10/02/17 平成22年2月17日医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録           第5回 医道審議会医師分科会医師臨床研修部会 日時 平成22年2月17日(水) 10:00〜 場所 厚生労働省共用第7会議室(5階) ○臨床研修専門官 ただいまより第5回医道審議会医師分科会医師臨床研修部会を開催し ます。本日はご多忙のところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。  本日は長尾委員が所用にてご欠席となっております。西澤委員、小川(彰)委員が遅れて います。 ○部会長(相川) 事務局から資料の確認をお願いします。 ○臨床研修専門官 資料1「平成23年度の臨床研修における対応等について(案)」をお配 りしています。 ○部会長(相川) 議事に入ります。本日の議題は、「平成23年度の臨床研修における対 応等について」、「その他」です。前回の第4回会議では、今後の臨床研修における対応につ いての叩き台をご提示し、委員の皆様からいろいろとご意見をいただきました。大変深いデ ィスカッションがあったと思います。今回は、そのいただいたご意見を踏まえ、対応の案に ついてお示ししました。本日は、その取りまとめに向けてご議論いただきたいと思います。 資料1「平成23年度の臨床研修における対応等について(案)」の説明をお願いします。 ○医師臨床研修推進室長 資料1「平成23年度の臨床研修における対応等について(案)」 のご説明をします。I「平成23年度の臨床研修への対応について」です。当面の取扱い(激 変緩和措置)への対応を1に掲げています。項目立ては基本的に前回と同じです。  (1)「基幹型臨床研修病院の指定について」です。激変緩和措置として、新たな指定基準 を満たさない基幹型臨床研修病院は、一定の条件の下で平成22年度末まで指定を継続する という激変緩和措置を設けていますが、その新しい基準を満たすための猶予与期間として、 平成24年度の研修医の募集まで、激変緩和措置を継続した後、廃止するという案です。た だし、過去3年間に研修医の受入実績のない基幹型臨床研修病院については、この激変緩和 措置を適用しないということを記載しています。これにより、こういった実績がないような 場合は、基幹型病院の指定基準を満たさないところについては、指定の取消しの対象となる という考えです。  (2)「小児科・産科プログラムの作成について」です。病院の募集定員が20名以上のとこ ろについては、小児科・産科プログラムを必ず置くようにしておりますが、そのプログラム の定員4名分を、この病院の定員に別途加算する取扱いとするというものです。この取扱い に伴い、激変緩和措置は不要になるために廃止をします。  (3)「病院の募集定員について」です。参考のところにあるように、募集定員を前年度の 内定者を下回らないような形で設定をするという激変緩和措置ですが、これについては平成 23年度の研修について継続をし、その後の取扱いは研修の実施状況、地域医療への影響等 を評価して定めるというもので、激変緩和措置については次回の制度見直しにまでに廃止す ることです。  2頁です。(4)「都道府県別の募集定員の上限について」は、ただいまご説明をした(3)と 同様の取扱いとします。  2番の「臨床研修病院群の形成の促進」については、その目的のために病院の募集定員に ついては、研修医の受入実績、医師派遣等を勘案した定員を基本とし、都道府県の定員の上 限の範囲内で、都道府県において研修医の受入実績や地域の実情等を勘案し、調整できるよ うにするという内容です。このため、一定の割合までは無条件に増員できるという現行の取 扱いは廃止します。現行の取扱いは(参考)のところに書いてあります。  3の「著しく高額な給与を支払っている場合の補助金の取扱いについて」は、研修医に決 まって支払われる給与、(当直手当、時間外手当などを除く)が、いわゆる基本給が、一定 額、年額720万円を超える場合は、病院に対する補助金を一定程度減額するものです。年 額720万円という数字は、前回資料としてお示しした人事院が発表していた民間給与です。 28歳以上、32歳未満の月額の給与が、59万7,600円ということでしたので、それを12倍 したものに近いものとしています。また、研修医に対しては、年収360万円を確保できる ようにするということが制度導入時に考え方としてありましたので、その倍に相当する額で、 これを超える場合は補助金を一定程度減額してはどうかというものです。  この取扱いは平成23年度の研修から適用するということで、平成22年度に募集をされ るので、その募集をする際に、この点を考慮して処遇を決めていただくということです。  II「次回の制度見直しに向けた取組みについて」です。先ほどのところは平成23年度の 研修でしたが、IIについては次回の制度見直しに向けた取組みとして、これまでの臨床研修 の成果を評価しまして、臨床研修病院の指定基準を含め、制度全般の見直しに向けた検討に 着手するという基本的な方針の下に、具体的には研修医に対する評価、病院・プログラムに 対する評価、地域医療等に与える影響等について、本部会において、平成22年度以降継続 的に検討を行い、必要な対応を行うというものです。以上、案として部会長とご相談しなが ら、先生方のご意見を伺って整理をしたものです。 ○部会長(相川) ただいまの説明に対し、ご質問はございますか。 ○冨永委員 1頁の1「当面の取扱い」の(1)の1つ目の○に「平成24年度の研修医の募集」 とあるのですが、平成24年度の「研修医の募集」なのか、「平成24年度の研修医」の募集 なのか、どちらでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長 平成24年度に研修をする方たちの募集ということです。 ○冨永委員 平成23年度までということですね。 ○医師臨床研修推進室長 平成23年度に募集をされますので、平成24年度に研修をする 人たちの募集です。つまり、平成23年度の研修、平成24年度の研修まで、継続をした上 で廃止するということで、誤解が生じるようであれば、表現は整理します。 ○吉岡委員 いまの下の(2)の小児科・産科プログラムについてです。1つ目の○の必置と なっているのは、定員4名分ということだ理解しています。次に、小児科・産科プログラム を必置の4名以上にする場合は、4名分が定員別加算であって、それ以上のものについては、 定員の枠内という理解でいいのでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長 そのように考えております。 ○飯沼委員 (1)の基幹病院の問題です。トータルの該当する病院の数や地域はわかるでし ょうか。 ○医師臨床研修推進室長 (1)の激変緩和措置を継続したあと廃止をする方針をした場合に、 激変緩和措置が適用されているのは、全部で114病院です。そのうち、平成24年度の研修 まで激変緩和措置を継続したあとに廃止をしたとき、基幹型病院の指定基準を満たせない可 能性のある病院というのは、具体的には個別の事例なのでわからないのですが、おおよそ推 測しますと、50病院程度が対象になるのではないかと考えています。  2つ目の○の過去3年間の研修医の受入実績がないところについても、国家試験の合格発 表があって、そのあと2次募集等々があるので、確定的なことは申し上げられませんが、該 当するのは15病院程度はあるのではないかと考えています。地域の特徴についてはわかり ません。 ○部会長(相川) よろしいでしょうか。ディスカッションに入ります。資料1に沿ってデ ィスカッションをするのですが、まずは全体についてご意見をいただいたあと、Iの(1)か ら(4)までそれぞれディスカッションをします。前回かなりそれぞれの点についてご意見を いただきましたが、それを総合したような形での対応の案です。いかがでしょうか。よろし ければ、(1)からこの案でよろしいかということで進めていきます。非常に重要なことで、 基幹型の臨床研修病院の指定についての激変緩和措置をどのようにするかということです。 いかがでしょうか。 ○西澤委員 前回欠席しましたので、メモを提出させていただきましたが、私の意見として は、あと4年間はこのまま継続していただきたいということです。いま事務局の説明でも、 50病院ぐらいが対象ということで、数は非常に少ないということで、継続してもあまり大 きな影響はないのではないかと思います。いま飯沼先生からも発言がありましたように、地 域的なことがわからないということでは、地域によっては今回の指定要件に当てはまらなく ても、研修を受けるということでは、地域に必要な病院が混じっているのではないか。その 辺りは検証されていないと思っています。そういうことで、今回平成24年度の募集まで、 要するにあと2年間ということですが、できれば次回見直しまでの4年間にしていただいた ほうが、現場の混乱は少ないと思っています。  また、今回の措置をやめるということではないということは、各病院はわかっていますの で、これから臨床研修病院群をつくるためにも、少し時間をいただいたほうがいいかなと思 っております。 ○部会長(相川) 西澤委員の前回ご欠席のときのメモに関しては、私から皆さんにすでに 報告しています。いまのようなご意見もありますが、いかがでしょうか。 ○飯沼委員 基本的にはいま西澤先生がおっしゃったことに賛成です。