10/02/15 第24回労働政策審議会議事録 第24回労働政策審議会 ●日時:平成22年2月15日(月) 15時〜16時50分 ●場所:厚生労働省共用第7会議室 ●出席者 【公益代表】  相澤委員、今田委員、大橋(勇)委員、勝委員、諏訪会長、清家委員、         林委員 【労働者代表】 落合委員、河野委員、北田委員、斉藤委員、内藤委員、南雲委員、         西原委員、山浦委員 【使用者代表】 市川委員、市野委員、伊藤委員、大橋(洋)委員、岡田委員、川本委員、         吉川委員、指田委員、土谷委員、三浦委員 【事務局】  太田厚生労働審議官、岡崎総括審議官、村木総括審議官(国際担当)、         金子労働基準局長、森山職業安定局長、杉浦職業能力開発審議官、         伊岐雇用均等・児童家庭局長、中野政策統括官(労働担当)、         生田政策評価審議官、酒光労働政策担当参事官 ●議題  (1)緊急雇用対策、緊急経済対策及び新成長戦略について  (2)平成21年度第二次補正予算及び平成22年度予算案について  (3)分科会及び部会等における審議状況について  (4)法案の国会審議状況について  (5)その他 ●配付資料  資料1  労働政策審議会委員名簿  資料2  現下の雇用失業情勢について  資料3-1 緊急雇用対策及び緊急経済対策の概要について  資料3-2 緊急雇用対策(平成21年10月23日緊急雇用対策本部決定)  資料3-3 「明日の安心と成長のための緊急経済対策」(平成21年12月8日閣議決定)  資料3-4 新成長戦略(基本方針)(平成21年12月30日閣議決定)  資料4-1 平成21年度第二次補正予算の主要事項  資料4-2 平成22年度予算案の主要事項  資料5  分科会及び部会等における審議状況について  資料5-1 (労働基準局関係)  資料5-2 (職業安定局関係)  資料5-3 (職業能力開発局関係)  資料5-4 (雇用均等・児童家庭局関係)  資料6  第174回通常国会における法案審議状況  参考   労働政策審議会諮問・答申等一覧   ○諏訪会長 ただいまより第24回労働政策審議会を開催いたします。議事に入ります前に、 11月30日付けで、労働者代表委員の交代がありましたのでご紹介させていただきます。 資料1「労働政策審議会委員名簿」を配付しております。新たに委員に就任された4名の 方、UIゼンセン同盟会長の落合委員、日本食品関連産業労働組合総連合会中央執行委員の 北田委員、電機連合中央執行委員の斉藤委員、全日本運輸産業労働組合連合会中央執行委 員長の山浦委員です。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは議事に移ります。本日の議題は、第1に「緊急雇用対策、緊急経済対策及び新 成長戦略について」、第2に「平成21年度第二次補正予算及び平成22年度予算案について」、 第3に「分科会及び部会等における審議状況について」、第4に「法案の国会審議状況につ いて」、第5に「その他」となっております。  最初に、議題1及び議題2をまとめまして、事務局からご説明をお願いしたいと思いま す。 ○酒光労働政策担当参事官 議題1、資料2、3、4の説明をさせていただきます。それで は、資料2をご覧ください。資料2は現下の雇用失業情勢についてです。ここに完全失業 率と有効求人倍率の動向が出ております。政府の経済の判断といたしましては、現在、景 気は持ち直しつつあるも、自律性に乏しいという判断をしております。失業率ですが、昨 年の7月の5.7%をピークにしまして、12月は5.1%ということになっております。  有効求人倍率ですが、平成21年の12月に0.46倍、7月8月は0.42倍ということです。 いずれも数値的に見ますと、過去最悪だった昨年7月や8月からは改善をしておりますが、 依然として厳しい状況になっています。  次の頁、現在行っている主な雇用対策の実施状況についてです。まず第1に雇用維持の ところで、雇用調整助成金につきましては、最新のデータで月186万人の方が利用されて います。昨年の8月ぐらいまでは、200万人を超えておりましたので、少し落ち着いては おりますが、それでもやはり186万人の方が利用されているということで、依然として雇 用調整助成金の利用の度合は高いと思います。  続きまして、雇用創出・再就職支援のところですが、雇用創出対策としまして7,000億 円。中身は「ふるさと雇用再生特別交付金」、「緊急雇用創出事業」などありますが、地域 に雇用創出のための基金を作りまして、地方自治体が直接または、事業を発注することに よって、雇用を生み出していただくという事業です。これは平成20年、21年度の雇用創 出数で、16.5万人ほどを見込んでいます。  次に、再就職支援・能力開発対策ですが、「緊急人材育成・就職支援基金」による職業訓 練等の実施です。メインの事業として、雇用保険を受給できない方を対象に職業訓練の拡 充と、職業訓練をやっている間の生活費の給付です。10万円、家族をお持ちの方は12万 円を毎月支給するという仕組みです。昨年の7月から始めておりまして、現段階までに定 員数で78,543人ということで、当初の予定を上回るペースで定員を確保しております。受 講申込者数も64,915人になっています。  その下に、ハローワークの機能の抜本的強化ということで、昨年の6月以降、相談員、 職員の増員等を行いまして、ハローワークに配置をしております。  セーフティネット・生活支援等ということで、雇用保険のセーフティネット機能の拡大 をしております。それから、住宅・生活支援ということで、これは福祉部門の事業もあり ますが、例えば住宅を失った方への住宅手当の支給、これは自治体でやっておりますが、 生活資金の貸付け等の事業を行っています。以上が今実施中の雇用対策です。  続きまして資料3-1をご覧ください。緊急雇用対策及び緊急経済対策の概要ということ で、新政権になってからの主な雇用対策です。2つありまして、上が12月の緊急経済対策、 下が10月の緊急雇用対策です。緊急雇用対策の方は、主に予算を使わずにできることを中 心に取りまとめております。  12月の経済対策は、補正予算あるいは22年度の新規予算で行う事業が書いてあります。 経済対策のほうを中心にご説明いたします。緑字で数字が書いてありますが、これは補正 予算の額です。  雇用維持支援ですが、雇用調整助成金の要件緩和です。雇用調整助成金の要件の1つと して、前年と比較して生産あるいは売上げが5%落ちているということがありますが、現 在のように、不況が1年を超えてくるということになりますと、この要件から外れてくる 場合が出てきます。依然として状況が厳しい中、雇用調整助成金の要件が外れてしまうと 機能が十分果たせないということで、赤字の企業については、当初は中小企業だけでした が、大企業も含めて、前々年比10%以上、つまり前々年度と比べて売上げや生産が落ちて いれば対象にするという要件に緩和いたしました。これがなければ、毎月80万人ぐらいの 方が雇用調整助成金の対象から外れる可能性があったのですが、これによりまして、雇用 の維持・安定が図られると考えています。  次の貧困・困窮者支援ですが、住宅や生活に困った方々がたくさん出てきているという ことで、福祉と雇用の連携ということで、ワンストップ・サービスを実施しております。 年内はワンストップ・サービス・デイということで、ハローワークに自治体の方々や社会 福祉協議会の方々に来ていただきまして、相談等を行っていただきました。今後は1日限 りではなくて、日常的な支援を重視していくということで、住居・生活支援アドバイザー をハローワークに置くなどといった対策を強化しております。併せて福祉面の対策ですが 住宅手当の支給期間の延長等を図っています。  新卒者支援ですが、高卒・大卒とも現在の就職環境が非常に厳しい、前回の就職氷河期 と言われた頃にほぼ匹敵する、あるいはそれ以上に厳しいという状況です。対策としては、 やはり卒業する前に就職をしていただくということで、ジョブサポーターを2回に分けて 増員をしております。当初は530人ほどでしたが、2回増員しまして928名まで増員して おります。ジョブサポーターが大学や高校に行って、就職支援の指導をされている方と連 携を取って、就職指導をしていくというものです。残念ながら就職先が決まらないまま卒 業してしまった方については、体験雇用というシステムを設けて、就職促進につなげてい こうとしております。  雇用創造ですが、先ほど地域につくった直接的な雇用創造事業の基金が7,000億ぐらい あると申し上げましたが、これについて、さらに重点分野ということで、特に就職につな がりやすいような雇用創造、具体的には介護、医療、農林業、環境等といった成長分野の 関係の事業、あるいは人材育成とセットになった雇用創造について、1,500億円を積み増 して、使っていただこうというものです。  その他ですが、雇用・生活保障システムということで、トランポリン型の「第2セーフ ティネット」の確立、訓練をしながら給付をするという仕組みについての恒久化をすると いうものを、23年の創設としています。  雇用保険制度の機能強化ということで、1つは適用範囲を拡大するということです。ま た、このあと部会の報告のときに説明があるとは思いますが、現在6カ月以上雇用見込み の方が雇用保険の対象になっておりますが、31日以上の雇用見込みの方に、雇用保険を適 用していくということで、非正規の方々への雇用保険の適用を拡大していく。