10/03/05 平成22年3月5日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 ○薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 添加物部会 議事次第    【日時】 平成22年3月5日(金) 14:00〜16:00  【場所】 航空会館2階 201会議室  【出席委員】(五十音順)     井部委員、河村委員、北田委員、佐藤委員、堀江委員     山内委員、山川委員、山添委員、若林委員   【事務局】俵木基準審査課長、工藤補佐、磯崎補佐、後藤専門官 ○事務局 それでは、定刻より若干早いですが、先生方がおそろいでございますので 「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会」を開催させていただきます。  本日は御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。どうぞよろしく お願いいたします。  本日は井手委員、鎌田委員、西川委員、山崎委員、由田委員の5名から御欠席との連 絡を事前にいただいております。現在、添加物部会委員14名中9名の委員の先生方に御 出席いただいておりますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  それでは、議事の進行を若林部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいた します。 ○若林部会長 皆さんこんにちは。よろしくお願いいたします。  それでは、事務局から配付資料の確認をお願いできますか。 ○事務局 本日、先生方のお手元にお配りしております資料は、議事次第、委員名簿、 資料一覧をまとめたもの。  議題に関する資料といたしまして、資料1としてフェネチルアミンの新規指定の可否 に関する諮問書、部会報告書(案)、食品安全委員会の食品健康影響評価に関する審議 結果(案)を1冊にまとめたもの。資料2として、ブチルアミンの新規指定の可否に関 する諮問書、部会報告書(案)、食品安全委員会の食品健康影響評価に関する審議結果。 資料3として、過酸化水素処理による釜揚げシラスについてということで、事務局作成 の概要ペーパーが資料3−1、2枚めくっていただきまして、資料3−2が事業者から 提出されました資料になっております。  そのほかに報告資料として3点ございまして、1点目が報告資料1で「食品衛生分科 会における確認事項」。2点目が報告資料2で「消除予定添加物名簿(案)について」、 3点目が報告資料3で「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価の結果につ いて」でございます。  本日お手元にお配りしております資料は以上でございます。不足や落丁等ございまし たら、お気づきの際に事務局までお申し出いただきますようお願いいたします。 ○若林部会長 資料の過不足等はございませんか。大丈夫ですね。  それでは、審議に入る前に3月3日に開催されました食品衛生分科会で食品衛生分科 会における確認事項の一部が改正されまして、それが了承されましたので報告させてい ただきたいと思います。  改正の詳細につきましては、事務局より説明願えればと思いますけれども、いかがで すか。よろしくお願いします。 ○事務局 それでは、本日配付させていただいております報告資料1に沿いまして、御 説明させていただきます。先生方のお手元には確認事項の後ろに「食品衛生分科会規程」 も一緒にホチキスとめでお配りさせていただいていると思います。下から2枚が分科会 規程となっておりますので、そちらも併せてごらんいただければと思います。  一番最後のページの初めに食品衛生分科会規程の第8条をお示ししてございます。そ の内容は「部会における決定事項のうち、比較的軽易なものとして分科会があらかじめ 定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもっ て分科会の議決とする」という旨が規程されております。  しかしながら、これまで食品衛生分科会におきましては「比較的軽易なものとして分 科会があらかじめ定める事項」というのが明確に定められてきておりませんでした。そ れにつきまして、先般3月3日に開催されました食品衛生分科会におきまして、比較的 軽易なものとして分科会があらかじめ定める事項とはどういうものかということを御確 認いただき、今回お配りした報告資料1の別添の表のような形で分科会があらかじめ定 める事項というものが了解されたところでございます。  本添加物部会につきましては、別添の表の3つ目に示してございますので、そちらを ご覧いただければと思います。  まず、部会における決定事項のうち比較的軽易なものというのをどのように整理した かというところを御説明させていただきます。添加物の場合、新たな添加物に係る規格 や基準などを策定する場合と既に規格や基準が策定されている規制物質、添加物部会で は添加物になりますけれども、それにつきまして、その規格基準の一部を改正する場合 とに大別されます。  前者の、新たな規制物質に係る規格基準の策定については、比較的軽易なものとは言 えないということで分科会審議の扱いとなります。  一方、後者、すなわち既に規格基準が策定されている規制物質、添加物についての規 格基準の一部を改正する場合については、中には内容等から見て慎重に審議する必要が ある事案も考えられ、そうしたものについてはまた分科会審議の取扱いとなりますが、 そうした特段の事由がない一部改正につきましては、基本的に比較的軽易なものとして 分科会報告の扱いとなります。  更に、分科会報告の扱いとする比較的軽易なもののうち、食品安全委員会での評価が 既に一度行われておりまして、その評価結果に変更がない場合ですとかあるいは食品安 全委員会における評価を要さないような案件につきましては、一層軽易なものとして、 分科会報告におきましても事務局の方で作成いたしました文書配付による報告にさせて いただくことになりました。  このような比較的軽易なものの明確化を図ることによりまして、新たな規制物質、添 加物などについての規格基準の策定などによりしっかりとした御議論をしていただける よう、メリハリの効いた審議会運営を進めていただけるものと考えております。  添加物部会の表を個別に説明いたしますと、まず区分の1が新規添加物の指定ないし 指定の消除でございます。  区分の2が添加物に関しての製造基準、使用基準、保存基準の新たな策定あるいは成 分規格の新たな策定でございます。  3つ目の区分は、既存添加物名簿から人の健康を損なうおそれがある場合として消除 を行う場合でございます。  以上3つの区分が部会で審議された後、分科会でまた御審議いただく区分になってお ります。  その次の区分の4と5が既に策定された規格基準の一部改正に係る区分でございまし て、「ただし」と付されている慎重に審議が要する場合を除きましては、基本的には部 会でしっかり御審議いただいた後は分科会では報告ということで、部会の審議、決定を もちまして、分科会の決定となっていくということでございます。  あとの区分、6及び7は法律上、薬事・食品衛生審議会の意見を聞くという定めがな い場合でございまして、それらにつきましては、これまで本部会において添加物関連と いうことで御報告させていただいてきたところでございますので、記載してございます。 