特に、いま各地から いろいろとお話をいただいていますが、地域の問題というのは考慮すべきことだと思ってい ます。このことがIIの「制度の見直し」まで引っ掛けて検討していただければ、このときに 臨床研修病院の4つの条件がありますが、いちばんの問題はCPCをやる、救急をやる、指 導医の数というのはクリアしなければいけないと思いますが、入院患者数は病院の規模によ って違うので、果たして3,000人がミニマムエッシェンシャルなのかまでを含めてご検討を 願いながら、実際にいい研修医が出ていれば、病院の規模は問題にならないと思うので、そ のことも考慮していただければ、次の改定までゆっくりやっていただく。  特に、いま西澤先生もおっしゃったけれども、地域で共同して医者をつくるという考え方 からすれば、少し余裕があったほうが、過疎地など、地域的特徴があると思うので、そこを 考慮していただければ、ゆっくり時間を差し上げたほうが無難ではないかと思います。 ○部会長(相川) 前回も激変緩和措置についてはいろいろなご意見があったようです。そ の前回のご意見を踏まえて、このような対応案を用意しました。激変緩和措置を作った経緯 というのは、すでに基準に関しては、この部会で決めた上で、この基準を施行することが決 まり、しかしながら、その基準で急に指定されなくなるのではいけないからということで、 「激変緩和」という考えで、この措置を入れたわけです。  今回の基準についても、5年を節目に、また見直すことも考えた上で、前の部会で基準を つくり、全国にお示しして、しかしながら、基準に合致しない部分については、激変緩和措 置で一時的に採用するとしたのが、激変緩和措置だと理解していたのですが。 ○矢崎委員 この臨床研修制度は、総合的な診療能力を習得するという趣旨から始まったわ けですが、スーパーローテートのカリキュラムで研修医がオールラウンドのいろいろな疾患 を診るという観点から、年間3,000人ぐらいの入院患者が必要ではないかという基準で、そ こはそのような認識で決められたと思います。  しかし、先ほどの総合的診療能力が習得され、かつ研修医の目線に立って、評価の高い臨 床研修病院で、今回指定から外れるような病院が地域ではあり得るということなので、そう いうような病院を研修のシステムで活かせるようなことを、地域でご検討いただきたいとい うのが、私どものお願いです。  例えば協力型の研修病院として、その病院が活かされることであれば、その病院が独自に 情報を発信して、研修医がほかの基幹型病院を通して、独自にある程度研修できるようなシ ステムを、是非地域の中でそういう仕組みをつくっていただければ、大変ありがたいと思い ます。それは2の「臨床研修病院群の形成の促進」で、是非検討をお願いします。西澤先生 が、それまで時間がかかるのでということですが、早急に地域医療の再生の視点からでも、 是非ご検討をお願いしたいというのが、私ども研修病院側からのお願いです。 ○山下委員 いま矢崎先生がおっしゃった意見は重いと思います。激変緩和措置と言っても、 最初からの基準を変えているわけではありませんから、もう5年経っているのです。それで どうこうという議論は、まず無理だということです。  いま矢崎先生がおっしゃったように、新たな切り口でネットワーク化をしましょうと。そ の中で、より多くの患者で、重い患者から軽い患者まで全部を見ましょうという提案をして いるわけですから、それに対しては、病院としては一生懸命対応するべきであろうと思いま す。この前、小川(彰)先生から「協力型、基幹型というとランク付けのようなイメージが あるけれども、そうではない」とありました。教育のためには、自分の病院で持っていない ものを、大きな病院、小さな病院、それぞれ特徴を持っているから、それをいかに組み合わ せるかということに努力すべきであって、小さな病院でしっかりやっているということを否 定するものではありませんが、一般的に診るたくさんの患者の中で、脳卒中、心筋梗塞など の非常に重い人、すぐに処置が必要な人を、コモンディジィーズなどからいかに引っ張り出 すかということに関していうと、いろいろな経験をしていないとできないと思いますので、 そのように質を上げるためにこのような提案をしているわけですから、これはある期限を切 って次のステップに進まないと、国民の負託には応えられないと思います。平成23年度ま での募集ということで、それでも2年あるわけですから、いままで頑張ってこられたところ を切るという意味ではなくて、もう1つステップを進んで、いろいろなことをやりましょう という提案をしているわけですから、それには応えていただきたいと思います。 ○小川(彰)委員 ただいまのお話そのものだと思います。この激変緩和措置に関しては、 基幹型から協力型になるとレベルが下がるという、誤った意識があるのではないかと思いま す。ですから、別に臨床研修病院でなくなるわけではないので、当然協力型の研修病院には なれるわけです。これをただダラダラと激変緩和措置を継続すること自体は、先ほど矢崎先 生がお話になったような臨床研修病院群の形成の促進という意味からも、好ましくないです。  私としては、平成24年度、また来年の募集、再来年の募集までやるのかというくらいの もので、やるつもりであれば1年でできるはずなのです。そういう意味では、平成24年度 の募集まで継続するわけですから、それ以上延長する必要は全然ないと思います。 ○飯沼委員 この制度が始まって5年になるというお話がありますが、その間に1回も評価 がないわけですし、修了生たちの意見も広く聞いているわけでもありませんので、いままで のことがすべて評価なしに、大きな病院がいい、小さな病院が悪いような言い方をするのは、 絶対に間違いだと思います。5年も経っているとおっしゃるなら、5年の評価をいますべき でありまして、それがなくては話には乗れないと思います。 ○部会長(相川) 評価に関しては、事務局からありますか。 ○医師臨床研修推進室長 5年経った時点で、1度この研修部会でもご議論いただいており ますが、さらに具体的なデータを用いた評価については、この対応等についての案の2頁の II「次回の制度見直しに向けた取組みについて」の中で、具体的にご議論をいただければと 思います。 ○部会長(相川) 数字の上でまとめたものが出ていないというご意見だと思います。福井 先生の研究、評価でも一部は出ているわけですが、それが病院の規模ごとなどでは出ていな いのかとも思います。 ○西澤委員 いま矢崎先生がおっしゃったのは、そのとおりだと思います。ただ、時期を区 切って、すぐにするのか、少し時間を与えるかの違いだと思っています。特に、おそらくこ のような、入院患者数3,000名に満たないというのは、地方の病院に多いのではないかと思 います。今まで地域で研修医を育てるということで、かなり小さな病院も頑張ってやってく れたと思っています。  あとの検討で、地域で臨床研修病院群を形成するということは、私も早くやってもらいた いのですが、例えば北海道あるいはある県の地域にいくと、なかなか基準を満たす病院がな い中で、なくなればその地域で研修医を育てるところはない地域があるとも聞いています。 そういうところにはもう少し時間を与えて、どうしたらその地域がほかと組みながらできる か。それには2年だと足りないのではないかという気もしていまして、時間をいただきたい ということです。  ですから、いま対象が110病院で、2年で50病院ぐらいということですが、今年度の内 定は56病院で141名ぐらいだったと思いますので、おそらく数は自然に少なくなっていく。 強制的に期限を切らなくても、自然に少なくなっていくので、あまり今回強行にしなくても いいのではないかと思っています。基幹病院と協力病院が上下関係とは、私は思っていませ んし、地域で病院群を形成していく方向性は正しいと思うので、その精神はこの部会からど んどん発信していくことは賛成です。 ○部会長(相川) 前回先生がご欠席したところで、これについてかなりの深い議論があり まして、(1)のような案が今回検討の対象になっているということです。すでに激変緩和措 置については、前回の会議でこの次まではやるというところまでは了解して、さらに今回皆 さんのご意見を踏まえて、平成24年度の研修医の募集までは継続し、それで廃止してはど うかという方向でまとめさせていただいたのですが。 ○河野委員 先ほどから話が出ておりますように、地域の特性、北海道など、地域による特 徴、置かれている場ということがあって、基幹病院あるいは協力型の病院群をつくっていく ところに物理的にも問題がある。そういうことだとするならば、実際にそういった病院が、 今回のこういった対象になっているのか、あるいは東京都内のどこかの病院なのかというこ とでは、全く議論が違ってしまうのではないかと思うのです。地域での対象の特徴は、まだ 把握されていないというご返事がありましたが、その辺りを抜きには、考え方の違いになっ てしまって、いまの議論は進まないのではないかと思います。 ○医師臨床研修推進室長 先ほど地域の特徴はわからないと申し上げたのですが、それは個 別の病院について、これは指定の取消しの対象になる、これは継続になるということが確定 できませんので、地域の特徴は一概には申し上げられないという意味で申し上げました。地 域的に言えば、全国に分布していますので、例えば都会だけに集中しているというような傾 向はないと思っています。 ○小川(彰)委員 この間の審議会のときにデータが出て、先ほど西澤先生がご心配になっ たようなことではなくて、組替えをちゃんとすれば、何ら影響は及ばない病院だったと思い ます。 ○部会長(相川) 前回の会議では、かなり詳しい施設毎のデータをお示しできたのです。 これは(3)にも関係するのですが、地域格差があるので、それをなくそうという方向で動い ている。これは各地域ごとに病院があって、その募集定員のトータルで地域医療への影響を 勘案して決めるという方策もあるので、(1)を元の案のように行ったとしても、地域格差に ついては(3)あるいは(4)において、ある程度補完されるということです。  前回の資料でも検討しますと、廃止される可能性のある病院が仮に廃止になったとしても、 協力型になっていただく、あるいは地域の定員、総数等、あるいは都道府県が指定したもの の扱いで、地域格差に関しては、それほど大きな影響はないという理解で議論が進んだと思 います。 ○西澤委員 失礼しました。そこの辺りはまだ詳しく見ていませんでした。その地域という のは、都道府県よりももっと小さな医療圏ごとのデータが示されたのでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長 データとしては、基本的には都道府県別で、市町村のほうも人口 をお示しして、どのくらいの規模の市町村に所在している病院かというのはお示ししました。 ○小川(彰)委員 西澤先生も、そのデータはご覧になれるはずですから、事務局でご覧に なって納得されればいいのではないかと思います。 ○矢崎委員 飯沼先生の研修医の評価はどうかということで、2つに分かれます。というの は、診療科が揃って、相当高度なところまで患者が診られるということの研修医の満足度の 高さと、もう1つは診療科の垣根がなく、病院全体で研修医を育てるという雰囲気でやって いる病院の満足度が高いです。この2つがあると思います。  後者の地域医療など、そういう現場で貢献しようという研修医は大切な存在ですので、そ れを活かすには、先ほど申し上げましたように、指定基準の基幹型が外れると、情報を発信 できない可能性があるのではないかと研修病院では心配されています。上下関係というより、 情報発信をどうしたらいいかということで、いわゆる協力型になった場合でも、地域の中で 情報を発信して、そういう視点から、是非研修をやりたいという人を受け入れられるような ということです。私は3,000人という基準は妥当な基準だと思うのですが、したがって、そ の場合にどのように地域で活かされるかということを、是非そういう仕組みをつくってほし いということです。  研修医の評価は2つに分かれているので、是非そういうところも汲んで、指定を外れる病 院はわずかですが、そういう病院も情報発信できるような仕組みを残していただければ、皆 さん安心して研修制度に取り組むのではないかと思います。 ○部会長(相川) いまのご意見はここでいただくとともに、IIの見直しのところでも、い まのご意見を参考にしてということでよろしいでしょうか。そのようなことで、基幹型病院 が協力型になっても、将来的にそのような方策を確保することによって、あと2年というこ とですが、緩和措置を継続。そうすると合計3年になりますね。緩和措置は最初は1年か2 年かと思っていたわけですが、この案では3年間の激変緩和措置を行ったところで、廃止し てはどうかということです。 ○吉岡委員 質問の形でさせていただきます。一旦この基準を外れて、激変緩和措置を廃止 することによって、基幹病院から外れた病院が再び基幹病院として申請するための条件とい うのは、基準をすべて満たすということだけでいいのでしょうか。過去に云々ということに なりますと、近々の3年間については単独の実績はないわけですよね。その辺についての条 件は定まっているのでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長 まず、新しい基準を満たすことが最低の条件になります。もう1 つは、前回の研修部会でご議論いただきましたように、新しく基幹型病院になる場合には、 研修医の受入実績を持たなければいけないと定めていましたので、協力型病院としてお1 人の研修医を育てた分に相当する期間、研修医を受け入れた実績があるということを条件に していますので、そういう受入れの実績が全くない場合に、基幹型病院としてまた申請をす ることは想定していません。 ○河野委員 先ほどの西澤先生と飯沼先生の考え方の中で、(3)に書いてあるような問題が、 研修病院の指定にありまして、研修の実施内容というか、臨床研修病院としてのインセンテ ィブというか、その立場側の問題と地域医療への影響です。これは裏腹なのですが、微妙に 違う視点だと思います。それが、どちらを問題として、先ほどからの基幹型病院のことが議 論されているのか。例えば地域医療への影響という問題であるならば、また違った切り口も あり得ようと思うのです。そこを整理しないと、先ほどからの議論で、少し視点が違うのか なという気がするのです。 ○西澤委員 確かに私たちは2つの視点から言っているので、曖昧になっているかもしれま せん。正直言いまして、残念ながらそれぞれについてきちんと言うだけの資料がないと思い ます。データを取っていないと思います。感覚で申し上げていると言ったら語弊があります が、資料を見ていてどうかなと。  細かく見ていないので言いづらいのですが、市町村ごとというのはありましたが、1つの 医療圏で見たとき、ペーパー上の市町村というものが本当に地域の医療提供の状態を表して いるかというと、違うのではないかという気がしています。ただ、それに対する反論をする にしても材料がないのでできないので、今回例えばこうなったとしても、その辺りの検証、 もっと地域での提供体制、例えば病院はあるけれども、本当にその地域が今回病院群を組め るような状態なのかどうかということは、どこかで1度検証していただければなと思ってい ます。 ○山口委員 先ほどの話の続きですが、一旦受入実績がないということで、基幹型の研修病 院を外れたという場合に、地域ではかなり大きくて、どうしてここに集まらないのだろうと 思われるような病院もあると思うのです。そういうところは、いろいろと努力されて、そう いう実績を上げられても、例えば協力型として実績を積まれても、その次は基幹型になるよ うなチャンスはないという理解でしょうか。 ○医師臨床研修推進室長 まず、新しい基準を満たしていることを前提にしまして、協力型 病院として研修医の受入実績があれば、今度は基幹型病院としての申請ができるということ です。 ○部会長(相川) 過去3年間ですか。 ○医師臨床研修推進室長 過去3年間の実績の話ではなくて、研修医を1人育てることに相 当する時間ということで、具体的には2年間分とお示ししていたと思いますが、それだけの 受入実績があれば、それが完全にお1人ということではなくて、半年ずつ4人分など、その ような形で受け入れた実績があれば、申請の基準を満たしてきます。それがなければ、逆に 指定ができないという取扱いになります。 ○部会長(相川) 2つのご意見があるようですが、前回の方向性としては、暫く継続した 後に廃止するという方向性で、具体的に平成24年度の研修医の募集まで継続した後に、今 回激変緩和措置を廃止するということですが。 ○冨永委員 今回の見直しに関しましても地域医療というか、都市部でない地域に医師が不 足しているという現状を踏まえて、どうあるべきかということで、厚生労働省、文科省の検 討会で検討されて、このような5つの基準ができたのだろうと思います。  研修制度が義務化された平成16年からの経過では、1つの現象として、以前と比べ大学 に研修医が少なくなったことは事実としてあります。ご承知のように、72%から73%あっ た努力義務のときから比べると、47%と53%となり、今回はフィフティー・フィフティー に近付きましたが、49.7%と50.3%ということであります。  ですから、いま言われているような都市部でない地域の病院の立場からいうと、そこで協 力型として1、2カ月の研修をするよりも、2年間地域医療に情熱を持って実践している地 域医療の指導医と接することによって、将来地域医療に進もうというインセンティブが働く のが、協力型になることによって少なくなってしまって、臓器別・疾患別の専門医の道にい ってしまうのではないか。私たちがやっている都市部でない地域の医療、ある意味では総合 医的なことでしょうか、そういう道が結果として狭くなってしまうのではないかという危惧 が、こういう病院にはあるのだろうと思います。その辺をどう汲み取っていくかということ が1つです。  それから、先ほどから評価ということが出ています。小川彰委員も山下英俊委員も評価の 研究班に入っていらっしゃるので、その中間報告が、いつぐらいまでに出るのでしょうか。 先ほど十分な評価はないとおっしゃっていましたが、福井先生は時間軸のずれはあるものの、 義務化の前と後との評価を行って報告しておられます。これは評価にならないというご意見 もあったかと思いますが、私は一つの評価であると考えております。厚生労働省の満足度調 査でも、むしろ300床以下の病院のほうが、研修医の満足度が高かったのです。3,000人に 決まったとおっしゃるので、どうにもならないのかとも思いますが、その辺りも少し考えて、 激変緩和措置が2年間というのが適切なのかを判断すべきと考えますその辺も勘案しても らいたいというのが、都市部でない病院の、地域医療を担う病院の人たちの考えだろうと思 っています。 ○小川(彰)委員 厚生労働省の班会議で、臨床研修の成果の評価に関する研究が進められ ています。今年に関して言いますと、年度途中で研究班が立ち上がったということで、今年 度末に実りのある成果を出すというのは、物理的に難しくて、いま現在やっているのは問題 点の整理です。来年度も続くことが決まりましたので、来年度に関しては、4月からすぐに できることになっていますので、次回の研究班は今年度最終ですが、そのときに来年はどの ような項目のどのような研究を進めていくのか、それをいくつか整理をして、次回すぐにス タートできるように準備をする段階までいったところです。 ○矢崎委員 またお願いなのですが、地域医療、医師の偏在の解決に、臨床研修制度からし っかり見直していく必要があると思うのです。そのときに往々にして、国あるいは行政はマ クロ的に、都道府県でこのぐらいの人数だろうというような割振りをされると、現場でそれ に実際に取り組むというのは難しいところがあります。むしろボトムアップというか、地域 にベースを置いて、全体をマクロ的に組み上げるという方向で、行政、国としても、是非そ ういう方向で検討をお願いしたいと思います。  地域でコンソーシアムをつくって、病院長でやって、大学その他がそれをサポートすると いうのはいいのですが、現実的には動き出すのには時間がかかるので、地域からボトムアッ プで、コンソーシアムができるようなものを行政なり国なりにサポートしていただいて、そ こから地域医療を立て直すという感じで検討を進められると、非常にありがたいです。そう すれば、臨床研修病院も、それぞれの持ち分で特色を発揮して活躍できるので、あまり基幹 型、協力型というよりは、そういう仕組みを即刻作り上げるようにお願いします。確かに研 修医の数を都道府県別に、いろいろ工夫しながらしていますが、実際にはそういう方策は機 能しないのではないかというので、是非またよろしくお願いします。 ○部会長(相川) ただいま1の(1)についてのご議論をしていただいたのですが、先ほど 私が申し上げ、またご指摘もありましたように、(3)(4)など、特に地域医療、地域への研修 医の配属という問題も絡んできていますので、(2)の小児科・産科は置いておきまして、(3)(4)、 場合によっては次の2も関連すると思いますが、その辺を含めてのご議論をいただいた上で、 (1)についてどのようにするかを決めていきます。いろいろなご意見は言っていただいたか とは思いますが、いかがでしょうか。  いま話を聞いていますと、基幹型病院についての激変緩和措置を平成24年度の研修医の 募集まで継続して、それで廃止した場合は、指定を受けられなかった病院に関しては協力型 病院になると。方策があり、また協力型病院でも、研修医を育てれば、将来的には基幹型病 院に戻る、その場合にも条件は満たしていただくというところまでは、かなりはっきりして きたと思います。それが、また地域に対してどのように影響するかも含めるわけですが、協 力型病院になるとイメージが落ちる、研修医がこなくなる、あるいはその地域に定着しない かもしれないというご意見も冨永先生からいただきました。激変緩和措置で一時的に協力型 病院になっていただくということで、基準を満たすことをしっかりやっていただくという意 見もあったかと思います。いかがでしょうか。  病院の募集定員も関連しますので、平成23年度の研修医については、激変緩和措置を継 続する、その後の取扱いは研修の実施状況、地域医療への影響等を評価して決めていくとい うことで、まずここではそうしてはどうか。それに伴って、都道府県別の募集定員について も同等の扱いにするということで、(1)(3)(4)の全体を見渡して、このような方向で激変緩和 措置を対応していっていいかということになります。当然、現時点までに3,000人を満たし てこれなかった病院に関しては、廃止後は一時的には協力型病院になっていただくというこ とですが。 ○河野委員 (1)の基幹型臨床研修病院の指定を取り消された場合、協力型病院になった場 合に、(3)の募集定員の枠にはどのような影響があるのでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長 基幹型病院になれなかった場合には、通常は募集定員2人の配分 がありますので、募集定員2人の分はほかの病院にいきます。 ○河野委員 地域全体の数には影響しないと考えてよろしいですか。 ○医師臨床研修推進室長 そうです。上限は別のルールで決めておりますので、その上限の 枠の中で配分していただきます。ですから、個別の病院が指定を取り消されて、募集定員が なくなった分は、その上限の範囲内で、ほかの病院で追加をしたり、調整ができます。 ○部会長(相川) 地域ごとの定員に関しては確保されるということです。(3)について何 かご意見はありますか。これをいま決めておきませんと、このあとは進みません。いつまで も期待を持たせておくのもいけませんので、ここで方向を出したいと思います。それに伴い まして、同様に(4)も同じになるということです。  これも多少は関係しますが、小児科・産科プログラムの作成については、いろいろなご意 見がありましたが、病院の定員に別途加算するということです。これに関してはよろしいで すか。これによって、マッチしない場合の定員の削減がないということです。  そうしましたら、全体の1「当面の取扱いへの対応」ということですが、西澤先生、飯沼 先生、冨永先生などからもご意見をいただきまして、そこもいかがするかということですが。 激変緩和措置を続けてきているわけですが、平成24年度の研修医の募集までは継続する、 しかし、その時点で激変緩和措置は廃止するということで、よろしいでしょうか。 ○飯沼委員 しつこいようですが、ルールはルールだから、ルールに戻そうということは、 私もよく理解はいたします。ただ、基幹病院の4条件のうちの3,000人の入院患者という項 目は、IIで検討していただける項目の指定基準も含めてと書いてありますので、していただ ければいいわけですが、大病院の研修医がきちんとしていて、3,000人を切る病院、私はそ ういうところは逆に外来はもっと多いと思うのです。そういう所の研修生が成績が悪いとか、 ものが悪いとかということの評価がないうちに、これをいびるのは絶対間違いです。だから、 ルールはルールでちゃんとやるべきだと、私はそれも理解をしますが、評価が小さい病院が 立派な研修医ができなくて、大きな病院ができるという論理は何としても納得ができません。  ○部会長(相川) という意見です。3,000人を決めたときの議論に戻ってしまうようです が、そのときにはまだ評価も出ていないということです。事務局から何かありますか。 ○医師臨床研修推進室長 もし、臨床研修病院の基準全体を見直しをするということであれ ば、IIで具体的に小規模の病院の研修内容をしっかりと見ていただいて、それをまた評価を していただき、対応を考えるということもIIには含まれていると思いますので、そういうと ころで議論ができるようにいろいろな材料をお示しできればと思っております。 ○部会長(相川) 指定基準については見直す。見直しの検討に着手するということですか ら、この急ぎ具合によっては、3,000の指定基準が動く可能性はあることを踏まえて、(1) ということで、緩和措置、現時点では平成24年度の研修医募集まで継続した後に廃止とい うことにさせていただきたいと思いますが、よろしいですか。 ○矢崎委員 結構だと思いますが、2にもう1つ○の項目を立てて、先ほどからお願いして いるそういう病院も活かされるような仕組みも構築するということを入れていただければ、 皆さん安心されるのではないかと思います。 ○部会長(相川) そうすると、それが廃止までに間に合うような病院も出てくるという措 置ですかね。具体的にもう少しお願いします。 ○矢崎委員 それは部会長にお任せします。 ○部会長(相川) そうですか。またご相談をして。いまの飯沼先生のお考え、その他のお 考えもあって、病院、その他がいろいろな形で活かされるように検討するということでしょ うか。基本的には1で平成24年度で廃止ということですが、何か活かされるようなことも 検討するということで入れるということでしょうか。いかがですか。 ○小川(彰)委員 ただいまの部会長のまとめで全然問題ないと私は思っています。ただ、 少しだけ意見を述べさせていただくと、例えば、(3)の地域医療への影響等という名前が入 っているのですが、ここの地域医療の使い方はよろしいかと思います。地域医療という言葉 が非常に混乱をしていて、例えば、メトロポリタンの、東京の真っ只中でも医療というのは 地域医療なのです。岩手の過疎地や、本当にお医者さんのいないような北海道、あるいは北 東北の地方の地域医療も地域医療なのです。  地域医療というと、皆さんのイメージからは、医療崩壊が起こっているような地域の地域 医療ということで地域医療が語られているような感じがしています。  それから、臨床研修の対応等に関しては、その背景に医療崩壊という大きなものがあって、 いろいろそれに引っ張られているところがあります。ですから、地域医療という言葉も出て くるし、都道府県のどうのこうのというようなことや、募集定員等々も入ってきているわけ ですが、問題はその臨床研修に地方あるいは過疎地の都道府県に臨床研修に行っているから、 将来の地方の地域医療の崩壊が防げるかというと、実はそうではありません。そこがちょっ と混乱しているところだと思っています。  