また、国庫 負担について本則では給付の25%となっているところが、現在13.75%の国庫負担になっ ておりますので、23年度に本則に戻す。さらに財政の安定ということで、21年度の補正に おきまして、3,500億円を積立金に投入するというようなことなどです。緊急雇用対策の 方は、時間の関係で説明を省略させていただきます。  資料3-2は緊急雇用対策で、今申し上げたような施策が書いてあります。  資料3-3の緊急経済対策です。大体、今ご説明した内容ですが、1点だけ28頁をご覧く ださい。これは「国民潜在力」の発揮というところにあるのですが、「働く人の休暇取得推 進プロジェクト(仮称)」というのがありまして、ワーク・ライフ・バランスやワーク・シ ェアリングの観点から年次有給休暇や育児休業等の取得促進等を進め、雇用の創出を目指 すということが書かれています。先ほどの狭い意味での雇用対策に加えまして、このよう な対策も経済対策に盛り込まれています。  続きまして資料3-4です。これは新成長戦略で、今までの緊急雇用対策、あるいは緊急 経済対策が当面の予算を前提とした対策となっておりますが、これは2020年までの概ね 10年間を見通した対策です。これは環境ですとか、いろいろな柱があるのですが、そのプ ラットホームとして、雇用・人材戦略があるという位置づけになっており、そこを抜き出 しております。  2頁をご覧ください。上段の枠囲みの中に雇用・人材戦略ということで、2020年度まで の目標が書かれております。例えば、『若者フリーター・約半減』などの目標について、今 後の、雇用戦略対話等を踏まえ具体的目標を定めることとされております。新成長戦略あ るいはその工程表は6月を目途に取りまとめるということになっておりますが、厚生労働 省としましては、皆様とも相談しながら、適切に対応してまいりたいと考えています。時 間の関係で細かい説明は省略させていただきます。  資料4-1、4-2が予算の関係です。資料4-1が二次補正の内容です。緊急経済対策関連第 1雇用というのがありますが、全体として5,984億円を積んでいます。内訳は資料4-1の 表紙にありますように、雇用調整助成金の要件緩和で78億円。ただ、雇用調整助成金の場 合は、要件緩和の影響が大部分22年度に出てきますので、補正ではこのぐらいの額で、22 年度予算では相当大きな額になるということです。  貧困・困窮者支援が703億円というのは、多くの部分が住宅手当などの費用になってお ります。  新卒者支援の強化、緊急雇用創造の拡充というのは、先ほど申し上げました、重点分野 において、地方で雇用を創出していただくというもので、1,500億円です。  それから、雇用・生活保障システムの確立が3,500億円というのは、雇用保険の積立金 の額です。詳細につきましては、1頁にありますが説明が重複しますので省略させていた だきます。こちらのほうがやや細かく書いてあります。  資料4-2です。予算案の主要事項です。厚生労働省全体がありまして、4頁に一般会計 の予算があります。雇用で1,931億円が3,262億円。特別会計は、労働保険特別会計とい うことで、前年度3兆4,400億円が22年度5兆3,000億円になっています。大きなものは 雇用保険の失業等給付の関係、あるいは二事業の雇用調整助成金等の支出増によるもので す。  内訳ですが、追加要求の主要事項等というのがあります。これは主に民主党のマニフェ ストに対応するような項目ということです。  雇用関係で申し上げますと、9頁に雇用保険制度の見直し、適用範囲の見直し等で170 億円、枠囲みで囲っている雇用保険制度の機能強化が3,500億円とありますが、点線で囲 っている部分は第二次補正で積んでいる予算です。内容は先ほどの説明と同じです。  12頁から緊急雇用対策がありますが、これも先ほどの第二次補正の額と同じですので、 説明は省略させていただきます。  23頁、22年度予算の関係です。緊急雇用対策ということで、全体として8,457億円を積 んでおりますが、額の大きな部分は、雇用維持支援、いわゆる雇用調整助成金の部分で、 これが7,452億円です。その他、能力開発に要する経費等が計上されております。  25頁、雇用のセーフティネットということで、先ほど出てきたものです。  3番目の雇用創出ということで、6,597億円と書いていますが、大きな部分は雇用調整助 成金とつながる部分があります。  そのほか、生涯にわたるキャリア形成支援・職業能力開発支援が26頁です。27頁に若 者・女性・高齢者・障害者等の就業実現です。  29頁に、非正規労働者への総合的対策ということです。いずれも一部、計上が重複して いるものがありますので、ご留意いただければと思います。  しばらく飛びまして、50頁です。安心して働くことのできる環境整備ということで、最 低賃金の引上げに向けた検討、仕事と生活の調和の実現、51頁に、労働災害の防止、心身 の健康の確保、52頁に労働紛争の予防と解決というものがあります。そのほか、外国人労 働者等が56頁にあります。だいぶ省略してご説明をいたしましたが、ご質問があれば対応 してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。以上です。 ○諏訪会長 ただいまの説明に関しましてご意見、ご質問等がございましたら、ご発言を お願いいたします。 ○南雲委員 議題1の緊急雇用対策、緊急経済対策及び新成長戦略について何点か意見を 述べたいと思います。政府が、矢継ぎ早に雇用対策を打ち出していることについては、評 価をいたします。特に、雇用調整助成金の支給緩和要件などについては労使が求めてきた 施策であり、勧迎をいたしております。関連して、雇用保険と生活保護の間を埋めるトラ ンポリン型の「第2のセーフティネット」も労使が求めてきた施策であり、現状の「緊急 人材育成・就職支援基金」制度との切れ目のない形で、早期かつ確実な施行をお願いした いと申し上げたいと思います。  また、2月12日に開かれました職業能力開発分科会でも話があったと聞いておりますが、 雇用・能力開発機構を廃止して、その機能を他の機構へ移管する際には、職員のモチベー ションを踏まえて行うべきであり、職員が今まで培ってきた知識・技能を活かすことが重 要ではないかと思います。その観点に立って再考すべきということを申し上げたいと思い ます。ましてや、雇用失業情勢が厳しい中で、まず人件費削減ありきのようなことがない ようにすべきと、意見を申し上げたいと思います。  雇用・能力開発機構は、セーフティネットとしての訓練や、ものづくり分野の訓練の実 施など、国の職業訓練機能を担っております。職業能力開発は雇用のセーフティネットで あり、国として、これまで以上に職業能力開発体制の充実と強化を図ることが必要ではな いか。その観点に立って、今後制度の創設が予定をされております「求職者支援制度(仮 称)」の根幹を担うことも踏まえ、事業をより強化することを要望したいと思います。 ○諏訪会長 ほかにご発言ありますか。 ○内藤委員 私は、新卒の対応について1点お伺いしたいと思います。  先日、労使で「若年者の雇用安定に関する共同宣言」を発表いたしましたけれども、内 定率の水準は過去最悪のレベルであるなど、依然課題も多いと考えております。また報道 によりますと、昨年度ほどではないにせよ、内定取消しという実態もあり、企業が公表す るよりも実際には多いのではないかという話もございます。就職氷河期、あるいは第2の ロストジェネレーションの抑止については政労使三者の責任が極めて大きいと考えますが、 政府の見解と対策を伺いたいと思います。   また、これは緊急対策と呼ぶべきなのかわかりませんが、若年者の就職は一生の問題で あるということで、たまたま卒業年度の景気が悪かったから、このような状況にいつも陥 るということでは非常に不公平というか、問題が多いと思っております。いわゆる就職構 造、就職システムそのものをもう少し景気の動向に左右されないような、安定を目指すよ うな方策を講ずるべきではないかと思っております。その点について、もし見解を伺えま したら併せていただきたいと思います。以上です。 ○諏訪会長 ほかにご質問、ご意見ありますか。 ○斉藤委員 私からは、女性の就労支援について、新成長戦略の2020年までの目標の中に 掲げられております、女性のM字カーブ解消に向けた具体策について、3点ほど要望をさ せていただきたいと思います。  まず1つ目ですが、女性の就労支援では保育の質の確保を前提とした待機児童の解消と、 母子家庭の母親の就労支援を優先すべきだと考えております。また、母親の就労支援とと もに、母親の貧困が子どもの教育機会や生活に及ぼす影響も考慮に入れた支援策をお願い したいと思います。  2点目ですが、新成長戦略の2020年までの目標に、女性のM字カーブ解消を掲げたこと は評価をしたいと考えますが、M字型カーブの背景には男女間の処遇格差がありまして、 解消の具体策として法的効力を持つポジティブ・アクションを求めていきたいと思います。  さらに3点目となりますが、M字カーブ解消には女性の就労支援に加えまして、パート や有期契約労働者の均等待遇原則の法制化や、雇用に関わる課題といたしましてライフス タイルの選択に中立な、税制や社会保障制度への見直しというのも重要だと思います。