10/02/17 第33回社会保障審議会児童部会議事録             厚生労働省雇用均等・児童家庭局 第33回社会保障審議会児童部会 議事録 日時:2010年2月17日(水) 17:00〜19:00 場所:中央合同庁舎第4号館 全省庁共用第108会議室 出席者:  委員   大日向部会長、秋田委員、石津委員、大澤委員、小杉委員   榊原委員、佐藤委員、庄司委員、土堤内委員、山縣委員   吉田委員、渡辺委員  事務局   伊岐雇用均等・児童家庭局長、香取審議官、田河総務課長   朝川少子化対策企画室長、杉上虐待防止対策室長   藤原家庭福祉課長、今里保育課長、宮嵜母子保健課長   真野育成環境課長、依田児童手当管理室長 議事次第:  1. 開会  2. 最近の児童行政の動向について  3. 児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会の設置について  4. 閉会 配布資料:  資料1  社会保障審議会児童部会委員名簿  資料2  最近の児童行政の動向について  資料3-1 児童虐待防止のための親権制度の見直しについて  資料3-2 児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会の設置について(案)  資料3-3 児童虐待防止のための親権制度研究会報告書  参考資料1 社会保障審議会児童部会国立児童自立支援施設処遇支援専門委員会につい て  参考資料2 社会的養護における「育ち」「育て」を考える研究会〔概要〕  参考資料3 こうのとりのゆりかご検証会議・最終報告〔概要〕 議事: ○大日向部会長  定刻になりましたので、ただ今から「第33回社会保障審議会児童部会」を開催いたしま す。委員の皆さま方におかれましては、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありが とうございます。  会議に先立ちまして、事務局より本児童部会における委員の交代につきまして報告をお願 いいたします。 ○田河総務課長  本部会の臨時委員のうち、網野委員、柏女委員が任期満了でご退任になっております。  はじめに、前回の児童部会の開催が昨年6月と時期も経っておりますので、あらためまし て委員の皆さまと事務局のメンバーをご紹介させていただきます。資料1として名簿を準備 させていただいておりますので、名簿の順番にご紹介させていただきたいと思います。  東京大学大学院教育学研究科教授の秋田委員でございます。 ○秋田委員  秋田でございます。よろしくお願いいたします。 ○田河総務課長  早稲田大学人間科学学術院特任教授の阿藤委員は本日ご欠席でございます。  北本市長の石津委員でございます。 ○石津委員  石津でございます。よろしくお願いします。 ○田河総務課長  そして、少し遅れていらっしゃるようでございますが、東京女子医科大学医学部長の大澤 委員でございます。  次に、部会長でもいらっしゃいますが、恵泉女学園大学大学院教授の大日向部会長でござ います。 ○大日向部会長  よろしくお願いいたします。 ○田河総務課長  次に、独立行政法人労働政策研究・研修機構統括研究員の小杉委員でございます。 ○小杉委員  よろしくお願いします。 ○田河総務課長  関西学院大学人間福祉学部教授の才村委員は本日ご欠席でございます。  読売新聞東京本社生活情報部記者の榊原委員でございます。 ○榊原委員  よろしくお願いします。 ○田河総務課長  埼玉県立大学学長の佐藤委員でございます。 ○佐藤委員  よろしくお願いいたします。 ○田河総務課長  青山学院大学文学部教授の庄司委員でございます。 ○庄司委員  よろしくお願いします。 ○田河総務課長  株式会社ニッセイ基礎研究所主任研究員の土堤内委員でいらっしゃいます。 ○土堤内委員  どうぞよろしくお願いいたします。 ○田河総務課長  今日は欠席でございますが、財団法人横浜市国際交流協会理事長の前田委員でございます。  そして次に、大阪市立大学生活科学部教授の山縣委員でございます。 ○山縣委員  よろしくお願いします。 ○田河総務課長  有限会社遊育代表取締役の吉田委員でございます。 ○吉田委員  よろしくお願いします。 ○田河総務課長  日本福祉大学子ども発達学部教授の渡辺委員でございます。 ○渡辺委員  よろしくお願いいたします。 ○田河総務課長  ご出席いただいております委員の皆さま方は定足数を超えておりますので、会議は成立し ております。  次に、事務局のメンバーを紹介させていただきます。雇用均等・児童家庭局長の伊岐でご ざいます。 ○伊岐雇用均等・児童家庭局長  伊岐でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○田河総務課長  大臣官房審議官雇用均等・児童家庭局担当の香取でございます。 ○香取審議官  よろしくお願いします。 ○田河総務課長  遅れておりますが、家庭福祉課長の藤原がおります。  育成環境課長の真野でございます。 ○真野育成環境課長  真野です。どうぞよろしくお願いします。 ○田河総務課長  保育課長の今里でございます。 ○今里保育課長  よろしくお願いいたします。 ○田河総務課長  母子保健課長の宮嵜でございます。 ○宮嵜母子保健課長  よろしくお願いします。 ○田河総務課長  少子化対策企画室長の朝川でございます。 ○朝川少子化対策企画室長  よろしくお願いします。 ○田河総務課長  児童福祉調査官・虐待防止対策室長の杉上でございます。 ○杉上虐待防止対策室長  杉上です。よろしくお願いします。 ○田河総務課長  児童手当管理室長の依田でございます。 ○依田児童手当管理室長  よろしくお願いします。 ○田河総務課長  これ以外に、両立課長は本日所用のため欠席しております。  最後に、私は総務課長の田河でございます。どうぞよろしくお願いいたします。事務局の メンバーの紹介は、以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。  会議に先立ちまして、事務局より資料の確認をお願いいたします。 ○田河総務課長  それでは、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきたいと思 います。最初に議事次第がございます。それから、資料1が「社会保障審議会児童部会委員 名簿」、資料2が「最近の児童行政の動向について」、資料3-1が「児童虐待防止のための親 権制度の見直しについて」、3-2が「児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員 会の設置について(案)」、3-3が「児童虐待防止のための親権制度研究会報告書」。参考資料 1としまして「社会保障審議会児童部会国立児童自立支援施設処遇支援専門委員会につい て」、参考資料2「社会的養護における「育ち」「育て」を考える研究会〔概要〕」、参考資料 3としまして「こうのとりのゆりかご検証会議・最終報告〔概要〕」をお手元に配付させて いただいております。もし不足等がありましたら、事務局の方にお声をかけていただければ と思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。  それでは、ここから議事に入りたいと思います。まず、最近の児童行政の動向といたしま して、本日は5点ございます。資料2を1枚おめくりいただきますと五つ書いてあるかと思 います。第1が「「新たな次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の検討の状況」、第 2が「子ども・子育てビジョン」、第3が「平成21年度雇用均等・児童家庭局の第2次補正 予算及び平成22年度雇用均等・児童家庭局の予算案」、第4が「平成22年度における子ど も手当の支給に関する法律案」、第5が「児童扶養手当法の一部を改正する法律案」。以上の 5点です。  それでは順次、事務局から報告をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、資料2の1ページをお開きください。包括的・一元的な制度の構築の検討状況 についてでございます。まず1ページ目は、昨年の12月8日に閣議決定されております経 済対策でございます。経済対策の閣議決定におきましては、第2次補正に結びついた短期的 な政策以外に「制度規制改革」という項目が記載されておりまして、その中に私どもの関係 の記述がございます。  真ん中辺りに「具体的な措置」と書いてありますところを見ていただければと思いますが、 「幼保一体化を含めた保育分野の制度・規制改革」とございます。幼保一体化を含め、新た な次世代育成支援のための包括的・一元的な制度の構築を進めると。ここの下に「主担当と なる閣僚定め」とありまして、その後に「平成22年前半を目途に基本的な方向を固め、平 成23年通常国会までに所要の法案を提出する」とありまして、工程表がここで示されてい ます。  検討の中身は大きく三つの柱が立っております。最初は「利用者本位の保育制度に向けた 抜本的な改革」、二つ目が「イコールフッティングによる株式会社・NPOの参入促進」、そ して三つ目が「幼保一体化の推進」。この三つを柱として挙げておりますが、これらを含め た包括的な制度の構築について検討するということでございます。  1枚おめくりいただいて、同じく昨年末の12月30日に「新成長戦略」という新しい政権 の下での成長戦略を決める閣議決定がされておりまして、広範な内容の中に私どもに関係す る記述がございます。箱の中に内容がございますが、ポイントは、箱の外の一番下の段落を 見ていただきますと「このため」というところですが、「幼保一体化の推進、利用者本位の 保育制度に向けた抜本的な改革、各種制度・規制の見直し」云々とございます。その次の行 に「保育の多様化と量的拡大を図り、2020年までに速やかに就学前・就学期の潜在需要も 含めた待機児童問題を解消する」とございます。ここでも先ほどのページとオーバーラップ する形ではございますが、次世代育成支援の仕組みについて検討することが決められており ます。  これを受けまして3ページ目でございますが、先ほどの1ページ目で「主担当となる閣僚 を定め」という記述がございましたが、それを受けて、先月末の1月29日に少子化社会対 策会議、これはすべての閣僚が入っている会議でございますが、そこで「子ども・子育て新 システム検討会議」というものが設置されています。2番の構成員のところを見ていただき ますと、共同議長といたしまして3大臣、行政刷新担当の枝野大臣、国家戦略担当の仙石大 臣、少子化担当の福島大臣、このお三方が共同議長になられて、構成員として関係大臣には わが厚生労働大臣も入った形で構成しております。その下に作業グループとして、副大臣ま たは政務官級の作業グループを設置するということになっていまして、スケジュールとして は先ほどもありましたが6月を目途に基本的な方向を決めていくというスケジュールが決 められています。  関連しまして次のページでございますが、包括的・一元的な制度の検討に関係して、昨年 末に子ども手当の財源について決着をするときに関係する4大臣の合意がございますので、 簡単にご紹介申し上げます。右下に12月23日の日付がございますが、左側の1番のとこ ろは来年度の子ども手当をどのようにしていくか。財源についてもどうしていくかというこ とを定めておりますが、ここでは来年度のことだけが決まっておりまして、平成23年度以 降はどうするかということについて、右側の4番のところに記述がございます。