10/02/19 平成22年2月19日薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録 1.日時及び場所    平成22年2月19日(金) 15:00〜    厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(13名)  五十音順    天 笠 光 雄、○荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 飯 沼 雅 朗、     石 井 明 子、 石 山 陽 事、 小 田  豊、  ◎笠 貫  宏      川 上 正 舒、 北 村 惣一郎、 塩 川 芳 昭、 勝 呂   徹      寺 崎 浩 子  (注) ◎部会長 ○部会長代理    他参考人3名   欠席委員(4名)五十音順    倉 根 一 郎、 正 田 良 介、 武 谷 雄 二、 松 岡 厚 子 3.行政機関出席者    岸 田 修 一(大臣官房審議官)、    関 野 秀 人(医療機器審査管理室長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    重 藤 和 弘(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、他 4.備考    この会議は、個別案件は企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催され、   個別案件以外は公開で開催された。 ○医療機器審査管理室長 定刻となりましたので、これより医療機器・体外診断薬部会を 開催させていただきます。いつものことながら先生方におかれましては御多忙の中、御出 席いただきましてありがとうございます。  まず委員の出欠状況ですが、当部会委員数17名に対しまして、本日は倉根委員、武谷 委員、座席は用意しておりますが急遽松岡委員も欠席との御連絡をいただいております。 残りの先生方は出席予定となっておりますが、飯沼委員、正田委員は遅れているとのこと で、後ほどお見えになるかと思います。現時点で出席の先生方12名になろうかと思いま す。一応定足数に達しておりますので、本部会は成立しておりますことを御報告申し上げ ます。  事務的な連絡ですが、御覧のとおり、本日の議題におきまして公開案件と非公開案件が ございます。まず、議題1と2で医療機器の認証基準に関すること、そして日本工業規格 (JIS)に関すること、この部分に関しましては、会議の冒頭、最初公開案件ということ で、公開の場で議事を扱わさせていただくこととしておりますので、御了承いただきたい と思います。議題3以降に関しましては、医療機器の審査に関する議題でもありますので、 内容によりましては企業情報等に関する部分もございますので、非公開ということで扱わ させていただきたいと思います。傍聴の方々におかれましては、その旨を御理解いただき まして、頭撮りは構いませんが、議事が始まりましたらカメラ撮りは止めていただいて傍 聴のみで、議題2のところまで公開ということにさせていただきたいと思います。それで は笠貫部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 まず最初に、事務局の方から配付資料の確認をお願いします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。公開案件の資料といたしましては、資料 1-1〜2-1まででございます。資料1-1は「医療機器の認証基準案について」、資料1-2 は「医療機器の認証基準に係る基本要件適合性チェックリスト案について」。参考資料が 二つありまして、参考資料1-1は「医療機器の認証基準に関する基本的考え方について」、 参考資料1-2は「認証基準において引用するJIS」。資料2-1は「JISの制定、改正 について」です。以上でございます。お手元に資料のない先生がいらっしゃいましたら、 事務局までお願いいたします。 ○笠貫部会長 資料の方は、おそろいでいらっしゃいますでしょうか。よろしゅうござい ますか。  それでは議題の方に入らせていただきます。議題1「医療機器の認証基準案について」、 事務局の方から御報告をお願いいたします。 ○事務局 「医療機器の認証基準案について」御説明申し上げます。まず、医療機器の認 証基準に関する基本的考え方として、参考資料1-1を御覧ください。今回御報告申し上げ る基準案は、制定が4基準、改正が29基準ございます。  こちらの認証基準案といたしまして、資料1-1の1ページは、「歯科用根管拡大装置認 証基準(案)」。2ページは、「単回使用歯科用ファイル認証基準(案)」。それから単回使 用ということです。4番目としまして、「X線CT組合せ型SPECT装置認証基準(案)」。 それに伴いまして、「日本工業規格が認証される基準案」として、6ページになっており ます。  それに伴いまして、資料1-2にございますが、薬事法41条第3項に定める、医療機器 の定めるべき基準として、基本要件を定めておりまして、それぞれどの部分が適用される かという部分について、資料1-2として、1〜4までの品目までチェックリスト(案)を定 めているものです。  説明が前後してしまいまして恐縮でございますが、参考資料1-1にお戻りください。今 回のものですが、これらの基準といたしましては、認証基準の項目として、医療機器の名 称、技術基準、それと使用目的を定め、これをもちまして認証のための基準としているも のです。  今回参考資料として配付しております1-2につきましては、それらの認証基準において 引用しておりますJISとなっているところです。以上でございます。  内容についての詳細は、基準案の調査を行いました独立行政法人医薬品医療機器総合機 構より御説明申し上げます。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より「医療機器認証基準案」につきまして、資料1-1及 び1-2に基づき御説明いたします。先生方におかれましては、資料1-1と1-2を左右に置 いて説明をお聞ききいただければと思います。  資料1-1を御覧ください。今回、先生方に御報告する認証基準案は、1.〜4.までが新 規に作成した認証基準案4基準、5.については、日本工業規格が改正される認証基準が 29基準となっております。  まず1.の新規に作成する「歯科用根管拡大装置認証基準(案)」から御説明いたします。 資料1-1の1ページを御覧ください。歯科用根管拡大装置は下段の写真にあるように、装 置の先端に取り付けた根管治療用器具を振動、回転等をさせることによって根管拡大等に 用いる装置です。この基準には、電気で駆動する装置と空気で駆動する装置の二つがある ことから、技術基準としては、医用電気機器の安全に関する要求事項を規定したT 0601-1 及び生物学的安全性の要求事項を規定したT 0993-1の二つの日本工業規格を引用するこ とといたしました。  また、この基準の使用目的、効能又は効果につきましては、1ページの上段に記載のと おりですが、中段の参考にもありますように、一般的名称の定義を改正する作業を進めて おり、これに準じた書き振りとさせていただいております。さらに、この歯科用根管拡大 装置につきましては、新たに認証基準案を作成するものでありますので、資料1-2の1ペ ージ〜12ページに、これらの基本要件適合性チェックリストを掲載させていただいてお ります。  次に、2.の新規に作成する「単回使用歯科用ファイル認証基準(案)」について御説明 いたします。資料1-1の2ページを御覧ください。単回使用歯科用ファイルは、下段の写 真にあるように、細いネジのようなものでこれを上下に動かすことで、根管を削ったり拡 大などをするために用いる歯科手術用器具です。この器具は口腔内で使用されることか ら、技術基準としては、生物学的安全性の要求事項を規定したT 0993-1を引用すること といたしました。また、基準の使用目的、効能又は効果につきましては2ページの上段の 記載のとおりです。更に、この単回使用歯科用ファイルにつきましては、新たに認証基準 案を作成するものでありますので、資料1-2の13ページ〜24ページに、これらの基本要 件適合性チェックリストを掲載させていただいております。  次に3.の、新規に作成する「単回使用歯科用根管リーマ認証基準(案)」につきまして 御説明いたします。資料1-1の3ページを御覧ください。単回使用歯科用根管リーマは下 段の写真にもあるように、先ほどの歯科用ファイルと同様の細いネジのようなもので、こ れを回転させることで、根管の拡大等を行うために用いる回転式歯科手術用器具です。こ の器具につきましても、口腔内で使用されることから、技術基準としては、生物学的安全 性の要求事項を規定したT 0993-1を引用することといたしました。また、この基準の使 用目的、効能又は効果につきましては、3ページ上段の記載のとおりです。更に、この単 回使用歯科用根管リーマにつきましては、新たに認証基準案を作成するものでありますの で、資料1-2の25ページ〜36ページに、これらの基本要件適合性チェックリストを掲載 させていただいております。  次に4.の、新規に作成する「X線CT組合せ型SPECT装置認証基準(案)」につきまし て御説明いたします。資料1-1の4ページ及び5ページを御覧ください。X線CT組合せ 型SPECT装置は、5ページの写真にあるように、SPECT装置部で得られた機能的な画像情 報と、X線CT装置部で得られた解剖学的再構成画像とを融合し、重ね合せた画像として 提供できるよう、一台の装置にSPECTの機能とX線CTの機能を組み込んだ装置です。こ の装置は、SPECTとX線CTの二つの機能を組み込んでいるため、技術基準としては、SPECT 装置の認証基準に引用されている技術基準である、医用電気機器の安全に関する要求事項 を規定したT 0601-1及び部位限定X線CT診断装置等認証基準の技術基準である、医用 X線CT装置の安全にかかわる要求事項を規定したZ 4751-2-44の両方の日本工業規格を 引用することといたしました。