10/02/09 第3回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会日本脳炎に関する小委員会 議事録 第3回 厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会日本脳炎に関する小委員会  議事録 【日時】平成22年2月9日(火) 17:00〜18:00 【場所】厚生労働省共用第7会議室 【出席委員】(50音順)  飯沼委員、岡部委員、加藤委員、廣田委員、蒲生参考人、倉根参考人、竹本 参考人、多屋参考人、永井参考人、福田参考人、横手参考人 【行政関係出席者】 上田健康局長、福島健康局結核感染症課長、江浪健康局結核感染症課長補佐、 大坪健康局結核感染症課長補佐、梅澤健康局結核感染症課長補佐、草柳健康局 結核感染症課予防接種係長 ○梅澤課長補佐 定刻になりましたので、これより「第3回日本脳炎に関する 小委員会」を開会いたします。本日は、ご多用のところ、日本脳炎に関する小 委員会にご出席いただき誠にありがとうございます。本小委員会につきまして は、以前より予防接種に関する検討会においてご議論いただいた日本脳炎予防 接種に関する諸課題のうち、今後の日本脳炎の定期接種の円滑な実施に向けた 検討を行うため、予防接種部会の下に設置させていただいたものであり、次の シーズンであります平成22年の初夏から秋に向けた接種のあり方等についてご 検討いただき、その結果を予防接種部会に報告することとしております。なお、 本日は宮崎委員よりご欠席のご連絡をいただいております。また、本日は、前 回までに引き続き、これまで予防接種に関する検討会において、日本脳炎をは じめ予防接種に関するさまざまな議題についてご検討されてこられました委員、 その他関係企業の方など7名の方々に参考人としてご参加いただいております。 それでは、開会にあたりまして上田健康局長より挨拶を申し上げます。 ○上田健康局長 一言ご挨拶を申し上げます。先ほどの予防接種部会から引き 続いて出席されている委員の皆様方には誠にお疲れ様でございます。また、こ の会から参加された方々にはよろしくお願いを申し上げます。さて、日本脳炎 の予防接種のあり方につきましては、先月15日と27日と開催されましたこの 委員会におきまして議論いただきました。当面の課題である積極的な勧奨のあ り方及び平成17年の接種勧奨の差し控えにより接種機会を逃された方に対する 対応のあり方につきましては、一定の方向性を見出だすことができたと考えて おります。これまで議論いただきました内容につきましては、事務局におきま して中間報告として取りまとめをさせていただき、本日資料として提示をさせ ていただきたいと考えております。  この中間報告につきましては、本日平成22年度の接種シーズンにおける平成 17年の積極的な勧奨の差し控えにより接種の機会を逃された方への対応につき さらに議論いただきまして、できましたら今日内容を取りまとめていただけれ ばと思っております。もし内容がまとまれば親のほうの予防接種部会に報告を いたしまして、そこでさらに議論をしていただきたいと考えております。よろ しくお願いを申し上げます。 ○梅澤課長補佐 冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。では、 以後の進行は座長の加藤委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいた します。 ○加藤委員長 では、早速、本日の議事を進めさせていただきます。事務局か ら資料の確認をお願いいたします。 ○梅澤課長補佐 資料の確認をさせていただきます。お手元にある資料でござ います。最初に座席表、小委員会の議事次第、委員会の名簿。資料1として「日 本脳炎に関する小委員会中間報告素案」と別添資料、資料2として「平成22年 度の接種シーズンにおける平成17年の積極的な勧奨の差し控えにより接種の機 会を逃した者への対応について(案)」です。それと、本日ご欠席されている宮 崎委員よりコメントとしまして1枚の文書をいただいております。また、前回 もご用意しましたが、青いファイルに第2回、第1回の資料をご用意しており ます。ご参考にしていただきたいと思います。以上でございます。 ○加藤委員長 それでは、本日の議題に入らせていただきます。今後の日本脳 炎予防接種のあり方につきまして検討に入ります。