その4行目 辺りから見ていただきますと、これは1ページ目でご紹介した閣議ですが、平成21年12 月8日の閣議決定に基づいて設置される検討の場で、これは3ページ目の新システム検討会 議のことを指します。「検討の場」において、幼保一体化を含む次世代育成支援対策の検討 を進めるというのが一つでございます。  もう一つは地域主権を進める観点から「地域主権戦略会議」において補助金の一括交付金 化うんぬんの議論を行い、検討を行うとございます。年末に現金給付は国庫負担で、サービ スは地方財源でというような議論もございました関係で、厚生労働省としましては、それは なかなかそういうわけにはいかないのではないかというご意見を申し上げていたところで すが、それは今年1年かけて検討するということになって、その検討の場としては新システ ム検討会議と地域主権戦略会議の両方で検討していくということが4大臣で合意されてい るものでございます。  では、新システム検討会議で今後どういった議論をしていくか。その基になります、これ までの議論の成果といたしまして同じ社会保障審議会に少子化対策特別部会が設置されて いますが、そこで昨年末に議論の整理をしていただいておりますので、そちらの議論の成果 を基に、今後は議論を進めていっていただくのが基本ではないかと考えています。それが5 ページ目でございます。5ページ目から幾つか資料を付けておりますが、5ページ目で少し 見ていただきますと、基本的には「すべての子どもの健やかな育ちを基本に置く」というこ とと、二つ目の丸にありますとおり「未来への投資」と考えて、社会全体で費用負担をする 仕組みを考えていくということです。  四つの柱がございます。一つ目は、育児休業から放課後対策まで、切れ目のない一元的・ 包括的な制度をつくる。あるいは共働き家庭だけではないすべての子育て家庭を対象にした 包括的・一元的な制度をつくるということです。  二つ目は、待機児童の問題が深刻になっていますが、需要が潜在化しているものをきちん と顕在化していくような仕組みにするために、右側にありますとおり例外のないサービス保 障でありますとか、サービス選択可能な仕組みを構築していくというのが二つ目の柱です。  需要を表に出してきますと供給も増やしていかなければいけませんので、三つ目の柱でそ ういう潜在需要に対応した量的拡大を図っていく仕組みとして、右側の方で多様なサービス メニューをそもそも作っていくということ。さらに質の確保された事業者参入を促進する方 策として、今の認可制度に加えて客観的な基準に基づいて参入していただくような指定制度 の導入を図っていけないかなどの整理をしていただいているところでございます。併せて、 保育士の確保などの量的拡大に伴って人材の確保も必要になってまいります。その他、配置 基準などもできれば見直していきたい。財源の確保と併せて検討していくということで、サ ービスの質の向上も挙がっています。  四つ目の柱は、制度全体の仕組みとして基礎的自治体を実施主体としながらも、社会全体 で費用負担する仕組みを考えていくということでございます。  関連資料がしばらく付いていまして、次に16ページ目をお開きいただきまして、二つ目 のテーマでございます「子ども・子育てビジョン」について、簡単にご説明申し上げます。 こちらは、新しい政権になりまして、子ども・子育て分野について総合的な政策のパッケー ジを政府レベルで決定したものでございます。これも先月末の1月29日に閣議決定の形で 決まっています。形式的には少子化社会対策基本法に基づく5か年の大綱でございまして、 こちらがこれから5か年のこの分野の政策の方向性を決めるといった性格のものでござい ます。ポイントは、最初にまず基本的な視点というのが整理されていますが、家族や親が子 育てを担う。個人に過剰な負担がかかっているということから、社会全体で子育てを支える という発想のもとで子どもを主人公にしながら、少子化対策という大人目線ではなくて「子 ども・子育て支援」へという視点の転換を図りながら政策全体を考えていくというような構 成になっています。  具体的には12主要施策ということで柱が立っていまして1〜4の大きい柱がある中で、 それぞれ12の項目が列挙されているところでございます。主だったところとしましては、 1の(1)のところで、マニフェストに記載されておりましたような子ども手当の創設であり ますとか、高校の実質無償化といった内容がまず掲げられていますし、このビジョンの特色 としましては、5年間の数値目標を定めるということをしています。  その主な数値目標が17ページ目に整理されていますので、そちらをご覧いただければと 思います。特に児童部会に関連するものといたしましては、左側の二つ目の箱にございます 保育に関連するサービスの数値目標です。こちらはすべての市町村で潜在ニーズを把握して いただき、それを集計したものを基に数値目標を設定しておりまして、かなり意欲的な数値 目標になっています。例えば3歳未満児の保育サービスであれば、今の24%の利用率を35% まで、まず平成26年度に向けて整備をしていこうという目標です。あるいは病児・病後児 であれば31万日に相当するサービス量を約7倍の200万日に増やしていこうという内容が 入っています。さらに、左下は社会的養護の充実に関しても里親の委託率を引き上げるなど、 数値目標が設定されています。また、右上にはいろいろな地域の子育て支援の数値目標も掲 げられています。また、ワーク・ライフ・バランスについても、既に憲章と行動指針が出来 ていますので、それを基にした参考指標が挙がっています。  1枚おめくりいただいたところに、これらの数値目標を達成するため、5年後の平成26 年度の完成した姿を見据えたときに、どれぐらいの費用が新しく必要になってくるかといっ た試算も併せて今回はお示ししていまして、量的拡大だけで計算しますと約7,000億円が平 成26年度の時点でかかり、さらに、制度的な見直しを伴う改善をした場合には、大体の幅 としては0.7〜1.9兆円ぐらいの追加所要額がかかるという機械的試算も併せてお示しして いるところでございます。  資料2までは、以上でございます。 ○田河総務課長  続きまして、補正予算等の説明をさせていただきます。同じ資料の57ページをお開きく ださい。「平成21年度雇用均等・児童家庭局第二次補正予算の概要」と題したものがござ います。補正予算の概要でございます。待機児童の解消の取組としまして200億円を計上 しています。中身としては(1)と(2)の二つがございます。分園等の設置あるいは家庭的保育の 関係がその内容となっております。  そしてまた運用改善としましても、家庭的保育者養成の推進につきまして、安心こども基 金の運用改善を図る。あるいは母子家庭等の在宅就労支援は、従来の国審査分だけでなく、 各都道府県において、自治体(都道府県・市)の事業を審査・採択する仕組みを創設するなど の運用改善を図っているところでございます。  次の58ページをお開きください。その他に「育児・介護休業トラブル防止指導員」いわ ゆる育休切りのトラブルを防止するための指導員の設置の経費でございますとか、あるいは 子ども手当の円滑な実施のためのシステム経費の補助を計上させていただいております。  そして次に、59ページからは平成22年度の雇用均等・児童家庭局関係の予算案の概要で ございます。主要事項はここの枠囲みに示した内容等を盛り込んだところでございますが、 1枚おめくりいただきまして60ページには局全体の予算の状況が示されております。局の 合計が平成21年度予算額で9,815億円で、これが2兆2,861億円と大きく伸びております。 その大きな要因としましては、やはり次の61ページでございますが、1兆4,722億円の子 ども手当の創設がございます。これは給付費と事務費に分かれております。この内容につき ましては、また後ほど資料がありますので、そこで説明させていただきたいと思います。  また、3ページの下の方の2番「ひとり親家庭への自立支援策」は児童扶養手当の関係で ございますが、その中でも特に(1)の父子家庭への児童扶養手当の支給として49億5,600万 円が計上されております。そして、次の62ページを開いていただけますでしょうか。その 他にも母子家庭等の総合的な自立支援の推進として、これまでも取り組んでまいりましたが、 自立のための就業支援等の推進あるいは養育費確保の推進。これは養育費相談支援センター 等の取組でございますが、そうしたもの。あるいは(3)の自立を促進するための経済的支援。 これは母子寡婦福祉貸付金でございますが、そういう取組をしております。  また、大きな3番として「待機児童の解消等の保育サービスの充実」も増額させていただ いております。(1)の待機児童解消策の推進など保育サービスの充実としまして3,881億円 を計上させていただいております。主な内容は次の63ページの一番上の方をご覧いただく とわかります。民間保育所運営費、5万人増等の内容をお示ししております。また、(2)で 言いますと、放課後児童対策についても充実を図っているところでございます。  4番は「すべての子育て家庭に対する地域子育て支援」で、地域における子育て支援拠点 等について取組を進めております。  次の64ページをお開きください。児童虐待への対応など要保護児童対策でございます。 ここの事項につきましても強化を図っておりますが、虐待を受けた子ども等への支援の強化 としまして、以下(1)〜(3)の内容等がございます。いわゆる「こんにちは赤ちゃん事業」等の 普及・推進を図るとともに、要保護児童対策地域協議会において新たに情報の共有化を図る ための機能強化、あるいは(2)でございますが、新たに親子での宿泊方式の訓練の実施等の取 組も進めてまいりたいと思っておりますし、また(3)の社会的養護体制の拡充についても小規 模グループケアの実施か所数の増等を図るとしております。また(2)の配偶者からの暴力防 止等につきまして、従来からの取組とともに人身取引被害者の支援体制を強化するための通 訳あるいはケースワーカーの経費等を計上しているところでございます。  また、6番の「母子保健医療対策の充実」につきましては、不妊治療等への支援あるいは 小児慢性疾患等への支援を進めてまいる予定でございます。  65ページの7番「仕事と家庭の両立支援」は、改正された育児・介護休業法の円滑な施 行とともに(2)の男性の育児休業の取得促進は育児・介護休業法の改正等でも「パパ・ママ 育休プラス」等の導入を図ったところでございますが、その周知徹底等を図ってまいりたい と思っています。また(3)の育児休業等を理由とする解雇等不利益取扱いへの対応の強化も 図ってまいる考えでございます。(4)の事業所内保育施設に対する支援の推進、あるいは(5) の中小企業における次世代育成支援対策の推進等も進めてまいる予定でございます。  次の66ページをお開きください。「安定した雇用・生活の実現と安心・納得して働くこ とのできる環境整備」につきまして、女性の職業キャリア継続が可能となる環境づくりの推 進としてこれまでも取り組んでまいりましたが、職場における男女雇用機会均等の推進、あ るいはポジティブ・アクションの取組の推進等を進めてまいる考えでございます。3番のパ ートタイム労働者の正社員との均衡待遇の確保と正社員転換の推進への助成金等の支給に より取組を支援する考えでございます。