また、この基準の使用目的、効能又は効果につきましては、 4ページの上段の記載のとおりですが、中段の参考にもありますように、一般的名称の定 義を改正する作業を進めており、これに準じた書き振りとさせていただいております。さ らに、このX線CT組合せ型SPECT装置につきましては、新たに認証基準案を作成するも のでありますので、資料1-2の37ページ以降に、これらの基本要件適合性チェックリス トを掲載させていただいております。  最後に5.の「日本工業規格が改正される認証基準」について御説明いたします。資料 1-1の6ページ〜8ページを御覧ください。ここには現存する認証基準のうち、今回日本 工業規格が改正されるもの29基準を示しております。改正される日本工業規格の内容と いたしましては、告示番号が190と195の歯科材料関連の2基準につきましては、ISO の改正に伴う整合化等であり、それ以降の家庭用医療機器関連の27基準につきましては、 日本工業規格の定期改正に伴う記載内容の適正化等の改正です。これらの認証基準につき ましては、引用する日本工業規格の規格番号は変更されないまま、規格内容が変更される ものでありまして、6ページ〜8ページに記載されたとおり、現行の認証基準に変更はご ざいません。また、これらにつきまして文言等を整理したものですので、基本要件適合性 チェックリストは割愛させていただきました。  以上、1.〜4.の認証基準(案)、5.の日本工業規格が改正される認証基準につきまし ては、今後パブリックコメントを実施し、広く意見をいただいた後に、認証基準の改正を 実施していく予定であります。説明は以上です。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございました。委員の先生方から御意見・御質問等はご ざいませんでしょうか。四つの認証基準(案)と改正される認証基準の御説明ですが、御意 見がございませんでしたら次の議題に移らせていただきます。  続きまして議題2です。「医療機器に関する日本工業規格(JIS)の制定、改正又は廃 止について」、事務局より御報告をお願いいたします。 ○事務局 それでは、医療機器に関する日本工業規格の制定、改正又は廃止の状況につい て御報告いたします。資料2-1を御覧ください。  前回、医療機器・体外診断薬部会において、JISの制定、改廃について御報告をさせ ていただいた昨年の2月26日以降、昨日の18日までに、医療機器関係のJISについて は、16規格を制定いたしまして3規格を改正いたしました。廃止についてはございませ んでした。詳細については、恐縮ではございますが割愛させていただきます。  続きまして、資料2-1の9ページを御覧ください。こちらに3「今後制定されるJIS」、 4といたしまして「今後改正されるJIS」の一覧がございます。今後の制定予定は6件、 改正予定は次のページ裏まで進みまして19件です。以上でございます。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。事務局のただ今の御報告について、御質問等はご ざいませんでしょうか。 ○小田委員 今、改正されるJISにつきまして、現段階のステージというのはどのよう な段階まできているのか分かりますか。 ○事務局 現在、これの付議をしたところです。付議はしておりますが、まだ公示はされ ていないという段階です。 ○笠貫部会長 ほかにはございませんでしょうか。特に御意見がございませんでしたら、 公開案件は以上とさせていただきます。 ○事務局 ありがとうございました。以後の議題は非公開とさせていただきますので、傍 聴の皆様は恐縮ですが、御退席のほどよろしくお願いいたします。  非公開案件の審議、報告は、今から5分後の15時30分より開始させていただけたらと 思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 準備が整いましたので、これより非公開の審議、報告に入らせていただき ます。まず最初に、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 配付資料の確認をさせていただきます。非公開案件としまして、議題3に伴う 資料3〜資料8-1までです。事前に送付させていただいたもの以外に、資料3-2、4-2、 5-2、6-2をそれぞれの品目の諮問書として配布しております。資料8-1としまして、競 合品目リストを当日配付させていただいております。  上から確認していただければと思います。まず資料3-1としまして、事前送付させてい ただいている品目の資料です。恐縮ですが、資料3-1の右上に「審査報告書差換え版」と いうものがあります。それから、当日配付の諮問書、資料3-3は「Merciリトリーバー」 の審査報告です。こちらはパワーポイントの打ち出しとなっています。参考資料としまし て、適正使用のための実施基準です。資料4-1は「クロッサーシステム」の資料です。当 日配付の諮問書、資料4-3のクロッサーシステムの審査報告もパワーポイントの打ち出し です。参考資料4-1は医療機器のクラス分類ルールについてです。資料5-1は、「胎児シ ャント」の希少疾病用医療機器としての指定の可否についてです。資料5-2は、当日配付 の諮問書です。参考資料5-1は、指定制度の概要です。資料6-1は、新たに追加する医療 機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定についてです。資 料6-2は当日配付の諮問書です。資料7-1は、部会の報告品目一覧です。当日配付の資料 8-1は、競合品目・競合企業リストです。参考資料8-1は、薬事分科会審議参加規程です。 多くて恐縮ですが、以上でございます。お手元にないものがございましたら、事務局まで よろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 資料の方はおそろいでしょうか。それでは議題に入ります。本日の審議事 項に関与された委員と、利益相反に関する申出状況につきまして、事務局から御報告をお 願いいたします。 ○事務局 御報告申し上げます。本日審議対象となっております品目のうち、利用資料の 作成に関与された先生は、議題5の「医療機器『胎児シャント』の希少疾病用医療機器と しての指定の可否について」ですが、参考人の川鰭先生です。  競合品目につきましては、当日配付させていただきました資料8-1を御覧ください。ま ず1枚目の「Merciリトリーバー」につきましては、現在日本で承認されている競合品目 はありませんが、国内取扱い予定企業と、アメリカで承認されている類似品目がございま して、この二つを競合品目とさせていただいております。  2ページの「クロッサーシステム」ですが、類似品目で競合すると思われるものがない ため、なしとさせていただいております。  3ページ、「胎児シャント」ですが、同様に類似品はないということです。以上です。  本日、これらの審議品目のリストによりまして、参考人の先生方、委員の先生方から、 寄付金・契約金の受取状況などをお伺いしましたところ、本日の審議品目について、御退 席いただく委員の先生、議決に御参加いただけない先生はいらっしゃいませんでした。し たがいまして、本日の議題につきましては、議題5におきまして、利用資料について発言 することができない委員が川鰭参考人で、その他につきましては、すべての委員が審議及 び議決に加わることができますことを御報告申し上げます。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。ただ今の事務局からの説明につきまして、特段の 御意見はございませんでしょうか。  よろしければ、これより議題に入らせていただきます。議題3「Merciリトリーバー」 の製造販売承認の可否等について審議を行います。本品目の審議に当たりましては、参考 人として千葉県救急医療センター・センター長の小林繁樹先生に御出席いただいておりま す。よろしくお願いいたします。  それでは審議品目の概要につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 「Merciリトリーバー」について御説明申し上げます。審査報告書の差換え版、 資料3-1の4ページ〜5ページを御覧ください。5ページに品目の図を記載しておりま す。4ページを御覧いただきたいのですが、一般的名称として「中心循環系塞栓除去用カ テーテル」ということで、4ページの下から5行目にありますが、脳血管の塞栓部位の遠 位側まで進め、血栓を把持し、回収して除去するといった製品です。この品目については、 「医療ニーズの高い医療機器の早期導入に関する検討会」において、「疾病の重篤性が高 く、当該医療機器等の医療上の有用性が高い」ことから、「我が国での医療ニーズが高く、 優先して早期導入すべき医療機器」として選定され、優先審査品目となっております。  また、本品目につきましては、医療現場において適切に使用されるよう、関連する学会 に実施基準を策定していただいております。そちらが参考資料の3-1です。日本脳卒中学 会、日本脳神経外科学会、日本脳神経血管内治療学会で、回収用機器の実施基準として、 適用、実施施設基準、実施医基準を策定していただいております。  本品目の審査の概要につきましては、審査を行いました医薬品医療機器総合機構より御 説明申し上げます。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。資料3-3を御覧ください。審 査に当たり、御覧の専門委員の御意見をいただきました。  審査報告書4ページ、5ページの品目概要をお示しいたします。本品は遠位端にらせん ループを有する、テーパーの付いた柔軟性のあるワイヤー状のデバイスであり、別品目と して申請中の専用のMerciバルーン付ガイディングカテーテル及びマイクロカテーテル を用いて、血栓を除去し、血流を再開させます。  審査報告書6ページ〜7ページの品目概要の続きをお示しいたします。Merciリトリー バーは、開発の早い順にXシリーズ、Lシリーズ、Vシリーズがあり、本品はVシリーズ に該当します。らせん部への曲がり角度やフィラメントの追加などの改良が行われており ます。  審査報告書7ページ、本品の海外における使用状況の概要について御説明いたします。 本品は欧州、米国など10か国で承認を受けており、全世界で約6,500本の販売実績があ ります。