以 上3点ですけれども、女性の労働力を今後の日本の成長戦略と位置づけまして、前向きな 検討をお願いしたいと思います。 ○諏訪会長 それでは、ほかにございますか。 ○大橋(洋)委員 先ほど内藤委員からもご発言がございましたが、私からは雇用対策に 関連して、若年者の雇用問題について意見を述べたいと思います。とりわけ新規学卒者の 採用状況が大変厳しくなっておりまして、憂慮される事態になっております。経団連とい たしましても、会員企業に対してさまざまな機会を通じて、1人でも多くの学生・生徒の 採用をしていただくよう呼び掛けを行っておりますが、現在のような経済状況が続く中で は大変厳しい状況が続く可能性が強いと見られます。  そこで内藤委員からもございましたように、経団連と連合では1月26日に、「若年者の 雇用安定に関する共同声明」を確認し、公表いたしました。今回の共同声明では、それぞ れの団体が企業や労働組合に働きかけを行うことに加えまして、政府に対して、1つは雇 用・能力開発機構が行う学卒者訓練のプログラムの充実と、定員枠の拡大や、授業料の減 免、また2つ目といたしまして、大学・短期大学・専修専門学校などに入学する新規学卒 者への入学金・学費の低利融資制度や、奨学金制度の拡充などの取組みを求めております。 既に、緊急経済対策に則り、本年度の二次補正の予算や、新年度予算に新卒者への支援強 化が盛り込まれておりますが、是非共同声明に盛り込みました内容につきましてもご検討 をお願いしたいと思います。  さらに付け加えますと、新卒者に限らず、若年者全体に職業観や、就労意識を早い段階 から醸成していくことが非常に重要になっていると思います。大学におけるキャリアガイ ダンスの強化などはもちろんのことでありますが、あらゆる就学の段階で、働くことの意 義、また労働関係法令などに対する理解を学生・生徒に植え付けていく必要があると存じ ます。  若年者の雇用の安定に向けて、産業界といたしましてもこうした活動に積極的に協力し てまいりたいと考えております。今後とも、新卒者の採用状況の改善に向けて、可能な限 り取り組んでまいりたいと存じますので、厚生労働省といたしましても関係者、関係省庁 と協力をさらに深めていただいて、政府横断的な取組みをお願い申し上げたい。以上です。 ○指田委員 先ほど南雲委員からもお話がありましたけれども、私からも経営側としても セーフティネットについて意見を申し上げたいと思います。  ご案内のように、我が国の労働力人口は趨勢的に減少しております。労働市場の安定性 の確保だとか、あるいは経済社会の活力の維持向上に向けて、多様な労働力を活用してい くということが今後とも求められています。その際に、労働力の多様化の実態を踏まえな がら、労働市場の基盤を再構築し、労働者の雇用の安定を確保していくことが非常に重要 でありますが、とりわけセーフティネット機能の強化充実が不可欠であると考えておりま す。  今般の雇用保険の見直しは望ましい方向であると申します。特に、雇用保険の国庫負担 について、平成21年度第二次補正予算関連の改正法では、平成23年度に安定財源の確保、 これを前提に現在の国庫負担に対する暫定措置を元に戻す、原則に戻すということなので すが、国家が雇用の安定に応分の役割を果たすという意味合いからも是非この点、即ち安 定財源の確保を確実に実現していただきたいと思います。  また、求職者支援制度について、今後制度の恒久化に向けて検討を進めていかれるとの ことですが、我々も非常にこれは重要な制度であると認識しております。財源の確保や、 効果的な訓練メニューの構築など、議論すべき課題が多くあろうかと存じます。円滑な制 度運営に向けて労使双方の意見をお汲み取りいただきながら、現在も始まっていますけれ ども、なるべく早期に検討を開始し、精力的に十分な検討を重ねることが重要かと思いま すので、ご対応をよろしくお願いいたします。 ○三浦委員 私からは、改正労基法と改正育介法の施行についてお願いをしたい。いよい よ4月1日と6月30日にそれぞれが施行されるわけです。我々は全国にあります主要経営 者協会などを通じまして各地で説明会を開催するなど、いわゆる企業側の理解を促進する ように、今取組みを進めております。  改正法の一部の内容はご案内のとおり、中小企業への適用がしばらく猶予されておりま すので、我々としても実施状況を見ながら、さらに中小企業を含めて十分な理解が深まる ように引き続き取り組んでいきたいと思っています。そういう点で、厚労省におかれても、 是非必要に応じて企業における運用状況などの把握をするとともに、引き続いて2つの法 律の周知活動を進めていただきたいとお願いしたいと思います。以上です。 ○岡田委員 私からはちょっと総論的なお話で申し訳ないのですけれども、先ほど斉藤委 員からもありましたように、「新成長戦略」の中にかなり具体的な目標設定がされているの は、非常にいいなというふうに感じました。それとともに、やはりこの中に盛り込まれて おりますワーク・ライフ・バランスなのですが、なかなか言われてから久しいのですが、 進んでいかないということがあるかなと思っております。こちらは、ワーク・ライフ・バ ランス憲章でも謳われていますように、国民運動を通じた社会的気運の醸成というのが必 要であろうと思っております。なので、政府としても引き続き制度的な枠組みに対する支 援をお願いしたいということと、企業側としても、こちら経営戦略にしっかり盛り込むと いうことが、効果を生み出すことと思っておりますので、当然生産性の向上というのが前 提とはなりますが、それとセットで進めていくべきと思っております。実現にあたっては、 やはり職場の管理職の運用というのは非常に重要かと思っておりますので、トップからの 経営戦略としての発信を常にしていくということと、現場のリーダーたちの推進というこ とが求められると思っております。  今、非常に女性の就労というのも進んできております。育児をしながら働いている女性 の就労者も多くなってきておりますし、それから介護等に従事している人たちもいますの で、そういった従業員の多様性ということにも留意しながら、労使ともに力を合わせてそ れを推進していくということが必要だろうと思っています。  ただ、このワーク・ライフ・バランスという言葉自体には少々誤解を生じる部分がある と思っておりまして、仕事も生活もほどほどに気持良くやっていくと受けとられかねない ので、やはり一人ひとりが自立して仕事をしながら、自分の生活をマネジメントしていく のだというようなことをしっかり発信していく必要があるだろうと思っております。弊社 等では、ライフ・ワーク・マネジメントといったようなことで、従業員一人ひとりの自覚 を促すということとともに発信してきております。  その結果として、個人生活が充実するということは非常に重要なことだと思うのですが、 その中で地域の人たちとのつながりで深めて、子育ての総合支援であるとか、地域の教育 の向上であるとか、そのようなことに振り向けられるような、次のパワーに迎えるような 在り方、そうした働きかけも政府として必要なのではないかと感じているところです。 ○諏訪会長 では山浦委員までで一旦そこまでをまとめて、事務局に要望、質問が出てい ますからご対応いただくことといたします。 ○山浦委員 平成21年度の第二次補正予算、並びに平成22年度の新年度予算について、 意見と質問を申し上げたいと思います。国の事業の無駄をなくすための事業仕分けについ てでございます。国民にわかりやすく、透明性の高い形での予算編成の当該試みについて は率直に評価をいたしますが、仕分け人の選出、並びに結論ありきのような議論方法など、 見直すべき点もあることも付言はしておきたいと思います。  同時に、労働条件も含めた、特に雇用情勢が厳しい状況の中で新たな雇用問題が発生し ないよう申し上げておきたいと思います。その上に立って、仕分け作業と当該審議会との 関係について、お尋ねをしたいと思います。例えば、労働者派遣事業雇用管理改善等推進 事業(労働者派遣事業適正運営協力員)の削減については、これまで協力員の派遣を労使 に委ねてきたにもかかわらず、当該審議会の審議を一切経ることなく、一方的に全国に一 斉通知をされました。遺憾に思っているわけでございますが、政府の見解があればお聞き をしたいと思います。 ○諏訪会長 それでは一旦ここまでのところで質問、要望等がありましたので、それらを 順にお答えいただければと思います。 ○杉浦審議官 職業能力開発局です。独法の関係で、お三方からご意見が出されました。 まず南雲委員からの、雇用・能力開発機構が行います職業訓練、あるいは機構の廃止の関 係です。ご案内のとおり、一昨年の閣議決定に基づきまして雇用・能力開発機構を廃止い たしまして、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構に能力開発業務を移管するというこ とになっておりまして、そのための改正法案を今国会に提出すべく、今準備をしていると ころです。先ほど委員のご発言にもありましたように、現在能開分科会のほうでご議論を 始めさせていただいているところです。この改正を行うに当たりましては、委員のご指摘 にありましたように、国として行うべき職業訓練の在り方というものも十分議論していた だいた上で、あるいはその職員の雇用に対する配慮ですとか、モチベーションの問題とい うことも十分認識をしながら、内容を固めてまいりたいと思います。  