前回までの委員会では、平 成22年度の日本脳炎の予防接種の進め方についてご議論いただきましたが、そ の結果につきまして、本日、中間報告を取りまとめにあたりまして、あらかじ め素案を作成し提示するよう事務局に依頼をしたところであります。早速、そ の素案を含めて資料のご説明を事務局からお願いいたします。 ○大坪課長補佐 資料1と資料2を続けてご説明いたします。資料1をご覧く ださい。日本脳炎に関する小委員会中間報告の素案としまして、事務局のほう で案を作成した報告書があります。こちらを読み上げさせていただきます。最 初に目次です。1.はじめに、2.今後の日本脳炎の予防接種の進め方について、(1) 予防接種の積極的な勧奨の取扱いについて、(2)平成17年の積極的な勧奨の差し 控えにより接種機会を逃した者に対する対応について、(3)乾燥細胞培養日本脳 炎ワクチンを第2期の定期予防接種として用いた場合の考え方について、3.おわ りに、というふうになっております。  次の頁をめくっていただきまして中身に入ります。1.はじめに。日本脳炎につ いては、その発生及びまん延を防止することを目的として、昭和51年に予防接 種法に位置付けられ、平成6年より定期の予防接種として行われているが、平 成17年にマウス脳による製法の日本脳炎ワクチンを接種した後に重症ADEM (急性散在性脳脊髄炎)を発生した事例があったことから、より慎重を期する ため、同年5月30日健康局結核感染症課長通知により、接種の積極的な勧奨の 差し控えが求められた。ただし、一律的な接種の勧奨は差し控えられていたも のの、感染のリスクの高い者であって、予防接種を希望するものに対しては、 適切に接種の機会が確保されるよう指導も行われていた。(参考)としまして、 関連法令などに基づく日本脳炎の定期接種の対象者とその接種スケジュールを お示ししております。  日本脳炎ワクチンの予防接種の進め方については、厚生労働省健康局長の私 的検討会である「予防接種に関する検討会」(座長:加藤達夫国立成育医療セン ター総長)において平成20年7月25日から検討が行われていたが、組織培養 法による日本脳炎ワクチン(乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン(商品名:ジェー ビックV))が平成21年2月23日に薬事法に基づく承認を受けたことから、平 成21年3月19日に、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンを速やかに定期の第1期 の予防接種に使用できるワクチンとして位置付けることが必要であるとした、 「日本脳炎の予防接種の進め方に関する提言」(以下、「提言」とする)がまと められたところです。(参考)としまして、提言の概要をお示ししております。  「提言」を受け、平成21年6月2日付で予防接種実施規則及び関連通知等の 改正が行われ、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンが定期の第1期の予防接種に使 用できるワクチンとして位置付けられた。また、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチ ンの第2期以降の追加免疫に関する安全性・有効性について研究班(ワクチン 戦略による麻疹および先天性風疹症候群の排除、およびワクチンで予防可能疾 患の疫学並びにワクチンの有用性に関する基礎的臨床的研究に関する研究:主 任研究者:岡部信彦)により、研究が行われている。  平成21年12月25日、厚生科学審議会感染症分科会に予防接種部会が設置さ れたことを契機として、今後の日本脳炎の定期接種の円滑な実施に向けた検討 を行うため、本小委員会が設置され、提言において今後検討することとされて いる下記の項目について、検討を行うこととされた。(今後検討することとされ ている項目)としまして、[1]予防接種の積極的な勧奨の取扱い、[2]積極的な勧 奨を差し控えたことにより接種機会を逃した者に対する対応、[3]乾燥細胞培養 日本脳炎ワクチンに係る第2期の予防接種として用いた場合の有効性・安全性 等についての治験の集積。本小委員会において今後の日本脳炎の予防接種の進 め方についての意見の中間報告をとりまとめることとした。ここまでが経緯に なります。  2番としまして、今後の日本脳炎の予防接種の進め方について。(1)予防接種 の積極的な勧奨の取扱いについてとしまして、1つ目、提言においては、「今夏 (平成21年)までの供給予定量を勘案すると定期接種対象者全員の必要量に満 たないこと等、現段階においては積極的に勧奨する段階には至っていないと考 える」とされており、これを受け、平成21年度においても積極的な勧奨の差し 控えが継続されている。  