スライドにお示ししますような有害事象が報告されております。  続きまして審査報告書8〜12ページにお示ししました、非臨床試験として御覧の試験 資料等が提出されております。Vシリーズの、Xシリーズ、Lシリーズとの同等性が評価 され、了承されております。  臨床の部分に関してですが、審査報告書13ページ〜21ページの概要を御説明いたしま す。本申請には、Xシリーズを用いたMERCI試験、XシリーズとLシリーズを用いたMulti MERCI試験が提出されております。主要評価項目は、血流再開の成功率であり、客観的性 能基準として、PROACTII試験におけるヘパリン投与群59例の成績から示された血流再開 率18%を設定しております。また、副次評価項目としまして、神経学的評価と重大有害 事象を確認し、安全性評価として手技関連のSAEの発生率と、24時間以内の症候性の 頭蓋内出血を確認しております。有害事象とSAEの定義につきましては、このスライド の下の部分に示されています。  血流再開成功率は、MERCI試験及びMulti MERCI試験では、48.2%及び54.9%であり、 履歴対照の18%に比べ、有意に良好であることが確認されております。  MERCI試験とMulti MERCI試験をそれぞれ血流再開成功群、不成功群に分けて神経学的 評価と死亡率を検討したところ、軽度の神経障害まで改善した患者を示すmodified Ranking Scale(mRS)2以下の比率や、90日後の死亡率は、いずれも血流再開成功群で 良好であることが確認されております。  しかしながら、提出された臨床試験においては、いずれもPROACTIIのヘパリン群に比 べて、血流再開率が有意に向上しているのにもかかわらず、死亡率が増加していることが 確認されました。この背景を調べてみますと、PROACTII試験の患者群に比べ、Merciリト リーバーを用いた二つの臨床試験の患者群は、ベースラインのNIHSSが高く、高齢であり、 PROACTII試験で対象となっていないMCA以外の梗塞部位が含まれているなど、患者背景 に隔たりがあったため、死亡率、神経学的予後を直接比較することは困難であり、適切な 対照群を設定することが必要であるということが考えられました。  また、MERCI試験及びMulti MERCI試験の死亡症例の70%以上は、原脳卒中の進展や自 然経過によるものであり、本品を用いたことにより特段死亡率が上昇しているのではない ことが確認されております。  臨床試験に関する論点について御説明いたします。まず、提出された臨床試験が本品の 前世代モデルであるXシリーズ、Lシリーズで行ったものですが、性能試験等から同等性 が認められることから、これらの臨床試験で本品を評価することは可能であると判断いた しました。また、本品が適用される急性期虚血性脳梗塞は、その発生要因等に日米間で大 きな差がなく、医療環境についても改めて国内臨床試験により評価が必要になるほど大き な差がないということが考えられたため、我が国における本品の有効性及び安全性を確認 するに当たり、海外臨床試験のみで評価することは可能と判断いたしました。  その他の論点の一つ目として、本品を用いた介入治療の妥当性についてですが、本品に よる介入治療の妥当性を説明するためには、非介入の対照群との比較が必要と判断し、厚 生労働科学研究班が収集した本邦の急性期虚血性脳梗塞患者に対する内科的治療の転帰 データから、本品の対象患者と同等の患者背景を調整した本邦データと比較・考察するこ とを行いました。ここで示しましたプールデータは、MERCI試験とMulti MERCI試験の合 算データから、t-PA投与例を除外したものを示しています。本品による死亡率は、本 邦データとほぼ同等であるものの、重度の障害を残す患者を示すmRS5+mRS6や 90日後のmRS2以下の患者の比率において、本邦データに比べ神経学的症状の改善が 認められております。  論点の二つ目として、血流再開不成功に伴うリスクについてですが、本邦データの80 %の症例は、内科的治療が行われた症例であり、本邦データの血流再開成功率は、血管内 治療であるプールデータに比べ低いことが推測されます。しかしながら、本品群では、血 流再開成功率の向上に伴い、死亡率の低下が見込まれるはずだったのですが、死亡率の低 下は認められませんでした。このことから、本品による血管内治療による血流再開が不成 功に終わった場合の予後は、内科的治療による血流再開不成功時に比べて悪化している可 能性があることが確認されました。したがいまして、本品による治療は対象患者が重篤で あることを勘案しても、リスクが高い治療であることを十分に認識し、適用する患者又は それに変わり得る適切な者に対し、本品による治療のリスクを適切に説明し、同意を得た 患者に使用することが重要であると判断いたしました。  論点の三つ目として、リスク低減化措置についてですが、本品による治療は効果が期待 できる患者を選択し、治療に伴うリスクが高い患者を除外して使用することが重要であ り、本品を用いた治療について、十分な知識・経験を有した医師が、本品の適用を適切に 選択して使用することが重要であることから、承認条件1を課すことが妥当であると判断 いたしました。また、本品の手技によるリスクを低減し、手技後の予後を慎重に観察する ことが重要であることから、適切な体制が整った医療機関で使用される必要があるため、 承認条件2を課すことが妥当であると判断いたしました。  加えまして、臨床試験で死亡率が高い傾向であった、高齢者、術前NIHSSスコアが高値 な患者、内頸動脈閉塞患者等については、治療によるベネフィットが得られにくいと想定 されるため、本品適用の是非を慎重に判断する必要がある旨を、添付文書において注意喚 起することが妥当であると判断いたしました。  論点の四つ目として、臨床試験の結果を踏まえ、使用目的を変更することについてです が、MERCI試験及びMulti MERCI試験では、脳梗塞発症後8時間以内の患者を対象として おり、発症が8時間以上経過した患者における有効性及び安全性は検証されておりませ ん。したがいまして、使用目的において、原則として8時間以内の患者を対象とすること が妥当であると判断いたしました。本審査において、このスライドでピンクの文字で示し たところが変更したところであります。  以上の審査の結果を踏まえ、御覧の承認条件を課すことが妥当であると判断いたしまし た。  総合機構は、本品の位置付けを明確にするため、こちらにお示しいたします、使用目的 で承認することが妥当であると判断いたしました。  なお、本品は新性能医療機器であり、再審査期間は3年とし、生物由来製品に非該当と 考えております。委員の先生方からの事前のコメントはございません。以上、御審議のほ どをお願いいたします。 ○笠貫部会長 参考人の小林先生の方から何か付け加えることはございますでしょうか。 ○小林参考人 ただ今説明がありましたように、このデバイスは基本的にはt-PAの適 応外、若しくはt-PA無効のケースに使うということになっております。やはり現在ま で使われている脳梗塞に対する急性期の治療で、血流を元に戻すという治療は、基本的に はt-PAやウロキナーゼは線溶系ですとか凝固系をいじる治療なのですが、このデバイ スは物理的にこれを開通させようということになりますので、基本的には凝固系を直接は いじらないということがあって、これは恐らく再開通治療で、今一番恐れられている出血 性梗塞に対する危険をかなり低減させる期待が持てるものではないかと考えられます。線 溶系をいじらずに再開通するというコンセプトが非常に大きな特徴だと考えます。  一方で、やはりこれだけのものを脳の血管内でいじるわけですから、そういった意味で はある一定の技術水準が必要とされると思います。今年になってから、ストローク誌やA JNR誌というようなところに、一定の技術水準、施設のレベルが必要なのではないかと いうような提言や、そういうペーパーが複数出まして、その辺のところは十分に配慮して いただく必要があると考えております。  脳梗塞の患者さんは非常に多いので、広く普及してほしいという反面、やはり技術的な 一定のレベルは確保されなければいけないと思います。これを拝見しますと、承認条件の ところには、知識・経験については書かれているのですが、できれば、有効かつ安全にこ れを使えるような技術を持つ医師が使う、というようなことを付け加えられたらいかがか と考えています。私からは以上です。 ○笠貫部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御意見・御質問はご ざいませんでしょうか。 ○北村委員 どうもありがとうございました。t-PAが不成功例と判断したときに、ど のくらいの時間をあける必要があるのですか。出血傾向がある患者は注意する必要がある と先生はおっしゃられたのですが、何かそういう決まりはあるのですか。t-PA不成功 例に対してどのぐらい速やかにこの器具の導入をするのか、すべきなのか。 ○小林参考人 t-PAが認可された過程の中で、いわゆる脳梗塞の残存血流量の評価と いうのは余り話題になっていませんでしたが、恐らくt-PA不成功ということになりま すと、何らかの形で血管撮影などによって、残存血流量がもう少し情報が多くなると思い ます。それがあれば、そんなに急がなくてもいいという気もしますが、基本的にはできる だけ早く再開通させるということが基本ですので、やはり凝固系のバランスとの時間を置 いた方がもちろん安定はするのだと思うのですが、基本的にはTherapeutic time window の中でということを考えると、なるべく早くということになると思います。不成功という ように判断したらば、急いでという形の方がよいと思います。 ○北村委員 ありがとうございました。 ○笠貫部会長 ほかにはございませんか。 ○荒井部会長代理 この参考資料では、日本脳卒中学会等々の学会からの使用基準が示さ れています。気になりましたのは、この中で盛んに「講習会」という言葉が出てくる点で す。この講習会の主体はどこですか。下の方に「日本脳卒中学会の承認する本薬使用のた めの講習会」とあります。承認するのはよいのですが、だれがこの講習会を主管して内容 を検討していくのかが、非常に大事な部分だと思います。