併せまして求職者支援制度、平成23年度から民主党のマニフェストにおいて創設するこ とになっておりますが、雇用・能力開発機構に訓練の新規の開拓ですとか、訓練内容の指 導等の業務をしていただこうと考えておりますので、そうした業務の在り方も含めてご議 論を賜った上で、法案にまとめていきたいと考えているところです。  2点目、大橋委員からは、学卒者訓練の充実についてのご質問がございました。現在、 この機構のポリテクカレッジにおいて、地域の労使の方々のご意見をお聞きしながらカリ キュラムの改正等を行い、学卒者の訓練を中心に行っていただいているところです。おか げさまで現在95%以上の就職率で、非常に地域の方々からも評価をいただいていると認識 しております。昨今のこうした雇用情勢の中で、さらにその内容等も含めまして充実を考 えていきたいと思っております。  また、授業料の減免等のご要望もありますが、現在既に一定の要件の下に授業料減免の 制度がありますが、その辺の運用につきましても適切に実施をしていきたいと思います。  もう1つ、指田委員から、求職者支援制度の関係において多様な訓練のメニュー、とい う話がございました。これは、求職者支援制度の制度設計の中でもちろん重要な部分を担 っていると考えておりまして、現在行っております、いわゆる基金訓練でも既にいろいろ な訓練機関に、新しく訓練コースを開拓してもらうような制度、取組みを行っているとこ ろです。この求職者支援制度の円滑な移行に向けまして、さらに取り組むよう充実してい きたいと考えているところです。 ○森山職業安定局長 職業安定局関係もいくつかございましたので、私のほうからご説明 させていただきます。まず、今の能開機構の関係と重なりますが、南雲委員、指田委員か ら第2のセーフティネット、それから求職者支援制度についてのご質問がございました。  雇用保険部会におきまして、昨年9月から、現行の実施状況等をご報告いたしまして、 議論をさせていただいているところです。その中でも、まさに恒久的な求職者支援制度の 設計にあたりましては、現行の基金事業の実績を踏まえながら検討すべきだというご指摘 をいただいております。23年度からの恒久的な求職者支援制度の創設に向けまして、現行 事業の実績を踏まえた議論を進めていただきたいということで能開局と協力しながら進め ていきたいと考えているところです。  指田委員から、雇用保険の国庫負担のお話がございました。後ほどペーパーでご説明い たしたいと思いますが、先般成立いたしました補正関係の雇用保険法の一部を改正する法 律におきまして、平成23年度において国庫負担を本則に戻すとあり、これができますよう に、財政当局等と調整してまいりたいと考えているところです。  それから大橋委員、内藤委員から、学卒者関係のお話がございました。能開局のほうか らもありましたが、まさにこの就職内定率、高卒の予定者が68.1%、平成21年11月末で す。それから大卒予定者が73.1%という、大変厳しい状況にあるわけでございまして、ま さに就職難が憂慮されるところです。このために、いろいろな施策を推進しておりますが、 企業や学校を訪問して新卒者の就職を支援する、この高卒・大卒就職のジョブサポーター を928名に緊急増員をいたしております。928名のほかに、新たに未就職者を体験雇用す る事業主を支援する、「新卒者体験雇用事業」を創設いたしました。そして、また先ほど能 開局からお話がありましたように、いろいろな訓練のコースの拡充を受けるところです。 いろいろな対策を進めて1人でも多くの方が就職されますように、政府ももちろん努力し ていきたいと考えているところです。  そして内定取消しのお話がありました。これにつきましてはご案内のように、昨年度の 内定取消しを行った事業場のうち、事業名公表の対象となりましたのは15社です。今年に つきましては、この要件を満たす事案というのはまだ発生をしていないところですが、私 どものハローワークに内定取消しを行おうとする企業があった場合には、当然のことです が、この企業が内定取消しの撤回や、あるいは速やかな就職先の確保などの改善策を講じ るように指導しています。今後とも指導してまいりたいと考えておるところです。 ○伊岐雇用均等・児童家庭局長 雇用均等・児童家庭局でございます。いくつかご質問を 頂戴いたしましたので、順次お話させていただきます。  まず、斉藤委員からのM字型カーブ解消に向けた具体的な取組みについてのご質問です が、3点に分けてご質問がありました。  まず、女性の就労をさまざまな形で制約する要因となる子育て対策について、お尋ねが あったと理解しております。これにつきましては1月29日に、「子ども・子育てビジョン」 を閣議決定いたしまして、平成22年度から5年間の保育サービスの増強等につきましての 目標数値も定めたところです。併せまして、母子家庭も含めた一人親家庭におけるさまざ まな支援策につきましても数値目標を定めて、このようなお子さんがいらっしゃる家庭に おける助成、あるいは一人親も含めたさまざまな方々の就労について、側面から支援でき るさまざまなサービスについて、拡充する方向性を示したところです。  それからポジティブ・アクションについて、もう少し強めるべきではないかといったご 質問もあったかと思います。ご案内のように、ポジティブ・アクションについては男女雇 用機会均等法に基づきまして一定の位置づけはさせていただいているところですが、日本 型のポジティブ・アクションといいますか、例えばクォーター制度というものは入れずに、 まず企業のご努力をお願いするといった形の規定になっています。これに基づいて、「女性 の活躍推進協議会」といった、企業のトップから成る会議を厚生労働省のほうでも持ちま して、まさに推進力となっていただけるようなトップの方々にさまざまなご論議を頂戴し ているところです。そういう英知を集めまして、まずもって事業においてさらに女性の登 用を進めていただくような知恵を出していただき、それをいろいろな形で広報させていた だいて、情報共有していただくといったことが、まず第一歩かと考えているところです。  また、このことにつきましては、昨年の女子差別撤廃条約の我が国政府報告書審査に際 して、女子差別撤廃委員会の見解も示されておりますし、今年の暮れには第3次男女共同 参画基本計画の策定といったことも控えておりますので、それに向けて政府部内で、私ど も雇用の分野のみならず、さまざまな側面でのご議論を頂戴する機会もあろうかと考えて いるところです。  またパートタイム労働対策等につきましては、ご案内のようにおかげさまで平成20年4 月に改正パートタイム労働法を施行させていただきました。この中には長い間のご論議を 踏まえてのことですが、「働き方が正社員と同じパートタイム労働者につきましては賃金等 の待遇についての差別的取扱いを禁止する」という条項を入れることができたわけです。 その他のパートタイム労働者につきましては均衡処遇といった形で、この法律を軸に、是 非その均等対遇、あるいは均衡処遇といったことを広めていくというふうにしていきたい と思います。  なおM字型カーブの解消の関係で言いますと、先ほどご紹介いたしました「子ども・子 育てビジョン」につきましても、就業率の目標値を男女別に設けています。これは、前政 権における「子どもと家族を応援する重点戦略」が平成19年にできましたが、また、それ と機を一にして「ワーク・ライフ・バランス憲章」であるとか、「ワーク・ライフ・バラン ス推進」が設けられました。そのときの目標数値として69〜72%、25歳〜44歳の女性の 就業率が、参考資料ですが、この「子ども・子育てビジョン」にも明記されているところ です。まずもって、そういうことをしっかりと念頭に置きながら、施策を推進してまいり たいと考えているところです。  それから2点ばかり、まず三浦委員から、「改正育児・介護休業法」についての中小企業 への周知活動について、ご意見を頂戴いたしました。おっしゃるとおり、まずもって今年 の6月30日には、101人以上の企業にさまざまな条項が適用になるわけですが、100人以 下企業の適用猶予は公布から3年間の予定です。100人以下の企業についても、1日も早く さまざまな規定を整備していただいて、そこに働く労働者の方々が仕事と育児、あるいは 仕事と介護を両立していただくような取組みを進めたいと思っております。そのためには 助成金制度等も準備していますので、こういうものを通じまして周知とともに、実質的な 権利を確保できる労働者の数を少しでも増やしたいと思っているところです。  最後に岡田委員から、ワーク・ライフ・バランスについてのご発言がありました。先ほ ど私も申し上げましたが、「ワーク・ライフ・バランス憲章」も引きながら、国民運動を、 あるいは経営者の自覚をといったご示唆でした。これは、先ほど斉藤委員がおっしゃられ たポジティブ・アクションの問題とも非常に通ずるところがありまして、国民運動である とともに、特に、企業の経営者の方のリーダーシップなり、いろいろな意味での取組みが 非常に期待されるところです。  その意味では、過日、日本経団連ではこのワーク・ライフ・バランスについてのシンポ ジウム等もご実施になられまして、広く経営者にお呼びかけいただきまして、大変ありが たく思います。また、先日は東大のほうでも、ワーク・ライフ・バランスのシンポジウム が開かれて、たくさんの企業の雇用管理者がお見えになっておられました。こういう取組 みを私どもも側面的にもサポートするとともに、私ども自身がさまざまな機会を捉えて浸 透を図ってまいりたいと思います。