10/01/25 第30回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会議事録         第30回 厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会                     日時 平成22年1月25日(月)                        15:00〜       場所 三田共用会議所 ○長岡補佐 定刻になりましたので、ただいまより第30回厚生科学審議会疾病対策部会臓 器移植委員会を開催いたします。本日は奥山委員、佐野委員、松原委員、山勢委員、山本 委員からご欠席の連絡をいただいております。又木下勝之委員が遅れて来られることとな っております。本委員会の委員17名中定足数を満たす12名のご出席を賜っておりますの で、ここで報告をさせていただきます。又本日は、クロイツフェルト・ヤコブ病の取扱い について、事務局よりご報告をさせていただきたいと考えておりますので、オブザーバー として国立感染症研究所の岡田義昭先生にご出席をいただいております。岡田先生は遅れ て到着されますので、よろしくお願いいたします。次に議事に先立ちまして、事務局に人 事異動がございましたので、ご挨拶をさせていただきます。臓器移植対策室長の辺見でご ざいます。 ○辺見室長 1月1日付で臓器移植対策室長に着任いたしました辺見聡でございます。ど うぞ、よろしくお願いいたします。臓器移植法改正の7月施行を前にいたしまして、非常 に大切な時期だと考えております。我が国における更なる適正な移植医療実施に向けまし て、私ども事務局といたしましても、精一杯頑張ってまいりたいと思いますので、よろし くご指導のほど、お願い申し上げます。 ○長岡補佐 続きまして、資料の確認をさせていただきます。「議事次第」をご覧ください。 配付資料ですが、まず資料1「臓器の移植に関する法律施行規則の一部を改正する省令に ついて」、資料2「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針(ガイドライン)の一部改 正について」、資料3「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律の概要」、資料4「改 正法の施行に向けた検討課題及びスケジュールについて」、資料5「臓器移植法改正に伴う 意思表示方法の見直しについて」、資料6「臓器移植におけるクロイツフェルト・ヤコブ病 の取扱いについて」。  参考資料ですが、参考資料1「臓器の移植に関する法律施行規則の一部を改正する省令 新旧対照表」、参考資料2「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針(ガイドライン) 新旧対照表」、参考資料3「臓器提供意思登録システムにおける親族優先提供意思の登録方 法について」、参考資料4「臓器のあっせんに伴う『クロイツフェルト・ヤコブ病及びその 疑い』の取扱いの一部改正について」、資料は以上です。不備等がありましたら、事務局ま でご連絡ください。  又机上に紙ファイルを置いてあります。こちらはいつものとおり、現行の法令やガイド ラインを綴じたものになっておりますので、議論の際にご活用をお願いいたします。又こ ちらは次回以降も使いますので、終わった後、机の上に置いていっていただければと思い ます。以上でございます。それでは、議事進行を永井委員長にお願いいたします。報道の カメラの方、いらっしゃいましたら、こちらでご退室をお願いします。 ○永井委員長 ありがとうございます。昨年来、この委員会は、改正法のうち、主に親族 優先提供に関する規定について、議論をしてまいりました。改正法の中で親族優先提供に 関する規定につきましては、1月17日より施行されておりまして、それに併せてガイドラ イン等が改正されたというところでございます。本日の議題ですが、まずガイドライン等 の改正内容について、事務局からご報告をお願いする、これが一点です。その後で、7月 の全面施行へ向けて、改正法の内容と今後のスケジュールについて確認した上で、本日は 法改正に伴う、今後の意思表示方法の在り方について、ご議論をいただくということにな っております。早速議事に入りますが、省令、ガイドラインの改正につきまして、事務局 よりご報告をお願いいたします。 ○長岡補佐 それでは資料1をご覧ください。事務局より、まず省令の改正について、説 明したいと思います。改正は2点大きくありまして、1の改正の概要の(1)をご覧ください。 まず脳死判定又は臓器摘出を行った医師が作成する記録等について、親族に対し臓器を優 先的に提供する意思に関する規定を加えることとしております。この記録の上ですが、こ れには例えば脳死判定ですと、判定日時ですとか、判定結果、意思表示があった旨などを 記録することとなっておりますが、親族優先提供が始まるということで、親族に対し臓器 を優先的に提供する意思に関する規定を加えたものです。  (2)ですが、これはあっせん機関に関する規定ですが、あっせん機関は、臓器の摘出を受 けた者が生存中に親族に対し臓器を優先的に提供する意思を書面により表示していた場合 であって、当該意思により当該親族が移植術を受けたときには、その作成する帳簿に以下 の書類を添付するということで、意思表示を行った旨の書面の写しなどを帳簿に添付して いただくということで追加をしたものです。省令の改正は以上です。  次に資料2をご覧ください。資料2はガイドラインの改正についてまとめたものです。 「改正の概要」と書かれたところをご覧ください。まず(1)、親族の範囲です。法律に規 定する「親族」の範囲につきましては、立法者の意思を踏まえて、限定的に解釈して、配 偶者、子及び父母とするということで改正をしております。配偶者はいわゆる法律婚に限 り、事実婚は含まないこと。子及び父母ですが、特別養子縁組による養子及び養父母を含 む。これ以外の養子、養父母を含まないということで整理をしております。  (2)が親族優先提供の意思表示ですが、(1)の部分、親族優先提供の意思は、臓器提供の 意思に併せて、書面により表示するということ、これは法律の文言を再度確認するような 内容となっております。(2)ですが、優先提供する親族を指定した意思が表示、これは個人 名を記載している場合です。その場合でも、その方を含む親族全体へ優先提供する意思表 示と取り扱うということで、規定を置いております。  (3)の留意事項です。まず(1)ですが、これは親族優先提供の意思表示があっても、医学的 な理由から、必ずしも親族に対して移植術が行われるとは限らないということを規定して います。(2)が自殺です。親族優先提供を目的とした自殺を防ぐ必要があるということで、 レシピエント登録をした親族がいるものが、親族優先提供の意思表示を行って、自殺を図 ったという場合には、親族への優先提供は行われないということです。※ですが、この場 合は、親族を含めた移植希望者の全体から医学的基準で移植を受ける者を選定するという こととしたものです。  (3)ですが、親族以外の方への優先提供意思については、優先提供に係る意思表示につい ては無効とするということで規定を置いております。  最後が(4)ですが、これは限定提供です。臓器の提供先を限定し、その他の者への提供は 拒否するといった意思が明らかである場合には、これは親族に優先する場合も含めて、脳 死判定、臓器摘出は見合わせるということで規定を置いたものです。以上省令とガイドラ インが1月17日から施行されているところでございます。 ○竹内補佐 続きまして、臓器提供意思登録システムにおける親族優先提供意思の登録方 法についてのご紹介をさせていただきます。参考資料3です。日本臓器移植ネットワーク のホームページから意思登録を行う画面に進んだところがこちらの画面です。1.私は、脳 死の判定に従い、脳死後、移植のために○で囲んだ臓器を提供します。2.私は、心臓が停 止した死後、移植の為に○で囲んだ臓器を提供します。3.私は、臓器を提供しませんとい う画面が出てまいります。この中で、1又は2及び1と2を選択した方が「次へ」というと ころをクリックしますと、2頁目の画面に進みます。2頁の画面におきまして、「臓器を提 供する意思を表示した方へ」という画面に移ります。こちらの画面では親族優先提供を行 うことが可能になった旨の説明と、臓器を提供する意思に合わせて、親族に対し、臓器を 優先的に提供する意思を書面により表示すると、社団法人日本臓器移植ネットワークに移 植希望登録をしている親族(配偶者・子ども・父母)の方がいる方、医学的な条件を満た している方の場合に、その親族の方が他の方より優先して移植を受けられるようになりま す、という確認をしていただきます。  