また、4番の「多様な働き方に対する支援の充実」 の中身としましては(1)の短時間正社員制度の導入・定着の促進、あるいは(2)の良好な在宅 就業環境の確保などを内容としております。以上が予算の関係でございます。  次に、法案の関係を説明させていただきます。67ページの横紙のところでございます。 「平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案の概要」でございます。1月29 日に閣議決定して、国会に提出されております。趣旨としましては、次代の社会を担う子ど もの育ちを支援するため、平成22年度において、中学校修了前までの子どもについて、子 ども手当を支給する制度を創設するというものでございます。  「概要」のところでございますが、(1)の子ども手当の支給は、従来の児童手当は小学校 まででございましたが、中学校修了前までの子ども1人につき、月額1万3,000円、所得制 限なしの子ども手当を父母等に支給するとしております。支給等の事務は市区町村、ただし 公務員につきましては所属庁ということでございます。支払月につきましては、児童手当と 同様に、6月、10月、2月というサイクルでございます。  そして(2)でございます。子ども手当につきまして、児童手当分については児童手当法の 規定に基づき、従来のように国・地方・事業主が費用を負担し、それ以外の費用につきまし ては全額を国庫が負担することとなっております。公務員については所属庁が負担します。  また、(3)の児童育成事業は放課後児童クラブ等を内容とするものでございますが、これ については児童手当のときと同様に、事業主拠出金を原資として実施することとしておりま す。  また、子ども手当は「自分は要らないので、地域の子どものために使ってほしい」という 方もいらっしゃるかと思います。そのために簡便に寄付できる仕組みを設けることとしてお ります。  (5)でございます。申請者あるいは市区町村の事務負担の軽減のために、既に児童手当が 受給されている方については、この子ども手当については新たに申請をする必要がないよう な申請免除等の経過措置を設けることとしております。  (6)でございます。政府は子ども手当の平成23年以降の制度のあり方等について検討を加 え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとしております。  そして、1枚めくっていただくと予算案の概要がございます。子ども手当の創設で1兆 4,722億円となっております。その下の図ですが、児童手当分として従来からの児童手当分 は国の負担が2,326億円、地方負担が4,652億円、事業主負担が1,436億円となっておりま して、それ以外の新たな部分については国が1兆2,230億円を負担するというものでござい ます。  69ページには法案の要綱を付けさせていただいておりますが、省略させていただきます。  次に、80ページの児童扶養手当をお開きください。趣旨でございますが、ひとり親家庭 の生活の安定と自立を促進し、もって児童の福祉の増進を図るため、児童扶養手当について 父子家庭の父を支給対象とする措置を講ずることとしております。中身としましては、概要 のところをご覧いただければわかりますが、現在、支給対象となっていない「子と生計を同 じくしている父」について、児童扶養手当の支給対象とします。従来、母子家庭だけであっ たものを、父子家庭にも拡大するという内容でございます。施行期日としては平成22年8 月1日ということでございます。そして若干ご説明しますので、81ページをご覧ください。 児童扶養手当を父子家庭に支給した場合の世帯数と所要額です。大体の受給見込み数として は約10万世帯ですが、父子世帯全体の数としては約20万世帯となっております。所要額 は平年度ベース、12か月分でいいますと約150億円という形ですが、下にカレンダーのよ うな図があります。8月、9月、10月、11月分を12月にまとめてお支払いするという支払 サイクルになっております。児童扶養手当の関係の説明は、以上です。  以上で説明は終わらせていただきます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。ただ今、事務局からいただきました報告に関しまして、ご質問 等がありましたら、お願いいたします。  石津委員、お願いいたします。 ○石津委員  子ども・子育てビジョンと保育の件に関しまして、いくつか気になっている事柄について 意見を申し上げたいと思っております。  まず保育に関しまして、今、施設の面積基準の緩和が議論されていると思いますけれども、 市町村長というか、首長は大体自分のところの内容を基準に考えますので、よそのところは どうかということをあまり斟酌しないので理解できていない部分もあると思いますけれど も、私の考えとしては、この面積を緩和するというのは、環境の劣悪化や児童の公平性を考 えた場合に、非常に危惧をする部分が多くて、都内の24区内だと非常に違うのだろうと思 いますけれども、これは非常に慎重に扱っていただきたいというのが率直な意見です。おそ らく基準が緩和されると、そこにどんどん合わせていくように、とにかくお金の問題が最優 先になってしまいますので、そうすると、その基準でオーケーということになると、それで よいというように、低い方に収斂されていくと思いますので、そこは非常に慎重にやってい ただきたいと思います。  同様なのが、調理の外部委託です。外部調理をしてもよいというのを新聞で見たのですけ れども、これも調理の委託であれば、あり得ると思いますけれども、外部で調理したものを 運ぶということに関しては、はっきり申し上げて私は反対です。しかも3歳児と0〜2歳ま でを分けるというのは、具体的に検討されているのでしょうから、そうだとすると心配なの ですけれども、逆に「分ける」ということの効率性というか、かえって効率的でないような 気もいたしますし、また、そこの現場で作っているという、仮に調理の委託だとしても、そ こで作っているということの意味は、匂いがあるということなども含めて、子どもたちに対 してものすごく大きい。例えば小学生・中学生と比べて、とても意味があることだと思いま すので、これは慎重に扱っていただきたいと思っております。  それと、子ども・子育てビジョンの関係で、特に障害児の関係ですけれども、ニーズとい いますか、希望者が大変増えておりまして、障害児対応の保育士の配置等も含めて、自治体 でも大変苦悩をしているというか、簡単に言えばお金の問題なのですけれども、例えば民間 保育所での障害児に対しての配置、仕組みで財源措置をとっていただけると、民間での受入 れも進むようになると思いますけれど、今は公立が全部引き受ける状況になっておりますの で、そこをどのようにお考えなのかということです。  あとは発達障害の早期支援の問題で、1歳半などの定期健診で発見された場合、その後の フォローというのが、結局自治体任せということではないと思いますけれども、それぞれが 事業を行うような状況になっておりまして、やはり早期にいろいろな対応をすることが必要 であるという観点に立ちますと、この辺の財政支援も今は官費で、私どもも発見された方に 対して、いろいろな事業を組んでやっておりますけれども、市の単独事業で今はやっている 状況でありまして、この辺もニーズといいますか、対象者が増えている状況の中で、なかな か目が届かないところもあると思いますので、その辺の検討状況と、今後どのようにお考え かというところをお伺いしたいと思います。 ○大日向部会長  保育に関しては今里保育課長、お願いいたします。 ○今里保育課長  まず、1点目の児童福祉施設最低基準の件でございます。地方分権という文脈の中で出て きている話でございますけれども、これにつきましては、まず国としての基準というものは、 やはり同様に示すと。これを切り下げるということを考えているわけではございません。た だ、直接、保育所にかかる効力を発揮する基準は、それぞれの都道府県なり指定都市なりが 作るという形、条令で定めるという形になるわけです。その場合に、そこに地方分権という 全体の流れの中で、お決めいただく主体は都道府県等になるわけですけれども、そのときに やはり非常に重要な居室の面積基準でありますとか、保育士の配置の基準といったものは国 の基準どおりに決めていただかなければならないという構成になるというのが法律案にな ろうとしていることの内容でございます。そのように二つに分かれるわけですけれども、そ の際もう一つ、やはり東京等の非常に待機児童が多い場所、そして土地の値段が高いような 場所では、そうは言ってもその保育所にそもそも入れない人が多いではないかという議論も 一方にございますので、そこのところはやむを得ない措置ということで緊急避難的に、時間 的に区切って、しかもその場所も限定した形で、ある程度国の基準よりは違う基準を定める ことも自治体によって可能とするということでございます。  ですから、そこのところになりますと、それぞれの都道府県なり条令を定める主体のとこ ろで、保育の状況と、それから入れないでいる子どもの状況をそれぞれに判断をしていきつ つ、決めていただくということになろうかと思っております。  いずれにしても、その保育の質を確保しなければいけないというのは全国的な課題だと思 いますので、私どもとしてはそのラインを示しつつも、地方の実情にある程度は緊急避難的 に応じることができる部分をつくるというのが、今回の趣旨ということでございます。  それから、保育所の給食の外部搬入に関してということでありますけれども、現時点では 公立の保育所については特区で外部搬入が認められるという形になっておりまして、いわば 実験的になされてきたわけでございます。  それで実際にどうなっているのか、その状況はどうなのかということを、私どもでもフォ ローしておりますし、特区の委員会の方でもフォローしておりまして、毎年この評価という ものが行われるわけでございます。今回の評価の結果は、やはりいろいろな面で年齢に応じ た食事の提供のあり方であるとか、あるいはアレルギー児や体調不良児に対する提供という ものについては、外部搬入では必ずしもうまくいかない部分があろうというのが、私どもの 調査の結果ではありましたけれども、特区の委員会の調査の結果では、これとは若干異なる 結果が出ております。  最終的に特区の評価委員会の結論としましては、3歳以上については全国展開をしてもよ いのではないか。つまり特区ということによらずとも、給食の外部搬入を認めてもよいので はないかということ。それから0〜2歳児についてはそうではないだろう。引き続き特区で いわば研究を進める段階であろうということです。いずれにしても、調理室などは当然そこ では必要になるものであろうということが評価委員会の場で結論として出されたというこ とでございます。これは今後、特区の本部で決定されることになると思いますけれども、そ の際にも、私どもとしてはやはり、実際の子どもの育ちに対して、この外部搬入が行われる ことになった場合にも影響が生じないような形で、いろいろな実施基準というものをつくっ ていくという必要が少なくともあろうと考えているところでございます。以上です。 ○朝川少子化対策企画室長  障害児の関係でございますけれども、いくつかありますけれども、少子化対策部会の方で、 新しい包括的な次世代育成支援のシステムづくりの検討をしていく中でも、障害児の対応を しっかりと、一般的な保育所などの施策でも、広く受け止めていった方がよいのではないか という議論もされております。