが、現時点では使用されて いない。許可を持つ血液センターは製造を許されている。しかしながら、高いコストが販 売の障害となっている。現在、疫学的観点から不活化製剤を用いる差し迫った理由はない」 という回答をいただいております。これには方法が二つあります。アモトサレン法につい ては2008年に市販後調査500バッグを、6州中2州で使用されたという報告をいただい ております。リボフラビン法では使用されていません。  フランスについては前回、日赤より情報提供を頂いたものと同等です。本土ではアルザ ス県で試験的に、アモトサレン法について年間国内使用量の7.6%に相当する量が使用さ れています。リボフラビン法については2005年〜2007年にかけて臨床試験を実施して、 273例に使用したということです。  オランダについても前回の部会で審議が行われましたが、臨床試験が行われたもので す。この臨床試験の目的は、不活化技術を使用すべきかどうかでした。しかし得られた結 果では、使用するための十分な理由が見つからなかったということです。前回のアブスト ラクトが投稿されていたということですが、オランダからは、結果については現在論文に まとめて学術誌に投稿中という情報が得られております。リボフラビン法については、 2010年に臨床試験を開始予定ということです。  ベルギーについては前回、日赤より報告いただいた内容と同じです。昨年、王室令とし て、すべての血小板製剤に、不活化技術を導入するというレターが出されたものです。ア モトサレン法については47%の血小板に使われており、リボフラビン法は導入しておら ず、現在、臨床試験の結果を待っているという情報でした。  イタリアについてはコスト、費用対効果を分析中ということで、アモトサレン法ではい くつかの血液センターでルーチンに使われ、2009年は6,000例で使われたということで す。リボフラビン法はまだデータが得られていないということです。  スペインは現在、点検と評価の下に置かれており、アモトサレン法は19%で使われて おります。  ポーランドは、リボフラビン法が一つの血液センターで導入済みで、1,200バッグに使 用されております。アモトサレン法は現在、三つの血液センターでバリデーション中です。  スイスについては、詳細に言えばまだ利用できていません。ただ、将来的には血小板製 剤に対する細菌感染を減らす方法(例えば低減化技術)を導入されることが期待されてい るということです。  カナダ、オーストラリアは導入していないということでした。前半部分について、事務 局からは以上です。 ○日本赤十字社(五十嵐) 資料の7ページですが、前回の運営委員会及び事業部会に提出 した資料の修正についてお話いたします。まず7ページで、青色の部分ですが、これまで の検討の経緯を追加しております。9ページの「低減化薬剤(光増感剤)の安全性について」 では、リボフラビン法については「およびリボフラビン法により生じる光分解物」という 記述を追加いたしました。リボフラビン及びその分解物の毒性について、詳しくは26ペ ージの「別紙1」に記載しましたが、指摘のあった分解物はアルカリ性溶液で光分解され てできる物質で、リボフラビン法の条件では生成しません。  それから9ページの下から2行目に、「別紙2参照」を追加しました。別紙2自体は 27ページです。アモトサレン法については10単位製剤に対応できていないということで、 評価開始当初より、メーカーにその対応をお願いしておりましたが、提案された内容では、 血小板の有効利用は図れないということで、その条件を受け入れることはできないという ことでした。データの追加については、13ページ以降にあります。表全体を青く表示し ている、例えば表1、表2などが、これまでに報告したデータを再掲したものです。その 中で、19ページの表10については転記ミスがありましたので、修正いたしました。21ペ ージと22ページの表12は、血液対策課で入手していただいた情報と、今回、日赤で入手 した情報により、当該箇所を修正しております。さらに、御指摘のあったCEマーキング については取得年とともに、そのClassとその定義を記載しました。CEマーキングにつ いては日本の医療機器の分類と同様に、ClassI〜IIIまでの4段階がありまして、Class IIIというのが、最も危険度の高いClassとして分類されております。  各国の状況です。厚生労働省と大分重なっている所がありますが、ドイツのリボフラビ ン法については、先般のISBT名古屋におけるランチョンセミナーで、今後、臨床試験 を実施するというお話がありました。イタリア、スペイン、ポルトガル、ポーランドでは、 リボフラビン法の市販後調査が実施されているという報告があります。  最後に、25ページの表15については、表の下に示した理由により、一部数値等を変更 いたしました。以上です。 ○事務局(難波江補佐) 34ページと35ページに、3月2日に開催された運営委員会での 審議結果概要を、暫定版として付けております。冒頭に委員長よりイントロダクションが あり、以下のような意見が委員より提出されております。  