そのときにはやはり制度に甘えるだけではなくて、職 業人として自覚を持って、自分のキャリアを全体として見通して、そしてその展望を持っ てお休みを取ったり、時間短縮をしたりするという、自立した労働者像を頭に描いて、是 非ともそういう形で進めるように私どもも頑張っていきたいと思います。よろしくお願い します。 ○森山職業安定局長 先ほど山浦委員から、仕分けに絡めて、労働者派遣事業雇用管理改 善等推進事業についてのお話がございました。これもまさに言われましたとおりですが、 この仕分けの対象として議論されたところありまして、この協力員につきましては大変厳 しい意見が出ました。  例えば、各労働局の正規スタッフでやるのではないかとか、あるいは適正運営協力員の 立場や役割がはっきりしないというようなこと等、大変相当厳しいコメントが述べられた わけです。そういう中で、結論的に事業全体の予算額を半減するとともに、この協力員及 び相談員も半減せざるを得ないということでございまして、私どももそういう大変厳しい 状況を踏まえたところです。22年度においては各労働局におきまして、労使が同数である ということを担保した上で、原則半減ということでさせていただいたところです。  なお、今後につきましては、行政刷新会議におきましても、労使の意見を聞きながら改 めて協議をするということになっておりますので23年度以降については審議会において ご議論いただきたいと考えているところです。 ○諏訪会長 今日はご案内のとおり議題が5つありまして、既に1番目においてほぼ1時 間近くを消化してしまいました。進行の不手際をお詫び申し上げます。  そこで次の議題に入りまして、各分科会及び部会等の議論を事務局からご説明いただい た後で、また関連してのご質問等をお願いできればと思います。よろしくお願いします。 ○金子労働基準局長 資料5をお開きいただきまして、資料5-1です。労働基準局所管の 分科会での昨年9月以降の審議状況につきまして、ご報告申し上げます。当局の関係3つ 分科会があります。労働条件分科会ですが、この下に置かれております労災保険部会、こ れにおきまして過日、船員保険との統合が1月に施行されましたが、これについてのご議 論をいただきました。今後の予定については、4月から介護補償給付の額の改定を行いた いと思いまして、ご議論いただく予定です。また労働条件分科会本体においては、先ほど ご説明いたしましたが、緊急経済対策の一部として、「年休の取得促進」という項目が入り ました。労働時間等改善設定法に基づきますガイドラインの見直しについて、ご議論をお 願いしたいと思います。  真ん中の「安全衛生分科会」です。これまでの取組状況ですが、11月に石綿、これは現 在、製造それから使用等が全面禁止されているものですが、一部適用除外製品があります。 これを23年度までに解消するという目標で今進めていますが、2つの事項について適用除 外の解除を行いました。それから12月には労働者死傷病報告の様式の改正、これは、労働 災害の起こったその事業者に出していただくものですが、派遣事業の関係については元・ 先両方から出していただくことになっております。ただ片方からしか出ないケースもある ものですから、派遣元から提出された死傷病報告で、派遣先の郵便番号がわかるように様 式を改正させていただいたものです。そのほか、健康診断における胸部エックス線撮影の 対象者の見直しなどを行いました。  それから、勤労者生活分科会ですが、中小企業退職金共済部会において、退職金金額を 設定する場合の運用利回りについてご議論いただいているところです。  詳細についてはこの資料の後に資料を付けておりますので、説明は割愛させていただき ます。以上です。 ○森山職業安定局長 続きまして、資料5-2ですが、まず雇用保険部会関係です。昨年の 12月28日にまとめていただきました、大きく2つのことについて書いてあります。  雇用保険の適用範囲の拡大ということで、先ほどお話がありましたが、非正規労働者に 対する適用範囲の拡大ということで、現在6か月以上雇用見込み、これを31日以上雇用見 込みの人に適用拡大をしていくというのが1つです。2つ目は、雇用保険未加入とされた 者に対する遡及適用期間改善ということで、現在は2年まで遡って適用していますが、そ れを事業主が被保険者資格取得の届出を行わなかったため未加入となっていた者のうち、 事業主から雇用保険料を控除されていたことが給与明細書等により明確に確認された者に ついては、2年(現行)を超えて遡及適用するという仕組みを設けようということです。  それから雇用保険の財政基盤の強化ですが、国庫負担、先ほどもご質問ございましたが、 当面の失業等給付の国庫負担としまして、21年度補正予算で一般財源を導入ということで、 これは成立をさせていただきました。それから23年度以降については、安定財源を確保し た上で、国庫負担を本則に戻す旨を法律に規定をいたしました。  それから雇用保険二事業の財源の確保ということで、雇調金が大変に利用されておりま すので、そういう関係もありまして、雇用保険二事業の財源不足を補うため、かつ例外的 な暫定措置として、失業等給付の積立金から借入れるという制度を設ける。また雇用保険 二事業の保険料率の弾力条項発動を停止させていただいて、原則どおり、3.5/1000とする ということです。  それからこのほかの失業等給付に係る保険料率については、弾力条項としまして、原則 16/1000のところを、12/1000にするということです。こういう内容でして、補正関係部分 は成立させていただきましたが、本予算関係については、今、国会に提出をしているとこ ろです。  続きまして、「障害者権利条約」に対する対応です。これについては、いちばん上に「障 害者権利条約」と書いてあります。その内容が2番目に書いてあります。厚生労働省にお ける対応ということで、21年7月に、「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応 の在り方に関する研究会」において中間整理がとりまとめられました。そして21年10月 以降、労働政策審議会障害者雇用分科会において検討中です。もう5回開催をさせていた だいています。今後ですが、「障がい者制度改革推進本部」における条約批准のための検討 状況に合わせて、障害者雇用促進法における対応ができるよう、引き続き労働政策審議会 障害者雇用分科会において検討を進めていくということでお願いしたいと思います。  続きまして、派遣法の関係です。ここにも書いてありますように、事業規制の強化とい うことで登録型派遣の原則禁止、製造業務派遣の原則禁止等々です。また、違法派遣の場 合には派遣先が違法であることを知りながら、派遣労働者を受け入れている場合には、派 遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだとみなす等の内容を答申でいただいたわ けです。12月の末まで、大変精力的なご議論をいただきました。現在、この方針を基に法 案を準備しており、審議会において、法案要綱の審議をお願いしたいと思っていますので、 よろしくお願いいたします。  最後ですが、次頁、雇用政策研究会ということで、様々な経済構造の変化等の下で生じ る雇用問題に関して、効果的な雇用政策の実施に資するように、学識経験者を参集し、現 状の分析を行うとともに、雇用システム対策について考え方を整理するということで、下 の改正スケジュールに書いているように、昨年12月に第1回を開催し、現在、2月5日の ところで進んでいます。今後、今年6月を目途に整理をしたいと思っており、そういう形 で進めたいと思っています。 ○杉浦審議官 資料5-3、職業能力開発分科会における審議状況ですが、昨年8月以降、3 回開催をしています。昨年9月には職業能力開発促進法施行令の一部を改正する政令案と いうことで諮問をしました。これは技能検定、現在136職種ありますが、需要等に応じて 改廃を行っているところですが、その内容として、着物の「着付け」という職種を新設す るとともに「スレート施工」という職種を廃止するという改正を行うもので、諮問を行い、 了解をいただいたのが9月の開催です。  43回と44回については、先ほど南雲委員からのお話にもありましたが、雇用・能力開 発機構の廃止問題があり、その法案を今の通常国会に出すということですので、その前提 となる現在行っている公共職業訓練、基金訓練の実施状況等について説明した後、ご議論 をいただいたものです。2月12日についても、今後の方向性についてたたき台を出し、そ れについてご議論をいただいているところで、引き続きご議論をお願いしたいと思ってい ます。 ○伊岐雇用均等・児童家庭局長 続いて、雇用均等分科会の審議状況について紹介します。 資料は5-4です。お陰さまをもちまして、改正育児・介護休業法は昨年6月に成立しまし た。このことについては、前回、説明したとおりですので、表面についての説明は省略し ます。  その裏面に「省令・告示(指針)の改正のポイント」というのがあるように、雇用均等 分科会では、昨年秋口からご論議を始めていただき、11月20日に育児・介護休業法の施 行のための省令指針についての諮問を申し上げ、ご答申をいただいたところです。これを 受けて12月28日に厚生労働省で省令指針を改正し、発出をしました。  