そうしますと当然、人員配置の方にも影響していきますので、 そもそも保育所の質の改善というのが大きいテーマの一つになっているわけですけれども、 そういうことを今後検討していく必要があるという整理になっています。  それを受けて今、私どもは今年度の補正予算で付きました財源を活用して委託調査をして います。これは全国の保育所をはじめとしました、いろいろな子育て支援のサービス事業者 を結構幅広く対象にしまして、一斉に事業所調査をさせていただいております。そこではそ れぞれの事業類型ごとに、発達障害者も含めて、そういう気になる子どもがどれぐらい受け 入れられているかといったことも把握させていただきながら、今の現場の実態がどうなって いるのかを把握させていただき、今後の保育所なら保育所の人員配置の改善に結びつけてい くような客観的なデータを、基礎的なデータを集めようとしておりますので、それらも踏ま えながら検討をしていくことになると思います。これは自ずと新しい制度における単価の設 定に影響してくるものでございますので、そういう中で少し考えていけたらと思っておりま す。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。土堤内委員。 ○土堤内委員  土堤内でございます。二つ、ご質問させていただきたいと思います。一つは子ども・子育 てビジョンの中で、格差や貧困を解消とするということが謳われているのですが、今はやは り若い人たちを中心に非正規雇用が増えて、親の経済格差が非常に子どもに影響してきてい る状況だと思います。特に最近は「子どもの貧困」ということがいろいろなところで言われ ているかと思います。この中で今回の子ども手当ですが、子どもの育ちを支えるお金という ことですが、やはり親世帯の経済状況が厳しいだけに、やはり誰しもが懸念するのは、本当 にそれが子どもに対して使われるのかどうかという点になると思います。そういう意味では 最近、高校生の学費の滞納の問題があったり、あるいは中学生の教材費や給食費の滞納とい ったことについても、目的的に使うような、つまりバウチャー制度のようなものの検討とい うのは、可能性はないのだろうかということを聞きたいというのが一つです。  2点目は、「幼保一体化を含めた保育分野の制度・規制改革」というのが謳われているの ですが、たしか前の政権では「幼保一元化」という言葉が使われたと思いますが、この言葉 は特に概念的な違いのようなものがあるのかどうか。特に「一体化」と言ったときに、幼児 教育等保育のようなものを、要は本当に一体化して、よく言う子ども家庭省のようなところ で、一元的に子どもの成長を支えていくという仕組みまで視野に入っている言葉なのかどう かという点について、お聞きしたいと思います。 ○大日向部会長  今のご質問に対しては、どなたからお答えいただけるでしょうか。  田河総務課長、お願いいたします。 ○田河総務課長  最初の子ども手当の関係です。子どもの育ちを社会的に支援するという趣旨で子ども手当 の創設を考えているわけですが、確かに親のいろいろな使い方、いろいろな保育料や給食費 を滞納していてよいのか、というご指摘をいただく面がございます。そういうために、実は 子ども手当の法案の要綱などにも「受給者の責務」ということも定めておりまして、子ども のために使ってほしいという趣旨は示しております。  ただ、相殺等につきまして、実は子ども手当の趣旨に従って使っていただきたい、一身専 属的なものとして位置付けられておりまして、差押さえ等も禁止されております。そういう 意味においては相殺等は認められないという面があるわけですが、私どもとしてはこの子ど も手当というものを本来の趣旨に従って使っていただけるよう、いろいろとお願いもしてい き、周知も図っていきたいと思うわけです。  いろいろバウチャー制度のようなものもどうかというご提案もいただきましたが、子ども 手当は平成23年度にまた、これは法律の最後の附則のところで検討規定等が設けられてお ります。いろいろなご意見等も今後出てくるかと思いますが、平成23年度に向けていろい ろなご意見等を踏まえながら、あらためて検討するべきものは検討していきたいと思ってい るところでございます。 ○朝川少子化対策企画室長  後段のご質問で「幼保一体化」についてですが、資料の1ページ目をご覧いただきますと、 最後から2行目のところに定義らしいことが少し出てくるところがあります。「認定こども 園制度の在り方など、幼児教育、保育の総合的な提供(幼保一体化)」と書いてあります。こ れを読む限りにおいては、従来の「一元化」と言ってきているものと、それほど内容は変わ らない。ただ、総合的に提供していく、検討をより一層強めていくのだという気持ちが言葉 を変えて「一体化」というところに含まれていると。これは経緯的に言いますと、内閣府の 政策会議という民主党の議員の集まりがありまして、その中で「幼保一体化という言葉がよ いのではないか」という話になった経緯がございますが、そういう趣旨だと伺っておりまし て、一元化にしろ一体化にしろ、これはそれぞれお考えになる人によってイメージするもの が少々違うかと思います。幼稚園、保育所という類型をなくして第3の類型をつくるという ことをイメージされる人もいますし、まさに機能を総合化するということで、認定こども園 制度のようなものをイメージされる方もいます。それは今後は具体的にどういう内容にして いくかは、まさに今後新しいシステム検討会議が立ち上がりましたので、その中で検討され ていくことになろうかと思います。 ○大日向部会長  山縣委員、お願いいたします。 ○山縣委員  3点お願いします。本当は自分で勉強すればよいのですが。予算のことについて1点目は、 次年度予算では雇用均等・児童家庭局予算が1兆3,000億円ぐらい増ということになってい ますが、そのうちの1兆5,000万円弱が子ども手当によるものということですけれども、児 童手当のごちゃごちゃした部分も含めてトータルでは、子ども手当分を相殺すると増えたと いうイメージになるのか、あまり変わらないということなのか。その辺を少し大枠のイメー ジだけで結構なので、教えていただきたいというのが1点です。  2点目は、それと関連して細かい話になるのですが、63ページですけれども、市町村か ら積み上がってきた目標値では子育て支援に関して、非常に大きな目標値がぐっと上がって きているわけですけれども、一方で表面上の予算としては30億円減というイメージですよ ね。440億円から410億円ですから、30億円減になる。これは児童手当財源の振替による ごちゃごちゃで、整理上はこうなるけれども、実質は増えているという理解でよいのかどう かというのが2点目です。  3点目は、さらに細かい話になる。今のところと関連して、ある調査、まだ公表されてい ませんので正確には言いづらいのですけれども、全国規模の調査、1割抽出の保育所調査を 見ますと、この2、3年の間に旧制度の一時保育から撤退しましたという保育所が50か所 弱あります。1割抽出で50ですから、2,200くらいの調査をして、40%ぐらいの回収で800 いくつの回収ですけれども、その中で40%というのは2割になるのです。国制度をどう理 解しているのか、調査ですから正確には言いませんけれども、どちらにしても私の感覚とし ても市町村等の話や保育所の話を聞いていたら、一時保育と病児保育からやや撤退している 保育所が出てきているという気がします。  一方で、市町村の方の目標値はそこが施設数ではなく日数ですから、正確にはリンクしま せんが、例えば10倍ぐらいの一時保育をやれば目標値が上がってくるとなると、答えは、 要は認可保育所以外で一時預かり事業をやるという形で、例えば市町村はどんどん計画して おられるのか、今までは認可保育所をベースとしていたと思いますけれども、それ以外のと ころを、例えば北本市などでは考えておられるのですか。保育所でやるけれども、結果とし て減っているということなのか、国と地方自治体の考え方がどうなっているのかという辺り を少し、おわかりでしたら教えていただけるとありがたいということでございます。以上で す。 ○朝川少子化対策企画室長  まず1点目ですけれども、子ども手当を除いてトータルはどうなっているかというお話で すけれども、基本的には着実にいろいろな子育て支援サービスのサービス量を増やす予算計 上をしておりますので、特に例えば保育所については先ほど説明をさせていただいた5ペー ジ目で説明しましたとおり、5万人増の運営費を確保する、あるいは放課後児童クラブもか 所数を結構大きく増やしている。そういうサービス量の伸びに伴った増額が基本的には図ら れています。  それ以外に、この60ページ目を見ると、子育て関係で結構な伸びを示しているのが実は 育児休業給付の関係です。隠れているのですけれど、これは制度の変更に伴って、これまで の制度は育児休業期間中にお支払いする給付が3割だったか、取り終わってから2割後から 支払うというのを、今度は育児休業期間中に5割全部支払うという制度見直しをした関係で、 平成22年度に特別に高く計上されているという要因がありますが、基本的にはサービスの 伸びに伴って増やしているという内容です。  あと63ページで4番の項目が減っているではないかという点につきましては、これは実 は昨年、事業仕分けというものがありまして、その中で延長保育が、今までは「ソフト交付 金」という一般会計による補助金の中に入っていたものが、これはどちらかというと両立支 援系のサービスであるということで、事業主財源を活用した方がよいという事業仕分けがあ りまして、それに伴ってソフト交付金から外に出ていって、児童育成事業の方に移行してい ます。そこから出ていった分が減っているのですが、その代わりといいますか、ソフト交付 金の方に一時預かりや拠点事業が移行していますので、延長保育が出ていたほどは減ってい ません。ただ、総額として減っているというのはそういう入り繰りがあるということで、そ れぞれのサービスは量は増やして予算計上をしておりますので、強化されていると理解して いただいてよろしいかと思います。  最後の一時保育についてですが、これはまたソフト交付金に入った関係で見えにくくなっ てはいるのですが、全国課長会議を開いたときに少し単価をお示ししているのですが、その 単価を、一時預かりについては、来年度については概ね20%強の改善をしています。した がってこれからの一時預かり、病児・病後児保育もそうですけれども、一時預かりは量的に かなり増やしていかなければいけない。ニーズが非常に高い分野でございますので、当然、 保育所にも頑張っていただく必要があります。今の圧倒的多数は保育所において提供されて おりますので。ただ、保育所だけで足りるかと言われれば、今後制度の見直しも絡めていろ いろな形態、訪問型のようなものも含めて考えていく必要があろうかと思いますので、そう いったものも含めてビジョンの目標数値は達成していくということになろうかと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他に、いかがでしょうか。  では佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員  予算の中には全然具体的な数字が出てこなかったのですけれども、障害児保育のことにつ いて、先ほども石津委員からご指摘がありましたが、「子ども・子育てビジョン」の2番の (8)で「特に支援が必要な子どもが健やかに育つように」というところで「障害のある子ど も」と出てくるのが、この資料の中ではたった1行、ここだけです。