臨床研修で例えば適正な配置をするということで地方の地域医療あるいは過疎地の地域 医療が救えるかというと、決してそうではありません。臨床研修というのは、もともと研修 病院にいて、研修に専念することとなっておりますから、地域医療のお手伝い、あるいはマ ンパワーにはならないわけです。ですから、そこが混乱して用いられているのです。  もう1つは、2年間の臨床研修をやったから、プライマリーケアも含めた、あるいは全人 的医療も含めた素晴らしいお医者さんがそこで誕生するような錯覚をお持ちですが、実はそ うではなくて、医学生涯学習に続くたった2年間のステップにしかすぎないわけです。  問題は、臨床研修が終わったあとに、適正な配置がされるのか、あるいは診療科間の適正 な配置がされるのか、地域間の適正な配置がされて医療崩壊が阻止できるのかという問題と 連動しています。2年間の臨床研修制度の中だけで考えても、医療全体からすればごく一部 なのです。ですから、卒前医学教育と臨床研修制度と、臨床研修制度に続く臨床研修後の生 涯学習との連動という大きな視点の中で捉えないと、大変誤ったメッセージを発信してしま うのではないかということで、そこのところだけは申し述べたいと思います。 ○部会長(相川) 大変重要なご意見だったと思います。この部会では2年間の臨床研修を 中心に議論しているわけですが、確かにご指摘のようなところを考えて制度設計などもして いかなければいけないと思います。  特に(3)の地域医療ということの解釈に関しても、今日は傍聴の方も来ていらっしゃるか もしれませんが、地域格差がある、いわゆる都会と都会ではない部分という地域、都会でな い部分の医療というニュアンス、あるいはそのように解釈される方もおられますし、また都 会においても、自分が医業をしている周辺の患者さんたちに対する医療をするという意味の 地域医療が、一般的に言われている地域医療です。ですから、この地域医療の影響に関して も、地域格差、さらには地域医療ということも含めて、書きぶりについても考えたいと思い ます。そのように理解をして検討していくことにさせていただきます。大局的なお話をあり がとうございました。  いまのと関係して(3)についても、平成23年度については継続するということですね。そ の後、いつ廃止するということは、ここでは示しませんが、次回の制度の見直しまでには廃 止するということで、これは激変緩和措置ですから、そのようになるかと思います。病院の 定員募集について、平成23年度の研修医については継続する。その後の扱いについては実 施状況とか、地域医療、先ほど言ったようなことも含めて、あるいは診療科間ということも 含めて、影響等を評価して定めるということです。  事務局にお尋ねしますが、研修を修了した人が、いまでいう基幹型とか協力型、どのよう な病院を回って、その後、どのような診療科を希望するといったデータは集まってくるわけ ですよね。 ○医師臨床研修推進室長 はい、修了した時点でアンケート調査をしますので、その後、ど ういう地域に行くのか、どういう診療科を専門にするのかということについては、ある程度 把握することができると思っています。 ○部会長(相川) しかし、その医師が実際にどのように貢献したかとなりますと、かなり 期間を見ないと把握できないけれどもということですね。(2)は飛ばしますが、そのような ことも含めて、(3)についてもこれでよろしいですか。書きぶりについては、その辺のとこ ろは調整したいと思います。  これに伴って再確認ですが、基幹型病院がたまたま指定されなかった場合でも、現時点で の都道府県別の募集定員には影響しないとともに、(3)と同じ扱いにするということでよろ しいでしょうか。                   (承認) ○部会長(相川) それでは、そのようにさせていただきたいと思います。残っている(2) についても、先ほどお話しましたが、これでよろしいでしょうか。                   (承認) ○部会長(相川) ありがとうございます。それでは、先ほどすでにご意見をいただきまし たが、2の「臨床研修病院群の形成の捉進について」です。事務局、○の下の所も含めて、 もう一回説明をお願いします。 ○医師臨床研修推進室長 臨床研修病院群の形成を促進する観点から、病院の募集定員につ いては、研修医の受入実績、医師派遣等を勘案した定員を基本として、このときに激変緩和 措置も勘案することになります。そして、都道府県別の定員の上限の範囲内で、都道府県に おいて、研修医の受入実績や地域の実情等を勘案して調整ができるようにする。増やしたい 所は、その上限の範囲内で増やすことができる。上限を超えている場合は、その超えた定員 の枠の中でどこかを減らして、どこかを増やすという調整が可能かと思います。  こういう調整をしますと、現行の取扱いとして、(参考)のところに書いてありますよう に、一定の割合までは無条件に増員できるという取扱いをしておりますので、こういう取扱 いは廃止して、基本的な定員を超える部分については、地域の調整に委ねるという考え方で す。  説明は以上ですが、先ほど矢崎先生からご指摘のあった点については、もし、ここに具体 的に表現を入れるということであれば、もう少しご意見をいただければ対応したいと思いま すので、よろしくお願いいたします。 ○矢崎委員 この内容は、臨床研修病院群の形成の促進となっていますが、研修医の数の調 整の記述のみなのです。1の(1)と併せて、促進についての内容を、可能であれば、数の調 整以外にも、そういう視点から入れられるかどうかです。この検討会が数の検討ということ であればしょうがないのですが、少し内容を加えていただければありがたいと思います。 ○部会長(相川) おっしゃるとおりだと思います。すでに臨床研修病院群の形成について は、いくつか前の委員会、前の前の委員会などでもご意見をいただいているところですので、 そのような性格的なものと数も含めて、少しまとめをしていきたいと思います。臨床研修病 院群の形成の件に関して、さらにご意見はありますか。 ○山下委員 いまの矢崎先生のご意見の中に含まれるような議論ですが、マッチングとか、 プログラムの選定の過程で、最初に決めてしまうと2年間全然動けないというフレキシビリ ティが非常にない状況です。例えば病院群を形成しましたと、プログラムで関連病院という か、協力型病院はこことここに行きますと。そこの人が国試で落ちてしまうとゼロになって しまうのです。その後のフレキシビリティ、国試が終わった時点で再調整の機能が何かあれ ば便利だなというのが、現場の意見です。  この前、マッチングの中で、プログラムとして貼り付けていくと、いまの方法がいちばん フェアであるというのはわかるのですが、ある1つのプールの中で、ある程度調整できない か。例えば、来年からやるのは、もう無理ですが、今後のこととして、あるプールの中で、 さらに再配分するということがあると、運用上は非常に便利にはなります。  ここからどこまでフレキシビリティを緩めるかによるのですが、例えば、1年を終わった 時点で、もう少し勉強したいところが出てきたから、ここに行って、こういう勉強をしてき たいということもあり得るわけです。あまりそれを自由にしてしまうと、最初のプログラム がガタガタになってしまいますが、少なくてもちょっとした調整機能がどこかに働くように していただくと現場はありがたいのです。 ○部会長(相川) 確かに現場からのご意見です。それから国試という問題は、前に井上先 生からも、マッチングが決まったあとに国家試験の発表があって、約1割の方が国家試験に 落ちるわけですが、その辺をどうするかという各論的なお話もありました。  私が理解するためにお聞きするのですが、先生のお話では、臨床研修病院群を作って、プ ログラムを示しますが、それに対して、研修医が応募してマッチをする。国試で落ちたとか、 いろいろな事情あるいはプログラムの事情で、1回そこでマッチをして研修を始めた、ある いは国試で落ちたということも含めて、募集のときのプログラムにおける臨床研修病院群を 定員も含めて、多少フレキシブルにしてもいいのではないかということですか。 ○山下委員 そこまでやると、かなり難しい。だから、基幹型があって、協力型がいくつか ありますと。例えば、いついつこういう所で、こういう勉強をしますという人が落ちてしま い、空いてしまった。そこは実は人気があって、空いていればそこに行くのだったのにとい う人もいます。そのようなことが、例えば国試が終わってスタートする時点でも、病院群の 中で再調整機能ができればと思います。 ○部会長(相川) 病院群の中で。それはいまも禁止しているわけではない。 ○医師臨床研修推進室長 いまでもできると思います。 ○山下委員 できますか。 ○医師臨床研修推進室長 はい。協力型病院としてプログラムに登録をしておいていただけ れば、そういう調整はプログラムの中ですので。 ○山下委員 プログラムを超えて。 ○部会長(相川) 別のプログラムいた人が、あちらのプログラムに空きができたから動け るかということですね。 ○山下委員 そういうことです。いまはそれはできないでしょう。 ○医師臨床研修推進室長 プログラムを超えることはできません。 ○山下委員 例えば順番を変えるとか、それはわかるのですが、Aプログラムとか、Bとか、 Cとかというので、その中はいいけれども。例えば、Aから第2希望へ回ってしまったと。 ○医師臨床研修推進室長 それはプログラムを超えて研修医が動くということではなく、例 えば行きたい病院の研修の内容があれば、そこの病院をこちらの研修プログラムの協力型病 院や協力施設にしていただいて、この研修プログラムの中としてやっていただくことは技術 的に可能です。 ○山下委員 それならいいですね。 ○部会長(相川) そのようなことも含めて確認ということで、ありがとうございます。そ のほかに臨床研修病院群の形成について、すでにいくつかご意見をいただいておりますが、 いかがでしょうか。 ○小川(彰)委員 この臨床研修病院群については、これがいちばん核になるところだと思 いますし、これがいちばん重要なところではないかと思います。では、それをいまの形で手 当ても何もしないで全国津々浦々に促進できるかというところがあって、いますぐ何かやれ というのは無理な話だというのはよくわかっていますが、何らかの臨床研修費補助金の交付 基準の中で、例えば、ある基準を超えるようなちゃんとした臨床研修病院群をつくったら、 少し補助金を上げてあげるというようなインセンティブを何か与えていただければありが たいのですが、いかがですか。 ○部会長(相川) そういうご意見もあります。これは事務局がいますぐ約束をするわけに はいかないと思いますが、お考えの上でですね。また逆に、いい臨床研修病院群が形成され て評価が高くなれば応募者も多くなって、マッチをするということにもなるかとも思います。 そういうインセンティブというご提案もありました。そのほかにいかがでしょうか。公立と 私立を動く場合の問題なども前回のこの部会でも指摘されておりますが、雇用関係でのなか なか難しい問題などもありますが。  そうしますと、無条件に増員できるという現行の取扱いがあったわけです。これについて は廃止しておくことによって、先ほど数の問題しか出てこなかったわけですが、地域ごとの 定員がかなりしっかりしてくるということですので、これでよろしいでしょうか。 では、そのようにさせていただきます。  いままでの1と2に関して、さらに追加してご意見はありますか。そのあとは高額な給与 のことになりますが、よろしいですか。  それでは、3.「著しく高額な給与を支払っている場合の補助金の取扱いについて」です。 この件に関しては、第4回の部会で資料が出されました。大変高額な給与を支払っていると ころもあります。結果的に当直、時間外手当などが非常に多くなって支払われていることも ありますが、募集の段階で基本給等が高額になっている施設もあったわけです。臨床研修の 趣旨からしても、補助金を出しているわけですので、このようなものをどうするかというこ とです。  先ほど事務局が説明した研修医制度が始まったときの1つの目標として年額360万円の 給与という目標があったかと思います。2倍がいいのか、3倍がいいのかは別ですが、720 万円を超えた場合、どうなのか。あとは、さらに一般的な研修医の年齢よりも少し高い年齢 層の医師の給与額が先ほど示され、それが月額60万円をわずかに割る59万数千円である ことを勘案して、年額720万円を超えるのはいかがなものかということで、このような案 を作ったわけですが、いかがですか。 ○山口委員 360万円の2倍ということで、これは1つの目処としてはよろしいのではない かと思いますし、補助金について、ある程度一定の対応をするというのはよろしいかと思い ます。  ただ、このように高額な話だけが前面に出てきますと、安いのはいくら安くてもいいが、 高いのは駄目だというメッセージにならないかということをとても心配します。先ほどの 360万円というのも、ずっとそういう認識としてこの制度ができているのだと思いますが、 360万円というのは数字として表に出ているのでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長 制度導入のときに、360万円と研修医の処遇との差を補助金で手 当てをするという形で評価をしておりましたので、そういう意味合いでは出ていますが、そ ういう補助金は制度導入から時間が経ったこともあって、いまはそういう項目はないという 形になっています。 ○山口委員 やはり、どこかで360万円というのをもう一度表に出るような形にしていた だかないと。安いほうはいくらでも構わないというメッセージに間違って伝わらないことを 是非お願いしたいと思います。 ○部会長(相川) これは上と下も関連しますので、それも一緒にご意見をいただきまして、 高額なほうについての判断をし、そのあとでということで、両方を含めてお願いします。 ○飯沼委員 昨日は全国の医師会長たちも来られたので、会議にこれを出したのですが、2 つ言われてきました。補助金というのは、研修医の給料に対して出ているのではなないとい うのが1点です。それから、高いのは病院の努力だから、それにいろいろ言うのはどうかと いうご意見もありましたので、一言。 ○部会長(相川) というご意見が医師会の方々からあったということです。補助金は確か に研修医の給料だけに出しているわけではないということですね。 ○医師臨床研修推進室長 そうです。指導医の指導に関する代替経費として示しております。 ○部会長(相川) そうすると、この補助金を一定額減額するというのは、こういうことで すから年額720万円を超えないようにしたらいかがですか、というような意味ですか。 ○飯沼委員 そういうことです。 ○部会長(相川) ということですが、いかがでしょうか。病院の努力ですから、上げても いいというご意見もあったということで、これは医師会の全体の意見ということではないの ですが、そういう意見があったということです。下限のことも含めてご意見をいただきたい と思います。 ○冨永委員 アルバイトをしないで臨床研修を行うには給料として360万円(月額30万円) を目処とするということはあったと思います。それとともに最低賃金法に基づく最低賃金を 下回らないのは当然のことです。いまここで最低賃金をどうするのかというお話があったも のですから、それ以上であればよしとするのか。臨床研修は研修性と労働性の両面を持って いるわけですから、そういうことを踏まえると30万円が大体適当だということをメッセー ジとして出すのがよいと思います。いま私は法に基づく最低賃金がいくらか承知していませ んが、最低賃金を下回らないということでは問題外と思います。 ○部会長(相川) 月額30万円はどこの地域でも労働基準法の最低賃金は下回っていない と思います。 ○冨永委員 その通りだと思います。しかし、それより少ない場合でもいくらまでよしとす るのかということだと思います。 ○医師臨床研修推進室長 労働基準法の最低賃金は下回らないというのは当然のことです。 その上で月額30万円という数字をしっかりと出してはどうだろうかというのが、山口委員 のご意見だと理解しました。 ○冨永委員 私もそう思います。ですから、下はどこまでいいのかという話になると、やは り最低賃金より下回らなかったらいいというのではなくて。この程度は出すべきだと。 ○部会長(相川) 1つの目標として360万円というのが2年間の研修の初年度ですか。2 年ともということでしたね。 ○医師臨床研修推進室長 そのように考えていただいて結構です。 ○部会長(相川) 2年とも導入時には360万円を支給することが望ましいということで、 支給していない場合には、補助金を一部出すということで360万円を目標にした。それが いわゆる最低賃金というような言葉です。 ○冨永委員 現実としては360万円を下回る所もいまあるわけですから、現物支給も含め てどのようになっているのかなと思っています。調査してみる必要があります。 ○部会長(相川) 最低賃金という言葉は360万円というのも使っているのですか。 ○冨永委員 違います。最低賃金法に基づく最低基準を下回らないということだと思います。 それは当然のことです。だから、最低基準を下回らなければ360万円より下でもいいのか ということで、いま360万円以下の所もあるのではないかと思っているわけです。 ○部会長(相川) 研修医の制度設計のときには、最低賃金を下回らないというのは、議論 の中であったと思いますが、書かれた形では出してはいないと私は記憶していますが。 ○医師臨床研修推進室長 ちょっとはっきりはしていません。 ○部会長(相川) 書かれてはいない。労働基準法による最低賃金を下回れないことは当然 のことなので、厚生労働省の行う制度ですので。 ○医師臨床研修推進室長 当然だと認識をしています。 ○部会長(相川) ということで書いてはいなかったのですが、これは厚生労働省もやって いる制度ですから。 ○冨永委員 その辺の議論があったように思います。 ○矢崎委員 制度を設計するに当たって、研修に専念できる給与というのはどのぐらいだろ うという議論があって、20万円とか、30万円という議論があったのですが、たしか当時の 坂口厚生労働大臣が国会で質問があって、確かではないのですが、30万円を目処に支給し たいという答弁をされたのではないかと思います。それが30万円という根拠になっている のです。  ですから30万円を目処に支払っていただきたいというのが基本原則で、その中には前回 議論があったように、住居費などがあって、実質支給は少なくなっても、トータルで30万 円の支給という議論があったと思うので、そういう意味で30万円を出していただきたいと 思います。先ほどの意見のように、超えていた人は何か罰則があるというのではなくて、補 助金を減額するということですから、それぐらいは認めていただければと思います。 ○部会長(相川) 矢崎先生は、この制度設計のときの座長をなさったので。