この講習会を、どこが責任を持 って行っていくのかに関しては、どのような議論があったのか教えていただければと思い ます。 ○笠貫部会長 事務局の方、あるいは小林先生。 ○機構 厳密には確認が取れているというわけではなくて、作っていただいた先生からお 話をお伺いした範囲での回答になりますが、もともとはt-PA静注療法のときに作られ たガイドラインといいますか、こういう基準を基に作られておりまして、そのときに行わ れている形と基本的には路線として同じようにやっていくということだとは伺っており ます。ただ、デバイスの場合ですと、薬とは違ってかなり個別の話が入ってくるので、通 常ですと、講習会の内容の概略については、PMDAでは機器審査部と安全部の方で事前 に確認させていただいております。その上で、ある程度内容等について把握した上で、基 本的には学会の先生方に一読いただいて、その内容で差し支えないかという形でお願いを させていただいていますので、基本的なラインとしては、そういった形での確認の上でさ れると思います。ただし、講習会の実施元となりますと企業になると思いますので、企業 の管理下での講習会を実施していただきます。その中で使うコンテンツ等については、こ ちらで少し組まさせていただくというような状況だと御理解いただければと思います。 ○荒井部会長代理 ありがとうございます。ここのところは非常に大事だと思います。き ちんと筋立てしておかないといい加減になってしまう可能性があるところなので、質問さ せていただきました。 ○塩川委員 私は脳卒中もやっておりますので、t-PAの場合は、脳卒中学会が主体と なった講習会をやっており、受講資格も非常にはっきりしていて、その後も講習会を引き 続きやっております。このデバイスは、日本の血管内治療は主に脳外科医が大多数やって いるのですが、例えば実施基準でも、頭蓋内へのカテーテルの誘導経験を規定しているの です。ですから、これはまたこの春にも、外科と内科と一緒に脳卒中の合同学会をやって おりますが、やはり血管内治療の学会が中心となって、先ほどもお話がありましたが、脳 梗塞は非常にコモンディジーズでありますので、将来的には脳卒中学会がそれを、t-P Aに続く次の治療としてかかわっていくようになるという方向性でやっていくというの が、現場の意向だと思います。 ○笠貫部会長 今の御指摘は大変大事なことだと私も思います。特にこのデバイスは、日 本での臨床試験はないですね。そのときにだれが主体でだれが責任を持ってその内容を講 習するのかというのは、極めて大事な問題だと思います。確かに、企業が主体で講習会を 開くにしたとしても、その内容・質の担保というものをどうするかということは、先ほど 事務局の方からもお話がありましたが、PMDAも主体的に関わり合いを持っていくとい うお話だったのですが、これは学会としても責任を持ってこれに当たるというように考え てよろしいでしょうか。 ○塩川委員 PMDAの場合も、企業が市販後調査を中心に1万件近くやっております が、現場で実質担当するのは血管内治療学会ですので、その後の予後の確認は、間違いな く、血管内治療学会が中心でやっていく方向になると思います。 ○笠貫部会長 それに関連してなのですが、先ほど小林参考人から、薬とは違って、この デバイスについては技術と経験をどう担保するのかというお話が出たと思うのですが、ど ういう形で全症例を調査していくかということが大事になってくるのではないかと思う のですが、この点はいかがでしょうか。日本のドクターが日本の脳卒中の患者さんに、日 本のストロークという救急治療の中で、どのような結果をもたらすのかということについ てのフォローが非常に大事かと思うのですが、その点について学会としてどういうお考え がおありかお聞きしたいのですが。 ○小林参考人 私は脳神経血管内治療学会の理事でもあります。こちらの学会としては、 今御指摘の点は非常に重要と考えておりまして、かなり精密なフォローアップと、実際に 治療する血管内治療学会の医師が少なくとも最初は主体になると思いますので、十分な調 査をさせていただいて、場合によっては施行基準などについても、もう少し厳しくする、 緩くするというようなことも含めて検討できるぐらいのデータを収集していきたいと考 えております。 ○笠貫部会長 事務局としても全症例登録というのは、承認基準に入っていなかったので すが、この辺についての検討はいかがでしょう。 ○機構 事務局から回答させていただきます。最初の段階で、実は症例数もそれほど多く ないだろうということが想定されましたので、最初は全症例というスタンスで検討させて いただきました。企業と交渉させていただいたのですが、企業はこのデバイスは1年間に 1、2例しか使わない施設がかなり多くなりそうだと申しておりまして、それが多くなる と、契約をたくさん行って、どこが使ってもらえるかというところがなかなかつかめなく て、企業側としては非常に大変な作業になる中で、なかなか症例が取れないというところ があるので、8割、9割方は多くの数を使われる症例が、ある施設に集まってくるので、 取りあえずそこだけで取れないかということを言っておりました。  ただ、今日のお話ですと、小林参考人も技術の担保ということを非常に重要視するとい うお話があり、論文が少し出たというお話もありますので、すべての症例を入れる形が一 番理想的だと思うのですが、技術の担保が必ずできているという部分の先生の数というの は、最初の段階ではそれほど多くないかもしれませんので、企業と交渉しながら、基本は 全例のラインで交渉を進めていくことができると思います。  その中で、場合によっては救急的な医療にもなりますので、技術の講習が終わっている ところで、まだ施設の契約が終わっていない場合に、もし患者さんが来た場合にどうする のかということが、実は議論の中でも上がっていまして、そういったレアケースの対応に ついて、少し議論はしなければいけないと思いますが、その点を踏まえて、全例の方向を 含めて検討をさせていただきたいと思います。 ○笠貫部会長 この点について委員の先生方から御意見はございますでしょうか。この治 療法が必ずしも死亡率を抑止しないというデータは非常に大きいとは思いますので、私は 基本的には全症例という安全性第一から、まず入られるのがよいかと思いますが、ほかの 委員の先生方の御意見はいかがでしょうか。企業の考え方もあるということですが、御検 討いただくということで、進めてよろしいでしょうか。そのほかにはございませんでしょ うか。  私はこの参考資料3-1は、これではまだ不十分という感じが少しいたします。これはま だt-PAの実施基準ということですので、デバイスという形になりますと、t-PAとデ バイスとの関係、そして適応基準についても、かなり厳しいものが求められるかと思うの です。こういうものについてデバイスが新たに入ったというところで、学会としてガイド ラインを新たに見直すという方向性はあるのでしょうか。いかがでしょうか。 ○塩川委員 私は脳卒中合同ガイドラインの委員もやっております。この血管内治療のデ バイスは、非常に短期間で進歩が著しいので、ガイドラインの見直しという点については、 数年おきということではなくて、新たな知見が出たところでガイドラインを見直すという ことが明確に議論されておりましたので、それはそういう方向になると思います。 ○笠貫部会長 よろしくお願いいたします。そのほかにはございませんでしょうか。 ○医療機器審査第一部長 今、小林参考人から承認条件についてもう少し明確に、技術や 経験を有する医師ということを書き加えた方がいいのではないかというような御提案が あったと思うのですが、その点について、できれば先生方から御意見をいただければと思 います。 ○笠貫部会長 少し具体的にということですが、小林参考人、具体的にはどのように変え られた方がいいか、御意見はございますでしょうか。 ○小林参考人 この承認条件の文書を基に考えますと、1番につきましては、「脳血管障 害に対する知識・経験を有するとともに、本品を安全かつ有効に使用できる技術を有する 医師が、適応を遵守し、講習の受講等により、本品の適切な使用における手技及び合併症 等に関する十分な知識を得た上で用いられるよう、必要な措置を講じる」というような形 はいかがかと思います。 ○笠貫部会長 よろしいでしょうか。ほかにはございませんでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 今の承認条件についてなのですが、たとえ今のような御提案で 修正したとしても、この条件がかかる対象は製造販売業者ということになりますので、製 造販売業者として必要な措置を講じたということで終わってしまっては、実際使用に当た って、極めて注意を要する機器を使うドクターに対してそれが届くかどうかは、最大限企 業として、条件として求められている措置を講じるというところで止まってしまっては、 余り意味がないと思っております。であるならば、むしろ、どこを注意すべきかというこ とを、十分添付文書ででも注意を促す必要もあると思いますし、またさらに学会から見直 しもされる予定だというように伺っております実施基準にもそういった技術的なところ を具体的に示していただくといったことが、実を取るという意味では必要ではないかと考 えております。 ○笠貫部会長 これは事務局の方で詰めていただくということにいたしましょうか。非常 にニーズの高いというところで、新しいデバイスとして求められているということの前提 条件として、しかし、日本ではまだ試験は行われていないことでの導入をどうするかとい う大きな問題を抱えていたというように私も思っております。そういう意味では、承認条 件の中で、今の検討を更に加えていただくことと、全症例調査ということを前提にしてい ただくこと、あるいは、これからトレーニングについての学会での更なる取組みと、ガイ ドラインについても取組みをしていただく、という形で議論が進められたというように思 います。ほかには御意見はございませんでしょうか。  それでは御意見がないようでしたら、以上のことで議決に入りたいと思います。