平成21年度における日本脳炎ワクチンの接種状況、副反応報告の状況及び供 給量は資料3のとおりである。こちらは別添資料の中の資料3、第1回の小検討 会の中でご披露しました予防接種に関する現状に関する資料を参照いただけれ ばと思います。  平成21年における乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンの供給実績及び副反応報告 の状況等を勘案すると、第1期の定期予防接種について積極的に勧奨を行う段 階に至ったものと考えられる。その際に積極的な勧奨を行う対象者は、予防接 種実施要領(平成17年1月27日付健康局長通知「定期の予防接種の実施につ いて」)において示されている標準的な接種期間に該当するものとすることが妥 当であると考えられる。以下に実施要領からその該当部分を抜き書きしてあり ます。  次の頁をめくっていただきまして、第2期の予防接種については、乾燥細胞 培養日本脳炎ワクチンを第2期に用いた場合の有効性・安全性などについての 治験の集積を受けて、今後検討することが必要である。  (2)平成17年の積極的な勧奨の差し控えにより接種機会を逃した者に対する 対応について。平成17年の積極的な勧奨の差し控えが行われた当時に予防接種 法施行令で定められている接種対象年齢であった児のうち、第1期の接種(3 回)を終了していない者に対して、接種機会を提供することが必要であると考 えられる。  これらの者に対し、日本脳炎ウイルスに対する基礎的な免疫を付与するため には、接種間隔に関する根拠が限られているものの、3回接種が必要と考えられ ることから、不足している回数についての接種機会を設けることが妥当である と考えられる。  上記の者に対して、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンの供給予定量などを踏ま え、どのような対応を進めるべきか検討した結果、(こちらは別添資料の4と5、 第2回の小委員会の中でご披露しました供給量から勘案したシミュレーション の結果をご参照ください)平成21年度のワクチン供給量から勘案すると、平成 17年の積極的な勧奨の差し控えにより接種機会を逃した者のうち、特定の1学 齢に対して積極的な勧奨を行うための十分なワクチン量が確保されているとは 言えない状況にあると考えられる。また、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンが第2 期の接種に使用できることとなった場合、供給量が増加しない限り、接種機会 を逃した者への対応は、より困難になると考えられる。  そのため、現時点では、第1期の標準接種年齢対象者に対する接種が確実に 行われるようにすべきであり、平成17年の積極的な勧奨の差し控えにより接種 機会を逃した者への対応については、平成22年度接種シーズンにおける接種状 況やワクチンの供給状況などを勘案しつつ、第2期におけるワクチンの使用の 可否が明確になった時点で、第2期の接種の機会の確保と第1期(3回)接種機 会の確保のどちらを優先するべきか、ということも含めて、改めて、議論を行 うことが必要である。  なお、平成22年度接種シーズンにおいては、接種機会を逃した者に対して使 用可能なワクチンは、約180万本程度と推定されることから、以下のような対 応を行うことについて検討すべきである。これまでの案文に関しましては第1 回、第2回の委員会の中でおおよそ合意に至った内容ではないかと考えられま すが、それ以降のこの180万程度をそれ以外の標準接種以外の方にお使いいた だけるワクチンについての対応についてはまだ十分なご議論をいただいており ませんので、本日の論点として別添資料2の中でまとめておりますので、後ほ どご議論いただければと思います。  次の頁をめくっていただきまして、(3)乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンを第2 期の定期予防接種として用いた場合の考え方について。薬事承認において、乾 燥細胞培養日本脳炎ワクチンについて「第2回目の追加免疫以降の使用経験が 少ないことから、安全性・有効性が確立していない(使用経験が少ない)」とさ れたことを受け、提言においても「現時点では、第2期の定期接種で使用可能 と位置付けることは困難」とされていることから、現在は、定期の第2期につ いて使用可能と位置付けられていない。