私もその委員 会に入っていて、たしかそのように記憶をしておりますが、事務局としてはその辺の具体的 なところをお願いします。 ○医師臨床研修推進室長 そういうこともありましたし、同じ医療従事者で初任給が大体ど のぐらいなのかという数字も示したと思います。それが大体360万円ということを確認し ていただいて、そういう設定をしました。 ○部会長(相川) わかりました、そのほかにいかがですか。 ○山下委員 ちょっと荒唐無稽な質問になりますが、一応義務づけている資格の修習という と、司法修習があります。司法修習というのは全部同じで。あれは国家公務員になるのです か。要するに司法修習の間には弁護士事務所へ行ったり、検察庁へ行ったり、裁判所へ行っ たり、グルグル回っていますが、給料は別の所からもらっているわけです。そうすると、人 事もフレキシブルだし、少なくとも司法修習の期間中は全くみんな同じ条件です。そういう 制度設計というのはあり得ないのでしょうか。なかなか難しいと思います。誰が出すかとい うことになりますので、司法修習は最高裁が出していると思いますが、人数も10倍ぐらい 違います。国に仕切ってもらえればいいのですが、こういうのは無理なのでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長 制度設計のときに、そういったご意見はもちろんありまして、議 論はされております。司法修習生は当時は国が賃金を払っていましたが、いまはそうではな いという形になっていますので、それはいまの時点では参考にはならないと思います。 ○部会長(相川) これは研修制度の設計のときに、そもそも研修をする主体が何なのかと いうことも含めて、国が払うべきものなのかどうかも含めて、かなり議論をして、各病院が 支払うということになって、いままで続いているところで、かなり根幹のところになります ので、参考の意見として伺っておくということでよろしいですか。  それでは、下限に関してはこのあと検討することとして、まずここに書いてある年額720 万円を超える場合は、現在支給している補助金を一定程度減額するという方向で、その金額 はどうするかは別として、このような方向で今回決めていってよろしいでしょうか。  それでは、そのようにいたします。この取扱いは今回は間に合いませんので、平成23年 度の研修から実施するということでよろしいですか。これもいまお示ししておきませんと、 平成23年度のプログラムを作るときに、各病院が困りますので、このような方向で一応決 めていくということです。  さて、下についても何か言ったほうがいいのではないかというご意見でしたが、これもそ のようにいたしましょうか。事務局として具体的にはどのようなことがあり得ますか。 ○医師臨床研修推進室長 ここの部分でお示しするのがいいのか、別途何らかの形でやり方 を考えるのがいいのか。できればここの場はこれまでのご議論の中で著しく高額な給与を支 払っている場合の取扱いということでしたので、この場はこの場として、あと360万円を どのような形で示すのかは別途検討させていただければと思っております。 ○部会長(相川) ということですね。今回は360万円、あるいはかなり支給額が少ない 施設に対してどうするかということも検討するべきであるという議論が出たということを 議事録にとどめておいて、今後の検討でそれをどのようにしていくか。場合によっては平成 23年度に間に合わないかもしれませんし、またさらに調査が必要になるかとも思います。  募集のときに安くしていても、実際には住居が無料であるとか、当直やいろいろなことで 実際の収入は多くなっている可能性とか、その他についても調査をする必要があるかとも思 います。山口先生が最初におっしゃっていたのですが、その方向については検討するという ことで、平成23年度の研修から適用することに関しては720万円のことについて、ここで 書き込むということでよろしいですか。  それでは、そのようにさせていただいて、将来に向けて下限の調査もしていただくと。一 部資料がありますが、ということでよろしいでしょうか。                   (承認) ○部会長(相川) ということでIの件に関してはいろいろご意見をいただいて、かなりの 方向性ができ、ご了解をいただいたと思います。字句の修正、その他については、部会長に 一任させていただいて、また案をご相談に行くということでよろしいでしょうか。  それでは、議題のIIに移ります。すでにいくつかご意見をいただきましたが、「次回の制 度見直しに向けた取組について」です。これまでの臨床研修の成果を評価し、臨床研修病院 の指定基準を含め、制度全般の見直しに向けた検討に着手する。特に指定基準に関しては、 すでにご意見があって、場合によっては次回の制度見直しの前にもしっかりと検討しろとい うことなのでしょうか。  具体的には研修医に対する評価、病院・プログラムに対する評価、地域医療。この地域医 療というのも、地域格差という意味の地域医療でもありますし、またそれぞれのプライマリ ーケアを含めたその地域の医療ということもありますが、それに与える影響等について、本 部会において平成22年度以降、継続的に検討を行い、必要な対応を行うということです。  具体的に先ほど小川(彰)先生からもお話がありましたが、指定研究は平成22年度も続 いて、すでに研究に入るということです。その一部はこの評価などに関しても、ある程度結 果が出てくるということです。そのようなことですが、これについて、ご意見はいかがでし ょうか。 ○山下委員 これはここですぐには決まらないと思います。1つ提案したいのですが、いま この研修部会は制度設計というよりは、運用という所がものすごく大きいと思います。運用 している所が検証するのは、私はフェアではないと思います。自分に口の苦いことも言って もらわないといけないので、是非別の部会でもいいですし、機関を作っていただきたいと思 います。桐野班は非常にいいのですが、やはり研究班なのです。報告書は出せますが、拘束 力も何もありませんから、あれを作っていただければいいと思います。それからこの研修部 会の人間、作った人間は全部排除して、ほかの人が検証をすべきだと思います。  もう1つは、部会というか、検証の会が、先ほど小川(彰)先生がおっしゃったことまで 検証しないと。研修制度自体のいままでのいろいろな先生方の議論の中でいちばん問題があ るのは、これがいいのか悪いのか全然わからない。だから、これを変えろと言われても変え られないし、変えるなと言われても変えられないというのは、本当に切実で、みんな自分の 身の回りの、ある意味で非常に狭い範囲のデータしか持っていないのです。ですから、そう いう意味では医学の教育、これはビジョンの会とか、専門制度の対するシームレスに発達し ていく、その中で研修というものを捉えてほしいのです。  それから地域医療とか、科の偏在とか、基礎研究に行く人が少ないとかという非常に大き な中で研修を捉えなければいけないので、そういう意味では、研修制度に特化した評価をす るというのは限界にきているように私は思います。もちろんそれはその中のどこかのワーキ ングループでやることは必要だと思います。ただ、位置づけをちょっと大きめにして、しか もこの研修を実際に運用している所にある程度オーディット機能を持たせるためには、やは りフェアに外から見ていただくことが必要ではないか。先ほどから論がグルグル回っている のです。これはいいのですか、悪いのですかという話になったときに、自分の持っているデ ータの中でしか出てこなくて、ナショナルサーベイがない状況で議論が動く。  この成果が出てくるのは2年、3年後ではありません。要するに、ここで教育を受けた人 が10年後とか、20年後に日本の医療を担ったときに、本当に日本の医療はいいですかとい うようなところまで行ってしまうわけですから、相当長期にわたってある程度医療の根幹を なすものですので、アドホック的にポコッと作るようなものではなくて、運用している所と、 それを検証している所という制度設計を是非していただきたい。その中でこれをやる。我々 ももちろんそういう意見をいただいて、それを全部鵜呑みにはできませんから、もちろんそ こで反論をする。そういう中で制度がマチュアになっていくような気がするので、是非そう いうのを含めてお考えいただきたいというのが要望です。 ○部会長(相川) ありがとうございます。まず評価に関して、研究班にはこの研修部会か ら、小川先生と山下先生のお二方が入っており、そのほかに多くの方が入っています。それ はそれで進めていくことは1つありますが、この部会の委員が入っていないいわゆる会議体 なり、評価の委員会なりを作って、評価をやるべきであるというご意見です。  もう1つはかなり大局的なご意見で、医師の養成から生涯教育まで含めて、先ほどすでに ご意見がありました。この部会でそのような意見があったということは公開ですし、議事録 にも残ると思います。今日は審議官も医政局長もいらしっておりますし、文科省からも来て いただいていますので、そのような意見があったということです。この部会がこうしろとい うことはできませんので、かなり大きな問題ですから、そのように受け止めさせていただき ます。 ○小川(秀)委員 ずっと論議を伺っていたのですが、IはIIのことが問われて、次回の制 度見直しに向けた取組についてに、かなりリンクしてくるわけです。この文言自体は非常に 良くできているのですが、一般の人がもう少し理解が高まるように、例えば「これまでの臨 床研修の成果を評価し、臨床研修病院の指定基準」。