医療機 器「Merciリトリーバー」については、本部会として審査報告書にある条件を付した上で、 承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間は3年間とし、また生物由来製品及び特 定生物由来製品への指定は不要ということでよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果につき ましては、次回の薬事分科会において報告することにいたします。それではこの議題につ きましては終了といたしますので、参考人の小林先生におかれましては、御退室をお願い いたします。貴重な御意見、どうもありがとうございました。 ── 小林参考人退室 ── ○笠貫部会長 続きまして、議題4「クロッサーシステム」の製造販売承認の可否等につ いての審議を行います。  本品目の審議に当たりましては、参考人として、東邦大学医療センター大橋病院教授の 中村正人先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。審議品目の概要 について、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 資料4-1に基づき簡単に御説明申し上げます。「クロッサーシステム」ですが、 緑のタブの審査報告書をおめくりいただくと、総合機構による「審査報告書」があります。 4、5ページの左下に品目の写真などがあります。こちらを御覧いただきたいと思います。  こちらの品目ですが、USCIジャパン株式会社が、一昨年12月に承認申請したもの です。2.「審議品目の概要」を御覧ください。経皮的血管形成術において、ガイドワイ ヤーの通過困難な症例に対して用いるデバイスです。こちらを経皮的に使いまして、図2 のクロッサーエレクトリクスから発生する機械的な振動、2万Hzという高振動ですが、 そちらを用いてガイドワイヤーの貫通補助に用いるというものです。  審議品目の概要については総合機構から説明申し上げますが、こちらの品目について は、現時点でふさわしい一般的名称がありません。したがいまして、新しい一般的名称を 設け、クラス分類について定める必要があります。こちらについて御説明申し上げます。  資料4-1の審査報告書の一つ前のタブに、「新一般的名称クラス分類等」というものが あります。そちらに「指定の要否について」という1枚紙があります。高度管理医療機器、 管理医療機器の指定に関する考え方に基づき、一番下の表で、一般的名称を「振動式末梢 血管貫通用カテーテルシステム」としています。クラス分類については、非常に侵襲性の 高いものということもありますので、参考資料4-1の「クラス分類ルール」に従いまして、 クラス分類はIVです。本体部分である図2の部分の、クロッサーエレクトリクスは特定保 守管理該当です。生物由来のものは使用されておりませんので、生物等には非該当という ことで案とさせていただいております。以上でございます。概要について、総合機構から 御説明申し上げます。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明します。資料4-1を御覧ください。医薬品医 療機器総合機構での審査に当たり、御覧の専門委員の御意見をいただきました。  審査報告書4ページの品目概要をお示しいたします。本品は、経皮的血管形成術におい て、血管形成術用の通常のガイドワイヤーの通過が困難な末梢血管内の狭窄病変に対し、 機械的振動を用いてガイドワイヤーの貫通補助を行う医療機器であり、こちらの図にお示 しします血管内に挿入するクロッサーカテーテルと、出力を制御するクロッサーエレクト リクスより構成されております。  審査報告書6、7ページの、本品の海外における承認状況と不具合の概要について御説 明します。本品は、欧州・米国で承認を受け、全世界で□□セットの販売実績があり、現 在までにこちらにお示ししますような不具合が報告されておりますが、当該不具合に関連 した合併症は報告されておりません。  審査報告書9〜11ページの非臨床試験の概要をお示しいたします。本品は、機器の性 能を裏付ける試験として、イヌを用いた試験及びヒト死体標本の閉塞血管を用いた試験成 績が提出されており、イヌの試験については、熱による平滑筋等の軽度の血管障害が確認 されておりますが、発熱は一時的なものであり、自然治癒可能なレベルであったことから、 熱によるリスクは許容範囲内であると判断しました。しかし、過度の発熱を抑制すること が重要であるため、連続使用時間、回数に制限を加え、累積して5分以上使用しない旨を 添付文書及び使用方法欄に記載することが妥当と判断しました。  ヒト標本試験については、5例の不通過、本品の内膜下への迷入のため中止した1例の 結果が認められています。ヒト標本試験の高度石灰化病変及び屈曲病変は、過酷な屈曲モ デルであったため、内膜下にカテーテルが迷入した事例は、無理なカテーテル操作が引き 起こした可能性が考えられます。したがいまして、本品の限界を理解し、無理な使用によ り不具合を発生させないことが重要であるため、貫通力の強い先端荷重の重いガイドワイ ヤーを使用した後に本品を使用しないよう、添付文書において注意喚起することが妥当で あると判断しました。  続きまして、本品の論点となる臨床部分に関して、審査報告書12ページ〜14ページの 概要を御説明します。本申請には、米国8施設85例を対象に行われました、海外多施設 共同前向きレジストリーの試験成績が提出されております。本レジストリーの目的は、通 常のPTAガイドワイヤーが通過困難な下肢CTO病変に対する通過安全性及び有効性 の評価であり、下肢動脈にCTO病変があり、通常のPTAガイドワイヤーが不通過であ った患者を対象としております。  安全性の評価については、主要安全性エンドポイントである臨床上の血管穿孔が術後 30日間に発生しないこととし、参考文献における類似医療機器の血管穿孔発生率の推定 値2.0%と同等であることを検証しています。本品以外の機器によって血管穿孔を生じた 1例を除きまして、85例中84症例、98.8%で達成しております。  その他、本品使用時に関連が否定できない有害事象として、こちらにお示ししますよう な有害事象が報告されております。また、本品の不具合については19件確認されていま すが、当該不具合に関連する合併症は報告されておりません。  有効性については、主要有効性エンドポイントを、「血管形成術用の通常のガイドワイ ヤーによる通過の抵抗を示した症例で、本品の挿入あるいは、ネイティブな下肢動脈のC TO病変の通過によりガイドワイヤーを末梢血管に通過させること。」としており、85 症例中71例の83.5%で達成しております。また、副次的評価項目である技術上の成功、 手技上の成功、臨床上の成功については、それぞれ83.5%、75.3%、74.1%の達成率が 得られております。  審査報告書16ページ〜18ページの総合評価の概要を御説明いたします。まず論点の一 つ目、当該製品を用いた後の最終的な治療成功ではなく、臨床上の血管穿孔が生じないこ とを主要安全性評価項目、対象病変に対するガイドワイヤーの通過成功を主要有効評価項 目に設定した本臨床試験により、本品の有効性及び安全性を確認できたと判断した妥当性 についてですが、本品を血管内治療の有用性が確認されている病変に用いるのであれば、 本品の有効性はPTA用の通常のガイドワイヤーでは通過が困難な病変に対し、安全にガ イドワイヤーを通過させ、その後の血管内治療が有効かつ安全に実施されたことを示すこ とにより、評価可能であると判断いたしました。本品の手技上の位置付けを踏まえまして、 使用目的、効能又は効果に本品の位置付けを明記することにより、了承いたしました。  続いて論点の二つ目、海外臨床試験の日本への外挿性についてです。併用機器に関する 日米間の違いのうち、特に差が認められる機器は貫通用のガイドワイヤーや浅大腿動脈領 域のステントと考えられます。浅大腿動脈領域のステントは本品使用後に用いるため、本 品の有効性及び安全性に影響を及ぼさないと考えられますが、貫通用ガイドワイヤーによ る貫通を試みた病変に対しまして本品を適用すると、穿孔リスクが増大する恐れがありま すので、原則として併用しない旨を添付文書にて注意喚起することが妥当であると判断し ました。また、本品使用において大きな影響を及ぼすと考えられる人種差、末梢閉塞病変 の治療指針、本品の適用前に使用される機器には大きな日米差は認められませんので、本 臨床試験により、日本における本品の有効性及び安全性を評価することは可能であると判 断いたしました。  最後に、論点の三つ目の使用目的の妥当性についてです。腸骨動脈領域につきましては、 臨床試験におきまして評価されていないことに加えまして、穿孔や破裂を生じた際の止血 が困難であり、リスクが高く、現時点では当該領域に対する有効性及び安全性の担保が不 十分であることから、腸骨動脈領域を適応から除くことが妥当であると判断いたしまし た。本品は既に行われております血管内治療の補助を行うものであり、血管内治療の対象 を広げるものではございませんので、本品の位置付けを使用目的、効能又は効果において 明確化することが妥当であると判断いたしました。  総合機構は、本品の位置付けを明確にした、こちらにお示しする使用目的で承認するこ とが妥当であると判断いたしました。  なお、本品は新性能医療機器であり、再審査期間は3年とし、生物由来製品又は特定生 物由来製品に非該当と考えております。  なお、本品につきまして川上委員よりコメントをいただいておりますので、紹介させて いただきます。「承認に異議を唱えるものではありませんが、評価対象になっている主な 臨床試験がパトリオットスタディーという米国のもので、その規模も85例と多くありま せん。少し気になります」とのコメントをいただいております。  こちらに関しましては、本品が米国試験のみにて評価されていることについては、スラ イドにて御説明申し上げましたとおり、SFAのステント適用及び貫通用のガイドワイヤ ーへの相違以外には、日米間における人種差、医療環境差において大きな差は認められて おりませんので、当該臨床試験のみで、本邦の有効性及び安全性を評価することは妥当で あると判断いたしました。  