すなわち、区分の6では法律21条に規定に基づく添加物公定書を作成した場合、部会に おいて御報告させていただいてきておりますし、区分の7、本日の議題ともなっており ますけれども、既存添加物名簿から消除される消除予定添加物名簿についての追加消除、 流通実態がない場合については、これまでどおり本部会で御報告させていただく取扱い といたします。  以上、事務局から説明させていただきました。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。  この点について、何か質問、コメントはございますか。よろしいですか。特段何かあ りますか。  山添先生いいですか。 ○山添委員 大丈夫です。 ○若林部会長 それでは、議題に移ってもよろしいでしょうか。本日は議題が2件 「(1)フェネチルアミンの添加物指定の可否について」「(2)ブチルアミンの添加 物指定の可否について」、「2その他」に関しまして「過酸化水素処理による釜揚げシ ラスについて」ということであります。  書類に目を通しますと、多分、議題(1)(2)にはそれほど大きな問題はないよう に思いますので、スムーズに進行するかと思いますけれども、3番目の「2その他」の 過酸化水素処理による釜揚げシラスについては少し議論の時間を必要とする項目かもし れません。そのような時間配分で本日は進めていきたいと思います。  それでは「(1)フェネチルアミンの添加物指定の可否について」審議を行いたいと 思いますので、まず事務局からの説明をお願いいたします。 ○事務局 まず背景から御説明いたします。  フェネチルアミンは平成14年7月に食品衛生分科会で了承されました国際的に安全性 が確認され、かつ欧米で汎用されている添加物の1つとして挙げられている品目です。 本品目については、食品安全委員会に平成21年11月5日に食品健康影響評価の依頼を行 いました。食品安全委員会では平成21年11月17日に添加物専門調査会で審議が行われ、 その審議を踏まえた評価書(案)が平成21年11月26日に公表されたところでございます。  それでは、資料1−2、3ページ目をごらんください。  「1.品目名」はフェネチルアミン。  「2.構造式、分子式及び分子量」は、こちらにお示ししてあるとおりでございます。  「3.用途」は香料でございます。  「4.概要及び諸外国での使用状況」については、フェネチルアミンはチーズ等の食 品中に存在する成分で、欧米ではさまざまな加工食品において香りの再現、風味の向上 等の目的で添加されております。  「5.食品安全委員会における評価結果」でございますが、現在は(案)として公表 されており、食品の着香の目的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えられると評 価されております。  「6.摂取量の推計」は4ページになりますが、米国における1人1日当たりの推定 摂取量から我が国の本物質の推定摂取量はおよそ0.05μgになると推定されております。 なお、食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取量は、意図的に添加された 本物質の約5万8,000倍であるとの報告がございます。  「7.新規指定について」ですが、使用基準案は、香料として使用される場合に限定 して食品健康影響評価が行われたことから、使用基準は着香の目的以外に使用してはな らないとすることが適当であると考えております。  成分規格につきましては、5ページのとおり案を作成しており、設定根拠は7ページ、 JECFA規格との対比表は9ページにございます。  それでは、成分規格の設定につきまして、7ページの設定根拠に沿って御説明申し上 げます。  「含量」は、JECFA規格では95%以上と規定していますが、他の添加物の規格値 との整合性を考慮し、小数点以下1けたまでを有効数字として95.0%以上といたしまし た。  「確認試験」は、JECFA規格ではNMRを採用されていますが、日本では、NM R装置は必ずしも広く普及しておらず、測定環境に実務上問題があるということで、こ れまでに指定された香料と同様に赤外吸収スペクトル測定法を確認試験法として採用い たしました。  「純度試験」は、屈折率と比重を設定しております。  屈折率については、JECFA規格をそのまま採用しております。  比重については、JECFA規格では測定温度25℃で規格値が設定されておりますが、 市販品6社6製品を9機関で分析した結果、試薬会社の規格値などを踏まえますと、J ECFA規格の測定温度の25℃は誤りで20℃の可能性が高いことが明らかとなりました。 この点に関しては、既に国際食品香料工業協会に修正要望のためのデータを提出してお り、今後いずれかの機会にJECFAで審議されることになります。今回このようなこ とが明らかになりましたので、本規格案では20℃の測定条件下での規格値設定といたし ました。  「定量法」は、JECFA規格と同様、GC法を採用しております。  JECFA規格では設定されているが、本規格では採用しなかった項目としては、溶 解性、沸点の2項目がございます。溶解性については、IRによる確認試験、純度試験 としての屈折率、比重、含量を規定しており、溶解性の規定の必要性は低いと考えられ るため採用しないことといたしました。沸点についても、沸点は必ずしも香料化合物の 品質規格管理項目としては重要ではないと考えられることから、本規格案では採用しな いことといたしました。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○若林部会長 どうもありがとうございます。フェネチルアミンに関しての規格等につ いての説明を受けましたけれども、御意見をお願いいたします。  説明がありましたように、確認試験のところではJECFAではNMRを使っている けれども、本規格ではIR。比重に関しましては、これで二度目か三度目になりますけ れども、JECFAの測定温度の25℃が誤りで20℃の可能性が考えられるということで、 この件については、既に報告をしてあるということであります。9ページには香料フェ ネチルアミンの規格対比表がありまして、本規格案とJECFAの規格案が書いてある ところであります。  御意見、コメントがございましたら、よろしくお願いします。特に問題なさそうです ね。  それでは、フェネチルアミンの新規指定については可にしたいと思います。  それでは、部会報告書をとりまとめ分科会へ報告する手続をとりたいと思います。 ○事務局 すいません。分科会では報告の扱いではなく、御審議ということなので、部 会報告書を分科会に提出いただければと存じます。新規成分ということでございますの で、先ほど御説明させていただきました確認事項の取扱いに基づきまして、そのように お願いいたします。 ○若林部会長 どうぞよろしくお願いします。 ○山内委員 部会報告書の書き方で提案があります。私は、農薬部会にも参加しており ますが、そちらの書式に倣ったらいかがかと思います。報告書案のタイトルと品目名の 間に、先ほど事務局が説明された、この品目を部会で検討することになった理由(例: 国際汎用からの審議等)を簡潔に記してはいかがでしょうか。 ○若林部会長 それは対応可能ですね。 ○事務局 はい。 ○若林部会長 よろしくお願いいたします。  そのほかによろしいですか。  それでは、今後のスケジュールについてはどうなりますか。 ○事務局 今回の審議結果につきましては、食品衛生分科会での審議のほかパブリック ・コメント、WTO通報等の所定の事務手続きを開始したいと思っております。 ○若林部会長 よろしくお願いいたします。  それでは、議題(2)に移ります。議題の(2)はブチルアミンの新規指定の可否に ついての審議を行いたいと思います。  まずは事務局からの説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、まず背景から御説明いたします。  こちらの品目は、先ほどの品目と同様、国際汎用添加物として指定の手続を進めてい る品目でございます。本品目については、食品安全委員会へ平成21年9月10日に食品健 康影響評価の依頼を行いました。食品安全委員会では平成21年10月20日、11月17日に添 加物専門調査会で審議が行われ、その審議を踏まえた評価書が平成22年3月4日にとり まとめられました。  それでは、資料2−2、3ページをごらんください。  「1.品目名」はブチルアミン。  「2.構造式、分子式及び分子量」は、こちらにお示ししてあるとおりでございます。  「3.用途」は香料でございます。  「4.概要及び諸外国での使用状況」については、ブチルアミンはケール等の食品中 に存在する成分で、欧米ではさまざまな加工食品において香りの再現、風味の向上等の 目的で添加されております。  「5.食品安全委員会における評価結果」でございますが、食品の着香の目的で使用 する場合、安全性に懸念がないと考えられると評価されております。  「6.摂取量の推計」は、4ページをごらんください。米国、欧州における1人1日 当たりの推定摂取量から、我が国の本物質の推定摂取量はおよそ0.01から104μgの範囲 になると推定されております。  「7.新規指定について」ですが、使用基準案は、香料として使用される場合に限定 して食品健康影響評価が行われたことから、着香の目的以外に使用してはならないとす ることが適当であると考えております。  成分規格につきましては、5ページにお示ししており、設定根拠は7ページ、JEC FA規格との対比表は9ページにございます。  それでは、成分規格の設定につきまして、7ページの設定根拠に沿って御説明申し上 げます。  「含量」は、JECFA規格では99.0%以上を規格値としていますが、他の添加物の 規格値との整合性を考慮し、小数点以下1けたまでを有効数字として99.0%以上といた しました。  「確認試験」は、先ほどの品目と同様、JECFA規格ではNMRが採用されていま すが、NMR装置は広く普及しておらず、測定環境に実務上の問題があると考えられま すことから、これまでの品目と同様、赤外吸収スペクトル法を確認試験法として採用し ております。  「純度試験」は、屈折率、比重を設定しておりますが、いずれもJECFA規格をそ のまま採用いたしました。  「定量法」は、JECFA規格と同様、GC法を採用しております。ただし、カラム に関しまして、高極性のポリエチレングリコールを固定相とするカラムではテーリング が著しいことから、使用するカラムを無極性のジメチルポリシロキサンを固定相とする カラムを使用するということで規格の中に規定してございます。  JECFA規格では設定されているが、本規格で採用しなかった項目としては、溶解 性、沸点の2項目がございます。溶解性については、IRによる確認試験、純度試験と しての屈折率、比重、含量を規定しており、溶解性を規定する必要性は低いということ で採用しないことといたしました。沸点についても、必ずしも香料化合物の品質管理項 目としては重要ではないと考えられることから、本規格案では沸点に係る規格を採用し ないことといたしました。  なお、この品目に関しましては、本日御欠席の西川委員から事前にコメントをいただ いております。コメントの内容は、食品安全委員会の評価書に関する事項でございまし て、同じ資料の19ページ「2.発生毒性」をごらんください。西川委員からは、「ブチ ルアミンの発生毒性試験において、胎児に内臓奇形及び外表奇形が見られていますが、 奇形の詳細は記載されておらず、催奇形性があるのかについても明記されていません。 もし催奇形性があるのでしたら、この試験データも考慮した上で総合評価したことを記 載すべきだと思います。」という御意見をいただいております。  この点に関しまして、食品安全委員会に確認をしましたところ、このような奇形が認 められたというデータも踏まえた上で、結果としては母動物と胎児に対してそれぞれN OAELを設定できると判断し、その上で追加実施した90日間反復投与毒性試験におけ るNOAELと比較して、より値が低い90日試験のNOAELを採用して安全マージン の算出を行ったということで、催奇形性に関する部分も十分考慮した上で評価している ものだとの説明が事務局からございましたので、御報告申し上げます。  事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。ブチルアミンに関する説明でありまし た。  9ページの本規格案とJECFA規格案にまとめてありますけれども、本規格案では IR法を用いる。JECFAはNMRである。  定量法に関しましては、本規格案では無極性カラムを用いたガスクロマトグラフ法を 用いるというところがJECFAとは異なる点であります。  西川委員から19ページに書いてありますように、発生毒性のことについてポイントア ウトされましたけれども、そういうことをすべて考慮した上で、安全性についても食品 安全委員会から回答がきているという説明であります。  私から1つ質問があるんですけれども、4ページ摂取量の推計のところでは、いつも こういう項目ですと何倍ですとか何千倍ですとか、むしろ通常に摂取している量の方が 加えている量よりも多いという説明文が付いているんですけれども、このものだけ付い ていないのは何か理由があるんですか。 ○事務局 食品からの摂取量との比較を行った文献の中に、香料の中でもその記載があ るものとないものとがございまして、あるものに関してはすべて報告書に何万倍という 記載をしておりますが、今回のブチルアミンに関しましては文献に記載がございません でしたので、報告書にも記載していないところでございます。 ○若林部会長 書いていなくても、これが逆転するような数値は絶対にあり得ないとい うことですね。実際の添加物の量が物すごく多くなるということはないということです ね。 ○事務局 摂取量推計とNOAELとの比較による安全マージンが算出されておりまし て、同じ資料の20ページになりますが、先ほど申し上げましたように、食品安全委員会 では90日間反復投与毒性試験のNOAELと摂取量推計との比較で安全マージンを出し ておりますが、9,000〜9,000万倍ということですので、十分マージンは確保できている のではないかと考えております。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。  それでは、ブチルアミンに関することで御質問、コメントを各委員からお願いいたし ます。特にございませんでしょうか。余り大きな問題は私はないように思いますが、先 生方はよろしいですか。  ブチルアミンに関しましては、新規指定は可ということにしたいと思いますけれども、 よろしゅうございますでしょうか。よろしくお願いします。  その後は分科会へいくんですね。 ○事務局 はい。部会報告書をまとめさせていただきまして、分科会での御審議に向け ての手続に入らせていただければと思います。 ○若林部会長 よろしくお願いいたします。  それから、今後のスケジュールについてはどうですか。 ○事務局 今回の審議結果案につきましては、今、ご説明申し上げましたように、分科 会での審議のほかパブリック・コメント、WTO通報等の所定の事務手続を開始したい と思っております。 ○若林部会長 よろしくお願いいたします。  本日の議題の2つは終わりましたが、そのほかに事務局から審議事項はございますで しょうか。 ○事務局 本日の審議事項は以上2点でございます。 ○若林部会長 それでは「2その他」の議題ですね。「2その他」の議題については、 どのようになっておりますか。 ○事務局 「2その他」の議題といたしましては、過酸化水素処理における釜揚げシラ スについて御議論をお願いしたいと思います。  それでは、資料3−1に沿って概要を御説明申し上げます。  過酸化水素とは漂白剤、殺菌料の用途で用いられる添加物であり、我が国では昭和23 年に食品添加物として指定され、昭和44年には残留量を規定する使用基準が設けられま した。  その後、弱い動物発がん性が認められたとの報告があったことから、昭和55年2月に 使用基準が「最終食品の完成前に過酸化水素を分解し、または除去しなければならな い。」とする現行の基準に改められました。その際には通知が発出されており、その中 で製造技術、加工技術、工程管理などを総合的に包含して評価して、最終食品中に過酸 化水素の残留がないことが確実でなければならないとされており、実質的にはその際に 過酸化水素の使用は全面使用禁止となりました。  その後、昭和56年に、過酸化水素の残留がないことが確認されたかずのこへのカタラ ーゼ及び亜硫酸塩による過酸化水素の分解処理を行う方法についてのみ、部会での議論 も踏まえた上で使用が認められました。よって、現在はかずのこにのみ使用が認められ ている状況でございます。  今般、事業者より、生シラス自体が過酸化水素を分解するカタラーゼ活性を有すると いう特性を応用した過酸化水素処理法を開発したということで、本処理法による釜揚げ シラスへの過酸化水素の残留について検討を行った結果が提出されました。  新しい過酸化水素処理法について、従来の方法と現在の方法と比較したものが1ペー ジの下にございます。一番左が従来法ということで、過酸化水素の使用が全面禁止とな る前に行われていた方法で、生シラスを一度真水で洗って水切りした後、煮沸する工程 で、煮沸窯に過酸化水素を直接投入するという方法がとられておりました。その後、全 面使用禁止ということになりましたので、現在は真ん中にあります一般法ということで、 過酸化水素処理が全く入っていない工程で製造が行われています。  今回、事業者が開発した改良法は、生シラスに前処理として水洗等を行った後、過酸 化水素を噴霧し、所定の時間を置いた後にもう一度真水で洗浄・水切りをして、その後、 煮沸、釜揚げ、予備冷却、天日乾燥という工程を経るというものです。  2ページをごらんください。今回事業者から提出された試験データは大きく2つに分 けることがきで、(2)が実験室レベルで試験を行った結果、(3)のフィールド試験 が、実生産規模で試験を行った結果になります。  まず実験室レベルで試験を行った結果、(2)の[1]でございますが、過酸化水素処理 を行っていない生シラスとその生シラスを使って製造したシラス加工品について、過酸 化水素の含有量を測定しましたところ、生シラスで0.2〜1.1μg/g、釜揚げシラスで0.2 〜0.8μg/g、釜揚げシラスを更に乾燥させたチリメンと言われるものでは6〜9μg/g という結果でした。  次に生シラスをさまざまな処理条件で処理した場合、どれぐらいの過酸化水素が検出 されるのかということで、過酸化水素の濃度や処理時間、処理温度など条件を変えて試 験を行いました。各種条件で処理した後、水洗・煮沸処理をしてでき上がった釜揚げシ ラスについて含有量を測定したところ、過酸化水素で処理していないもので1.3〜2.6 μg/g、過酸化水素で処理したものでは、過酸化水素の濃度や処理温度・処理時間との関 連性はなく0.7〜2.0μg/gとの結果が得られ、ほぼ無処理群と同レベルの含有量となって おります。  次に生シラスにカタラーゼ活性があるかどうかということで、生シラスと釜揚げシラ スのカタラセーゼ活性を測定したところ、生シラスの体表面には41μmol/min/gの活性が あるということがわかりました。この活性は、[2]で試験を行った条件で過酸化水素の分 解にどれぐらいの時間がかかるかということを計算しますと、一番濃い5%のもので約 45秒という試算になりました。一方で、加熱処理した釜揚げシラスには、カタラーゼ活 性は認められないという結果でございました。  以上を踏まえますと、生シラスが持つカタラーゼ活性によって過酸化水素が分解され た結果、過酸化水素処理群は無処理群とほぼ同レベルの過酸化水素含有量だったのであ ろうと推察されるところでございます。  「(3)フィールド試験」は、(2)の実験室レベルでの試験結果を踏まえ、実生産 レベルで試験を行ったものです。過酸化水素濃度を3%に固定して、処理時間、処理温 度を変えて試験を行いました。その結果、処理時間や処理温度の影響を受けることはな く、過酸化水素処理を行っていない原料生シラスで0.8ppm、過酸化水素処理を行った原 料生シラスで0.6〜1.5ppmとほぼ同等の値でした。また、それぞれの原料を水洗処理を行 った後、釜揚げし、でき上がった釜揚げ製品について分析した結果、未処理のもので2.4 〜2.7ppm、処理したもので1.1〜3.0ppmということで、こちらもほぼ同等の値でした。ま た、殺菌処理を行った排水中の過酸化水素を分析しましたところ、定量限界未満であっ たことから、殺菌処理に使用した過酸化水素は煮沸処理前に分解、除去され、釜揚げ製 品には残留しなかったものと考えられるとまとめられております。  また、過酸化水素の使用によって何らかの効果が得られるのかということで、色調試 験と保存試験として一般生菌数、揮発性塩基窒素の測定を行っております。その結果、 過酸化水素で殺菌処理した原料の釜揚げシラスの方がより白色度が高いという結果が得 られ、また、一般生菌数、揮発性塩基窒素についても殺菌処理したものの方が低いとい う結果が得られ、使用による有効性が確認できたというデータが示されております。  以上の結果を踏まえまして、事務局で本件に関する部会の意見(案)として素案を作 成いたしました。「生シラスに対する過酸化水素の使用については、提出された処理方 法及び原理並びに各種データを評価した結果、本処理法で処理される場合に限って過酸 化水素の使用は差し支えないものと考える。」こととしますが、次の条件が満たされて いる必要があるということで、1番目としまして、3ページにございます製造マニュア ル、こちらは提出された資料に沿って作成されたものですが、こちらに従う必要がある ということ。そして、実際に加工場において製造マニュアルが十分に遵守されるように 実質的な運用体系が考慮されるべき、つまり、製造マニュアルが運用できる体制をきち んと構築した上で実施する必要があるという部会意見(案)を作成いたしました。  説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。  過酸化水素処理による釜揚げシラスについての説明をしていただきました。過酸化水 素というのは弱い発がん性が認められた化合物でありますけれども、その後、かずのこ への添加については分解処理を行うということで認められております。今回、生シラス の体表面にカタラーゼ活性がありまして、そこに漂白ですとか殺菌の目的で過酸化水素 を噴霧した後、時間を置きますと、カタラーゼ活性によって過酸化水素は水と酸素に分 解されてほとんど残らない。