指定基準というのは、3つぐらいの大 項目があります。「何とか、何とか、何とかなどを含め」とか、ちょっと解説をするといい と思いました。  2番目のセンテンスですが、研修医に対する評価、病院・プログラムに対する評価を一体 誰がやるのかも含めて検討するということも明確にしておいたほうがいいと思います。  それから、「誰が」の中に私が是非入れていただきたいのは、研修を受ける側の研修医の 評価というか、このような点が良かったとか、このようにしてほしかったとか、これがけし からんというと、なかなか書きにくいかもしれませんが、私は書いてもいいと思います。是 非、受けている研修医のスタンス、意見を大幅に取り入れるというか、それが間違っている なら間違っているということを我々も言いながら、論点を明らかにするべきだと思います。  あとは思いつきというか、検討しなければいけないと思いますが、研修医以外の人として はパラメディカルの人たち、あるいは患者さんの側からどのようになっているかです。その 辺を是非検討課題として入れておいていただきたいと思います。  それから、いま日本の医師の育成、卒前教育の問題点は臨床実習のあり方が、欧米諸国に 比べて、全くのウィークポイントで、医療の現場の教員あるいは学生諸君も一生懸命やるの ですが、一般の方々の理解が欧米の一般の方々と比して今一つです。つまり、医療は常によ り高きものを求めつつ、医学生や臨床研修生の教育、そして医療費にはあまり理解度が高く ありません。自分には絶対に関わってこないような雰囲気がありますので、この研修医の評 価ぐらいは医師免許を持っている人たちですので、良き医師の育成教育には何が必要か、こ の辺でかなり踏み込んでいただけると医療の現場、教育の現場、特に卒前教育のところにか なり入っていきやすいと思いますので、よろしくお願いします。 ○部会長(相川) 誰がどのようなボディで進むかということも含めてご意見をいただきま した。ほかにいかがですか。 ○河野委員 評価のところで話が逸れてしまうかもしれませんが、新しい臨床研修制度が出 来上がってから、非常に大きな所が医師の動態というか、いろいろな動きが大きく変わって しまったことがいちばん大きいと思います。  地域医療において考えますと、今回のいろいろなシステムを変えたことも大学病院の医師 があまり集まらなくなったというのは、大学病院が医師の派遣能力というか、そういったも のを比較的持っていることが基盤にもあったと思います。ところが、昔流にいうと入局です が、実際に後期研修で大学に入ったとしても、従来と違って、また外へ出ていってしまった り、あるいは外の病院に行ってから大学に戻らない。本当の意味で昔でいう医師を地域医療 にしっかり派遣していくような人材のプールは意外に少ないのです。ですから、そういった 動態をしっかり把握していっていただきたい。  ある大学に何人も後期研修で入ったと言っても、内容を見ると、大学にずっと残っていな いのです。だから、大学に残っている所と、大学に残っていない所が地域でもいろいろ出て いるのではないかと思います。ですから、後期研修も含めて、1回だけの調査ではなく、ず っと追わなければいけないと思いますが、そういった医師の動態について、それが地域の研 修病院とか、臨床実習研修にどう関与しているかも含めて、そういった資料をいただけたら と思います。よろしくお願いします。 ○部会長(相川) そのほかに本件に関して、どのようにしていったらいいかですが、ご意 見はありますか。研修制度導入当時は、特に大学病院の専門の診療科に、昔の言葉でいう入 局者が2年間いなかったがために、そのメニスクスというか、その割れ目の2年間というも のがかなりの影響を与えましたが、さらにそのほかに、いま先生がおっしゃったような医局 からの地方への派遣、あるいは地方の病院への派遣に関してもかなり変わりましたね。2年 間のメニスクスに関してはだんだん影響が薄くなってはきているわけですが、その辺も含め て動態を調べるということです。ほかにいかがでしょうか。  このようなことにして、あとは特に評価に関して、部会で検討するのかですね。部会の委 員が入らない組織で評価するのかということに関して、いかがでしょうか。これももし後者 ですと、ある程度具体化しなければいけません。事務局としては、例えばWGなり、別の 評価委員会というようなものを作り、ご意見によっては研修医の意見を聞くとか、パラメデ ィカル、あるいは患者さんのご意見を聞く。委員に入れるかどうかは別としてですが、委員 に入れて聞く、あるいは入れないで聞くというようなことの方策というのはあり得ますかね。 ○医師臨床研修推進室長 まず評価の方法等については、先ほどの研究班でのご議論も踏ま えて、またこの場、もしくは別途設ける評価を行う場でご検討いただければと思っています。 この研修部会以外に評価をする場を設けてはどうかという話がありましたので、そこのとこ ろは持ち帰って、検討をした上で、部会長と相談をして、またここの場でご報告をして、ご 意見をいただきたいと思っております。 ○部会長(相川) ということでよろしいですか。そのほかにご意見はありますか。 ○山下委員 ちょっと関係ないことですが、1つ困っていることがあります。指導医の講習 会がなかなか難しいというか、指導医になりたい人はいるのですが、なかなか講習会を開け ないのです。例えば、山形県で言いますと、みんな仙台へ行くのです。今度初めて南のほう の米沢の病院の先生が一生懸命やって、講習会に呼んでくれたのですが、各県でレベルを上 げるためにどうしても講習会が必要であると言いながら、そのキャパシティーが非常に少な いのです。指導医の質を上げることも非常に大事なことなので、指導医の講習会をある程度 キャパシティーを持って受けられるようにしていただきたいと思います。これはどこが運用 しているのかわからないのですが、少なくとも山形ではなく、全部仙台へ行くのです。 ○飯沼委員 日本医師会本体も指導医講習会をやっていて、かなりの数の先生を指導してお りますが、各都道府県医師会が全部できるシステムになっておりますので、どうぞ山形県医 師会におっしゃってください。そうすればちゃんと日医から応援が行きます。 ○山下委員 もちろんそれをやって、米沢のほうで1つ呼んでたくださったのです。しかし、 山形市とか、日本海側などには呼ぶのが手続的にものすごく大変なのです。確かに日本医師 会は頑張っておられるのですが、公的な機関で厚生局とか、その辺にやっていただいたほう が私はフェアだと思います。もちろん日本医師会がやることも利用させていただきますが、 そのほかの枠組みもあるべきだと思いますので、その辺をご検討いただきたいのです。 ○冨永委員 全国自治体病院協議会と全国国民健康保険診療施設協議会が共同で毎年10〜 12回指導医講習会を、主として東京、千葉でやっておりまして、いままでに約3500人の 修了者を出しています。全国の修了者が約3万人ぐらいですから、約10分の1ぐらいです。 私は滋賀県にいますが、滋賀県の医師会が毎年1回、滋賀医科大学も毎年2回、京都大学も 毎年2回はやっておりますので、大学中心のものと、医師会中心のものと、私たち全国組織 がやっていますので、チャンスはかなりあります。 ○飯沼委員 ただ希望者が多くて、定員の3倍とか、4倍になってしまいます。先生がおっ しゃるとおりだと思いますが、いちばん卑近なのは大学と医師会とご相談になって、指導医 のタスクフォースの先生方を十分確保することです。 ○山下委員 もちろん努力いたします。ただ、何か知らないのですが、えらくやりにくいの です。それでご検討いただきたいのです。 ○部会長(相川) いまのご意見は、その他の議題ということで、そういうご発言があった ということで取り上げていただきます。予定の時間も迫っておりますが、よろしいでしょう か。  それでは、平成23年度の臨床研修における対応について、本案を概ねご了承いただいた と思います。また、字句の修正、あるいは矢崎委員に先ほどご指摘いただいたことに関して も、こちらでそれを踏まえて案をさらに整理したいと思いますが、このご意見を踏まえて、 その辺のところは部会長に一任させていただいてよろしいですか。  ありがとうございます。それを踏まえて、厚生労働省で今後の手続を行っていただきた いと思っております。事務局から何かありますか。 ○医師臨床研修推進室長 本日ご議論いただきました点については、先生方のご意見を踏ま え、部会長と相談して必要な修正をしたいと思っております。それをこの研修部会の意見の とりまとめとしていただき、厚生労働省としての方針案を作成して、パブリックコメントの 手続によって、多くの方々のご意見をさらにいただくことにしたいと思っております。パブ リックコメントを行った結果については、改めてこの部会にご報告をして、ご議論をいただ きたいと思っております。次回の日程については、決まり次第お知らせしたいと思います。 ○部会長(相川) それでは、本日はどうもありがとうございました。次回についてもどう ぞよろしくお願いいたします。これで本日の部会を終了いたします。                                                (照会先)                         厚生労働省医政局医事課                               医師臨床研修推進室                        (代表)03−5253−1111                                (内線4123)