また、症例数の妥当性に関しては、審査報告書12ページに記載がありますように、本 試験ではCTO病変に対する臨床上の血管穿孔の発生率の推定値2.0%と推定し、当該試 験のサンプルサイズを設定しておりますことにより、臨床上の血管穿孔2.0%の非劣性が 検証されていることを確認していること、対象を通常のPTAガイドワイヤーの通過がで きなかった病変を対象として通過率が83.5%であることから、当該症例数においても試 験の目的は達成できているものと考えました。  以上より、本品が通常のガイドワイヤーの通過が困難な末梢血管内の狭窄病変に対する ガイドワイヤーの通過補助としての位置付けをかんがみますと、海外臨床試験のみにて、 本邦における有効性及び安全性を評価することは妥当であると判断いたしました。以上、 御審議のほどお願いいたします。 ○笠貫部会長 参考人の中村先生から追加はございますか。 ○中村参考人 事務局から御説明がありましたように、本品は海外データのみの申請のデ バイスであります。主な目的は、完全閉塞性病変に対してガイドワイヤーが通らない場合 に、そのガイドワイヤーの貫通を補助する道具ということですので、この道具のみでこの カテーテル治療が終わるというものではなくて、初期の段階のガイドワイヤーが通るとい うところだけを補助する道具という位置付けになっております。  このガイドワイヤーを補助するという意味から想定しますと、どこの血管にも使えると 言えば使えるわけですが、先ほど説明がありましたように、臨床試験における経験はほと んど浅大腿動脈のみに限られているということと、腸骨動脈においては、いったん合併症 が起きると致命的な合併症になることをかんがみまして、限定した適応から始めるのが妥 当かと考えております。 ○笠貫部会長 委員の先生方から御意見・御質問はございますか。 ○北村委員 これを通した後はステントを入れるとか、PTAバルーンをやるとか、別の 機械に入れ替えるわけですか。 ○中村参考人 そういうことになります。 ○北村委員 これにセットされた形で、通ったガイドワイヤーの上に、On The Trackみ たいな形で入るものはないわけですね。 ○中村参考人 ございません。 ○北村委員 どこの血管でもということをおっしゃいましたが、心臓の冠動脈などにいく ことはないですね。 ○中村参考人 あり得ないと思います。 ○荒井部会長代理 今も御説明がありましたが、下肢の血管で腸骨動脈を除くという点 が、どうしても引っ掛かります。臨床データがないということで、あえて入れる必要はな いというご説明も分かります。しかし、よくこういった場合に、どこどこについては安全 性が確認されていないからという表現がされますが、今回あえてここを抜かしてしまって いると思われます。審査の論点の下の方で、本品は補助をするものであって、「血管内治 療の対象を広げるものではない」という表現がしてあるのですが、もともと腸骨動脈領域 は血管内治療の対象領域です。先ほど中村先生からお話いただいたように、万一合併症が 起きたら、確かにこの領域は止めにくいですし、重篤になることはありますが、通常のガ イドワイヤーを使って突破しようと思っても、万一起これば同じように重篤になるところ です。よって、少しでもリスクが低いということで使われる可能性は、臨床現場で今後当 然出てくると思うわけです。あえてここを外してしまうこと、すなわちやってはいけない という形で除外することが適切かどうか、この点についての疑問を感じます。御説明いた だけますか。 ○機構 この点については、こちらも慎重にディスカッションをした内容です。外してし まうというか、適応外になっている状況です。適応外ですから対象とはなっていないので すが、使ってはいけませんという形は、適応の中に入った上で禁忌に置くとか、そういっ た位置付けではなくて、適応外だということをまず前提として御理解いただければと思い ます。  あと、議論の中で、もし穿孔が起こった場合に、腸骨動脈というのはレスキューするデ バイスがないので、そのときに合併症が大きくなるだろうということがまず一つありま す。  それから、ガイドワイヤーと何が違うのかという話があるのですが、ガイドワイヤーに おいて起こる穿孔と、本品のような振動を与えるデバイスによって生じる穿孔というのは 同じかどうかというと、こちらの方はそこのリスクに関する予想が付かないわけです。そ こで穴を開けてしまった場合、ガイドワイヤーであれば穿孔はそんなに大きくならないか もしれないけれども、本品で開けてしまった場合のリスクは、まだ大きくなるかもしれな い。そういった部分も考えまして、審査報告書の中でも、そのような形で考察させていた だいておりまして、本品の特徴を加味した上で、今回適応から外しています。もちろん臨 床試験の中で評価されていないこともあるのですが、そういった形で評価させていただき ました。  臨床試験の除外基準に入っていたのが、頸動脈、腎動脈、腸骨動脈で、そういった中で 行われた臨床試験であったので、今回は適応から外させていただいたと考えております。 ○笠貫部会長 ただ今の件について御意見はございますか。私からですが、例えばこの対 象は慢性の閉塞ですよね。それに対して、どこまでそれをこのデバイスで通過させなけれ ばいけないのか。そこの適応の問題は非常に大きいと思うのです。先ほどの論点の中でも、 これは治療成功ではなくて、安全性の評価と通過成功というものを主要項目にしたとい う、臨床試験としては、非常に大きな限界があるのだろうと思うのです。そういう意味で は、先ほど中村参考人もおっしゃったように、安全性を第一に考えるとしたら、私は下肢 だけにした方がいいのではないかと思います。  添付文書の中で、「適応対象は下肢動脈以外に使用しないこと」ということだけで済む かどうか、少し不安です。禁忌にするのと、対象を両方で縛らないと、慢性閉塞にはチャ レンジケースが出てくるリスクがあるのではないかと思うのですが、この辺は御検討いた だいたでしょうか。 ○機構 次のページの左側の上から3つ目ぐらいのところに、使用目的、効能又は効果が あります。その一番最後の行に、申請当初は入っていなかったのですが、今回、「対象血 管は、下肢動脈(腸骨動脈領域を除く。)のうち血管内治療が推奨される病変とする。」と 入れさせていただいています。まず下肢領域ということを明確にすることと、その中でも、 下肢は全部治療していいというわけではなくて、ガイドラインのTASCもありますの で、その中で、治療が推奨されているものだけに対して本品を使ってもよいという形の限 定を、使用目的、効能・効果の中で掛けております。 ○笠貫部会長 禁忌は書かなくてもいいですか。いつも禁忌をどうとらえるかというの は、添付文書では問題になっているのですが、北村委員から何かございませんか。 ○機構 今、下肢動脈以外というのも禁忌に入っていて、今回のこの件については、適応 もダブルで入れさせていただいていると理解していたのですが、もう少し書き方を工夫し た方がよろしいでしょうか。 ○笠貫部会長 私はもっと厳しくしておいた方が安全ではないかと思います。心臓の方か ら考えまして、そう感じるのですが、このことについては何か御意見はございませんか。 ○塩川委員 適応を厳しくという話と、先ほどの案件もそうですが、新しいデバイスが認 められて、施設や術者の資格というか経験値も論議されるかと思うのですが、このデバイ スの場合は下肢なので、そういうことが起こっても安全だからというので、術者や施設に ついては言及する必要はないということなのでしょうか。 ○中村参考人 先生が御指摘になったように、下肢動脈だけですと、全く経験のない先生 がやることは考えられないだろうということと、既に多くの先生がかなりの経験を持って いる領域であることは、先生が御指摘のとおりです。明確に基準を作るということは議論 にはなっておりません。 ○塩川委員 ガイドワイヤーの貫通補助なので、そういう大きな問題あるいは細かなこと はしなくてもいいという判断で、こうなっているのですか。 ○機構 添付文書ですと、警告の一番下の欄の「その他」に、基準という形ではないので すが、研修プログラムの受講という形では定めておりまして、本品に対して使用経験とい うか、まず「血管形成術に対する十分な知識を有する医師が、クロッサーシステム研修プ ログラムに参加する等により、本品の有効性及び安全性を十分に理解した上で使用するこ と」という形で、警告の欄に書かせていただいております。その中で、手技はある程度で きる方に絞って、講習を受けていただいた上で使用する形にしております。  しかし、学会の中での基準という形では、この件については設けていないのが現状です。 それについては、下肢のインターベンション全体について、まだそういう部分で作っては いないところもあったので、ここも今こういう状況ですが、この後、整理される度合いに よっては検討をしてく必要もあるかもしれません。 ○笠貫部会長 私も今の塩川委員の御指摘のとおりのように思っています。先ほどの脳動 脈、下肢の動脈、腸骨動脈のどこが違うのかということになると、私は条件としては同じ ように付けるべきではないかと思います。そうしませんと整合性がないのと、そこに不具 合が生じた場合のリスクは同じだろうと思いますので、先ほどの条件のところにはほとん ど何もなかったと思うのですが、私は条件として、技術、知識、経験を加えていただけた らと思うのですが、中村参考人はどうでしょうか。末梢血管については、余りガイドライ ンはないのですね。 ○中村参考人 TASCIIというインターナショナルのガイドラインがあります。重松先 生が中心になって、日循でも末梢の動脈のガイドラインを作られていますけれども、TA SCIIが基準になっています。TASCIIに準じたガイドラインになっていると思いま す。その中には、術者の基準や細かいところは記載されていません。主に適応と成績に関 することになっています。 ○笠貫部会長 これから末梢血管についてのガイドラインを作るという方向性はござい ますか。 ○中村参考人 TASCIIには日本の脈管学会が代表となって参加しており、インターナ ショナルなガイドラインに準じた形になっているので、インターナショナルから逸脱した 日本独自の全く異なったガイドラインを作ることは想定できないと思います。 ○笠貫部会長 先生は脈管学会で、そちらのガイドラインを促進するという、そういう動 きをしていただけることはあり得るのでしょうか。 ○中村参考人 重松先生にも相談したいと思いますが。 ○笠貫部会長 末梢血管についても、腸骨動脈、頸動脈と、どこでどのように線引きでき るかという必ずしも簡単なことではないので、それなりに作られるのがいいのかとは思い ますので、今回どうするかなのですが、私は学会に御要望はしてもいいのではないかとは 思います。特に脈管学会の話が出ましたので、脈管学会にそのような話をお願いできたら と思います。ほかに御意見はございますか。 ○石山委員 教えていただきたいのですが、ワイヤーの20kHzというのは、どのくらいの 振動幅なのでしょうか。20kHzの振動は分かるのですが、要するに、縦方向の振動幅があ るわけですね。これはどのくらいなのでしょうか。それによって、穿孔するとかしないと いう話はあると思うのですが。 ○機構 お手元の資料概要の10ページを御覧ください。中程下ぐらいに、本品の開発の 経緯が記載されておりまして、20.5kHzのカテーテルの前後方向の振動に変換されて、最 終的には先端のチップに伝導されて、□□mm未満の前後振動となっています。 ○石山委員 分かりました。それと33ページに、使用周波数帯域が20.5kHz±500Hzとあ るのですが、20kHz〜21kHzで、21KHZの振動になった場合の30秒間の振動のエネルギー と、20kHzのときと21kHzの熱に関してはどうですか。0.5℃という話にはなっているの ですが、21kHzになった場合には熱はどのくらい違うのでしょうか。20kHzですと、そん な程度かと思うのですが。 ○機構 試験条件を確認してみないといけないのですが、ここに書いてある20.5±0.5と いうのは、製品の出荷の規格になっている部分ですが、試験条件の中では、恐らく同じも のを使って試験をしていたかと思いますので、実際問題21kHzのものでの試験ではないの で、温度の実測値は所有していないのです。 ○石山委員 0.5℃で組織のあれがあったと書いてありますが、それが21kHzになった場 合に、30秒間で5分間ずつやるのですよね。その辺の熱がどうなのか気になったのです。 ○笠貫部会長 この臨床試験のプロトコールの見解から、もう一つ承認条件として、全症 例登録ではなくていいと思いますが、使用成績調査はなされた方がいいのではないかとい う感じがします。これは血管通過成功というのと、その後の治療成功というもので、どう 違いが出てくるかについては、成績で評価をしていかないといけないと思うので、この御 検討はいただけるでしょうか。 ○機構 お手元の資料でいきますと、一番最後の青いタブのところに、「新医療機器の使 用成績等調査実施計画書」が添付されています。この概略の中で、調査予定施設は本品を 使用する全施設になっていまして、対象症例がそれほどたくさん出る製品でないというこ とで、全症例に対して使用成績調査をする予定で組まれています。その中で、今御指摘の 成績等については、収集していけるものと思いますので、使用成績調査のプロトコールの 再検討とともに、そういった形で検討していきたいと思います。 ○笠貫部会長 このデバイスも新たなデバイスということで、日本の臨床試験はありませ んが、承認条件としては、先ほどのMerciリトリーバーと同じように、知識、技術につい ては御検討いただくことと、成績調査はそういう形で御検討いただきます。できましたら、 脈管学会の方にガイドラインも御要望していただけたらと思いました。 ○小田委員 確認ですが、承認申請書の58ページに「分類(案)の根拠」として、「腸骨- 大腿動脈の治療において体側からアプローチする場合の中心循環系の通過を考慮して、G HTFルールの6-(5)を適用する」ということでクラスIVになっていますが、腸骨を除く ということになりますと6-(5)でよろしいか。 ○機構 先生の御指摘はGHTFルール上でいくと、腸骨動脈が対象とならない場合には 末梢領域になってしまうので、中心循環系ではなくて、末梢の方のルールを適用すべきで はないかという御意見ですか。 ○小田委員 そういうふうに読み取れるかなと思いました。整合性があるのかと疑問に思 ったのです。 ○機構 もう一度、定義のところの確認が必要なのですが、対側の方に使う場合には、中 心循環系を通って使う場合もあるかと思うので、使用方法との検討になるのですが、そう いう場合にはクラスIVの一般的名称を当てはめる場合もありますので、そういった形にな るのではないかとは思います。  もし、そこの辺りの整理が末梢の方であれば、そこは検討が必要かもしれませんが、一 応この製品としては、そういった形で中心循環系を通って末梢領域の治療に使われる可能 性もあるということで、変わらないでいけるかもしれません。 ○北村委員 今御指摘いただいた58/322ページのクラス分類の1)の、「本品の適用は、 四肢末梢血管に限定され、心血管、頭蓋内脳血管は除外されるが」とあります。普通は心 血管と言えば、腸骨動脈も入るのです。冠動脈だったら分かりますが、心血管と書けば、 腸骨も大腿動脈もみんな入るし、頭蓋内脳血管を除外するとしたら、頸動脈は頭蓋外です ので、頸動脈も入ります。そのようなことをうかがわせるのですが、おかしいのではない ですか。心臓血管なら分かるのですが。 ○機構 こちらはGHTFのルール上の表現になっていますので、一般的にルールを決め るときの使い方として、実際のきちんとした表現としましては、「特に心臓又は中心循環 系の血管について、これらの部位に直接接触し」というような文言になっているところを、 申請者の解釈で、そこを読み替えて、「本品の適用は、四肢末梢に限定され、心血管、頭 蓋内脳血管は除外されるが」というような表現を使っているのですが、実際問題としては、 頸動脈はGHTFルール上末梢血管としての説明はあるのですが、クラス分類ではIVにな ります。実は血管の定義と、先生方がお使いのお名前のところの定義とが、少しGHTF のルール上、表現がずれているのです。 ○北村委員 それは修正しましょうよ。使うのは医者なのだから、医者が使う言葉に合わ せてもらわないと。 ○機構 例えばJISの定義であったり、そういった実際に運用される中では、先生方の 定義のお言葉を入れさせていただいて、そういう形の表現に変えて、実運用のところでは 先生方と話が分かるように、同じ血管を指していることが分かるような形にさせていただ きます。 ○北村委員 それを保証してくれるということですね。分かりました。首を振るのであれ ば、変えないといけない。医者が使う用語に改めないと、どういうことを言っているのか わかりません。一番最初に「四肢末梢血管に限定」と書いてあるから、そこは分かるよう な気もするけれども、次の文章は。中村先生、これはおかしいですよね。 ○機構 了解しました。ここの文言については修正させていただきます。 ○笠貫部会長 よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。医療機器「クロッサー システム」については、本部会として、承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間 は3年間とする。また、高度管理医療機器及び特定保守管理医療機器として指定し、生物 由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要とするということでよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果につい ては、次回の薬事分科会において報告することとします。  これで本議題は終了としますので、参考人の中村先生には御退席いただきます。貴重な 御意見をありがとうございました。 ── 中村参考人退室 ── ○笠貫部会長 続きまして、議題5医療機器「胎児シャント」を希少疾病用医療機器とし て指定することの可否について、審議を行います。  本品目の審議に当たりましては、参考人として、独立行政法人国立病院機構長良医療セ ンター産科医長の川鰭市郎先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたしま す。なお、川鰭先生におかれましては、薬事分科会審議参加規程に基づき、当該利用資料 について発言することはできませんことを申し添えさせていただきます。  まず、希少疾病用医療機器に関する制度の概要について、事務局から説明をお願いしま す。 ○事務局 希少疾病用医療機器の指定要件が定められておりまして、そちらの指定要件に 合致する希少疾病用医療機器については、開発の促進を行うという形になっております。  参考資料5-1を御覧ください。「制度の主旨」は、今申し上げましたとおり患者数が少 ないもの、日本ですと年間5万人以下の疾病が対象となっております。  「制度の概要」としましては、開発の補助ということで、助成金の交付、税制措置優遇、 試験研究に関する指導・助言、税額控除、こちらに指定されますと優先審査という支援措 置が講じられるものです。  「指定基準」としては、その下の(1)〜(3)まであります。対象者数は5万人未満。医療上 の必要性として、これらの医療機器が製造販売の承認をされ、医療の現場で使われたら、 その用途に関して優れた使用価値を有する。今、代替する機器がなかったり、既存のもの と比べて非常に高い有効性又は安全性が期待されるというものです。  最後に3番目ですが、こちらは開発の可能性が全くないような、このようなものがあっ たらいいのではないかというアイディアだけではなく、実際に開発される可能性がかなり あるのではないかと認められるというものです。以上です。 ○笠貫部会長 審議品目の概要について、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 資料5-1を御覧ください。こちらが指定の申請書となっています。申請書のタ ブの3つ目が指定申請書となっております。そこから5枚おめくりいただいて別紙(4)を御 覧ください。こちらの品目の操作方法、使用方法の記載がありまして、下の方に概要図と いう形で母体、そして黒く胎児が示されております。胎児に母体の外からデリバリーシス テムでシャントを入れて、こちらにより、胸腔にたまった胸水を導出できるようにするも のです。貯留した胸水を排水できるようにするというものです。  資料5-1の一番最初の概要のタブに「希少疾病用医療機器概要」とあります。