ポイントですが、省令にあるとおり、労働者の育児休業申出に対し、事業主が、申出を 受けた旨及び休業期間等を書面等により通知する規定の追加があります。これは法律の審 議において、いわゆる育休切り等の防止のためにも、きちんと書面を明らかにすべきだ、 というご意見が附帯決議として明らかにされたことにより、省令で措置したものです。  また、その他改正法において省令に委任された事項がいくつかあります。これについて は、法律の提出前に労働政策審議会雇用均等分科会でもいろいろご論議されていたものも ありましたので、さらなるご論議を深めていただいた上、具体的内容を規定していきまし た。例えば短時間勤務の具体的内容の規定、介護休暇の具体的内容の規定、子の看護休暇 の取得事由の追加、育児休業の再度取得要件の追加などです。  また、告示(指針)ですが、これも改正法を踏まえ、不利益取扱いとして禁止される行 為についての規定を整備しています。例えば、昇進・昇格の人事考課において不利益な評 価を行うことなどを例示に追加する、などをしています。  また、労使協定を締結する場合には短時間勤務の対象外とすることができる「業務の性 質又は業務の実施体制に照らして、所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認めら れる業務」についても、国際線客室乗務員の業務等の例示をするなど、その内容を明らか にしたところです。このような審議を昨年末、具体的な省令・指針として決議したところ です。  今後のスケジュールですが、一部を除き今年6月30日から改正法は施行されることにな っています。常時100人以下の労働者を雇用する事業主については、改正法の公布の日、 これは昨年7月1日ですが、ここから3年以内の政令で定める日に施行をするということ になっています。 ○諏訪会長 審議の促進にご協力いただきまして、ありがとうございました。皆さまから ご質問、ご意見がありましたらお願いします。 ○西原委員 職業安定局の関係ですが、労働者派遣法の関係について意見を申し上げたい と思っています。職業安定分科会労働力需給制度部会で取りまとめられた今回の労働者派 遣にかかわる報告、これは労働者派遣の抱える問題、課題の重大性、そして迅速な対応へ のニーズの高まり等を踏まえて、限られた日程の中で公労使三者が大変な議論の末に合意 してまとまったものと認識をしています。  これは労働者派遣法創設以来の規制緩和の流れを大きく転換して労働者保護の視点で法 改正を図るものとして、私、労働者側委員としてはおおむね評価できるものと考えていま す。  その上でILO(国際労働機関)の三者構成主義に基づく公労使の合意によりその実施を 担保していく、その意義の大きさを踏まえて、是非、労働者派遣法改正法案の策定に当た りましては労働政策審議会の答申をしっかりと尊重していただきたいと、強く要請をして おきたいところです。 ○土谷委員 私は、先ほどの緊急経済対策にも掲げられていた休暇取得の促進、これにつ いて申し上げたいと思います。ワーク・ライフ・バランスの取組みについてもお話があり ましたが、年次有給休暇取得の促進はその大きな柱だと思っています。年次有給休暇の取 得割合の経過も指摘されていますが、長時間労働の削減と併せて労使で工夫を重ねながら その取得促進の取組みを進めていく必要があると思います。ご説明にありましたとおり、 緊急経済対策により、労働時間等設定改善指針の見直しが予定されているとのことですの で、こういった労使の取組みを引き続きご支援いただきたいと思います。  我々企業側としても、短時間雇用の時給の方は、100%できる限り取っていただくように 労使で話し合いを進めて、すでに取得をしていますし、弊社においては、社員においても 労使で話し合って、結婚記念日等々記念日休暇を設けて入れるなど努力をしているので、 是非ともご支援をよろしくお願いします。 ○北田委員 私からは、障害者権利条約の対応について1点要望を申し上げたいと思いま す。障害者権利条約の締結に向けた検討は、現在、内閣府の障がい者推進制度改革推進本 部でも行われているということですが、ILOの諸条約に基づくと、雇用労働分野の法改正 などにおいては、公労使三者構成の原則を取ることがすでに国際標準とされています。し たがって、雇用労働分野においては、公労使三者に加えて障害者の代表者も参画する労働 政策審議会障害者雇用分科会において議論した内容が、尊重かつ優先されるべきと考えて います。連合としては、次期通常国会で障害者権利条約の批准案、併せて障害を理由とす る差別禁止に向けた法案が、共に提出されることを強く希望しています。 ○斉藤委員 私は、改正育児・介護休業法の施行にかかわる質問と要望をさせていただき たいと思います。連合が育児休業取得者の解雇や退職勧奨等の横行に早急に対応するため、 昨年3月ですが厚生労働省に対し要請を行ってきた経過があります。その後の状況につい て把握されているのかを質問したいのと思います。今年も2月末、3月で保育所に入れな いのなら無理して働かなくてもいいのではないのかということで、また退職の勧奨などの 時期に差しかかっているのではないか、というところに非常に危機感を持っており、その ような事態が今後も想定されるので、この点に関してのさらなる強化をお願いしたいと思 います。また、育児・介護休業法の改正については、女性の就業継続と男性の子育て支援 を主旨とする改正法の周知と徹底、それと的確な相談体制の確立をお願いしたいと思って います。先ほど使用者側委員からもありましたが、今回の重要な改正点の一部で施行猶予 となった100人以下の企業での導入促進に向けて、連合としても法改正の趣旨を踏まえな がら労使協議の推進を行っていきたいと考えているので、是非、厚生労働省としても施策 の強化をお願いしたいと思います。 ○川本委員 私からは、先ほど西原委員からご指摘のありました労働者派遣制度の見直し について申し上げたいと思います。今般の見直しの背景となりました、いわゆる派遣切り と言われる事態が生じたことは、これは経済環境の急速かつ大幅な落ち込みに大きく起因 するものではあるとは言いましても、我々使用者としては、忸怩たる思いがあります。申 し上げるまでもなく派遣労働者も含めた雇用の安定は非常に大切だと考えていますが、派 遣制度の持つ需給調整機能は有用であり、今後ともよりよい制度としていくことが重要で あると考えているところです。昨年末に労働政策審議会において取りまとめられた答申内 容は、私ども使用者側にとりましても非常に厳しい内容でありますが、答申は労使双方が お互い真摯に議論を交わし合い、また公益委員の先生方に大変なご尽力をいただきながら ようやく合意が得られたものです。まさに三者構成の各委員が十分な役割を発揮した結果 であると考えているところです。極めて短期間の中で10回近くもの審議を重ねて、合意で きるぎりぎりのところで取りまとめたものですので、法制化にあたりましては、今般の答 申の内容を維持していただきたいと思っているところです。なお、今回の見直しで新たに 創設される雇用契約申し込みのみなし制度については、全く新しい、極めて特異な制度と 言えると思います。したがいまして、導入にあたりましては、無用な混乱が起きないよう 予見性の確保等十分なご配慮をいただきたいと思っているところです。 ○市川委員 私からも、労働者派遣法の改正について一言。すでにご発言がありましたの で繰り返しませんが、三者構成でようやく諏訪会長のリーダーシップのもとに合意を得た ものですので、この内容で維持をしていただきたい、ということが1点です。  もう1点、実は資料4-2の30頁にまさに派遣労働者の雇用の安定の確保と、そのための 予算というものを掲げていますが、これが事業仕分けによって半減されているのです。私 は、今回の法律改正によって派遣労働者にも影響が出てくると思うし、使用者側、なかん ずく中小企業にも大きな影響が出るのではないかと考えており、そのときに予算措置とし て派遣労働者なり、あるいはそうした方々を雇用しようとする中小企業に対する助成措置 等、予算措置として大きな手当てをむしろするべきものであると思っていましたが、残念 ながら予算においては逆に半減をするという形になっているところは私としては非常に理 解し難いところです。もちろん、今般、昨年末にまとめられた報告書においては、3年あ るいは5年の猶予期間があるので、是非、猶予期間の間に予算の増額をお考えいただけれ ばと考える次第です。 ○市野委員 私からは、議題3に関連するかもわかりませんが、政権交代もありましたの で、あえて労働政策の決定プロセスについて申し上げたいと思います。これまで縷々ご議 論ありましたとおり、セーフティネットの強化、充実など、取り組まなくてはいけない労 働政策上の課題は大変多いわけですが、制度の見直しを諮る際には、企業内労使関係、あ るいは長期雇用に代表される日本型の雇用システムの実態、これらを十分に踏まえること が重要であると考えています。  労働政策は企業経営にも大変大きな影響を及ぼしますが、労働者の生活にも密接にかか わってくることから、その決定にあたっては、職場の実態を熟知している労使の関与する ことが不可欠であり、そうすることで現場での大きな混乱を減らし、法令重視の決定を図 りやすくするという意見があるわけです。そのため、公労使三者で構成される本審議会の 結論を最大限尊重していく従来の決定プロセスを、今後とも堅持していく必要があると考 えているので、あえて申し上げました。 ○諏訪会長 ほかにありますか。