提言を受け、現在、厚労科学研究費補 助金事業において第2回目の追加免疫の安全性・有効性に係る検討が行われて いる。今後、過去にマウス脳による製法の日本脳炎ワクチンで免疫を付与され た児に対する第2期接種での安全性・有効性のデータの集積がとりまとめられ たところで、企業において、添付文書上の「用法及び用量に関連する接種上の 注意における第2回目以降の追加免疫以降の有効性及び安全性は確立していな い(使用経験が少ない)」の記述部分に関する一部改定が行われる予定である。  第2期の予防接種については、上記の結果を踏まえて、今後、検討すること が必要である。  3番目、おわりにといたしまして、日本脳炎の予防接種の進め方についてはワ クチン供給量によって大きく影響を受けるものであるため、平成22年度の接種 状況や今後のワクチンの供給状況などを勘案しつつ、第2期のワクチンの使用 の可否などの治験の集積などを速やかに行うよう、すべての関係者は努力し、 積極的な勧奨を差し控えたことにより接種機会を逃した者に対する対応につい ての議論をできる限り早急に再開できるよう強く望むものである、というふう に素案をつくらせていただいております。  引き続きまして、資料2をご覧ください。先ほどの素案の3頁の中で白抜き にしていた部分について、こちらはまだご議論いただいているものではなく不 十分なのですが、こちらのほうで案としてご提示しております。平成22年度の 接種シーズンにおける、平成17年の積極的な勧奨の差し控えにより接種の機会 を逃した者への対応について(案)。1)平成22年度の接種シーズンにおいては、 予定されているワクチン供給量では、接種機会を逃した者全体に対する十分な 接種の機会の提供が困難であることについて、国民、自治体関係者、医療従事 者等に対し、情報提供を行うべきではないか。 2)平成17年の積極的な勧奨の差し控えにより接種機会を逃した者のうち、3回 接種を受けていないものの保護者等が、それらの者に日本脳炎の予防接種を受 けさせるべきかどうか判断できるように、疾患の特性や感染リスクの高い者等 に関する情報を厚生労働省ホームページ「日本脳炎ワクチン接種に係るQ& A)」等を通して分かりやすく提供するべきではないか。また、自治体関係者や 医療従事者等が、保護者から相談を受けた際に、適切に助言を行えるよう、厚 生労働省は、都道府県等を通じ、疾患の特性や感染リスクの高い者等に関する 情報やワクチンの流通在庫量等に係る情報を適切に提供するべきではないか。 3)市区町村は上記に示すような保護者等から接種の希望があった場合に、ワクチ ンの流通在庫量などを勘案しながら、接種が受けられるよう、その機会の確保 に努めるべきではないか。また、国は、ワクチンの流通在庫量等に係る情報を 適宜提供するとともに、接種の機会を逃した者のうち平成22年度に9〜12 歳となる者に対し、接種機会を提供できるよう、省令や通知での対応について 検討することが必要ではないか。また、それ以外の案についてご議論いただけ ればと思っております。  引き続きまして、本日ご欠席の宮崎委員よりこの部分に関するコメントを頂 戴しておりまして、紙をお配りしております。こちらも読み上げさせていただ きます。「下記のような情報提供をすることで現場は対応できるのではないかと いうふうに考えます」。1つ目、「1期初回の積極的勧奨を再開し標準的な接種年 齢を中心に接種を進め(地域によっては標準的接種年齢)対象者へ戸別に通知 するなど、かつ定期の対象年齢者は標準的な接種年齢3歳を外れていても接種 ができること」。2つ目、「ワクチンが一時的に不足しても、(5年程度の)国が とる経過措置の中で接種が可能であることを明確に示して国民に安心していた だくこと」。3つ目、「2期接種そのものと、1期と2期の接種機会を逃した者へ の対応の具体案は、2期の接種試験結果や4月以降の勧奨再開後の接種率なども 見ながら継続的に検討をし、具体案を改めて提示すること」。補足としまして、 「現状における日本脳炎の発生率はそれほど高いものではないので、ワクチン 不足による現場の混乱が予想される現状であるならば、生産量と接種率を見な がら慎重に積み残しを埋めていく方法があるのではないかと考えます」。もう1 つ、「一方で、積極的勧奨を差し控えている現在でも接種できている定期接種の 年齢層が、今回の措置でかえって接種機会を一時的に失うことにならないよう にしなければならないと思います」というコメントを頂戴しております。以上 でございます。 ○加藤委員長 これまでの2回の議論では、いま事務局からあったように、第1 に平成21年度におきましては定期の1期の標準接種期間の子どもたちに対して 積極的な勧奨を行うことが妥当であろうということ。第2に、平成17年の積極 的な勧奨の差し控えにより接種機会を逃した者に対する対応としては、平成22 年度の予定供給量では十分な確保は望めないことから、第2期の治験の集収と 併せて、可能な限り早い時期に改めて議論を行うというところだったかと思い ます。事務局の説明にあった中間報告、これは素案ですが、まず、この報告の 論点以外の部分につきまして各委員の先生方にご意見があればお聞きしたいと 存じますが、いかがでしょうか。宮崎先生のコメントは先ほど述べられたとお りでございます。委員の先生方のご意見を伺います。参考委員からいきますか。 では、蒲生参考人から。 ○蒲生参考人 付け加えたいこととしては、現状は供給量が平成22年度は足り ないのですが、ここで平成22年度に接種できなかったからといって一生できな いわけではないというか、徐々に大丈夫になっていくのだという、宮崎先生が2 番目の所で「ワクチンが一時的に不足しても」という、それを明確に一般の方々 に示すというのは非常に大事だと思います。 ○加藤委員長 倉根参考人、お願いします。 ○倉根参考人 内容についてはこういうところだろうと思うのですが、事務局 に伺いたいのですが、改めて議論を行うという書き方は、例えば継続して議論 を行うのではなくて、この結論が出たところで一度終わるという考えなのでし ょうか。 ○結核感染症課長 お手元の素案も中間報告としているように、あくまで議論 は継続しているという捉え方なのです。ただ、いつ再開するかということにつ いて言うと、1つには岡部研究班のデータが出てこないと議論ができないので、 その時期はそう遠くはないかと思いますが、その若勧奨の時期があるので、表 現ぶりとしてはまだ継続しているというニュアンスが出るようにするのであれ ば「引き続き」でも構わないと思います。その間が1カ月とか2カ月というこ とで、直ちにまた明日からすぐということではないということで書いただけな ので、これを見た方がしばらくこれで沙汰止みになるような誤解があるといけ ないのであれば「引き続き」という表現にさせていただきたいと思います。 ○加藤委員長 竹本参考人、お願いします。 ○竹本参考人 特にありませんが、このワクチンの絶対量が少ない中に一言だ け言わせていただければ、北海道がいまもってワクチンをやらないということ に対しても一言どこかで触れていただきたいと思います。大学とか転勤で北海 道から本州に来る人も多いので、できればそういうことも一言触れておいてい ただければと思います。現状では不可能かもしれませんけれども、お願いした いと思います。 ○加藤委員長 これは各都道府県の知事の権限になっているのです。ですから、 果たしてこの部会から知事に局長さんが言うかどうかという形になりますが、 これは事務局で整理してください。続きまして、多屋参考人、お願いします。 ○多屋参考人 まず、標準的な接種年齢に対して積極的勧奨が再開されるとい うことですが、標準的な接種年齢は3歳で2回、4歳で1回なのですが、現時 点ではその3歳の2回というふうに考えて、残りの7月までに出荷される180 万人分についてはそれ以外の者と考えた理解でよろしかったでしょうか。 ○結核感染症課長 はい、そのとおりです。 ○多屋参考人 そうすると、積極的勧奨を再開するという情報ですが、いつか ら国民に情報提供が可能になるかというところが問題です。おそらく、実施主 体である市区町村の方々の状況をお伺いしなければいけないことになると思う のですが、4月1日から勧奨が再開されるとなった場合に、4月の接種者数を現 在MRワクチンでやっているように迅速に把握するとします。迅速に把握して も2カ月遅れですので4月1カ月間の接種者数は6月にならないとわかってき ません。4月の1カ月間の接種者数が6月にわかり、5月の接種者数が7月には わかります。現在は接種率を100%と見積られているのですが、MRワクチンを これだけ勧奨しても、接種率が当初8割台に止どまるといった接種率を上げる ことは極めて困難な現状を考えると、100%の接種率をいつまで見込んでいてい いのかという判断を、是非、日本脳炎の患者さんが多く発生していた8月9月 になる前に判断する機会を設けていただきたいと考えております。