「すべての子どもの笑 顔のあふれる」という「すべて」の中に障害のある子どもが入っているのか、いないのかと いうことが私の問題意識にあるのです。以前のこの部会でもそうでしたし、私は障害者部会 の方にも出ていまして、その中でも一貫して主張してきているのは、障害のある子どもを障 害者施策の中で対応するのではなくて児童福祉施策として、そういう意味では一般施策とし て障害のある子どもの育ちの支援、あるいは家族の子育て支援をするべきではないかという 主張をしてまいりました。以前のこの部会でもそういう方向性は概ね確認されたような気が しています。これは障害保健福祉部でも、そのようなことについて確認されたように思いま す。しかし、今日の予算を見る限り、具体的にそういう項目がないのがとても気になったと いうことです。現実に何が起きているかといいますと、これだけノーマライゼーションがも う今や古語になるくらいに使い慣らされていて、最近ではそれに代わって共生社会あるいは インクルージョンということが語られているにもかかわらず、あるいはご承知かと思います が、いわゆる特別支援学校に入学を希望する子どもは、この10年間で1.5倍にも増えてし まった。それから、かつて障害児の通園施設といわれていて今は児童デイサービスに変わっ たりしていますが、そこも増え続けているわけです。それはなぜかというと、保育所や幼稚 園での障害を持つ子どもたちの受入れが広がっていかないので、家庭保育とは全く別の現象 が起きている。  その一方で、今回の障害者自立支援法の違憲訴訟に対する決着の仕方を見ますと、私は非 常に問題があると思っています。というのは、障害者施策がますます特化する形で、今後、 言葉を選びたいのですが、良くも悪くもそこが脹れていくような気がしていていて、少なく とも子どもから始めようと考えていた児童福祉としての障害のある子どもの子育て支援が、 障害者施策の方にどんどん取り込まれていくようなことになってしまうのではないか。つま り、障害のある子どもたちに対するいろいろな施策は特化してやるべきだ。特別な存在だと いうことに障害のある子どもが描かれてしまう危惧がある。子ども・子育てビジョンの中に は、きちんと障害のある子どもを位置付けないと大変なねじれが今後も起きてくるのではな いかと思っています。特に質問というわけではありませんが、もしそういう意味で障害のあ る子どもを保育所等で受入れていくために、あるいは保育所だけではなくて放課後の対策も そうですが、今回の予算の中で雇用均等・児童家庭局として措置したことがあるならば教え ていただきたいと思うし、なければないで今後はよろしくお願いしますということだけ申し 上げたいと思います。 ○朝川少子化対策企画室長  「子ども・子育てビジョン」の説明を簡略にしてしまったので大変恐縮でしたが、ビジョ ンの見方をご説明しますと、19ページ目から本体が始まるのですが、総論部分がずっと続 いた後に、31ページから「別添1」ということで、施策の具体的内容が始まります。今回 の「子ども・子育てビジョン」というのは従来少子化社会対策大綱と「子ども・子育て応援 プラン」が分かれていたものを一体的につくったので、そのプランに相当するものが、別添 1の施策の具体的内容のところになります。  この中の39ページをご覧いただきますと、より具体的に障害児の関係の記述が書いてあ りまして、(8)のところに一つ目の項目が、障害のある子どもへの支援に取り組むという話 です。1ページをおめくりいただいた40ページ目のところで、一番上のところに「障害の ある子どもの保育」という項目がありまして、最初の2行はデイサービスの話ですが、3行 目4行目のところは、まさに一般施策である保育所や幼稚園でしっかり受入れ態勢を整備促 進をしますという方向性を示しているところです。これを直ちに来年度の予算でどうこうす るということにはなっていません。それは先ほど石津委員がご指摘されましたとおり、これ は三位一体改革を契機に、障害児の関係や保育所の予算は一般財源化されている関係があり まして、これは国の予算で直ちに何か充実するということは保育所の予算としてはなかなか 難しい事情もありまして、来年度予算での措置はありませんが、これからの新しい制度づく りも踏まえながら、このビジョンに書いたことも踏まえた対応を検討していくということに なります。 ○佐藤委員  もう一つだけよろしいでしょうか。むしろ私はそこではなくて、ここに書いてある言葉尻 をとらえて言うようなことになるけれども、「障がい者制度改革推進会議の議論を踏まえて、 障害のある子どもの支援を含む障害者制度の改革を推進します」とあります。これではなく てということを言いたいのです。その次の「障害のある子どもの保育」も、一方で障害者支 援施設や児童デイサービスについて積極的に推進します。併せて幼稚園・保育園におけると いうように両論併記されているわけですけれども、どちらを優位にやるかということでいう と私は後者であろうと思うし、そういう方向の中で今後の障害者施策を考えていくか。障害 児支援を考えていこうという基調ではなかったのですかということを申し上げたいのです。 ○朝川少子化対策企画室長  39ページの「障がい者制度改革推進本部における」というものは、むしろ自立支援制度 を廃止するというか見直しをするといいますか、そういう議論がありますので、そちらの自 立支援制度の話を受けて書かれているものと理解していただいた方がよろしくて、むしろ具 体的な中身としては40ページの記述で、これは両論が書いてあるというよりも、施策の充 実を図りますということが書いてあるとお読みいただいた方がよくて、これはデイサービス も充実を図っていかなければいけない話ですので、それとともに一般施策である保育所・幼 稚園における受入れも進めていくとお読みいただければと思います。 ○佐藤委員  ですから、そこが違うのではないですかと言っているのです。両方やりましょうではなく て、そんなことを言っていたら、きっと障害の方ばかりやることになると思います。今の空 気は幼稚園も保育園も面倒な子どもは入れたくない。もう少し予算措置が付いていればとも かく、現状では大変だということで結果として増え続けているのです。私は自分自身の経験 で言うと、むしろそういう特別な場所をなくしていくべきだと思っていました。そして自分 たちの仕事はそのように縮小してきたつもりでいたのですが、周りを見渡すとむしろ緩やか に障害者施設は増え続けてきているのです。障害のある子どもの数が増えたという事実は全 くないにもかかわらず、発達障害という新しいカテゴリーをつくったからそこは増えたと思 いますが、そういう点では軸足をきちんとしないといけないのではないだろうかという時期 に差し掛かってきているのではないか。自立支援法を廃止してさらにもっと障害児のために 特別な法制度をつくろうとしているような感じがしていて、逆行しているのではないかと思 うのですが。 ○香取審議官  よろしいでしょうか。今回の「子ども・子育てビジョン」は今、朝川少子化対策企画室長 から説明しましたが、従来のビジョンとは組み立てがかなり違っている。組み立てが違って いるというのは幾つか理由があるのですが、その大きな理由は、数値目標はもちろん市町村 の積み上げの数字をベースにつくっているので実態的な数字ですが、施策全体の哲学や考え 方、特に今の関係でいうと先ほどのご質問にも関係しますが、冒頭の21ページのところに、 この「子ども・子育てビジョン」をつくる考え方がずっと書いてあるところがあるのですが、 例えば少子化対策はやめましょうというのが出てくるのですが、そういう意味でいうと、こ の内閣としてのいわば基本的なものの考え方といいますか、まさに政治的なステートメント としての考え方がまず前面にあって、それに沿って全体の施策が組み立てられているという ことに基本的にはなっているということです。障害者施策についてどのように考えるのか。 あるいはそれと一般施策との関係をどのようにするのか。それは我々自身も行政担当者とし てさまざまな議論もありますし、いろいろな方々と議論をしながら施策を組んでいっている わけですが、今の内閣の基本的なものの考え方は、基本的な枠組みをまず先ほどの39ペー ジにある改革推進本部で、さまざまな当事者の方々に集まっていただきながら枠組みを決め ていく。これは障害者自立支援法の見直しのこともそうですし、それ以外の一般施策との関 係、あるいはさまざまなサービスの主体、あるいは当事者のかかわり方も含めて議論をする という形で議論が今まさに内閣府といいますか推進本部で進められているということにな るので、我々としてはそこで示されたこの政権の意思なり考え方に、基本的には沿って政策 を進めていく。今の段階ではそういうことではないかと思います。  それはそれとして、個別のさまざまなサービスについては、実態として障害者の場合もそ うですし、子育ての場合もそうですが、さまざまな今あるサービスメニューについては、そ れぞれいろいろな形でサービスニーズが実態としてあって、制度要望あるいは拡充要望があ る。あるいはそういう実態的なニーズがあるということを踏まえて、それぞれの施策につい ては必要な拡充を図るという考え方なので、ここは先ほど朝川少子化対策企画室長が説明申 し上げましたように、どちらが優先とかどちらを中心に考えるということではなくて、今あ る施策についてはできる限り拡充をするという考え方を今の段階でお示ししているという ことなので、ご理解いただければと思います。 ○大日向部会長  お手が幾つか挙がっていますね。榊原委員、吉田委員、渡辺委員、秋田委員の順にお願い します。次の議題もまだありますので、ご質問をまとめていただいて、最後に事務局にお答 えいただくという形にしたいと思います。 ○榊原委員  意見というかお願いのような感じですが、よろしいでしょうか。3点あります。一つ目が 今回説明いただきましたいろいろな取組、特に新システム検討会議の設置や子ども・子育て のビジョンであるという辺りに、私は大変期待をしています。少子化社会対策大綱が5年前 にまとまったころには財源をどうするかということが課題には上っていたのに先送りされ ていた。社会全体で子育てを支えていこうという子育ての社会化の理念は出てきていたのに、 それは制度政策の議論には到らなかった。それを今回のこうした取組の中で、さまざまに具 体的に取り上げてくださっている。具体的に議論を進めていこうとなさっているという点に、 私は非常に評価していますし、期待もしています。きちんと議論を進めて結論に導いていた だきたいと思っています。  ただ、その中で実は先ほど石津委員がおっしゃったような懸念を私も持っています。児童 福祉施設の最低基準をめぐる議論は、現政権が発足してからのこの半年の間、なし崩し的に と第三者が見たら見えるような形で、お金がないから質は劣化させてもよいという議論や結 論が何回か出てきていたのではないかという気がしています。そうした行き詰まった議論を 突破するためにも、今申し上げたような大きな議論というものをきちんとやっていただくこ とはとても大事になっていると思っています。  石津委員は子どもの育ちの状況というものに対して、大変懸念を持っておられるというこ とが伺っていても大変よくわかったのですが、実はもう今は厚生労働省に慎重にやってほし いとお願いをする場面ではもうなくなっていて、例えば取材をしていても大変感じるのは、 地域主権を非常に大事にする政権、規制緩和や地方分権の流れの中で、どうやって課題を進 めていくかという政治的な要請が非常に強くなっている。