「部会において、評価するためのデータが十分示されていないとの指摘が出された。今 回の資料は丁寧に調べられており、整理ができた。」、「前回の運営委員会では、安全性 の観点、日本の血液事業へドラスティックな変化を及ぼさないという観点から、リボフラ ビン法を第一選択とすることが支持されたが、リボフラビン法を用いた時の血小板の活性 化等の影響について慎重に検討して頂きたい。」、「他の不活化法との比較も有用である ので、海外での臨床試験の結果等を含め、しっかりと調べて頂きたい。」、「他国が行っ ているように、費用対効果を評価すべきではないか。」、「薬価にはねかえるのは大きな 問題。」、「一部の国で地域限定で使われているが、100%使われている国はない。」、 「臨床での有効性、安全性を評価するのに十分なデータが揃っていない印象。」、「出血 事例などネガティブな報告があり、それをひっくり返すだけのデータは得られていな い。」、「イギリスは技術を評価することを得意とする国。その国が導入すべきではない との結論を出したことは、重く見るべき。」、「各国とも導入には慎重ではあるが、臨床 試験など評価は実施している。日本も評価は進めるべき。」これらの御意見をいただき、 35ページに以下のようにまとめられております。「今回の海外調査により、イギリスで 現時点では本技術を導入しない決定がなされたこと、ドイツでは本技術は現在使用されて いないこと、オランダでのアモトサレン法の臨床試験結果の論文が現在投稿中であるこ と、スペイン、イタリア、ポーランド等でのリボフラビン法の使用状況等が新たに報告さ れた。」、「今後、臨床試験の実施に向け、残されたin vitroでの課題への対応と、海 外での臨床試験や市販後調査の情報収集を行っていただきたい。」、「特に、リボフラビ ン法の海外情報については、フランスでの臨床試験の結果、イタリア等での市販後調査の 結果に加え、臨床試験がドイツ、オランダ、スイスで開始される予定とのことであるので、 これらの情報をしっかり集めていただきたい。その他、リボフラビン法だけに限らず、新 たな技術も含め、幅広に情報を集めていただきたい。」、「今後、新しい知見等が得られ た場合は、改めて御報告いただきたい。」、「本日示された内容で、改めて血液事業部会 に報告いただきたい。」、ということです。 ○池田部会長 この報告事項について、何か御意見はありますか。 ○山口(一)委員 資料5-1の問題にコメントしたいと思います。供血者からの遡及調査と いうのは、多分5、6年になるかと思います。非常に必要な検査だと思いますが、相当な 負担を臨床現場にしているので、その検証をそろそろする必要がある時期にきているので はないかと思います。というのは、すべての輸血前後の医療機関での遡及調査の実施率が 非常に低いということ。もう一つは、血液製剤でのすり抜け、あるいは実際の感染事例が 極めて少ないということは、これまでのエビデンスでも多分出ていると思うのです。そう は言いながらも、遡及調査というのは必要ですので、私の個人的な意見を言えば、例えば 検体保管をきちんとするという方を選択するというやり方もあるのではないかと思いま すので、その辺の全体的な検討が、そろそろ必要ではないかと思います。 ○池田部会長 それでは事務局からもう一つ、資料5-6についての説明をお願いします。 ○血液対策企画官 資料5-6「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」 です。この調査については、平成19年11月7日付けの追加調査をフォローアップして、 2週間に一度、こういう形で厚生労働省のホームページに公表しております。平成22年 1月1日までの医療機関の回答の取りまとめの結果を、平成22年1月15日に公表してお りますが、その後は数字が変わっておりませんので、この数字が一番直近の数字となって おります。「C型肝炎訴訟の和解について」ですが、これは、高松地方裁判所において和 解が成立したことをお知らせする文章です。  「血液凝固因子製剤の納入先医療機関の調査について」は、平成22年1月12日までに 回収した回答が、最も直近の数字となっております。1月15日に公表して以降、数字が 変わっておりませんので、その旨、厚生労働省のホームページに公表させていただいてい ることを御報告いたします。 ○佐川委員 審議事項に戻ってよろしいでしょうか。今日の議題で認められた、あり方に 関する検討会の話は非常に結構なことだと思います。根本的なところにわたってまで、議 論を進めることは大事なことだと思います。そういうことを踏まえて、私自身の興味でも あるのですが、今回は血漿製剤あるいは分画製剤に限定した検討会ではありますが、全体 のバランスを考えますと、血液全体の価格と薬価は、グローバルスタンダードではどうい うようになっているかというのを、是非調べていただきたいと思います。  というのは、今回、厚生労働省は国の在外機関を通じて、低減化に対する非常に詳細な データを集めてくださいました。これは非常に有効なデータでした。しかも、情報収集能 力が非常に精緻なものであることも理解できました。