3歳に対して 勧奨を開始するという情報が早く伝わることと、4月の接種者数が迅速にわかっ て、100%の接種率の見込みでよいかどうかの判断をする検討会が少なくとも6 月の初めには開かれるぐらいの予定があることが期待されます。それから、Vero 細胞由来ワクチンによる追加接種については、現在、200人程度が終わっていま す。接種後の採血のを待っているところですので、その結果を年度報告書で中 間報告として出せると思いますが、6月ぐらいに検討会があればおよそ300人 弱の結果についてもまとめられるのではないかと思いますので、その辺の時期 を勘案していただければと希望いたします。 ○加藤委員長 永井参考人、お願いします。 ○永井参考人 方向性としては特に異論はありません。おそらく、標準的な接 種年齢の人たちに対して積極的な勧奨の差し控えはもうやめて、きちんと打っ ていただきますという広報をした場合に、これまで差し控えてきた人たちから、 私たちはどうなるのだろうかというような質問がすぐ出てくると思いますので、 接種率を見ながらとは言うものの、経過措置の人たちに対しては、国としてい つごろに全国一律で例えば開始しますというようなある程度の方向性は併せて 示しておく必要があるのではないかと思っております。  それから、今まで日本脳炎の予防接種は、区民から質問があったときに、あ まりにも接種の間隔があきすぎている場合にはやり直しというような指導をし てきた経緯がありますので、何しろ回数を3回満たせばいいのですということ も併せてきちんと広報していく必要があるのではないかと考えております。 ○加藤委員長 福田参考人、お願いします。 ○福田参考人 これまで、供給者側の立場で生産の能力とか供給計画について の話をさせていただきました。先ほど、多屋参考人、永井参考人のほうからも あったように、その方向性を早く示していただくことで私たちの生産計画とい うのもきっちり押さえることができますので、現時点では年間500万を供給す ることを進めていきたいと思いますので、その方向性を早く示していただいて、 接種漏れ者が適正に受けられる機会が得られるということをわかるようにして いただければと思います。 ○加藤委員長 横手参考人、お願いします。 ○横手参考人 私どものほうとしては内容的には異論がありません。ただ、コ メントさせていただく内容としましては、積極的な差し控えの方々に打たれた 場合に我々のものを含めても供給が十分ではないという現状の場合の手段とし て、流通在庫等の情報を適切に情報提供するという案が事務局のほうから出て いますが、それに対して我々がどのようにタイムリーに情報提供をしたらいい のかということをまたご指導いただければと思います。 ○加藤委員長 それでは、委員のご意見を伺います。廣田委員。 ○廣田委員 宮崎先生からのコメントで、1期初回の積極的勧奨の再開というこ とで、アンダーラインで「定期の対象年齢者は標準的な接種年齢3歳を外れて いても接種できること」ということが記してあります。90カ月までということ になると思うのですが、もしこの方向でいくのならば、これで混乱が起こらな いようにきちんとした手当てが必要だと思います。 ○加藤委員長 続いて、岡部委員。 ○岡部委員 今までの委員及び参考人の先生方の意見とほぼ同じですが、私の コメントの部分はこの中間報告の3頁目の所で、いちばん最初の丸が書いてあ る第2期接種のことなのですが、1行目から「日本脳炎ワクチンを第2期に用い た場合の有効性・安全性等について治験の集積を受けて今後検討することが必 要である」とありますが、先ほどの倉根先生のお話も関連するのですが、「治験 の集積を受けた後に速やかに検討をする」ということにしておいていただけれ ば、この後の方向性がはっきりしてくると思います。それから、今度は丸の下 から2つ目で、先ほどのどっちを優先するかということですが、これも、「確保 のどちらを優先するべきかということも含めて改めて議論を行うことが必要で ある」ではなくて、「改めて議論を行う」ということで切ってしまったほうがよ り明確になってくるのではないかと思います。先ほど多屋さんからも話があり ましたが、100%の接種率というのは実際にはいかないわけです。ただ、日本脳 炎の場合、今まで受けてない人が、MRとかを忘れているのではなくて、逆に日 本脳炎をやっていないことをずっと覚えている人がドッと来るということもあ るので、速やかにその接種率の様子を見ながら、これも検討会の中あるいは事 務局のほうできっちり見ながら、柔軟に対応できるようにやっていただければ と思います。最初の段階は100%でいかないとその点を含めてなかなか難しいだ ろうと思いますので、よろしくお願いします。 ○加藤委員長 最後に、飯沼委員。 ○飯沼委員 この方向性は私も賛成ですが、1つ確認をしておきたいのですが、 例えば、今年、希望者に全部打つといったら何万本要るのですか。 ○大坪課長補佐 別添資料の18頁・19頁をご覧ください。こちらは第2回の 議論のときに資料としてご提示したものですが、4歳から12歳とした場合に 1,560万回。その右に各年齢ごとの必要供給量がご提示してありまして、0〜7 歳までと考えた場合にはこちらの0〜7歳までのいちばん右の供給量を足し合わ せていただくと、平成22年度の2回分だけでこれだけになります。 ○飯沼委員 結構たくさん要るのですね。わかりました。そうでないと、接種 率が低かったら希望者は打てるような気がしていたのです。 ○加藤委員長 これで皆さんの意見はあまり大きな齟齬はないと思いますが、3 歳のお子さんへの勧奨の再開以外に、機会を逃した方に対しては、100%接種率 として180万程度のワクチンが使用可能であるということで、その180万本程 度残る。それをどのような方々に対応して接種していくかということですが、 資料2に先ほどの事務局案が出されたところであろうかと思います。宮崎先生 の案とこの事務局案との違いは、下の事務局案としましては接種機会を逃した 者のうち、平成22年度に9歳から12歳になる者としているところ、宮崎先生 は標準的な年齢を外れている者でも接種できるという曖昧な表現にしたらどう かというご意見だと読みますが、その辺のところで何かご意見ありますか。多 分、接種率が100%とはなりませんので、180万本以上が残ることは間違いない。 接種率60%とするとはるかに余る。阪大微研はそういう計算を接種率ごとにや っていますか。 ○福田参考人 今日は手元に資料をお持ちしていないのですが、180万残るとい うのは、4月から7月のピークのときに400万供給できるという中での180万 で、それ以降、年度内にさらに300万出ますので余裕は持っていると理解して おります。 ○倉根参考人 資料32の(3)の下から3行目ですが、「接種の機会を逃した者の うち、平成22年度に9歳から12歳になる者に対して接種機会を提供」と。こ れは2期としての接種機会の提供ですか。打つということに関しては一緒だけ れども、年から言うと2期になるわけですよね。そうすると、これは2期とし てやるのか。それとも、1期の3度目としてやるのか。つまり、1期の3度目で やると、もう一度2期をどこかでやるのかという話になるでしょう。 ○結核感染症課長 ここの省令・通知での対応というのは、1期が何歳のとき、 2期が何歳のとき、というのは省令で決まっておりまして、政令では単に「日本 脳炎については1・2」と書いてあって1期・2期という捉え方をしていない。 逆に、「1期・2期」と書いてあるのは省令なのです。ですから、3回打っていな い人についての部分を2期ではなくて1期の残りとして捉えるとするならば、 省令改正をしなければ難しいと考えておりまして、それがここに書いてある文 言です。ただ、その場合に、その方について2期を打つのかどうかという問題 がなお残るわけですが、そこまでさらにカバーすると、正直言いまして、いま 500万本ないしは800万本という状況からしても、この中の議論としては先ず やるべきことはどちらかと。1期を先にやるほうが優先するのではないかと。そ れか、2期もするのかという議論は、2期で使う際にもう一度ご議論いただきた いというのはそこの意味も含めて考える必要があると思います。再開した人に ついては、2期の問題はあと6年後になりますので、この方たちについてはまだ しばらく猶予がありますが、1期をやっていた人たちで2期を逃した人たちの問 題がすぐ出てくるわけですが、そこの議論はこの後の議論のときに改めてさせ ていただきたいと思っています。それは課題がそこにあるということについて は認識をしております。 ○倉根参考人 おそらく、3度打つということが私も大切だと。それが名前が1 期であれ2期であれ、3度打つことが大切だと思います。そういう意味では、こ れは文言の話なのですが、資料1の3頁の(2)の最初の丸の4行目ですが、単に 基礎的な免疫を付与するという意味では2回続けて打てばいいのかなと思った のですが、「長期に維持する」というような文言を入れるといいのかなと思いま した。では長期というのは何だと言われるとまたあれかもしれませんが、基礎 的な免疫を長期にするためには3回打ってほしいということがあるといいかな と個人的には思いました。  