実は自治体の首長さんたち自らが、 自分たちが子育て政策をどのように位置付けるのかということを、全国市長会なり全国町村 長会なり、また全国知事会なりでもきちんと議論した上で国と対話をしていただくことが必 要となっていると思うのに、それがないまま地域主権という名のもとで、なし崩し的にお金 がないところで保育の質を下げるということが起きている気がしまして、石津委員にお願い をするという話ではないのですが、そういったようなきちんとした議論も厚生労働省やこう いった部会の場面だけではないところで行われないと、子どもたちの育ちを守っていくこと ができなくなっていると感じています。  先ほどご指摘のありました保育園の給食の外部化の件、実は内閣府のトップの議論に私も かかわっていて、大変強く反対したのですが、抗し切れないくらい新政権になったこともあ って結論ありきで規制緩和を進めようということがとても大きな流れになっています。背景 には市町村の強い要望があるというところなのです。けれども伺ってみると市町村で保育に かかわっておられるような方、子どもの状況を知っておられる方たちは、決してそんなこと を望んでおられない。どこでこれだけのギャップが起きているのか。きちんとした専門的な 見地の入った議論が行われていないからではないかと感じていまして、そういったところを もっと克服していかないと、議論のあり方というものも見ていかなければいけなくなってい ると感じています。  2点目は子ども手当、子どもへの現金給付のあり方を普遍化させていく。これまでのよう な所得制限や年齢制限、極めて限定的に行っていくような現金給付のあり方を、福祉国家が 皆さん行っているようなやり方に転換していくことは基本的に賛成ですし、財源を捻出する のが大変な中でこういうふうに指導手当をコミットしているステークホルダーの人たちを 引きつけながら展開していこうという議論になっていることに希望を持っているところで すが、これを満額にするかどうかという難しい議論がこれからあることも承知していて、そ こにもそれぞれここにいらっしゃる皆さまもご意見があると思いますが、私が1点この場で お願いしておきたいと思いましたのは、子どもへの支給の仕方です。父母に支給するのでは なくて、子どもに支給するという考え方にぜひもっていってもらいたい。まだ世帯主主義が 入っていたり家族主義が入っている日本の福祉制度ですので、現実には難しいと思いますが、 例えば昨年子ども応援手当が支給されたときに、例えば夫婦、父親と母親が別居していても 子育てをしていない父親に支給がいってしまって混乱が起きたり、施設に預けられている子 どもたちのところにはいかなくて、育児放棄をしている親の方に支給がいったということで、 混乱が起きた。それを回避するために検討していただいているということは聞いてはいるの ですが、例えば去年中学生以上の施設にいる子どもたちが、自分たちも子どもへの支援給付 がもらえると期待していたのにこないということがわかって、都内のある施設では一種の暴 動が起きたと聞いています。子どもたちを応援するためのはずのお金が、子どもたちをさら に傷つけることがないように、子どもの養育に責任を持っている者のところにお金が届く制 度設計にもっていっていただきたいとお願いをしたいと思います。  3点目が子どもの虐待の問題のところです。虐待の問題の社会的養護については厚生労働 省でもいろいろ取り組んでいただいていて、この流れを一層強化していただきたいと思って いるところですが、1点まだ足りないのではないかと思っているのは、実は性的虐待の問題 です。例えば私は2年前に世界の子どもの性的虐待を議論する国際会議の取材に行きました。 日本は大変影響力のある、ある意味例えば児童ポルノであるとかいろいろな問題の震源地に なっていると言われている国で、インターネットも先進国のトップクラスに発展している国 なのに、インターネットが広がる中で子どもたちがさまざま性的虐待に商業的にもさらされ ている問題に社会が気がついていないことに、私も報道にかかわる一員として深く反省した ことがあります。戻ってきて、いろいろなところを取材しても、政府の中で心配して動こう としているのは警察庁ぐらいで、他の省庁との取組がない。ようやく政府連携の取組が始ま ったと聞いてはいるのですが、児童福祉が設定している課題の中にこうした新しい問題が入 ってきていない。児童福祉が従来用意していた課題に入っていないから対応できないという のではまずいと思います。虐待の問題の中でも、例えば家庭内で起きている性的虐待。施設 の中で起きている性的虐待というものが非常に見えにくい。身体的な虐待以上に見えにくい という問題を、もう少しきちんとクローズアップして、児童ポルノの問題や子どもたちが受 けているさまざまな性的虐待の傷を発見し回復していく取組も意識的に強化していくため に、厚生労働省の政策の中でも取り組んでいただきたいと思っています。 ○大日向部会長  ありがとうございます。吉田委員、お願いします。 ○吉田委員  時間も押しているようですので、簡単に二つ申し上げます。「子ども・子育てビジョン」 の関係で二つ懸念していまして、平成26年度までということは恐らく新制度はほぼ間に合 わなくて、大半の期間は現行制度でということになると思いますが、幾つかの自治体で後期 行動計画策定に私もかかわっていまして、先ほどの数値目標、あるいは保育サービス利用率、 市町村の潜在ニーズ調査の積み上げということであったのですが、その積み上げたベースの 市町村が潜在ニーズ調査に基づいた目標事業量をほとんど設定していない。もちろん全部の 市町村を確認したわけではありませんが、確実に待機児童が多い東京23区の幾つかの区で、 後期行動計画はほぼできあがっていますが、それを見ている限りでは目標事業量を掲げない。 国は市町村の積み上げでこういう大きい数字が出ている。しかし肝心の舞台である市町村が 明確なものを示していないということは、本当に国でいくら数字で挙げても現実にそれぞれ の地域で進んでいくのだろうということで、そこに対する目配りをしてほしいというのが1 点です。  3歳未満児の保育サービス利用が5年間で27万人ほど増える。あるいは延長保育・病児 保育、先ほどご議論のあった障害児保育等ということを考えると、このサービス量もそうで すが、実際にこれを支えるのは保育者でございまして、正確に計算していませんが、これで ざっと見ると少なくとも5年間で7万人から10万人くらいは新たに保育者が必要であろう。 毎年1万5,000人以上はどう考えても必要であろう。ところが待機児動が多い地域ほど既に 人材難を起こしているということで、子どもの数の目標は出しやすいのですが、実際それを 受け入れて支える保育者の側が量もそうですし、処遇改善や配置の改善、資質の向上などい ろいろな課題があるので、その人的環境の整備というものを十分目配りをしていただかない と、絵に描いた餅になってしまうのではないか。虐待対応その他いろいろ考えても障害児の 問題を考えても、なおさら人的環境整備ということの裏打ちがなければ、恐らくこの計画は 絵に描いた餅になりかねないと思っていますので、その2点を少しご配慮いただければと思 います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。では渡辺委員、お願いします。 ○渡辺委員  それでは3点だけ。一つは児童福祉施設最低基準の件ですが、私はこの間ここの会議だけ ではなくて、議論をいろいろ見ていると非常にちぐはぐな感じを持っていまして、一つは保 育所についての基準の緩和については、端的にいえば地方分権なのか児童福祉なのかが非常 にあいまいで、何のためにやるのかというのが見えにくくなっている。逆に言うと緩和して いくことによって起こってくるメリットとして一つあり得ることは、例えば今でいうと北海 道に行っても九州に行っても保育所は大体同じような設備で同じような建物が建っている ことが多いのですが、それぞれの地域の実情に合わせて、多様な保育環境をつくり出してい くという意味では、実は基準を緩和していくのは一つの方策と思いますが、要は何のために 基準を緩和するのか。それが目的なのか手段なのか、いろいろなことがわからなくなってし まっていて、どうも児童福祉と地域主権の議論の間の綱引きになってしまっているような感 じがしているのですが、これをはっきりとした方向性を示していくべきではないかと思って います。  その一方で、例えば児童養護施設等についての最低基準は全く数が足りないという話にな っていて非常に危惧を持っています。今でも15人を1室に児童を入れても法律違反になら ない。基準違反にならない。職員さんたちがほとんど24時間27時間労働というのが条件 の中で対応せざるを得ないようなかなり過酷な施設状況があって、職員さんたちが平均4、 5年で辞めて新しく変わっていくような悲しい労働状況に置かれていることがありながら、 一方で保育所については不安があるのだけれども一向に児童養護施設についての最低基準 の見直しこそ実は国が最低基準をしっかりと高めて保障していくべきだと思いますが、これ についての議論が起こってこないことについて、大変ちぐはぐな感じを持っています。  先ほどの方向性にもありましたが、分園化・小規模化を進めていくことは子どもの環境に ついていうと大いに結構だと思います。ただし実際現場で起こっていることは、小規模化・ 分園化を進めていけば進めていくほど、人の労働条件が過酷になっていくことが起こります。 端的にいうと望ましいことではありませんが、大舎・中舎制の場合であれば夜間であれば夜 間になれば30人40人の子どもを1人2人の職員が見る。その間皆が休憩を取る。あるい は交代で休みを取るということが可能だったりするのですが、単位が細かく分かれていくと、 30人40人を1人や2人で見ることは実質的にできませんので、その分だけ細かく分けてい けば分けていくほど職員は労働条件が過酷になるということが現場に起こってくるわけで、 つまり小規模化・分園化を進めていく場合には、それに沿った最低基準の見直し・やり方を しっかりこだわらないと、現場にだけ負担が起こっていて、同時に里親型が進んでいく中で 児童養護施設の職員たちが非常に自信を失ってきている状況があります。わずか施設で生活 する子どもたちは18歳未満人口の0.2%かもしれませんが、ここにこそしっかり光を当て ていただきたいというのが、最低基準の緩和・見直しについての私の意見です。これが1 点です。  二つ目については、先ほどから出てくる障害児についてです。これは柏女先生が今回退任 されましたので、私が代わりに一言でも言わなくてはいけないと思っているのですが、障害 者支援の見直し検討会の中で、平成20年に12回、各団体、保護者の代表、いろいろな方々 が入って、児童福祉法に戻そうと。ある程度療育の児童デイサービスや通園施設等を含めて、 そこだけで囲い込むのではなくて、むしろ地域の保育所にどんどん出向いて発達支援を行う ことで、なるべく身近な地域の中で子どもたちを受け止めていこうという体制整備まで含め た法案を提出した。その後厚生労働省で検討していただいて、法案をここでも議論をしてい ただいて、提出したのですが、要はその間に政権が変わっておじゃんになってしまって、今 多分なかなかものが言えない状況の中に、行政の方も置かれていると思っていますが、ぜひ 障害者部会、障害福祉等での進め方の議論と別々にではなくて、逆に言うと障害児支援は常 に待ったなしです。