ですから、このルートを通じて各国 の主要な国での血液製剤の価格について、赤血球や血漿、アルブミン、血小板なども踏ま えた上で、この検討会での議論を深めていくことをしないと、バランスを欠くように思い ましたので、それは是非、資料として検討会に出していただきたいというのが私のお願い です。 ○池田部会長 検討会あるいは調査会をこの部会の下に持つということが、今回の部会で 皆様の御了解を得られたわけです。そこで、どういうことをきちんと議論するのかという ことについても、この部会は形としては、そういうところで議論された結果が上がってく るのですが、そうではなくて委員の先生方から、こういうことをきちんと議論してほしい という注文も出していただいた方が、調査会あるいは検討会とこの部会とのインタラクシ ョンがあってよろしいのではないかと思います。冒頭にも申し上げたように、基本的な血 液事業のあり方の重要な問題を、限られた時間でこれだけの人数で掘り下げて議論をする ことは、なかなかできません。しかし本当に重要なものが積残しになっているということ もありますので、そのあり方も含めて、今後、是非進めていただけたらと思っております。 ○幕内委員 血小板製剤の低減化の技術については、まだまだ検討して、きちんと細かい ところを出してやらないといけないと思います。一番重要な市販後調査の結果が出ていな いですよ。私は前回示すように言ったのですが、結果を出していないではないですか。そ れから、英国では出血傾向が出たと言うのですが、ほかの市販後調査では、そういう結果 は出ているのですか。方法論が間違ったか、途中でミスがあったということしか考えよう がないですね。スタディーそのものが間違っていたかもしれない。そういうところの評価 をしなければ。いかにもイギリスが一番最初に出ていて、何だかよく分からないけれども、 次のページのドイツなどを見ると×になっているのですが、市販後調査ができているわけ でしょう。市販後調査というのは、導入して患者さんにきちんと投与しているわけです。 市販後調査ということは、市販しているわけですよ。この辺も何かいい加減でしょう。な ぜこれが×なのですか。これは単純な疑問ですよ。こんなものは○にしなくてはおかしい でしょう。ですから表自体が間違っているのです。作為的に、自分たちの議論はリボフラ ビン法がいいということを言っているみたいですね。そういう恣意的な表を作ってもらっ ては。これはどちらが作ったのですか。厚生労働省が作ったの、日赤が作ったの。 ○事務局(難波江補佐) 厚生労働省が作りました。これは導入の有無ということで。 ○幕内委員 そうですか。これはお粗末ですね。 ○事務局(難波江補佐) ドイツからは、現時点では使用されていないという回答が返って きましたので×と。 ○幕内委員 では、どうして市販後調査が出るの。そんなもの、市販後調査など出るわけ がないじゃないか。馬鹿なことを言っては困るよ。 ○事務局(難波江補佐) 2008年に実施したということです。 ○幕内委員 市販後というのは、一般の市場で売ったということですよ。では、これはス タディーをフェーズいくつまでやったわけ。 ○事務局(難波江補佐) フェーズ4です。 ○幕内委員 いずれにしてもフェーズ4ならば、当然、もう薬は出ているわけでしょう。 フェーズ4は市販後調査ですよ。それは売られているということですよ。それでなぜ導入 の有無の所に×が付いているのかよく分からない。そういう矛盾がたくさんあって、しか も週刊誌のような書き方をして、英国では血小板を入れたら出血のリスクが高まることが 証明されたという。ほかは市販後調査でそういうことはあるのですか。そういうことが書 いてあるかどうかということを、調べて出してくれと言っているわけです。 ○事務局(難波江補佐) 英国の諮問委員会の結果については、お手元の文献の221ページ にあります。これは英国政府より頂いたものです。3番目の「Pathogen inactivation of platelets」ということで、出血のリスクが高まるというところは、原文で申しますと中 程辺りです。「Results from a clinical trial,recently published in abstract form, have suggested that patients receiving pathogen-inactivated platelets are at increased risk of bleeding」を翻訳させていただいたものです。 ○幕内委員 今のを聞くと、患者さんに出血傾向が出てくるかどうかというのは、マルチ ファクトリアルなわけですよ。投与量が少なければ、当然そうなるわけでしょう。そうい うことが評価できなければ、論文を読んでも分からないわけです。市販後調査というのが いくつも行われているにもかかわらず、英国でこういうことがあったということだけを取 り上げて、これが不適切だという議論にするのはおかしい。そのようなものはスタディー デザインが違っているかもしれないでしょう。そこまできちんとよく検討しなくては分か らないわけです。ほかの国もたくさんやっているのだから、そういう市販後調査を出して くれと要求しているにもかかわらず、あなたたちは出してきていないではないですか。