もう1つ質問ですが、1期を再開して、例えばいまの法令には初回免疫に2 回で生後6カ月以上90カ月未満と書いてあるわけですが、標準年齢の人に強く 勧めるといったときに、人によっては、「私はいま80カ月だ」と6歳の人が来 て「私は打ってほしい」という場合は打てるわけですね。 ○結核感染症課長 そういう人は打てるようにしないといけないことになるわ けですが、実際の市町村における実務的には、そこは現実的にどうしていらっ しゃるのかというのは実際にやっていらっしゃる立場からご発言いただいたほ うがいいと思いますが、本質的には提供しなければいけないということです。 ○加藤委員長 理屈はそうですが、実際は難しいということですね。ほかにい かがですか。私は、この最後の資料2の所の案ですが、これを部会に出してい く関係上、いきなり9歳から12歳と書かれたときに、その根拠的なことを少し 加えておいていただけないでしょうか。なぜここでいきなり9歳になったのか というのは必ず質問されますので、ここのディスカッションの中では皆さんが 共有していますが、部会には、大変失礼ですが、医学的見知のない方がたくさ んおられて、「突然なぜこの年齢だ」と必ず出ると思います。それは当時3歳か ら4歳だった人を対象としているわけですが、その辺のところの意味合いのう まい書きぶりを考えておいていただけると助かると思います。ほかに意見がな いようですので、ただいま意見があった部分は修正読み上げはないですね。い まのところだけですね。 ○結核感染症課長 若干整理が必要ですね。 ○大坪課長補佐 はい。 ○結核感染症課長 基本的には、「今後」という所は「速やかに」と修正をしま す。それから、倉根先生がおっしゃった3頁目の所については、「長期に」とい うことについてはまだエビデンスがないのでこの表現のままでお願いできれば と思います。 ○倉根参考人 はい、それは結構です。 ○結核感染症課長 それから、3頁目の「改めて」という所についても、「速や かに議論を再開する」というふうにしたいと思います。あと、資料2で示した ところにつきましては、3の所については背景を少し書かないといけないので、 もう少し書き込まないといけませんので、少し時間を頂戴したいと思います。 それから、宮崎委員のご意見の中で、蒲生参考人から申し出をいただいたとこ ろについては、これを入れたいと思います。ただ、宮崎委員からのコメントの 中で、定期の対象年齢者が標準的年齢を外れていても接種できるということに ついては、これは確かにそうなのではありますが、一方でワクチンの供給量が 限られているところの中では、これを言うときに併せて供給量の限界のことも 言わないといけないと思いますので、この言いぶりはご意見としては賜りたい と思いますが、報告書の中では差し控えさせていただきまして、我々が通知な り何なりを書くときにどういう工夫ができるか検討させていただきたいという ことでご了解いただければと思います。先ほどの北海道の件等々についても同 様ですので、ここについては報告書として書き込むのではなくて、もちろん議 事録に残りますので、こういうご発言があったことも踏まえて私どもで検討さ せていただきたいと存じます。 ○加藤委員長 はい。それでは、これは今日ご意見を伺ったところで、大きな 修正箇所はないと思いますが、少しの修正箇所だと考えますので、修正したも のに関しましては委員長預かりでよろしいですか。それとも、もう一回やりま すか。 ○結核感染症課長 基本的には座長にお任せしていただければと思います。た だ、もちろん、委員の先生方に最終的にお送りしてご確認いただいた後でとい うことで、こういう会を設けることはしないでということでよろしければそう させていただきたいと思います。 ○加藤委員長 委員の方々、それでよろしいですか。 (承認) ○加藤委員長 では、委員の方々は大方賛成ですので、事務局のご指摘どおり にさせていただきたいと存じます。それでは、第3回日本脳炎に関する小委員 会を終了いたします。最後に事務局からお願いします。 ○梅澤課長補佐 本日ご議論いただきました中間報告につきましては、まとま り次第予防接種部会にご報告させていただくことといたします。それまでに、 修正をさせていただきました案文につきまして、各委員の先生方にお送りいた しますのでご確認をお願いしたいと思います。長期にわたりご議論いただき誠 にありがとうございました。 ○加藤委員長 どうもありがとうございました。 照会先 健康局結核感染症課予防接種係(03-5253-1111 内線:2383、2377)