現在の入力内容で意思登録をするというところをクリックしますと、親族への優先の登 録は行われませんが「注意事項を読む」をクリックをしていただきますと、3頁、親族優 先提供を希望する場合の3つの注意事項の画面に飛びます。1番で、優先提供の意味につ いて周知を行っております。子どもには提供したいが、ほかの人には提供したくないとか、 ○○さんだけにしか提供したくないといった、提供先を限定した場合には、親族の方を含 め臓器提供は行われません、このことについて確認します。同意しない場合におきまして は親族優先提供の意思というものは登録されずに、「同意する」にクリックをしていただき ますと、さらに4頁の注意事項2「優先提供の対象となる方」の画面に移ります。  こちらの画面では優先提供の対象者は配偶者、子ども、父母ということを確認していた だきます。こちらのほうで同意しない場合にも優先提供の意思表示は登録されないことに なります。こちらの注意事項を確認して同意した場合におきましては、次の5頁の注意事 項3「優先提供されない場合」の画面に移ります。こちらのほうでは親族(配偶者、子ど も、父母)に移植希望登録をしている方がいない場合、医学的条件を満たさない場合、移 植登録希望をしている親族がいる方が自殺をした場合、こちらについては優先提供をされ ない場合ですよということの周知と確認をしております。こちらのほうで「同意しない」 をクリックしていただきますと、親族の意思登録はされません。こちらのほうで同意され た方に対しまして、6頁、その上で、親族優先提供の意思登録を希望し、注意事項に登録 された方に対して、再度「登録しますか、登録しませんか」というものを確認させていた だきます。  こちらのほうで「登録する」ということになって、初めて登録内容の確認、「親族優先提 供を希望します」という文字が、こちらの画面で明示されるということになります。その 上で、送信をクリックしていただきますと、お手元に配付されている「親族優先」マーク が付いたカードが皆様のところに発送されるというような手続のシステムになっておりま す。  本システムにつきましては1月15日から稼働しております。15日から24日までの10 日間の状況ということでご紹介いたします。この間、新たに臓器提供に関する意思表示の ご登録をされた方は、約700名おります。このうち、約170名の方が親族への臓器を優先 的に提供する意思表示をされております。約4人に1人が親族への臓器を優先的に提供さ れる意思表示をされ、残りの方は親族への臓器を優先提供の意思表示をされていないとい うような状況でした。又これまで、このシステムで5万3,400人程度の方が臓器を提供す る意思表示をしているところですが、その中で親族への臓器を優先的に提供する意思表示 を改めてされた方は、約2,500名いらっしゃいます。これまで、1日約200人から300人 のペースで更新があるところです。以上稼働状況についてのご報告でございます。 ○永井委員長 ありがとうございます。続きまして、改正法の内容、今後のスケジュール について、ご確認をお願いしたいと思います。事務局より説明をお願いします。 ○長岡補佐 では資料3、今回の改正法の概要について記したものです。2枚目の表を用い て、改正法の内容を改めて確認をしたいと思います。2枚目の比較表をご覧ください。1 番、親族に対する優先提供は、1月17日施行済ですので、内容については割愛いたします。 7月17日施行分が2番から4番です。  2番ですが、「脳死判定・臓器摘出の要件」それから「小児の取扱い」についてです。こ れまで、「脳死判定・臓器摘出の要件」は現行法のところですが、「本人の生前の書面によ る意思表示があり、家族が拒否をしない、又は家族がいないこと」が要件とされているわ けですが、改正法においてはこの現行法の要件に「又は本人の意思が不明(拒否の意思表 示をしていない場合)であり、家族の書面による承諾があること」が新たに要件として加 わることになります。この本人意思が不明な場合における、家族の書面による承諾といっ た要件が新たに設けられることによりまして、次の小児の取扱いですが、改正法では15 歳未満の方からの臓器提供が可能となるものです。  3番、「普及・啓活動等」ですが、これは現行法では規定がなかったところです。改正法 では「運転免許証等への意思表示の記載を可能にする等の施策」を講じるということが新 たに規定されているところです。  4番、「被虐待児への対応」ですが、こちらにつきましても、新たに改正法の、附則で「虐 待を受けて死亡した児童から臓器が提供されることのないよう適切に対応」することが規 定されたところです。以上、2番から4番が今年の7月17日より施行されることとなりま して、その施行に向けた検討を今後、この委員会でお願いするものです。  続きまして、資料4をご覧ください。「改正法の施行に向けた検討課題及びスケジュール」 ということでお示しをしました。資料4、1枚目の1.「検討課題」をご覧ください。大き く、4点ほど挙げております。Iが「小児からの臓器提供に関する課題」ということで、 これは1番の小児の脳死判定基準等をどうしていくのか。2番、被虐待児の取扱いをどう していくのか。3番、15歳未満の方が拒否の意思表示をされている場合、これをどのよう に取り扱うのかといったことが課題となってくるものです。  次のII、これは本人が意思表示をしていない場合における臓器提供に関する課題です。1 番目、意思表示をしていないことをどのように確認をするのか。2番目、脳死判定・臓器 摘出について、承諾する家族・遺族の範囲をどうするのか。3番、有効な意思表示ができ ない者については、どのように取扱うのか、といったことが課題となってくるものです。  IIIが「普及啓発に関する課題」です。これはカード、システムをどうしていくのか。そ れから普及啓発の対象者、広報をどうしていくのか、その内容をどうしていくのか、とい ったことが課題となってくるものです。  次のIV、これは「臓器移植の実施に係る課題」でして、1がドナー適応基準及びレシピ エント選択基準の見直しをどのようにするのか。2が体制整備をどうしていくのか、とい ったことが課題となってくるかと思います。  これを踏まえて、2.の「スケジュール」ですが、施行期日は7月17日です。こちらに向 けて、具体的なスケジュールを次の別添1でお示しをしています。中段が小児からの臓器 提供、下段が普及啓発等に関するスケジュールです。全体の施行が7月17日でして、その 前に周知期間を設けることを考えますと、省令・ガイドラインは6月中に改正を行えれば と考えておりまして、その前のパブリックコメントなどを踏まえますと、専門家による作 業班、それから厚生労働科学研究における研究、これを年度内に行いまして、順次臓器移 植委員会に報告し、月1回程度で議論を行いまして、パブリックコメントにつなげてまい りたいと思っております。普及啓発についても、委員会での議論状況に合わせる形で議論 を行っていきます。臓器移植委員会での議論はまず4月までに素案をまとめまして、5月 に、1カ月間(30日間)省令やガイドラインの改正案について、親族優先提供のときと同 じようにパブリックコメントを行いまして、この結果も踏まえて、又臓器移植委員会で議 論を行っていただくというようなスケジュールで考えております。スケジュールは以上で す。  次は別添2ですが、こちらは9月にも説明した資料です。これらの検討課題につきまし て、真ん中の「検討体制」ですが、作業班ですとか、厚生労働科学研究班、こういったも のを活用しつつ検討いたしまして、その検討内容はこちらの臓器移植委員会に順次報告を し、御審議いただくと。さらに先ほど、ご紹介したパブリックコメントを経て、省令やガ イドラインを策定し、又周知を図っていくということで、今後のスケジュールを考えてい るところです。以上です。 ○永井委員長 ありがとうございます。それでは作業班で引き続き検討いただくというこ とで、よろしくお願いいたします。続きまして、これはご議論いただきたいところですが、 法改正に伴う今後の意思表示方法のあり方についてということで、ご議論いただきます。 事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○辺見室長 それでは私のほうから、資料5でご説明いたします。「臓器移植法改正に伴う 意思表示方法の見直しについて」です。大きな前提といたしまして、I現行の意思表示の 方法ですが、1の臓器提供意思表示カード、(又はシール)というものが平成9年の法施行 当時から、ほぼ現在の様式で普及してきているところです。