こちらは 先ほど申し上げましたとおり、品目の効能、効果ですが、内腔を有するシャントチューブ を胎児の胸腔から母胎の羊水腔まで通して留置し、貯留した胸水を持続的に排出すること を目的とするものです。これにより胎児水腫を改善し、肺低形成を予防し、妊娠期間を延 長させるというものです。  対象患者数は年間100名ぐらいと推定され、要件を満たしていると思われます。  医療上の必要性は、こちらの胎児胸水症では圧迫による肺低形成が起こり、重篤で、生 存を得ることが困難になる場合が多いです。現在は、胸水の治療法としては、超音波ガイ ド下で、実際に穿刺術が行われていますが、再貯留を来す症例も存在し、また、感染など いろいろのリスクを生ずることがあります。こちらのものですと、持続的に排出すること ができ、またリスクも軽減することができるということで、承認されましたら医療上の価 値が高いものと考えられます。  開発の可能性ですが、こちらの品目は、既に承認されている品目を開発のベースとして、 主に形状変更がされて、実際に胎児に使用できる形となっているもので、十分に開発の可 能性があると考えております。以上です。 ○笠貫部会長 それでは、参考人の川鰭先生から付け加えることはございますか。 ○川鰭参考人 機器等については、今の説明で御理解いただけたかと思います。ただ、先 生方には「胎児水腫」という言葉が、実感として御理解いただけないかと思います。胎児 水腫といいますのは、胸水・腹水等があった上に、全身がすごい勢いで浮腫みます。です から、本来、この水腫で生まれてくる赤ちゃんの体重は、その倍ぐらいまで膨れ上がりま す。胸水を抜いても、再貯留例では、早ければ数時間経てば元に戻ります。この浮腫を軽 減させることができません。でも、何とか週数を延ばしていってあげることが救命につな がるのではないかということで頑張るのですが、妊娠週数を重ねれば重ねるほど、浮腫は どんどんひどくなります。一か八かということで、もう経膣分娩はとてもできないことに なりますので、帝王切開で赤ちゃんを産ませるのですが、浮腫は顔面にも当然きますので、 かなり熟練した新生児科医でも気管内挿管は決して容易ではありません。ましてやマスク 換気もできません。NICUに赤ちゃんを運ぶこともかないません。手術室の中で、腰椎 麻酔で意識のあるお母さんの横で息絶えていくのです。  その赤ちゃんがお腹の中で生きている間に何とかできないものかというようなことで、 こういったデバイスを考えて、このチューブに関しては平成元年ということがありました が、国内で既にある程度の実績があります。これについては、海外からも非常に注目をさ れています。私は今、日本胎児治療学会の事務局長をしていますが、そういった関係で、 早くこのチューブを承認して、自分の国でも輸入ができるようにしたいという声が、海外 からどんどん届いてきております。そういったことも御勘案いただきまして、是非、御承 認をお願いしたいと思い、今日ここへやって参りました。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。非常にまれな、しかし非常に大事なデバイ スだとお伺いしました。このデバイスについて、委員からの御質問等はございますか。 ○北村委員 外国の製品というか、イギリス製のダブルピッグテールという製品があった と思いますが、それに比べてこちらの方が有用だということを聞いているのですが、これ がない外国はどうなっているのですか。 ○川鰭参考人 クックという会社がダブルピッグテールというものを出していました。そ れが使えるのではないかということで、使用した経験が自分自身でありますが、それに比 べて操作性は雲泥の差です。 ○北村委員 よいわけですね。 ○川鰭参考人 こちらの方がはるかによいです。ダブルピッグテールカテーテルを使っ て、膀胱羊水腔シャントがうまくいった症例が1例あります。この報告されているものは、 そのカテーテルの使い方を変えて、外筒を通してやってうまくいっているのです。丸まっ ていますから、胎児水腫というのは、胸壁の厚い場合には、どのくらい出せばどう丸まる というのが分かりませんので、やりづらいのです。  それから、イギリスのロケット社が、赤ちゃんに刺したものをいったんお母さんのお腹 の外に出して、もう1回腹を刺して入れるというものがあるのです。これは感染の危険性 は高いです。刺すだけですから手技的には簡単なのですが、非常に感染の心配はあります し、母体への侵襲もあります。もちろんシャワーを浴びることもできませんので、非常に 難しいです。  それに比べるとこちらは、もちろんある程度の熟練は必要としますが、超音波ガイド下 で、母体への侵襲度はかなり低いですから、海外から注目されるのも当然かと思います。 ○北村委員 外国に売る場合には、どのぐらいの値段になるのでしょうか。 ○川鰭参考人 その辺は八光さんと御相談いただかないといけないかと思います。はっき り言いまして、このチューブが八光というメーカーにとって、国内で利益をもたらすもの とはとても考えられないのです。それだけに、海外への市場開拓ということは、私たちも 学会等を通してお手伝いできればと思うのですが、価格まではこちらでコントロールはで きません。ただ、便利だよ、使いやすいよ、有効性があるよ、でも高いよでは通用しませ ん。その辺りは別の審議が必要かと思います。 ○北村委員 国立循環器病センターにおりました産科の千葉先生が自慢していましたが、 本当にそうなのですか。 ○川鰭参考人 千葉先生は同好の士ですので、一緒にチューブの開発やいろいろなことに かかわってきました。 ○北村委員 純国産ということでよいわけですね。 ○川鰭参考人 そうです。アイディアとしてもダブルピッグテールと一緒なのですが、こ れは形状記憶で、中で開いて、外で開いてということになりますので、操作が非常にやり やすいです。アイディアも造る所も、すべて純国産と考えていただいてよいと思います。 ○笠貫部会長 数少ない日本発信のデバイスというお話でした。ほかに御意見はございま せんか。  ほかになければ議決に入ります。医療機器「胎児シャント」につきまして、本部会とし て、希少疾病用医療機器として指定して差し支えないものとしてよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、指定を可とします。この審議結果については、次回の薬事 分科会において報告することとします。  これで本議題は終了としますので、参考人の川鰭先生におかれましては御退室をお願い します。貴重な御意見をありがとうございました。 ── 川鰭参考人退室 ── ○笠貫部会長 続いて議題6「新たに追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及 び特定保守管理医療機器等の指定について」、事務局より御説明をお願いします。 ○事務局 資料6-1です。クラス分類に関する資料ですが、1枚おめくりいただいて、こ ちらに、今回新たな名称作成の御検討をお願いする「抗菌性カテーテル被覆・保護材」の 概要がございます。抗菌性のカテーテル被覆・保護材については、既存の製品がたくさん ありまして、抗菌性のないカテーテル被覆・保護材としまして、多数、医療の現場に供給 されているものがあります。それらの中には、実際には抗菌性の殺菌剤などを少し入れま して、カテーテル挿入部の方から感染が起こらないようにというものはございますが、今 まで抗菌性があって、補助として感染を予防するというか、感染を減らすといったものが なかったので、抗菌性というものはありませんでしたが、今般新たに、3ページの真ん中 の「既存品との相違点」ですが、実際には既存品と異なりましてグルコン酸クロルヘキシ ジンを含有して、挿入部位の細菌の増殖を抑制することを効能・効果としているものです から、今までのものとは抗菌性という部分が異なるので、新たに「抗菌性カテーテル被覆 ・保護材」という名称を作成させていただきまして、分類なども定めさせていただければ ということで、御審議をお願いするものです。クラス分類は案としてIIIです。特定保守に 該当するものではありませんので、非該当です。また、生物由来製品でもないので非該当 という案となっております。以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。 ○笠貫部会長 委員の皆様から、御意見・御質問はございますでしょうか。  ないようでしたら、議決に入ります。本部会として「抗菌性カテーテル被覆・保護材」 については、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器への指定は不要とし、 生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要ということでよろしいでしょうか。  御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果につい ては、次回の薬事分科会において報告させていただきます。  議題7は報告事項です。部会報告品目について、事務局から御説明をお願いします。 ○事務局 資料7-1です。A4横の表になっているものを御覧ください。こちらが本年の 11月1日〜12月31日までの2か月間で承認された品目のうち、報告の対象となっている 品目の一覧です。医療機器が8品目、最後のページですが、体外診断薬が2品目です。  こちらのうち、1ページ目の一番最初の品目のウォールフレックス十二指腸用ステント は、ニーズ検討会で選定された品目です。詳細については、事前にお送りしておりますの で、この場では割愛させていただきます。どうぞよろしくお願いします。 ○笠貫部会長 了解しました。報告品目について、御質問はございますか。  ございませんでしたら、これで本議題は終了とさせていただきます。事務局から連絡事 項はございますか。 ○事務局 次回の部会は、5月13日(木)の15時30分からの開催を予定しております。 どうぞよろしくお願いします。 ○医療機器審査管理室長 御意見等ございませんでしたら、これにて部会を終わりにした いと思いますが、いかがでしょうか。次回以降もよろしくお願いいたします。ありがとう ございました。 ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 江原(内線 2912)