それでは、ここまでのところを事務局のほうで何か、ご 質問あるいはご意見に対してありますか。 ○森山職業安定局長 派遣法の関係ですが、西原委員、川本委員、市川委員、お三方から ございました。派遣法の改正については、昨年10月に私どもの大臣から審議会に対して、 審議をお願いし、公労使三者に本当に精力的なご審議をいただきました。感謝を申し上げ ます。そして、昨年12月28日に答申をおまとめいただいたところです。先ほども申し上 げましたが、答申の中身は公労使が合意されたものですので、現在、おまとめいただいた 答申を基に法律案の要綱作成を行っているところです。これに基づいてまたご審議のほど よろしくお願いしたいと思っています。  また、川本委員から、労働契約の申込みのみなしの関係でご意見をいただきました。も ちろん、これは法律が成立した暁ですが、この制度の改正にあたりましては混乱が生じる ことのないように、周知、啓発に努めてまいりたいと考えているところです。引き続きよ ろしくお願いしたいと思っています。  北田委員から、障害者のほうについてお話がありました。これについては先ほど報告申 し上げましたが、「労働・雇用分野における障害者権利条約への対応の在り方に関する研究 会」、これで昨年7月に、我が国の取り組むべき措置等について中間整理がまとめられたと ころです。この中間整理を受けて、先ほどお話したように、昨年10月から労働政策審議会 の障害者雇用分科会において、5回にわたりご調査またはご検討いただいているところで す。昨年末までに主要な論点についてはご議論いただいたところですが、今後は、障がい 者制度改革推進本部における条約批准のための検討に併せて、障害者雇用促進法における 対応ができるよう、引き続きこの分科会において、法制度の在り方も含めて具体的な検討 を進めていきたいと考えているところです。こちらもよろしくお願い申し上げたいと思っ ています。  市川委員から、派遣制度についての予算の関係がありました。先ほども申し上げました が、いわゆる仕分け作業において、労働者派遣事業雇用管理改善等適正運営協力員等々に ついて大変厳しいコメントがなされたところです。そういう関係もあり、平成22年度につ いては、事業全体の予算額を半減するとともに協力員あるいは相談員の半減をしたところ ですが、先ほども申し上げましたが、平成23年度以降については、審議会等においてご議 論いただきたいと思っているところです。よろしくお願いします。 ○伊岐雇用均等・児童家庭局長 斉藤委員から、育児・介護休業法関係のご質問を頂戴し ました。育児休業取得中の解雇や退職勧奨等の横行が目に余る、といった文脈でのご指摘 です。育児休業等の取得を理由とした解雇など不利益取り扱いについては、法の施行とい う形で平成21年度上半期、実数を把握しています。全国の雇用均等室に寄せられた相談数 は、848件となっています。これは上半期ですので半年間の数字で、前年度同期512件と 比べてかなりの増加となっています。もちろん、法律の改正等を契機にいろいろな意味で ご関心も高まってきているという面もあろうかと思いますが、厳しい経済環境のもとでそ ういう事象も発生しているのかという感じがしているところです。  このことに対応するためにも、改正育児・介護休業法を徹底する必要があるわけですが、 特に改正育児・介護休業法では、都道府県労働局長による紛争解決援助システムを整備す る、育児休業の取得を理由とする不利益取り扱い等についての調停制度もスタートすると いうことになっていますし、さらに、新たに厚生労働大臣の勧告に従わない場合の企業名 の公表制度も盛り込みました。さらには、虚偽の報告をした場合の過料の制度も盛り込ん だということです。これらの法施行の措置については、紛争解決の援助が昨年9月30日か ら、調停制度が今年4月1日から施行されることになっています。これらをしっかりやっ ていくということです。  これは補正予算で平成21年度の二次補正予算において、非常に脆弱である雇用均等室の 体制を強化するために、育児・介護休業トラブル防止指導員を設置し、非常勤ではありま すが具体的なご相談に乗ったり、トラブルが発生した場合に企業の状況を把握したりする、 といった仕事をする職員を配置しているところです。これらの仕組みを活用しつつ、大臣 も非常に重要だと言っているので、実態把握の頻度等も今後高めつつ、この問題に対処し ていきたいと思っています。  また、100人以下の企業についての導入促進は、先ほど三浦委員のご質問にお答えした とおりですが、助成金制度としては特に中小企業子育て支援助成金といったものを準備し ており、これを実際にお使いいただくことによって、なるべく早く中小企業でも制度が整 備されるように私どもも努力していきたいと思います。   ○金子労働基準局長 年休の取得率は、5割を下回っている状況が続いています。何とか 改善を図りたいものだと思っていますが、労使でのお取組みが大変重要ですので、今回、 指針を見直すことになっていますから、そこを皆さんで十分なご議論を尽くしていただい て、実効ある方策を考えていく必要があると思っています。その際には、計画的付与制度 は仕組みとしてあるのですが、利用状況が15%ぐらいということになっており、年休はな かなか取りづらいという環境が日本の会社の現場にあるとすれば、そのあたりは1つの問 題を考えていく上でのポイントになるのかと思っています。いずれにしても労使の実情に 即した取組みをやっていただく以外に実効ある方策はありませんので、十分なご議論をお 願いしたいと思っています。 ○諏訪会長 ほかにご質問、ご意見等はありますか。それでは、次の議題4「法案の国会 審議状況」について、事務局からご説明ください。 ○酒光労働政策担当参事官 資料6をご覧ください。「第174回通常国会における法案審議 状況について」と書いてあります。今のところ進んでいるのが2本で、いずれも雇用保険 法の一部を改正する法律案ですが、そのうちIが二次補正関連、失業等給付に一般会計の 国庫負担財源を投入するものです。これについては二次補正予算関連ということですので、 すでに成立・施行をしています。  IIが雇用保険法の一部を改正する法律案がありますが、先ほど資料5-2でありました内 容のものについて法案化したものです。予算関連法案ということで、すでに1月29日に通 常国会に提出してあります。今後、審議される予定です。 ○諏訪会長 今のご報告について、ご質問、ご意見等はありますか。 ○南雲委員 雇用保険法の改正の周知徹底、並びに雇用保険制度の国庫負担の本則戻しに ついて、意見を申し上げたいと思います。今回の法律案は、依然として厳しい雇用失業情 勢を踏まえ、非正規労働者のセーフティネット機能と雇用保険制度の財政基盤の強化を中 心に制度の見直しを図るという意味で、おおむね評価をしています。改正後の成立から施 行(2010年4月1日)までの期間は短いと思われるので、特に非正規労働者への適用拡大 については、きちんと周知徹底するようにお願いをしたいということです。  また、失業等給付にかかわる国庫負担割合を法律の本則(4分の1)に戻すことについて は、雇用に対する国の姿勢を明示することからも、今後、早期かつ確実に実施すべきであ ることを申し上げておきたいと思います。 ○諏訪会長 ほかにご意見、ご質問はありますか。 ○森山職業安定局長 非正規労働者適用の拡大という問題、これは適用漏れがないように させることが重要で、成立された場合は、今、指摘されたように成立から施行まで非常に 短い期間です。成立後に速やかに本省レベル、また地方の労働局・安定所等において、周 知・広報等を徹底してまいりたいと考えていますが、円滑な施行のためには、ご指摘いた だいている、本日ご出席いただいている経済団体また労働組合の皆さまにおかれましても、 周知方ご協力いただくようによろしくお願いしたいと思っています。  また、雇用保険の国庫負担ですが、これについては、先般、成立した補正関連である雇 用保険法の一部を改正する法律、この規定にあるように、平成23年度において国庫負担を 本則に戻すことができるように、財政当局と調整してまいりたいと考えているところです。 ○諏訪会長 ほかにご質問、ご意見はありますか。次の議題は「その他」です。委員の皆 さまからご意見等がありましたら、ご発言をお願いしたいと思います。 ○河野委員 私から2点申し上げたいと思います。1点目は、先ほど若年雇用の促進とい う話がありましたが、私は、ものづくりの現場を主体とする産別におりますが、今、団塊 世代の大幅な定年退職がかなり進んでおり、技能技術の空洞化という問題から、企業側の 人件費を増やすことなく新しい人を採用できる、つまり定年退職をした人の賃金が非常に 高いというか比較的高いのであり、そういう意味合いからいきまして、厳しい環境であり ますが、是非、そういった若年雇用、そういう大幅な定年退職の塊の時期になっているこ ともあり、若年層の雇用について何らかの優遇措置みたいな形で雇用の促進を行政側もし っかりやっていただきたい、という要望が1点です。  2つ目は、今の労働基準法の割増率の中小企業に対する適用猶予という状況があります が、この点について我々だけではなく連合の各産別からも、中小企業に対する適用猶予は 外すべきだという意見が相当出ています。そのことを少し申し上げたいと思います。ご存 じのように我が国の場合は、統計局のデータにより570万社のうちの約99.8%が300人未 満の事業場ということになっているわけです。