残っている残量に関しても未処理のものとほぼ同じような、 数マイクログラムの単位のものであるという説明であります。  この件に関しましては、歴史的な経緯もありますので、時間を割いて議論を進めたい と思います。何か御意見、コメントはございますでしょうか。どうぞ。 ○井部委員 シラスの場合この処理をすれば出ない。だから、よいととれるわけですが、 出なければいいという問題なのか、もともと原則使用しないということであれば使うこ とが問題なのではないですか。そうしますと、どんな方法であろうと出なければいいの ではないかという論法になりませんか。 ○事務局 過酸化水素につきましては、昭和55年当時、動物実験で発がん性が認められ たとの報告がありましたが、最終的に食品に残らないことが確認できるのであれば、引 き続き使用を認めても差し支えないと判断され、現在の使用基準になっております。そ の際、実質的にこの使用基準のままですと、除去さえされていれば使えると基準だけを 解釈するとそのように読めることになりますが、当時はまだ食品に残留しないことを担 保するだけの十分な測定技術がなく、比較的高い定量限界の試験法しかございませんで したので、残留がないことを評価するのが当時はまだ難しい状況だったということもあ りまして、一旦この使用基準に改めつつも使用しないようにとの指導を行っておりまし た。  翌年の56年にかずのこについて使用を認めるということになりましたが、その際には 定量限界をより引き下げた分析方法がないと、残留しないかどうかの評価・管理ができ ないということで、分析法の改良が行われ、固体の食品で0.1ppmまで、液体の食品で 0.01ppmまで定量限界を下げることができました。そこで、その分析法でかずのこへの残 留の有無を確認して、使用を認めたという経緯がございます。ですから、今回のシラス に関しても残留がないと言えるのであれば、前回のかずのこと同様に使用を認めること はできるのではないかと考えております。 ○若林部会長 どうぞ。 ○井部委員 つまり、シラスの場合に限らず、出なければいいのではないかということ になりませんか。 ○事務局 今回もシラスについては試験データが提出されましたので、残留がないこと を確認してからということになります。今後もしほかの食品に使いたいということであ れば、また改めて処理方法とそれに基づく試験データを提出していただいて、その内容 を確認したうえで使用を認めるということで限定的に解除していく方向になるかと思い ます。 ○井部委員 わかりました。 ○若林部会長 そのほかに何かございますか。  過酸化水素の無処理群で大体1〜2μg/gあるんですけれども、過酸化水素で処理した 後で残っているものに関しても大体同じくらいのレベルであります。そもそもシラスで すとか、いろいろな食品の中には大体これぐらいの量の過酸化水素が一般的に存在して いるわけですね。我々の生体内にも過酸化水素は存在しますので、そのためにカタラー ゼなどの酵素があると思います。シラスに限らずいろんな食品の中に過酸化水素という のは、実際にどのぐらい含まれているというデータはどこかにありますか。 ○事務局 そちら関しましては、今回、事業者から提出された文献のうち、3番目の文 献で農作物、畜産物、水産物、加工食品といった食品中に存在する過酸化水素が分析さ れております。  Table1からTable12に結果が掲載されております。このようにNDということで検出 限界以下のものもございますが、やはりかなりの食品で検出されておりまして、どちら かというと野菜などでは比較的少ないようですけれども、動物系の加工食品などについ ては比較的検出されているようでございます。  水産加工食品に関しましては、文献3の一番上にページ数の記載がございますが、そ の(35)のTable5にまとめられておりまして、Fishesの項の上から4つ目のSardines中 の更に上から3つ目にシラス干しのデータが出ております。検出されないケースもあっ たようですが、最高では4.5mg/kg検出されております。それ以外のものについても、こ れよりも高い20ですとか十幾つという検出結果が出ているものもございます。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。  量は高いところで10mg/kg、通常は大体数mg/kgぐらいが普通ですね。通常の食品にも 大体これぐらいの量は入っているということをこの論文は示しているかと思います。そ れに比べて生シラスのものが特に高いとか低いとかはなく、ほぼ同じようなレベルです ね。  そのほかにこの件に関して問題点等はありますでしょうか。  生シラスの中のカタラーゼ活性が非常に少なくなってしまうような場合には、過酸化 水素が残ってしまうことが考えられますね。いつもカタラーゼ活性が41μmol/min/gぐら い体表面にあるとありますけれども、常時それぐらいの活性があれば噴霧した過酸化水 素が明らかに十数分で分解されてしまうと思います。カタラーゼ活性が常に存在してい るのかどうなのかが心配になります。生シラスの状態、時期を変えたサンプルで、カタ ラーゼ活性のレベル示されていますか。そこの点について、事務局でわかりましたら教 えてください。 ○事務局 今回出されております資料は1回だけ測定したものですので、季節や場所な どを変えて調べた結果にはなっておりません。実際の試験結果を説明しておりますのは、 資料3−2、事業者から提出された資料の8ページの一番下から9ページにかけてでご ざいまして、カタラーゼ活性を測定した結果が示されています。この場合、漁獲されて からすぐのものを持ってきて分析しているようでございます。ですから、例えば漁獲し てから時間を置くようなケースの場合どうかというのは今回出されたデータの中からは 確認できません。 ○若林部会長 9ページのところでは、高知県と愛媛県と徳島県と宮崎県のものをやっ ているんですか。 ○基準審査課長 9ページは高知県だけです。 ○若林部会長 そうですね。高知県のものですね。多分同様にカタラーゼ活性はあるん だと思いますけれども、それらのデータがあると、過酸化水素の残存量という点で特に 心配しなくてもいいということにもなるかと思います。これらの点を考えて委員の方々 から御意見をいただきたいんですが、いかがでしょうか。どうぞ。 ○井部委員 検査をやっている側からの感想ですけれども、酸素電極法でやると、ここ にも示されたように結構ブランクで出てくるわけです。ですから、実を言うと使ったか 使わないかよくわからない。出たから使ったとも言えない。結局、行政としては調べに 行くわけで、そうしないとわからない。つまりブランクでも出るのですから、検出しな いという定義が国としてはどこで切りたいのかというのが私たちはわからなくて困るわ けです。ブランク値もシラスの場合とかいろいろ物によって違うので、いつも迷うので す。シラスの検査を実際にやっているところがありますけれども、出たからといってど うするかというのは、結局、製造方法を調べに行き、使っていたらアウトということな のです。これは分析法の問題になってしまいますけれども、どこまでの値を、検出され ないというかの基準をつくっていただきたいと思っています、その辺はいかがですか。 ○若林部会長 先生が懸念されているのは、検出されないというのではなく、ある量が 必ずあるので、数μg/g検出されているという話ですね。 ○井部委員 どこで切るかです。行政上とても困るのです。 ○若林部会長 先ほど言いましたように、必ず数μg/gぐらいある。だけれども、それを 検出されないというのはおかしいということですね。 ○井部委員 そうです。 ○若林部会長 検出されるんですけれども、ある一定量以下であればいいというように しないと明らかにおかしな表現になってしまうということですか。 ○井部委員 そのとおりです。先ほど部会長が言われましたように、もしカタラーゼ活 性が違うものがあるので、この製法でやっても残る。でも、ちゃんとこの製法でつくっ ているではないかと言われたら、どこで違反を問えるのかということです。きちっとや っていないかもしれないし、あるいはカタラーゼ活性がもともと少ない魚かもしれない。 でも、ちゃんとこのとおりやったからいいのではないかということになりかねません。 ○基準審査課長 農薬や動物薬などでも同じなんですけれども、天然中に存在するよう な成分については、天然に存在するような程度の残留は違反にならないような取扱いに なっています。確かに御指摘のとおり、処理しないシラスでどのぐらいの残留があるの かのバックグラウンドのデータを踏まえて、一定の判断基準みたいなものをつくらざる を得ないと思いますので、どういうふうにつくるかは検討させていただきたいと思いま す。 ○若林部会長 山添委員、どうぞ。 ○山添委員 殺菌の処理期間で、17ページには殺菌槽放置貯留時間10分、15分と記載さ れていますが、これが現実の処理のときに、例えば長い時間放置された場合でも、実際 に処理のときに十分に安全が保てるものに下がるとか、そこら辺の幅のデータがあれば 安心してこの処理というものができるのではないかというのが1つです。  もう一つは、私はよくわからないんですが、21ページで表12というものがありして、 経過日数とVBNの値というものがあります。VBNの値というのは何の指標なのかよ くわからないんですが、一般法と改良法との間でかなりの差が出ています。過酸化水素 の処理があって、完全に除けてしまっていれば、あとは一緒なのではないかと思うんで すけれども、実際にはVBNの値が経過日数を伴ってかなり違っているんです。この違 いが何に由来するのか御説明していただければ、その方がはっきりするんですというこ とです。過酸化水素で除去されていれば過酸化水素ではないはずなんですね。そこのと ころです。 ○若林部会長 21ページです。 ○事務局 まず処理時間につきましては、実験室レベルで処理時間の幅を0分から15分 まで振って試験が実施されております。その範囲で処理時間による影響はなかったとい うことで、フィールド試験では10分、15分の処理時間で試験を行っております。より短 い5分という時間でも今回の実験室レベルでの試験結果では無処理のものと同等レベル ということでしたので、今回の製造マニュアルの中では10分以上と規定しておりますが、 過酸化水素処理するシラスの量と3%過酸化水素水の使用量がきちんと守られるのであ れば、10分以上の放置時間であれば問題ないのではないかということで、3ページ目に ございました製造マニュアルを作成したところでございます。  2点目に御指摘いただきましたVBNは腐敗の指標でございまして、揮発性塩基窒素 を測定したものです。微生物による場合、また自己消化の場合などもあるかと思います が、食品の変質・腐敗が進むと数字が大きくなるということで、この数字が30を超える と初期腐敗とされるものでございます。  過酸化水素に関しては前の試験で天然含有レベルまで落ちているということなので、 実質的には分解されており、残っている過酸化水素が効いているというものでは恐らく ないと思われます。一般法と改良法で、過酸化水素含有レベルが同レベルですので、過 酸化水素によるものというよりは上の図3にございますように、一般細菌数が異なって おりますので、一般細菌による腐敗の進行が改良法によって遅らされたと考えられると 事業者も考察しているところでございます。 ○若林部会長 山添委員よろしいでしょうか。 ○山添委員 2点目のことはもともとの処理の際での生菌数が下がってしまったので、 それ以降に影響して良好な結果を出したということで理解しました。  ただ、1の場合には、実際に何らかの事情で1時間置いておくとか、そういうことは あり得ないんですか。その場合に問題が起きるとか、そういうことはないんですか。 ○事務局 1時間といったような長時間、殺菌槽中に放置するといった事例が発生し得 る可能性もあるかとは思いますが、今回のデータを踏まえますと、少なくとも10分まで には全て分解されますので、10分以上放置した場合においても、新たに過酸化水素が生 成されるということはないと思われます。10分以上の放置をきちんと守ってもらえれば、 そこから更に長引く分に関しては問題ないと思われます。鮮度の低下とかそういう別の 話はあるのかもしれません。 ○山添委員 了解しました。 ○若林部会長 今の質問と同様のことですけれども、5分でも十分なんですか。例えば 5分と10分の間に物すごく差があるとすると、5分から10分の間が少し短いという気も します。5分経てばほとんど大丈夫で、一応それも確かめた上で10分としているという ことですか。タイムコースについてはいかがですか。 ○事務局 11ページの表4でございますが、こちらは温度と処理時間を変えて試験を行 ったもので、1%、3%、5%を見ていただきますと、いずれにおいても処理時間によ る差はございません。5分から10分にかけて差があるという結果もございませんので、 安全を見て10分以上であれば大丈夫であろうということで、実際のフィールド試験でも 10分以上で設定して試験が実施されております。 ○若林部会長 よくわかりました。処理時間については安全を見て10分であれば十分で あろうということであります。  そのほかにございますか。北田委員、どうぞ。 ○北田委員 今のところと多少ダブるのですけれども、資料3−1の2ページ目の下の 4で部会意見の1があります。 ○若林部会長 何ページですか。 ○北田委員 2ページです。下の4に部会意見があります。その1の別紙の製造マニュ アルというのが3ページにあって、それに従うものということですけれども、このマニ ュアルはかなり簡潔に書いてあります。確かに検討開発された方にすれば、これで十分 わかるとは思うんですけれども、もし仮にこのマニュアルに従ってほかの方が処理され ようした場合、これで十分か。  例えば資料の15ページの上から4行目に作業の効率、生シラスの量とかベルトコンベ アの長さとか、貯留槽までの距離とかいろいろノウハウがあると思うんですけれども、 仮にこういう方法をマニュアルに従って実施した場合、1つは均等に過酸化水素が散霧 できるのかという、残留ではなくて均等に散霧できるのかという問題もあると思います。 というのは、均等に散霧できなかった場合、先ほどの生菌数あるいはVBN、消費期限 の保障ができるのかという逆の意味の問題も簡単なマニュアルだけでクリア−できるの かということが心配されるところですけれども、その辺はいかがでしょうか。 ○若林部会長 マニュアルについては少し簡潔過ぎるので、もう少し詳しく書いた方が 一般化する上においてはよろしいのではないかという北田委員からの意見でありますけ れども、この点についてはいかがでしょうか。 ○事務局 実際にフィールド試験で使用したのは、一連の処理を自動的に行う機械なの ですが、添加物についてはその使用の際に使う機械を承認するという形にはなっており ませんので、ベルトコンベアの長さですとか、そういったことまで規定するのはちょっ と難しいかと思われます。