基本的な考え方は、こちらの 括弧内に書いてありますとおりに、本人が独自に意思を表示する書面を作成することが可 能ではありますが、実際は法律で求める趣旨に適うようなものを作成するということは困 難であるという観点から、厚生労働省及び臓器移植ネットワークにより作成され、頒布さ れているものです。これまでの過程におきまして、平成16年頃にカードに関する作業班で、 不備記載があった場合における対応などに関しましての検討等が行われてきているところ ですが、基本的な枠組は平成9年から続いているものです。  2の、臓器提供意思登録システムです。こちらは平成17年から臓器移植ネットワークに おいて運営されているものですが、臓器提供に関する意思を書面により表示していても、 書面が見つからないということで、その意思が不明との取扱いとなる場合があることから、 より確実に本人の臓器提供の意思を確認するためのシステムということです。このほか、 保険証のうち、全国健康保険協会の保険証におきまして、臓器提供意思表示カード又はシ ールと同じような様式において、意思表示ができるような形で記載を可能な形にしていた だいておりまして、これがもう既に普及が始まっているといったような状況にあります。  IIですが、見直しに当たりましての前提として、まず1番ですが、法改正によりまして、 家族承諾による脳死判定・臓器摘出が可能となっております。臓器を提供する意思がない 場合には、提供しないという意思を表示していただくということが重要ですので、臓器提 供の意思の有無について、表示できる機会・環境を整える必要があるのではないかという ことです。法改正の過程において、例えば提供の意思がないというノンドナーカードが事 後的に発見された場合にどうするかといったご議論があったということですが、そういっ た観点からの問題です。  2番、親族へ臓器を優先的に提供する意思表示が可能となっていることですが、これに 伴いまして、親族へ臓器を優先的に提供する意思については、臓器を提供する意思に併せ て表示することができるわけですが、その制度について、十分に理解して、その上で表示 していただくことが必要ですので、そのためにどのような取組みが必要かということが要 件ということです。 3番、運転免許証や保険証等に、意思表示の記入欄が設けられるということを想定した対 応が必要になるということです。臓器提供に関する意思を確認するために必要となる一定 の事項につきまして、標準的記載事項として定めておくというようなことが必要ではない かということです。  続きまして2頁III、先ほどご紹介いたしましたような前提を基に課題を整理していると ころです。1番目、運転免許証や健康保険証等により臓器提供に関する意思を表示する場 合に、当該意思を確認するために必要となる標準的記載事項は何かということです。これ は実際には運転免許証につきましては警察庁により、健康保険証については、同じ厚生労 働省内ですが、保険局によりまして省令等により、様式又は記載事項が定められていると ころです。実務的にはどのような形でということになりますと、現在のカードを参考にと いうことでよいのか、それとも、又カードによりまして、制約事項等もあるかと思います が、多少変更が加わっても標準的な部分が確保されていればよいということなのか、その 辺りにおきまして、若干考え方のご整理をいただければということです。  2番、臓器提供意思カードの様式の見直しの必要性及び具体策についてということです。 (1)ですが、親族へ臓器を優先的に提供する意思表示についてです。こちらの意思表示につ きましては、これまでの本審議会におけるご議論におきまして、登録システムでの登録、 システム上の登録というものを基本にしていくという方向でご議論いただいているところ ですが、システムを利用できない方、システムへのアクセスができない方について、どう するかということです。例えば、今後、保険証や免許証を利用する場合に、そのシステム 上の、先ほどお配りしましたカードとは、又別の考え方も強まってくるかと思いますので、 そういった観点から、どのような対応をするかということです。  (2)、その他、意思表示の環境整備についてということですが、こちらは「その他」とい うことで、例として1つ挙げております。先ほどの前提で出てまいりました提供しない意 思につきまして、これを表示するための専用カードを作るかといったようなことが1つ論 点としてあるというふうに考えております。3番、臓器提供意思登録システムの改善につ いてです。当該システムを活用することについて、これを促す方策について、どのような 手段が考えられるかということです。現状の課題として、ネット環境にない方についての 対応ですとか、登録情報の更新ですが、いわゆる連絡先、住所などが登録されている所か ら変更になった場合に、追いかけることが難しくなってしまうといったようなこと、これ がいま問題としてあるところですので、こちらについて様々なご見地から更にシステムの 活用について、ご意見があればお聞かせいただきたいというところです。以上資料5につ いての説明とさせていただきます。 ○永井委員長 はい、ありがとうございます。それでは、ただいまの点についてご審議い ただきたいと思います。資料5をご覧いただき、順番にご意見をお願いします。まず課題 1、標準的な記載事項についてのご質問、ご意見がありましたらお願いします。これは見直 しに当たっての課題の1のところです。 ○大久保委員 いちばん最初の作業班のとき、普及啓発の作業班の中でカードの様式、そ れから登録のシステムについての議論をするということだったのですが、実は普及啓発の 作業班は実際に議論したのは例の優先提供だけであって、まだこれに対する議論が一切さ れていない状況だと思うのですね。中の細かい項目をどうするとか、システムをどうする かというところを、ここで全部やるというのはちょっと大変なことでないかなと思います。 普及啓発班でまた2日に班がありますので、そこである程度案を出してこういった内容で どうかという、1例になるか2つになるかはわかりませんが、その中でいくつかの状況を 挙げてそれをここの委員会で再度やるほうがいいのではないかと私は思っているのです。 ○永井委員長 事務局、いかがですか。もう少しワーキングでもんでいただくというご意 見ですが。 ○辺見室長 いくつかの要素があると思いますが、1つ日程的なことを申し上げます。運 転免許証、健康保険証、それぞれ省令を定める部局、部署におきまして省令を定めるまで の期間と、定めた後、今度は現場でストックされている印刷物を新しいものに換えてから 頒布するという時間がかかりますので、そういう点を考えると運転免許証はおそらく全部 合わせて半年に近い期間がかかるのではないか。保険証は、たぶんもうちょっと縮められ ると思いますけれども、それでも年度末ぐらいに決まって、7月に施行が間に合うかどう かみたいな話をいまのところ内々聞いておりますので、若干時間的なものはご留意いただ ければと思います。ただ、免許証につきましてもう7月に様式が変わったら、ご存知のと おり免許証は更新されているものですので、大体いま8,000万人ぐらい免許証は持ってい るらしいですけれども、一気に変わるものではありませんので順次変わっていくものです から、その辺りもご念頭に置いていただく必要があろうかなということです。もし、この 方向として班でもう少し議論をということであれば、こちらの委員の皆さまの決定次第で あるかと思いますが、もう少しインプットしておくべきもの等あればご意見をいただけれ ばと思います。以上です。 ○永井委員長 いかがでしょうか。何かここで特に要望、検討課題を挙げていただければ、 それはワーキングのほうで、さらに検討いただくということです。 ○大久保委員 1つは、この前のときにも優先提供に対する欄を設けるか設けないか。他 の脳死とか心停止はいろいろ挙げてあると思うのですが、実際にこれを申し込んだ人に対 して優先提供欄はあるのですが、実際のカードを発行する段になって優先提供の欄を設け るか設けないかというのは、非常に大きな問題ではないかと私は思います。様式等につい てはワーキングでかなり何かできると思うのですが、その辺について、ここでもしご意見 があるのでしたらそれを作業班に与えていただければ、それを公表して考えるのではない かと思うのです。 ○永井委員長 優先提供の欄を設けるかどうかというのは。 ○大久保委員 これは申し込んだ人だけが入るわけですが、実際の一般に配られるカード について優先提供、要するに免許証の裏とか保険証、それから一般に配布される今までど おりのタダのカード等につきまして、優先提供という欄を、ここに優先提供を書けますと いう欄を、作るか作らないかというのは非常に大きな問題だと思うのですが、これはここ の中で議論をされたほうがいいのではないかと思うのです。 ○永井委員長 前に大久保委員が、ただ○を付けるというのは避けたほうがよいのではな いかということですね。 ○大久保委員 私はその意見です。 ○相川(直)委員 確かにいまの件に関しては、まだ前の会議でもはっきりとこの委員会 の考え方は、最終的には出ていなかったのではないかと思います。それで、これは非常に 大事なことで、確かに法律では優先提供が認められるようになったけれども、それを促進 するような型式のカードにするべきなのか、また逆に優先提供を多くの人は知らない可能 性があるので、そういうものがあったらどうしてこの欄にそういうことが可能であること を、シールなりカードに示されていないのかということも起こるかもしれない。ですから、 これは非常に重要なことで、備考に優先提供というものがあることを知っている人が積極 的に書き入れるようにするのか、あるいは優先提供のことをそこにするしないで○を付け るとか、その辺のところは慎重に議論をするべきであると思います。私個人としては、大 久保委員に非常に近い考えです。 ○永井委員長 いかがでしょうか。○を付ける欄がないとしても、どこかに書かないとい けないですね。そういうスペースを作っておかないといけないと思いますが。 ○大久保委員 まあ、白い欄というのですか。要するに何でも書ける欄を作っておくこと は可能だと思うのですが、そこに優先提供に○をしなさいとか、○をしたら優先提供でき ますという欄を作るかどうかはかなり大きな差だと思うのです。私は書きたい人が書けれ ばいいような欄は、いわゆるフリー、空欄みたいなのを少し作って、よく免許証だと何か ありますよね、そのような欄があるだけでいいのではないかなと私は思っています。 ○相川(直)委員 そのときですが、私は○を出すような欄をあえて作ることはよくない、 というのは考え方は大久保委員に非常に近いのですが、優先提供が可能であるというとこ ろを何らかの形で知らせる必要はあるのではないかと思いますね。 ○永井委員長 例えば空欄があって、優先提供の意思のある方はその旨を下記に記入して くださいとか。 ○相川(直)委員 カードにおいて知らせる必要はないかもしれませんが、カードを記入 する同じ紙の中に注意書きみたいなところには、何らかの形で可能になりましたとか何か 知らせる必要はあると思っています。 ○永井委員長 いかがでしょうか。 ○大久保委員 相川(直)先生のご意見だと、カードで、普通カードと記載の注意事項が 書いてありますよね。普通大体一緒に配られるようにしてあるのですが、そういったとこ ろにしっかり書いているということですか。 ○相川(直)委員 そうですね。 ○大久保委員 そういう意味ですか。 ○相川(直)委員 やっぱり知らないですね。 ○大久保委員 それはそのとおりですね。 ○相川(直)委員 法律がそうなったのに、知らないでおかせるということ自身がよくな い。 ○永井委員長 そのときに、どのようにすればいいのかというとまどいが、起こらないよ うにしないといけないですね。委員の先生方、いかがでしょうか。 ○宮坂委員 お二人の議論に賛成です。カードに○をして優先提供というのはよくないで すし、それで注意書きみたいなことで持ちかければ、注意書きというか何を書くのかとい う疑問が出ますから、空白があったらそこに一体何を書くのかという説明は絶対必要。例 えば空欄はどういうことに使うのか、その例として優先提供ということを説明に書くよう な形が取れれば一番いいかなと思います。 ○永井委員長 ○は付けるということですか。 ○宮坂委員 ○ではなく、優先提供でそれに○をしてくださいというようにアウトスタン ディングではなくて空欄、書く欄を設けてその書く欄に何を書くかということを別の注意 書きで、ここには優先提供を書きますというような形で、相川(直)先生がおっしゃるよ うに全く白紙で何もしないで出すと、だましたみたいに思われるといけないと思いますし、 情報は提供したほうがいいかなと。 ○永井委員長 文章の例を注意書きに書いておかないといけないですね。 ○宮坂委員 カードではなくて、注意書きのほうにこういうことを書きますよというのは どうでしょうかということです。 ○永井委員長 カードには何も書かない。 ○木下(勝)委員 私はこの臓器移植を積極的に勧めていきましょうという先生方のお気 持はわかるのですが、そういう特殊な思いを持ってこういったシールとか、いろいろなシ ステムそのもので多少モディファイする、支持的なことをすることはアンフェアであると 思いまして、これは明らかに法律として認めているのであったらオープンにして、しかも 明確に自分の意思は意思として表示させるというほうが、より自然ではないかなと思いま す。また、仮にそうなったからといって、前からも議論しておりますが、日本人の心情か らすれば家族に優先的と思う気持もあって、仮に○を付けたとしてもそういう対象者がい なければ当然他の方に臓器提供ということですから、そういう意味ではむしろ広がるので はないかなとも思いますので、そういったことであまり小手先のことをするよりは、真正 面にこれでいきましょうということで、フェアに出すほうがより国民の受けはいいのでは ないかと思います。 ○永井委員長 そうすると、むしろカードに。 ○木下(勝)委員 どんなカードであれ、免許証であれ臓器提供の意思表示があるならば、 優先提供というそういった仕組みになっている以上は、それも明確にはっきりさせておく。 そのほうが実際の現場でそういう事例に遭遇した方々もはっきりとわかるし、探したりど うなのだろうかという、いちいち探すということも必要ないだろうと思います。よりシン プル、単純になるのではないかという気がします。 ○永井委員長 いかがでしょうか。その場合でも簡単に○を付けるというような話ではな いということは、よろしいでしょうか。 ○木下(勝)委員 やり方はあるかと思いますが、どうあれ○というのではあまり単純す ぎるというのであれば、はっきりとした文章にしたうえで、その表現は別としてもちゃん と載せることは載せるということで、意思表示がはっきりわかるようなシステムのほうが より望ましいかなと私は思います。 ○永井委員長 カードにもそういう方法、あるいは記入の仕方を書いておくということで すか。 ○木下(勝)委員 それは単純に意思でありますから、そういうステップを踏んだ上で判 断する以上は、いちいちそこのところの書き方はどうだこうだというよりは、もう本当に ○でもいいのではないかな。結果を書いておいて、また実際にそういう事例をみたときに は家族と相談ということになると思いますが、その前のステップとしてあまり細かいこと で煩雑にしないほうがよりいいのではないかと思います。 ○白倉委員 理想的な、最終的なカードというのを議論するのも重要だと思うのですが、 いま既に持っておられる方たちが、今度の改正後のカードに移行するまでのことも考えて おかないといけないと思うのですよ。ですから欄があるないは新しいカードの話で、古い カードはどうかといったら、そこに何か書き込んだらそれはそれでいいですよという議論 はあったと思うのですね。ですからどの時点での話なのかなというのが少し気になったと いうことと、ここは啓発だと思うのです。この法律が変わって、こういうものができたと いうことを全ての国民に理解してもらう。そういう時期があってそこをどう努力するか、 最終的にこのシステムがどこに落ち着くか、そのときには何が必要か。そんな悠長な議論 はできないかもしれませんけれども、そういうステップで議論しておかないと、いま何人 かの先生が言われた方法論を1つ選択するというのは、難しいのではないかと思うのです ね。ですから、とにかく意思がある人は○は付けなさい、しかしレシピエントまでは言い ませんという人も議論の中に入っていたと思うのです。その人たちがそこに印を入れたら、 どんな方法でやっていてもそういう人が入ってくると思うのですよ。でも、そういう人を どう扱うかという議論も決着していなかったと思うので、これ、そう簡単にはいかないの ではないかなと、私はいま印象として思ったのです。 ○永井委員長 いかがでしょうか。 ○大久保委員 町野先生のところの委員会の、結局安易にやっちゃいかんとか、要するに ○というのは後でぼっと付けれるからそういうのだけは絶対駄目だという話だったような 気がするのですけれども、先生、いかがですか。 ○町野委員 そのことを委員会で議論した記憶は実はないのですよね。ただ事務局に確認 ですが、結局運転免許証、健康保険証、あるいはこれまであった臓器提供意思表示カード あるいはシール、それらと別に親族優先提供をしようとする人について専門のカードを作 らなければいけないのではないか、全体についてそういうお考えですか。 ○辺見室長 結論において先生がいまおっしゃられました、別のカードを作らなければい けないということが前提になっているわけではありません。法律上は臓器提供の意思表示 と併せて、親族優先の意思表示を書面ですることができるという趣旨の条文ですので、こ の表示をしやすいためにどのように考えるか、もしくは表示されたものを現場において確 認するという観点から、どのように考えるかということに尽きると思っています。 ○町野委員 1枚のカードの中に書いてしまう、それはスペースの関係でいま難しいと考 えているのですか、それとも、親族優先についてはもうちょっと慎重に意思表示をしても らいたい。そうすると、ネットでやるときのようにイエスとかそれをやっていって、いち いちチェックしていってこれで誤りがないということにするためには、もう1つ別のもの が必要、そういうことですか。 ○辺見室長 これまでの本委員会におけるご議論等、また今般改正しましたガイドライン も踏まえますと、親族優先というものが、単にその言葉だけから全ての人が同じように解 釈をするものかというと、若干そこは難しいというか、無理に近いのではないかと思いま すので、しっかりとガイドライン等でお示ししました本制度下における親族の範囲を含め て、親族優先というのは何であるかということはご理解していただいた上での意思表示で ある必要はあると思っています。そのために、カードが同じであるか別であるかというの はもう1つまた別の議論かと。別というのは別途ご議論いただける話かと思っております。 ○町野委員 先ほど700人の方が登録されていて、そのうち170人が親族優先の意思を持 っていらっしゃるということですので、これを今のご意見にありましたとおり、最初から 要するにできるのだということを全然示さないというのは、かなり問題かなという感じは するのですね。しかし他方ではあれだけ慎重にやられているのが、これが今度はカードに なってしまうと○だけで済むというのは、またちょっと問題ではないかと思いますので、 どうしたものかということを、それは私の考えです。どうも失礼しました。 ○貫井委員 同じだったのですが、予想よりもたくさん親族優先、700人中170人、57,000 人中2500人ですか。大久保委員が前から心配されているのは、わけわからずにたくさん登 録してしまうのは困るという話だったのですね。ですからカードに親族提供○でもいいと 思うのです。その下に登録システムにアクセスして正式に登録してください、あるいはア クセスできない人のための手段を考える。法律で一応親族提供を認められてますから、内 容をどう理解してもらうかだけが問題だと思うので、そのようにしたらどうかなと考えて おります。それから、もう1つ170名の方々は実際に親族に臓器提供を必要とする人がい るかどうか、こういうのは全くなしでただ登録したということになるわけですね。2500と か言っていましたが、もうそれだけ登録されてしまうと増えすぎて心配ということも、な いのではないかという気がするのです。 ○辺見室長 情報的にレシピエントの情報とドナーの情報が有機的にリンクしているわけ ではないので、親族優先の意思表示があった方について、レシピエントとの親族関係がシ ステム上確認できるわけでないので、申し訳ございませんがそこの点がどのようにリンク しているかというのはわかりません。私どもご紹介させていただいた数字は700人中170 人が登録されている方ですが、この方々が通常同じように臓器移植の意思表示をされてい る中で、親族優先もあったから4分の1の方が印をしたのか、それとも、親族優先の制度 が始まったことを知った上でアクセスしてきて登録したのか、そこは正直わかりませんの で、今後も同じように4分の1で続くかどうかについては、基本的には余断はできないと 事務局としては認識しています。 ○永井委員長 これまでの委員会の議論では、とにかく書面で何か書いてあればいいのだ ということだったですね。ですから余白でもいいから書いておいてほしい、そういう意思 を表明するということが原則で、○だけ付けたというのは現場でかなり混乱が起こるので はないかということですから。○があってもいいかもしれませんが、プラス何か文章で意 思を表示する、余白でもいいですから書くということが、非常に重要ではないかと思うの ですね。そうすると、ただパンフレットに書いてくださいというだけではなくて、カード のほうにもそういう意思がある方は書いてくださいと説明しておくべきだと私は思うので すが、どうでしょうか。 ○町野委員 結局法律はあまり詳しいことを要求してないわけですから、余白に書いてあ ってもそれを無効とするわけにはいかない、これは何回も申し上げたところです。しかし、 そちらの方向に誘導して、あまりいい考えかどうか分からないですが、例えば意思表示カ ードの中に親族優先提供することができます、しかし、それをすることについては別のカ ードを準備しますのでそちらを使ってくださいと言ったとしても、例えばこれをネットで のやり方と同じようなものがせいぜいかなという感じはするわけです。 ○木下(茂)委員 基本的にはよく似たところだと思うのですが、やはり○を付けるのと 何かを書くのは、人間の行動の中でずいぶん重さが違うと思いますので、少なくとも作業 をするのか何かわかりませんが、そういうことは必要かな。それから、もう1つ先ほどか ら皆さん言っておられるように、ネットワークで非常に慎重に親族優先の内容を2回確認 しているようなプロセスがあって、カードのほうではそこがそうでないところがあるので、 そこで○して、サインであっても親族優先については今一度よくその内容を確認ください とか、何かそういう文言が必要なのかなと思いました。 ○永井委員長 そうしますと、ここですぐ結論というよりも、いまのご意見を普及啓発ワ ーキングのほうに送っていただいて、さらに、また案をこちらに出していただくことにし たいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、そういうことでよろしくお願いいた します。  続きまして2の何を書くかということと、親族優先提供の意思表示はいま併せてご議論 いただいたということで、その他の意思表示の環境整備ということですが、2頁目の2の (2)です。提供しない意思を表示するための専用カードを作成するかというところです。こ こについて何かご意見いただけますでしょうか。 ○小中委員 私は専用のカードは必要ないと思っております。といいますのは、いま現在 のカードに3番目に提供しないという項目が入っておりますので、それで大丈夫ではない かと思います。それと、いまの意思表示カードにしてもネットワークや行政の方が設置し ているにも関わらず、カードはどこにあるのというような声が出ていますので、を増やす のは混乱の基になってしまうのではないかと思うので、可能な限り1つで済むのであれば 1つにして。そのカードがきちっと皆さまの必要なときに入手できるということを整備す るほうがいいのではないかと思っています。 ○相川(厚)委員 小中委員の意見に賛成します。日本はオプティング・インとの方式を 採っていますので、このカードが必要な場合にはオプティング・アウトのシステムを採っ ている国がある意味では必要だと感じますので、小中委員がおっしゃったように私は必要 ないと思います。同じカードにその欄を設けて、したくないという表示がちゃんとできて いれば、それで十分ではないかと考えます。 ○永井委員長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。そうしますと、こちらの委員会 としては、あえて新しいカードは作らないということでとりまとめたいと思います。あり がとうございました。  続きまして3の臓器提供意思登録システムです。これについてご意見いただけますでし ょうか。 ○相川(厚)委員 インターネットの登録は、インターネットに慣れている方であればき ちんと登録できると思うのですが、お年寄等々慣れていない方にとっては、なかなか難し いことが考えられますので、厚生労働省の出張機関である保健所などにインターネットの 端末を置き、指導者を添えることでそのような方々でも登録システムに載せられるように する、全国にそのような場所を設置してはどうかと考えております。若い方はほとんど問 題ないと思うのですが、ある程度の年齢の方にとっては、確かにアクセスするのは難しい と考えますので、全国の保健所でコンピューターがない所はないと思いますから、できれ ばそういった端末を置いて整備をしていただければいいのではないかと考えます。 ○永井委員長 コンピューターがあれば大体ネットにはつながっていると思いますが、厚 生労働省としてはいかがでしょうか。 ○辺見室長 可能かどうかについては、若干の検討が必要と思います。同様のことではな いかもしれませんが、年金の記録等について、端末によっていろいろな所で見ることがで きたらというのは、省内の話としてはありました。端末を設けるための費用的な面という のもありますが、どういった所に人が出入りするのだろうかという話と、システムである 必要性があるのかと。仮に保健所であれば、デジタル・デバイド的に使うこと自体に困難 を持っている方には端末でなくても、紙に書いてもらって職員が別途登録してもいいので はないかということは、話としては出てくると思います。たぶん、いろいろなオプション を考えながら、どういったものがいいのかということを、考えていかなければいけないか なと思います。 ○長岡補佐 補足しますと、先ほど説明した親族優先提供の意思表示方法については、厚 生労働省としてはYouTubeのホームページを持っておりまして、意思表示をしていただく 具体的な方法を紹介しております。ただ、インターネットが使える場合であっても、手続 をするにはどこをクリックしたらいいのか、どういった手続を取っていけばいいのかが分 からないという方もいらっしゃるということも踏まえて、動画でわかりやすく紹介すると いう取組みを考えているところです。現時点ではYOUTUBE法改正について出しております が、そのような取組みを通じてやり方を勉強していただき、登録につなげていくことがで きればと考えております。今準備をしているところですので、順次アップできると思いま す。 ○永井委員長 保健所を通じて各地域にいろいろなアナウンスをするということは、可能 ですか。 ○辺見室長 保健所がいいかどうかというところはあると思います。例えば、高齢者に対 する介護保険や医療などについては市町村、医療については今後の議論というところがあ りますが、保健所は県から中核市といった動きがあって、もう少し小さい所は保健所がな い場合もあるので、保健所に任せるのがいいのか、それとも市町村を通じてやっていくの がいいのか。厳密に言えば高齢者が集まる所であれば、すべてのソースを使うべきではな いかという話もあり得ると思いますので、少し幅広く検討してみる必要があると思います。 ○白倉委員 現在、意思表示カードが置かれている場所はかなりたくさんあると思います が、そこにフリーダイアルを記載した案内があれば、かなり多くの人が利用できるのでは ないかと思います。そこにどう書くかですが、例えば優先順位のところが難しいのであれ ば、親族優先順位等についてご不明な点がある方は、フリーダイアルまでご連絡ください という形にして、1箇所に集中させてやったほうが混乱が起きなくていいのではないか。 マンパワーやインフラも要らないですので、そのようなことも併用してはどうかと思いま す。 ○永井委員長 フリーダイアルのシステムがどうなっているかよく知らないのですが、一 極集中でパンクしてもいけないと思いますし、フリーダイアルというのは普通はどのよう に対応するのでしょうか。 ○辺見室長 普通かどうかは分かりませんが、フリーダイアルというか集中した場合のメ リットは、時間に依らず、かつ専門的な人が継続的に対応することができるということだ と思います。分散してしまうと、他の仕事をしながら本件についてもということになりま すが、集中方式であれば、専門的な人が対応できるというメリットがあると思います。お 配りしたパンフレット上に臓器移植ネットワークのフリーダイアル番号が書いてあります し、フリーではありませんが携帯からも掛けられますから、基本的な質問については答え ていただけると思います。こういったものをさらに広く認知していただくためにはどのよ うな方策があるかといったことを考えております。 ○貫井委員 ここにも書いてありますが。 ○辺見室長 こちらに書いてあるのは登録した後のフリーダイアルです。 ○貫井委員 登録した後ですか、登録に関することで。 ○辺見室長 そうです。こういったものがコンビニ等に置いてありますので、ここを見て いただくとフリーダイアルが書いてあります。お配りしておりませんので、よろしければ 順次回覧いたします。 ○大久保委員 登録する方法をインターネットでの登録と他の方法と考えたら、一般的に は郵送などといったことになると思います。優先提供はそれほど数はないですが、臓器提 供に対する意思表示や拒否も含めての意思表示をする場合、手紙や電話になってくるとネ ットワーク自体が対応できるかどうか。いまはインターネットですので、向こうがやって くれたものを処理していくわけですが、電話がジャンジャン掛ってきたり、手紙がドンド ン来たりしたら、いまのネットワークの体制でできるか。インターネットができない人は たくさんいますから、そのことが周知されて代わりに手紙を送るということになったら、 それに対応できるかということは、いまのネットワークの状況を見ていると非常に気掛り です。 ○小中委員 いまフリーダイアルで登録という形であれば、これは非常に厳しい。 ○大久保委員 手紙の場合はどうなのかと。要するに、今インターネットでできないとな ると、もう1つの方法としては、手紙なりを出してこの項目に登録をしてくださいと。そ のようなことが簡単にできるとしたら、それに対応できるかということです。なぜならば、 多様な方法になってくると、それ以外はあまり考えられないからです。 ○小中委員 確かに、手紙で登録をするということが決まれば、それに合わせた体制に整 えていかなければいけないと思いますが、現状、今の人員では難しいと思います。 ○大久保委員 難しいですね。先ほども言ったように非現実的ですし、保健所がやるとは 思えないし、市町村が全部デスクを作るとも思えない。現実的に何ができるかと言うと、 手紙でもネットに登録できますというぐらいしかないかなと思ったときに、おそらく今の 体制ではできないのではないかと考えたのです。 ○小中委員 それはできないです。 ○大久保委員 できないですね。 ○永井委員長 その他いかがですか。 ○貫井委員 意思登録は必須ではないわけですから、今までどおり各県にある移植ネット ワークの地方組織の支部、腎臓や角膜の移植を推進している所が、全体の臓器移植に関す る活動もしているのです。 ○大久保委員 腎バンクですか。 ○貫井委員 腎バンクやアイバンクが一緒になって普及活動をしているのです。ですから、 先ほどの意思登録カードを是非持ってもらうという運動は当然するべきですが、それが登 録しなければいけないという議論にはならないと思います。私は登録できる人はしてくだ さいでいいと思います。事前登録が必要です、善処してくださいということになるとさら に大変なことになるので、むしろ、先ほど話題になった意思表示カードの表示をどうする かというのをしっかり決めて、あとは全体的な普及を考える。ここに書いてあるように、 インターネット登録をもっと利用してくださいというのは大変な話だと思うのです。その ような活動はしてもいいが、ここでそういった方法が何かないかと言い出しても、無理で はないかという気がしております。 ○大島委員 歴史的な話をすると、各県の臓器バンクというのは、昔は1県に1バンク作 らなければいけなかったので非常に普及したのですが、ネットワークができてからはこの 状態が大変曖昧なものになってしまいました。ネットワークと各県の臓器バンク、今は腎 臓バンクから臓器バンクに変わっている所とそうでない所があるのですが、国もそれとの 関係をどのように有機的に結び付けるかという方策を全く出さなかったのです。そんなも のは潰してしまえばいいという議論も一方にあり、今は各県のバンクが自然消滅のような 形で潰れかかっている所がいくつか出ているという状況です。いま先生が指摘された部分 というのは、私などは非常に重要なポイントだと思っておりますが、全体でそのようなコ ンセンサスが全くできていないために各県の、いわゆる普及活動の拠点となっていたバン クが非常に曖昧な状況になっているという現実があるのです。 ○貫井委員 山梨県は腎バンクを中心に、アイバンクが一緒になって結構一生懸命やって おります。ときどき駅前で活動もしていますし、会合もよくあるので全国的にそのような 状況かと思っておりましたが、そうではないのでしたら、厚生労働省に何か考えていただ かないといけないと思います。 ○大島委員 いま非常に大きな差が出てきております。 ○相川(厚)委員 半年に1回やっているのですが、全国腎バンクの会議を来月東日本支 部で行います。大島先生が言われたように、山梨県は腎臓のバンクとしての組織が残って いますが、県の福祉課に吸収されてしまって残っていないとか、利息で運用していた腎バ ンク自身の資産が、利息がかなり少なくなってしまったために、資金運用に非常に苦慮し ているという腎バンクもあります。