子どもはどんどん大きくなっていきますので、待ったなしですので、新 政権の中でどうものんびりこれからやっていくような感じが見え隠れするのですが、しっか り児童家庭局と障害福祉関係を連携を取りながら、しっかりとここは推進をしていただきた いと思います。これが2点目です。  三つ目、児童虐待についてですが、残念ながらこの1月にも江戸川区で子どもが亡くなり ました。どうも児童虐待の死亡事例をずっと見ていると、初動のミスや初期対応のミスがか なり目に付きます。ただそれについてはマスコミもそれを批判するのはよいのですが、一方 で例えばでは学校の先生に適切な対応ができたかどうかとなると、私は疑問を感じざるを得 なくて、むしろ親御さんとの関係、いわゆる虐待する親との関係でいうと、もっとも緊張関 係が高まったり、相手の防衛心か高まってくるような初期対応こそ本当はエキスパートがき ちんと対応するべきで、エキスパートが対応して次第にケースマネジメントのプロセスの中 で、次第に後方支援にいけばいくほど地域全体で支えていくような体制に動かしていくこと が大事だと思うのですが、今は逆だと思っています。つまり最初始動でどんどんつっついて、 どうにもならないケースが後でエキスパートのところにやっていくのは流れ的には逆では ないか。実は初期対応こそ本当はエキスパートがきちんと対応する体制にもっていかないと、 虐待事例は発見しても通告義務を徹底しても、その後の対応に失敗してしまって、引き続き 子どもの命が奪われることだけは避けたい。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは最後に秋田委員、お願いします。 ○秋田委員  かなり時間も押していると思いますので簡単に2点だけ。一つは最低基準の問題ですが、 最低限の本当に最低のところは何とか子育てのために厚生労働省も頑張ってくださってい ると私自身は思っていますが、先ほど出ましたような待機児童対策の中で、本当に質が保障 されるのかというのは、先ほど吉田委員が言われたような人的な問題です。資料18ページ を見ますと、参考ということでビジョンの最終年度の姿が出ています。いろいろご尽力をい ただいていることはわかります。しかし、この点線の中で最後の「その他上記試算に含まれ ない検討課題」のところに極めて小さく「サービスの質の改善職員配置、職員の処遇、専門 性の確保等」というものが、ここに書かれているわけです。これで本当に子どものための施 策になっているのかということを、こういう資料の中でも何か所増やしているという数であ ったりが出ていますが、具体的に62、63ページも民間保育所運営費5万人増はわかります が、先ほどから話が出ていますように、これが本当にいわゆるパートのどういう人なのか。 本当にそれが専門性のある人を雇用してくれるのかという問題や、この分園の問題もそうで すけれども、こうしたところをもう一度きちんと予算と同時に、ご議論いただきたいという のが1点です。  もう1点はこれと連続しますけれども同じ63ページ、放課後子どもプランに関しまして も、受入れ児童数の増加等に必要なソフト面及びハード面での支援措置を図ると書いてあっ て、ハード面で何か所増えるかは書いていますが、しかしソフト面でどのように子どもたち の放課後をケアしてくれる専門家というものが養成されるのか。また文部科学省の子ども教 室推進事業というものと児童福祉や放課後子どもプランとしての生活としての子どもの養 護的な部分がここでどのように保障されるのかをきちんとご審議を今後併せてしていただ きたいと、これはお願いともいえますし、本当は時間があれば伺いたいところですが、時間 がないと思いますので意見だけ述べさせていただきたいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。時間が押しておりまして恐縮でございますが、最近の児童行政の 動向につきましては、この辺りとさせていただきたいと思います。新政権になりまして政治 主導・地域主権が強く打ち出される中で、新たな児童行政の方向に対しまして、期待評価が ありつつ、児童福祉のあり方という観点からは幾つか大変強い、あるいは貴重なご懸念・ご 意見が出されたということをお届けさせていただきたいと思います。  それでは、次にまいります。次は児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会 の設置に関してですが、児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会の設置及び これに関連しまして、児童虐待防止のための親権制度について、事務局から資料が提出され ています。まず事務局から説明をお願いします。 ○杉上虐待防止対策室長  虐待防止対策室長です。私からご説明申し上げます。児童虐待の防止につきましては、児 童虐待の防止等に関する法律が平成12年に制定され、平成16年、平成19年と二度にわた って改正されておりまして、虐待防止のための枠組みを整備していただいたところです。し かしながら、児童相談所における相談対応件数は平成20年度は約4万2,600件ということ で、一度も下がることなく増え続けている。また、先ほど渡辺委員からもご指摘があったと おり、虐待死による死亡事例も年間50件程度ということで、高い水準で経過していると考 えています。今回の江戸川事件に関しましては、今後東京都が検証する予定になっています。 少なくとも今回の事件について児童相談所・区・学校といった関係機関の連携がまずかった というのは間違いないのではないかと思っています。当面、検証を待つ間も学校との連携体 制・情報共有の仕組みについて、今、文部科学省と協議の場を設けてやっているところです。  今般の「児童虐待防止のための親権制度の見直しについて」、資料3-1です。親権制度の 見直しの必要性ということで、先ほど虐待防止法ができたと申し上げましたが、現行の制度 では児童虐待の事案等において、子の利益の侵害を防ぐという現実の必要性に応じた適切な 親権制度ができないのではないかという議論がずっとありました。2の「検討の経緯」のと ころにありますとおり、前回の改正法の附則の中におきまして、政府は同法施行(平成20 年4月1日)後3年以内に親権に係る制度の見直しについて検討を行い、その結果に基づい て必要な措置を講ずるものとされたところです。これに基づきまして、実は法務省が中心と なりまして「児童虐待防止のための親権制度研究会」を設置し、平成21年6月から12月 までにわたって研究会を開催しまして、本年1月に研究会報告書が取りまとめられています。 内容の概要については後ほど申し上げますが、この研究会報告書は論点になる点を整理し、 さらに制度改正の要否の検討ということで、制度改正をしたときの影響や問題点などの整理 をしていただいています。今後ですが、まず民法等については法務省において法制審議会に 諮問した上で検討いただくとなっていますが、諮問について既に終わっていまして、今後は 部会を設置して検討を進めることになっています。諮問については2月5日に既に行われて いるということで、それに関連する私どもの所管しております児童福祉法あるいは児童虐待 防止法の改正について、どのような形で検討していけばよいかを今回ご提案させていただき たいということなっております。1枚おめくりいただきますと、親権制度研究会はこういう 委員のメンバーそれから関係省庁ということで、法務省が主体になってやりましたが、厚生 労働省あるいは最高裁判所の事務局も参加させていただいています。  3ページ以降が研究報告書の概要ということで、主な論点だけを書いています。報告書に ついては資料3-3で提出しておりますので、後ほどゆっくりお読みいただけたらということ で、時間の関係等もありますので概略をご説明申し上げます。上の注釈にありますとおり、 ○は主に民法に関係する論点、●は主に児童福祉法または児童虐待防止法に関係するものと なっております。ただ、この二つは完全に無関係というわけではありません。今後の検討の 進め方については後ほどご説明申し上げますが、相互に連携して進めていく必要があるので はないかと考えているところです。  「現行の親権喪失制度の見直し」ということで、現在の親権制度は親権の濫用または著し い不行跡とされていまして、親権喪失原因について子の利益の観点が入っていないのではな いかという議論です。そういったものを中心に、規定の仕方を整理すべきではないかという 論点があります。さらに、そこに子どもの申立権ということで、子どもの意見表明権を踏ま えて、申立人に子を加えるべきとの意見もあったということです。ただ、これについては子 ども自身の申し立てによって、親子の再統合が困難になるのではないかという別の意見もあ ったところです。  それから今、親権喪失制度の要件をご説明したわけですが、現在の民法の制度は、親権が あるかないか。0か100かということになっておりまして、それが硬直的で使い勝手が悪い のではないかという議論がずっと続いていたわけです。そういった意味で次の○ですが、全 部をなくすということではなくて、一時的な制限ということで、期間を定めた。これも期間 の定め方などにいろいろな論点があるわけですが、そういったものの制度をつくったらどう かという論点です。  一つ飛んで一番下ですが、一部制限ということで、主には監護権について切り分けて、一 部を制限する方法もあるのではないかという議論も、この研究会では論議されたということ です。それから一つ戻って●のところですが、実は親権制度があるかないかということで、 親権が例えば施設入所等の親御さんにしても残っているケースがほとんどであります。これ に対して現に監護しておられます児童福祉施設の長等が子どもの監護をするわけですが、親 権との優劣関係がはっきりしないので、親とのトラブルが問題になっているわけです。そう いったものについて、施設長の権限を優先する制度を考えてもよいのではないか。これら一 部制限や一時制限との組み合わせも、当然研究会の中の議論ではあったわけです。その下の 一時保護についての見直しということで、親権をきちんと制限という形で考えていく上にお いて、今は一時保護を行政権の発動でやっているのですが、裁判所の関与、いわゆる司法的 な関与についても考えてはどうかということ。あるいは一時保護の期間は現状のままでよい のかどうかという議論もされているところです。  次のページです。「法人による未成年後見の導入」ということで、未成年後見人は現在の 仕組みでは自然人しかなれないということになっております。ここでなり手がないものです から、そこも親権喪失の申し立てを躊躇するひとつではないかということで、法人による未 成年後見ということも考えてはいかがかという議論です。  次の●ですが、「親権者等がいない児童等の取扱い」ということで、親権者等がいない場 合、里親あるいは一時保護中の児童の親権者は、実は今の児童福祉法等の中では規定があり ません。それらについて、今回の整理をする中で、例えば児童相談所長が親権を行うことと することが考えられるということ。これについても先ほど法人による未成年後見というとき に、自然人しかなれませんということを申し上げましたが、行政の機関たる児童相談所長が なってよいのかという議論も一方であるということです。  次は少し難しい書き方をしていますが、施設入所ではなく、あるいは一時保護が行われて いない未成年に親権者等がいない場合ということで、いわゆる在宅ケース。