実際にそういったことまで規定しないと、安全性が確保でき ないということであれば必要かと思われますが、一応マニュアル案には使用する割合と 均一に噴霧するといったことを規定してございます。均一な噴霧をこの機械でやるとい うこともあれば、実際に窯のようなものに入れて混ぜて均一化を図るといった方法もあ ると思いますので、そこのところにはある程度自由度を持たせる必要があるのではない かと思っております。ただ、ちゃんとマニュアルを守った上で、過酸化水素が残留しな いことを実際に製品の生産を開始するまでに確認していただかなければいけないですし、 自分で検査できる体制などは組んでいただかなければいけないと思っております。  なお、かずのこの処理を認めた際に出した通知が資料1でございます。 ○若林部会長 何ページですか。 ○事務局 インデックスが付いている資料の1です。若干古い資料になりますが、これ が当時かずのこの使用を認める際に発出した通知でございます。その中の記の3番目に ございますように、自主検査等の体制を整備して、残留がないことを確かめさせる方法 をとることとしておりますので、本件の場合も同様に、実際に使用を認める旨の通知を 発出する場合には、このマニュアルとともにきちんと最終製品に残らないことを自分で 確認することを求める内容も記載した上で出すことを考えております。詳細な噴霧の方 法ですとか、ベルトコンベアの長さといったところまで規定する必要性は今回の場合は 低いのではないかと考えたところでございます。 ○若林部会長 北田委員、どうぞ。 ○北田委員 そういうことであれば結構です。 ○若林部会長 今のマニュアルに関してはいかがですか。だれが見ても十分に機能する マニュアルであるかどうか。簡便過ぎるので、もう少し詳細に書いた方がいいのではな いかということであったかと思います。これでも十分であろうという事務局からの説明 でありましたけれども、いかがですか。この点に関して、これでよろしいですか。  山内委員、どうぞ。 ○山内委員 私は基本的にこういう結果であれば、この形で過酸化水素の使用をするこ とに問題はないと思います。その前提で、生シラスから製品になるまでのすべての工程 において、当たり前のことでありますけれども、安全を担保するために衛生管理をきち んと行うことがたいへん重要だと考えています。既存の管理方法がおろそかにならない よう製造の最初から最後のプロセスに至るまで、きちんと衛生管理を行うことをあらた めて何らかの形で伝えることが必要ではないかと思いましたので、申し上げました。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。安全管理はしっかり守られるべきであ るという意見です。その点に関していかがですか。 ○事務局 ただ今いただいた御指摘は、過酸化水素は殺菌料ですので、例えば工程の衛 生管理を適切に行わなかった場合でも、殺菌料を使用することでそれがマスクされてし まう、そういう状況があってはいけないという御指摘と理解いたしました。確かにご指 摘のとおりで、過酸化水素を使う場合にあっても、今までの生産と同じく衛生管理をき ちっとやっていただく必要があると思いますので、必要であれば部会意見の項目の中に 衛生管理は徹底した上で使用するという項目を追加させていただいてはと思います。 ○若林部会長 是非そのようにお願いいたします。 ○山内委員 ありがとうございました。 ○若林部会長 河村委員、どうぞ。 ○河村委員 先ほどからいろいろな先生方から製造マニュアルが非常に簡単過ぎるので はないかという御意見がありましたが、確かに文献の資料1に載っている前回のかずの このマニュアルに比べると非常に簡単なのではないかという感じがします。骨子はこれ でいいのではないかと思いますが、内容的にはもう少し詳しく記載する方がいいと思い ます。  例えば真水で十分に洗浄するというのは、どの程度が十分なのかということをもう少 しきちっと示されるような形で書いた方がいいと思います。また、前回のマニュアルで すと、4の(1)ではかずのこには過度に過酸化水素を含まないように注意するという 注意書きなども書かれているので、それぞれのところでどういうふうにするのかという ことと、そこで何を注意しなければいけないかということを細かく書いた、前回のかず のこのマニュアルに近いような形の方がいいのではないかと思います。 ○若林部会長 かずのこのときのマニュアルは割合情報がしっかり入っていますので、 こちらぐらいのボリュームの方がしっかりと情報が伝えられるのではないかということ ですね。 ○河村委員 そうですね。細かい注意ももう少し足した方がいいのではないかという感 じがします。 ○若林部会長 いかがでしょうか。 ○事務局 確かに非常に簡素なものになっております。かずのこの場合はそもそも処理 工程が複雑ということもありますが、ご指摘のように注意書き等がある部分に関しては、 かずのこの場合の記載なども踏まえつつ、更に本件において追加が必要と思われる部分 については事業者とも相談いたしまして、事務局でアップデートしたマニュアルを作成 してみたいと思います。そのうえでまた先生方に御意見をお伺いさせていただきたいと 思います。 ○若林部会長 是非お願いします。  それ以外にございますか。北田委員、どうぞ。 ○北田委員 あと単純なことですけれども、マニュアルの様式、例えば1、2、3でし たら両括弧をしたりとか、3が続いていますので、スタイルなども見直していただきた いと思います。よろしくお願いします。 ○若林部会長 よろしくお願いします。  堀江委員、どうぞ。 ○堀江委員 今までの議論の繰り返しになると思うんですけれども、カタラーゼ活性と いうのがシラスの鮮度によって、要するに水揚げしてからの経過時間とか種類によって 異なってくると、活性が少ないと逆に過酸化水素が残って、なおかつ細菌がある程度残っ てくる可能性があると思います。そこで水揚げして処理するまでの時間というのは大体 決まっていて、ある程度ぶれても十分なカタラーゼ活性があるというデータが必要だと 思います。 ○若林部会長 最初に私が述べたことと同じですね。 ○事務局 確かにかずのこの場合は過酸化水素を分解する物質で処理することによって 分解の確保を図っていますが、シラスの場合は天然に存在するカタラーゼをそのまま活 用して分解しようというものですので、御指摘のようなデータがないとそこの部分は担 保できないと思われます。この点については、既存のデータや新たなデータをとるなど して、何らかお示しできるかどうかを事業者と相談してみたいと思います。 ○若林部会長 是非よろしくお願いします。  そのほかに何かございますか。山添委員、どうぞ。 ○山添委員 私も同じ意見でなぜ心配をするかというと、例えば23ページの上から5行 目のところに、一般法に比べ白色度が高く、肉眼的にも白さの違いが確認できたという 記載があります。こういうものは過酸化水素が脱色材として機能しているということに なろうかと思います。カタラーゼがきちっと働けば一定の範囲の中で処理されてしまっ て、なくなってOKなんですが、ない場合、最悪の場合、脂質にオキサイトとして入っ てしまうということがあるので、若林先生も先ほどおっしゃっていたように、鮮度とい うものでカタラーゼ活性がどれだけもっているかということが、本来の目的に供される ものとの結構重要なポイントだと思います。 ○若林部会長 カタラーゼ活性のしっかりしたデータがどうしても必要になってくると いう意見かと思います。  そのほかに何かございますか。そのほかにはよろしいでしょうか。  