ただ、組織的には残っておりますので、臓器移植ネッ トワークとしては普及啓発に少しでも貢献していただけるよう、そのような会議を設けて、 私どもからお願いしますということで、今ハッパをかけているところですが、現実的には なかなか難しい状況もあります。 ○永井委員長 すぐにはまとめられないと思いますが、取りあえず、今のご意見を普及啓 発委員会ワーキングのほうにお伝えいただければと思います。予定よりだいぶ早く進んで いるのですが、ここでクロイツフェルト・ヤコブ病の取扱いについて事務局からご報告を お願いいたします。 ○大竹補佐 資料6と参考資料4をご用意ください。資料6に沿って簡単にご説明いたし ます。変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発生状況をかんがみ、これまで1980〜1996 年の間に英国に1日以上滞在した方からの献血、合わせて臓器提供を制限してきました。 具体的には資料6の表にあるとおりです。しかしながら、昨年来の薬事・食品衛生審議会 血液事業運営委員会においては変異型クロイツフェルト・ヤコブ病対策として、これまで 予防的、暫定的に実施されている渡航歴に関する献血の制限の見直しについて議論された ところです。その結果、参考資料4にあるとおり、平成17年に出された通知が少し変更さ れました。具体的には資料6の4頁をご覧ください。滞在国は「英国」、滞在日数は「1か 月以上」となりました。これに併せて、臓器移植に関しても献血と同様の取扱いにしたい と考えており、本日ここでご報告、ご検討をお願いしたいと思います。 ○永井委員長 この件に関して、本日、薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会運 営委員会から、国立感染症研究所の岡田委員にご出席いただいておりますので、今回のク ロイツフェルト・ヤコブ病の取扱いの変更の経緯について、簡単にご紹介いただきたいと 思います。岡田先生、よろしくお願いいたします。 ○岡田参考人 国立感染症研究所の岡田と申します。運営委員会において規制を緩和した ということで、審議の内容について説明するためにまいりました。まず、「英国滞在歴1 日以上」については、1例目のvCJDが発症した当時は予防ができ、なおかつ輸血用血液の 供給が十分可能な日ということで検討し、英国滞在歴1日であっても供給可能ということ で、1日という制限が始まりました。しかし、それから5年近くが経ち、昨年は豚インフ ルエンザの発生等で一時的に献血者の減少等があって、供給に不足はないのですが、何か 起こった場合は対処がかなり難しい、供給量が不足する可能性が出てきたので、「英国に1 日以上滞在」というvCJDのリスクを再度評価いたしました。  まず、英国におけるvCJDは2000年には年間28例発生しましたが、そのときをピークと して減少しておりまして、2008年に1名、2009年に1名と発症者は著しく減少しておりま す。英国では扁桃と虫垂の病理学的な検査を行い、vCJDの感染者がどの程度いるかという 疫学的な調査があり、当時は4,000名に1例感染者がいると推定されたのですが、現在、 再度扁桃を使った調査が進められております。10万人を目標に、現在6万人まで解析が終 わっておりますが、6万人の扁桃を調べて1例の感染者もいないということで、当初推定 された数値よりも感染の頻度が非常に少ないのではないかと推定されております。  一方、日本においてはCJDのサーベイランス委員会が活動しておりまして、CJDの診断 もしくは疑いがあった症例の方に対して、サーベイランス委員会の委員の先生が直接診察 し、確認しております。その結果、年間100名程度のCJDの患者が発見されるのですが、 その中にvCJDの患者は1例もいないことが分かりました。この結果から、英国において発 症した人はともかく、発症する前の人は非常に少ないのではないかという推測が成り立っ ております。  また、献血の制限がされていた時期に英国に滞在した日本人には、感染するリスクはど の程度あるかという評価を疫学の専門家が行いました。英国での発症例、人口、また、プ リオン病の感受性の遺伝子というのが分かっておりますので、その頻度等を基にして日本 人の旅行者が滞在した日数、人数、日本人の感受性が高い遺伝子の頻度、さらに潜伏期等 を勘案して統計処理をすると、日本人の旅行者が2007年までに発症する率は0.06人と推 定されました。実際には1名の発症者が出ましたので若干の誤差はあると思いますが、こ れらのデータを基にした推計から、2人目の患者が出る率はどうかと言うと、0.06人より もさらに低いということが分かりました。つまり、英国に旅行し未発症の日本人の感染者 の確率は非常に低いということがわかりました。  諸外国の例を見ても、カナダのケベック州が世界で最も厳しいのですが、それでも1か 月という制限で、アメリカ合衆国等では3か月です。半年等の制限をしている国が多いの で、諸外国に比べても日本の制限は極めて厳しいのです。日本に比べて制限が緩い国の人 が英国に旅行して発症したかと言うと、そのような症例は報告されておりません。それら を考えて、1日という制限を緩和すべきではないかという議論になりました。  それでは、どの程度緩和すればいいかという議論になりまして、日本人の多くの旅行者 は1か月以内の滞在ということがアンケート調査等でわかっておりますので、1か月とい うところで線を引くことによって、短期滞在の旅行者は献血が可能となるし、リスクが非 常に低い。さらに、1か月という制限によって、残存する感染リスクの3/4を排除できる ことが統計的にわかっていることから、1日の制限から1か月と。正確に言うと30日の制 限ということですので、31日以上はこれまでどおり献血を見合わせていただき、30日以下 であれば献血ができるようになります。この緩和によって、年間約20万人が献血可能とな ります。以上です。 ○永井委員長 ありがとうございました。先ほどの0.06の単位は何ですか。 ○岡田参考人 2007年までに発症すると推定される日本人のvJCDの患者数です。 ○永井委員長 期待値ですね。 ○岡田参考人 そうです。 ○相川(直)委員 ちょっと質問で、資料6の1頁の以前のところから、下記の通りと書 いてあるところに今回変更ということだと思いますが、フランスに関して、以前は1980 年から1996年までは1日以上と英国と同じに扱われていたのに、今回は1980年以降2004 年まではすべて6か月以上になっているのはどうしてか、お聞かせいただければと思いま す。 ○岡田参考人 献血に関してはフランスは入っておりません。資料6は、あくまでも臓器 に関してです。 ○相川(直)委員 わかりました。そうすると今の説明は、献血の立場からということで すか。献血に関してフランスは制限がなかったということですか。 ○岡田参考人 ですから、6か月の制限と。 ○相川(直)委員 以前もですか。 ○岡田参考人 そうです。それは変わりません。 ○相川(直)委員 なるほど、分かりました。それでは、なぜそうだったか、献血と臓器 で、なぜ違っていたかということも教えていただきたいと思います。もう1つ、いまの話 は主に献血の立場ということで、その立場の中には危険性とともに、献血の不足と言いま すか、需給状態という因子も含めての判断ということでよろしいでしょうか。 ○岡田参考人 全くそうです。 ○相川(直)委員 以前、献血ではフランスは1日以上という制限がなかった、つまり資 料6の1頁の制限がなかった国だったのに、しかし臓器移植においてはフランスは入って いた、これはどのような経緯だったのでしょうか。 ○大竹補佐 移植においても運用上は献血のものと合わせて、フランスに関しても6か月 以上とさせていただいております。 ○相川(直)委員 資料6の1頁には、臓器移植に関してフランスは1980〜1996年は1日 以上の制限となっております。しかし、いまの話ではフランスは献血に関してはそうでな かったというお答でしたので、そこのところを伺っております。 ○大竹補佐 (1)の注2)にあるように、「当分の間は、本表に掲げる時期に通算6か月以上 の滞在歴を有する者からの提供を見合わせるようにする」と規定されております。 ○辺見室長 献血における取扱いが6か月というのは、たぶん、資料6の1頁の書き方と 同じであったかと思います。書き方としては、このように英国、フランスと並べて書いた 上で、注2)に「フランスの滞在歴を有する者については、慎重に本措置を実施することと し、当分の間は本表に掲げる時期に通算6か月以上の滞在歴を有する者からの提供を見合 わせることとする」とあるように、上には1日以上などと書いてあるのですが、当分の間 の慎重な取扱いによって6か月になっているということと取扱いを同じにしておりますの で、結果的に6か月となっているということです。 ○相川(直)委員 わかりました。 ○貫井委員 ですから、なぜ、それを入れたのかというのが知りたいわけですよね。 ○大島委員 国によって期間が随分違うと。1か月、3か月、6か月と日本がいちばん厳し いようですが、当該国の扱い方は一体どうなっているのか。国によって違うという事実は わかるのですが、ポリシーの違いとか考え方の違いは一体どうなのかというのはよく分か らないのです。国によって考え方が違うというのは、何がそんなに違うのか、日本の基準 でやれば、そこでは移植や輸血、献血は一切行ってはならない、そのように思ってしまう。 実際にはそうではないだろうと思いますが、そういったところの物の考え方と言いますか、 基本的な考え方はどうなっているのでしょうか。 ○岡田参考人 献血の場合は代用品がないので、各国それぞれイギリスとの交流に違い等 があると思います。厳しい制限をすると、自国で必要な血液が不足することから、不足し ない程度のところで大体線を引いている国が多いと思います。日本で以前は1日以上、今 度は1か月という制限ができたというのは、ヨーロッパ諸国もしくはアメリカ、カナダに 比べ、英国との人的な交流が少ないことから、1か月という制限が可能になったのだと思 います。 ○木下(茂)委員 角膜移植の立場からいくと、バリアントのCJDの話は十分理解できる のですが、角膜神経についてはCJDそのもののこととしてはリスクがあると言われており ます。1日を30日に延ばすということは我々としては非常にありがたい話ですが、何らか の説明の仕方というのはこのままでいいのでしょうか。 ○岡田参考人 私はあくまでも血液の立場からリスク等を評価しておりますが、臓器と言 うと、それほど余裕があるわけではないですから、リスクとベネフィットということで判 断せざるを得ないのではないかと思います。 ○大久保委員 この渡航歴にはまっていても、当然臓器提供はされているわけですが、い ままでは英国滞在1日以上については献血はできないが、これだけのリスクがあるので臓 器提供についてはこのような説明をしますということが、献血のほうでは滞在歴が1か月 以上ある場合は献血ができないので、そのような方の臓器だが提供を受け入れるか、受け 入れないか、現実的にはコーディネーターはそのような話をするということですね。 ○相川(直)委員 確認ですが、1か月以上というのは30日以上と解釈してよろしいので すか。例えば、2月14日から3月13日までとか28日とかいろいろなことがあるので、科 学的にも2月が入ったり、31日があったりと、1か月というのは現場としては非常に困る のです。1か月以上という文言は30日と考えるのでしょうか。その点が非常に曖昧なので すが、血液の場合はどうですか。 ○岡田参考人 確かにこれは混乱が起きますので、厚生労働省のホームページのQ&Aの中 に、30日以下はオーケーで、31日以上はこれまでどおりということが出ております。これ については、現場から明確にしてほしいという意見が結構ありました。 ○木下(勝)委員 先ほど大島委員が言われたことと全く同じことを考えていて、やはり ちょっと理解できない、話があまりにも非現実的だという気がしてしようがないのです。 もし、そのような発想をするならば、当然のことながら、イギリスやフランス国内では輸 血は一切駄目だし、臓器移植も駄目という発想になってもおかしくはないのではありませ んか。それはその国にずっといるからです。にもかかわらず、そういったデータだけを見 て、ましてや1日滞在した者がおかしいなどというのは異常な話ですし、非常にステレオ タイプの発想で、厚生労働省がいちばんけしからんと思います。ちょっと言葉が過ぎまし たが、やはり例外中の例外が起こったら困るということで、非常におかしな規制をすると いう例はいくらでもあったわけです。これもその1つではないかと思うのですがどうでし ょうか。つまり、もし、これが本当にそういったことを意味するのであれば、イギリスや フランスのようにしょっ中起こっているような国ではそういった事業はできないのではな いかと思いますが、いかがでしょうか。 ○岡田参考人 移植についての情報は持っていませんが、輸血に関しては、イギリス政府 は血漿分画製剤を自国の血漿で作ることをやめましたので、分画製剤の血漿はすべてアメ リカから輸入しております。 ○木下(勝)委員 わかりました。それはそうとして、臓器移植の場合はどうなのでしょ うか。我が国の考え方はどうなっているのでしょうか。 ○相川(厚)委員 私はイギリスにちょうどこの期間2年滞在しておりまして、献血もで きない状態ですが、イギリスの臓器移植は非常に効率がいいのです。プリオンの発生があ って起こるという報告は今まで一切ないと思います。 ○大島委員 特に制限なく行われているのですか。 ○相川(厚)委員 はい、制限なく行われております。移植医は、そんなことを言っても、 それだったらみんな感染しているのだから、感染した者同士だと言っておりますが、制限 はないはずです。 ○岡田参考人 臓器移植の頻度と献血のドナーの数の頻度から、統計学的処理をすれば明 らかに違いがあり、その違いだと思います。考えてみると、輸血というのはいちばん頻繁 に行われている移植医療ですが、イギリスでは実際に4名の感染者が出ています。白血球 除去膜を導入することによって、それ以後は報告されておりません。 ○相川(厚)委員 それはいつまででしょうか。白血球除去膜を使用すると報告がなかっ たということですから、年限が違うと思うのです。近年において、そのようなことはほと んど起こっていないはずです。 ○岡田参考人 1998、9年ごろに、イギリスにおいては白血球除去膜が導入されました。 それ以後、発病する前の献血者の血液が患者への輸血に使われた例があります。その方は ずっとフォローされているのですが、既に10年近く経ちますが、生存している人において は発症者はいないということです。時期的に若干遅れましたが、同様に日本も白血球除去 の輸血用血液が供給されております。 ○永井委員長 よろしいですか。 ○大久保委員 リスクを十分説明した上で別に、臓器移植を制限しているわけではないで すからいいのではありませんか。 ○相川(厚)委員 できないのではないですか。 ○大久保委員 いや、できます。注意をするだけです。 ○相川(厚)委員 そうです。皆さんよくご存じないと思うのですが、いま大久保委員が 指摘されたように、リスクを十分説明した上で、レシピエント候補が納得すれば臓器移植 をしていいというように変わったのです。ですから、その点を強調すればそれほど問題が あることではないのです。 ○辺見室長 いま相川先生からお話があったところを資料6で説明いたしますと、1頁の (1)の表の下に(3)(4)があって、「レシピエント候補者がvCJD並びに移植に伴うリスク、移 植後の留意点について移植医から適切な説明を受けた上で、臓器の提供を受ける意思を明 らかにしている場合にあってはこの限りではない」とした上で、フォローアップに関して は(4)に書いてあります。これまでの本委員会における過去の議論の経緯においてこうした 規定が設けられておりますが、次頁にあるように、今後の対応としては渡航歴については 改正いたしますが、先ほど読み上げた部分については、同様に維持するということでご提 案させていただいております。 ○永井委員長 この件はご確認いただいたということでよろしいですか。 ○木下(茂)委員 これは実際にはいつから改正されるのですか。臓器移植に関しての日 程はまだ明らかにならないのでしょうか。 ○大竹補佐 本日ご確認いただいたということで、なるべく早期に支障のないようにした いと思っております。 ○永井委員長 本日の議題はすべて終了いたしました。事務局より連絡事項があればお願 いいたします。 ○長岡補佐 長時間にわたり、活発なご意見をいただきましてありがとうございました。 本日ご議論いただいた内容は、事務局において整理をし、普及啓発に関する作業班等にお いて具体的な検討を進めさせていただければと考えております。引き続き、本委員会にお いて活発なご議論をお願いいたします。次回は各委員の日程を調整させていただき、決ま り次第、文書にてご連絡を差し上げます。先生方におかれましてはお忙しいところ恐縮で すが、日程の確保をどうぞよろしくお願いいたします。 ○永井委員長 以上で終了いたします。本日はどうもありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室  代表 : 03(5253)1111  内線 : 2366 ・ 2365