ここで想定して いるのは施設から一定程度の年齢になって自立した未成年の方を想定しているのですが、そ ういったところに親権者がいないということで不都合が生じるケースがあった場合につい て、現実には児童相談所長が個人として未成年後見になったり、あるいは施設長がなったり するケースはあるわけですが、そこの部分を行政の長たる児童相談所長が親権を行うことも 考えてはどうかということの議論です。  次の●は「接近禁止命令の在り方」ということで、平成19年改正によって接近禁止命令 がかけられるようになりました。これには前提条件がありまして、28条の強制措置の入所 中の児童であって、面会・通信制限がかけられている場合となっております。ここの議論と しては1点は同意入所、一時保護中についても対象を拡大することというのが一つの論点で す。もう一つの論点としましては、司法的な関与でやるべきではないかという論点もありま す。いずれにしても接近禁止は近づくことを禁じるということで、かなり親権とのぶつかり 合いがあるので、研究会の議論の中では、親権制限の仕組みをうまくできるのであれば、そ ちらの方が良いのではないかという議論もあったところです。  次は「保護者に対する指導の実効性を高める方策」ということです。家庭裁判所が保護者 に対する指導に現行制度以上に関与することについて、両論があったということです。現在 28条の措置に関する家庭裁判所の承認の審判を行う場合、これについて保護者に対して直 接ではないのですが、都道府県に対して保護者指導をきちんとやりなさいということを勧告 することができるという規定があります。ここの議論はそうではなくて、裁判所が直接その 保護者に対してそういったものを勧告であるのか、いろいろな形になると思うのですが、や ることについてどうなのかという議論です。  最後に「懲戒権・懲戒場に関する規定の見直し」ということで、現在民法の第822条で 親権者は必要な範囲内で自らその子を懲戒することができるという規定があります。しつけ や教育や考え方がいろいろある中で、しつけというのはこの研究会の中では監護・教育権の 中で当然含まれるので、仮に削除しても親権内容の変更はないのだから、この際懲戒権を楯 に虐待を正当化する親がいる状況の中で、落としてもよいのではないかということ。なお、 規定を存続するにしても前提でありますが、この研究会の議論の中では、懲戒権があるから と虐待を正当化するものではないという議論の中で、そういったことも議論の一つとして取 り上げられたところです。  資料3-2に移らせていただきます。先ほど申したとおり今後、親権制度の見直しを検討す るに当たって、私ども事務局の考え方ですが、この部会の中に専門委員会を設置していただ けないかということで資料3-2の1のところに書いています。2番の「構成等」については、 児童福祉や家族法に詳しい有識者を中心にお許しいただけるのであれば、検討させていただ きたいということです。  2の3番のところにありますとおり、先ほど研究会の構成メンバーとしまして、私どもも 参加しましたし最高裁判所も参加しましたので、今回の専門委員会の運営に当たっては、法 務省及び最高裁判所の参加を求めることとしています。検討事項ですが、主な検討事項とい うことで先ほど申したとおり、これに限るわけではもちろんありませんが、今回の研究会の 議論のテーマになった主に児童福祉法、児童虐待防止法に関連する事項を中心に検討してい ただきたいという趣旨でございます。  また、次のページですが、先ほど法務省も部会の設置を設けて近々開催される。3月下旬 を予定していると聞いていますので、我々としてもその時期に開催を開始して、1年後を目 途に取りまとめていただき、この部会でも報告をさせていただきたいと考えている次第です ので、よろしくお願いいたします。 ○大日向部会長  ありがとうございました。ただ今、児童虐待防止のための親権制度の見直しについてご説 明いただきまして、併せて専門委員会の設置に関してご了承いただきたいということです。 まず、ただ今のご説明につきまして、ご質問等がありましたらお願いしたいと思います。山 縣委員、お願いします。 ○山縣委員  先ほどは質問だけで終わってしまって、今度は意見を先に言わせていただきます。2点あ ります。一つは既に説明の中にあったのですが、施設退所後の子どもたちの問題について、 ぜひ十分にご検討いただきたい。後見人や親権者という大きな話にするのかどうかは別にし て、社会生活をする上でさまざまな契約を結ばなければいけない。そのときに保護者が十分 それができない場合、難しい問題に子どもたちは直面しています。単純に言えばアパートの 契約や携帯電話の契約などそういう細かいところで苦しんでいますので、後見人制度という 形を取るかどうかは別にして、ご検討いただきたい。その中で、成年後見のところにあるよ うな法人後見制度も子どもの領域で検討しようということで、児童相談所長という言葉が出 ていましたが、ここもぜひ法人後見のイメージの中で、今の仕組みでしたら児童相談所長個 人がやらないといけないから、いろいろな躊躇感がある。つまり、児童相談所長を辞めても まだ後見人としての職務が残ってしまうという面倒なことになっていますので、その辺りも 法人的扱いというか、自然人ではない児童相談所長の位置付けをやっていただくとありがた いというのが1点目のお願いです。  2点目は児童福祉法と児童虐待防止法を中心にという話だったので申し訳ないのですが、 本日熊本の「こうのとりのゆりかご」の資料を参考資料として添付いただいていますが、そ こにかかわった人間として、ここも非常に親権問題に絡んだ話になっていますので、このく らいですぐに議論をするのは難しいと思いますから、ぜひ親権に絡めて匿名で預かった子ど もたちが、なかなか特別養子縁組に結びつかないという辺りの仕掛けを、ぜひ児童福祉法の 範囲を越えますが、子どもの福祉の視点から少し民法の方に意見を言っていただくようなこ とができればと感じています。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。 ○土堤内委員  簡単なことをお聞きしたいと思います。親権者等がいない児童というのは全国でどのくら いの数いるのか。その児童たちには先ほどの子ども手当が支給されないと聞いていますが、 それはすべての子どもの育ちを支える子ども手当という中で、どのように考え方の整合性を とるのか、教えてください。 ○田河総務課長  最初に子ども手当の関係をご説明しますと、子ども手当は子どもの育ちということから子 どもに着目した手当でありますが、先ほど委員の方からもご意見等をいただきましたが、実 は子どもに出したとしても、子の財産管理権は実は親にあります。参考資料の中でも民法の 規定はそうなっています。そういうこともありますし、あるいは諸外国の同様の手当等を調 べましても実は親に出している。そういうことから、これは児童手当のときも同じでしたが、 施設の親がいない子ども。それは逆にいうと社会的養護という形で養護施設として公的な社 会的養護を行ってきたわけですが、そういう子どもは直接には対象にならないということで す。ただし、その点について子ども手当と同様の対応をとるべきではないかというご意見も ありまして、現在の安心こども基金を活用できないか。そして同様の対応を検討を行うこと ができないのか、そういう検討を進めているところです。  人数等ですが、実際に何人いるのかは必ずしも明確な数字等はありません。施設等に照会 をしましたものはあります。ただし、そこでも不詳という形で回答が書いていない部分もあ るところです。 ○香取審議官  子ども手当との関係ではなくて、要は先ほど手当は親にという表現があって、正確にいう とその子どもを監護する者ということになるわけです。例えば親御さんがいらっしゃらない 子どもでも親族が引き取っているケース、まれにですが親族ではない方でも見ておられるケ ースというのがあって、いわば私的な形でその子どもを監護する。親以外の方が監護してい るケースがありまして、その場合には監護している方に手当が出るということになります。 そういう意味でいうと、我々が把握できるのは、そういった親御さんがいらっしゃらない。 あるいは親以外の方も含めてそれこそ監護する人が誰もいないということで、まさに社会的 に育てるという形で施設で引き取った子どもたちという意味で、親御さんがいらっしゃらな い、監護する者がいないということで数字を把握する。それでいうと施設の中にいる子ども でそういう監護する者がいない、親がいない数は確か数千、2,000人くらいの数字になりま す。ですから、世の中の親のいない子どもの数というご質問だと答えにならないので、お答 えができないということです。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。庄司委員、お願いします。 ○庄司委員  これまで法務省関係の委員会で検討してきたのですが、今度正式に法制審議会でも議論を することになりますが、それとこちらの委員会で議論をすることとの関係はどのようになる のですか。論点がどちらが扱うかの整理もあると思いますし、両方で扱うことも幾つかある。 その辺の調整などお伺いしたい。 ○杉上虐待防止対策室長  調整については今後進んでいく中で、さらに調整が必要な部分は当然出てくると思います。 先ほども申したとおり、私どもの方にも法務省と最高裁判所の事務局に事務局として入って いただく。実は私どもも法制審議会の部会に参画するというのが1点。これはまた委員の任 命の話になって恐縮ですが、向こうの部会と私どもの専門委員会の部会となるべく委員が重 なるような形でやらせていただきたい。当面そういうことで連携をとりながら、主として私 どもは先ほどの●の部分を中心に進めていく。その中でさらに調整する事項は出てくるかも しれませんが、当面はそういう進め方をしたいと考えています。 ○大日向部会長  よろしいですか。他にいかがでしょうか。この件に関してご質問はよろしいですか。それ ではこの「児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会」の設置に関しまして、 先ほど山縣委員からのお願いというご意見もありましたが、それも慎重にご検討いただくと いうことも踏まえて、設置ということでご了承いただいたということでよろしいですか。 (「異議なし」の声あり) ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、この専門委員会にご所属いただく委員につきましては、 ただ今の庄司委員のご質問に対して杉上虐待防止対策室長からお答えもありましたが、そう いう方向も含めまして事務局と相談しながら検討したいと思いますが、最終的に部会長にご 一任いただければと思います。いかがでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○大日向部会長  ありがとうございます。本日の議事は皆さまのご協力で終えることができました。  最後に事務局から、次回以降の日程について説明をお願いします。 ○田河総務課長  本日は誠にありがとうございました。次回以降の日程につきましては、追ってまた日程調 整させていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○大日向部会長  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省  雇用均等・児童家庭局総務課企画法令係  TEL:03−5253−1111(内線7826)