で すから、それをきちんと表にまとめて出してほしいのですよ。  先生方は皆さん仕事があって、日常は普通の仕事をされているわけでしょう。論文を朝 から晩まで読んでいるわけではないのですよ。ですから、その表をきちんと出して、ここ にはこう書いてある、ここにはこう書いてある、何例で出血傾向が出たのかと。出血傾向 など、血小板を入れたら止まるはずです。そのためにやるわけでしょう。入れ方が足りな ければ出血傾向は止まらないというだけで、その辺の基準とか投与とか、そういうスタデ ィーのデザインがきちんとしなければ分からないわけです。血液の病気とか、そういうこ とでいろいろ出血傾向の出る人はたくさんいるわけです。それに、これをやったからそう だと結論付けるのはなかなか難しいわけです。いずれにしても、しっかりした表を、もう 少し充実したものを作ってください。右の○×の欄と左の説明との整合性が立たないよう なことを書かれては困ります。 ○事務局(難波江補佐) 申し訳ございません。今回の海外情報の資料についてはアップデ ートをして付けさせていただいて、日赤にもアップデートをいただいたつもりです。例え ばリボフラビン法のデータについても、アブストラクトでは別添の17に付いております し、論文もいくつか出ております。その点については抜き出して、今後また御審議いただ くときに分かるようにお示ししたいと思います。 ○幕内委員 そうしてください。「出血傾向が出た」なんて、週刊誌的な書き方なのです よ。もともと出血傾向があるから血小板を入れるのではないですか。馬鹿なことを言って は困るんだよ。イギリスの結果だけを最初に持ってくるという配置の仕方もおかしいし、 これでは訳が分からないでしょう。そういうペーパーが一つあったということで、全部が 語られるわけではないし、ほかの市販後調査の結果をもう少し分かりやすい表にして、き ちんと提示すべきです。 ○池田部会長 ありがとうございました。こういう評価というのは論文の詳細を見て、そ のスタディーデザインがどうかという評価も含めた形で、評価を進めていかなければいけ ないというのはおっしゃるとおりだと思います。一般的にも確かにそうだと思います。ア ブストラクトでその結論だけを出すことについては、結構いろいろなリスクがあるという ことは、我々も日常経験しているところです。 これについては運営委員会あるいは安全 技術調査会で、これまでも非常に熱心に討論をいただいていますので、そういう見方も含 めて、ここで委員の先生方にこの厚い資料にすぐ目を通していただいて議論をするという ことは、なかなかできないわけです。これまでも運営委員会あるいは安全技術調査会で御 議論いただきましたし、日本赤十字社でも議論をしていただいていると思います。論文に 書いてあるアブストラクトだけではなくて、その方法論も含めた形でのエバリュエーショ ンを含めて、もう一度議論をしていただけたらありがたいと思いますし、これについては これからも引き続き御議論をいただいて、この部会で御報告いただけたらと思います。よ ろしくお願いしたいと思います。  私の不手際で時間が過ぎてしまいましたが、これで一応、今回の部会を閉じたいと思い ます。次回の日程は、後日、事務局から連絡をいただくということで、よろしくお願いし たいと思います。 ○血液対策企画官 次回の日程は事務局から連絡させていただきます。なお、池田部会長 より、今回の部会を最後に血液事業部会長及び分科会委員を退任されるとの御意向を伺っ ております。池田部会長には平成16年7月から約6年の長きにわたり、部会長を務めて いただきました。この場を借りて事務局より、厚く御礼申し上げます。本当にありがとう ございました。 ○池田部会長 本日は非常に重要な御発言・御議論をいただきました。こういう時期に部 会長退任というのは、大変申し訳ないのですが、一身上の都合がございまして、この部会 を退任させていただきたいと思っております。冒頭にも申し上げましたように、私は平成 17年だと思いますが、この部会を引き受けさせていただいて、先生方の非常に真摯な御 議論を拝聴して、我が国の血液事業が少しでもいい方向に向かうように努力してきたつも りですが、なかなか力不足で、先生方に御満足いただけるような部会が運営できたかどう か、自信がないのです。  今後は、基本的な問題が討論できるような形というのを、是非、模索していただきたい と思っております。部会の下に調査会と検討会という、それぞれの先生方が熱心に討論す る会がございます。その会と部会の先生方のインターラクションをもう少し活発にして、 この部会で本質的な議論ができるようにと思います。今日は非常に建設的な、本質的な御 議論をいただきましたので、そういう御議論ができるようになればいいと、私自身、6年 弱の部会長の経験で思いました。今後とも先生方の御健闘をお祈りしたいと思います。先 生方には長い間、本当に御協力ありがとうございました。 ○血液対策企画官 本日はこれで終わります。ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 血液対策課 課長補佐 難波江(内線2905)