中小で働く人は87%、約4,700万人と。つ まり、中小企業が適用猶予になってしまうと、そこの分野はほとんど適用されない、新し い改正労働基準法の趣旨が活かされない、このような状況になっているわけです。  この間、適用猶予期間が定められているのが、今の改正労働基準法が中小企業について 当分の間、高年齢者雇用安定法が中小企業について5年間、改正育児・介護休業法は100人 以下について3年以内、改正次世代育成支援推進法も101人以上300人以下について2年 間、労働安全衛生法は50人未満もしくは100人未満が委員会の設置免除とか、あるいは改 正労働安全衛生法についても、2008年3月までは時間外労働が月100時間を超えて働く労 働者の面接指導を50人未満はやらなくていいということになっていたわけであります。確 かに論議の経過からいって、労働法を厳格に適用すると、中小企業の経営に負担がかかる という意味合いから、適用除外や猶予期間が設定されることは、私も理解できないわけで はありませんが、特に労働基準法において、適用猶予をしてしまう、あるいは今なってい ることについては、これは労働者保護の必要な所がむしろ規模の小さい所であって、そこ は言わずもがなですが、99人以下の労働組合の組織率は1.1%。つまり、交渉相手もいな い、労働協約を結ぶことができない、そうした大多数の所こそ、労働基準法できちんと救 うというか、最低限の基準を適用すべきではないかと思っています。  問題は、なぜ、このようなことになるかということですが、いちばん重要なことは、適 用猶予ではなく、時間外が大幅に増える要因と対策を支援すべきではないかと思っていま す。そういった意味からいくと、中小企業で時間外を大幅に発生する中には、取引の関係 であるとか、設備が老朽化して生産性が上がらないとか、働く人のスキルアップのための 支援策が十分でないとか、さまざまな要因があるわけです。そのことが対応できる支援策 をしっかりやっていくことが非常に重要ではないかと思っているわけです。  したがいまして、当面、猶予期間があることはやむを得ないにしても、適用除外をする ことは明らかに法の趣旨に反しているのではないか、という意見がたくさん出ているわけ であり、そういった意味では労働基準法のダブルスタンダードは早急に廃止することが、 むしろ逆に問題点の要因とその対策を促進するという側面もあると申し上げておきたいと 思っています。 ○落合委員 私からも2点意見だけを申し上げておきたいと思います。この場に直接は関 係ないかもしれませんが、民主党が政策として出した公開会社法なるものは、今月下旬に 法務省の法制審で部会の設置が審議されるといっているわけです。民主党の政策も概要を 見てみますと、公開会社法の中に従業員代表監査役の新設が提起されているわけです。  今まで日本の会社法関係は、労働者概念は1つも入ってきていないわけです。あるとす るならば、従業員過半数代表制とか、再生機構等々の中にいろいろ項目はあるわけですが、 これも形骸化している。今後、審議されるであろう公開会社法の中に従業員の代表監査役 を新設なり論議されるということになると、これは非常に労働者と従業員への影響感があ るだろうと。例えば、これを論議する上においては、選任する監査役をどうするのかとい う制度設計が当然論議されてくるだろうと思います。株式会社の範囲とか、選任される従 業員の範囲はどうするのだとか、そしてどのように選任するかということは、非常に影響 があるわけですから、厚労省としても、是非、関与なり注視していただきたいと思ってい ます。これは非常に重要だと私どもは思っているし、現在の過半数代表制のようなものを もう少しきちんとすることからも、この問題を注視していただきたいと思います。  もう1点は、先ほど報告がありました雇用政策研究会については、雇用システムのあり 方とか、働き方の見直しといった視点から研究されるということですから、非常に興味が あります。また、失業給付、職業訓練、職業紹介、この3つをどのようなシステムとして 研究されるのかとか、新しい働き方といったものに対して研究のその都度の報告なり論議 する場もいただけたらいいと思っているので、よろしくお願いします。 ○市川委員 先ほど河野委員から割増率の中小企業の適用除外はいかがなものかと、こう いうご意見がありました。私は中小企業の代表としてこの席に出ているものですから、一 言反論というか意見を申し述べたいと思います。1つは、それぞれの分科会あるいは部会 において、公労使三者の合意に基づいて意思決定されたものですので、その合意について は是非維持させていただきたいということです。  私どもは決して手をこまねいているわけではありません。私ども中小企業は、約420万 社ということでして、雇用の約7割を担っております。経済的影響ということもあります が、数が多いということで、周知徹底をするための期間、そういったものも必要であると いうことで、私どももいろいろな形で労働関係の施策について周知するためのセミナーな り、説明会なりというものをしているところです。  また、ご指摘のありました支援策については、これは是非必要だと考えており、私ども の中央会においても、例えば下請け取引の適正化のためのトップセミナーであるとか、各 地域でのセミナーの開催をやっているし、老朽化した設備を更新するための施策として、 例えばボイラー等については、CO2の排出量削減のための国内取引制度がありますが、こ うしたものを是非活用して、古いボイラーあるいは空調設備といったものを是非取り替え てくださいということを進めているわけです。国の施策をうまく活用しながら、中小企業 においてもそうした取組みをしている。ただ、その取組みについては周知徹底なり実施に 時間が必要である、ということもご認識をいただければと思う次第です。 ○河野委員 反論するわけではありませんが、私も産別で、中小企業は85%が300人未満 で、60%が100人未満という実態を見ると、労働基準法とはいったい何かと。つまり、労 働者保護というところについて、いろいろな考え方があるのだったら、言うはずです。遺 憾ながら、猶予措置を認めるとしても、その期限を示さないということは、法律の趣旨か ら見ると問題ではないか、という視点がたくさん出されています。憲法学者もいろいろで すが、それは逆の意味でマイナス面もあるので、一定の時期が来たら早急に直していく。 期限が何にも明示されていないことはもちろん問題ではないか、ということを検討しても らいたい。 ○諏訪会長 ほかにご質問、ご意見はありますか。 ○金子労働基準局長 河野委員、市川委員から、改正労基法の問題についてお話がありま した。主に経緯の説明になってしまうのですが、これは割増率が月60時間超えた場合には、 最低50%以上に引き上げてくださいという内容です。当時の状況の中で種々議論があり、 経営体力が十分でない中小企業については、当面猶予するという結論になったわけです。 その際に併せて、改正法の附則の中で3年後に検討しましょうという検討規定が入ってい ます。したがいまして、そういった施行状況、あるいは割増賃金率の動向的な数値を勘案 して、そのタイミングに合わせて1つの検討がなされることが予定をされているのだと思 っているし、そうしていきたいと思っています。  この改正法の中では、実ははっきりしない部分もあるので紹介しますが、実は中小企業 にも努力義務で引上げてくださいという規定は掛かっており、中小企業の労使の皆さんに おいても、引上げについて自主的にお取組みいただきたいということです。その際には、 国会の議論では、何か行政側が一定の率を、例えば50%ではなくて40%にしろとか、そう いうものが示せないかという議論もあったのですが、これも企業の実態は各自あるし、な かなか難しいということで、我々としては、中小企業でどのような取組みの事例があるか、 そういうことをよく調べて皆さん方にご提供していきましょう、ということを申し上げて いるところです。  先ほど市川委員からもお話がありましたが、中小企業の生産性を上げようとか、経営体 力をつけるということが、非常に大事な部分でもあります。これはまさに中小企業庁を中 心に取り組んでいるところですので、こうしたことを併せて当面取組みを進められたらと 考えています。 ○中野政策統括官 落合委員からご指摘のありました公開会社法の件については、今後、 厚生労働省としても法務省における議論の動向を注視してまいりたいと思っています。 ○諏訪会長 ほかにその他として、ご意見なりご質問なりありますか。よろしいですか。 最後になりますが、事務局からほかにご報告等はありますか。 ○酒光労働政策担当参事官 特にありません。 ○諏訪会長 皆さまのご協力をもちまして、時間より逆に早く終えることができました。 ありがとうございました。本日はこのあたりで閉会とします。事務局においては、委員の 皆さまから大変貴重なご意見が多々出されたので、それを踏まえて今後の労働政策の実施 に努めていただくよう、よろしくお願いいたします。本日の会議に関する議事録ですが、 当審議会の運営規程第6条により、会長のほか2人の委員に署名となっています。労働者 代表委員の北田委員、および使用者代表委員の大橋(洋)委員に署名人になっていただき たいと思いますので、どうぞよろしくお願いをします。本日の会議は、以上をもちまして 終了とします。 (照会先) 政策統括官付労働政策担当参事官室 総務係 (内線:7717)