今、過酸化水素処理による釜揚げシラスについて委員の皆様から幾つかの問題点が提 案されております。  1つは、過酸化水素の残留の量の規定をどういうふうにするのかということ。検出感 度が高まれば高まるほどある量は必ず検出されますから、検出されないということはな い。ましてやいろんな食品に少ない量ですけれども入っていますので、その量の規定を どういうふうにするかということ。  それから、北田委員または河村委員からマニュアルが余り簡単で、3が2つ重なって いたりするので、これをもう少し改善をして、かずのこのときのものを参照して、より よいマニュアルを作成していただけないかということです。  堀江委員または山内委員から安全管理というところに関しても、気をつけてほしいと いうこと。  もう一つは、生シラスの中のカタラーゼ活性のデータ、鮮度との関係、産地などとの 関係については重要なポイントになるので、それらについてのデータがしっかりしたも のであれば、評価するにおいて役立つというところが出された点だと思います。  そのほかに何かございますか。よろしいですか。山川委員、どうぞ。 ○山川委員 今、見ていまして気がついたんですが、生シラスといいますか、原料は相 当いろんなものがあるのではないかと思います。一定ではなくていろんな原料があると 思いますので、先ほど山添委員が言われたように、例えば長過ぎると脂質が酸化すると か、どういう危険なことがあるのかということを考えて、それが起きないような条件を きちっとつくるということが重要なのではないかと思います。それから、余りに大きな 規模でやると十分に殺菌できないところがあるのではないかとか、そうしてつくるとい いのではないかと思いました。 ○若林部会長 ありがとうございます。  そのほかに何かございますか。よろしいですか。  今の点または私がまとめた4つの点等に関して、事務局から何かございますか。 ○事務局 今、御指摘いただいた点につきましては、改めて事務局でも整理をしまして、 再度御審議をお願いしたいと思います。  念のため御指摘いただいた項目を確認させていただきたいと思います。 ○若林部会長 お願いします。 ○事務局 まず1点目は、堀江先生、若林先生、山川先生からご指摘いただきましたよ うに、生シラス中のカタラーゼ活性の有無が非常に重要であるため、原料の違いや鮮度 がカタラーゼ活性に影響を及ぼすかどうかというところについて確認できるデータが必 要であろうということ。  2点目としましては、井部先生から、天然由来で検出されることがありますので、実 際に監視等を実施するに当たってもどれ以上の値が出れば違反とみなすのかといった判 断基準が決められないかという御意見がありましたので、どのような対応が可能か事務 局で検討してみたいと思います。  あとは3点目として山内先生から、一連の工程の中で適切な衛生管理の確保が必要で あるということを部会意見の中に追加することについて御意見をいただきました。  4点目といたしまして、製造マニュアルに注意書きや条件をもう少し詳しく記載し、 書き方ももう少しわかりやすくするということで、アップデートが必要であるとのご指 摘をいただきました。  以上4点のご指摘をいただいたと理解しておりますが、よろしいでしょうか。 ○若林部会長 委員の皆さんはよろしいですか。それでは、事務局の方で再度整理をし ていただいて、次回にもう一度この件については委員の皆様と討議をするということで、 よろしいですか。 (「はい」と声あり) ○若林部会長 それでは、過酸化水素処理による釜揚げシラスについての本日の議論は 以上とさせていただきます。  それ以外の報告事項等について、事務局からございますか。 ○事務局 報告事項につきましては、2点ございます。  まず1点目が報告資料2「消除予定添加物名簿(案)について」でございます。報告 資料2をごらんください。本件につきましては、昨年9月の部会の際に、消除予定添加 物名簿の公示に先立ち、事前に実態調査を実施するということで125品目を対象として 調査を開始することについて御報告させていただきました。  今回、調査結果が出てまいりましたので、その結果を踏まえ、消除予定添加物名簿に 収載する品目としては別紙1のとおり、合計80品目を掲載する方向で手続を進めたいと 考えております。  消除予定添加物名簿の収載対象とした品目は、大きく3つに分けられまして、aとし て、そもそも日本国内において全く流通実態が確認できなかった品目。bとして、流通 実態はあるものの、添加物用途での使用が確認できなかった品目。cとして、製造等の 流通がないので、消除の候補として追加してほしいという申し出があった5品目でござ います。カテキン、カニ色素、コーパル樹脂、スフィンゴ脂質のうち牛の脳からつくら れたもの、ダンマル樹脂の5品目については実態がないので消除してほしいということ で申し出がありましたので追加いたしました。  以上のトータルが80品目となっております。  今後の手続に関しましては、資料の一番後ろページの別添2にございますように、3 月から4月をめどに消除予定添加物名簿を公示し、6か月間の申し出手続、WTO通報 を開始したいと考えております。  以上でございます。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。  消除予定添加物名簿についてですけれども、この件に関しまして御意見はございます でしょうか。よろしいでしょうか。ないようですね。  それでは、それ以外にも何か報告事項がございますか。 ○事務局 報告資料3ということで、食品安全委員会への意見聴取の状況等をまとめた 資料について御報告させていただきたいと思います。  前回12月の部会以降に動きがあった点についてのみ御説明申し上げます。一番最後の ページをごらんください。  ブチルアミンにつきましては、昨日3月4日に食品安全委員会から結果通知がござい まして、本日の部会で御審議いただきました。  フェネチルアミンについては、まだ結果通知は出ておりませんが、本日の部会で評価 書案の段階で御審議いただいたものです。  一番下の2品目、1−ペンテン−3−オール、3−メチル−2−ブテノールにつきま しては、2月2日に食品安全委員会に評価の依頼を行いましたので、また結果が出てま いりましたら、当部会での御審議をお願いしたいと考えております。  以上でございます。 ○若林部会長 どうもありがとうございました。食品安全委員会の意見聴取及び食品健 康影響評価についてです。  何か御意見ございますでしょうか。よろしいですか。佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員 添加物部会の日付が3月4日になっています。3月5日ですね。 ○事務局 済みません。修正いたします。申し訳ございませんでした。 ○若林部会長 御指摘ありがとうございます。  よろしいでしょうか。  報告事項は特にこれ以外にありませんね。 ○事務局 はい。 ○若林部会長 そのほかに何か委員から御意見はございますでしょうか。  ないようですので、次回の予定について事務局より御説明をお願いします。 ○事務局 年度内での添加物部会の開催は本日が最後となります。次回の添加物部会に つきましては、改めて日程調整をさせていただきまして、その上で日時、場所、議題に つきまして御案内させていただきます。 ○若林部会長 それでは、本日の「添加物部会」は以上で終了いたします。どうもあり がとうございました。 照会先:医薬食品部食品安全部基準審査課      (03−5253−1111 内線2453)